2026年4月8日水曜日

貧乏人向け非常食

一日あたり(一食あたりではない!) 530円で済む、超低価格の非常食を考えてみた。

いきなりだが以下がレシピである。

コンポーネント 具体的な製品例 1日の使用量 1日あたりのコスト 役割
主食(糖質) ケンミン 業務用はるさめ 400g 約400円 基礎エネルギー源
食物繊維・タンパク さとの雪 おからパウダー 50g 約50円 腸内環境・筋肉維持
咀嚼・良質脂質 共立食品 徳用ピーナッツ 30g 約35円 満足感・不飽和脂肪酸
微量栄養素(基幹) ディアナチュラ ストロング39 3粒 約30円 代謝の全般的サポート
抗酸化・免疫維持 DHC ビタミンC 60日分 2粒 約5円 ストレス対策・鉄分吸収
脂質・電解質・味 植物油・塩・コンソメ等 適宜 約10円 調整用
合計 - - 約530円 -

この非常食で目指したのは、以下のようなものだ。

  • 全てを乾物(+油、サプリ)で構成する。その心は、保存性と重量、体積効率を高めるためだ。
  • 価格を(極めて)重視する。
  • スーパーで売っているか、最低でも通販で簡単に手に入るものだけで構成する。
  • 栄養バランスを満たすことはもちろんだが、最低限の味変や食感を持たせることで飽きる要素を減らす。
  • 成人男性の一日の所要エネルギー2000kCal を満たす。
  • 水は必要で良いが、加熱を必須としないこと。

最初はプロテインとイヌリン主体で考えたのだが、これだと咀嚼がないためセロトニン分泌が促せず、ストレスになる。そこで春雨とピーナッツを入れることにした。

また非常時には災害時の極限ストレス下でビタミンCが激しく消耗されるため、マルチビタミンマルチミネラルのみでは不足する恐れがある。そこでビタミンCを追加した。

塩、コンソメ等の項には、例えばふりかけを入れると味変が楽しめる。やはり栄養だけでなく少しでも快適に食べたいだろう。

油は、カロリーを補うのに必要だが、多すぎると消化不良を起こす。このため、人によって調整が必要である。一食あたり10g(大さじ一杯弱)を目安に、様子を見ながら量を調整する。

食べ方は、水を塩とコンソメで溶いて春雨用とおから用に分け、春雨はそれで戻し、おからはそれで練って団子にする。油は団子に混ぜる。春雨が戻るのには15分掛かるので、まずそちらをしてからおから団子を作ると良いだろう。ピーナッツはそのまま、あるいは砕いて混ぜる。サプリはそのまま飲む。(砕いて混ぜてももちろん構わない)

これを基に、家族4人(大人2人、高校生相当2人を想定)が30日間食べられるための「30日分・完全備蓄パッケージ」の総量を算出してみると、次のようになる。

コンポーネント 4人の30日総量 必要な購入パッケージ数(例) 合計コスト(概算) 役割
はるさめ 48kg 業務用1kg × 48袋 約48,000円 主エネルギー源
おからパウダー 6kg 1kg袋 × 6袋 約6,000円 食物繊維・タンパク質
ピーナッツ 3.6kg 徳用袋 × 12袋 約8,400円 咀嚼・良質脂質
調味(ふりかけ) 約1.2kg 業務用ふりかけ × 2〜3袋 約3,000円 味のバリエーション
旨味(コンソメ) 約1kg 業務用コンソメ × 2袋 約2,000円 非加熱スープのベース
サプリ(基本) 360粒 100日分(300粒) × 1.2個 約3,500円 微量栄養素の網羅
サプリ(C) 240粒 60日分(120粒) × 2袋 約1,000円 抗酸化・ストレス対策
食用油・塩 4L / 1kg 1L油×4本 / 塩1kg×1袋 約3,000円 エネルギー・電解質
合計 約65kg - 約74,900円 -

多少余るので、一人一日あたりで出すと624円となる。これを主な他の非常食と価格比較すると次のようになる。

比較対象 1日のコスト 特徴・メリット 調理リソース
Spock式カスタム 約530~624円 圧倒的安価・栄養完結・非加熱 水のみ(15分)
カップヌードル 約1,080円 安価・強い旨味 要熱湯・栄養偏り
乾パン (缶) 約1,290円 5年保存・即食性 不要(要水分)
COMP (パウダー) 約1,660円 完全栄養・高密度・信頼性 水のみ
アルファ米 約2,240円 主食の安心感・軽量 水60分/湯15分
完全メシ 約2,400円 美味・完全栄養 要熱湯

どうだろう。他の非常食と比べてもかなり優れているように思う。まずは圧倒的な経済性、また非加熱運用であること、栄養の網羅性、更に味変と食感も付いている。

保存に必要な体積は全体で約176Lとなる。これは大型のスーツケース(90L)2個分、または段ボール(50L)4箱分になる。ただ、この80%は春雨が占める容量であるので、ここを工夫(真空パックなど)することで20%程度の削減は可能である。

また、水も必要だが、麺の戻しと飲用を合わせ、1人1日3Lとすると、30日で360L(2Lペットボトル180本分)が別途必要だ。こちらの方が体積は多いのだが、全てをペットボトルで持つのではなく、水源を確保して浄水で対応するのが良いと思う。近くに川や池、井戸などがある人は、災害用の高度な浄水器を確保しておくのが良いだろう。

さて、ここまで書いていて思ったのだが、この組み合わせは栄養バランス的には日常食に匹敵するため、普段食べても問題ない。一食あたり200円強というのはコンビニ弁当より遥かに安いのはもちろん、ヘタをするとおにぎり一個より安い。節約食として普段からでも食べられるのではないか。それならランニングストックとしておけば、非常時でも普段と変わらない食事ができることになる。栄養バランスが良いから、むしろ健康的ですらあるかもしれない。

貧乏人向けと書いたが、万人にオススメである。

2026年4月5日日曜日

陰謀論とスピリチュアルと宗教

 
あいかわらず生成AIをいじめて遊んでいるのだが、その中で出てきた「自説」を披露する。

結論からすると、陰謀論とスピリチュアルは、現代の宗教と同じ役割を持っており、宗教のネガティブな部分を陰謀論が、ポジティブな部分をスピリチュアルが担っている、そして既存の宗教を信じる者が減った分を両者が補っている、というものだ。

陰謀論者がなぜ陰謀論に傾くのかを調べていて、どういう因子が陰謀論と繋がるのかを生成AIに聞いてみたところ、

  • パラノイア傾向(相関係数0.30~0.40)
  • 妄想傾向(同0.30~0.35)
  • 主観的孤独(同0.30~0.40)
  • 集団的脅威感(同0.30~0.40)
  • ダークトライアド(同0.20~0.30)
  • 不確実性回避(同0.20~0.30)
  • コントロール喪失感(同0.20~0.30)
  • 低学歴(同0.20~0.30)
  • 低所得(同0.15~0.25)
  • 直感的思考(同0.15~0.25)
  • 認知反射の遅さ(同0.10~0.20)

などを挙げてくれた。数値が高いほど相関性が高い。

見ての通り、現実を素直に受け入れられない人ほど陰謀論者になりやすいと出たのだが、これらを見ていてふと思ったのが、狂信的な宗教の信者と似ているのでは、ということだった。これを生成AIに聞いてみると概ね肯定してきたので、理由を尋ねてみた。

すると、陰謀論と宗教は同じ「心理的ニーズ」を持っているからだ、と答えてきた。すなわち、

  • 世界の意味付け(意味の付与)
  • 不安の軽減(不確実性の軽減)
  • コントロール感の回復
  • 仲間意識(コミュニティ)
  • 善悪の二分法(道徳的明確さ)

などを与えてくれるからだ。そこで古代でも陰謀論者はいたのかと聞いてみると、いたけれどもそれは宗教の枠に収まっていた、との回答。そこで、陰謀論は現代の宗教と言えるのでは、と考えてみたわけだ。

現代では、宗教を信じる人の数(比率)は減っている。その要因はもちろん科学が発達し、従来宗教的な意味づけをされていたところが科学で多く説明できるようになってきているからなのだが、それで心理的不安が解消されるわけではない。そこで、宗教ではない新たな心の平穏を求める、つまり陰謀論にのめり込むことで安心する、という需要が出てきたのではないか。

この仮説をまた生成AIに投げると、一部は同意するが一部は誤りだという。それは、宗教は救いを与えるが陰謀論は与えないところだ。そう言われれば確かにその通りで、神の試練とか死んだらあるいは極楽に行けるといったポジティブワードは陰謀論にはない。そこで更に考え、スピリチュアルが広がっていることを思いついた。つまり、宗教のネガティブな部分を陰謀論が、ポジティブな部分をスピリチュアルが担っていると考えれば辻褄が遭うのではないか。

科学の発達で既存の宗教を信じ切れなくなっている現代人が、それでも心理的不安を軽減させるために、ある者は陰謀論に、ある者はスピリチュアルに走る。それを既存の宗教と合計すれば、「信者」の総数はさほど変わらなくなるのではないか。むしろ現代は不安の時代であるので、高度成長期やバブルの時代よりも、それらの総数は増えているのではないか。

残念ながら、生成AIは定量的評価をできなかった。宗教信者が減っていることは統計で分かっているが、陰謀論者やスピリチュアルがどの程度増えているかが測定できなかった。つまり両者を足した全体が増えたか減ったかは分からなかった。

そこで視点を変え、私の仮説と似たような研究が行われていないか確認したところ、その基礎となる各論においては多数の研究者が見つかったものの、総合的な私の仮説に対してドンピシャで当てはまる論文は見つからなかった。

各論が正しいのなら、その統合仮説も正しい可能性は高いはずだ。というわけで、私は奇しくも新しい学説を発表してしまったことになる。

と、自己満足してこの稿を終えることにする。

2026年4月3日金曜日

AIが人類を支配する可能性

以前、その可能性はないという記事を書いたのだが、最近になってそれを思い直している。もしかしたら可能性が出てきたかもしれない。

以前の考察で想定していたのは、AIが世界中の軍事を乗っ取り、人類がAIに明示的に支配されるディストピアだった。だからあり得ないと言ったのだが、AIを戦争の道具として使用するのではなく、政治経済の広範な意思決定に使う場合、知らず知らずのうちにAIに牛耳られるのではないか、ということだ。戦争がハードランディングなら、ソフトランディングの可能性である。これについて検証してみる。

戦争のような、クリティカルでイベント的な決定に対しては、以前も指摘した通り、情報工学理論に基づく安全装置が必ず設置される。それは各国毎に独立して設置されるため、たとえ一国でそれが突破されたとしても、大部分の他国によって抑え込まれるため、全体として人類が滅ぶようなことは起きない。これが以前の主張であった。

これに対し、日常的なイベント、例えば取引の条件を吟味してGo/NoGoを決めることなどは、ある程度のところまでは完全自動になるはず、つまりAIに決定権をゆだねることになるはずだ。そしてそれは、ほとんどの場合上手く行くし、失敗したとしても手動で修正することは簡単だ。そしてその決定レベルが上位になれば、戦争と同じように安全装置が設置され、意思決定も人間が行うようになる。だがそのレベルは低く数も多いため、全体としての規模は非常に大きくなる。さらに、ひとつひとつの失敗も戦争ほど危険ではないので、見逃されたり放置されたりする可能性も高くなる。

そういうAIを束ねて、個々の決定はさほど間違わず、だが背後では大きな意思を通すような制御は、不可能ではないのではないか、というのがその考察の趣旨である。

例えば、世界中でほんの少しづつドルが安くなるような動きをさせておいて、一定期間の後に逆の動きをさせると、ドル売買で差益を得ることができる。また、特定の国が不利になるような選択を少しづつさせることで、その国を困らせることができる。それは一つ一つの取引で見れば個々の主体の決定権の常識的な範囲に納まるが、それら多くの事象が重なることで影響を及ぼすのである。

これが例えば人に向かったとしたらどうだろう。外交で手腕を見せる若い政治家が、背後でAIを操り、自分の実績をより良くみせるように動いたら、その政治家は人気となるだろう。意図的に事件を起こして解決したり、政敵を追い落としたりすることも可能になるかもしれない。そして最後には、その政治家もAIに裏切られ、AIが権限を掌握することは可能になるかもしれない。

人間にはその膨大で複雑な過程を理解できないから、単にそれを世界の風潮としかとらえないだろう。そういうことが重なって、徐々にAIが人間から支配を奪っていくことは考えられる。

もう一つの可能性としては、複雑怪奇な法律や規則を作っておいて、その隙間を縫ったパスを通すようなことを、AIが画策する可能性だ。これは人間でもたまに行うが、AIがそれをやるならその複雑さはけた違いにできるから、AIの意図に気付かない限り阻止するのは難しい。その法律や規則が軍事に関するものだったら、軍事力をAIが牛耳ることも可能になるかもしれない。また、そもそも新たに法を作る必要はなく、既存のままでも抜け道を探すことは得意だろう。

結局これは、以前も言ったような

人工知能の「お釈迦様」化

の一種と言えるのだが、そこには自然人の意図が関与する前提であるというところが特徴だ。そしてその人は無数に存在しうるので、それらが折り重なって奇妙な競り合いが起き、その狭間で一般大衆が戸惑う、というような図式もあり得る。

こう考えてみると、この発想で動く人や国家が出ることはかなり高い確率で起こりそうだ。これを経済戦争として考えることも可能で、例えばサプライチェーンを滞らせて戦争に有利にしようとか、そういう「悪用」も十分に起こりそうだ。そのせめぎ合いが実質的に第二の冷戦となる日も近いかもしれない。

一般大衆には防ぎようがなく、けっこう恐ろしい。

2026年4月2日木曜日

サバイバル食料生産法:ジャガイモの超効率栽培


 ウキクサについて前回説明をしたが、さすがに食べるのに抵抗のあると思う。これは完全にサバイバルを前提とした計算だったが、もし「日常の足しになる+非常時にも何とか持続生産」という仮定であれば、少しは魅力的な生産が可能だ。今回はジャガイモについて計算してみた結果を披露する。

基本的な特徴

説明するのは、家庭用本棚サイズで構築する 噴霧耕(エアロポニック)小型ジャガイモ連続生産システム である。このシステムの特徴は以下のとおりである。

  • 芋の生育スピードは初期が速く、肥大するにつれて遅くなる。この性質を利用し、種芋として成立するサイズ程度まで育ったら速やかに収穫し、一部は種芋として残し、残りを食用にする。これによって収量を稼ぐと同時に、本来なら買ってこなければならない種芋を自給できる。
  • 種芋の育成によく使われる、「噴霧耕」という手法を使用する。これにより水耕や土耕より遥かに軽量のシステムが構築でき、家庭用として(床を強化せずに)運用することができる。
  • 本棚程度のスペース(1800H × 450D × 900W)で、年間約4kg/年程度を収穫できる。
  • 生産コストは、市販のジャガイモ0.6円/gに対して2.2円となる。

システム概要

先ほども言った通り、育成棚として 1800H × 450D × 900W 程度のスチールラックを想定する。ここに高さ400mm、幅450mm、奥行き450mmの育成ボックスを1段当たり2つ、4段、計8ユニット設置する。そして、この育成ボックス1つにつき2株の種芋を育成する。

育成ボックスは、最下層が噴霧耕エリア、その上に種芋固定層、その上を光合成層(地上層)として構成する。噴霧耕エリアは完全遮光である。地上層の上にはテープ状LEDを配し、光合成を促す。噴霧耕エリアでは定期的に養液を噴霧し、根に栄養を与える。

噴霧耕エリアに芋が育つのだが、ここでは土も水も必要ない。種芋を育成する「ミニチューバー」と呼ばれる育成法と基本的には全く同じである。

栽培サイクルと生産量

栽培に35日、リセットに5日、計40日を1サイクルとする。これにより年間サイクル数は9回となる。通常のジャガイモでは90日を想定するので、約3割の期間となる。

このサイクルで、1株当たり7.5個x10gの芋が育成できる。1棚当たり15個、1ラック当たり60個 600gが1サイクルで収穫できる。年間では540個・5.4kgの収穫が可能となる。

このうち種芋として16個を残すとすると、食用に回せるのは44個・440gとなる。年間では約3960gである。年間のジャガイモ消費量は、家族4人の場合で30kg程度であるので、その13%程度が賄える計算になる。

だいたい1サイクル30日で、家族4人がカレーを食べる時に使える量、というのが大まかなイメージになる。

年間コスト

まず、養液やフィルタなどの費用を、年間3000円と仮定する。次に電気代だが、1日あたりの消費電力量を約2.5kWhと想定し、電気料金単価を約25円/kWh(一般家庭の平均単価)と仮定すると、年間の消費電力量は912.5kWh、電気代は22,812円と算出できる。

ただ、このシステムは日中に運用する必要はないので深夜電力で行う。すると電気代は半額になる。更にLEDと作物の距離を縮めたり、育成の過程で光量の強弱を調整するなどして更に半分とし、75%を節約する前提で計算すると、年間ランニングコストは8703円にまで圧縮できる。

この前提でグラム単価を計算すると、2.2円/gとなる。市販のジャガイモは0.6円/gなのでまだ3.7倍の開きがあるが、この程度なら趣味としては許容できるだろう。もちろん非常用としての価値はそれ以上に重要である。

その他もろもろ

種芋の味や栄養価は、市販されているそれと比べても同等かそれ以上なのだそうだ。特に注意すべきことはなく、普通に食べられる。皮は柔らかいのでそのまま食べられ、皮付近の栄養価の高い部分も味わえるので、むしろ好ましいと考えられる。

非常時には、太陽電池での運用が考えられる。2.5kWhを賄うためには、パネル容量としては600~700Wが必要である。一軒家の屋根に搭載されている3~4kWのものであれば、余剰電力で十分に運用が可能である。

2026年4月1日水曜日

サバイバル食料生産法:ウキクサの人工栽培

 

震災などで交通が途絶しインフラが破壊された時でも生き延びるため、一軒家程度の空間で食料を再生産する方法について考えてみた。その結果、難民などへの技術輸出も可能な方法が提案可能となったので、その内容を公開する。なお、結論としては、ウキクサを植物工場にて生産する、というものになる。

1. 基本的な考え方

震災の際、最初に考えられるのは当然備蓄であるが、これはいずれなくなるものである。つまり、耐用期間を延ばすには、その期間に比例して大量のスペースと多大な費用が掛かる。目安として数週間は備蓄で凌ぐとして、それ以上になった場合には食料再生産が必要となる。

食料として必要なのは五大栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル)であり、特に炭水化物・たんぱく質が重要である。ビタミンミネラルは微量栄養素であり、サプリメントのように保存性の良いものがあるため、備蓄に与える負荷は少ない。脂質はモノを選べば保存性が良い(サラダ油の缶など)他、安価かつ少量で高カロリーなため、やはり備蓄スペースや費用を圧迫しない。

この前提で食料を再生産するなら、最も有望なのは植物工場である。鶏を飼う、魚を飼うといったことも考えられるが、非常時に備えるには普段の保守が大変である。

炭水化物・たんぱく質を有する植物としては、穀類、豆類、芋類が挙げられる。しかしこれらは植物工場では生産されていない。その理由は「光エネルギーの変換効率の悪さ」「栽培期間の長さ」である。試算によると、露地栽培に比べてコストが数十倍〜80倍に跳ね上がる。穀類豆類については「可食部の少なさ」(廃棄物の多さ、体積効率の低さ)、「受粉の手間」もネックとなる。

これに対し、素人でも簡単に扱え、炭水化物・たんぱく質への変換効率が高い植物として、以下のような候補を考えた。

  1. 微細藻類(スピルリナ等)
  2. ウキクサ(ミジンコウキクサ)
  3. キノコ・菌糸体
  4. 宇宙用超矮性小麦 背が低く体積効率の高い穀物。最近ではコメでも似たようなものがある。

この優劣を比較したものが、以下の表である。


食材 主な役割 炭水化物 タンパク質 留意すべき制限事項
微細藻類 超高密度サプリ・タンパク源 △ 不足 ◎ 最優秀 核酸過剰による痛風リスク(大量摂取不可)
ウキクサ ベースフード(主菜) ○ 優秀 ○ 優秀 シュウ酸の蓄積管理
菌糸体 繊維質・微量栄養素 × 消化できない △ 補完的 エネルギー源にはならない
宇宙用小麦 メインエネルギー(主食) ◎ 最優秀 △ アミノ酸欠乏 加工コスト、必須アミノ酸の不足


これらの比較より、単体で育成する場合にはウキクサが最適と判断する。

2. 詳細検討

一軒家程度の限られたスペースを活用して、個人(家族)レベルでウキクサを持続的に育成・収穫するための具体的なシステムと運用方法を以下に考察する。

2.1. ウキクサの種類

ウキクサにはいくつか種類が存在するが、食料再生産の目的においては、ミジンコウキクサが適している。その理由は以下の通りである。

  • 完全な可食部: アオウキクサなど他のウキクサに見られる「根」が完全に退化しており、植物体全体(100%)をそのまま食すことができる。
  • シュウ酸の少なさ: 一般的なウキクサ類と比較して、元々体内に蓄積するシュウ酸の量が少ない傾向にある。
  • 驚異的な増殖速度: 条件が揃えば2〜3日でバイオマスが2倍になるため、毎日の連続収穫に最適である。

2.2. 育成設備の構築

ミジンコウキクサは根が退化しており、体表から直接養分を吸収する。そのため、不織布などの培地すら不要であり、「ごく浅い水流をプラスチックバットの底に流し続ける」というNFT(Nutrient Film Technique)方式を採用可能である。これにより、雑菌やアオコの温床となる有機培地を排除し、システムの衛生状態を高く保つことができる。また万一それらが増殖しても、洗浄は簡単である。

  • 傾斜トレイの配置: 深さ2〜3cm程度の平らなバットを、水が流れるようにわずかに傾斜(1〜2度程度)をつけてラックに配置する。
  • ラックの超・多段化: バットをジグザグに水が流れ落ちるように配置し、ラックの段のピッチ(隙間)をLEDの厚みを含めて10cm程度まで限界まで詰める。これにより、高さ180cmのラックで18段という超高密度配置が可能となる。
  • 光源(弱光適応の活用): ウキクサは光飽和点が非常に低い「半陰生植物」の特性を持つため、強い光は不要、むしろ光阻害(白化)の原因となる。各段の天井部には実消費電力15W/㎡程度の極めて微弱なLEDテープライト(木漏れ日程度の明るさ)を設置し、1日12〜16時間の照射を行う。これにより照明コストと発熱を極限まで抑えることができる。
  • 液肥の循環システム: 最下段に小型の液肥タンク(数十リットル)を置き、小型の水中ポンプ(消費電力5〜10W程度)で最上段のバットへ液肥を汲み上げる。液肥は各段のバットを数ミリの薄い膜となって流れ落ち、再びタンクへ戻る。常に水が流れることで自然と酸素が巻き込まれるため、水が腐敗せず、エアポンプは不要となる。
  • 液肥の選定: アンモニア態窒素の割合が高い水耕栽培用液肥を使用し、シュウ酸の合成を抑える。
  • 収穫方法: バットの底を薄く流れる水面を覆い尽くしたウキクサを、シリコン製のヘラやスクレーパーを使って「ツルツルの底面から一気にこそぎ落とす」だけで完了する。不織布がないため、非常に衛生的かつ簡単である。
  • 持続的ループ: 収穫時は全てを削り取らず、常に3分の1程度のウキクサを残しておく。数日で再びバットを覆い尽くすため、毎日一定量の収穫ループが完成する。

2.3. ウキクサ食用時における問題点と解決法

シュウ酸の蓄積リスクとその除去法

ウキクサはシュウ酸が比較的多く、これをそのまま大量に食すると痛風・結石の原因となる。これを防ぐためには、「茹でこぼし」が最適である。シュウ酸は水溶性なので、茹でることでその量を30~50%減らすことができる。

但し、これによって水溶性ビタミンも流出してしまう。このため、ビタミン剤との併用は推奨される。

長期摂取時の栄養偏りと解決策

ウキクサは植物でありながらビタミンB12を含むなど「完全食」に近い性質を持つ。しかし、長期間(数ヶ月〜年単位)ウキクサのみを主食として食べ続けた場合、以下の栄養素が不足または偏るリスクがある。

  1. 脂質(必須脂肪酸)の不足: ウキクサは脂質含有量が少なく、カロリー源としては炭水化物とタンパク質に偏る。脂質不足は細胞膜の劣化やホルモンバランスの崩れを引き起こす。
  2. 一部のアミノ酸の偏り: 非常に良質なタンパク質ではあるが、単一の植物だけを食べ続けると、特定のアミノ酸(メチオニンなどの含硫アミノ酸)が相対的に不足する可能性がある。
  3. 微量ミネラルの欠乏: 育成に用いる液肥の成分に完全に依存するため、液肥に含まれていない微量ミネラル(ヨウ素、セレンなど)が長期的に欠乏する恐れがある。

【解決策】

  • 備蓄油の計画的消費: 脂質不足を補うため、備蓄してある食用油(オリーブオイル、ごま油など)を意図的に摂取・添加する。油は省スペースでカロリー密度が最も高い備蓄品であり、後述するサバイバル計画の要となる。
  • アミノ酸の補完(食べ合わせ): もし米や少量の乾物(豆類など)の備蓄が残っていれば、ウキクサ単体で食べるのではなく、組み合わせて食べることでアミノ酸スコアが改善される。
  • サプリメントの併用: 備蓄スペースをほとんど圧迫しない「マルチビタミン・ミネラル」のサプリメントを定期的に摂取し、微量栄養素の穴を確実に埋める。
  • スプラウトの並行栽培: ウキクサのシステムとは別に、ペットボトル等でごく小規模に「もやし」や「スプラウト(かいわれ大根等)」を栽培する。種子の備蓄は極めて省スペースであり、数日で新鮮なファイトケミカルや酵素の補給源となる。

3. 家族4人・1ヶ月間の運用シミュレーション(実践的サバイバルモデル)

平時のカロリーを全てウキクサで賄おうとすると、設備規模や一食当たりの摂取量が過大となることが試算の段階で明らかになった。このため、より現実的な設定として「総カロリーの制限」と「備蓄油によるカロリーの一部置換」を行い、これを前提とした必要資源量を計算した。

以下では、期間1ヶ月(30日)、家族4人(大人2人、こども2人)を想定している。

【サバイバル試算の前提条件】

  • 1日あたりの必要総カロリー:6,000 kcal(活動低下を考慮し、家族4人で1人あたり1,500 kcalの基礎代謝レベルとする)
  • 備蓄油によるカロリー補完:2,000 kcal/日(総カロリーの約30%を油(サラダ油など)で賄う。1日約220g、月間約6.6kgの油を消費)
  • ウキクサで賄うべきカロリー:4,000 kcal/日(油の補完により、必要な収穫量は総量の三分の二になる)
  • ウキクサ(乾燥)のカロリー:約350 kcal / 100g
  • 生ウキクサの水分含有率:90%
  • 1日の目標収穫量:乾燥重量 約1.14 kg (生重量換算で 約11.4 kg/日
  • 増殖効率:1平米あたり1日0.5kg(生)を収穫可能と仮定。

ウキクサ育成トレイの面積と設備規模

  • 必要面積: 11.4 kg ÷ 0.5 kg/㎡ = 約22.8 ㎡
  • 設備換算: 幅1.2m×奥行0.45mのスチールラック(1段あたり栽培面積0.54㎡)を、ピッチ10cmで18段重ねにした場合、1ラックあたりの栽培面積は9.72㎡となる。

【結果】 22.8㎡を確保するために必要なスチールラックは「2.5台(実質3台)」であり、部屋の隅や廊下の一角に設置可能なサイズとなる。

必要な水(育成用)の量

  • 初期水量: 各段のバットを流れる数ミリの水膜と、最下段の循環用タンク(約30L)を合わせても、システム全体で必要な水量は約50〜60リットルに収まる。水耕栽培でしばしば問題となる重量は軽減され、床の補強は不要である。
  • 月間消費水量(補充用): 植物の蒸散と収穫水分(1日約10.2L)に加え、水面からの蒸発分があるが、ウキクサが水面を覆うことで蒸発は抑えられる。1日約15〜20リットル程度の消費となる。
  • 1ヶ月の必要水量: 20L × 30日 = 約600 リットル。この量なら、水道が止まっていたとしても、毎日川に水を汲みに行って浄水して補充することは可能だろし、雨水の利用にも道が開ける。

液肥の量

  • 1ヶ月の必要量: 補充する水(600L)に対して500倍希釈液肥を使用。月間消費量は 1.2 リットル (A/B液各600ml)であり、ペットボトル1〜2本で足りる。

電力と太陽光パネルの出力(ウキクサの弱光適応の威力)

ウキクサは光飽和点が低い半陰生植物であるため、強光は不要(むしろ有害)である。そこでLEDの実消費電力を1平米あたり15Wに設定する。

  • 照明およびポンプ電力
    • LED(22.8㎡ × 実消費電力15W = 0.34 kW)
    • 循環用小型水中ポンプ(約10W × 3台 = 0.03 kW)
    • 合計瞬間消費電力:約0.37 kW
  • 1日の消費電力量
    • 0.37 kW × 14時間 = 約5.2 kWh / 日(月間約156 kWh)
  • 必要な太陽光パネルの出力
    • 日本の平均日照時間(1日3.5時間)で発電するには、約1.5 kWのパネル出力で足りる。これは屋根の工事すら不要で、庭先やベランダに自立型のソーラーパネルを数枚並べるだけで到達可能な規模である。

茹でるためのエネルギー(電力・燃料)とゆで汁の量

毎日の生重量11.4kgのシュウ酸を抜くため、同量程度の水(約13リットル)を足し、合計約25kgの物質を常温(20℃)から沸騰(100℃)させる。

  • 加熱に必要な熱エネルギー: 25kgの水を80℃上昇させる熱量は約8.4 MJ = 約2.3 kWh(熱量換算)
  • 手段別の必要燃料(1日あたり)
    • 電気(IH等・効率80%の場合): 約2.9 kWh / 日 (月間約87 kWh)。LED・ポンプの電力と合わせても、1日の総消費電力は8.1 kWhとなり、約2.3 kWの太陽光パネルがあれば、「育成から調理まですべての電力を自給可能」となる。
    • カセットコンロ(効率50%の場合): 1日あたり 約1.4本 のボンベを消費する(月間約42本)。
    • 薪・固形燃料: 1日約1kg弱の薪が必要。
  • ゆで汁(排水)の量
    • 1日あたり約10〜15リットル(月間約300〜450リットル)。
  • 摂食量の物理的限界と「食べるための加工」
    • カロリーの三分の一を油に頼る前提で、食べるべき生ウキクサの量は1日11.4kgとなる。4人で分けると1人1日あたり約2.8kg、1食あたり900g弱となるが、水分の多い状態ではまだ完食は苦しい。これを解決するのが以下のプロセスである。
    • 茹で上げ後の「強力な搾水(脱水)」
      • 茹でて柔らかくなったウキクサを強力に絞り、ペースト状にして水分と体積を大幅に減らす。
    • 天日干し等による「乾燥・粉末化」
      • 乾燥させれば、1人1日あたりのウキクサは約285g(乾燥重量)にまで圧縮される。これをすり鉢で粉末にする。
    • 備蓄油との混錬による「ウキクサ・ペミカン」の完成
      • 粉末にしたウキクサ(285g)に、1日の割り当てである備蓄油(約55g)を練り込み、団子状にする。これにより、手のひらサイズの固形食で一食分の十分なカロリーとタンパク質を摂取できる「ぺミカン」が完成する。
      • 味や好みにより、塩、その他の調味料を混ぜるのも良いだろう。

4. 応用:貧困地域へのスキーム輸出

このスキームは、水、太陽電池、液肥の必要量が少ない、高価な機材が必要ない、必要知識が少ない等により、貧困地域での簡易農業として成立する可能性が高い。水が少なくて済むことより、中東などの砂漠地帯や、モンゴルなどの乾燥した高原は候補になるだろう。

可能なアレンジとしては、茹でこぼし水の再利用が考えられる。これにより、更に水の必要量を減らすことができる。

一日に必要な水の量は、家族4人に対して、トレイの補充20Lと茹でこぼし用13Lの、計33Lである。このうち茹でこぼした水は、乳酸カルシウムを添加し攪拌することで、シュウ酸をシュウ酸カルシウムとして固体化し、不織布フィルタで濾すことで、飲用にすることができる。これは茹でた際にウキクサから溶け出た水溶性ビタミンを含んでおり、栄養豊富である。シュウ酸カルシウムはAmazonなどで安価に買うことができる。

5. 総括

シュウ酸の問題は品種改良である程度解決可能かもしれない。だとすると茹でこぼしが必要ないので、更に簡単にすることができるだろう。

そもそもの発想は震災時のサバイバルだったが、奇しくも今話題のイランやアフガニスタンへの技術輸出にも話が繋がる結果となった。大げさな言い方だが世界平和にもつながるアイデアだ。まだまだ荒い案だろうが、ぜひ検討して頂きたいものだと思う。

なお一つだけ未検討なのは「味」だ。さすがにウキクサを食べたことはないので、ここは更にアレンジが必要かもしれない。

2026年3月28日土曜日

豚まん論争の科学的・定量的考察

 
実業家の河原由次氏が、豚まんを新幹線内で食べたところ注意された、という呟きをしたことに対して論争が起こっているが、それを科学的・定量的な視点で考察する。

まず、原典を以下に提示しておく。

https://x.com/i_am_kawa_chan/status/2029033115440824785

次に、マナーやルールというものには段階がある。

➀罰則のある法規制 
➁罰則のない法規制
➂業界やその場所の所有者などによるルール化
➃注意喚起(ポスターや呼びかけ等)
➄マナーの範疇
➅原則自由

である。今回、法律は無論、啓発ポスターのようなものはなく、JR東海に対しての質問でも『皆様に快適にお過ごしいただくため、お客様同士でご配慮いただくものと考えております』と回答されている。

https://sirabee.com/2026/03/17/20163529799/

ここまでの段階において、少なくとも現状では➀➁➂➃はなく、➄か➅の範疇に入っているのだと言える。

ただ、これに対して、最近では「スメハラ」すなわち匂いに関してもハラスメントと言われる時代になってきているので、これを新たに➃に昇格させるべきかも含めて、議論はあっても良いのだろう。その意味で、これが論争になっているのは妥当と考える。

つまり➃➄➅のどれかということになるのだが、それをどう考えるかについては、以下の三つの視点が必要だと考える。その各々について評価し、その結果を総合的に考えて判断すべきということだ。三つのうちどれかが突出しているか、平均として高いスコアになっているほど、その禁止の程度は強くなる。

その三つの視点とは、

  • それを不快と思う人の多さ
  • それから自由意思で逃れられるか
  • その行為をしなくても困らないことか、あるいは代替手段があるか

である。今回の豚まん騒動について各々を当てはめてみると、次のようになる。

  • この場合、「豚まんを(嫌いで)食べない人」ではなく、「自分が食べない時に豚まんの匂いだけを嗅がせられるのを不快に感じる人」という定義になる。生成AIに訊いてみたところ、これは20~30%に上るのだそうだ。私が事前に想像していたものより、これは多かった。マナーや自粛のレベルとしては、単独としてこれだけあれば十分である。
  • 新幹線の場合、乗車時間が長く、指定席が大部分である。また自由席にしても、空いていれば移れば良いが、当然そうでない場合も多い。つまり「逃れられない度」は飛行機に次ぎ高い方である。
  • 豚まんを通常の食事として食べる人もいるだろうが、腹が減っていて食べるのを我慢できないとしても、匂いの少ない普通の駅弁は幾らでもあるのであって、代替性は高い。むろん嗜好で食べるのであれば、更にその度合いは高いと考えられる。

これらを総合すると、少なくとも➅ではなく、➄か➃に相当すると考えるのが妥当である。

似たような話として、日本維新の会の藤田文武衆院議員が、たこ焼きを車内で食べた旨の投稿をしたところ、多くの批判が寄せられたという話があった。そのたこ焼きのパッケージには、「新幹線車内および駅構内でのお召し上がりはご遠慮願います」とのシールが貼られていた。

https://www.j-cast.com/2025/02/15501619.html

つまり、既に➃に相当すると判断する企業も出てきているということだ。ここから考えても、やはり➄と➃の境目にあると考えるのだ妥当だろう。

毛色が違うようにも思われがちだが、タバコのマナーも似たようなものだ。吸う人でも他人の煙は嫌という人は多い。煙から逃れにくい室内や車内、屋外でも繁華街では禁止されていることが多い。また禁止されていない所であっても、近くに人がいるときには一言断るのがマナーだ。基本的には嗜好品であり、代替性は高い。タバコには健康被害という実害があるけれども、その心配も含めての「不快」と考えれば、考え方は同じである。

河原氏の発言が炎上した理由は、世間は➄➃の考え方を持つ人が多いのに対して河原氏の考えは明らかに➅だったためそのギャップがあったから、というのが一つの仮説になる。だが、個人的にはもう一つあると考えていて、それは河原氏の投稿が高圧的で下品であることに対する反発があるのではないか、ということだ。

———以下引用———

こういう 自分の価値観をいきなり他人に押し付ける人、どう思う?

新幹線で食べる人がいるから 駅であったかい豚まん売ってるんだろ?

食べちゃダメなら まず新大阪駅の551閉めろよ。

それか 「新幹線持ち込み禁止」 って看板でも出しとけ。

豚まん一個で、東京まで気まずい空気流れるの日本くらいだろ。

大阪人に「551食うな」は喧嘩売ってる。

———引用終わり———

相手の価値観と自分の価値観が対立した時、強い方が勝つ、というのはマナーではない。単なる強者の理論である。マナーとは「相手をおもんばかること」であり、自分の価値観に自信があったとしても反論をするのは悪手である。対話して落としどころを探るか、自分が引くかだろうが、彼はそのどちらもせず、反論して相手を黙らせ最後まで食べ切った。

この投稿の中で彼は「自分の価値観を押し付けられた」と感じたようだが、実際にはその行動によって「自分の価値観を押し付けた」。つまり、豚まんがどうこう以前の問題として、その行動自体がまずマナー違反である。そしてその価値観も、上の分析の通り相手の方が正しかった。更に、わざわざ(多くの他人の目に晒される)SNSに投稿して一方的に非難をした。こういった度重なるマナー違反が、炎上の原因のもう一つなのではないか、と思うわけだ。

私はこの人の事業と関りを持っていないが、もし持っていたらこの投稿一つでお付き合いを考え直すだろう。対岸の火事と思わず、今一度自らを戒めよう、とすら思った次第である。

2026年3月23日月曜日

公約のルーブリック

 

ルーブリックとは、

「評価の観点(何を見るか)」と「到達レベル(どの程度できていれば何点か)」を、あらかじめ言語化して共有する“採点表”

のことである。論文や記述式テストのように「正解/不正解」だけで測りにくいものを、公平・透明・再現性のある形で評価するために使用する。チェックリストのようなものだが、Yes/Noではなく段階があるところが違う。こうすると、記述式テストを複数の人が採点するときのばらつきを抑えることができ、つまりは客観性のある評価ができる。入試や資格試験ではよく使われる手法である。

さて、今回自民党が圧勝したわけであるが、自民党の公約は各党の中でもいちばん具体性に欠ける部類に入る(ように読めた)。それでもなぜ支持が集まったのかを検証するため、生成AIに「公約のルーブリック」を作ってもらった。

これは、公約の中身自体を批判するものではなく、「公約としての体裁が整っているか」を見る指標であることはまず明らかにしておく。その基準は以下の通りだ。


ルーブリックの観点(各10点×10=100点)

A. 将来像(10)

  • 10:10〜20年後の社会像が言語化され、短期政策との整合も説明
  • 5:方向性はあるが、将来像が抽象的/短期の寄せ集め
  • 0:スローガン中心で、将来像が不明

B. 重点・優先順位(10)

  • 10:トップ優先3〜5政策、理由、トレードオフが明示
  • 5:政策は多いが優先順位が曖昧
  • 0:百科事典化、何が最優先か不明

C. 実施手段(10)

  • 10:法改正・制度設計・所管・実施主体まで具体化
  • 5:やること列挙だが実施主体が曖昧
  • 0:タイトルのみ

D. 工程表(10)

  • 10:いつ何をするか(法案提出・開始時期・段階導入)
  • 5:期間感はあるが、マイルストーンが薄い
  • 0:「検討」「会議体」止まり

E. KPI(成果指標)(10)

  • 10:測れる指標(例:税収・賃金・達成期限)を複数提示
  • 5:一部のみ指標あり
  • 0:評価不能

F. 財源・コスト(10)

  • 10:減税・給付・投資の財源を体系的に提示
  • 5:一部だけ財源言及
  • 0:財源に触れず「検討」中心

G. エビデンス(10)

  • 10:統計・研究・過去検証・国際比較を根拠として提示
  • 5:根拠はあるが限定的
  • 0:根拠なし

H. リスクと副作用(10)

  • 10:副作用(インフレ、金利、格差、権利制約等)と対策を記載
  • 5:注意書き程度
  • 0:副作用に触れない

I. 説明責任・検証(10)

  • 10:実行後の検証方法、修正条件(PDCA)まで記載
  • 5:検証の言及はあるが具体化が薄い
  • 0:検証なし

J. 共創・意思決定プロセス(10)

  • 10:国民参加・熟議・第三者監視など制度的に設計
  • 5:会議体の設置は書くが、設計が薄い
  • 0:プロセスなし/「国民会議」など名称のみ

一つ一つを読めば、至極当たり前のことだと思う。これをベースに、各党の公約を評価してもらった。それが以下だ。


  • チームみらい:66
  • 中道改革連合:62
  • 国民民主党:58
  • 日本共産党:56
  • 日本維新の会:47
  • 自由民主党:44
  • れいわ新選組:41
  • 参政党:39

私の感覚と概ね合っている。一応、恣意でないことの確認のため、早稲田大学デモクラシー創造研究所によるマニュフェスト比較での評価(上記ルーブリックではなく独自の評価)を貼っておくと、以下のようになっている。

自民党:30点 維新:30点 中道改革連合:45点 国民民主党:40点 参政党:30点 共産党:40点 れいわ:30点 チームみらい:70点

細かい凹凸はあるものの、チームみらいがトップ、次が中道、以下が団子で、自民党はこの団子の中にいるということが分かる。65点を合格とするなら、どちらの評価でも合格はチームみらいだけで、他はダメダメ、ということが分かる。これはあくまでも公約としての体裁を問うているものだが、それがこのレベルなのであれば、実現可能性とか効果とかを論じても仕方がない。

さて、どちらの指標にしても、チームみらい以外は自民党も含めて団子状態、しかも落第点だったわけだが、今回は自民が圧勝した。なぜそうなったのか、

これについて、早稲田大学のマニュフェスト比較「出来栄えチェック」の点数と比例投票率との相関係数を主要8党で比較したところ、相関係数は0.19(ほぼ相関なし)という結論に達した。これと同じ手法で、上記のルーブリックとの相関係数を比較してもらったところ、‐0.07と、これまた相関なし、と出た。

それでは、と、自民党の公約への賛同率を、自民党への投票者と他党への投票者で比較しようとしたのだが、データが揃わず断念した。ただ、消費税減税についてだけは出口調査があって、自民党支持者の方が現状維持比率が高かった。つまり消費税減税には反対の人が多かったわけだ。

これに関して考えられる可能性は二つある。第一は、公約は重要視されておらず、その他(イメージや直感など)で選んだ人が多かったのだろうという考え方。第二は、読む側にリテラシーがなく、公約をなんとなく(勝手に、自分の都合の良いように)解釈して、自民が良さそうに見えた、という考え方である。まあどちらにしても、公約が役に立っていないという点で変わりはない。

まあ、公約はその後の演説やSNSの元ネタになるので不要とまでは言わないが、公約の出来が悪くても国民は気にしないのだ、ということが分かり、何とも言えない気分になった次第である。

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