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2026年4月23日木曜日

ポジティブ無敵の人

 
何もかも失ってしまいもう失うものがない人、という文脈で使われる「無敵の人」という表現だが、別の意味で無敵な人というのを考えてみた。それは、社会からのあらゆるしがらみからいつでも脱却できるために誰にも媚びる必要のない人、というものだ。これを「ポジティブ無敵の人」と命名してみた。

この人たちには、大きく四種類いると考えられる。第一は、いわゆる世捨て人、あるいは高度な悟りを得た宗教家である。第二は田舎で自給自足の生活をしている人だ。第一、第二の人の多くは貧乏で、例えば高齢になって動けなくなるともう死ぬしかないという意味ではあまりポジティブとは言えない。

第三はいわゆるFIREを達成した人で、自己資金を十分に持ち、それを運用して、いわゆる不労所得だけで生活できる人だ。こちらは必要な自己資金が多すぎてあまり現実的ではない。そして第四が、ここで語ろうとしている種類の人だ。

それは、ハイテクやIT知識を駆使して自給自足をする人である。この種類の人は恐らく今はいないと思われるが、将来的な技術進歩によって出現する可能性がある。

それは、自前の植物工場で食料の多くを高効率生産し、太陽光発電でエネルギーを賄い、AIプログラミングなどによる収入で現金を必要とする支払いに対応する、というような人々だ。

植物工場については以前も言及したが、例えば3LDKの部屋の一つを潰せば、家族3、4人を何とか食べさせていくだけの量は生産可能である。だがまあそこまで気張らなくても、家賃はどうせ払わなければならないのだから、現金収入を一部割り当てれば良い。

AIによるプログラミングはどんどん精度が上がっており、プログラミングの敷居は低くなりつつある。敷居が下がれば、単価は下がるが需要は増えるというのは世の常である。今までは望むべくもなかったような詰まらない用途や、個人で異なるきめ細かな用途にもプログラミングが適用され、それに対応するプログラミング需要が増えていく。

そういう中で、安価にプログラミングを受注し短納期で納品するような「ご近所さんプログラマ」が多数出没し、日銭を稼ぐという未来は考えられる。

これはプログラミングに限らず、電子コンテンツであれば何でもよい。VR内の服や小物を作ってほしい、という需要は既に存在しており、結構稼いでいる人もいる。そういうものを丹念に拾っていけば結構な収入になるし、需要を拾うのもAIに任せられる。

こういう人は、昔の農家と同じく、自給自足ができているので、社会の誰にも媚を売る必要がない。その意味で無敵の人と言えるのだ。だが第一や第二のタイプと異なり、生活には余裕がある。稼ごうと思って頑張れば多く稼げるし、のんびりやろうと思えばそうもできる。その意味でもまた無敵と言える。

第四のポジティブ無敵な人は、第三の人と同じく、都心でも生活可能である。不便を我慢しなくても良いという点、第一や第二のタイプと異なる余裕を持っている人たちだ。

さて、そんな人になりたいかというと、個人的には正直あまり魅力を感じない。第三の生き方には少し魅力を感じるが、もしFIRE可能になったとしても仕事は続けるだろうと思う。というわけで当分、私は無敵の人にはなれそうにない。

2026年4月2日木曜日

サバイバル食料生産法:ジャガイモの超効率栽培


 ウキクサについて前回説明をしたが、さすがに食べるのに抵抗のあると思う。これは完全にサバイバルを前提とした計算だったが、もし「日常の足しになる+非常時にも何とか持続生産」という仮定であれば、少しは魅力的な生産が可能だ。今回はジャガイモについて計算してみた結果を披露する。

基本的な特徴

説明するのは、家庭用本棚サイズで構築する 噴霧耕(エアロポニック)小型ジャガイモ連続生産システム である。このシステムの特徴は以下のとおりである。

  • 芋の生育スピードは初期が速く、肥大するにつれて遅くなる。この性質を利用し、種芋として成立するサイズ程度まで育ったら速やかに収穫し、一部は種芋として残し、残りを食用にする。これによって収量を稼ぐと同時に、本来なら買ってこなければならない種芋を自給できる。
  • 種芋の育成によく使われる、「噴霧耕」という手法を使用する。これにより水耕や土耕より遥かに軽量のシステムが構築でき、家庭用として(床を強化せずに)運用することができる。
  • 本棚程度のスペース(1800H × 450D × 900W)で、年間約4kg/年程度を収穫できる。
  • 生産コストは、市販のジャガイモ0.6円/gに対して2.2円となる。

システム概要

先ほども言った通り、育成棚として 1800H × 450D × 900W 程度のスチールラックを想定する。ここに高さ400mm、幅450mm、奥行き450mmの育成ボックスを1段当たり2つ、4段、計8ユニット設置する。そして、この育成ボックス1つにつき2株の種芋を育成する。

育成ボックスは、最下層が噴霧耕エリア、その上に種芋固定層、その上を光合成層(地上層)として構成する。噴霧耕エリアは完全遮光である。地上層の上にはテープ状LEDを配し、光合成を促す。噴霧耕エリアでは定期的に養液を噴霧し、根に栄養を与える。

噴霧耕エリアに芋が育つのだが、ここでは土も水も必要ない。種芋を育成する「ミニチューバー」と呼ばれる育成法と基本的には全く同じである。

栽培サイクルと生産量

栽培に35日、リセットに5日、計40日を1サイクルとする。これにより年間サイクル数は9回となる。通常のジャガイモでは90日を想定するので、約3割の期間となる。

このサイクルで、1株当たり7.5個x10gの芋が育成できる。1棚当たり15個、1ラック当たり60個 600gが1サイクルで収穫できる。年間では540個・5.4kgの収穫が可能となる。

このうち種芋として16個を残すとすると、食用に回せるのは44個・440gとなる。年間では約3960gである。年間のジャガイモ消費量は、家族4人の場合で30kg程度であるので、その13%程度が賄える計算になる。

だいたい1サイクル30日で、家族4人がカレーを食べる時に使える量、というのが大まかなイメージになる。

年間コスト

まず、養液やフィルタなどの費用を、年間3000円と仮定する。次に電気代だが、1日あたりの消費電力量を約2.5kWhと想定し、電気料金単価を約25円/kWh(一般家庭の平均単価)と仮定すると、年間の消費電力量は912.5kWh、電気代は22,812円と算出できる。

ただ、このシステムは日中に運用する必要はないので深夜電力で行う。すると電気代は半額になる。更にLEDと作物の距離を縮めたり、育成の過程で光量の強弱を調整するなどして更に半分とし、75%を節約する前提で計算すると、年間ランニングコストは8703円にまで圧縮できる。

この前提でグラム単価を計算すると、2.2円/gとなる。市販のジャガイモは0.6円/gなのでまだ3.7倍の開きがあるが、この程度なら趣味としては許容できるだろう。もちろん非常用としての価値はそれ以上に重要である。

その他もろもろ

種芋の味や栄養価は、市販されているそれと比べても同等かそれ以上なのだそうだ。特に注意すべきことはなく、普通に食べられる。皮は柔らかいのでそのまま食べられ、皮付近の栄養価の高い部分も味わえるので、むしろ好ましいと考えられる。

非常時には、太陽電池での運用が考えられる。2.5kWhを賄うためには、パネル容量としては600~700Wが必要である。一軒家の屋根に搭載されている3~4kWのものであれば、余剰電力で十分に運用が可能である。

2026年4月1日水曜日

サバイバル食料生産法:ウキクサの人工栽培

 

震災などで交通が途絶しインフラが破壊された時でも生き延びるため、一軒家程度の空間で食料を再生産する方法について考えてみた。その結果、難民などへの技術輸出も可能な方法が提案可能となったので、その内容を公開する。なお、結論としては、ウキクサを植物工場にて生産する、というものになる。

1. 基本的な考え方

震災の際、最初に考えられるのは当然備蓄であるが、これはいずれなくなるものである。つまり、耐用期間を延ばすには、その期間に比例して大量のスペースと多大な費用が掛かる。目安として数週間は備蓄で凌ぐとして、それ以上になった場合には食料再生産が必要となる。

食料として必要なのは五大栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル)であり、特に炭水化物・たんぱく質が重要である。ビタミンミネラルは微量栄養素であり、サプリメントのように保存性の良いものがあるため、備蓄に与える負荷は少ない。脂質はモノを選べば保存性が良い(サラダ油の缶など)他、安価かつ少量で高カロリーなため、やはり備蓄スペースや費用を圧迫しない。

この前提で食料を再生産するなら、最も有望なのは植物工場である。鶏を飼う、魚を飼うといったことも考えられるが、非常時に備えるには普段の保守が大変である。

炭水化物・たんぱく質を有する植物としては、穀類、豆類、芋類が挙げられる。しかしこれらは植物工場では生産されていない。その理由は「光エネルギーの変換効率の悪さ」「栽培期間の長さ」である。試算によると、露地栽培に比べてコストが数十倍〜80倍に跳ね上がる。穀類豆類については「可食部の少なさ」(廃棄物の多さ、体積効率の低さ)、「受粉の手間」もネックとなる。

これに対し、素人でも簡単に扱え、炭水化物・たんぱく質への変換効率が高い植物として、以下のような候補を考えた。

  1. 微細藻類(スピルリナ等)
  2. ウキクサ(ミジンコウキクサ)
  3. キノコ・菌糸体
  4. 宇宙用超矮性小麦 背が低く体積効率の高い穀物。最近ではコメでも似たようなものがある。

この優劣を比較したものが、以下の表である。


食材 主な役割 炭水化物 タンパク質 留意すべき制限事項
微細藻類 超高密度サプリ・タンパク源 △ 不足 ◎ 最優秀 核酸過剰による痛風リスク(大量摂取不可)
ウキクサ ベースフード(主菜) ○ 優秀 ○ 優秀 シュウ酸の蓄積管理
菌糸体 繊維質・微量栄養素 × 消化できない △ 補完的 エネルギー源にはならない
宇宙用小麦 メインエネルギー(主食) ◎ 最優秀 △ アミノ酸欠乏 加工コスト、必須アミノ酸の不足


これらの比較より、単体で育成する場合にはウキクサが最適と判断する。

2. 詳細検討

一軒家程度の限られたスペースを活用して、個人(家族)レベルでウキクサを持続的に育成・収穫するための具体的なシステムと運用方法を以下に考察する。

2.1. ウキクサの種類

ウキクサにはいくつか種類が存在するが、食料再生産の目的においては、ミジンコウキクサが適している。その理由は以下の通りである。

  • 完全な可食部: アオウキクサなど他のウキクサに見られる「根」が完全に退化しており、植物体全体(100%)をそのまま食すことができる。
  • シュウ酸の少なさ: 一般的なウキクサ類と比較して、元々体内に蓄積するシュウ酸の量が少ない傾向にある。
  • 驚異的な増殖速度: 条件が揃えば2〜3日でバイオマスが2倍になるため、毎日の連続収穫に最適である。

2.2. 育成設備の構築

ミジンコウキクサは根が退化しており、体表から直接養分を吸収する。そのため、不織布などの培地すら不要であり、「ごく浅い水流をプラスチックバットの底に流し続ける」というNFT(Nutrient Film Technique)方式を採用可能である。これにより、雑菌やアオコの温床となる有機培地を排除し、システムの衛生状態を高く保つことができる。また万一それらが増殖しても、洗浄は簡単である。

  • 傾斜トレイの配置: 深さ2〜3cm程度の平らなバットを、水が流れるようにわずかに傾斜(1〜2度程度)をつけてラックに配置する。
  • ラックの超・多段化: バットをジグザグに水が流れ落ちるように配置し、ラックの段のピッチ(隙間)をLEDの厚みを含めて10cm程度まで限界まで詰める。これにより、高さ180cmのラックで18段という超高密度配置が可能となる。
  • 光源(弱光適応の活用): ウキクサは光飽和点が非常に低い「半陰生植物」の特性を持つため、強い光は不要、むしろ光阻害(白化)の原因となる。各段の天井部には実消費電力15W/㎡程度の極めて微弱なLEDテープライト(木漏れ日程度の明るさ)を設置し、1日12〜16時間の照射を行う。これにより照明コストと発熱を極限まで抑えることができる。
  • 液肥の循環システム: 最下段に小型の液肥タンク(数十リットル)を置き、小型の水中ポンプ(消費電力5〜10W程度)で最上段のバットへ液肥を汲み上げる。液肥は各段のバットを数ミリの薄い膜となって流れ落ち、再びタンクへ戻る。常に水が流れることで自然と酸素が巻き込まれるため、水が腐敗せず、エアポンプは不要となる。
  • 液肥の選定: アンモニア態窒素の割合が高い水耕栽培用液肥を使用し、シュウ酸の合成を抑える。
  • 収穫方法: バットの底を薄く流れる水面を覆い尽くしたウキクサを、シリコン製のヘラやスクレーパーを使って「ツルツルの底面から一気にこそぎ落とす」だけで完了する。不織布がないため、非常に衛生的かつ簡単である。
  • 持続的ループ: 収穫時は全てを削り取らず、常に3分の1程度のウキクサを残しておく。数日で再びバットを覆い尽くすため、毎日一定量の収穫ループが完成する。

2.3. ウキクサ食用時における問題点と解決法

シュウ酸の蓄積リスクとその除去法

ウキクサはシュウ酸が比較的多く、これをそのまま大量に食すると痛風・結石の原因となる。これを防ぐためには、「茹でこぼし」が最適である。シュウ酸は水溶性なので、茹でることでその量を30~50%減らすことができる。

但し、これによって水溶性ビタミンも流出してしまう。このため、ビタミン剤との併用は推奨される。

長期摂取時の栄養偏りと解決策

ウキクサは植物でありながらビタミンB12を含むなど「完全食」に近い性質を持つ。しかし、長期間(数ヶ月〜年単位)ウキクサのみを主食として食べ続けた場合、以下の栄養素が不足または偏るリスクがある。

  1. 脂質(必須脂肪酸)の不足: ウキクサは脂質含有量が少なく、カロリー源としては炭水化物とタンパク質に偏る。脂質不足は細胞膜の劣化やホルモンバランスの崩れを引き起こす。
  2. 一部のアミノ酸の偏り: 非常に良質なタンパク質ではあるが、単一の植物だけを食べ続けると、特定のアミノ酸(メチオニンなどの含硫アミノ酸)が相対的に不足する可能性がある。
  3. 微量ミネラルの欠乏: 育成に用いる液肥の成分に完全に依存するため、液肥に含まれていない微量ミネラル(ヨウ素、セレンなど)が長期的に欠乏する恐れがある。

【解決策】

  • 備蓄油の計画的消費: 脂質不足を補うため、備蓄してある食用油(オリーブオイル、ごま油など)を意図的に摂取・添加する。油は省スペースでカロリー密度が最も高い備蓄品であり、後述するサバイバル計画の要となる。
  • アミノ酸の補完(食べ合わせ): もし米や少量の乾物(豆類など)の備蓄が残っていれば、ウキクサ単体で食べるのではなく、組み合わせて食べることでアミノ酸スコアが改善される。
  • サプリメントの併用: 備蓄スペースをほとんど圧迫しない「マルチビタミン・ミネラル」のサプリメントを定期的に摂取し、微量栄養素の穴を確実に埋める。
  • スプラウトの並行栽培: ウキクサのシステムとは別に、ペットボトル等でごく小規模に「もやし」や「スプラウト(かいわれ大根等)」を栽培する。種子の備蓄は極めて省スペースであり、数日で新鮮なファイトケミカルや酵素の補給源となる。

3. 家族4人・1ヶ月間の運用シミュレーション(実践的サバイバルモデル)

平時のカロリーを全てウキクサで賄おうとすると、設備規模や一食当たりの摂取量が過大となることが試算の段階で明らかになった。このため、より現実的な設定として「総カロリーの制限」と「備蓄油によるカロリーの一部置換」を行い、これを前提とした必要資源量を計算した。

以下では、期間1ヶ月(30日)、家族4人(大人2人、こども2人)を想定している。

【サバイバル試算の前提条件】

  • 1日あたりの必要総カロリー:6,000 kcal(活動低下を考慮し、家族4人で1人あたり1,500 kcalの基礎代謝レベルとする)
  • 備蓄油によるカロリー補完:2,000 kcal/日(総カロリーの約30%を油(サラダ油など)で賄う。1日約220g、月間約6.6kgの油を消費)
  • ウキクサで賄うべきカロリー:4,000 kcal/日(油の補完により、必要な収穫量は総量の三分の二になる)
  • ウキクサ(乾燥)のカロリー:約350 kcal / 100g
  • 生ウキクサの水分含有率:90%
  • 1日の目標収穫量:乾燥重量 約1.14 kg (生重量換算で 約11.4 kg/日)
  • 増殖効率:1平米あたり1日0.5kg(生)を収穫可能と仮定。

ウキクサ育成トレイの面積と設備規模

  • 必要面積: 11.4 kg ÷ 0.5 kg/㎡ = 約22.8 ㎡
  • 設備換算: 幅1.2m×奥行0.45mのスチールラック(1段あたり栽培面積0.54㎡)を、ピッチ10cmで18段重ねにした場合、1ラックあたりの栽培面積は9.72㎡となる。

【結果】 22.8㎡を確保するために必要なスチールラックは「2.5台(実質3台)」であり、部屋の隅や廊下の一角に設置可能なサイズとなる。

必要な水(育成用)の量

  • 初期水量: 各段のバットを流れる数ミリの水膜と、最下段の循環用タンク(約30L)を合わせても、システム全体で必要な水量は約50〜60リットルに収まる。水耕栽培でしばしば問題となる重量は軽減され、床の補強は不要である。
  • 月間消費水量(補充用): 植物の蒸散と収穫水分(1日約10.2L)に加え、水面からの蒸発分があるが、ウキクサが水面を覆うことで蒸発は抑えられる。1日約15〜20リットル程度の消費となる。
  • 1ヶ月の必要水量: 20L × 30日 = 約600 リットル。この量なら、水道が止まっていたとしても、毎日川に水を汲みに行って浄水して補充することは可能だろし、雨水の利用にも道が開ける。

液肥の量

  • 1ヶ月の必要量: 補充する水(600L)に対して500倍希釈液肥を使用。月間消費量は 1.2 リットル (A/B液各600ml)であり、ペットボトル1〜2本で足りる。

電力と太陽光パネルの出力(ウキクサの弱光適応の威力)

ウキクサは光飽和点が低い半陰生植物であるため、強光は不要(むしろ有害)である。そこでLEDの実消費電力を1平米あたり15Wに設定する。

  • 照明およびポンプ電力
    • LED(22.8㎡ × 実消費電力15W = 0.34 kW)
    • 循環用小型水中ポンプ(約10W × 3台 = 0.03 kW)
    • 合計瞬間消費電力:約0.37 kW
  • 1日の消費電力量
    • 0.37 kW × 14時間 = 約5.2 kWh / 日(月間約156 kWh)
  • 必要な太陽光パネルの出力
    • 日本の平均日照時間(1日3.5時間)で発電するには、約1.5 kWのパネル出力で足りる。これは屋根の工事すら不要で、庭先やベランダに自立型のソーラーパネルを数枚並べるだけで到達可能な規模である。

茹でるためのエネルギー(電力・燃料)とゆで汁の量

毎日の生重量11.4kgのシュウ酸を抜くため、同量程度の水(約13リットル)を足し、合計約25kgの物質を常温(20℃)から沸騰(100℃)させる。

  • 加熱に必要な熱エネルギー: 25kgの水を80℃上昇させる熱量は約8.4 MJ = 約2.3 kWh(熱量換算)。
  • 手段別の必要燃料(1日あたり)
    • 電気(IH等・効率80%の場合): 約2.9 kWh / 日 (月間約87 kWh)。LED・ポンプの電力と合わせても、1日の総消費電力は8.1 kWhとなり、約2.3 kWの太陽光パネルがあれば、「育成から調理まですべての電力を自給可能」となる。
    • カセットコンロ(効率50%の場合): 1日あたり 約1.4本 のボンベを消費する(月間約42本)。
    • 薪・固形燃料: 1日約1kg弱の薪が必要。
  • ゆで汁(排水)の量
    • 1日あたり約10〜15リットル(月間約300〜450リットル)。
  • 摂食量の物理的限界と「食べるための加工」
    • カロリーの三分の一を油に頼る前提で、食べるべき生ウキクサの量は1日11.4kgとなる。4人で分けると1人1日あたり約2.8kg、1食あたり900g弱となるが、水分の多い状態ではまだ完食は苦しい。これを解決するのが以下のプロセスである。
    • 茹で上げ後の「強力な搾水(脱水)」
      • 茹でて柔らかくなったウキクサを強力に絞り、ペースト状にして水分と体積を大幅に減らす。
    • 天日干し等による「乾燥・粉末化」
      • 乾燥させれば、1人1日あたりのウキクサは約285g(乾燥重量)にまで圧縮される。これをすり鉢で粉末にする。
    • 備蓄油との混錬による「ウキクサ・ペミカン」の完成
      • 粉末にしたウキクサ(285g)に、1日の割り当てである備蓄油(約55g)を練り込み、団子状にする。これにより、手のひらサイズの固形食で一食分の十分なカロリーとタンパク質を摂取できる「ぺミカン」が完成する。
      • 味や好みにより、塩、その他の調味料を混ぜるのも良いだろう。

4. 応用:貧困地域へのスキーム輸出

このスキームは、水、太陽電池、液肥の必要量が少ない、高価な機材が必要ない、必要知識が少ない等により、貧困地域での簡易農業として成立する可能性が高い。水が少なくて済むことより、中東などの砂漠地帯や、モンゴルなどの乾燥した高原は候補になるだろう。

可能なアレンジとしては、茹でこぼし水の再利用が考えられる。これにより、更に水の必要量を減らすことができる。

一日に必要な水の量は、家族4人に対して、トレイの補充20Lと茹でこぼし用13Lの、計33Lである。このうち茹でこぼした水は、乳酸カルシウムを添加し攪拌することで、シュウ酸をシュウ酸カルシウムとして固体化し、不織布フィルタで濾すことで、飲用にすることができる。これは茹でた際にウキクサから溶け出た水溶性ビタミンを含んでおり、栄養豊富である。シュウ酸カルシウムはAmazonなどで安価に買うことができる。

5. 総括

シュウ酸の問題は品種改良である程度解決可能かもしれない。だとすると茹でこぼしが必要ないので、更に簡単にすることができるだろう。

そもそもの発想は震災時のサバイバルだったが、奇しくも今話題のイランやアフガニスタンへの技術輸出にも話が繋がる結果となった。大げさな言い方だが世界平和にもつながるアイデアだ。まだまだ荒い案だろうが、ぜひ検討して頂きたいものだと思う。

なお一つだけ未検討なのは「味」だ。さすがにウキクサを食べたことはないので、ここは更にアレンジが必要かもしれない。

2026年2月20日金曜日

3Dフードプリンタ応用デリバリー

前回、3Dフードプリンタの具体的設計を試みた際、カートリッジの数が多くなり過ぎること、また食材カートリッジの多くが冷蔵となり、都度のプリントで使われるカートリッジは少数であることより、賞味期限管理が問題となることを指摘した。これに対し出せる一つの回答は、「プリントする料理を限定する」ということになる。また、そうなると家庭用ではなく業務用、例えば和食専門店とか洋食デリバリー用とかへの展開が考えられる。

そこで、「洋食デリバリー用」のような形態を考えてみた。ハンバーガーとかラーメンとかで考える筋もあるのだが、これらは3Dフードプリンタのメリットが出にくいと考えられる。つまり、例えばハンバーガーならバンズと挟むもののバリエーションしかないから、それを個別に用意した方が簡単なのだ。ある程度メニューのバラエティ(特に形状のバラエティ)が必要である。

食材カートリッジとして肉系しか使わない、フレーバーも洋食系のみ、とすれば、一つ一つのカートリッジを大きくしても耐えられる。プリントする時間はせいぜい10分とか15分とかなので、作っている間にケータリング業者を呼び、渡せばよい。そして作成網を薄く広く募集する。極端な話、一般家庭に置いてもらってバイト感覚で運用する、なども考えられる。家庭では自分用にプリントする傍ら、注文が来ればそれをプリントして業者に渡すことで小遣いが貰える、という次第だ。もちろん保守はその家で行う。

和食デリバリーでも同じ展開をして、相互に融通できるようにしてやると、更にメニューは広がる。つまり和食用プリンタと洋食用プリンタは別の家にあり、和食が多い家では和食プリンタを、洋食が多い家では洋食プリンタを置く。双方を総合メニューとするチェーンにすれば、外からはバラエティ豊かなフードデリバリーに見える。

このデリバリーには従来と違う特徴が一つあって、それは冷蔵のまま配達するということだ。着いてから電子レンジで温める。そうすることで配達時間が短縮できるし、衛生上も好ましい状態にできる。すぐに食べないときは冷蔵ないしは冷凍することも可能だ。これであらかじめ注文しておいて食べたいときに食べる、という新しいデリバリーの形態を作ることができる。

2026年2月19日木曜日

3Dフードプリンタの具体的設計



もうずいぶん前だが、寿司を3Dプリンタで出力する、という試みが行われた。

https://www.open-meals.com/

その後音沙汰を聞かない。クッキーやチョコのようなものの3Dプリンタフードはたまに見かけるが、これを常食とすることはないだろうから、寿司には期待していたのだが。

ここで言う3Dプリンタフードとは、常食を前提としたものだ。寿司はその一つだが、例えば肉や魚、野菜、コメ、麺、などの日常で食べるものを、素材の投入とボタン一つだけで生成するというものになる。そしてその素材は、3Dプリンタのフィラメントのように、常温で保存ができる粉ないしは固体・半固体(ゾル状)などであって、複数の素材を混ぜることで汎用的な食材に変貌するものを意味する。

これを生成AIの助けで具体化してみたものがこちらだ。


  • 基本スペック
    • 料理のバラエティは家庭級(50~100)和洋中その他織り交ぜ
  • 3Dフードプリンタ概要
    • 1人用冷蔵庫と同程度の大きさ
    • 上段がカートリッジ格納ゾーン、中段が3Dフードプリンタ、下段が取り出し口
      • カートリッジ投入扉、清掃扉(ノズル等の洗浄)、取り出し扉(完成した食品の取り出し)
    • 出力後、水カートリッジでフラッシュ、エアブロー、乾燥 (半自動、排出した水の回収)
    • ノズル・インナーの清掃は週1回(清掃扉を開け、外して洗い、元に戻す)
    • カートリッジは必要に応じ補充(1個を使用、1個を交換用として保持、必要に応じアラームが出るので指示に従って交換)
    • スマホにて操作、レシピを選択して実行 完了するとスマホに通知
    • 完成品は冷たいので必要に応じてレンジ加熱
  • 食材カートリッジとフレーバーカートリッジ
    • 食材カートリッジは大容量、フレーバーカートリッジは小容量
    • 食材カートリッジの多くは冷蔵となる(補充用のカートリッジは別に冷蔵庫保管)
  • 食感カートリッジとして「方向性繊維」「水分保持ゲル」を備える
    • サラダやごぼう・根菜の食感を出せる

1) カートリッジ体系

  • 食材カートリッジ(12本):栄養・食感・主菜/主食の「骨格」を作る
  • フレーバーカートリッジ(14本+任意2本):料理カテゴリ(和/洋/中/その他)を確実に切り替える「世界線スイッチ」

2) 食材カートリッジ(12本)一覧

目的:“系列バレ”を防ぐため、タンパク・脂質は最低3系統、炭水化物は物性3系統に分ける

形式:家庭級の現実解として「冷蔵カートリッジ中心」(常温は粉末系・油系)

区分 ID カートリッジ名 中身(例) 主な役割(何を作るか) 推奨保管
タンパク P1 肉系(チキン/ビーフ系) 鶏/牛由来ペースト、または同等の肉様基材 肉の“密度・余韻”の土台(主菜) 冷蔵/冷凍
P2 魚系 白身魚/練り物様基材 魚の“軽さ・ほぐれ”の土台(主菜・和中) 冷蔵/冷凍
P3 植物系(大豆/エンドウ) 大豆/豆系ペースト 汎用・低コスト・副菜/つなぎ(主菜も可) 冷蔵
脂質 F1 高融点脂(肉・揚げ物) 牛脂/固形脂に相当 コク・揚げ物/肉の満足感 冷蔵
F2 低融点脂(魚・あっさり) 魚油/低融点油に相当 軽さ・魚介/冷菜のリアリティ 冷暗所
F3 中性脂(汎用) 植物油 和洋中のベース・乳化基材 冷暗所
炭水化物(物性) C1 粒状・崩壊型(ご飯系) 米粒様ゲル/粒状デンプン構造 “ご飯”カテゴリを成立 冷蔵
C2 連続体・弾性(麺/パン) グルテン/ゲル弾性生地 麺・パン・生地系 冷蔵
C3 マッシュ・粘性(芋/副菜) 芋・かぼちゃ等のピューレ 付け合わせ・和惣菜 冷蔵
食感/状態 T1 水分保持ゲル(サラダ基材) 高含水ゲル(葉物感) “サラダ/冷菜”の土台(生っぽさ) 冷蔵
T2 方向性繊維(ごぼう/根菜繊維) 繊維束構造基材 ごぼう等「裂ける食感」担当 冷蔵
栄養/繊維 N1 食物繊維・ミネラル 可溶/不溶繊維+ミネラル 腸・栄養の底上げ(常設) 常温/冷蔵
色 K1 色(ナチュラル) 野菜色素など 見た目のカテゴリ分け(和洋中) 常温

3) フレーバーカートリッジ(14本+任意2本)一覧

目的:家庭級のバラエティは “料理カテゴリ(世界線)” が切り替わることが最重要

3-1) 基本14本(家庭級50〜100の標準)

区分 ID カートリッジ名 中身(例) 世界線への効き方 使い方(配置)
味(Taste) T-S SALT 塩味溶液 和/中の輪郭・洋の下支え 全体に薄く
T-A ACID 酢/酸味 サラダ/酢の物/中華のキレ 表面〜浅層
T-W SWEET 甘味 照り焼き/煮物/洋ソース たれ層
T-B BITTER/AST 苦味/渋み ごぼう/山菜/緑系のリアルさ 局所(微量)
T-H HEAT 辛味 麻辣/エスニックの決め手 点在(微量)
旨味/発酵 U-G UMAMI-G 昆布/野菜旨味 和の基盤、洋の下地 中層
U-N UMAMI-N 核酸系旨味 肉/魚の“厚み”寄せ 中心〜奥
U-F FERMENT 味噌/麹/酵母 和の奥行き・デミ方向 中層
U-R ROAST 焼き/炒め香 洋の焼き香・中華の炒め 表面〜脂相
香り(Aroma) A-F AROMA-FRESH 青/柑橘 和の爽やか・冷菜 表面ミスト
A-L AROMA-ALLIUM 葱/生姜/にんにく 中華/和の炒め煮の核 中層
A-H AROMA-HERB/SP ハーブ/スパイス香 洋/エスニックの核 表面+中層
粒/刺激 P-P PEPPER/SANSHO 胡椒/山椒 和中の締まり・別物感 表面点在
P-C CURRY BASE カレー核 「その他1割」を確実化 全体

3-2) 任意追加2本(おすすめ)

ID カートリッジ名 中身(例) 追加すると増えるメニュー
A-M MARINE(海) 海苔/磯/魚介香 魚介・和の幅が増える
A-D DAIRY(乳) バター/クリーム香 洋(クリーム系/チーズ系)が増える

4)これで作れる「具体メニュー50個」案

和食(20)

  1. だし醤油チキン(照りは弱め)
  2. だし白身魚(煮付け風)
  3. 味噌つくね(鶏)
  4. 味噌豆腐ハンバーグ(植物)
  5. 照り焼きチキン
  6. 照り焼き魚風パテ
  7. 生姜焼き(豚風)
  8. 肉じゃが風(肉+芋マッシュ)
  9. 鯖味噌風(魚系)
  10. きんぴらごぼう
  11. ごぼうサラダ(マヨ風)
  12. 酢の物(きゅうり・わかめ風)
  13. 南蛮漬け風(酸甘)チキン
  14. 和風おろし(さっぱり)ハンバーグ
  15. 塩焼き(焼き魚風)
  16. 鶏そぼろ丼風
  17. だし巻き卵風
  18. 茶漬け風(だし+塩)
  19. 和風カレーうどん風
  20. 胡麻和え風(青菜)(胡麻は“その他粒”で代替可)

洋食(15)

  1. トマトハーブチキン
  2. ミートソース風(肉パテ+トマト)
  3. デミ風ハンバーグ
  4. ハーブグリル(魚)
  5. ガーリックバター風チキン
  6. クリームシチュー風(拡張)
  7. チーズ風リゾット(拡張)
  8. オムレツ風(拡張すると強い)
  9. バジルジェノベーゼ風(緑)
  10. ローストオニオンスープ風
  11. ビターカカオ風(デザート寄り)
  12. フィッシュ&チップス風
  13. ハーブレモン風サラダ
  14. ミネストローネ風
  15. ペッパーステーキ風

中華(10)

  1. 生姜葱チキン(中華蒸し鶏風)
  2. 回鍋肉風(甘辛炒め)
  3. 麻婆“豆腐”風(植物)
  4. 麻辣チキン(花椒風)
  5. 青椒肉絲風(歯ごたえ寄せ)
  6. エビチリ風(魚系+酸甘)
  7. 酢豚風(酸甘)
  8. 担々麺風(ごま無でも成立する版)
  9. 中華スープ(葱・生姜)
  10. 炒飯風(香り重視)

その他(5)

  1. カレー(基本)
  2. グリーンカレー風(ハーブ強)
  3. タコライス風(酸+香草)
  4. ナンプラー系エスニック“風”(海があると強い)
  5. スパイス焼き(BBQ寄せ)

どうだろう。ここまで設計すると具体的に想像ができる。これなら少々不味いものしかできないとしても一定の需要はあるはずだ。例えば自炊が困難だが外食やコンビニ弁当を毎回買いに出るのが辛いという層、また極端な面倒くさがり層などである。例えば一人暮らし、乳幼児の多い家庭、足が悪い高齢者、暑がり寒がり、精神疾患・未病不具合の人、などだ。

また、レシピを調整することによって、離乳食や糖質制限食など、様々な食のニーズに対応できる可能性がある。ここには菓子類が書いていないが当然それも検討の遡上に載る。宇宙船や船舶、離島などでの需要もあるだろう。

細かいところでは色々ツッコミはある。例えばカートリッジ数が予想を超えて多くなり、管理が大変そうだ。フレーバー系はともかく、メイン(食材)カートリッジはもう少し減らしたいところだ。

メインカートリッジの容量は、初期設計では300mLだったのだが、これが12本+予備12本と考えると24本、合計で7.2Lになる。これだけでも結構な重量で、筐体の上部にこれがくるため、重量バランスが悪い。

しかも例えばハンバーグ一つに100mLの肉系カートリッジを使えば、3人前で交換しなければならない。プリント途中での人手によるカートリッジ交換は使い勝手を損ねるし、全自動にするとしたらこのサイズには収まらないだろう。

また、カートリッジのほとんどはその1回では使われないので、計画的に食材のローテーションをしてやらないと賞味期限が来て廃棄するカートリッジが多くなってしまうだろう。冷蔵ではなく常温保存可能なカートリッジの模索が必要かもしれない。

だが、これをベースに追加で設計していけば、本当に何かができそうな気がする。

2026年2月5日木曜日

南海トラフ地震の(リアルな)被害予測

2026年1月16日、国交省は、南海トラフ地震の対策計画を改定した。

https://www.mlit.go.jp/river/bousai/earthquake/nankai/index.html

それによると、死者数は最大で32.3万人、経済的被害は220兆円、上水道3400万人が断水、2700万軒で停電、などが予測されている。

直感的に死者予測が少なすぎると感じたので、その妥当性についてGeminiに聞いてみたところ、原発の被害は想定していないこと、また二次被害(物流寸断によって国際的サプライチェーンが破壊される、救援物資が届かずに渇死・餓死する、輸出入の寸断により日本が国際的地位を失うことなど)が想定されていないこと、を指摘してきた。またこの220兆円はわずか1年の被害想定であり、長期被害はそもそも見積もっていないことが分かった。

なぜそうなってしまうのかとGeminiに問うと、国交省の予想は国交省の管轄でしか予想しないからだそうだ。つまり国交省は道路や建物などが管轄だが、原発は経産省の管轄なので、勝手に予想すると文句が出るからだ。逆に、原発の過酷事故予測は地震を想定していない、という妙なことになってしまっている。

そこで、これらを全て織り込んで、Geminiに被害を概算してもらったところ、死者は数千万人、被害額は千兆円、という予想が出た。

これを少し解説すると、まず死者だが、3400万人が断水となっていて、この断水は数週間程度では復帰できない。一方で水を備蓄している人でもせいぜい三日が限度であり、数週間の断水には耐えられない。川沿いや井戸があるところは若干マシと言えるのだが、もし原発事故があるとこれらは放射能汚染されてしまうため、やはり使えないのだ。なお、並みの浄水器では放射能は除去できない。人は水が無ければ3日で死んでしまうため、3400万人の何割という人数が渇死、ということになるのだ。

サプライチェーンについて言うと、南海トラフ地震の震域は東海道であるため、鉄道・道路・港が寸断されてしまう。原発事故があれば放射能汚染され、復興どころか立ち入り禁止地域があちこちで生まれるだろう。またこの地域は、自動車や機械などの生産拠点である。日本のGDPの何10%という規模のカネを生み出しているところだ。それが何か月という単位で機能しなくなれば、世界は「日本抜き」でサプライチェーンを再構築してしまうだろう。すると日本は外貨を稼げなくなり、復興どころか国民を生き永らえさせることすらできなくなる。そしてこれは地方にも必ず波及する。これらを10年で加算すると千兆円になるのだ、ということだった。

さて、死者数千万人、被害額千兆円というのがあまりにもデカ過ぎて想像もできないと思うのだが、死者2千万人、被害額千兆円と仮置きして、震災から10年後の日本についてGeminiに推測してもらったのがこれだ。

指標 震災前(現在) 10年後(2036年予測)
実質GDP 約550兆円 約350兆円(30%以上の縮小)
一人当たりGDP 世界30位前後 世界60〜80位(発展途上国水準)
食料自給率(カロリーベース) 約38% 約20%以下(外貨不足による輸入難)
居住可能面積 国土の約30% 約20%(汚染・インフラ放棄による減少)

当然ながら円の信用は失墜しているので、この額は現在の価値相当である。現実にはジンバブエドル化していてもおかしくないし、そうでなくとも1ドル250~300ドルというのが妥当だろう。またGDPは「1人当たり」なので、生活レベルは昭和30年代相当、エンゲル係数50%以上、電気代ガス代は10倍になり庶民は冷暖房不可、となっているだろう。肉は食べられず外食もほぼ無理、コンビニもなくなり、家庭菜園が流行っているだろう。

他国からの侵略もあるだろう。但し軍事的侵略は必要ない。経済支援とセットで無理難題を押し付けられても受け入れざるを得ない状況になっているはずだ。特許など知的所有権の押収、優秀な人材の本国スカウト、漁業権や経済水域での活動許諾、港の使用権などが次々と売られていくだろう。

また、死ぬ2千万人の多くは高齢者であると推測でき、これによっていわゆる高齢者比率は一時的に若返る。Geminiの推測によると、30%から22%になる。しかし合計特殊出生率は0.5~0.7に落ちるとも予測しており、10年後には35~40%と急速に老いた国になるとも予測した。

これにより、社会保障は崩壊、また熟練の知恵の類も断絶するため、文化的な伝統も生産技術の知見も失われ、国民の知的レベルも一気に低下してしまうと予想される。

資源小国は知恵で外貨を稼ぐしかないのだが、その知恵も失われるため、日本は本当に売るものがなくなってしまう。もはや地方都市を維持することはできず、コンパクトシティ化は必須であるが、そのレベルは従来の構想を大きく超える。人口10万クラスの都市でも消滅し、100万都市すら幾つかは消える懸念がある。円は更に安くなり、20年後には300~500円辺りで落ち着く。また出生率は1.5程度まで回復するが、人口維持レベルの2.1までは到達しない。また当然、金持ちは日本を出ていくだろうが、これも20年後には1千万人のレベルに達しているだろう。これには当然前途を憂う若者も含まれ、このために高齢化比率は45%に達すると予想されている。

次に治安だが、犯罪検挙率が落ちるのは当然の予想として、現在40~50%のところ、20%にまで落ち込むと予想される。また、ディストピア的な世界、すなわちゲーテッドシティ(柵に囲まれ、出入りには許可が必要な、金持ち向けの安全地帯)とスラム、場合によりその中間的な存在が地域により分かれ、スラムの治安は大いに低下、中間的地域でも現在よりは大幅低下、という予想もされた。中間的存在は、自警団と村八分による地域毎の独自の治安が形成される。スラムはそれすら作られない。

おそらく芦屋や田園調布のようなところはゲーテッドシティになり、都心の多くは中間的存在、その周辺から地方に掛けてはスラム化するのだろう。また、相互の行き来は困難になると予想される。つまり市民階級が自然形成され、それが定着する。ゲーテッドシティでの悪質犯罪者は中間地域に「追放」され、中間地域での外れ者はスラムに追放されることで治安を保つことになる。そしてスラムでの犯罪は統計に表れない。

最後に、海外に対する影響について予測する。日本には、半導体製造装置、特殊化学素材、超精密ベアリングといった、「日本でしか作れない」製品の供給がストップする。このため、スマホから航空機製造まで、世界中のハイテク産業が連鎖的にストップする危険がある。

また、日本政府が持っている外貨準備金、民間も持っている大量の米国債などが、震災被害の補填のために市場で叩き売りとなることは明白である。すると、 米国の長期金利が急騰し、米国内の住宅ローンや企業融資が破綻、米ドル自体の信用低下が起こり、これが全世界に波及することになる。

一方民間も、世界最大の対外資産(約400兆円強)を保有している。これらも世界各国で叩き売られ、米国以外でも経済混乱が起きることは間違いない。ここぞとばかり買いを入れる人も多いだろうが、今回ばかりはその規模が違う。あまりにも巨大な売りを前にすると、買った後の下落が恐ろしくてなかなか買い手が現れないし、現れても再び上昇するには十年単位で時間が掛かるだろう。

軍事面で見ても、日本にある主な米国基地は、たとえ無事でも日本からの供給が断たれるため、それなりの非常事態になる。日本の支援ばかりに気を取られると、特に中国ロシアからの侵略に対応できない。日本近海は軍事的にもきな臭くなることになる。場合によっては台湾進攻を含め、周辺国との戦争が起きるかもしれない。そしてそうなれば、日本への海路での支援は困難になり、復興を遅らせることになる。

戦火が起きればそれは他の地域に飛び火し、世界各地で紛争が起きたり、あるいは第三次世界大戦に発展する危険も考えられる。

また、放射能汚染が海に広まれば、それは黒潮に乗って太平洋を渡り、ハワイからアメリカ、チリにまで及ぶことになる。すると太平洋の海産物が多く汚染され、あるいは汚染されずとも風評被害が広がり、食糧難になる危険がある。

これらから考えると、海外に移住しても安泰とは言えない。行った先の治安や経済は低下するし、ヘイトの対象となる危険もある。手に職をつけておくと共に、当然円や日本の銀行の口座は紙くず化するので、外貨を海外の口座にかなり積んでおく必要があると思われる。

と、ここまでをGeminiと共に推測してきたわけだが、当初の国交省の予測(30万人、200兆円)と比べると全くの別次元であることがお分かりいただけると思う。決して恐怖を煽っているわけではないが、最悪の場合はこのくらいの規模になることがあり得るのだ、ということは覚えておいてほしい。

2025年6月3日火曜日

令和のコメ騒動の量的分析


 以前チラっと書いた、表題の分析の結果を披露しておく。

まず全体像について生成AIと議論した。結果として、その大まかなシナリオとは、

  1. いわゆる減反政策によって、市場におけるゆとり分が減り、ここ数年は需給バランスがタイトになっていた。
    1. 農水省は減反政策は止めたと言っているが、その他の手段を使って事実上の減反政策を続けていた。
  2. そこに来て、2023年の高温障害により、米の収量及び品質が大きく悪化した。このため需給バランスが崩れ、品薄と高騰が同時に発生した。
    1. 米は価格弾力性が低い商品であり、つまりは価格が高くなっても需要はあまり減らない。これによって、僅かな乱れが高騰につながる性質を持っている。
  3. 農水省は当初「コメは不足していない」「新米が出れば回復する」等と主張し対策しなかったため、需給バランスは回復せず、新米が出ても価格高騰が続いた。
  4. 国民の不満を受け、農水省は、最終的には備蓄米を放出した。しかしその放出量は少なく、入札方式にしたため価格は高止まりし、タイミングも遅かったため、高値を解消するに至らなかった。
  5. 2024年の収量は回復したが、まだ2022年レベルには至っていない。需給バランスが回復しないため、価格は高止まりが予想される。

という感じになる。その原因について生成AIに聞いてみたところ、以下のような答えが返ってきた。(見やすさのために若干編集してある。)


令和の米騒動の「複合的な原因」を分解し、各要素の量的な寄与度を推定すると、以下のようになります(現時点で公的に定量化されたデータは限定的なため、各種報道・統計・専門家分析をもとに相対的な比重を示します)。

要因 推定寄与度(目安) 主な内容・根拠
気候変動・天候不順 30~35% 猛暑や異常気象による収穫量減少が直接的な供給不足を引き起こした。
減反政策・生産調整の影響 20~25% 長年の減反政策による生産力低下、廃止後も生産回復が遅れた。
農業従事者の高齢化・労働力不足 10~15% 生産現場の担い手減少が供給力をさらに押し下げた。
需要増(インバウンド等) 10~15% 観光客増加や経済正常化で需要が急増。
消費者心理(買いだめ) 5~10% 地震報道や将来不安による買いだめ・備蓄需要の急増。
流通構造・在庫管理の問題 10~15% 流通経路の多様化、在庫管理の不備、投機的な買い占めや売り渋り。
投機的行動・市場心理 5~10% 流通業者や一部関係者による投機的動き、価格吊り上げ。

解説

  • *最大の要因は「気候変動・天候不順」で、2023年の猛暑や異常気象による収穫減が直接的な引き金となっています。
  • 減反政策・生産調整の長期的影響も大きく、需給の弾力性が失われていたことが供給ショック時の価格高騰を招きました。
  • 流通・在庫管理の問題や投機的行動も無視できず、流通業者や関係者による売り渋りや投機買いが市場混乱を増幅させました。
  • 需要面ではインバウンドや消費者の買いだめが一時的な需給ひっ迫に拍車をかけたと見られます。

(中略)

JA(農協)による令和の米騒動への「原因」を量的に評価するには、JAの行動や影響力がどの程度今回の米価高騰・品薄に寄与したかを、主な要素ごとに分解して考察する必要があります。現時点での報道・専門家分析をもとに、JAの関与が強いとされる要素を以下のように整理できます。

JAによる要因 推定寄与度(目安) 根拠・解説
減反政策・生産調整の強化 20~25% 農水省とJAが連携し、3年前から減反を強化。2023年産米は作付け前から前年比10万トン減少。
備蓄米放出への反対・流通制限 10~15% JAが備蓄米放出に反対し、放出された米もJA経由で市場供給量が制限された。
市場への供給調整・在庫管理 10~15% JA農協の在庫は前年同月比で21万トン減少。供給調整により米価高騰を招いた。
政策決定・価格維持への影響力 10~15% 農水省・自民党農林族と「農政トライアングル」を形成し、高米価政策を主導。
情報の不透明さ・責任分散 5~10% 流通・在庫・販売の情報が外部から見えにくく、責任が曖昧化。

解説

  • 減反政策・生産調整の強化(20~25%)

    JAは農水省とともに減反政策を強化し、米価維持を図ってきました。2023年産米では作付け前から減反が進み、供給力を大きく削減しました。

  • 備蓄米放出への反対・流通制限(10~15%)

    JAは備蓄米の市場放出に反対し、放出された米もJA経由で流通量が制限され、市場供給が十分に増えませんでした。

  • 市場への供給調整・在庫管理(10~15%)

    JAの在庫は大幅に減少し、供給調整による価格高騰を招いたとされています。

  • 政策決定・価格維持への影響力(10~15%)

    JAは農水省や自民党農林族と連携し、高米価政策を維持する強い影響力を持っています。

  • 情報の不透明さ・責任分散(5~10%)

    JAによる流通や在庫の情報が外部から見えにくく、責任の所在が曖昧になりやすい構造です。

まとめ

JAによる直接的・間接的な要因は、全体の40~60%程度の寄与度があると推定されます。とくに減反政策の強化、備蓄米流通の制限、供給調整、政策決定への影響力が大きな要素です。

ただし、天候不順など他の要因も無視できないため、「全てがJAの責任」とは言えませんが、今回の米騒動の構造的な主因の一つであることは明白です。


いかがだろう。結論としてはJAが主要因になっているということになった。国ばかりが責められているが、その背後にいるJAへの非難は、報道にはほとんど現れていない。SNSには若干JA非難の声があるが、こういった定量的根拠を持って叩いている人はいない。

以前も言っているが、こういった社会現象の解析には定量的評価が重要である。それを重視しない傾向についても以前書いたが、世間も政府も相変わらずのようだ。「生成AIはミーハーである」の回でも書いた通り、上の答えにしても最初の回答ではなく、定量的評価をしつこく迫った上でようやく出てきたものである。

どうか結論だけを掴んで短絡的にJA叩きに廻るのは止めて頂きたいのだが、JAにもっと注目して良い、ということだけは言えるのだろう。

2024年11月14日木曜日

実だけ植物

RF1だったと思うが、サラダに使うきゅうりとして、トゲのない(少ない)品種を選ぶだか開発しているだかという話を聞いたことがある。惣菜に使うきゅうりなのだから味を追求するのかと思いきや、トゲとはこれ如何に、と思って調べてみると、トゲがなくなることで雑菌が残りにくくなり、消費期限を伸ばせるのだという。言われてみればこれはアリだ。

以前も、

https://spockshightech.blogspot.com/2018/04/blog-post_13.html

のようなことは考えたことがあるのだが、これを更に突き進めていったらなかなか面白いものが出来るのではないか、と考えた。例えば、

  • 葉や茎が殆どなく、いきなり実が生えるなど、可食部が大部分となる植物。
  • 光を当てる必要なく、栄養供給のみで育つ植物。逆に、光を当てるだけで栄養供給が不要(空気中の窒素を固定する)な植物。
  • 一定の温度で育つ植物。気温の変化を検知して実をつける植物は多いが、それが必要ない。
  • 栄養バランスが完璧な植物。
  • 逆に、特定の栄養分を極端に多く作ってくれる植物。糖分、脂肪分、タンパク質など。
  • 成長速度がとんでもなく速い植物。
  • 二酸化炭素を物凄く吸収してくれる植物。
  • 育つ方向を電気制御できる植物。
  • 四角く真っ直ぐに育つ木(建材用)。
  • 最初から難燃成分を含んだ木(建材用)。
  • 極端に腐りにくい木(建材用)。

こんな植物が現実にあれば、広い土地がなく日照が悪くても、食料や木材が生産できるようになる。また、植物工場にも対応するだろう。こうなれば、食料や建材、更には燃料や合成樹脂などを、全て工場で調達できる。広大な森林や田畑、果樹園、石油採掘までもが必要なくなるわけだ。これらはもちろん地球温暖化の対応に役立つし、食糧問題や水不足など、あらゆる地球的規模の環境問題の緩和に役立つはずだ。

これを動物に応用するならば、殆どが可食部の牛豚鶏とか、骨のない魚とかが考えられる。ここまでくるとちょっと気持ち悪いが、考えてみれば今の牛豚鶏も品種改良を重ねてきた結果、原種とはかなりかけ離れた生物になっている。それがちょっと早く進化しただけだ。

さて、こんなことが本当に可能なのかどうかだが、時間軸を別にすれば今の農業試験場のやり方(育てて選別して、の繰り返し)で十分に可能だし、遺伝子組換えを併用すればもっとスピードは上げられるだろう。

問題になるのは安全性だろう。ただ、食の安全性というのは多分に安心(感情)の要素も含んでいる。遺伝子組換え植物に警戒心を抱く人も多いが、これには根拠はない。しかし実際、そういうj表記の食品の方が高く売れるのが実態だ。科学的に安全な食物というのは極めて定義が困難だが、これは何とか頑張って証明してほしい。

その一方で、糖分や脂肪分といった要素に抽出してしまえば、あるいは木材なら細胞を不活性化してしまえば、その心配は無くなるはずなので、初期にはそういったものを中心に開発するのが良いだろう。 

2019年9月30日月曜日

嵩増し人造肉


Impossible Burgerがついに店頭販売されることになったそうだ。これは完璧に植物性のようだが、思想信条的な菜食主義者だけでなく、ヘルシー志向や環境保護(肉より野菜の方が環境負荷が小さい)志向の人に向けて考えた場合、必ずしも100%植物由来である必要はないように思う。そこにこだわるくらいなら、環境負荷を適度に低減しつつそこそこに旨く、そして安い肉の方が現実性がある。

安い肉を高級な味に見せるために、高級肉の牛脂を使う、という方法がある。これと同じく、若干の本物の肉を混ぜてやれば、高度な技術がなくとも美味しい人造肉を作れるのではないだろうか。例えば10%でも混ぜてやれば、後はおからそのものでも良いとか、そういった発想だ。

ビーガンには不評でも、これで安価になったり環境保護が進展するのであれば、それもまた良し、となってくれるはずだ。この条件で美味しく安い肉を作る技術は、日本人が得意だと思う。ぜひ研究してもらいたい。

2019年7月17日水曜日

藻栽培器とパスタマシン


家庭で気軽に野菜を育てられるハイテク栽培セットが、多数売られている。どれもが似通ったもので、水耕栽培にLEDライト。電気があってタンクの水を定期的に補充すればよい、とするものだ。
魅力を感じないわけではないのだが、まだ機械化度が足りないように思う。機器の枠から植物がはみ出るのも気になるし、虫がつかないだろうかと心配になる。掃除も必要だろうし、LEDライトは漏れてきていて、夜中には眩しくて邪魔だし、エネルギー効率も悪そうに思える。
ユーグレナやクロレラといった藻類なら、全てをタンク内に押し込められる。また、環境を機械的に整えることで連続的な生産が可能なはずだ。適当な間隔でフィルタリングして乾燥して固形にする、というような完全自動化もできそうだ。完全に覆うので光合成用の光も無駄にならない。これなら装置だけ買ってくれば家庭でできそうではないか。
これが今できていないのは、藻が直接家庭で食べられることがないからだろう。しかし栄養学的にはけっこう理想に近く、野菜の代わりには十分なりうるものだ。この問題さえクリアできれば、普及は近いのではないか。
そこで改めて「ユーグレナオンライン」を見てみると、サプリメントや青汁など、毎日の食事とは縁遠いものしかないことが分かる。ユーグレナ「入り」のクッキーや菓子、麺などもあるが、これもちょっと違う気がする。つまり、付け合せやサラダの位置付けになる藻料理が欲しいわけだ。それも何種類も。
基本的には、麩や練り物のようなベースを作っておいて、パスタのように形状を加工して、茹でる、揚げる、炒める、といったバリエーションを作れば良いのではないかと考える。つまり、パスタマシンのような加工機と、ユーグレナタブレットの製造機(実態は藻栽培器)のセットである。
ユーグレナタブレットはストックとして持てるようにしておく。例えばシリアルディスペンサーに移すようにする。多すぎるようなら製造機の製造ペースを落とす。パスタマシンに水や油、つなぎや味の変化をつける調味料などを投入して、スイッチを入れる。すると、例えばニョッキのようなものが出てきて、これを好みで茹でたり揚げたりする。
このニョッキは、調理前のものを冷凍保存することが可能だと思う。すると味や調理法のバリエーションが増え、飽きる可能性を押さえることができるだろう。
メイン(おかず)とご飯と、このニョッキを副菜とするような食事ができるなら、野菜の購入量を大いに減らすことができる。そしてその材料は全て大量購入してストックしておくことが可能だ。これなら災害用非常食にもなる(材料と機械のセット)し、宇宙食としても有望ではないだろうか。
また、遠い将来の話になるが、この藻タブレットを原料として、人工肉を作ることができるかもしれない。そうすると、メインと副菜の材料がほぼ藻になって、更に効率が上がるのではないか。

2019年4月27日土曜日

COMPが全て


過去何回か、完全栄養食「COMP」を紹介してきた。先行者としてSoylentはあったものの国内発売はされず輸入も困難な中、同じコンセプトにより国内で開発されたものだ。その後、BASE FOOD社がパスタとパンを作り、この業界を活性化してきている。

ただ、COMPにしてもBASE PASTAにしても、全く同様の困難とその解決アプローチがされていて、それは「同じものを食べ続けると飽きる」という問題だ。これを避けるために、「他のものと混ぜる、合わせて食べる」ということが提案されているのだが、その「別のもの」の栄養が偏っているがために、結局バランスが崩れてしまう、カロリー計算が困難になる、という新たな問題が出てしまう。

そこに来て、このニュースを見た。

https://www.moguravr.com/ar-ramen-yakisoba/

そうめんを食べながら、ARでラーメンや焼きそばを食べているかのような映像を見せることで、ラーメンや焼きそばの味になる、という実験だ。

これを見て思ったのだが、COMPを大量に積んでおいて、形だけ3Dプリンタで加工し、ARで色々な味を楽しめるなら、閉鎖空間(南極基地、宇宙船)の食糧問題はほぼ解決するのではないだろうか。

通常の肉野菜は保存期間が短く、冷凍など電力消費もあるが、COMPは粉なので、キチンと密閉して窒素置換すれば、数十年単位で保管できるはずだ。栄養のバランスも取れているから、栄養学的にはそれだけ食べていても問題ない。もしそうでないなら、混ぜる前の粉を各々保管しておいて、直前に混ぜる比率を変えれば良い。

以前の提案では、これに味の要素を加えないとダメだ、と思い込んでいた。しかし、このARの要素を加えられるなら、味の要素は不要、ないしは最低限で良いことになる。食感の問題がARで解決するかはまだ不明だが、もしそうならなくても、その程度を大いに低減できる可能性は高いだろう。

本物の食料を冷凍で持って行くことは否定しないにしても、大げさな植物工場や動物飼育をしない、ないしは最低限にして、大部分をCOMPにすることは可能かもしれない。あるいは非常食と位置付け、それを快適に食べる手段としても良いかもしれない。

この「非常食を快適に」という考えは、大規模自然災害にも適用可能だ。非常食の賞味期限を大幅に伸ばせれば、また保管が簡単になれば、栄養バランスが完璧になれば、多少の不便を補う効果はあると思う。

2019年3月25日月曜日

働かなくてよい時代は来るか


「ロボット労働のパラドックス」の続き。世界中の誰もが働かなくてよい時代、というのはあり得るのか。ホリエモンなどは来ると言っているようだが、自分の結論としては「50年単位で無理」だ。以下、説明する。

過程をすっ飛ばして最終的な形態を考えると、それは映画「ウォーリー」の巨大宇宙船アクシオムのような状況である。ロボットが準備してくれるので、人のすることの全ては娯楽と食べることのみで、ぶくぶくに太ってしまう(それでも良い)というようなものだ。

もし、アクシオムのような世界が実現するとしたら、その技術的なスペックはどのようになるのだろうかと考えてみれば、自ずと答えは出てくる。単純には、エネルギーと資源で厳しい制約を受け、その経済圏の中に入れる人間は限られる。

今から30年くらいで、地球人口は百億人くらいになる。これを前提に、この百億人が何もせず暮らせるために必要な食料、エネルギー、衣料、住居の量を考えてみると、今の世界中で作られている量の何倍が必要になるだろうか。

この百億人の大部分は新興国・発展途上国の人だし、先進国にも経済格差がある。働かなくても良いレベル=満足な量の食料、衣料、住居、医療、教育などだろうが、これが足りているのは先進国の、しかも一部だけだ。それもAIとロボットで満足しなければならないとなれば、必要なエネルギーと資源材料の量は、十倍から数十倍であると想像できる。

このうち、再生可能なものはわずかだ。自然エネルギー発電と金属、木材・植物性材料がそれに当たるが、金属は完全ではないし、それ以外の、例えばプラスチックや希少材料、石油天然ガス等は消費する一方である。ロボットにより採掘がいくら効率化しても、そもそもないものを掘り出すわけにはいかない。これを問題①として定義する。

問題②は、貨幣価値経済である。今の世の中にも、働かなくても生きていけている人は大勢いる。しかしその人たちは貨幣価値経済における勝者に過ぎず、これすなわちその一人につき膨大な数の敗者が必要なことを意味している。この敗者は逆に、働いても働いても貧しく、飢え、苦しんでいる人だ。

そして、単にAIとロボットがいたとしても、その図式は変わらない。新三種の神器やコンピュータの出現と同じく、「新しい便利な道具」が出現した、というだけの話だ。働かなくても済む人が若干増えたとしても、全員ではないし、殆どでもない。最貧困者の底上げはあり得るけれども、相対的貧困はなくならないし、依然として大部分は敗者である。

食糧生産のコストが下がったとしても、ゼロにはならない。ロボットを買い、動かし、保守し、材料を買ってくるのだから、出来上がったものは売らなければならない。オーナーが誰かは関係ない。もし生産物をタダで配ろうと思うのなら、原材料採掘からエネルギーからロボット製造保守から製造から全てを全部所有し、自己完結している必要がある。それも全部ロボットのみでできなければならない。そんな工場がこの世に一つでもあるだろうか。

問題③は、税金である。上のコストにはまだ税金が考慮されていない。例えばロボットで自分が食べるだけの食料を作り出している家庭には税金は掛からないか。今、ロボットが幾らいても税金は掛からないが、ビル・ゲイツ氏がロボット税を提唱しているような事態が起きないとは限らない。なぜなら、ロボットを導入できない貧乏な世帯への補助には税金が投入されるからだ。その原資として必要とあらば、どんな税が投入されないとも限らない。また、当然固定資産税は掛かるし、借家ならそのコストが掛かるが、それにも税金が含まれている。

税金支払い分を稼ぐためにロボットを働かせるとなると、当然この効率は注目される。外(国、自治体)による目で、その労働価値は値付けされてしまうわけだ。自分の自由にできない支出が出てくれば、それに合わせて働くしかなくなる。

問題②③は本質的なものではないので、時が経てば解決する可能性はある。しかし問題①は相当に厄介だ。石油は、植物由来プラスチックや、電気で置き換えることは可能だろう、エネルギーは、太陽電池を使う。食料は植物工場とフェイクミートを使う。定性的にはそのような道はあるのだが、問題は量なのだ。

問題は、主に石油代替である。例えばエネルギーであれば、発電を全て再生可能エネルギーにする必要があるが、そのためにはまず太陽電池を今の50倍~100倍という規模で建設しなければならない。また、全ての航空機と自動車を電動にしなければならない。

原料(プラスチック)の代替には、植物由来プラスチックを使うことになるが、そのためには大量の植物(例えばとうもろこし)が必要になる。今の世界市場における植物由来プラスチックの比率は1%未満であり、3桁の伸びが必要となることになる。これは、対応するとうもろこしの作付け面積が同程度伸びる、ということだ。

既に栽培適地はあらかた生産されているし、そうでないところに植物工場を作って高コストで作るにしても、生産量を百倍上げるのはきわめて困難だろう。

また、作付面積の大部分を占める小麦ととうもろこしは、食料としても生産性を10倍程度に上げなければならない。こう考えれば、とても無理だ、ということは一目瞭然である。

極端な話、スペースコロニーでも作ってそこでとうもろこし生産をするとしても、やはりとても間に合わない。月に入植するのも無理。結局、世界人口が大幅に減らない限り、この理想社会は訪れないのだ。

2018年12月26日水曜日

食べられる再帰性反射素材


https://internet.watch.impress.co.jp/docs/event/1155167.html

これには拍手。食べ物にプロジェクションマッピングをするというデモだが、これに使われているのは食べられる再帰性反射素材だ。

考えてみれば、最も単純な再帰性反射素材は透明な球体であれば何でもよい。つまり砂糖、寒天、塩、その他(磨けば)透明になる食材なら何でも良いわけだ。この記事ではキャラクターを動かしていたが、自分だったら「豪勢な料理を装う」のに使う。つまり、貧相な食事に豪勢な料理の絵を映して、つかの間の豪華気分を味わうわけだ。

この再帰性反射素材には味が付けられるから、こんなことも考えられる。
  • 宇宙船や僻地での食事に使う。
  • 長期保存可能だが無味乾燥な栄養食品(COMP的なもの)を大量ストック。
  • 3Dプリンタで好きな形にする。
  • 所望の味にする再帰性反射素材をまぶす。
  • プロジェクションマッピングで、その形と味の食材の映像を映しながら食べる。
まあプリントしてしまっても良いのだが、これなら動きも投影できるから、溢れる肉汁とか弾ける脂とかも表現できそうだ。

何だか本当に実現可能な気がしてきてヤバい。

2018年12月12日水曜日

フードオートメーションのAIフィードバック


コーヒー、カクテル、ピザ、ハンバーガー、オムレツ。これらは何れも、既にロボットが自動で作れるようになっており、商用化がほぼできているものだ。

マクドナルドのハンバーガーの味は、全国どこで食べても同じだと思うが、その理由はセントラルキッチンと厳格なマニュアルによるものだ。つまり、ロボットが調理したとしても問題ない。簡単なものから、例えばフライドポテトのロボット化などは、既に検討されているのではないかと思う。

今のところこれらは際物だが、そのうちこれが標準になり、人間が調理する方が珍しい、という時代もくるはずだ。このときに問題となるのが、新メニューの開発だろう。

例えば、バンズが2枚である前提のハンバーガーロボットに、バンズ3枚のハンバーガーを作れと言っても作ることはできない。設置された素材や調味料を変えるのも無理だ。チェーン店なら中央が考えるだろうが、これでは街の独立系の料理屋には使えない。

ハンバーガーしか出さない店なら専用の機械でも良いだろうが、普通の食堂ではそうはならないだろう。となれば、汎用の手を持つ人間のようなロボットが必要になるはずだ。これなら新しい素材にも対応できるし、調理法も変えることができる。

また、顧客の好みに合わせたり、調味料の量を調整したりするのに、AIフィードバックを掛けることは可能ではないだろうか。それらを摂動させ、アンケートを取らずとも、客の食べっぷりや表情を基にしてそれらを評価すれば、最適化は可能だ。

そうすると面白いだろうことは、店舗によって来る人はだいたい決まってくるので、店によって味が違ってくるだろうということだ。ロボットが作っているにも係らず、である。来る人の個性が見せの味を変え、更にそれが人を呼び込み、客が固定化するのだ。

機材や材料がセントラルキッチンで作られるとしても、調味料の量などがそれで加減できるのならば、固定客が着く。これが認められれば、中身はチェーンであっても外見を変えた半独立のような業態が出てくるかもしれない。

伸びよりも安定が得られるということは、低成長時代の今としてはむしろありがたい特性ではないか。それを目指す中央や店舗が出てきてもおかしくない。そういった時代が来るのかもしれない。昔のアメリカのドラマにあったような「XXの店」の、形を変えた復活である。

2018年10月1日月曜日

液滴化技術応用


https://japanese.engadget.com/2018/09/04/sound-based-liquid-printing/

久々に面白い研究を見つけた。超音波を使って、高粘度の液体でも液滴化して射出できる装置が開発されたそうだ。

高粘度というと直ぐに思いつくのが蜂蜜だが、これが例えば0.1mmの滴になるわけだ。これは想像力をくすぐられる。大きくは、以下のような応用が可能なはずだ。
  1. 微細な液滴にしてそれをコーティングすることで、粉状に作ることができることに関する応用
  2. 正確な計量ができることに関する応用
  3. 薄く散布ないしは噴霧することができることに関する応用
  4. 液溜まりを破砕することができることに関する応用
  5. 新しい物性の発見とその応用
1.として考えられることは、取り扱いが便利になることだ。例えば容器での保存やパイプでの輸送が簡単になる。サラサラの顆粒のような蜂蜜ができれば、塩のように食卓に並べて置くことができる。砂糖の代わりにこれを使う人は増えてくるのではないか。

2.で直ぐに思いつくのは創薬だ。従来扱いづらかった薬剤が新たに使えるようになれば、応用も広がるだろう。単に素材だけでなく、従来はカプセルだったものを粉剤にしたり錠剤にしたりすることもできる。粉にするだけで、コーティングを工夫することにより、胃で溶けず腸で溶けるようにするなどが可能になる。

3.で言えば、溶剤を減らした医薬や塗料、コーティングなどが考えられる。これも応用が広そうだ。単純に運搬の負荷が減るし、薄く均一に塗れるなら有効成分の量も節約できる。

また、食品でも応用が可能だろう。薄いバイオポリマーで食品を覆うことで、食感を損なわずに肉汁の流出を減らしたり、保存性を高めたり、極端な味や匂いを抑えた栄養補助食品を作ったりできる。サプリメントの作り方も、薬と同様バリエーションが増えるはずだ。

4.で言えば、代表的なのはバイオフィルムだ。超音波歯ブラシの原理はこれだったのかもしれない。となると、風呂や洗面所などのバイオフィルムは、超音波で剥がすことが可能なのではないか。単に超音波を当てるのではなく、引き剥がすような当て方になるから、その効率も高いだろう。

5.はまだ何とも言えないが、例えば新しい粘着剤や滑り止めができたり、光触媒のような抗菌消臭ができたり、光学特性の優れたコーティング剤ができたりする可能性がある。空中に噴霧することで抗菌できる、といったことも考えられるだろう。

研究はまだ初期のものだそうだから、長い目で期待しようと思う。

2018年7月6日金曜日

ロボット向け植物


https://wired.jp/2018/05/29/robotic-pollinator/

蜂の代わりに受粉をするロボットだそうだ。まだ非常に原始的で、完全に代替することはできない。しかしこれが進化して行けば、何れは蜂は不要になるかもしれない。

その際の進化は、必ずしもロボット側だけとは限らない。遺伝子組み換えや淘汰の促進などで、植物側が進化する方向性もある。その究極の姿は、かなり異様なものだ。

例えば花の形状だ。ロボットが取り出しやすいように花弁は開き切り、一方で蜜を出す必要はないので退化する。向きが揃っている方が取り出しやすいから、一方向にのみ花が咲く。重ならず開きすぎず、適度な間隔で咲く。もちろんその後の実の収穫も同様だ。

植物にしても畜産動物にしても、人間に適合するために随分自然とは離れた進化を遂げてきたが、ロボットに適合するために更に進化が促進され、極めて機械的な植物が生まれる。考えてみれば十分に気持ち悪い世界ではあるが、食糧生産が工業製品と同様の安定度で作られるなら、それも受忍すべきものなのかもしれない。

2018年4月24日火曜日

食の3Dプリンタ


http://idarts.co.jp/3dp/open-meals-sushi-teleportation/

発想は面白いが、今のところ実現性は低い。問題となるのはボクセル要素の解像度、結合方法、素材、そして製造方法だ。小さく分割すること自体はまあ良いとして、個々のボクセルの味、栄養素、食感をどう再現するのか、何も具体的なアイデアが示されていないし、スキャンの方法も勿論書いていない。

最初は、スキャンは諦めて、素材そのものを指定して考えるのが良いだろう。例えば米一粒を3Dプリンタで作るにはどうするか、を考える。これを更に細分化して、味、食感、栄養素について各々考える。まずは食感と栄養素を外して、味について考える。

味については、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味を出す調味料を混ぜ合わせる、という手法が使えるだろう。ただ、ブドウ糖と果糖の比率を変えるような高度な技ができるのかどうかは不明だ。

次に栄養素を加える。調味料自体にも栄養素があるので、それを差し引いた上で足りない栄養素を加えるのだが、栄養素自体にも味があるため、調味料をそれで加減しなければならない。この栄養素と調味料の組み合わせは、いわばゴールシークで作ることになる。
栄養素には三大栄養素(脂肪、たんぱく質、炭水化物)とミネラル・ビタミンがあるが、例えば脂肪ひとつとってもさまざまな種類があり、上の甘味と同じような問題がある。また、ミネラルやビタミンは多種少量であるので、その制御が問題になるだろう。

最後は食感だ。この再現にはコラーゲンの合成が必要になる。コラーゲン以外で食感を出す方法もあるだろうが、まずはコラーゲンとその形状、結合強度などを調整するのが有力だろう。

素材の多様性の問題に目をつぶれば、似たような味、似たような栄養素、似たような食感のボクセルを作ることは、まあ可能だろう。ただその「似具合」は相当に酷いだろう。これを本物に近づけるには、食材をできるだけ本物と同じにしなければならないが、そうすると保存性の良い粉末や液体にしてパイプを何本も繋いで… という方法は採り辛くなってしまう。

そして極め付けがスキャンだ。これをリアルタイムで行う方法はとても思いつかない。例えば凍らせるなどして固定した後にカッターでさいの目に切り、各々の栄養素分析をすることはできるだろうが、この時点で食感の測定ができなくなるからだ。

そしてサンプルを複数用意するにしても、食感をどう測定してよいのか見当もつかない。例えば「口」ロボットと圧力センサ、ということは考えられるが、食感は測定できても、その原因がサンプルのどこのどういう構造からくるものかは測定できたことになっていない。

ここを解決できなければ、このプロジェクトの実現性は低いままで終わってしまう。何とか良いアイデアはないものだろうか。

2018年4月13日金曜日

農業試験工場


従来の農業試験場をハイテクで改良して、新しい情報を生産しよう、というのがこの目的だ。以下、説明する。
  • 目的は、従来の農業試験場とさほど変わらない。つまりは農業に関する知見の蓄積と品種改良だ。
  • 違うのは、全面的に植物工場と化すところである。巨大な自動倉庫と大量のセンサにより、試験を加速する。
  • 試験は、自然環境向けと植物工場向けの二種類がある。
    • 自然環境向け
      • 年間の気象予測に基づき、特定の土地における育成利益の最適化を図ることを目的とする。つまり、気象予測によって植える作物の種類や育成方法を最適化する。
      • 概念的には非常に簡単な話で、例えば冷夏が予想されるのなら寒さに強い品種を選ぶとか、その際の肥料のやり方・農薬の撒き方・間引きの仕方などを細かくアドバイスする。
      • そのため、任意の気象条件を植物工場内に再現して、実地試験をする。
    • 植物工場向け
      • 人口環境下での育成に適した植物の品種改良を目的とする。例えば超強照度、高濃度二酸化炭素の添加、定温化、日照時間の任意の制御などによって味の向上や育成期間の短縮をしたり、低背化によって体積効率を向上したりする。
      • 掛け合わせや評価の自動化、計画の自動化などを行う。
  • もちろん、得た知見は売ったり、国内なら無償提供したりすることも考えられる。自治体や農協に売ることも考えられる。
このためには、細かく区域を仕切って、その中で環境を自由に制御できるような仕掛けが必要になる。例えば50Lコンテナ(大き目の段ボール箱)くらいのサイズに全てのセンサと環境制御装置をぶち込んで、自動倉庫で出し入れできるようにする、というようなものになる。

これは当然高価になり、育成できた植物は殆ど売り物にならないはずだから、コストセンターになる。しかし当然得た結果は大きな利益を生むから、国や農協が主導して運用するには適切だと考える。

2018年3月21日水曜日

ドローン漁


現代の漁業はハイテクだが、ドローンを積極的に使ったものはまだ少ないだろう。それを考えてみる。
  1. 潜水ドローンと魚群探知機を併用して、魚を牧羊犬のように仕掛けに追いやる。
  2. 複数のドローンで網を持って追いかけ、魚が引っ掛かったら漁船に連絡して引っ張りあげる。
  3. 魚群探知機で検知できない深海まで潜って魚を探すドローン。
  4. 大きい魚にわざと飲み込まれて、しばらくしたら暴れて吐き出され、その際に針を引っ掛けて漁船に向かうドローン。
  5. 多数放たれ、希望する種類・大きさの魚だけを捕まえて帰ってくるドローン。
  6. 単純な無人漁船。多数出港し、他と情報を交換しつつ漁場を探し、協調して1隻を満杯にして戻ってくることを繰り返す。
  7. 主に夜活動するドローン。夜の魚を主に捕獲する。
今は何れも笑い話レベルだが、そのうち人間が乗る漁船というものはなくなり、空母ならぬドローン母で出港して、漁獲自体は全てドローンが行う、という光景も夢ではない。

2018年3月20日火曜日

ビジネスオーナーの時代


職業の種類は増えているのか減っているのかと問えば、恐らくは増えているのだろう。だが、一つ一つの職業について考えると、労働時間当たりの利益(可処分所得)は減っているのではないかと思う。

その理由は、その職業に価値がなくなってきているからだ。なぜなくなっているのかと言えば、その職業についていない人でもそれなりにできるようになってきている、ということなのだと思う。その技能に関する知識が増え、広まり、道具やコンピュータが便利になってきている。

例えば農業だ。単位面積当たりの収量が増え、味が向上し、天候に左右されないような作り方が広まれば、誰もがそれを作ろうとし、ノウハウの価値は下がる。マクドナルドやディズニーリゾートの接客マニュアルが漏れてしまえば、その高度な接客術は街の喫茶店でも手に入ってしまう。このこと自体は避けられないことだ。

そのような時代、人々が目指すべきは「ビジネスオーナー」になることではないか。つまり、機能としてはAIやロボットが「できる」としても、具体的にその土地でどの商売(機能)を働かせるかを判断し、投資し、それらの機能を「買って」、実際にそのビジネスを行う、という存在だ。例えばタクシー運転手になるのではなく、ロボットタクシーのオーナーになるのだ。

酪農家の例で言えば、牛の体調管理、繁殖、死亡時の後片付け、非常時(病気の蔓延や地震家事など)の対処、飼料の購買手続きまでロボットでできるようになって、更には電気代水道代の支払い、納税までが自動になり、オーナーが地球の裏側で一年中バカンスをしていても問題ない、となれば、人は遊んで暮らせることになる。

今のところ、これに近いことができるのは、株の自動取引のような、全てオンラインで完結するものだけだ。だが、例えば家事代行サービスのような「酪農代行サービス」があって、そこに発注するだけでよいのであれば、似たようなことはできるだろう。そこが人手でやろうがロボットでやろうが関係ない、という世界だ。

更に、酪農においても個々のサービスを分解して、別の専門会社に発注するということもありうる。健康管理はA社、搾乳と回収販売はB社、掃除やメンテナンスはC社、などだ。各々はロボットを使うだろうから、自分でやるより安くなるかもしれない。

自分は一切働かないで済むのなら、利益率が低くても問題ない。数を増やせばよいからだ。投資は借金で行い、その返済も利益率計算に組み込めばよい。初期投資が不安なら、フランチャイズやパッケージビジネスという手がある。それを専門にする会社も出てくるだろう。場所の限定も受けないから、世界中あちこちで薄く広く利益を掠め取るようなことも可能なはずだ。

殆どの人が働かずサービスも安価に受けられる時代というのは、世の中の殆どの人が実業ではなくビジネスオーナーである時代、なのかもしれない。

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