2017年12月3日日曜日
自治体ポイント改良案
またまた使えない制度が一つ出てきたようだ。
https://www.point-navi.soumu.go.jp/point-navi/
詳細はまずリンク先で確認してほしいのだが、企業のポイントを「自治体ポイント」に交換してその自治体ポイントで地元の特産品を通販で買ったり自治体の提供するサービスの支払いに充てたりする制度だ。基本的にコンピュータシステムであるから、何億円という開発費に日々の運用費を掛けているものと思われる。だがこれが普及する可能性は極めて低い。なぜダメなのか、どうすれば良いのかを考えてみる。
まず、「自治体ポイント」というのは、自治体毎に設定され、相互に変換はできない。例えば東京なら「豊島区ポイント」だけしか設定されていない。豊島区ポイントの場合、地元商店街で使えるが、これまた全商店で使えるわけではなく、限られた商店だけ、またその商店も大手チェーン店は参加していない。他には区役所で使えるようだが、何に使えるかはHPに明記されていない。
これらの事実は、「気軽にポイント移行できない」ということを示している。特定の店に行く予定があり、その店がポイントに対応していることを確認の上、ポイントをオンラインでまず変換しておいてから店に行く、という手順になる。
次に、マイナンバーカードが必要で、更に事前設定が必要である。これに使うのはPCであり、カードリーダーも必要になる。PCでの設定は大変で、素人には敷居が高すぎる。確定申告でさんざん言われてきたことは、今回にも当てはまる。
次に、ポイントの移行には手数料が必要で、移行の単位はポイントによって異なるが、例えばドコモのdポイントの場合は5000ポイント単位で、手数料が250ポイント掛かる。移行可能なポイントプログラムもまだまだ少ない。
だがこれはしょうがない部分もある。そもそも企業にとって、ポイントは囲い込みの手段である。他に提供することそのものがポイントの目的に反している。また、使われず死蔵されるポイントは「儲け」である。それを何の義理でタダで譲らなくてはならないのか。断って当然だし、参加しても手数料で損失を押さえたいと思うのもまた当然だ。
それにもし5250ポイントもあれば、わざわざ自治体ポイントに変換せずともd何とかのサービスで使いたいと思うだろう。その方がメニューは豊富だし、手数料を考えれば割安だ。設計の理念のレベルで間違っている。
ではどう直すのか。元々の発想は地場産業の活性化であろうから、地元商店街且つ全国チェーン店でないところを対象とすること自体は曲げられないだろう。ポイントプログラムを地場活性化のために少しはちょうだい、というのも、額が小さければある程度賛同されるものと思われる。マイナンバーカードを無理やり使おうというのも魂胆ではあろうが、無駄金になってしまえば本末転倒である。
まず第一に、手数料ポイントはゼロでないといけない。そのためには、ポイントプログラムにとって負担が少ない範囲である必要がある。これには、千ポイント以下の「はした金」を対象とするのがよい。また、1ポイント単位できっちり回収する。
次に、対応する自治体ポイントは全自治体対応の共通ポイントにする。地元商店街に落ちる前提なら、ポイントがローカル自治体ポイントである必然性はないからだ。最初に選ぶか最後に選ぶかの違いであり、当初の目的は達成できる。
次に、マイナンバーカードとポイントプログラムの結合は、全国の市役所や出張所で受け付けるものとする。持っているマイナンバーカードとポイントプログラムのカードを持っていって、本人確認だけすれば後は職員が手続きしてくれるようにする。
但し結合するところだけで、実際のポイントの移行は自分の意志で行う必要がある。PCならカードリーダーが必要だが、スマホならソフトだけでできる。指定アプリを入れるだけだ。もちろんログインはマイナンバーカードのタッチと暗証番号だ。
これは基本的に千ポイント未満の「はした金」だ。全ポイントプログラムからボタン一つで千円未満のポイントをかき集めて自治体ポイントの変換を行う。千ポイント以上の交換手続きは原則としてできないようにする。かき集めて千ポイント以上になる場合、特定の優先度で先に千円までポイントを集め、残りは再度ボタンを押すようにする。
これなら、支払い時に「自治体ポイント対応」のステッカーを見て、スマホでソフトを立ち上げ、ボタン一つでポイントをかき集め、その場で支払いに充てることができる。こうすると、殆どの場合は足りないため、追加で現金が常に必要である点は変わらない。一方で、使う機会は格段に増えることになるし、参加するポイントプログラムの数も増えるだろう。
ほんのちょっとのユーザーインターフェースの違いが、システムの使い勝手から利用頻度までを大きく損なってしまう。神は細部に宿ると言うが、もっと細部の設計をしっかりしてほしいものだ。
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