2017年12月28日木曜日
AIによる倒壊危険度予測
AIは今、いわゆるハイプカーブの流行期から減滅期に至る過程にあると思われる。あらゆるものにAIが試され、あるものは成功し、あるものは失敗する。そんな中で、「これに使えないか」というのが、タイトルの倒壊予測である。
仕組みは簡単で、既存の建物の耐震診断と同じだ。建物に微小な揺れを与えてその揺れを計測し、実際の大きな地震での損傷や倒壊の危険を診断するものだ。何が今までと違うかと言うと、その簡便性と、そこからくる対象だ。
この耐震診断では、建物の各所に加速度計をつけて、更には専用の振動機械を使って振動させる。このため診断には時間的にも費用的にもそれなりのものが掛かる。これは建築基準法やら保険やらに影響があるため、それなりに校正やら根拠やらも必要だから、コストが掛かるのは分かる。これに対し、あくまで精度は保証せず、その代わりに低コストで判定するようなジャンルのものが存在しても良いはずだ。狙うのはここの市場である。
これはさすがに無料とはいかない。大きな建造物をそれなりの強さで揺らすためには機械が必要だからだ。この機械をいかに安く作るかはひとつの課題だが、恐らくはアタッシュケースかキャリーカート程度に納まり、AC100V、1kW程度までで動く電動ないしは電動ポンプを介したエアー駆動、というのが最悪の目安で、できればハンディくらいがよい。
これの対象とするのは、木造の一軒家よりは小さい建造物で、代表的にはブロック塀だ。振動機を地面に置き、ブロック塀に振動部を押し当てて塀を揺らす。もちろんその強さはごく弱く、見た目では分からないほどだ。振動数を徐々に上げながら、その変形を見る。
ここで、どのように変形度を見るかが新しいところだ。ARKitやProject Tango、つまりスマホの3Dカメラで見て画像解析するだけ、とする。さすがに手持ちではキツかろうから三脚に立てるにしても、それだけだ。
振動機と画像のブロック塀変形の相関関係をAIで学習させることにより、振動が大きかった場合のブロック塀変形の程度をシミュレーションすることができる。この変形度が一定以上大きいとなると「危険」と判断する、というわけだ。
また、元データを使って、過去のさまざまな地震に対する耐性をシミュレーションすることもできるようになる。東北のどの地点と同等だとダメ、などというのも分かる。
振動機の位置によって結果が変わる懸念はあるが、地震学や物理学の見地から、どうすればよいかを研究することはできるだろう。振動機を当てる場所を複数にして総合的に診断する、などということも、研究が進めば考えられるだろうし、精度が一定以上出るのであれば、一軒家への適用にも道が見えるものと考える。
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