2017年11月2日木曜日
EMP対策
最近、にわかに話題になってきたのがEMP攻撃だが、これへの対策は考えていなかった。というのは、太陽フレアへの対策とこれは基本的には同じであり、太陽フレアの場合はほぼ対策不能、と考えてきたからだ。だが、日本がEMP攻撃を受けた場合と太陽フレアの場合は、細かく考えれば違いがある、ということに気づき、考え直している。
まず、太陽フレアの場合に諦めた経緯について整理しておこう。数百年に一度程度の大規模な太陽フレアでは、世界中の電磁的記録が全てダメになる。これは、例えば住民情報、預金、税金、会社の(電子)書類、オンラインサービスのデータ、個人のHDD、USBメモリ、スマホ、Blu-Rayレコーダーの録画、CD、FDD、全てだ。
もしバックアップをとっていたとしても、そのバックアップが破壊されてしまうし、もしバックアップが無事でも、レストアすべき機械は全て壊れている。また、バックアップを保管するには鉄の箱にでもしまうしかなく、中と外をケーブルや無線で繋ぐことはできないから、毎回バックアップの度にその鉄の箱から出し、再度しまう必要がある。こんな手間は無理だ。
機器も一緒にしまっておけばよいとも言えるが、まあスマホくらいが関の山であり、更にはその後充電は当分できない(充電器もしまう?)し、無事だったとしても廻りの大部分の機器は死んでいるから、活用は無理だ。
それに、そういう状況では情報遺失云々どころの騒ぎではないのだ。例えば乗り物の多くは相当のダメージを受ける。信号機も送電線も壊れ、となると上水もダメ。都会に住んでいる人はたちまち飢え、水不足に陥る。1週間もすればバタバタと死人が出る、そのくらいのダメージなのだ。
だが、日本がEMP攻撃を受けた程度であれば、海外にバックアップを作っておくことは可能だし、海外脱出という手もある。機械類も海外から輸入できるから、復活は早いだろう。そう考えれば、何かしらのEMP対策を行う意味はあるというものだ。
自分の場合、サーバを一つ立てて、そのバックアップは海外のオンラインサービスを利用している。丸ごとではなくデータだけだが、情報のバックアップはほぼ問題ない。だが幾つか穴があった。
まず、手元のスマホとPCが一度に壊れる事態を想定していない。普段はどちらかが壊れたら反対側の機器で認証していたのだが、両方壊れると手でパスワードを入れなければならない。使っているパスワードは安全性のために覚えられないほど長いし、2要素認証も掛けている。これは別に考える必要がある。
もう一つは預金だ。預金データは電子化されているから、銀行からデータが消えてしまう。このときにどう対処したらよいのか分からない。手元に金の延べ棒でも持っておくのが良いのかも知れないが、これでは運用できないし、何より不便だ。
EMP攻撃の後、海外に脱出するにしても、パスポートと現金は必要だし、空港もダメージを受けているだろうから直ぐには脱出できない。パスポートを銀行の貸金庫に預けていたとして、銀行がダメージを受けたなら、自動倉庫式の貸金庫は動かないし、通常タイプであってもそもそも銀行が開かないだろう。海外から機器を輸入しようと思っても、Amazon.comにアクセスできない(機器がないし通信網も止まっているはずだ)。電話も同じ。郵便も止まっているだろう。つまりアクセスの手段がない。
そのタイムレンジは、震災のそれとは大きく異なるだろう。恐らく十年単位だ。海外脱出しか生きる道はないように思えるが、近隣国も同様の被害を受けている恐れがあり、ゴムボートで韓国や台湾に逃げるというのも良策とは言えない。
ここでは二通りの考え方ができる。まず、人口過疎地に疎開して農業などで食いつなぐ、というもの。二つ目は、海外からの支援はあるだろうから、それにすがる、というものだ。何れにしても、可能になった時点で海外に脱出するというのは、選択肢として残したい。
この二つの考え方の何れも、何も準備する必要はないものだ。だが海外への脱出に関しては、一つ準備できるものがある。外国の金融機関に預金をしておくことだ。
もちろんそれは投資資金でよい。換金性の高いものを少々、残りは日本がダメになると上がる(価値が高くなる)ファンドでも買っておくとよい。日本を含まない海外株や債券が考えられる。できればその金融機関のクレジットカードやデビットカードがあるとよい。
そうすれば、海外に到着したら直ちに現地の通貨を下ろして、初日からホテルに泊まれるはずだ。その後は職探しをして、家を探して、・・・と、普通の海外移住と同じ手順を踏む。つまり、海外移住をあらかじめ想定して、情報を集めておくことは、立派な準備だ。
これらの考えは結構壮大な話なのだが、もっと身近な話として、懐中電灯やラジオを鉄の箱にしまっておこう、などということは当然考えられることだ。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
注目の投稿:
労働生産性向上策私案
https://www.newprinet.co.jp/日本生産性本部 「労働生産性の国際比較2024」を こちらの統計によると、日本の一人当たりの労働生産性は、1990年頃には13位だったところ、その後落ち込み、1998年から20位前後で推移していた。だが2018年から急...
.jpg)
人気の投稿:
-
実は前日に書いているのでたぶん、だけれども、「 たつき諒の予言は外れる、という私の予言 」は当たった。 ただこの間、トカラ列島で群発地震が起こり、最大震度6弱が1回、5強・5弱も複数回発生した。 トカラ列島で最大震度6弱含む1700回超の群発地震 収束見通せず今後も警戒が必要(S...
-
世の中の話題はAGIを通り過ぎてASIに進んでいる。AGIがGeneral IntelligenceならASIはSuper Intelligence、即ち人類を遥かに超えた知性ということらしい。 2045年にシンギュラリティが起きると予測したのは、人工知能研究の世界的権威であ...
-
年金の制度を調べていて、なんと複雑で面倒なことかと辟易した。今ちょうど年金改革がされているけれども、現行のシステムを複雑にしているだけだ。年金に限らず、様々な社会保障制度が別の名前で呼ばれ、申請方法も異なり、審査も給付も別。ファイナンシャルプランナーや税理士、公認会計士などが必要...
-
近年の世界的な右傾化、自国第一主義化について、その原因を生成AIと討論しながら考えた結果、そういう結論に達した、というお話。 まずトランプが未だに支持されている理由について議論したのだが、その理由はアメリカ白人低学歴層の貧困化だという。この白人貧困層は、人数的には数千万人と規...
-
性善説と性悪説、どちらを取るかと言えば、やや性善説、だろうか。 子供の成長を見ていると分かるのだが、基本的に子供は善だ。だが、同時に自分勝手なところもある。人の持っているものを欲しがり、場合によっては喧嘩してでも奪おうとする。だがこれは「悪」と言えるほどのものではない。 ...
-
たつき諒氏の予言が話題になっているので、私も一つ予言をしてやろうかと思う。 2025年7月5日を中心とした前後1週間(計2週間+1日)の間に、日本の太平洋岸を震源とする、最大震度6強以上の地震は、起きない。 地震予知三原則である①地域の特定②時期の特定③強度の特定、何れも満...
-
先日、舛添要一氏と佐藤優さんの対談を読んだのだが、なかなかに面白かった。それは現在の中国とロシアの街中の話なのだが、両国とも監視カメラが大量にある。さぞ窮屈だろうと思いきや、街は安全になり清潔になり、あるいは交通渋滞が解消されるなど、市民の生活はずいぶんと良くなっているのだそうだ...
-
東京の話になるがご容赦頂きたい。 東京メトロは、全車両にMetro WiFiを導入することを既に決定している。該当車両では、車内でWiFiを快適に使うことができる。一方で他の私鉄やJRは、駅でこそ設置しているものの電車自体には一部の特急などを除き設置していない。 こ...
-
度々著名人が不用意に発言しては炎上するこの問題だが、それが正しいのか(真っ当な主張なのか)。またそれ以前の問題として、そもそも外国人犯罪者は本当に多いのか。今回はこれを調べてみた。これも生成AIを使ったのだが、なかなか面白い結果が出た。 まず単純に犯罪率を比較してみると、 ...
-
「人はなぜ悪に憧れるのか」と「人はなぜ正義に憧れるのか」をGoogle検索してみたところ、前者は素直にヒットするのに後者はひねくれたサイトしかヒットしなかった。どうやら人は悪に憧れているようだ。 前者のサイトを読んでいると、様々な解釈が出てきて面白い。だが、検索前に自分...
0 件のコメント:
コメントを投稿