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2026年9月1日火曜日

親の親ロボット

 
合計特殊出生率が1付近でウロウロしている時代が長く続いている。これは一世代で人口が半分になるという急速な少子高齢化を意味しており、現在の日本で既に数兆円規模で行われている少子化対策費をもっても止められていない。移民やAI・ロボットによる労働力支援は窮余の策ではあるが根本的解決にはなっていない。直接的に出生率を2に近づけるためには何をしたらよいのだろうか。

根本的理由は、市民のモチベーションだ。つまり、子供を持つことが嬉しい・楽しいことであるという意識を持つことだ。そのために「お手伝いさんロボット」を作ったらどうだろう、と思って生成AIに聞いてみたのだが、見事に否定された。

というのは、育児をロボットに任せてしまうと子供への愛情が育ちにくくなるからだ。人間には「イケア効果」というものがあり、つまり手をかけた子供ほど愛おしくなるものなのだそうだ。他にも子どもの側からしても「困難な時に寄り添ってくれた親ほど好きになる」という心理があり、何でも育児をロボットなり他人なりに手伝わせてしまうと、双方にとって宜しくない。

考えてみれば、大金持ちの息子がドラ息子になりやすいのはそういう理由なのだろう。子育てをお手伝いさんに任せっきりでは、親子共に精神的成長ができず双方の愛情も育たない。

そこで考えるのは、そういった心理学的効果を知識として持ち、リアルタイムに親と子の精神状態やホルモン分泌(愛情ホルモン、ストレスホルモンなど)を監視して、理想の子育てができるように補助・支援してくれるロボットである。

ハードウェア的には育児ロボットと同じであるが、基本的には手伝わない。親の表情や、指輪型センサ等から得た体内情報(推測でよい)、子どもの状態を総合的に判断し、適切なアドバイスを行い、相談に答え、それでもキツイときには最低限の手伝いをする、といったロボットである。

例えば、スキンシップは幸せホルモン(オキシトシンなど)発生を促す。適度な会話もそうだ。ただ過度になるとストレスになる。その境をロボットが見極める。また深夜の見守りや授乳は一部代替し、親が寝不足にならないようにする。おむつを替えるタイミングをアドバイスする。叱り方もアドバイスをする。暴力は止めさせる。保育園で発熱したときには代理で引き取ったり、迎えに行くのが遅れたときには先行して待機する。受験のアドバイスをする。声掛けのタイミングや内容をアドバイスする。子供と一緒に遊ぶことも促す。こうやって書いてみると、親の親が同居していて育児を支援するようなものかもしれない。

このロボットを自治体が子育て世帯に貸し出す。この支援によって、子供は親の愛情を最大限に受けて育ち、一方で親も子供を最大限に愛することができる。これが好循環を生んで、子世代はより多くの子供を持ちたいと思うようになる、という次第である。

もちろん社会制度としての補助も必要で、育児休暇の完全消化を義務付け、子育て放棄はロボットが監視しておいて強い罰則を設ける、教育費用は全て無償化する、医療費も大幅免除、といったことが必要になるだろう。

このロボットが完璧なら、ロボットのいる家庭の子供は一律に幸せで賢く愛情豊かで、友達も多く生活が充実しているはずだ。それを周囲の子供や親世代が見れば、皆ロボットを導入したいと思うようになるだろう。

ただ、それで出生率1.1が1.3くらいになるのは容易だろうが、2や2.1に届くかどうかは、やってみないと分からない。

2026年8月27日木曜日

バスとタクシーの融合(バクシー)構想

 

一日千人の利用があるのに廃止する路線バスのニュースがあった。理由は運転手不足だという。

中期的にはこれは自動運転で置き換わっていくのだろうが、そうすると今のバスでは都合が悪いように思う。自動運転の時代には、「大型バスで定期運行」という形態そのものを見直すべきだろうと思う。

自動運転になれば、運転手の問題は解決する。つまり幾らでも台数を増やすことができる。これを活用し、従来のバスの不満を解決する方法を考える。そこで、バスとは何か、なぜバスを使うのか、タクシーとはどう違うのか、という根源から考えてみる。

バスとタクシーは、各々道路を使って移動する手段である。もしタクシー料金が安ければ、人はバスに乗りたいとは思わないだろう。だがそこには重大な公共からの要請があって、全てをタクシーにすると道路が混んでしまう。例えば朝の通勤ラッシュで、バスを止めて全部タクシーにしたら、と考えてみると、とても回りそうにない。また、全体で見ると資源・エネルギーの無駄である。だから、ある程度の需要が見込めるなら、タクシーよりバスにしてほしい。

そのバスで面倒なのは、路線図が複雑で見方が分からないこと、また路線によって極端に本数が違い、時間帯によっては1時間も来ない、ということがよくあるが、それがすぐには分からないことだ。普段から使う人ならともかく、一般論としてこれは不親切である。

もちろん、自分の欲しいルートがない、というのも重大な課題だ。バスは電車と違って乗り継ぎ料金の適用がない(少ない)し、あったとしてもそのこと自体を知るのが困難だ。

これらを解決する手段として、以下のようなシステムを提案する。

  1. バスとタクシーを統合したMaaSシステムとする。これを仮にバクシーシステムとする。
  2. 全てのバクシーは自動運転である。
  3. バクシー停
    1. 現在のバス停よりも多くの場所に、バクシー停を準備する。目安としては、現在のバス停の数倍とする。
    2. バクシー停にはIDがあるが、それは地域名+番号記号程度の簡単なものであり、駅や大きなターミナルのみに固有名(別名、俗称)がある。
    3. バス停には電源とビーコンが埋め込まれており、ユーザのスマホでそれを読み取ることができる。
    4. 大部分のバス停には特に電子的表記などはない。必要な情報はユーザのスマホに表示される。
    5. 時刻表は存在しない。目安としての平均的待ち時間はアプリで表示される。
  4. バクシーの呼び出し
    1. ユーザはバクシー停に着いたらスマホのアプリでバクシーを呼び出す。スマホのアプリは自動でバクシー停のIDを読み込み、システムに知らせる。
    2. この際、降車位置を指定する。この時、他のバクシー停を指定すればバス料金となり相乗り、一般的な住所を指定するとタクシー料金となり単独での使用となる。
    3. 家族で乗る場合などでは、代表者が人数を指定して知らせる。この場合、支払いも代表者が行う。
    4. 料金は呼び出し時に確定する。時間距離併用料金ではなく、距離のみである。
    5. 呼び出し時にバクシーのIDは確定し、そのIDのバクシーにしか乗れない。このため並ぶ必要はない。
    6. 自宅などバクシー停以外に呼ぶこともできて、この場合は当然タクシー料金である。
    7. アプリにはあらかじめ要配慮者オプションがあり、車椅子専用車両などが用意されている。この場合は待ち時間は多少伸び、料金も上がるが、自治体などによる補助も自動適用される。
  5. バクシーへの搭乗と降車
    1. 代表者ないしは一人ひとりが搭乗時と降車時に指定場所にスマホをタッチする。
    2. アプリには支払い方法が事前に登録されており、降車時のタッチで自動引き落としになる。
    3. 降車位置は既に指定されているので、降車ボタンは必要ない。また、降車が近づくとアプリに通知される。
    4. バクシー到着時、2分以内に乗車完了しないと自動キャンセルとなり、キャンセル料金が発生する。障害者等はむろん考慮する。延長ボタンもある。
    5. 降車予定時刻はその時の状況に応じてリアルタイム更新される。
    6. 乗合(バス)の場合は当然複数の場所で降車するが、間違ってタッチするとアラームが鳴る。
  6. 乗り継ぎ
    1. バス乗車の際は、乗り継ぎになる場合もある。この時、アプリにはその旨表示されるので、指定バクシー停で乗り換える。
    2. 料金は通しで自動計算される。乗り換えを中止したとしても全額の支払いとなる。
    3. 乗り継ぎルートはその時の交通状況や配車状況によって異なり、例えば繁忙期には直通が多くなる、といったこともある。ユーザはそれを指定することができないが、乗り継ぎ回数予想は事前に知ることができる。
    4. 乗り継ぎが2回以上になる時、自動的に割引が適用される。逆に言えば、乗り継ぎは1回を上限とするようルート選定が為される。
  7. ルート
    1. 基本的には、駅など人が多く利用する場所を中心として放射状に広がる放射状ルートと、その中心から同心円状につながる環状線ルートとする。つまり、放射状ルートが中心から遠くなるほど環状線ルートを使う確率が高くなる。
    2. 放射状ルートであっても、中心から遠くなると乗り継ぎで小さいバクシーになる可能性が高くなる。
    3. 現在のバス路線に比べ、大型車両の割合は少なくなり、台数は多くなり、平均的な速度は速くなる。
  8. 仕様と配車
    1. バクシーは人数・サイズのバラエティが色々とあり、需要予想に従ってあらかじめ自動配車される。前述のように要配慮者向けやペット向け、大量荷物向け、高速バス(空港線など)などがある。
    2. バクシープールを随所に設け、必要に応じて自動出動させる。これは空いている駐車場などで十分である。
    3. バクシーは全て電動であり、バクシープールには無線給電設備が整っている。すなわち、駐車するだけで充電する。電池容量は少ないが、乗り継ぎを前提として頻繁に充電できるようにすることで補う。
    4. 目安として、どのような需要があっても15分以内に乗車できるようにすることを目標とする。また、乗り継ぎの待ち時間も15分以内を目標とする。
    5. 乗車までの予想時間は、アプリに表示される。
  9. 料金と支払い
    1. 料金は変動制とする。つまり需要と道路状況によって変動する。バスとタクシーの料金の比率も変動性とする。望ましい比率は状況によって異なるが、それを自動調整することにより、乗客の利便性と業者の利益を両立させる。
    2. 自治体による補助は自動で反映される。高齢者、障害者など。
    3. 支払い方法は複数登録でき、呼び出し時にその中の一つを指定する。
  10. 追加提案
    1. 緊急車両オプション:救急車の代わりとして使用する。サイレンの使用が認められる。タクシーのみ。料金は通常の30倍だが、後に申請して緊急性が認められれば、その程度に応じて減額される。また、緊急性が認められない使用が続いた場合、使用が制限される。
    2. 低振動運転オプション:通常車より低速で運転し、サスペンションも調整して、低振動運転をする。料金は通常の倍。タクシーのみ。
    3. 高級車オプション:広い席、ゆとりスペースを持つ。タクシーのみ。料金は通常の4倍。
    4. 大量荷物オプション:荷物スペースの広い車。タクシーのみ。料金は通常の1.5倍。
    5. 観光オプション:貸し切りで、主要な観光ルートを廻ってくれる。途中で何回でも降車し再乗車できる。料金は通常の半額。
    6. 定期契約オプション:定期券と同等。特定のルートに限り指定期間内で何回でも使用可能。料金は通常の7割、学生は半額。
    7. 簡易貸切オプション:車種が選べない代わりに、24h365dで10分以内のタクシー配車を保証する。常にスマホのGPSをオンにしておく必要がある。月額契約。

バスやタクシーのコストの60〜80%は人件費、つまり運転手の給料なのだそうだ。よって自動運転になれば大幅な運賃低減は可能だが、ここではそうせずMaaSと台数増に使う。それによって使い勝手が改善し、利用者は増えるだろう。

全てを変動制とすることで料金の不安は起きるが、相場や上限は自治体が自由に設定し、また高齢者の使用頻度などのデータも随時集計し分析できるので、最適化には大いに貢献する。

2026年3月3日火曜日

600mmパレット引っ越し規格

 少子高齢化対策の一つの手段として、コンパクトシティがあることは以前も述べた。これに関して非常に重要なのは、住居を気軽に移転できることだ。だが現実には引っ越しには高額の費用と多大な手間が掛かる。

なぜ費用が掛かるのかと言えば、間違いなく人件費の都合である。だからこの解決策はロボットによる自動引っ越しを実現させることである。だが、人間型ロボットに引っ越しを任せるのはまだ心許ないし、かなり先の話だろう。そこで、ここでは万能の引っ越しロボットを考えるのではなく、ロボット引っ越しに適した『規格』を考えてみることにする。

そこで考えたのがタイトルの600mmパレットだ。これは600x800mm、高さ20mmのパレットで、引っ越し用家具はこのパレットに載せることを条件とする、というものになる。このアイデアに沿った規格とは、以下のようなものだ。

  • 引っ越しに使う家具、段ボールなどは全てこの600x800mmパレットにはみ出すことなく載せられることを条件とする。なお、高さはとりあえず900mmを上限とする。
    • このパレットには囲いが付けられ、転倒や脱落を防止する。
    • 高さが900mm以上の家具は、上下2分割、3分割として、各々を運ぶ。また分解・積み重ねもロボットが行う。
  • このパレットを載せてトラックと家の間を行き交う運搬ロボットを開発する。
    • 類似のロボットは既に世の中に多く存在しているが、整備された工場ではなく段差や傾斜のあるところを移動するため、水平を保つために足回りは新規開発が必要である。
  • 引っ越し元と引っ越し先の家に対し、以下を確認する。
    • 段差が規定内であることの確認。パレット運搬ロボットは50mm程度の段差は乗り越えられるように作るが、そうでない場合は段差を克服する措置(15°以内の傾斜など)を事前設置することができるかどうか。あるいはエレベーターの有無、階段しかない場合は搬送レールを取り付けられるかどうか。
      • 搬送レールはこのロボットのために開発する。
    • 玄関から全ての部屋に至るアプローチにおいて、パレットを載せた運搬ロボットが通れることの確認。これは角を曲がること、ドアを開けたまま固定することを含む。
    • 多段の場合は小型フォークリフトが積み重ねるため、そのための作業スペースがあることの確認。積み重ね用フォークリフトの設計は別途行う。

これらが確認できれば、搬出と搬入、また家具配置の一部までは全てロボットが行えるようになる。

このサイズに収まらない家具としては、ダイニングテーブル、ベッド、ピアノ、食器棚、学習机などが考えられるが、それらについては可能なものは分割式とし、不可能なものは従来通り手で運ぶものとする。

また、家具類には作り付けのパレットが最初から付いているように設計することができる。

パレットはトラック内に固定できるため、基本的に養生は必要ない。だが必要な場合は囲いをして隙間は緩衝材で保護する。

パレットのトラックへの積み込みは、専用のフォークリフトを開発して行う。これは人が乗る必要がなく、ロボット同士が通信をして自動で積み下ろしをする。

大抵のトラックの荷室の高さは2000mm以上あるため、900mmのパレットは上下2段で積む。これにより空きスペースを少なく、無駄なく詰めることができる。

高さのある家具は、やはりフォークリフトで重ね、その後に固定する。この固定方法も規格に含める。またその固定方法を応用して床に固定する規格も検討する。床に固定できれば耐震処理は必要ない。

従来の家は、寸法の計測と段差の規格を考慮したリフォームが可能であるので、新たな家、特に賃貸住宅ではこの規格を推奨するよう税誘導などを行う。

実際の引っ越しにおいては、トラックから玄関、更に各部屋までのアプローチについて、ラインテープなどによるマーカーを設置し、ロボットはそのマーカーに沿って移動する。新居の家具の配置は、やはりマーカーを置いておき、ロボットはその位置に正確に家具を下ろす。

パレット付き、600Dx800Wx900Hの、扉/引き出しロック機構付き棚を作っておけば、小物は全部それに入れてしまえば良いので、いちいち段ボールを大量に作る必要はない。また段ボールを作る場合でも、600Wx400Dx30Hの段ボールだけ作っておけばこのパレットに綺麗に積み重ねられる(実際には枠の分だけ小さめに作る)のでやはり自動で運ぶことが可能だ。

この応用として、パレットごと床に置くことに関し、家具を置かなかったスペースはパレットと同じ高さのタイルを置くことにすれば、段差もなく綺麗に配置することができる。200mm単位のタイルを大量に作っておいて、家具スペースだけそれを外してやれば、ぴったりはまるだろう。またそのタイルにも、溝を作っておいて配線をするなどの工夫が可能である。タイルの位置決め用に床にノッチを入れておくことなども可能だろう。

この機構を採用する前提で、家族4人、75平米程度の家を100km移動する引っ越しについて、生成AIに見積もりをしてもらったところ、75%程度の費用削減ができるとの試算が出た。この中でも大きいのはやはり人件費で、従来型では4人のところ1人、しかも拘束時間を大幅に短縮することで、90%以上の節約になる。

また引っ越す側としても、段ボールへの詰め替えが最小限で良いところはメリットになる。つまり引き出しにモノを入れたまま移動できるため、その手間が省けるのだ。

この規格が広まることは、引っ越しだけでなく宅配ロボットの普及にも有益である。つまり、この600mmパレットロボットが通れるなら、これより小さい宅配ロボットも自動で玄関先まで行けるはずであるからである。ロボットに対応する宅配ボックスを設置するだけで自動受取が可能になる将来像も、描くことができる。

現在の建築基準法では、4階建てまでの建物はエレベーターの設置義務がないが、そういうものであってもパレット用リフトを階段沿いに設置することで宅配ロボットは移動可能になるし、将来的には低層でもそのリフトを設置した建物が人気になる、ということも考えられる。

2026年2月16日月曜日

メタバースが世界を救う

非常に大雑把な一般論だが、ハイテクは上手く使えば格差是正になる。

その良い例は音楽制作だ。かつて音楽は大金持ちや貴族のたしなみで、庶民は縁遠かったが、今やYouTubeでボカロ曲が普通にヒットする時代になった。これは作曲家や演奏家の大衆化と言える。裾野が広がったことで大量の音楽家ができ、世の中には音楽が溢れるようになった。高度な学習も高価な楽器も必要ない。パソコン一つでプロ並みの音楽を作れるようになった。

もっと生臭い例を言うと、ロシア・ウクライナ戦争においてドローンが大活躍している。ロシアとウクライナの戦力差は本来なら致命的なもののはずだが、ウクライナがドローンを上手く活用しており、その戦力差は縮まっている。鳥取県と同程度の経済規模しかない北朝鮮が米国と渡り合っているのは、核兵器があるからだ。

これに準じて、もし全ての国でメタバースが本格的に普及したら、どんな格差が是正されて世界は平和になるのだろうか、と考えてみた。

単なるインターネットとメタバースが異なるのは、視覚情報をフルに使って、また体を使って表現ができることだ。プログラミングなどの技巧的なものがなくとも、例えば幼児でも、簡単に国際交流ができる。この、より直感的な交流は、一つの重要な鍵になるだろう。自動翻訳がこれを更に助長する。

そしてもう一つは、ワールドの設計である。お互いがお互いを無視するワールドも、共存するワールドも、敵対するワールドも作ることができ、それらは独立に動かせる。つまり無視したい人は無視ワールドに、共存したい人は共存ワールドに、と棲み分けができるのだ。これは、例えば宗教対立のような問題に、一定の切り分けをすることが可能になる。例えば、キリスト教用とイスラム教用と共存用の三種のワールドに各々総本山(メッカ)を作り、どれが正でどれが副ということはない、と定義できる。(もちろん対立用ワールドを作って中でつかみ合いの喧嘩をすることも可能だが、バーチャルである限り無害である。)

ただ、メタバースによる格差是正は、あくまでもオンラインに乗るものだけだ。人はメタバースだけで生きるに非ず。現実には毎日食事をしなければならないし、風呂やトイレも必要だ。物価も住んでいる所によって違う。電気ガス水道通信、医療もリアルな世界では必要だ。

現実の生活において、バーチャルに移行できるものが何割あるかによって、その格差是正の程度は変わってくる。概ね、今のインターネットで出来ていることはそのままメタバースでも使えるだろが、メタバースでプラスアルファでできるようになること、メタバースで使い勝手が良くなり利用者が増えるであろうこと、がどのくらいあるか。

まず教育。移行できないのは走り回るスポーツ、柔道のように相手と接触するスポーツ、水泳、などが考えられる。卓球は既にできるし、体操や太極拳などもアプリがある。だがホームルームや学園祭など、バーチャルでも可能ではあるがリアルでやりたい、という需要も一定量あるはずで、特にその傾向は低学年ほど多いだろう。

次に仕事だが、リアルな生活に関わるところは不可能だ。例えば配達・運送、クリーニング、販売、農業漁業工業、食堂、インフラ(水道など)の保守、建設、介護・看護・医療、消防警察軍事、ゴミ回収や清掃などが考えられる。その各々の事務処理など部分的にはバーチャル移行が可能だが、その割合は多くないはずだ。プロスポーツを除くエンタテイメントの多くはバーチャルに移行可能だろうが、リアルに見たいという需要も一定数あるはずだ。

事務作業やプログラミング等は、国際的に分散する方が有利である。いわゆるIPであるが、メタバースにより従来より敷居は低くなるだろう。世界中が休みなくつながりAIアバターも使える状況においては、仕事のチームはむしろ世界に分散している方が有利である。つまり時間差で仕事を引き継いで行う形態が日常化するため、時間帯ごとにメンバーを募集するようなことが起きるだろう。

また、メタバースで完結する仕事については国際的なコスト(賃金)格差が縮小するだろう。端的な話、日本のような先進国では海外に仕事を持っていかれる率が高くなり、相対的に単価は下がる。ただ、持っていかれる先である海外(インド、フィリピン、ベトナムなど)でメタバース上の仕事を請け負う人たちは、安い給料の中でメタバース機材を揃え先進国並みの仕事ができるエリートである。

こういったものを経て、人生の何%がメタバース上に移行することになるのだろう、と色々計算を続けてみた結果、先進国の中間~上位層では30~60%が(低所得者層・新興国では10~30%が)メタバース上に移行する、との結論を得た。これは今後10~20年で起きる。分野によって移行化度は異なる。日本の場合、今の電子化率と比較して解説すると、以下のようになる。

領域 現状の電子化率 メタバース化の将来推計 根拠
行政 30〜40% 60〜80% 窓口業務の大半がオンライン化可能(高齢化で対面維持困難)
教育 20〜30% 40〜70% 教員不足・地域格差、XR授業の普及
医療 10〜20% 30〜50% 遠隔診療の拡大、医師不足
仕事 20〜30% 30〜50% 例外処理は残るが、会議・研修・一部作業がXR化
消費・娯楽 30〜40% 40〜60% EC+XRショッピング、XRライブ

ただこれは日本の平均であり、上位所得車窓では当然割合が上がり、低所得者層では低くなる。

また、これはここ10~20年の数字であり、遠い将来には80~90%がメタバース化可能になる。実用的には、先進国で70~85%程度がメタバース上で過ごすことになると予想する。

ここまで調べた上で考えると、結論としては


メタバースの普及は国際格差(国同士の富の差)を減らす


ということが言える。但し「先進国では国内格差が縮小するが、新興国では広がる」ことになる。

なぜかというと、新興国の上位10~20%の層は、先進国の事務作業をIPで奪うことになるだろうからだ。従来だと大規模開発の特定モジュールといったやり方しかなかったが、メタバース普及後はちょっとした例外処理を含む事務作業のレベルで発注が可能になる。すると結果としては先進国から仕事を奪うことになる。

一方、下位80%の層はこの恩恵に預かれない。従来より仕事が減る訳ではないが、上位層がリッチになるので結果として格差は広がってしまうのだ。だから新興国は、その上位層からの納税増を基に教育を充実させ、インターネットを普及させ、先進国から仕事を奪う層を広げていく必要があるだろう。

また、メタバースの普及は必然的に人の移動を減らす。オンライン会議がより普及するからだ。一方で物流は増えるだろう。ケータリングや宅配などだ。そして後者は前者より環境負荷が小さくなると考えられ、これは燃料たる石油消費を抑える方向に動くだろう。つまり環境変動(地球温暖化)阻止にも貢献する。

また先に示したように宗教紛争は抑える方向に動く。これをもっと広く捉えると、


メタバースの普及は戦争紛争テロといった暴力を減らす方向にも働く


のではないか。

ここには大きく二つの根拠がある。第一は、メタバース空間はインターネット以上に統制が取りづらく、またアバターがデフォルトなので、市民レベルでの国際交流は増えるのではないかと考えるからだ。紛争は相互理解が増えると減る傾向にある、というのは心理学上からも実績からも誰もが認めるところだろう。

第二は、メタバース空間で過ごす時間が大部分になれば、戦争紛争の大きな争点である民族対立や領土問題の価値は相対的に低減するからだ。従来のイメージでは

領土=生活空間+文化空間+経済空間+資源空間

だったのに対し、メタバースが普及することでその意識が

領土=資源空間

だけになる(他の要素がゼロになるわけではないが、重要度が下がる)。石油や稲作は必要だから完全にはなくならないものの、その価値が低下すれば争う意味も低下するだろう、と考えるのだ。

そして、第一第二をあわせて考えると、いわゆるナショナリズムは低下するし、国のプロパガンダの効力も低下する。そうなれば恣意的な戦争は国としても起こしにくいだろうし、大義名分があってもその支持率は相対的に低下する。

エストニアは積極的に電子政府化を進め、これが世界的知名度と地位を上げる結果となった。メタバースでも同じだ。メタバースに積極的に展開する国は、世界から知名度を集め、交流が広がり、結果として国を守ることにもつながる。

日本ではあまり効かないかもしれないが、小国はこの方向性を積極的に取り入れてはどうかと考える。

2025年7月15日火曜日

新社会民主主義構想


先日、舛添要一氏と佐藤優さんの対談を読んだのだが、なかなかに面白かった。それは現在の中国とロシアの街中の話なのだが、両国とも監視カメラが大量にある。さぞ窮屈だろうと思いきや、街は安全になり清潔になり、あるいは交通渋滞が解消されるなど、市民の生活はずいぶんと良くなっているのだそうだ。

つまり、監視カメラによって犯罪が起これば速やかに犯人が捕まるため、犯罪が起こしにくくなっているのだ。清潔になったのも同じで、ポイ捨て等もカメラで見られているからだ。そして交通渋滞が解消したのは、交通の状態をAI解析することで、いわゆる全体最適化がされたためだ。

もちろん思想監視のようなものはあるのでそこについては窮屈だが、大部分の市民は恩恵の方を多く感じ取っているのだそうだ。

一方で自由主義の国はどうかというと、監視カメラはあるにはあるが、欲しいところにあるとは限らないし、カメラの持ち主にいちいち交渉しなければならず、断られても文句が言えない。交通の状態は解析できても相互連携はできていない。経済成長率では中国に大きく劣り、貧富の差は開き、経済が低迷し、右傾化・国粋主義がはびこっている。移民を含め外国人排斥運動なども起きている。これはいったい何がいけないのだろう。

自由主義ではプライバシーも尊重するので、誰が何をしているかを当局は把握できない。これは、単純には犯罪を未然に防ぐことができないばかりか、犯罪が起こっても証拠を取れず捜査がやりにくい。また、経済においても、つまらないところで競争してしまい効率が落ちる、例えば情報流通の規格が百花繚乱になってしまう。また、その状態を把握しようにも、プライバシーやら企業秘密やらがネックとなって把握できない。把握できなければ分析もできず、改善もできない、というわけだ。このため、社会主義国では可能な全体最適化が、自由主義国ではできなくなってしまう。それが情報化社会、AI全盛の世の中において、顕著な差を生み出しつつあるのだと言える。

思想というのは何時の時代でも極端なものから揺り戻しが来るのが常であり、その意味でも、またこの社会主義国の躍進を見ても、新自由主義もそろそろ揺り戻しの時期が来ているのではないだろうか。

それはもちろん、プライバシーや自由主義を完全に断ち切るものではない。かつての社会民主主義の焼き直しともいえるが、どちらかというと思想や思想統制の話ではなく、物流や治安の全体最適化という視点のみで社会主義・全体主義を取り入れる、というものだ。

もちろん新事業などでは競争すべき時期もあるので、何でもかんでも全体最適化すれば良いというものではない。ある程度普及率が高いものに対してそれを利かせる一方、成長著しい領域ではむしろ統一させず競争に任せることが必要だ。そのバランスをのは難しいだろうが、AIのような技術を前提にしてそれを素早く(可能ならリアルタイムで)調整することは可能だろう。そういった技術との結合も、新しい社会民主主義では重要な特徴になる。

つまり、社会の効率に関する部分では過度な競争をせず、仕様はある程度統一しましょう、といった、テクニカルな部分に関しては社会主義を重視するが、それでもプライバシーは保護しましょう、といった、新しい社会民主主義の提案である。

この発想は、民間で流行っている「コーペティション」と基本的には同じものだ。これはcooperation(協調)とcompetition(競争)をつなげた用語で、何でも競争するのではなく、協調もすることで、全体として市場を拡大し利益を促進する考え方のことだ。

どういうものを協調領域にするかというと、たとえば交通系はいわゆるMaaSを行うことにある。このためには交通機関の位置情報、料金体系、支払い手段、渋滞情報、運行(事故等)情報、天気予報(注意報警報等含)、といった情報を統一的に扱わねばならず、また全体の指示には従わなければならない。例えば電車の遅延に合わせてバスタクシーの運用を修正する、等だ。物流も同様で、通函のサイズや規格の統一、パレットやカートのID規格統一など、MaaSのような全体最適化物流システムの構築の助けになる情報は共通化しなければならない。

防災に関していうと、監視カメラ映像の取得や解析に関する統一的なルールとプロトコルが必要だろう。使用の許可や申請の判断などを電子化して素早く進めるシステム、またプライバシーを考慮しつつも犯罪や事故事件の発生を自動検知するAIシステムなどが考えられる。

個人情報も同様で、マイナンバーに紐づけた個人のプロパティ(属性)情報を、必要に応じて瞬時にアクセスできるシステムとその権限管理システムが必要になる。端的な例では、今実証実験されている、マイナンバーと紐づけた医療記録の参照である。意識不明で搬送された患者の病歴や投薬歴を、マイナンバーと紐づけて迅速に提供できる。

これらに対する当然の懸念は、主に二つあるだろう。第一はもちろんプライバシーへの懸念であるが、これは相応する監視・権限管理の仕掛けが必要で、あとはその仕掛けがどれだけ正しく動くかに依存する。つまり例えば犯罪には使うが犯罪抑止には使えない、等といった線引きと、その線引きが正しくできていることの監査である。ここが信用できないと拒否すれば、その社会は社会主義国には永遠に追いつけないだろう。

第二は、どこからを協調領域にすべきかの判断である。今の自由主義社会が一方の極端にあり、社会主義国が他方の極端にあるのだろうというのは間違いないだろうが、その最適な位置はどう探れば良いのかということだ。上の例で言うと、発生した犯罪には適用できるとして、犯罪抑止が全面的にダメというのはどうなのだろう。例えば大規模テロを未然に防ぐためなら許されるのではないか。だが空振りもあるだろうし、その名目で不正をする輩も出てくるはずだ。また、あまり明示的でない線引きは、体制側に有利なようにじりじりと引っ張られるのが世の常である。

新社会民主主義構想では、これらの懸念に対する線引き自体を、AIのような技術に任せてしまおうと考えている。そしてその根拠は、大衆心理だ。つまり、明確なルールは設けない代わり、色々な事例に対して社会が肯定的な反応をするかどうかを基に、リアルタイムに仕切りを修正するのだ。

これなら常に社会が納得する線引きが得られるので、自由主義・民主主義を貫いていることの証左にもなるし、実際、大衆の多くは納得するだろう。

そしてこの仕掛けが導入されれば、いわゆる「技術的には可能だがXXがネックでダメ」の類のシステムが多く実現する。上の例も含めてあげるならば、以下のようなものが考えられる。

  1. 犯罪、事故事件、自然災害、火災などの自動検出と通報
  2. 犯罪以前の迷惑行為や事故事件自然災害火災などの予兆検出と通報
  3. 要注意人物のリアルタイム検出と自動追跡
  4. 犯罪予備行為の自動検出と通報(予備罪があるもの)
  5. 大規模災害時の避難誘導経路の最適化
  6. 物流・人流の最適化(平時)
  7. 非常時の物流・人流のう回路確保
  8. 規格の乱立の抑止による社会の効率化
  9. 電子商取引規格の統一、電子商取引の必須化
  10. 完全な電子政府の実現(紙書類の全廃)
  11. 自治体システムの統一
    1. 現在自治体が使っている情報システム(住民情報、納税、福祉など)は、ベンダが多数ありバラバラに開発されている
  12. 電子マネー・コード決済の規格の乱立の抑止、CBDCの強制
  13. マイナンバーに基づく個人匿名認証システム使用の強制
    1. あらゆるシステムへのログインにマイナンバー認証が使える、使わせる
  14. マイナンバーに基づくウォレットシステム使用の強制
    1. 会員カード、ポイントカードは全てマイナンバー認証に統一
    2. 電子チケットの類もマイナンバー認証に統一
  15. 電子契約の強制とマイナンバー認証の強制
  16. 公的書類はマイナンバー認証に紐づけて保管を強制させる
  17. スケジューラやカレンダーなど、主要なアプリケーションのAPIの統一
  18. テレビ会議システムやSNS、SMSなどのプロトコルの統一
  19. PCやスマホなどのローミング手段の統一

たとえば、電話とメールとテレビ会議システムを全て同じマイナンバーでログインして、アプリを気にせず相互に通話ができる。AndroidとiPhoneで同じアプリが使える。ヤマトと佐川で同じ伝票、同じ追跡システムが使える。コンビニでの支払手段がブランドによらず同じ。引っ越しても役所の手続き画面はほとんど違わない。コンサートのチケットも新幹線の乗車券も、同じスマホのウォレットで扱える。スマホを買い替えてもログインし直しだけで継続して使える。引っ越しワンストップで使える業者をいちいち調べる必要がない(全て使える)。ブランド毎に電子書籍管理アプリが違う必要がない。

これらが通ると、一つ一つでも十分に効率化ができるが、多数が相まって相乗効果を生み、数十倍数百倍といった恩恵が得られるだろう。

こういったものが今まで夢物語でしかなかった理由は、大本で考えてみれば新自由主義だったからである。競争領域と協調領域を分けることができる「新社会民主主義」なら、中国やロシアに十分対抗できるはずだ。

2025年2月6日木曜日

車椅子社会の実現

 以前、

https://spockshightech.blogspot.com/2020/12/vr_23.html

という投稿をしたことがある。メタバース空間を、全て車椅子前提で設計してしまおう、というものだ。こうすることによって、人は机に椅子、キーボードとマウス、という状態で、メタバース上で一日中過ごすことが可能である。その上で、メタバース上の広大な空間を行き来することが可能だ。

これをもっと進めると、実社会も全て車椅子で移動するようにできないだろうか。今の社会は歩きがデフォルトで車椅子が例外だが、これを逆転するのである。これについて少し考えてみる。

この場合の車椅子は、机とノートタイプPC、移動のためのジョイスティックを備えた、電動のインテリジェントタイプである。これでどこへでも行けなければならないので、当然ながら坂道は極力無くし、階段は廃止、トイレも広いものしか赦されない。電車や飛行機、自動車などの乗り物は設計のし直し必至、更には道路や家なども設計し直しになる。

というわけで、これはさすがに無理だ。だが、大規模なショッピングモールとそれに併設するマンション、といった形なら可能だろう。これは以前

https://spockshightech.blogspot.com/2024/10/blog-post_31.html

として紹介した街を、更に車椅子前提で設計するようなものになる。この場合、家や教室、事務室などのサイズは更に広くなるが、天井は若干低くて良い。それ以外に大きな変更は必要ない。

この世界で実現できることは、フレキシブルシティ構想で提案したような「完璧な人流・物流の自動化」「完璧なラストワンマイルの実現」と考えてもらって問題ない。これに加え、「車椅子前提メタバースとのシームレスな接続」もできるようになる。

例えば、普段は普通に学校に通うのだが、感染症が流行した際には、全く同じような教室メタバースに「登校」することで、支障なく授業を続けることができる。先生や友達の顔がアバターになってしまうが、視線や移動の仕方が全く同じなので、違和感を低減することができる。

また、観光旅行を計画していて、それが何らかの不具合で中止になってしまったとすると、旅行会社はVR体験で次善策を打つことができる。天候不順などのときでも同じような対処が可能である。

逆に、旅行や出張などの出先で、自宅や会社に用事ができてしまったとしたら、現地でXRグラスを装着してVR空間に入り、仮想的に自宅に戻ることもできる。現実を反映した空間にしておくことで、例えば忘れ物の位置まで把握できるだろうし、書類がどこにあるかも探せるだろう。

また、街に出ていて道に迷った時、一時的に仮想空間の同じ街の同じ位置にジャンプして、そこで検索を掛けたりAR表示をしてもらったりして場所を確認した後、現実空間に戻って移動する、といった芸当もできるようになるだろう。

だが、隠れた真のメリットとでも言うべきことがあって、それは「車椅子使用者の真に公平な扱い」である。現代社会は歩行がデフォルト、車椅子は例外の扱いだが、この社会では車椅子がデフォルトなので、既存の車椅子使用者は例外からデフォルトに変わる。トイレや移動の不便が無くなり公平になるので、逆に不慣れな新米を尻目に活躍できるだろう。

フレキシブルシティのような街を作って、そこに車椅子ネイティブな人を誘致する。その街は車椅子の人でも普通に生活でき、普通に仕事ができ、普通に勉強ができ、普通に医者に掛かることができる。車椅子生活をしている人は、日本の人口の1.6%ほどいるという。その多くは、普段の移動に苦労しているはずだ。そういう人が普通に活躍できるだけで、日本のGDPの1%くらいは追加で稼ぎ出してくれるのではないかと期待できる。投資対効果としては十分である。

2024年11月6日水曜日

自動物流構想

自動運転ロボットが荷物を運ぶ、というサービスは、実証実験では多く登場しているが、本格的なサービスを開始したところはない。その理由は、今の道路や家の構造があまりにも多種多様なため、ロボットが行ける場所は限られているからだ。

これでは自動物流はいつまでも普及しない。ここはで発想を変えて、規定の規格に厳密に従える家(や事務所など)に限ってサービスを提供する代わり、格段に安くなる、という仕掛けを考えてはどうかと思う。

もちろんラスト1マイル、ラスト数十メートルのバリエーションはできるだけ用意するが、ある程度切り捨てることもする。例えば専用の宅配ボックスを置くことは必須とする。その宅配ボックスには電子錠が必須、但しそのための電源供給はロボットから可能。また公共道路からそこに辿り着くまでの段差を制限する。座標取得を容易にする900MHz帯RFIDマーカーを内蔵する。運べる荷物は50Lサイズ、20kgまで、とする。そして実際にサービス可能かどうかは、サービスプロバイダが審査する。荷物自体も専用の段ボールにする。サイズ固定、QRコード付きだ。

この片側が、Amazonのような通販業者や、倉庫業であるとすると、ある程度大きな建物であれば一様に得である。中規模マンション(数十世帯)なら宅配荷物など毎日届くだろうし、工場であれば何十何百と届くから、その省力化の効果は絶大だ。

問題になるのは、業者毎にその規格が違っていると目も当てられないということだが、そこは物流業界でしっかり話し合って、共通規格を作ってもらいたい。EUには既にそれらしき規格があるようなので、それを流用すれば済む。日本でもさっさと進めてほしいものだ。

2024年10月31日木曜日

フレキシブルシティ構想

 


少子高齢化への対応として、行政コストを大きく減らすために有効なのがコンパクトシティである。街の範囲を限定してそこの行政サービスを充実させ、そこ以外の行政サービスを低下させるものだ。

インフラや警察消防など、行政が用意するインフラの保守コストは、サービス範囲に人が少ないほど割高になる。過疎化・少子高齢化で人口が減少し、更に生産年齢人口比率が落ちてくれば、納税による歳入も減るので、インフラの維持コストが深刻になってくる。これを防ぐのが目的である。

だが、知る限りでは成功したコンパクトシティはごく少数だ。コンパクトシティを作っても、そこに移り住んでくれる人が少ないからだ。

日本には居住地自由の原則があり、これは憲法で保証されていると解釈されている。このため強制的に移住させることはできない。また、日本では土地は所有できるが、国や自治体は原則として買い取ってくれない。だからコンパクトシティ化で価値が落ちた周辺の過疎地域に家を持つ人は、なかなかその家が売れない。また、過疎地の行政サービスを大きく低下させることは、日本流の「大きな政府」との相性が悪く、なかなか思い切ったことができない。

また、引っ越し自体が大仕事である。端的に言えば間取りが違うから、全てを持っていって納まるかどうかが分からないからだ。同じ平米であってもレイアウトが違えば家具が入らないとか、梁が邪魔だとか、細かい問題は出てくるものだ。一つ一つ全く違う間取りから間取りへ移動する必要、エレベーターがない、細い階段など特殊な家が多数ある実態、そういうものが自動化や単純化を阻み、値段を釣り上げる。

人がもっと気軽に引っ越しできるようでないと、コンパクトシティはうまくいかない。そしてコンパクトシティ内とて事情は同じで、その中でもフットワーク軽く引っ越しできないと、やはりコンパクトシティ内で同じことが起きてしまう。

例えば、小学校の近くに家を買ったと喜んでいても、子供は成長して何れは中学高校と進学していく。いつまでも小学校の近くに住んでいてもメリットはないのだが、家を買ってしまうとなかなか動けない。そして中学校の近くにしか空きがないところに小学生を持つ家族が入居したりする。このお互いは交差しながら通学するのだが、これは移動時間の無駄と言える。

もし簡単に引っ越しができる環境があるのなら、コンパクトシティはもっと効率化するし、過疎地からコンパクトシティへの誘導ももっと進むはずなのだ。そしてこれは個人の家に限らず企業のオフィス、更には行政サービス拠点などでも同じである。

そこで考えるのが、国や自治体が土地や建物を所有し、個人に所有権を認めない代わり、とんでもなく住みやすい「街」を作り出してしまうことだ。これをフレキシブルシティと命名してみる。

フレキシブルシティは、職住学地域、工場農場地域、娯楽施設、それらを結ぶ自動運転車通路、で構成される。その大きな特徴は、職住学地域における規格化された間取りと自動物流である。

職住学地域について説明すると、8x10mの部屋が大量にあり、それが廊下やデッキでつながっている建物が延々と連なっており、その前には200〜400mトラックを有する運動場がやはり連なっている。

8x10mということは80平米だが、これは夫婦+子供二人の住宅としてはやや大きめの贅沢構造だ。また学校の教室としてみると、殆どの学校は7x9mなので、十分に広い。事務所としても、20人程度までの事務所としては十分である。

つまり、人口構成や企業の状況などによって、それらの部屋をフレキシブルに割り当てて使う、というのがそのコンセプトだ。学校の教室、住居、サテライトオフィス、役所の出張所、小規模店舗、飲食店、医療施設、警察、クリーニング店などを、その人口構成に合わせてフレキシブルに適用する。これによって、職住学接近が為される。

同じ8x10mの部屋であれば引っ越しは容易なので、例えば5年に1回大規模なレイアウト見直しをして、それに合わせて一斉に引っ越しをするようなルーチンを作る。こうすることによって、都市は常に最適化された状態になる。

例えば、ある企業が急激に業績を伸ばして従業員を増やしたら、隣の部屋の人に移動してもらってそこに事務所を作る、といったことができる。採算が悪く撤退した企業や店舗があれば間を詰めてもらうこともできるだろう。

部屋は賃貸になるのだが、通常の借地借家法に基づく賃貸では、この引っ越し強制は不可能である。定期借家権でもダメだ。このため、「居住権はあるが場所は貸主(自治体)の指示に従う」という新しい借家権が必要である。

またこの部屋には教育用のプロジェクタが2台設置されている。前後の白板兼スクリーンに投影するもので、これは各家庭や事務所が好きに使って良い。これで大画面投影で遠隔事務所を繋ぐこともできるので、オフィスの大きさが制限されていたとしても、コミュニケーションを良好にすることはできるだろう。

大画面スクリーンと通信が最初から配備されている前提では、打ち合わせにしても教育にしても、遠隔で行うことは容易になる。例えば、複数の教室で教師一人が対応することも可能だし、特別講師を遠隔で招くこともできるだろう。これは家庭でも同じで、遠隔地に住む両親と常に繋いでおくようなことは可能だ。

工場農場勤務や、娯楽施設に行く時には、自動運転車を使う。自動運転車は建屋の3階から発着するので、徒歩の人を妨げることはなく、信号もなく、渋滞も関係ない。自動運転車も所有ではなく、自治体主導のシェアリングである。

家庭と事務室では作りが大きく異なる、という異論はあると思う。ここでは主にキッチン、風呂、トイレの問題となるのだが、これは各部屋に上下水道管及び換気管を2セットづつ事前に配管しておく。教室にはドアが二つあるが、この近辺に配置しておいて、風呂・トイレ・キッチンは移設可能にする。また共用部にもトイレは用意する。なお、キッチンは電気式に統一する。ガス管は配置しない。

この部屋の大きさは一人二人暮らしには広すぎるので、その場合は半分のところに仕切りを設置して二部屋として使用する。

娯楽施設はモール形式にして、店舗の栄枯盛衰もフレキシブルに対応する。但し普段の買い物は、職住学地域の小規模店舗で済ませる。開放感を得られたい場合や大きな店舗での買い物のみが対象である。テナント料の調整によって、大規模店が一方的に有利になることのないようにする。

これらを貫く自動運転車は、人用と物流用の二種類がある。このうち物流用は、各部屋への自動受取に対応していて、一定のサイズ制限の下、完全に自動で荷物を送ることができる。

受け箱はデフォルトでは一部屋毎に二つ(ドア毎に一つ)である。この受け箱に自動倉庫を連結することは可能で、店舗や事務所等ではこれを利用する。冷凍冷蔵は、自動運転車側では対応するが、受け箱では対応しないため、在宅時のみ受取可能である。

また、工場農場地域に物流センターがあり、各建屋の各階には小規模の自動倉庫がある。これらは一時ストックとして機能する。物流センターは、フレキシブルシティ内外の物流の中継地となる。

全世帯・全事務所・全工場・全教室で自動物流が可能という前提により、フレキシブルシティ内では様々なことが自動物流前提で動く。これは大きな特徴である。

まずは買い物。冷蔵・冷凍・常温と分けて箱に詰め、自宅指定で送れば、後は手ぶらで帰れる。ネットスーパーのように時間指定して家で待つ必要はなく、常温が先行して自宅に届き、家族が帰ってきたら冷蔵と冷凍が届く設定になっている。また、ショッピングモールに行って、先に買い物をしてから遊ぶこともできるなど、時間もフレキシブルに使うことができる。

また、自動倉庫はストックとしても機能するので、例えば季節の服などは自宅に置かず、自動倉庫に追い出してやることができる。これで部屋を広く使える。

また引っ越しもこれを活用できる。大型家具以外はまずこれに載せていったん物流倉庫に収め、大型家具のみ手配して、家具配置後また荷物を自動で取り寄せる、といった手順で引っ越しが完了する。この時、通函ではなく家具兼用の箱に入れておけば、箱を積み重ねるだけでよいので更に簡単である。冷蔵冷凍も大丈夫だから、引っ越し日程に合わせて冷蔵庫をカラにする必要もない。

また、頻繁な引っ越しに適した家具もリースないしは販売することが考えられる。キャスター付き、折りたたみ、分解簡単、規定サイズ内、あるいは自動運転車による牽引が可能な家具を作れば、荷造りせずに引っ越しが可能になる。

この物流の仕掛けはゴミ捨てにも応用できるため、ゴミ回収も24時間可能である。但し生ゴミは原則ディスポーザーで対応する。その他の燃えるゴミ燃えないゴミ資源ゴミは、専用の通函で送るようにする。専用通函は匂い漏れのない密閉容器であり、また返還される前に洗浄される。

工場農場でもこれはフル活用される。例えば、部品ストックや半完成品が同じ仕掛けで自動倉庫に取り込むことができるので、自動倉庫を工場の一部として使用できる。

フレキシブルシティを魅力的にする施策は以上の通りだが、これ以外に過疎地の人がフレキシブルシティに移り住む動機として、次のような施策が考えられる。即ち、過疎地の土地を手放してフレキシブルシティに居住する者は、その居住権を相続できるようになると共に、自治体(フレキシブルシティ)が手放す土地を買い取るようにする。自治体はその土地を整理して、工業や農業、あるいは自動倉庫に転用する。

2024年9月27日金曜日

災害復興ドローン部隊


 能登地震では、狭い陸路が多数寸断されたために、人や物資の流路が確保できず、多くの人が取り残されている。こういったところにいち早く物資を届けるための基本設備として考えられるのは、ドローン主体の部隊であろうと考える。ドローンなら、道路や鉄道がどうなっていようが先に進めるからである。この構想について検討してみる。

まず目的だが、本格的な国・自治体の復興作業が開始される前、事象発生から数日程度から道路復旧前、期間としては数週間程度の、被災者の生活物資(水食糧等)の確保とする。道路が復旧すればドローンによる搬送は不要であり、むしろ邪魔になるので撤収する。病人怪我人救出に関しては、資材の搬入は行うがそれ以上は関与しない。

基本的には自律で行動する。但し当然、警察消防自治体等の邪魔をしないため、それらとの情報連携は行い、要請についても受け付ける。

次にその概要である。2m四方程度の物流ドローン発着場と簡易倉庫のセットを、1~10㎞程度の間隔でネットワーク上に配置する。ここを拠点として、各ネットワーク間をピストン輸送するドローンを設置する。むろん拠点やドローン群は自前の通信網を構築するものとする。
また、安全で交通が遮断されていない陸地ないしは海洋上の船舶に本部を設置し、そこを物流搬入搬出の窓口とする。

このネットワークの構築には、ブートストラップが必要である。つまり、まずは偵察ドローンを送り、人がいる場所を見つけ出して、そこに資材を送り込んで拠点の構築を行う、ということを繰り返して構築していく。また当然、自前で発電が必要であるが、太陽電池では追いつかないため、発動機と燃料が必要である。

何を輸送するべきかを人間がいちいち把握していては大変なので、ある程度自動で行う必要がある。倉庫からの取り出しも含め、それを殆ど自動化する物流システムがこのシステムの鍵である。例えば長時間物流が途絶えていたところほど優先すべきだし、拠点の燃料不足があってはならないし、リクエストもある程度受け付けるべきである。

廃棄物の回収も行う。指定サイズの箱に入れておけば良いようにする。これらの実現のためには、物資の輸送状況や拠点の増減状況等をリアルタイム把握する必要がある。

機材一式をコンテナに詰めて保管しておき、また搬送する物資も規格化した箱に詰めておいて、全国に配置しておく。そして非常時には全国からそれを輸送して展開するようにすれば、それが地震だろうが火山噴火であろうが大規模人災であろうが、柔軟に対応できるだろう。

2024年9月16日月曜日

超音波リニアモーターカー


リニアモーターカーで使われているリニアモーターは電磁石によるもので、超音波によるものではない。ではそれを超音波リニアモーターに変えると、どんなことがおきるのだろう。

ここで考えるのは、電車タイプではなく自動車タイプ、つまり軌道ではなく道路を自由に進むタイプの車である。タイヤではなく「脚」を6〜8本程度備える。但しその脚は、タイヤの一部を切り取ったようにカーブが付いている。小石や坂道への対応用である。

この脚にはサスペンションが付いていて、先端の地面と接触する部分が超音波リニアモーターになっている。要するに偏心モーターが高速で回転していて、その回転数をコンピュータ制御するものだ。

このクルマは、端から見ると「立ったまま移動している」ように見える。偏心モーターの回転速度は目に見えるより遥かに速いので、脚が動いているようには見えないからだ。そしてモーターの振動数が超音波なので、人の耳には聞こえない。つまり静かだ。可動部が極小なので、恐らくエネルギー効率は良いだろう。制御さえできれば、その場で回ることも、横に進むこともできる。

そういった特徴から考えると、一人乗りのシティコミューターが適している。それも、自転車やセニアカーを代替し、更にはスクーターやスクートの領域にも進出できるものだ。車椅子代替にもなるだろう。

朝起きて、このクルマに載ったら、そのまま自宅を出て近所に買い物に行ったり、そのまま電車に乗ったりすることすらできる(車椅子代替として認められれば)。風呂は無理だろうが、トイレくらいはイケるだろう(衛生面は除くとして)。

タイヤが回らないので、従来のいかなるクルマよりも可用体積は広くなる。荷物を置いたり足を動かしたりする空間が広がるわけだ。これだけでも検討に値するように思える。

2020年4月19日日曜日

ロボット医者


新型コロナ盛りの今、呼吸器系の病気の診断は問題になっている。曰く、喉を見られない。インフルの検査ができない。では遠隔医療をできるかと言えば、これも難しい。それを解決しようというのが、ロボット医者だ。この仕組みを考えよう。

ロボットが乗った自動運転車を用意する。イメージとしては、ハイエース等のボックスカーになる。この中には、ロボットの洗浄殺菌スペースがある。車の自動洗車のイメージで、ブラシと水流で洗う。患者の唾液等が乾燥してこびりつく恐れがあるため、オゾンや紫外線だけではダメで、ブラシを使った洗浄は必要である。次亜塩素酸水のような安価な殺菌剤を噴霧して使えば、排水も少なくて済むし、環境にも優しい。

ロボットは患者宅に訪問し、診察する。もちろん実際の診察は遠隔から生身の医者が行う。喉も見るし、聴診器も当てる。もし持ち合わせの薬で対処できるならそれを渡して終わりである。もしさらに詳しい検査あるいは入院が必要等となれば、その車に乗っていけば良い。当然、診察一回ごとにロボットは洗浄し、患者が車に乗ればそれも洗浄する。

これなら、患者が慣れない機材を扱う必要はないから、診察は正確になる。テレビ電話以上の効果があること疑いないし、双方が感染リスクを抑えられる。

2020年2月27日木曜日

10%ヒューマノイド


自動運転車が全体の10%でも普及すれば交通渋滞が大きく解消される、というシミュレーションがあるそうだ。100%でなくて、あるいは80%でなくていいんだろうか、と思っていたのだが、実際にはそうでもないらしい。

なぜそんなことが起こるのかまではまだ検証されていないようだ。しかしここから類推するに、渋滞や事故事件というのは、全くの偶然に起こるものではなく、やはりその現場の空気感、温度、といったものによって急激に発生率が上昇するものなのではないか。そして10%の(法に律儀で一定の論理性を持った行動をする)自動運転車が紛れ込むことで、図らずもそういう状態を回避できているのではないだろうか。

もしこの仮説が正しいとすると、社会に10%のヒューマノイドが紛れ込んでいれば、世の中の事故事件は大いに減るのではないだろうか。

考えてみれば、集団の中に一人二人、人当たりの良い、まとめ役になりそうな人がいたりすれば、何かと話は進むものだ。人には個性があり、コミュニケーションが苦手な人も多いが、社会人としての実力がないわけではない。そういう人の苦手を支えることだけを仕事にするヒューマノイドがいれば、その軋轢を減らすことは可能なはずだ。

あるいは、極端な不幸や悪い生活環境から、ひねくれたり極端な思想を持ってしまうような状況が作り出されるのを防ぐことができるのではないか。それは例えば近所の人に目を配り、子供が怪我をしていないか、街に出てこず引きこもっている人がいないか、いるはずなのに人気のない家がないか、といったようなことが分かり、それを地域が共有できれば、何らかの行動は起こせるし警戒もできるだろう。

そしてこれは現実社会だけでなく、電子空間上にも言えることだ。SNSやフォーラムの中に適当な割合で紛れ込んでいて、トラブルが起きそうになると事前にそれを認知し、上手く誘導してくれるような存在だ。

これを思いついて書き出してみて改めて思うのは、この存在とはすなわち「おせっかいおばさん」なのだということだ。決して警察や自治会などではなく、民生委員でもなく、つまり役割として存在するのではなく、普段から生活する同じレベルの仲間であって、かつ他の人よりも周りのことが良く気づき、またおせっかいもしてくれる存在。近所づきあいが大事なんて言うけれども、結局こういう存在の存在こそが、かつての日本の治安を守っていたのではないか。

個人主義の台頭で廃れてしまったおせっかいおばさんの存在こそが、明日の日本の経済発展のカギなのかもしれない、とすら思う。

2019年12月24日火曜日

マンション専用共同自動倉庫


マンションには、トランクルームがあるところもある。あれは季節の大型のもの、例えばスキー板やスタッドレスタイヤを入れるのには便利だ。しかしあれは抽選になるだろうし、多くの隙間は空いている。ここで考えるのは、もう少し小さい荷物ではあるが簡単に出し入れできる、荷物の預かりサービスだ。

業務用の大型の自動倉庫ではなく、新たにマンション用に小型の自動倉庫を開発する。それは、定格サイズの通函を個数単位で借りるイメージになる。上蓋式の密閉できる衣装ケースがイメージとなる。大きさとしては、50リットルサイズが適当だろう。これは引っ越しに使う段ボールとだいたい同じである。これを、共同スペースに設置する。

倉庫自体は見えなくなっていて、出し入れ口のみが解放されている。パネルを操作するなどして指定し、取り出し手続きをしてしばらくすると、受け取り口に荷物が出てくる。預けるときはその逆である。

借りるにはクレジットカード登録等を必要とする。例えば函一つにつき一か月100円、等として、出し入れの手数料や基本料金はナシ。台車の貸し出しもアリとしてやり、これは盗難防止のためにデポジットにする。

この通函に合わせた棚を用意してやれば、部屋に持ち込んでからもその函をそのまま使える。季節のモノをやり取りするには、これは便利だろう。

自動倉庫であるので、スペース効率は高い。これなら部屋が多少狭くても補完できるし、荷物を積極的に通函サイズに納めようとするだろうから、モノの整理にもなる。フリマとのやり取りなどもしやすくなるはずだ。

この自動倉庫を外とも連動させることによって、例えば宅配荷物のやり取りにこれを使う、ということができる。宅配業者が自動倉庫に荷物を預け、そのことを通知すればよい。こうすれば、宅配ロッカーと同等以上の効果を得ることができる。他にも、デリバリーは無理だが、クリーニングくらいならこれでやり取りできそうだ。将来的にはロボット配送との連動も出来るようになるだろう。

既存のトランクルームがあるマンションなら、その二つ三つを潰して入れれば、数倍の効率で荷物を預けられるようになるだろう。新築なら郵便室の隣に設置すれば、宅配業者にも分かりやすい。中規模以上のマンションなら、検討しても損はないだろう。

2019年11月18日月曜日

ドローン配送を前提とした宅配ボックス


「汎用ロボット配送システム」では、電車内とホームに設置する配送システムを考えた。ここでは、宅配ボックスとその出し入れをするロボットについて考えてみる。

ドローン配送については、Amazonなどが実験を繰り返している。ヘリコプタータイプとロボットカータイプがあり、何れも最終配送、つまりラストワンマイルを目指しているように見える。しかし、汎用ロボット配送システムのアイデアと合わせて考えると、宅配拠点(例えばヤマト運輸の支店や郵便局)から宅配ボックスへの配送をまず考えた方が、簡単に思える。

ここで言う宅配ボックスは、あくまでもロボット配送に適したロッカーという意味で言っている。つまりある程度規格化されており、ロボットからのアクセスは容易で、人間は多少の不便を許容する。また、設置場所は多数で、例えば一拠点当たり何百、というものになる。ブロック毎に一つ、コンビニにもスーパーにも、ある程度のマンションなら郵便受けの隣に、大きな家なら玄関前に、というものだ。ロボットの配送はそこまで、そこから先は人が取りに行く。もちろんこれが全てではない。重いものや冷凍冷蔵品は、従来通り人が行ってよい。

荷物に一定の制限を課し、その前提で配送料を割り引く。宅配ボックスは認定済みのものを購入ないしはリースし、設置したら拠点に登録する。設置場所から道路への経路に関する制限は、緩くする。例えばSpotが自力で歩いていければ良しとする。

Spotにはジャッキとローラーコンベア付の荷台とアームを取り付け、アームでドアを開けてコンベアを寄せ、アームで押し込んで、ドアを閉める。荷物のサイズとしては50㎝立方以下、10㎏以下、と規定する。

一方で宅配ボックスも、このサイズの荷物が必ず納まること、ドアに指定の取っ手を付けること、横開き右蝶番、遠隔でロックオンオフが可能なこと、ドア前の一定のスペースが雨に濡れないこと、ロッカーが水平であること、等が必要となる。

Spotが空きロッカーを探し、通信でロックを解除し、荷物を入れ、再びロックする。これがお互いのネゴシエーションのみでできるようにする。Spotは自動運転車に荷物と共に乗って巡回する。もちろん帰ってきたら充電台に乗るわけだ。これでほぼ全ての作業がロボットで完結する。

自動運転車は、幅120㎝、長さ300㎝、高さ150㎝程度の4輪車を想定する。高さ方向に2段、長さ方向に4段、幅方向に2段、計16個までの荷物を積む。これにSpotの専用充電台が乗っている。基本的に車道を走る電気自動車とする。速度は一応40㎞/時くらいまでは出せるようにしておく。荷台は水平になるように、ジャッキが用意される。但し水平にするのは荷物の上げ下ろしの時だけとする。

ロボットへの荷物の搭載も、やはりロボットだけでできるようにしておく。あらかじめ指定の台に載せておけば、巡回して帰ってきたらまた積んで出かける、という算段だ。ここまですれば、宅配拠点の仕事は冷凍冷蔵品や重量物大型物だけになり、ずいぶん楽になるはずだ。

ユーザはあらかじめ宅配ボックスを指定して配達させ、到着したらメールやSNSで通知を受け取り、そこの情報でロックを解除し、持ち出すわけだ。これは今の宅配ボックスと同じである。

自動車では行けないところへの移動手段としてSpotを使用することで、宅配ボックスを駅やコンビニ等以外の歩いてしか行けないところにも設置できるようにした一方、手渡しに対する面倒は避けたというのがこの特徴だ。全てをロボットにしてラストワンマイルにするより、ほんのちょっと人間が我慢するだけで、よほど早い時代に便利が達成できる。

宅配ボックスが町中に広く散らばれば、エキナカに設置するときなどとは違って人は殆どいない。Spotが歩き回るにも支障は少ないだろう。同様に、ユーザが移動すべき距離も短くなる。多少重い荷物でも、自宅で受け取るために待機する負担を考えればこちらを選ぶ人は増えるだろう。これも狙いの一つである。

ただ、採算性は不明だ。Spotの方は恐らく人件費以上の働きをしてくれるだろうが、宅配ボックスの費用負担をどう考えるか。固定資産税や借り賃、電気代等がペイするのか。故障含め保守は大丈夫か。盗難リスクに対するコストをどう見積もるべきか。これらはじっくり考える必要はあるだろう。

尚、その問題とも絡むが、宅配ボックスに対する電子的機械的制約や規格を標準化すれば、宅配業界が共通に使える。今もエキナカに宅配ボックスが多数設置されているが、現状では宅配業者毎に異なっている。これはよくない。既存の宅配ボックスも含め、さっさと共通化すべきである。

2019年10月30日水曜日

汎用ロボット配送システム


最初の発端は、宅配物流に電車を使えないか、というものだった。知っての通り電車はエネルギー使用効率が高く、物流の一部でもこれに置き換えられれば地球温暖化対策になるからだ。しかし考えてみると、例えば山手線でドアが開いている時間は15秒しかない。人間がやるのも困難だし、ロボットアームを使ってちんたらやっていたのでは間に合わない。

また、以前も、1号缶システムなどを考えてみたけれども、汎用段ボールを使えないのは痛い。いわゆる50Lサイズの段ボールを、専用の機械を使って素早くやり取りする、というのが一番良さそうに感じた。

そこで考えてみたのが、次のようなシステムだ。

  • まず、荷物のやり取りをするロボットだ。電車が所定の位置に着いた際、搬入口を伸ばして、ベルトコンベアで荷物をやり取りする。時間が掛かってはいけないので、搬入と搬出各々の口が必要である。イメージとしては、縦1.2m、横0.7mほどの四角い筒状のものが、最大1mほど突き出て、上段と下段に分かれてベルトコンベアで荷物を送りあう。
  • 電車側は先頭車両の先頭ドアを荷物専用として確保、これに合う位置に駅ホーム側のロボットを設置する。搬入口は、駅ホーム側のロボットから伸ばすのが妥当と考える。
  • 駅側のロボットは、電車停止の誤差に合わせて、多少は移動できるようにしておく。高さが変わることはないので、こちらの調整は不要と考える。電車には車両構成が違う複数の停止位置があり、また車両のどちら側が開くかは駅によって異なるので、これへの対応は必要である。例えば特定車両のみで対応する、等だ。
  • 各々のロボットの背後には小型の自動倉庫があり、受け取った荷物は直ちに自動倉庫に収納する。またお互いに、相手に送る荷物は事前に準備しておく。このためのバッファを設けておく。
  • 駅にはもう二つ、仕掛けがある。一つは宅配ボックス。現在でも駅ロッカーに似た宅配ボックスはあるが、これと同等で良い。もう一つは、駅側のロボットとこの宅配ボックスを行き来する運搬ロボットだ。この運搬ロボットは複数のロボットアームを持ち、足回りも柔軟にしておく。駅ホームから宅配ボックスまでの経路を助けなしで移動できる程度は必要だ。これは宅配ボックスに預けた荷物を駅ロボットに送り、また駅ロボットで受け取った荷物を宅配ボックスに移す。あるいは、荷物が別の路線にまたがる場合は、各々の駅ロボット間の荷物を移動する。

こう作ると、駅で送り駅で受け取る荷物は、全自動化することができる。これを更に発展させて、こう考えてみる。

  • 駅の外まで搬出できれば、例えば大企業が専用の宅配ボックスを設置すると、宅配ボックスへの投入をもって完結するので、人手がほぼ不要になる。
  • 宅配ボックスを、駅だけでなく、ショッピングモール等繁華街に設置する。あるいは電車のないところでは、市役所や公民館などをベースとして設置することも考えられる。
  • 宅配業者向け宅配ボックスを設置する。すると荷物はここまで来るので、その先の宅配が簡単になる。
  • 小型化が図れるなら、個人の家や集合住宅向けの宅配ボックスを作ることもできるだろう。
  • このロボットを、トラックにも載せられるようにする。軽トラから4トン車まで、また拠点の受け取りロボットも、トラックの荷台に合わせて高さを調整する機構を付ける。背後の自動倉庫は幾らでも大きくできるようにすれば、拠点の規模によらず全部を自動にできる。
  • 荷物が発送された後に気が変わって駅で受け取りたい、たまたま不在だったので再配達ではなく駅で受け取りたい、となった時、指定すればロボットが自動で荷物を宅配ボックスに入れてくれる。

これらが従来の宅配ロボットと違うのは、受け取る側がある程度のシステムを必要としていることだろう。従来の宅配ロボットと言うと、歩道をのろのろ歩いて玄関まで来たらスマホにアラームを飛ばして、スマホでロックを外して自分で取る、というものだった。確かにそこまでできれば便利だが、それが一番効率的かというとそうでもないだろう。むしろ自宅までは届けてほしくないという人が増えているのが現状であり、駅受けの方が利便性が高いように思う。更に、こちらの方が早く受け取れる可能性も出る。

例えば山手線と中央線、総武線横須賀線くらいで宅配業者向け(BtoB)で始めて、徐々に拡大していくようなことができないだろうか、と考えている。いかがだろうか。

2019年9月11日水曜日

自動車は消耗品になる


十年二十年と乗り続け、しまいにはボロボロになってもだましだまし乗るような車の形態は、自動運転の普及とともに消滅の危機にある。もちろんゼロにはならないけれども、自動車の新陳代謝は激しくなる、つまり古い車が残りにくくなるかもしれない。

その心は、自動車の使用効率にある。商業車はその程度が低いものの、一般的に自動車は駐車場で停まっている時間の方が遥かに長い。自動運転が一般的になると、カーシェアリング・リース・レンタルの割合が増え、また実際に効率も向上するため、自動車当たりの稼働時間が上がる。つまり、早く消耗するのだ。

大量の営業車を抱えるような一般企業であっても、各支店に常に余らせておくような配車にはならないはずだ。需要を予測して数台を配備し、使われたら更に均衡を図るように再配車する、というような運用にすれば、今までより台数を少なく抑えられる。

更に、ワンボックスカーくらいであれば荷物輸送にも使えるから、昼間は個人向けや企業向けとして、深夜になったら荷物輸送に使う、ということができるようになる。昼間に多く使う営業車なら、むしろそれで積極的に稼ごうとするかもしれない。こうなると、現状の数倍の稼働時間となる。例えばそれを3倍とすると、消耗も3倍のスピードで訪れることになる。

また、使用者の意思に関わらず、定期的なメンテナンスはしやすくなる。例えば何時間走ったらオイル交換、と定めておけば、自動で勝手に工場に行ってオイル交換するわけだ。これは車の品質を一定にする効果があると同時に、故障をごまかして走ることも困難になる。適切な寿命ではあるが相対的には平均的に早くなる、という現象が起こるはずだ。

五年十年で入れ替わるとは思わないけれども、ボロボロの車が町中を走るような光景にはお目にかからなくなる時代が、今後来るのかもしれない。

2019年7月4日木曜日

究極のスマートシティ


スーパーシティだのスマートシティだのという話題が盛んだ。色々と提案されているのは知っているのだが、これらを究極のところに持っていくと、人は殆ど動かないようになるのではないか、と思えてきた。じゃあ何が動くの、というと、相手の方、ないしはロボットである。

人が出かける理由は幾つかあるが、その最たるものは仕事や勉学(学校)だろう。まずこれが、テレワークやテレビ会議、遠隔教育などで減る。次に娯楽だろうが、映画がVRになったり、旅行がテレイグジスタンスになったりすることで減る。食事もケータリングが発達する。買い物の類はネットスーパーや通販で済ませる。医療にも遠隔医療がある。薬は通販と同じ仕組みで届けられるだろう。唯一残るのが医療処置だが、これは今のところ構想が見当たらないが、ロボットが自宅まで来て遠隔でしてくれるようなことが検討されるだろう。

これらが発達すると、多分道路は空くはずだ。人が移動するよりもモノが移動した方が、道路の占有面積は小さいし、そもそもモノも人も移動しない一石二鳥の施策が多くを占めるだろうからだ。

その代わりに、頻繁にロボットが家に出入りすることになるだろう。単なる荷物の運搬だけでなく、自宅の中にまで招き入れて、そのロボットにしかできない固有のことを行うためだ。先ほど言った遠隔処置ロボットはその一つである。

処置ロボットは、必要な機材と医薬品等を持って自宅に訪問する。行うのは注射や血圧測定など、器具や医薬品を扱う業務だ。ロボットの発達により、徐々に複雑なことができるようになっていくだろう。例えば傷口を縫う程度のことなら、これでできるようになる。部屋全体を消毒しなければならない手術は不可能だろうが、それとて自動運転車で迎えに来てくれて、近所に手術車が待ち構えている、というようなことすら考えられる。

他にも、美容師・理容師ロボットとかネイリングロボットとか、そこにいかなければできないことだったものがどんどんロボットになっていくというのは考えられることだ。初期にはダビンチ(医療ロボット)の如く人が遠隔操作で、そのうちAI搭載の独立型になり、世はロボットで溢れ、人は屋内に閉じこもることになる。

それでも人が外に出ることは無くならない。例えば海水浴は自宅には持ち込めないだろうし、ある程度有名な店となればできたてを食べたいからケータリングにはしないだろう。高い買い物をするには実物に触れたいだろうし、映画にしても、VR空間ではなく、たまには映画館で見たいと思うはずだ。デートも直接会うから楽しいのだし、お互いの自宅に行き来してVRゴーグルをかぶって、というのもちょっと違う気がする。しかしトータルではやはり、人の行き来は大幅に減ると考える。

さて、こうなると、高価なハコモノとか幅広道路などは意味を失う。世界中どこにいても(ほとんど)同じ、となれば、都市集中のメリットもなくなる。つまり、スマートシティはスマート(仮想)シティであり、実態はタダの田舎、となるのが、本当の究極かもしれない。

2019年5月23日木曜日

超音波クラクション


クラクションの音って、なんであんなに均質的なんだろうか。もっと色々あっても良いのではないか。と思って調べてみると、クラクションはあくまで警告のためのものなので、それを外れて音を出してはいけないんだそうだ。音色が変化するのはダメ、つまり暴走族のパラララパラララとかいうのは違法らしい。

それでも諦めきれずに考えた。じゃあ超音波ならどうだ。聞こえないから警告にならない。。でも機械には聞こえる。これで何かできるのではないか。

一番簡単に思い付くのは、やはり近接警告だ。近づくほど音は大きくなり、速いほどドップラーコ効果で音は高くなる。見通しが悪くても音は聞こえるから、自動運転車同士なら相手にいち早く気付けるはずだ。

ただこれだと、車が複数あると混乱する。そこで、ここにCSMA/CDを導入する。

車には、ナンバープレートに準じたIDを割り振っておく。これをランダムな間隔でパルス状に発信する。車が多数いると混信するので、その音をモニタしておいて、混信していたらお互いがIDを聞けるようにパルス間隔を調節する。

近接検知は、うまくいけばスマホでもできるだろうから、歩行者でも接近警報が出せる。逆に、子供に発信機を持たせておけば、車の方から避けてくれるだろう。このアイデア、なかなか良さげではないか。

2019年5月14日火曜日

ロボット宅配が本格化したら


補導をゆっくり進むロボット宅配の実験が、あちこちで行われている。これが本格化することで社会がどう変わるのか考えてみる。

ここで、ユーザー体験として何が大きく変わるかと言えば、主なポイントは三つある。
  1. 配送コストが下がるため、送料の低額化や無料化がやりやすくなる。
  2. 相手がロボットであるため、深夜や女性の一人暮らしでも安心して受け取れる。
  3. 深夜でも雨でも気兼ねなく頼める。
  4. 配送時間が正確になり、また受け取り場所もフレキシブルになる。
例えば、今のネットスーパーは、6千円程度買わないと送料無料にならないが、これが2千円程度、あるいは無条件で無料になるかもしれない。Amazonで買う場合、さすがに200円だと気が引けるとしても、パントリーの料金がゼロになれば、全てそれでしてしまおう、と考える人は多いだろう。

また、このロボットを持つ動機は、Amazonが自らというよりは、地元宅配業者やネットスーパーの方が強いはずだ。更には地域でロボットを持ち、それを使いまわす方が安上がりである。このためには、例えばスーパーや宅配業者が地域の小規模拠点を持ち、ロボットの数はそこでマネージメントして、自ら使う他、宅配業者、ネットスーパー、クリーニング屋、小規模レストラン、ファーストフード、Amazonなどが都度レンタル・リースしてやればよい。

発想場所も、「このスマホのある位置」などとできるし、ドアオープンの鍵もそのスマホにすればよいからセキュリティも問題ない。こうなれば、外に出歩く理由は大きく減っていく。

これで、例えば路地裏など分かりづらい所にある店がデリバリー前提で相対的に有利になったり、交通量が減って道路や電車が空いてきたり、という効果は出てくるだろう。一方で、新しい商品への偶発的な出会いやついで買いは減る。こういった商品はネットへ更に依存することになるだろう。

全体としては、経済・消費活動は合理的になるはずだ。これは良いことだと思う。

2019年5月2日木曜日

人型ロボット大工


別項の「半3Dプリンタ住宅」において、住宅を3Dプリンタと規格化された材料のみで作る方法を提案した。これには当然3Dプリンタが必要だが、必ずしも従来の形をしている必要はないのではないか、と考え始めた。

その時に想定していたのは、クレーンやプロッターのようなものだった。つまり、家の最大の大きさ高さを上回る外形の支柱を立て、その間にノズルを自由に動き回らせられるものだ。しかし、建物程度の大きさになると、この設置だけでも大事である。

位置決めさえできれば、独立して動き回れるロボット形態の方が自由度が高くなるのではないか。もちろんその分作業は複雑になり、建築時間は長くなるのだが、速くしたければ数を増やすこともできるし、技術者も少なくて済むし、作業危険度も低くなる。

そこで考えるのは、こんな形態だ。ロボットは二台で一組。一台目は人型(である必要はないのだが敢えてそうしよう)で、手は三本以上あっても良いが大きさも人と同程度とする。背中には材料(壁ブロック、コンクリート、樹脂タンク、樹脂棒)を背負い、二つの3Dプリンタ吐出ノズルとブロック固定用の手を持つ。

もう一台は大型犬サイズの四足ロボットで、一台目のロボットと材料置き場ないしはトラックの間を往復しながら、一台目のロボットに材料を補充する。大工と助手のような関係になる。

この大工ロボットは、高さが足りなくなれば脚立を使うなど、人の道具の多くを流用できる。また、材料はどれも小さく、例えば軽ワゴンでも十分に運搬できる。自動運転車を併用すれば、一台目でまずロボットと当面の材料を運び、作り始めている間に材料を取りに戻る、といった連携もできるだろう。

このくらい小回りが利くようになれば、例えば震災時の仮設住宅や海外支援でも、航空貨物で送れる。この際、コンクリートは世界中で手に入るから現地調達とし、ロボットとそれ以外の材料のみ送ることも可能だ。

これは、「製法の単純化とロボットの技術レベルをつき合わせて単純化した例」と言う事もできる。だが、ここまでくると、ロボットだけで家を作ることは可能なんじゃないか、と思えてくる。最初は仮設住宅でも、ここから応用を広げていき、全部ロボットで普通の住宅を作れる日も遠くないかもしれない。

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