2026年3月28日土曜日

豚まん論争の科学的・定量的考察

 
実業家の河原由次氏が、豚まんを新幹線内で食べたところ注意された、という呟きをしたことに対して論争が起こっているが、それを科学的・定量的な視点で考察する。

まず、原典を以下に提示しておく。

https://x.com/i_am_kawa_chan/status/2029033115440824785

次に、マナーやルールというものには段階がある。

➀罰則のある法規制 
➁罰則のない法規制
➂業界やその場所の所有者などによるルール化
➃注意喚起(ポスターや呼びかけ等)
➄マナーの範疇
➅原則自由

である。今回、法律は無論、啓発ポスターのようなものはなく、JR東海に対しての質問でも『皆様に快適にお過ごしいただくため、お客様同士でご配慮いただくものと考えております』と回答されている。

https://sirabee.com/2026/03/17/20163529799/

ここまでの段階において、少なくとも現状では➀➁➂➃はなく、➄か➅の範疇に入っているのだと言える。

ただ、これに対して、最近では「スメハラ」すなわち匂いに関してもハラスメントと言われる時代になってきているので、これを新たに➃に昇格させるべきかも含めて、議論はあっても良いのだろう。その意味で、これが論争になっているのは妥当と考える。

つまり➃➄➅のどれかということになるのだが、それをどう考えるかについては、以下の三つの視点が必要だと考える。その各々について評価し、その結果を総合的に考えて判断すべきということだ。三つのうちどれかが突出しているか、平均として高いスコアになっているほど、その禁止の程度は強くなる。

その三つの視点とは、

  • それを不快と思う人の多さ
  • それから自由意思で逃れられるか
  • その行為をしなくても困らないことか、あるいは代替手段があるか

である。今回の豚まん騒動について各々を当てはめてみると、次のようになる。

  • この場合、「豚まんを(嫌いで)食べない人」ではなく、「自分が食べない時に豚まんの匂いだけを嗅がせられるのを不快に感じる人」という定義になる。生成AIに訊いてみたところ、これは20~30%に上るのだそうだ。私が事前に想像していたものより、これは多かった。マナーや自粛のレベルとしては、単独としてこれだけあれば十分である。
  • 新幹線の場合、乗車時間が長く、指定席が大部分である。また自由席にしても、空いていれば移れば良いが、当然そうでない場合も多い。つまり「逃れられない度」は飛行機に次ぎ高い方である。
  • 豚まんを通常の食事として食べる人もいるだろうが、腹が減っていて食べるのを我慢できないとしても、匂いの少ない普通の駅弁は幾らでもあるのであって、代替性は高い。むろん嗜好で食べるのであれば、更にその度合いは高いと考えられる。

これらを総合すると、少なくとも➅ではなく、➄か➃に相当すると考えるのが妥当である。

似たような話として、日本維新の会の藤田文武衆院議員が、たこ焼きを車内で食べた旨の投稿をしたところ、多くの批判が寄せられたという話があった。そのたこ焼きのパッケージには、「新幹線車内および駅構内でのお召し上がりはご遠慮願います」とのシールが貼られていた。

https://www.j-cast.com/2025/02/15501619.html

つまり、既に➃に相当すると判断する企業も出てきているということだ。ここから考えても、やはり➄と➃の境目にあると考えるのだ妥当だろう。

毛色が違うようにも思われがちだが、タバコのマナーも似たようなものだ。吸う人でも他人の煙は嫌という人は多い。煙から逃れにくい室内や車内、屋外でも繁華街では禁止されていることが多い。また禁止されていない所であっても、近くに人がいるときには一言断るのがマナーだ。基本的には嗜好品であり、代替性は高い。タバコには健康被害という実害があるけれども、その心配も含めての「不快」と考えれば、考え方は同じである。

河原氏の発言が炎上した理由は、世間は➄➃の考え方を持つ人が多いのに対して河原氏の考えは明らかに➅だったためそのギャップがあったから、というのが一つの仮説になる。だが、個人的にはもう一つあると考えていて、それは河原氏の投稿が高圧的で下品であることに対する反発があるのではないか、ということだ。

———以下引用———

こういう 自分の価値観をいきなり他人に押し付ける人、どう思う?

新幹線で食べる人がいるから 駅であったかい豚まん売ってるんだろ?

食べちゃダメなら まず新大阪駅の551閉めろよ。

それか 「新幹線持ち込み禁止」 って看板でも出しとけ。

豚まん一個で、東京まで気まずい空気流れるの日本くらいだろ。

大阪人に「551食うな」は喧嘩売ってる。

———引用終わり———

相手の価値観と自分の価値観が対立した時、強い方が譲る、というのはマナーではない。単なる強者の理論である。マナーとは「相手をおもんばかること」であり、自分の価値観に自信があったとしても反論をするのは悪手である。対話して落としどころを探るか、自分が引くかだろうが、彼はそのどちらもせず、反論して相手を黙らせ最後まで食べ切った。

この投稿の中で彼は「自分の価値観を押し付けられた」と感じたようだが、実際にはその行動によって「自分の価値観を押し付けた」。つまり、豚まんがどうこう以前の問題として、その行動自体がまずマナー違反である。そしてその価値観も、上の分析の通り相手の方が正しかった。更に、わざわざ(多くの他人の目に晒される)SNSに投稿して一方的に非難をした。こういった度重なるマナー違反が、炎上の原因のもう一つなのではないか、と思うわけだ。

私はこの人の事業と関りを持っていないが、もし持っていたらこの投稿一つでお付き合いを考え直すだろう。対岸の火事と思わず、今一度自らを戒めよう、とすら思った次第である。

2026年3月23日月曜日

公約のルーブリック

 

ルーブリックとは、

「評価の観点(何を見るか)」と「到達レベル(どの程度できていれば何点か)」を、あらかじめ言語化して共有する“採点表”

のことである。論文や記述式テストのように「正解/不正解」だけで測りにくいものを、公平・透明・再現性のある形で評価するために使用する。チェックリストのようなものだが、Yes/Noではなく段階があるところが違う。こうすると、記述式テストを複数の人が採点するときのばらつきを抑えることができ、つまりは客観性のある評価ができる。入試や資格試験ではよく使われる手法である。

さて、今回自民党が圧勝したわけであるが、自民党の公約は各党の中でもいちばん具体性に欠ける部類に入る(ように読めた)。それでもなぜ支持が集まったのかを検証するため、生成AIに「公約のルーブリック」を作ってもらった。

これは、公約の中身自体を批判するものではなく、「公約としての体裁が整っているか」を見る指標であることはまず明らかにしておく。その基準は以下の通りだ。


ルーブリックの観点(各10点×10=100点)

A. 将来像(10)

  • 10:10〜20年後の社会像が言語化され、短期政策との整合も説明
  • 5:方向性はあるが、将来像が抽象的/短期の寄せ集め
  • 0:スローガン中心で、将来像が不明

B. 重点・優先順位(10)

  • 10:トップ優先3〜5政策、理由、トレードオフが明示
  • 5:政策は多いが優先順位が曖昧
  • 0:百科事典化、何が最優先か不明

C. 実施手段(10)

  • 10:法改正・制度設計・所管・実施主体まで具体化
  • 5:やること列挙だが実施主体が曖昧
  • 0:タイトルのみ

D. 工程表(10)

  • 10:いつ何をするか(法案提出・開始時期・段階導入)
  • 5:期間感はあるが、マイルストーンが薄い
  • 0:「検討」「会議体」止まり

E. KPI(成果指標)(10)

  • 10:測れる指標(例:税収・賃金・達成期限)を複数提示
  • 5:一部のみ指標あり
  • 0:評価不能

F. 財源・コスト(10)

  • 10:減税・給付・投資の財源を体系的に提示
  • 5:一部だけ財源言及
  • 0:財源に触れず「検討」中心

G. エビデンス(10)

  • 10:統計・研究・過去検証・国際比較を根拠として提示
  • 5:根拠はあるが限定的
  • 0:根拠なし

H. リスクと副作用(10)

  • 10:副作用(インフレ、金利、格差、権利制約等)と対策を記載
  • 5:注意書き程度
  • 0:副作用に触れない

I. 説明責任・検証(10)

  • 10:実行後の検証方法、修正条件(PDCA)まで記載
  • 5:検証の言及はあるが具体化が薄い
  • 0:検証なし

J. 共創・意思決定プロセス(10)

  • 10:国民参加・熟議・第三者監視など制度的に設計
  • 5:会議体の設置は書くが、設計が薄い
  • 0:プロセスなし/「国民会議」など名称のみ

一つ一つを読めば、至極当たり前のことだと思う。これをベースに、各党の公約を評価してもらった。それが以下だ。


  • チームみらい:66
  • 中道改革連合:62
  • 国民民主党:58
  • 日本共産党:56
  • 日本維新の会:47
  • 自由民主党:44
  • れいわ新選組:41
  • 参政党:39

私の感覚と概ね合っている。一応、恣意でないことの確認のため、早稲田大学デモクラシー創造研究所によるマニュフェスト比較での評価(上記ルーブリックではなく独自の評価)を貼っておくと、以下のようになっている。

自民党:30点 維新:30点 中道改革連合:45点 国民民主党:40点 参政党:30点 共産党:40点 れいわ:30点 チームみらい:70点

細かい凹凸はあるものの、チームみらいがトップ、次が中道、以下が団子で、自民党はこの団子の中にいるということが分かる。65点を合格とするなら、どちらの評価でも合格はチームみらいだけで、他はダメダメ、ということが分かる。これはあくまでも公約としての体裁を問うているものだが、それがこのレベルなのであれば、実現可能性とか効果とかを論じても仕方がない。

さて、どちらの指標にしても、チームみらい以外は自民党も含めて団子状態、しかも落第点だったわけだが、今回は自民が圧勝した。なぜそうなったのか、

これについて、早稲田大学のマニュフェスト比較「出来栄えチェック」の点数と比例投票率との相関係数を主要8党で比較したところ、相関係数は0.19(ほぼ相関なし)という結論に達した。これと同じ手法で、上記のルーブリックとの相関係数を比較してもらったところ、‐0.07と、これまた相関なし、と出た。

それでは、と、自民党の公約への賛同率を、自民党への投票者と他党への投票者で比較しようとしたのだが、データが揃わず断念した。ただ、消費税減税についてだけは出口調査があって、自民党支持者の方が現状維持比率が高かった。つまり消費税減税には反対の人が多かったわけだ。

これに関して考えられる可能性は二つある。第一は、公約は重要視されておらず、その他(イメージや直感など)で選んだ人が多かったのだろうという考え方。第二は、読む側にリテラシーがなく、公約をなんとなく(勝手に、自分の都合の良いように)解釈して、自民が良さそうに見えた、という考え方である。まあどちらにしても、公約が役に立っていないという点で変わりはない。

まあ、公約はその後の演説やSNSの元ネタになるので不要とまでは言わないが、公約の出来が悪くても国民は気にしないのだ、ということが分かり、何とも言えない気分になった次第である。

2026年3月22日日曜日

AIから自己防衛するDB

 

生成AIには、ハルシネーションの他に、「命令を守らない」という問題が存在する。つまり、指示をして「ハイ分かりました」と答えて全然違うことをする、という問題がある。そんな中でも警戒すべきは情報漏洩である。AIに一度全てを見せてしまうと、ちょっとした拍子に情報を漏らしてしまう恐れがある一方、だからといって開示しなければ存在しないものとして扱われてしまう。これは痛し痒しと言える。これを改善するには、データを読まれる側にも工夫が必要である。

つまり、データを全部渡してしまうのではなく、「こんなデータある?」というAIの問いに対して「あるよ」とだけ答え、中身についてはまずは答えないとか、「あるけど何に使うの?」と聞くとか、そういう方向性があるのではないか、というわけだ。つまり、それがDBかWebページか、あるいはGitのようなソースコードかはさておき、何かしらのインテリジェンスを上にかぶせ、AIに相対させるAPIはそこを経由するものとする、というのがその構想である。

AIを通じてしかデータを渡さないのであれば、出す側のAIにはそれなりの知恵を授けておけば、最小限の被害で済む。例えば相手のAIが信頼できる相手か、課金はしているのか、聞いている内容がコンプラ違反ではないか、などをチェックして、生データは出さないが統計結果は出してやるとか、匿名で出してやるとかの判断を行うと共に、相手のAIとの交渉まで行う。

昔の感覚で言うと、これはオブジェクト指向型とも言える。だがAIが絡むことでその判断が高度になり、API経由でのデータやり取りだけでなく「交渉」まで行うとなると、これはエージェント型とでも言うべきアーキテクチャだろう。そしてこういう形態は、DB以外でも色々広がっていくに違いない。

そのやり取りを想像してみると、ちょっと人間臭くて笑ってしまうのだが、おそらくこういう方向性は次第に提案されるものになると思う。今から備えておいても損はない。

2026年3月21日土曜日

琵琶湖の水止めたろか


 映画『翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜』の中で、琵琶湖の水を止めて(京都大阪方面への放水を止めて)大阪を困らせる、しかし滋賀県の大部分は水没してしまう、という描写があった。これは関西ではよく言われる冗談でもある。「琵琶湖の水止めたろか」「滋賀が先に水没するで」というのが定番である。

これが本当なのか、Geminiに調べてもらった。

まず、琵琶湖の水を止めると滋賀県が水没するというが、水位が何m上がったらどの程度水没する、という目安を調べてみると、

• +1m 〜 1.5m【現実的な大災害レベル】 • +3.76m【観測史上最悪のリアル水没】1896年(明治29年)の「琵琶湖大洪水」 • +約30m【限界突破・京都への漏水レベル】山を貫通しているJRの鉄道トンネルや高速道路のトンネル群に水が到達し、そこを水路にして京都方面へ水が抜け出す • +約80m【完全なる「琵琶湖県」の誕生】

というレベルなのだそうだ。琵琶湖には、大小合わせて約120本もの川から水が流れ込んでいる一方、の水が外へ出ていくための自然の出口は、南端にある「瀬田川」ただ1本しかない。この一本が京都に入ると宇治川と名前を変え、京都を出ると桂川・木津川とつながり淀川になる。淀川における瀬田川の流量は約50%である。つまり瀬田川の水を止めても淀川は枯れない。

次に、琵琶湖の標準的水位に対してどの程度水を放出できるか、その限界について調べてみた。すると、法的な限界としてはマイナス1.5m、物理的な限界(排水口の高さ)はマイナス4.8mなのだそうだ。

また、琵琶湖に流れ込む水の量は、平均して0.02m分になるのだそうだ。つまり毎日0.02mづつ水位は上がっており、その分を下流に放出しているのが現状なのだそうだ。

ここから考えると、1m水位が上がるには50日掛かる。映画にあったような水没を30mとすると、そこまでには1500日(4年)掛かる計算だ。映画がこれを誇張していることは明らかである。

水没せずに大阪を苦しめるためには、まず限界まで水を放出しておいてから止めるのが良いだろう。すると、マイナス4.8mまで放出すれば、それが元の水位に戻るのには240日(約8ヶ月)である。

そのためには、瀬田川の放出量を最大にする必要があるが、その限界値は一日に0.1mだそうだ。つまり4.8m放出するには48日掛かる。そしてこの程度の量では京都大阪が洪水になることはまずないのだそうだ。

つまり、滋賀県は戦略的にまず48日掛けて水位をマイナス4.8mまで下げておけば、その後240日は全く安全に放水をストップすることができる。

一方、大阪がどの程度渇水に耐えられるかをGeminiに推測させてみると、

  • 1〜2日目:取水不能とパニックの始まり
  • 3日〜1週間:都市機能の完全停止(衛生の崩壊、医療・経済の停止)
  • 1週間以降:残されたわずかな水源への依存(他の川からの流入に依存するが圧倒的に足りない)

となり、わずか1週間で壊滅的な打撃を与えられることが分かった。法的な限界であるマイナス1.5mまでの放水をしておいて、そこから+0.5mまで40日耐えれば、滋賀県の勝ちだ。

というわけで、「琵琶湖の水止めたろか」作戦では、圧倒的に滋賀県が有利、というのが結論となった。滋賀県の皆さま、おめでとうございます。

2026年3月15日日曜日

シュレッダーくずバイオトイレ

非常用トイレの構想は過去に何回か書いているが、ここで考えるのはもっと現実的なもので、極端な話、明日大震災が起きても使えるものだ。知恵として覚えておいて欲しい。

非常用トイレとして、高分子吸収剤によるものが市販されている。これは赤ちゃんのおむつや生理用品などと同じく、水分を吸収することで腐敗を押さえ、液状のものを固定するものだ。だがこれらは二つの大きな欠点がある。第一は高いランニングコスト、第二は大量の保管スペースが必要なことだ。

非常用トイレの例として、アマゾンのベストセラーである「トイレの女神プレミアム」は、調査時点で100回分が7000円である。つまり1回70円。成人のー日の平均排便排尿数は7回なので、一日当たり490円掛かる計算である。それをビニール袋に入れ、凝固剤を入れて固めると、ビニール袋に入れた排泄物の体積は1日で5L程度になる。家族4人なら20L、ペール缶1つ分だ。つまり毎日ペール缶1個が増えていくことになる。南海トラフ級だと下水復活には月単位で掛かると思われるが、これで30日過ごすと

  • 30日x4人x7回=840回
  • トイレの女神9箱=63000円
  • 20Lx30=600L (ユニットバス2~3杯分)

と、けっこうとんでもない量になる。多くの人はここまで考えていないだろう。100回分を1つ買って安心している程度だ。

この問題を解決するために有効なのが、バイオトイレないしはコンポストトイレと言われているトイレである。トイレにも色々な方式があるが、震災時に使い物になるのはバイオトイレだけだ。その理由は、微生物分解による減容にある。

バイオトイレは、おがくずの上に排便し、その後おがくずを撹拌して放置する。すると微生物の作用で便が分解され、水蒸気とガスになってほとんど消失する。このため、廃棄物の体積を極端に少なくできる。

だがこのトイレにも欠点はあって、第一は大量のおがくずが必要なこと。第二は排便後の撹拌が必要なことだ。非常時に備えて大量のおがくずを用意するのは現実的ではないし、撹拌機能を持ったバイオトイレは20万円もする。

これらを踏まえた本稿での提案は、以下のようなものだ。

  • 事前準備として、丈夫なビニール袋を用意しておく。これは「業務用」「極厚」などのキーワードで調べれば直ぐに見つかる。大きさは45L。これは一般的なゴミ袋と同じサイズである。ただ、非常用のポータブルトイレ(折りたたみ式など)を持っている人は、20Lの方が良いだろう。気分の問題ではあるが、濃い色のもののほうが良い。枚数は、最低で3日分として、人数✕21枚。4人家族なら84枚だ。1週間分として200枚あれば足りるだろう。なお、持ち手は必要ない。
    • 丈夫でないビニール袋でも代用はできるが、丈夫なものであることが望ましい。理由は後述する。
  • もう一つ、事前準備として望ましいのは、手回し式のシュレッダーを買っておくことだ。これは通販で数千円で買うことができる。
    • 当然、電源確保が困難と思われる中では、手動式一択である。
    • シュレッダーには縦方向しか切らないものも多いが、この場合には横方向も切る、いわゆる「クロスカット」と呼ばれているタイプにする。更に「マイクロカット」といわれる、くずのサイズが小さいものがオススメである。
    • もしなくても、ハサミと根性があれば何とかなる。
  • 非常用の折りたたみトイレなどは、あれば便利だが、なくても問題ない。普段使用のトイレを流用できる。
  • 災害が発生したら、シュレッダーくずを作る。分量は、一日分として人数✕8.4Lである。これをとりあえず3日分作る。家族4人として、3日分で約100Lになる。これは一般的な段ボール(50L)で2箱分になる。
    • できれば光沢紙は避ける。ビニールコーテイングしてあるものなども好ましくない。つまり、新聞紙や週刊誌は適しているが、折込チラシは適していない。
    • シュレッダーがない場合は、これをハサミでやることになる。これが根性が必要な所以だ。
  • トイレには件のビニール袋を被せておく。やり方は他の非常用トイレと同様である。
  • ここに、あらかじめコップ3杯分、約600mL程度のシュレッダーくずを入れる。
  • その上に用を足す。そしてまた600mL分のシュレッダーくずを入れる。
    • シュレッダーくずの量は、個人差があるだろうし、大と小でも違うだろうから、様子を見ながら加減する。
  • 入れ終わったら、ビニール袋の口をすぼめて持ち、もう一方の手で排便をシュレッダーくずとよく混ぜ合わせるように揉む。
    • 「丈夫な」ビニール袋を使う理由はここにある。万一破れたら悲惨な目に遭うからだ。また後述するように、繰り返し使うためでもある。
  • よく混ざったら、口を開けたまま、できるだけ温かい場所に放置する。トイレには次のビニール袋を被せる。
    • 口を縛ってはいけない。水蒸気が抜けるようにする必要がある。
  • このビニール袋は、数日放置している間に発酵し減容する。ある程度減容したら再利用する。この際、様子を見てシュレッダーくずを継ぎ足す。
    • 目安は、糞便臭がなく、水分が適度に抜けている状態である。土と同程度かそれ以下が望ましい。
    • 発酵減容が何日掛かるかは、季節によっても変わる。夏場は速く冬場は遅い。加熱できるバイオトイレの場合は一日で終わるそうだが、加熱がない場合は数日から1週間程度は掛かると思われる。なお、発酵中は発熱するので、ビニール袋同士は寄せて置いたほうが良い。
  • ビニール袋が一杯になったら、やはり数日放置し、糞便臭がなくなったら土に還すことができる。これは有用な肥料になる。
    • なお、通常時は燃えるゴミに出せる。中身のみトイレに流すのもOKだろう。

要するに、バイオトイレで使うおがくずをシュレッダーくずで代用する、というアイデアである。シュレッダーくずの原料は紙なので、おがくずと同様の効果が期待できる。そして紙は現代社会のいたるところにあるので、あらかじめ準備しなくてよい。また、バイオトイレでは専用の撹拌レバーがあるが、これを手動で行うことにより、高価な専用のバイオトイレを買う必要もなくなる。

バイオトイレの場合、毎回おがくずタンクの全量と混ぜてしまうのだが、これを一回分ごとに小分けにするというのもこのアイデアの特徴だ。バイオトイレの場合、毎回全量と混ぜるが故に、おがくずタンクの量で使用可能人数の上限が決まってしまうのだが、このアイデアの場合は毎回入れ替えるため、何人でも対応できる。

一般的な非常用トイレに比べて手間は掛かるのだが、発酵による減容という特徴により、ある程度で保管場所の増加が止まる点が大きな違いだ。もし3日で減容が完了するとなると、ビニール袋の分が増えるとしても、家族4人で200L程度で頭打ちになる。これはユニットバス1杯で納まる程度である。

またこの応用として、市販されているバイオトイレ用の発酵促進剤を混ぜてやると良いかもしれない。これも通販で買うことができる。

2026年3月6日金曜日

日本と世界の右傾化とその理由2:恐ろしい現実

 

日本と世界の右傾化とその理由

の続き。世界的な国粋主義、自国第一主義、覇権主義、暴力肯定、秩序破壊の傾向に関し、その原因について考えてみる。なお、けっこう重い話ではあるのだが、あくまでも『根拠なき自説』であるので、気軽に聞いて頂きたい。

世界的な右傾化の原因は、経済格差や将来への不安が引き起こすとされてきたが、経済格差・軍事力格差について調べてみたところ、米・中以外はほとんど団子状態で、あまり格差が開いているとは言えないことが分かった。グラフは、左がGDP、右が軍事費である。

そこで調べてみたところ、近年では更に根本的な原因として「社会的地位の低下への恐怖」説が出てきているそうだ。というのも、そう言われてみると、世界同時多発的とは言え、各国にはそれぞれそういう事情があった。

  • アメリカ:白人低所得者層の衰退=白人以外の層との相対的な格差縮小
  • 日本:長い経済停滞により国際的地位が低下
  • 欧州:難民の急増大、EU化による各国のアイデンティティ低下
  • ロシア:ソ連崩壊と再編、周辺国が次々とEU/NATOに接近
  • イスラエル:宗教的保守層の増大に伴う世俗派(エリート層)の相対的地位低下
  • イラン:英米によるクーデターによる傀儡政権設立への不満(それを転覆したがまた圧力が掛かっている)

中国、インド、中南米、オセアニア、アフリカは事情が違うように思う。中国とインドは、成長に見合わない国際的地位への不満があると思われるし、中南米は単純に腐敗政治への不満、アフリカは経済成長に伴う反植民地主義の復活、オセアニアにはほぼ理由がない。

そういう目でそれらを俯瞰して見ると、やはり「社会的地位の低下への恐怖」の強い国ほど右傾化の程度も強い傾向を感じる。

そこで、「社会的地位の低下への恐怖」の強さを国別に定量化できないかとGeminiに聞いてみたところ、こんなグラフを出してくれた。

1990年と2023年の違いを2軸でまとめている。横軸は各国の国際的ステータスの変化、縦軸は国内でのステータスの変化を指標にしたものだ。国内ステータスというと意味が分からないが、これは労働者階級(モノづくり階級、中間層)のステータスを意味している。

ロシアは国内ステータスが驚異的に落ち、日本は国際的地位が大いに落ちていることが分かる。米国とヨーロッパは団子状態だが、国内テータスが日本以上に低下している。中国は国際的ステータスが大いに向上したのに、国内ステータスは落ちている。インドはどちらもあまり変化がない。

あまり明確な結果は出てこなかったが、面白いのは(面白くはないのだが)、何れの国も国内ステータスは低下しており、向上している国がなかったというところだ。

労働者階級の地位が低下している理由は、グローバル化による労働力の価格破壊技術革新における中間層の空洞化などが考えられるが、どちらも当然の成り行きであると言える。

つまり、国内の格差拡大は歴史的に必然的なもので、止めようがないし、止める理屈もない。また当面はこの傾向は続く、つまり格差は更に拡大していく。生成AIの発達により、これはホワイトカラーにも広がり、一部の管理職や起業家、資産家といったエリート以外は皆、相対的に社会的地位が落ちていくだろう。

それがどこまで続くかだが、生成AIの予測によると、

  • トップ1〜5%(資本家・AIオーナー層): プラットフォームの所有者、大規模資本家。富の大部分を独占する。
  • アッパーミドル15〜20%(AIを管理・活用する層): 高度な意思決定、AIシステムの維持、人間同士の高度な交渉を行う層。彼らまでが「豊かな階級」として生き残る。
  • アンダークラス70〜80%(エッセンシャルワーカー・ギグワーカー・非就労者): AIに代替されない肉体労働(介護、物流、インフラ維持)や、アルゴリズムの指示で動く細切れの労働(ギグワーク)に従事する層。

程度で落ち着くと考えられるのだそうだ。アンダークラスの割合は今は40%程度だが、それが倍程度になると見込まれるわけだ。また、労働分配率は更に低下し、現在の50~45%程度から40%程度にまで下がると考えられる。

この数値を今の日本に当てはめてみると、アンダークラスの年収は190万円、アッパーミドルは670万円、トップは1690万円と算出された。アンダークラスの年収はもはや生活保護レベルであるが、それが全国民の80%になる、というわけだ。

更に言うと、この時のジニ係数は0.71であり、これは現在の南アフリカ(0.63)を遥かに上回るとんでもない格差になる。これではエリートも困るので、ベーシックインカム導入に踏み切るしかないだろう。しかし元手が人口の2割しかいないので、額は限られる。一人年間100万円を配るとしても、ジニ係数は0.60までにしか下がらない。これは「暴動はギリギリで起きないが固定化されたディストピア」になる。

この傾向は国内固有ではなく、世界的傾向である。そしてこれは格差拡大であり、国民の大部分が飢えるため、暴動が起きやすくなる。新興国ではこの傾向はさらに顕著になり、平均所得が下がる。これをシミュレーションしてもらったところ、

  • トップ層(上位5%): 約1,580万円〜
  • ミドル層(上位15%):約140万円〜200万円
  • アンダークラス(下位80%): 約24万円

月収ではなく年収が24万円である。もちろん物価は違うのだが、これは今のスラム層と同程度である。スラム層は今世界に7億人いるとされているが、これが40~50億人になるという予想が出ている。

世界人口の半分がスラムというのはちょっと信じがたい。そもそものドイツの右傾化のきっかけはシリア難民の受け入れだったが、その規模が7倍になればもはや拒絶しかないし、さりとて難民も必死なのだからそこでは武力衝突が起こってもおかしくない。それも、難民が数の暴力で押し切ろうとすれば、EU側も本気で戦わなければならない。それこそ数百万人単位の大量虐殺(虐かどうかは定義次第だが)が、何回となく起きる可能性も出てくる。

そういったスラムでは出生率は落ちるが、今既に生まれている女性が適齢期になって子供を産むので、しばらくは人口は増加する。それが落ち着いてくるまでには数十年掛かるだろう。

今回は世界の右傾化の理由を順に調べていったのだが、もはや右傾化が好ましいとか好ましくないとかの次元の話ではなくなってしまった。世界が急速に貧困化していく中での断末魔、あるいは世界再編の一環であると考えると、右傾化なんてのは序の口で、もっと厳しい、生々しい現実が待っているのだと言える。

2026年3月3日火曜日

600mmパレット引っ越し規格

 少子高齢化対策の一つの手段として、コンパクトシティがあることは以前も述べた。これに関して非常に重要なのは、住居を気軽に移転できることだ。だが現実には引っ越しには高額の費用と多大な手間が掛かる。

なぜ費用が掛かるのかと言えば、間違いなく人件費の都合である。だからこの解決策はロボットによる自動引っ越しを実現させることである。だが、人間型ロボットに引っ越しを任せるのはまだ心許ないし、かなり先の話だろう。そこで、ここでは万能の引っ越しロボットを考えるのではなく、ロボット引っ越しに適した『規格』を考えてみることにする。

そこで考えたのがタイトルの600mmパレットだ。これは600x800mm、高さ20mmのパレットで、引っ越し用家具はこのパレットに載せることを条件とする、というものになる。このアイデアに沿った規格とは、以下のようなものだ。

  • 引っ越しに使う家具、段ボールなどは全てこの600x800mmパレットにはみ出すことなく載せられることを条件とする。なお、高さはとりあえず900mmを上限とする。
    • このパレットには囲いが付けられ、転倒や脱落を防止する。
    • 高さが900mm以上の家具は、上下2分割、3分割として、各々を運ぶ。また分解・積み重ねもロボットが行う。
  • このパレットを載せてトラックと家の間を行き交う運搬ロボットを開発する。
    • 類似のロボットは既に世の中に多く存在しているが、整備された工場ではなく段差や傾斜のあるところを移動するため、水平を保つために足回りは新規開発が必要である。
  • 引っ越し元と引っ越し先の家に対し、以下を確認する。
    • 段差が規定内であることの確認。パレット運搬ロボットは50mm程度の段差は乗り越えられるように作るが、そうでない場合は段差を克服する措置(15°以内の傾斜など)を事前設置することができるかどうか。あるいはエレベーターの有無、階段しかない場合は搬送レールを取り付けられるかどうか。
      • 搬送レールはこのロボットのために開発する。
    • 玄関から全ての部屋に至るアプローチにおいて、パレットを載せた運搬ロボットが通れることの確認。これは角を曲がること、ドアを開けたまま固定することを含む。
    • 多段の場合は小型フォークリフトが積み重ねるため、そのための作業スペースがあることの確認。積み重ね用フォークリフトの設計は別途行う。

これらが確認できれば、搬出と搬入、また家具配置の一部までは全てロボットが行えるようになる。

このサイズに収まらない家具としては、ダイニングテーブル、ベッド、ピアノ、食器棚、学習机などが考えられるが、それらについては可能なものは分割式とし、不可能なものは従来通り手で運ぶものとする。

また、家具類には作り付けのパレットが最初から付いているように設計することができる。

パレットはトラック内に固定できるため、基本的に養生は必要ない。だが必要な場合は囲いをして隙間は緩衝材で保護する。

パレットのトラックへの積み込みは、専用のフォークリフトを開発して行う。これは人が乗る必要がなく、ロボット同士が通信をして自動で積み下ろしをする。

大抵のトラックの荷室の高さは2000mm以上あるため、900mmのパレットは上下2段で積む。これにより空きスペースを少なく、無駄なく詰めることができる。

高さのある家具は、やはりフォークリフトで重ね、その後に固定する。この固定方法も規格に含める。またその固定方法を応用して床に固定する規格も検討する。床に固定できれば耐震処理は必要ない。

従来の家は、寸法の計測と段差の規格を考慮したリフォームが可能であるので、新たな家、特に賃貸住宅ではこの規格を推奨するよう税誘導などを行う。

実際の引っ越しにおいては、トラックから玄関、更に各部屋までのアプローチについて、ラインテープなどによるマーカーを設置し、ロボットはそのマーカーに沿って移動する。新居の家具の配置は、やはりマーカーを置いておき、ロボットはその位置に正確に家具を下ろす。

パレット付き、600Dx800Wx900Hの、扉/引き出しロック機構付き棚を作っておけば、小物は全部それに入れてしまえば良いので、いちいち段ボールを大量に作る必要はない。また段ボールを作る場合でも、600Wx400Dx30Hの段ボールだけ作っておけばこのパレットに綺麗に積み重ねられる(実際には枠の分だけ小さめに作る)のでやはり自動で運ぶことが可能だ。

この応用として、パレットごと床に置くことに関し、家具を置かなかったスペースはパレットと同じ高さのタイルを置くことにすれば、段差もなく綺麗に配置することができる。200mm単位のタイルを大量に作っておいて、家具スペースだけそれを外してやれば、ぴったりはまるだろう。またそのタイルにも、溝を作っておいて配線をするなどの工夫が可能である。タイルの位置決め用に床にノッチを入れておくことなども可能だろう。

この機構を採用する前提で、家族4人、75平米程度の家を100km移動する引っ越しについて、生成AIに見積もりをしてもらったところ、75%程度の費用削減ができるとの試算が出た。この中でも大きいのはやはり人件費で、従来型では4人のところ1人、しかも拘束時間を大幅に短縮することで、90%以上の節約になる。

また引っ越す側としても、段ボールへの詰め替えが最小限で良いところはメリットになる。つまり引き出しにモノを入れたまま移動できるため、その手間が省けるのだ。

この規格が広まることは、引っ越しだけでなく宅配ロボットの普及にも有益である。つまり、この600mmパレットロボットが通れるなら、これより小さい宅配ロボットも自動で玄関先まで行けるはずであるからである。ロボットに対応する宅配ボックスを設置するだけで自動受取が可能になる将来像も、描くことができる。

現在の建築基準法では、4階建てまでの建物はエレベーターの設置義務がないが、そういうものであってもパレット用リフトを階段沿いに設置することで宅配ロボットは移動可能になるし、将来的には低層でもそのリフトを設置した建物が人気になる、ということも考えられる。

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