
合計特殊出生率が1付近でウロウロしている時代が長く続いている。これは一世代で人口が半分になるという急速な少子高齢化を意味しており、現在の日本で既に数兆円規模で行われている少子化対策費をもっても止められていない。移民やAI・ロボットによる労働力支援は窮余の策ではあるが根本的解決にはなっていない。直接的に出生率を2に近づけるためには何をしたらよいのだろうか。
根本的理由は、市民のモチベーションだ。つまり、子供を持つことが嬉しい・楽しいことであるという意識を持つことだ。そのために「お手伝いさんロボット」を作ったらどうだろう、と思って生成AIに聞いてみたのだが、見事に否定された。
というのは、育児をロボットに任せてしまうと子供への愛情が育ちにくくなるからだ。人間には「イケア効果」というものがあり、つまり手をかけた子供ほど愛おしくなるものなのだそうだ。他にも子どもの側からしても「困難な時に寄り添ってくれた親ほど好きになる」という心理があり、何でも育児をロボットなり他人なりに手伝わせてしまうと、双方にとって宜しくない。
考えてみれば、大金持ちの息子がドラ息子になりやすいのはそういう理由なのだろう。子育てをお手伝いさんに任せっきりでは、親子共に精神的成長ができず双方の愛情も育たない。
そこで考えるのは、そういった心理学的効果を知識として持ち、リアルタイムに親と子の精神状態やホルモン分泌(愛情ホルモン、ストレスホルモンなど)を監視して、理想の子育てができるように補助・支援してくれるロボットである。
ハードウェア的には育児ロボットと同じであるが、基本的には手伝わない。親の表情や、指輪型センサ等から得た体内情報(推測でよい)、子どもの状態を総合的に判断し、適切なアドバイスを行い、相談に答え、それでもキツイときには最低限の手伝いをする、といったロボットである。
例えば、スキンシップは幸せホルモン(オキシトシンなど)発生を促す。適度な会話もそうだ。ただ過度になるとストレスになる。その境をロボットが見極める。また深夜の見守りや授乳は一部代替し、親が寝不足にならないようにする。おむつを替えるタイミングをアドバイスする。叱り方もアドバイスをする。暴力は止めさせる。保育園で発熱したときには代理で引き取ったり、迎えに行くのが遅れたときには先行して待機する。受験のアドバイスをする。声掛けのタイミングや内容をアドバイスする。子供と一緒に遊ぶことも促す。こうやって書いてみると、親の親が同居していて育児を支援するようなものかもしれない。
このロボットを自治体が子育て世帯に貸し出す。この支援によって、子供は親の愛情を最大限に受けて育ち、一方で親も子供を最大限に愛することができる。これが好循環を生んで、子世代はより多くの子供を持ちたいと思うようになる、という次第である。
もちろん社会制度としての補助も必要で、育児休暇の完全消化を義務付け、子育て放棄はロボットが監視しておいて強い罰則を設ける、教育費用は全て無償化する、医療費も大幅免除、といったことが必要になるだろう。
このロボットが完璧なら、ロボットのいる家庭の子供は一律に幸せで賢く愛情豊かで、友達も多く生活が充実しているはずだ。それを周囲の子供や親世代が見れば、皆ロボットを導入したいと思うようになるだろう。
ただ、それで出生率1.1が1.3くらいになるのは容易だろうが、2や2.1に届くかどうかは、やってみないと分からない。


