2019年3月11日月曜日

ロボット労働のパラドックス


  1. 将来はロボットが人間に代わって働いてくれるようになる。人間は楽をして生きられるはずだ。
  2. 将来はロボットが人間に代わって働いてくれるようになる。人間は生活の糧を稼ぐ術を失い、困窮するはずだ。
過去に、自動車や機械、コンピュータなどが発明されるたびに問われてきたこの問題だが、AIとロボットの組み合わせにはかつて無いほどの深刻さが備わっている。その理由は、自動車は空を飛べないし、自動織機にレジ打ちはできない、ということ。つまり今までは抜け道が、それもたくさんあったのだが、AIとロボットの組み合わせではおおよそそれがふさがれてしまう恐れがある、ということだ。

現実問題としては、全体的に見ればバランスは取れていくのだろうと思う。つまり、人間でしかできない労働の価値が上がり、一方でロボットができるものの価値は下がり、その分安く買える(使える)ようになる。単純労働者はいなくなるが、一方でマネージメントの価値は上昇する。誰でも作れるものは売れなくなり、工夫のあるものに高い値がつく。そのうち、単純労働しかできなかった人間は減っていき、誰もが新規アイデアの創出やマネージメントの能力を身につけるのが当たり前になる。今、コンピュータの操作ができることが当たり前になっているように。

ただ、必要な教育レベルが上がる分、教育は長く時間が掛かり、コストも上昇する。それに耐えられない貧乏人は脱落し、本当に何もできない人になってしまう。芸術でさえ、芸人でさえ、コンピュータを駆使する手法が流行れば太刀打ちできなくなる。

放っておけば、その人たちは国にとって「単なるコスト(生活保護対象)」になってしまう。それが少ないうちは良いが、既に無視できない人数になってきているのではないだろうか。

そこで国が取るべき政策は、二つ考えられる。ひとつはそういった人たちへの教育。いわゆるリカレント教育を含む。もうひとつは、そういった人たちでもできるように、仕事の方が歩み寄っていくことだ。業務の創出、ないしはコンピュータの操作を簡単にするなどが考えられる。

リカレント教育については既に国が(遅々として)動いているが、後者については明確な動きがない。ここを明確に定義してカネをつぎ込んで研究しないと、日本は(いや世界は)貧乏人で溢れかえることになる。それはスラム化と隔離を生み、暴動や戦争、疫病などの原因になりかねない。

改めて考えてみようと思うが、ここはもっと研究すべきだろう。まずは危機感を持ってもらうことが重要だ。

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