2026年7月30日木曜日

木質3Dプリンタ建築法の更なる改良


3Dプリンター木造建築工法3 脅威の性能とコスト

以前この提案した建築法の、更なる改良を試みる。

1.ハニカム構造(壁)の構成

前回、200℃での吐出、架橋促進剤噴霧、ヘラで押す、というのが気に入らなかったので、もっと簡単にした。

まずベース材として、リグニン粉末と上質(インク除去)古紙パルプを混合したものを保管しておく。乾燥保管であれば何ヶ月でも保管できる。

現場で、これと水、炭酸ナトリウムを混合する。炭酸ナトリウムによりアルカリ性になったリグニンは可溶化・膨潤し、ペーストを形成する。

これを3Dプリンタで常温で吐出し、直後にクエン酸を噴霧する。クエン酸によってまず数秒でゲル化し自立する。これにより上層の積層に耐えられる強度を得る。続いて2〜6時間で硬化し、人が触れても変形しない硬さになる。更に24〜48時間で完全に架橋化し、必要強度を得る。

ハニカム材の厚さは1.2mm、ハニカム径は30〜60mm、壁厚は150mmに変更した。強度がオーバースペックであることが判明した一方、断熱性と遮音性が不足していたためである。

以前ヘラで押すのを止めたことによって層間剥離が心配になるが、計算によれば断熱材がこれを抑止してくれることが判明したため、問題ない。

なお、吐出に際し、表面がギザギザになるような吐出口を使うことで、層間強度は若干増すことになる。

2.断熱剤(ハニカム充填)の構成

充填剤ではハニカム材と同じ方法は使えない(発泡するので噴霧しても全体に行き渡らない)。そこで、直前に混合する方法に変更する。

つまり、ベース材としてリグニン粉末と低質(インク残留)古紙パルプを混合したものを作っておいて、現場ではまず水と重曹を混ぜ、吐出直前にクエン酸を混合する。

直前混合がハニカム材で使えない理由は、吐出口が1.2mmと細径であるため詰まりの問題があるからだ。断熱充填剤は15mm程度は確保できるため、多少間違って硬化が早まっても詰まる心配が少ないこと、多少不均質に混ざっても問題ないことにより、断熱材限定で採用する。

また、上に書いたように、断熱材はハニカム材の層間剥離防止剤としても作用する。

3.強度他の計算

以上の変更による各種定量的データの変更は、以下の通りである。

断熱性:壁厚を150mmにしたことが大きく、HEAT20 G3レベル(壁単体 U値 0.207 W/m²K)となった。これは国内の断熱性規格の最高峰である省エネ基準地域区分5〜7における断熱等級7(U値 0.26 W/m²K)に比べて、約 1.26 倍(※熱損失が約20%少なく、国内最高峰規格を余裕で上回る)の余裕がある。

耐震性:ハニカム厚を薄くしハニカム径を大きくしたことによって以前よりは落ちたが、それでも最高の耐震等級(最高耐震等級): 耐震等級 3の仕様:存在壁高あたりの必要壁倍率 5.0 相当(せん断耐力 9.8 kN/m)に対して約 49.0 kN/m (壁倍率換算 約 25.0 相当)あり、約 5.0 倍の余裕がある。

遮音性:主に壁厚が増えたことが影響し、国内の遮音性能規格の最高峰である日本建築学会 遮音性能等級 特級(D-65 / D-60)の値:500Hz帯において 60dB以上の減衰に対して500Hz帯において 約 68.5dBの減衰があり、約 1.14 倍(音エネルギー比で約 7 割減衰)の余裕がある。

耐火性:断熱剤にもハニカム材にも難燃剤を混入するので、やはり国内最高峰規格の建築基準法 1時間耐火構造(外壁・構造耐力上主要な部分)の加熱1時間において裏面温度260℃未満維持、構造耐力維持に対して120分(2時間)加熱時で裏面上昇温度 約115℃(非加熱面)であり、約 2.0 倍(耐火時間ベースで200%達成)倍の余裕がある。

耐荷重性:ハニカムを薄く、径も大きくすることによって落ちたが、これはそもそもオーバースペックだったからだ。建築基準法の定める木造2階建て1階壁に求められる長期許容鉛直荷重 約 15 kN/mに対して約 185 kN/mと、約 12.3 倍の余裕がある。

気密性:国内最高級の超高気密住宅基準(AAA)の数値 ​0.5cm²/m²に対して 0.05cm²/m²であり、10倍の性能的余裕がある。

つまり、全ての性能において、国内で定める最上級の規格を余裕でクリアする、ということになる。

4.コスト

最後にコストである。

住宅1棟分(外壁面積 100m²相当)の躯体・断熱コスト比較をすると、

一般木造住宅(普及帯・等級4〜5) 一般木造住宅(高価格帯・等級7) 本提案
1棟 総建設コスト(税別) 約 1,515万円 約 2,360万円 約 1,197.4万円
坪単価(税別 / 30.3坪換算) 約 50万円 / 坪 約 77.9万円 / 坪 約 39.5万円 / 坪
合計現場工期 約 90 〜 120日(約3〜4ヶ月) 約 120 〜180日(約4〜6ヶ月) 約 14日(約2週間)

となった。

見ての通り、価格も凄く安いのだが、工期が短いのは特筆すべきだろう。にわかには信じられない短納期である。それこそ「ボコボコ家が建つ」レベルの驚異だ。

5.まとめ

まあ何れにしても初期の試算レベルの話であり、実際にやってみると色々問題は出てきて、その都度コスパは悪くなっていくのだろう。だが従来の木造住宅より多少高くなったとしても十分に検討に値する数字だと思う。

調べてみると、慶應義塾大学 Tanaka Labにて紙パルプとリグニンの架橋化による建築部材の研究が行われているらしい。ハニカムに関してはイタリアのWASP(World's Advanced Saving Project)というプロジェクトで3Dプリンタ建築の技術が進んでおり、ハニカムを空気層(断熱層)として使っている。だがそこに詰めているのは籾殻であり、強度には貢献しない。

つまり、もしかするとこの提案は最先端である可能性があるわけだ。どちらかのプロジェクトに拾って頂けると幸いである。

2026年7月29日水曜日

吸い出す空調服

 
空調服が世に出て久しいが、不格好なのは相変わらずで、着る気がしない。その理由は明らかに「ハリセンボンのように膨らんだ形状」である。

膨らむ理由は空気を「吸い込む」構造だからだ。ファンから吸い込んで、首や裾から吐き出している。であれば逆に「吸い出す」構造にしてはどうか、と考えた。

吸い出す構造にするには、今のような「ただファンが付いているだけ」ではダメだ。ファンの周辺の服が肌に張り付いてしまい、ファンから遠くに風が通らない。そこで風の通り道である「スペーサー」を設ける。

実はこのスペーサー、既存の空調服用に既に売り出されている。柔らかいプラスチックのような素材で、服と体の間に一定の隙間を空けるものだ。これをそのままでも良いし、流路を考えて更に区切りをいれるようなことをしても良いと思うが、とにかくファンから首や裾までの間の隙間を確保してやる。

そうすれば、首や裾から風が入ってファンから排出される。これなら服は膨らまない。更には特に首から臭い風(自分の匂いだが)が吹き出すことがないので、本人は快適になれる。(ファンは大抵後ろに吹き出すので後ろは迷惑かも)

従来と違ってスペーサーは服の形にもっと合わせる必要があるだろうが、必要なのはそれだけだ。すぐにでも商品化してほしいと思う。

2026年7月27日月曜日

自動倉庫型図書館

 
図書館で本を借りたいと思った時に苦労するのは、どこに所望の本があるかが分からないことだ。小さい図書館ならともかく、大きな図書館では階が違っていたり、分類を間違えたり、と手間が掛かる。まあそれが楽しいという人もいるだろうが、自分としてはさっさと借りて帰りたい。

そこで考えるのが自動倉庫型図書館である。端末で本を選んで待っていると、自動倉庫から本が運ばれてくる、という仕組みだ。最後は取り出す手間や借りる手続きがあるが、そこにはバリエーションがあってもよい。自動倉庫に入れるというところがミソである。

この自動倉庫は、可動式書棚のことではない。50L程度の通函(例えばプラダン製で上蓋がないもの)を単位として、この函を大量に仕舞い込める倉庫のことだ。入出庫口で函を指定して待っていると、その函を倉庫から取り出して眼の前に出してくれる。この函の中には何冊かの本が入っており、その中から所望のものを取り出す。

この形の特徴は、第一に本を置くスペースの効率が画期的に高くなることだ。倉庫に人が入るためのスペースは必要ないし、建屋の許す限り高くできる。これにより、今までは諦められていた狭いスペースでも図書館を開ける、あるいは既存の図書館でも蔵書数を増やせる、というメリットがある。

第二に、自動倉庫は完全空調可能で、人間なら不快なレベルにまで低湿低温にすることができる。これで虫やカビの被害を抑えることができるし、必要なら燻蒸やX線照射なども可能である。

第三に、本を分類保管する必要がない点である。返却時には空いた箱に順番に詰めていき、いっぱいになったら自動倉庫に送る、これだけでよい。どの箱にどの本が入っているかはコンピュータ管理されるので、ユーザはただ選べばよいだけだ。

なお、本を選ぶ端末は数台必要だろうが、スマホにアプリでも代用可能なので、何十台もずらっと並べる必要はないと思う。

初期投資と維持管理費は、蔵書数見合いでは高くなるかもしれない。但し敷地面積は減るため、その土地代や税金、賃料などとの相殺は可能であると見る。これで図書館がもっと身近になってくれると嬉しい。

2026年7月20日月曜日

デジタルツインシミュレーション

 

前回の石油備蓄に関する調査

ナフサの現状

からそろそろ2ヶ月になるので、改めて調査してみたのだが、ここ2ヶ月でGeminiはあまり賢くなっておらず、同じようなハルシネーションを何度も作り出した。こちらも、それを何度も何度も指摘して訂正していったのだが、最初の方の命令を忘れたり、自分が出した回答に引きずられて捏造に捏造を重ねるなど、散々だった。

前回もそうだったが、この石油の問題がややこしいのは、扱う数字がどういう数字なのかが曖昧なことだ。例えば、7月には政府発表によると前年同月比で100%の原油が確保されたと言っているのだが、直感的にそれはあり得ないと思った。なぜなら、現実にそれが届くためにはタンカーが必要である。そのタンカーの一部は中東に足止めを食らっているし、新しい調達先であるアメリカの航路は中東の倍もあるため、同じタンカーの数では半分しか運べない。世界中で石油不足なのだから、新たに調達するにしてもいきなり倍の調達は不可能である。

つまり100%というのは実際に日本に届く量ではなく、あくまでも契約ベースの数字であると推測できるのだが、それは発表から読み取れないので、Geminiは素直にそれを信じてウソを回答してしまうのだ。政府が誤魔化しをしようとしていることは前回実績より明らかなので、こういった数字の深読みは必要なのだが、ただ「深読みせよ」と言ってもGeminiにはできない。

他にも、需要と実際の出荷量を混同してしまう、日数換算の計算方法を間違えてしまう、・・・などといったミスを多数起こしている。

それをGeminiに言っても、しばらく質問を繰り返していると忘れてしまい、また言わなければならなくなる。それを指摘すると次に指摘していた内容を忘れ、・・・と、一巡して最初に戻ってしまう、という詰まらない経験をした。

こうなると、もうエージェントを使ってデジタルツインを作ってシミュレーションをしたほうが速いのではないか、と思えてきた。つまり、実際に存在するタンカーの位置と積載量を一つのエージェントとして表現し、それらが最良の条件で動いたら輸入がいくらできるようになるか、とするのだ。

エージェントとしては、以下を用意する。

  1. タンカー。1隻当り200万バレルと仮定。タンカーは航路日数毎に、精油所に200万バレルを卸す。航路日数は、中東ルートは45日、米国ルートは70日とする。
  2. 港。中東とアメリカに設置。タンカーが到着する毎に200万バレルを渡す。
  3. 精油所。国内に設置。需要量は一日300万バレル。
  4. 指示者。精油所に到着したタンカーに対し、次にどこへ向かうかを指示する。
  5. クロック。全体を制御する。1日毎に各エージェントの状態を更新させる。

戦争前は中東ルート100%とすると、タンカー1隻で日本に運べるのは45日毎に200万バレルなので、1日当たりでは4.44万バレルとなる。需要量300万バレルでこれを割ると、67.5となり、タンカーは68隻必要となる。

中東で何隻が足止めされているかは分かっていない。40隻あまりが足止めをされているが、このうち日本向けが何隻かは分かっていない。そこで拘束されている確率を45分の一と仮定すると、67.5*44/45=66隻が稼働可能と考える。

これが100%アメリカ航路に切り替わると、66隻で計1億3千200万バレルを70日で運べるため、1日当たりでは188.57万バレルが運べる計算になる。これは300万バレルに対して62.9%である。これが切り替え後の輸送量の限界となる。

今は計算で出したが、これがもう少し複雑になってくると頭では追えなくなってくるので、シミュレーターを走らせた後は精油所をモニターするだけで答えが返ってくる、という次第だ。

例えば、港をアメリカと中東以外にも設け、次にどの港に向かうかを逐一指示する一方、政府やイラン軍を登場させて調達上限や妨害の程度を決めていく、という具合だ。

従来のシミュレーションと違い、AIエージェントをノードとすることによって、設計が格段に易しくなるのが特徴と言える。おそらくClaude Coworkの最低プラン(月20ドル)でもできるのではないだろうか。エージェントを増やしていくと課金が心配だが、その場合はOpenClawを使って各エージェントに「パラメーターファイルの書き換え」を指示する、といった作り方でできるのではないかと思う。

従来のシミュレーション、例えば防災シミュレーションなどは専用で、何億円もかけて作るものだったが、これならタダに近い作り方ができる。ちょっと末恐ろしいことだが、こういったちょっとした疑問にも即時にシミュレーションを作って答えをくれるAIというのは、個人としても欲しいし、社会としても需要は高いと思う。

2026年7月13日月曜日

AIエージェント調停アーキテクチャ



はじめに

生成AI同士が話し合って問題を解決する、というのが次の生成AIのテーマだと思う。

今の生成AIエージェントの使い方は、あくまでも一個人が自分の代理人として使っているだけだ。外部とのやり取りはMCPで行っているケースが多いと思うが、これは生成AIと(生成AIではない)他のシステムとの接続プロトコルであり、つまりは相手方は決定論的回答を返すことが前提になっている。要するに仕事の依頼先であり、主従関係がある。AIエージェント側が主で、接続先が従だ。しかしこの先、相手側が生成AIであるというパターンは当然想定すべきである。つまり生成AI同士の会話が前提になる。

そしてここからが厄介な話で、相手が生成AIだとすると、自分と同じく、(自分とは違う)目的を持って能動的に行動しているかもしれない。すると、従来のような単純な情報提供や指示を実行させるだけではなく、時にはそれを拒否されたり、逆提案されたりすることも想像できる。つまり従来は主従だった関係が対等になるわけだ。

そこで問題になるのが、以下の2つである。

  1. その相手と自分の目的が相反している可能性があること。更に言うと、複数の相手との協調や競争が起きる可能性があること。
  2. その相手が悪意を持っている可能性があること。

人間の場合には人格があり、法律や商慣習がある。だが生成AIエージェント同士の会話の場(ネットワーク)にはこのどちらもない。エージェントは目的のたびに新たに作り出されるものだし、偽の(悪意を持った)エージェントの作成はボタン一つで可能なのだから、現実のように身を潜めて行動するという必要もない。つまり悪意のあるエージェントの割合は、現実世界に比べて極めて高いと考えるべきだ。

例えば、SNSの投稿の6割はボットによるものだとの研究がある。Web全体における悪意のあるボットの割合は、トラフィックの4割に達する。現実世界ではあり得ない比率だ。生成AIは更に能動的になれるから、少なくともこの割合よりは大きいと考えるのが妥当だろう。そういう「ウソの海」の中を泳いでいくのは、現実社会より遥かに難しい。

そういう中にあっても人間はうまくそれを排除して生きているのだが、生成AIエージェントが同じように賢く生きられるかは未知数である。そして使う人間側としても不安があるので、アーキテクチャでこれを補完(保証)してやる必要がある、と考えるのが妥当だ。

本稿の主旨は、「そのためのアーキテクチャが必要である」と訴えることだ。で、その主旨はここまででもう語った。だがそれだけでは心許ないので、そのためのアーキテクチャの一例も合わせて提示したいと思う。

AIエージェントと現実人格の紐づけ

人間社会の場合、悪意のある人間、悪意のある組織などは、表舞台にはなかなか出てこない。その理由は、一義的には法律があるからだが、電子の世界と比較した場合、実は決定的な違いがある。それは、その「悪意的存在」の寿命である。

つまり、あるところで犯罪を犯した人間は、その後の操作により誰かを突き止められて、逮捕され、罪を償わされる可能性を負うことになる。組織による犯罪であっても、その組織を構成している人間には同じ可能性がある。だがこれは、人間は概ね何十年と生き続ける、という暗黙の仮定に基づいているのだ。だから後から追って、捕まえることができる。

しかしAIエージェントは違う。一瞬の後に作られ、仕事が終われば消滅する。AIエージェントがどんなに罪を犯そうが、消えてしまえば罪に問うことはできない。

SNSの場合も同様で、ボット自体に罪を問うことはできない。だからそういうボットの作者は自分の存在を隠蔽する。それが簡単なら、悪意的存在の比率は高くなる。今のSNSがそうなっているのは、それが一つの原因である。

だから、AIエージェントが悪意的存在でないことを確認するためには、そのAIエージェントが誰のものであるかを明らかにする必要がある。

つまり、現実の人間のIDから派生するAIエージェントのIDを定義し、そのIDを確認すると、誰のエージェントかが分かるようにする、というのが提案の第一である。

このIDは、マイナンバーのような国民IDか、GビズIDのような企業IDを使うのが良いと思われる。そのIDによる電子証明書を持つAIエージェントしか相手にしない、また相手は毎回確認する、というのが、最初のスクリーニングである。

エスクローアーキテクチャ

そしてもう一つ、今のサイバー犯罪では結局警察が動いて人に罪を問うのだが、今後のAIエージェントの発展を考えれば、間違いなく物量的に足りなくなる。つまり犯罪の追跡は困難であり、また大量であるため、警察も追いつけないと考えられる。だから、法律の前に技術的仕掛けで大部分は抑制する必要がある。

そのための提案が、エスクローである。つまり、何かを依頼する時には相手に報酬を提供する必要があるが、直接渡すのではなく、双方(売り手と買い手)が信頼する第三者に報酬を預け、取引が完了すればその第三者から報酬を受け取る、という仕組みである。

その取引自体にもスマートコントラクトが採用され、望まない結果に対しては支払いが発動しないようにする。また、悪意が確認されると報酬は没収される。

他、報酬以外にも保証金を積むような仕掛けはあってよいだろう。リスクの高い取引ほど保証金が高くなるような仕掛けも良いと思われる。

調停者アーキテクチャ

多数のエージェントが各々要求を出しており、その要求が相反しているような場合、AIエージェント同士が話し合うのではなく、公平公正な第三者である調停者(アービトレーター)に委託する、というアーキテクチャである。

調停者は、いわば裁判所における調停案、和解案の提示のようなものだ。双方の主張の理由、法律や社会慣習などを総合して双方妥協が可能と思われる案を提示する。それに双方が合意すればよし、合意がなければ決裂となる。

調停者自身も、過去の合意・決裂事例から学習し、より良い調停案を提示できるようになる。もちろん悪意の交渉についても学習し、それを防ぐ案を提示する。

実行はエスクローとスマートコントラクトを使うので、その後も安心して取引ができる。

調停者はカスケード(階層化)しても良い。例えば個人対個人から国対国まで、調停にはレベルが多数ある。ある調停が別の調停の枝葉になることはいくらでも考えられる。

両者の運営

エスクローはある程度民間でもできるだろうが、調停者にはそれなりの資格が必要だろうと思う。国、ないしは地方自治体による許認可と定期審査が必要だろう。まあ国対国だとさすがに政府運用となるだろう。またエスクローにしても、認可と定期審査は必要と思われる。

両者のために新たな国の機関を作る必要があると思われる。

まとめ

IDの詐称や会社のポリシーの豹変など、それでも悪意を完全に排除することができない。そうであっても、このアーキテクチャが進むことによって、いわゆる表社会の人たちがある程度安心して過ごすことは可能になると思う。残りは警察の仕事である。

そして鍵となるのはその割合だ。このアーキテクチャによって、既存の社会よりも犯罪率がずっと低く抑えられる可能性はあると思う。そうすれば警察や軍隊の必要性も低下し、世の中は平和になる。そういう意味でも、このアーキテクチャの重要性は高いと考える。

2026年7月9日木曜日

宝くじの売り上げを上げる方法


サマージャンボプレミアムが発売された。1等前後賞合わせて12億円と、今までの7億円を大きく超える額になっている。その代わり1枚500円(従来は300円)に値上がりした。

近年、宝くじの売り上げは減少している。そもそも宝くじは効率の悪いギャンブルである。還元率は50%しかなく、これは他のギャンブルと比べてもかなり低い。だがそれは前から分かっていたことで、宝くじの売上が落ちた理由は別にある。

大きくは、三つの要因があると考える。第一は低所得化、つまり単純に貧しくなったためだ。宝くじは夢を買うものだが、その夢の値段(10枚で3000円)が今では十分に高いものになってしまったということだ。

第二は、宝くじの期待値が低いことが知れ渡ってしまったことだ。一等が当たる確率は数百万分の一であること、還元率が他のギャンブルに比べて低いことなどが広く知られてしまった。

第三は、NISAや副業など、本業以外で「稼ぐ」手段が多様化してきたことだ。その3000円があれば投資をした方が良い、と考える人が出てくれば、それだけ宝くじの人気は減る。

だが、宝くじの発行主体は地方自治体であって、その収益は税金などと同じく公共の役に立つのであるから、もっと宝くじの売上は伸びてほしい、と個人的には思っている。宝くじの売上を伸ばすにはどうしたら良いだろうか。

第一に考えられるのは、還元率を増やすことだ。だがこれは、本来の目的である自治体への還元を減らすことになる。

第二は、当たりやすくすることだ。一等の金額を減らして当選確率を上げる。だがこれは既に行われている。

第三は、賞金だけでなく賞品と組み合わせることだ。旅行やイベント、宿泊などの無料券、地域特産品、CMキャラの芸能人との会食権やディナーショーへの招待など。

他にも色々あるだろうが、個人的にイチオシなのは、「宝くじの意義を啓蒙すること」である。

先ほども言ったが、宝くじの収益は地方自治体に周り、地域に貢献している。例えば救急車や消防車、避難設備、子育て支援、高齢者福祉、教育、地域活性化、などだ。それを国民に広く伝えることで、宝くじを買うことは社会貢献である、と強く訴えるのだ。

それはWeb記事でも良いが、できれば映像コンテンツが良い。テレビで30分番組を何本か作るのも良いし、Youtube向けに長時間のものを作るのも良い。その中で、宝くじが具体的にどのような社会貢献をしているかを見せつけるのだ。

救急車を何台買いました、図書館に何冊本を入れました、地域イベントのスポンサーになりました、など、具体性が高いものがよい。それをレポーターが体験報告する。そして、特に他の「稼ぐ手段」との対比をしてやる。あなた個人はそれで小銭を稼げるが、宝くじを買えば地域に貢献できるのだよ、「宝くじ協会による寄付」とはあなたの寄付なのだよ、とするのだ。

これは虚栄心をくすぐる行為でもある。だから例えば、宝くじを一定額以上買った人には名誉バッジを配り、そのバッジを見せると宝くじの寄付で建った施設を割引で利用できる、といった特典を作るのも良いと思う。

もちろん一方で、1億円が当たった人が何をしたか、というセミ・ドキュメンタリーを作るなど、当たったときのイメージを掻き立てる映像も作るべきだろう。

こういった販促行為には賛否両論あるだろうが、私としては是非推したいと思う。一緒に夢、買いませんか。

2026年7月8日水曜日

パンアーキー:複線民主主義

 

民主主義が限界に来ている、とは色々言われている。だが、ならどうすべきかについてはどうも議論百出であり、自分としても「これは」と思うものが無かった。そこで色々調べていて、「パンアーキー」という考え方を見つけた。これが自分の考えに比較的近いと思ったので、この考え方について紹介する。

パンアーキーとは、ベルギーの政治思想家 ポール・エミール・ド・ピュイ(Paul Émile de Puydt) が1860年に提唱した概念である。

https://www.panarchy.org/depuydt/1860jp.html

彼は当時の政治対立を見て、「自由主義者は自由主義政府を望み、保守派は保守政府を望み、社会主義者は社会主義政府を望む。ならばなぜ全員が同じ政府を取り合うのか?」と考えた。そして、「領土ごとに政府を分けるのではなく、人ごとに所属政府を選べばよい」と提案した。

つまり、今の民主主義では政府は一つしかない。その一つの政府はむろん投票によって選ばれるのだが、選ばれた後は、自民党に投票しなかった人でも自民党に従うしかない。だが政府が二つ三つとあり好きなところを選べるなら、その政府に投票(登録)し、その政府に従えばよい。つまり、政府Aに投票した人は政府Aの決定に従う。政府Bの決定には従わなくてよい。政府Bに投票した人は政府Bの決定に従い、政府Aの決定には従わなくてよい。

例えば消費税を1%にするという決定は、日々の買い物が楽になる一方、国債発行が増え将来の予算を圧迫する懸念がある。それをよく考えた上で、1%にする自民党政府と、10%のままのチームみらい政府のどちらかに投票する。するとその後に自民党政府の出した国債の償還義務は自民党政府支持者だけの義務になる、という具合である。

まあもちろん、このレベルではまだ考えが荒く、色々と不都合がある。まず政府はいくつ作るべきかという根本問題に加え、地域による分割ではないので国民自身に旗(フラグ)を付けなければならない。買い物一つするにも国民IDカードの提示と認証が必要になる。また財源は分ければ良いが、外交国防裁判所消防警察インフラなどは分け辛い。そういうものまで分割するのかどうか、また分割するとして今存在している警察や消防をどう動かすか。両陣営を行ったり来たりすることで漁夫の利を得ようとする国民をどう規制するか。投票しなかった者の扱いをどうするか。そういうものは一つ一つ詰めていかなければならない。

だがこうすると、国民は自分の決定に責任を持つことになるのだから、当然真剣に考えるだろう。民主主義限界論の理由の一つは正にここ、つまり国民が真剣になって考えないところにあるので、それだけでも民主主義の復権(ないしは延命)に大いに貢献できるはずだ。

一方で、政府は今までと違って票数を気にしなくてよい。票が多ければ予算は増えるが対象国民も増えるので負担も増えるから、票数は絶対的評価指標ではなくなる。国民の平均的支持率や国民満足度、国民の平均年収や平均寿命などが指標となるのだろう。特に野党にとっては、通るはずのない理想論を好き勝手に言えていた時代とは異なり、その理想論を実現できてしまう、つまり結果が見えてしまうという意味で議員にはシビアであり、今まで以上に真剣に考えてくれるはずだ。

地域による一国多制度は世界中に例がある(連邦制がそうだ)が、この思想は住居を変えずに政府を選べる点が重要である。情報化の時代、AIの時代、できるところから(例えば社会保障や介護福祉)多政府化を進めていくというのは十分に「アリ」だと思う。

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