2026年3月6日金曜日

日本と世界の右傾化とその理由2:恐ろしい現実

 

日本と世界の右傾化とその理由

の続き。世界的な国粋主義、自国第一主義、覇権主義、暴力肯定、秩序破壊の傾向に関し、その原因について考えてみる。なお、けっこう重い話ではあるのだが、あくまでも『根拠なき自説』であるので、気軽に聞いて頂きたい。

世界的な右傾化の原因は、経済格差や将来への不安が引き起こすとされてきたが、経済格差・軍事力格差について調べてみたところ、米・中以外はほとんど団子状態で、あまり格差が開いているとは言えないことが分かった。グラフは、左がGDP、右が軍事費である。

そこで調べてみたところ、近年では更に根本的な原因として「社会的地位の低下への恐怖」説が出てきているそうだ。というのも、そう言われてみると、世界同時多発的とは言え、各国にはそれぞれそういう事情があった。

  • アメリカ:白人低所得者層の衰退=白人以外の層との相対的な格差縮小
  • 日本:長い経済停滞により国際的地位が低下
  • 欧州:難民の急増大、EU化による各国のアイデンティティ低下
  • ロシア:ソ連崩壊と再編、周辺国が次々とEU/NATOに接近
  • イスラエル:宗教的保守層の増大に伴う世俗派(エリート層)の相対的地位低下
  • イラン:英米によるクーデターによる傀儡政権設立への不満(それを転覆したがまた圧力が掛かっている)

中国、インド、中南米、オセアニア、アフリカは事情が違うように思う。中国とインドは、成長に見合わない国際的地位への不満があると思われるし、中南米は単純に腐敗政治への不満、アフリカは経済成長に伴う反植民地主義の復活、オセアニアにはほぼ理由がない。

そういう目でそれらを俯瞰して見ると、やはり「社会的地位の低下への恐怖」の強い国ほど右傾化の程度も強い傾向を感じる。

そこで、「社会的地位の低下への恐怖」の強さを国別に定量化できないかとGeminiに聞いてみたところ、こんなグラフを出してくれた。

1990年と2023年の違いを2軸でまとめている。横軸は各国の国際的ステータスの変化、縦軸は国内でのステータスの変化を指標にしたものだ。国内ステータスというと意味が分からないが、これは労働者階級(モノづくり階級、中間層)のステータスを意味している。

ロシアは国内ステータスが驚異的に落ち、日本は国際的地位が大いに落ちていることが分かる。米国とヨーロッパは団子状態だが、国内テータスが日本以上に低下している。中国は国際的ステータスが大いに向上したのに、国内ステータスは落ちている。インドはどちらもあまり変化がない。

あまり明確な結果は出てこなかったが、面白いのは(面白くはないのだが)、何れの国も国内ステータスは低下しており、向上している国がなかったというところだ。

労働者階級の地位が低下している理由は、グローバル化による労働力の価格破壊技術革新における中間層の空洞化などが考えられるが、どちらも当然の成り行きであると言える。

つまり、国内の格差拡大は歴史的に必然的なもので、止めようがないし、止める理屈もない。また当面はこの傾向は続く、つまり格差は更に拡大していく。生成AIの発達により、これはホワイトカラーにも広がり、一部の管理職や起業家、資産家といったエリート以外は皆、相対的に社会的地位が落ちていくだろう。

それがどこまで続くかだが、生成AIの予測によると、

  • トップ1〜5%(資本家・AIオーナー層): プラットフォームの所有者、大規模資本家。富の大部分を独占する。
  • アッパーミドル15〜20%(AIを管理・活用する層): 高度な意思決定、AIシステムの維持、人間同士の高度な交渉を行う層。彼らまでが「豊かな階級」として生き残る。
  • アンダークラス70〜80%(エッセンシャルワーカー・ギグワーカー・非就労者): AIに代替されない肉体労働(介護、物流、インフラ維持)や、アルゴリズムの指示で動く細切れの労働(ギグワーク)に従事する層。

程度で落ち着くと考えられるのだそうだ。アンダークラスの割合は今は40%程度だが、それが倍程度になると見込まれるわけだ。また、労働分配率は更に低下し、現在の50~45%程度から40%程度にまで下がると考えられる。

この数値を今の日本に当てはめてみると、アンダークラスの年収は190万円、アッパーミドルは670万円、トップは1690万円と算出された。アンダークラスの年収はもはや生活保護レベルであるが、それが全国民の80%になる、というわけだ。

更に言うと、この時のジニ係数は0.71であり、これは現在の南アフリカ(0.63)を遥かに上回るとんでもない格差になる。これではエリートも困るので、ベーシックインカム導入に踏み切るしかないだろう。しかし元手が人口の2割しかいないので、額は限られる。一人年間100万円を配るとしても、ジニ係数は0.60までにしか下がらない。これは「暴動はギリギリで起きないが固定化されたディストピア」になる。

この傾向は国内固有ではなく、世界的傾向である。そしてこれは格差拡大であり、国民の大部分が飢えるため、暴動が起きやすくなる。新興国ではこの傾向はさらに顕著になり、平均所得が下がる。これをシミュレーションしてもらったところ、

  • トップ層(上位5%): 約1,580万円〜
  • ミドル層(上位15%):約140万円〜200万円
  • アンダークラス(下位80%): 約24万円

月収ではなく年収が24万円である。もちろん物価は違うのだが、これは今のスラム層と同程度である。スラム層は今世界に7億人いるとされているが、これが40~50億人になるという予想が出ている。

世界人口の半分がスラムというのはちょっと信じがたい。そもそものドイツの右傾化のきっかけはシリア難民の受け入れだったが、その規模が7倍になればもはや拒絶しかないし、さりとて難民も必死なのだからそこでは武力衝突が起こってもおかしくない。それも、難民が数の暴力で押し切ろうとすれば、EU側も本気で戦わなければならない。それこそ数百万人単位の大量虐殺(虐かどうかは定義次第だが)が、何回となく起きる可能性も出てくる。

そういったスラムでは出生率は落ちるが、今既に生まれている女性が適齢期になって子供を産むので、しばらくは人口は増加する。それが落ち着いてくるまでには数十年掛かるだろう。

今回は世界の右傾化の理由を順に調べていったのだが、もはや右傾化が好ましいとか好ましくないとかの次元の話ではなくなってしまった。世界が急速に貧困化していく中での断末魔、あるいは世界再編の一環であると考えると、右傾化なんてのは序の口で、もっと厳しい、生々しい現実が待っているのだと言える。

2026年3月3日火曜日

600mmパレット引っ越し規格

 少子高齢化対策の一つの手段として、コンパクトシティがあることは以前も述べた。これに関して非常に重要なのは、住居を気軽に移転できることだ。だが現実には引っ越しには高額の費用と多大な手間が掛かる。

なぜ費用が掛かるのかと言えば、間違いなく人件費の都合である。だからこの解決策はロボットによる自動引っ越しを実現させることである。だが、人間型ロボットに引っ越しを任せるのはまだ心許ないし、かなり先の話だろう。そこで、ここでは万能の引っ越しロボットを考えるのではなく、ロボット引っ越しに適した『規格』を考えてみることにする。

そこで考えたのがタイトルの600mmパレットだ。これは600x800mm、高さ20mmのパレットで、引っ越し用家具はこのパレットに載せることを条件とする、というものになる。このアイデアに沿った規格とは、以下のようなものだ。

  • 引っ越しに使う家具、段ボールなどは全てこの600x800mmパレットにはみ出すことなく載せられることを条件とする。なお、高さはとりあえず900mmを上限とする。
    • このパレットには囲いが付けられ、転倒や脱落を防止する。
    • 高さが900mm以上の家具は、上下2分割、3分割として、各々を運ぶ。また分解・積み重ねもロボットが行う。
  • このパレットを載せてトラックと家の間を行き交う運搬ロボットを開発する。
    • 類似のロボットは既に世の中に多く存在しているが、整備された工場ではなく段差や傾斜のあるところを移動するため、水平を保つために足回りは新規開発が必要である。
  • 引っ越し元と引っ越し先の家に対し、以下を確認する。
    • 段差が規定内であることの確認。パレット運搬ロボットは50mm程度の段差は乗り越えられるように作るが、そうでない場合は段差を克服する措置(15°以内の傾斜など)を事前設置することができるかどうか。あるいはエレベーターの有無、階段しかない場合は搬送レールを取り付けられるかどうか。
      • 搬送レールはこのロボットのために開発する。
    • 玄関から全ての部屋に至るアプローチにおいて、パレットを載せた運搬ロボットが通れることの確認。これは角を曲がること、ドアを開けたまま固定することを含む。
    • 多段の場合は小型フォークリフトが積み重ねるため、そのための作業スペースがあることの確認。積み重ね用フォークリフトの設計は別途行う。

これらが確認できれば、搬出と搬入、また家具配置の一部までは全てロボットが行えるようになる。

このサイズに収まらない家具としては、ダイニングテーブル、ベッド、ピアノ、食器棚、学習机などが考えられるが、それらについては可能なものは分割式とし、不可能なものは従来通り手で運ぶものとする。

また、家具類には作り付けのパレットが最初から付いているように設計することができる。

パレットはトラック内に固定できるため、基本的に養生は必要ない。だが必要な場合は囲いをして隙間は緩衝材で保護する。

パレットのトラックへの積み込みは、専用のフォークリフトを開発して行う。これは人が乗る必要がなく、ロボット同士が通信をして自動で積み下ろしをする。

大抵のトラックの荷室の高さは2000mm以上あるため、900mmのパレットは上下2段で積む。これにより空きスペースを少なく、無駄なく詰めることができる。

高さのある家具は、やはりフォークリフトで重ね、その後に固定する。この固定方法も規格に含める。またその固定方法を応用して床に固定する規格も検討する。床に固定できれば耐震処理は必要ない。

従来の家は、寸法の計測と段差の規格を考慮したリフォームが可能であるので、新たな家、特に賃貸住宅ではこの規格を推奨するよう税誘導などを行う。

実際の引っ越しにおいては、トラックから玄関、更に各部屋までのアプローチについて、ラインテープなどによるマーカーを設置し、ロボットはそのマーカーに沿って移動する。新居の家具の配置は、やはりマーカーを置いておき、ロボットはその位置に正確に家具を下ろす。

パレット付き、600Dx800Wx900Hの、扉/引き出しロック機構付き棚を作っておけば、小物は全部それに入れてしまえば良いので、いちいち段ボールを大量に作る必要はない。また段ボールを作る場合でも、600Wx400Dx30Hの段ボールだけ作っておけばこのパレットに綺麗に積み重ねられる(実際には枠の分だけ小さめに作る)のでやはり自動で運ぶことが可能だ。

この応用として、パレットごと床に置くことに関し、家具を置かなかったスペースはパレットと同じ高さのタイルを置くことにすれば、段差もなく綺麗に配置することができる。200mm単位のタイルを大量に作っておいて、家具スペースだけそれを外してやれば、ぴったりはまるだろう。またそのタイルにも、溝を作っておいて配線をするなどの工夫が可能である。タイルの位置決め用に床にノッチを入れておくことなども可能だろう。

この機構を採用する前提で、家族4人、75平米程度の家を100km移動する引っ越しについて、生成AIに見積もりをしてもらったところ、75%程度の費用削減ができるとの試算が出た。この中でも大きいのはやはり人件費で、従来型では4人のところ1人、しかも拘束時間を大幅に短縮することで、90%以上の節約になる。

また引っ越す側としても、段ボールへの詰め替えが最小限で良いところはメリットになる。つまり引き出しにモノを入れたまま移動できるため、その手間が省けるのだ。

この規格が広まることは、引っ越しだけでなく宅配ロボットの普及にも有益である。つまり、この600mmパレットロボットが通れるなら、これより小さい宅配ロボットも自動で玄関先まで行けるはずであるからである。ロボットに対応する宅配ボックスを設置するだけで自動受取が可能になる将来像も、描くことができる。

現在の建築基準法では、4階建てまでの建物はエレベーターの設置義務がないが、そういうものであってもパレット用リフトを階段沿いに設置することで宅配ロボットは移動可能になるし、将来的には低層でもそのリフトを設置した建物が人気になる、ということも考えられる。

2026年2月25日水曜日

3Dプリンター木造建築工法3 脅威の性能とコスト

 3Dプリンター木造建築工法2 更なる改良

の続き。

リグニンは、180~220℃でゾル状になり、3Dプリンタから射出できるようになる。この状態はまだ熱可塑性の状態にあり、いったん冷えると固まるが、再度この温度になると軟化する。そして、200℃以上で数十分~2時間程度保持すると「架橋化」し、完全に硬化する。こうなるともう熱を加えても軟化しなくなる。

これに対し、日本の住宅の耐火性能試験では、5分後に576℃、30分で842℃、60分で945℃になる。なのでリグニンは架橋化が必須である。そうしないと熱で軟化し、家が崩れてしまう。

だが、3Dプリンター印刷という特性上、200℃で2時間加熱をするのは不可能なので、触媒を用いる。触媒は低温下でも架橋化を促進するが、前回も説明した通り、3Dプリントにおける層間結合を強化するためには邪魔である(硬化した後は結合できない)ため、工夫が必要である。

そこで、架橋促進剤を、新たな層をプリントする直前に噴霧し、プリント後直ちに「ヘラの先端で押す」という操作を行う。これによって層がV字型に変形し、未硬化のリグニンの上下の層が混ざると共に架橋促進剤も混ざるため、層間結合と硬化が同時に完成する。架橋促進剤はその後、その他のところでも徐々に浸透し、硬化が完成する。これにより、前回提案した超音波過熱針及び注入ロッドは廃止する。

次に耐火性だが、20~30mmのリグニン層は廃止し、2mmの高リグニン防湿層+サイディング用の桟を3Dプリンタで形成し、サイディングは市販のものを使用する。これにより建築確認における耐火性の評価を既存の市販品のそれで代用できると共に、価格を大幅に落とすことができる。(リグニン層は高い。)

内装も、10mmのリグニン層は廃止し、防湿用高リグニン層2mmと石膏ボード用の桟までは3Dプリンタで加工し、石膏ボードは人手で貼ることにした。これでも透湿フィルムを貼る必要がないので通常より手間は減らせる。なお、外と中の高リグニン防湿層も、ヘラの先端で押して層間結合強化をする点は同じである。

なお、1層(高さ方向)の厚さは2mmとした。これはコンクリート3Dプリンタ住宅より遥かに薄いのだが、その理由は①即時(2層印刷後)で硬化が可能なのでコンクリートのように固まるのを長時間待つ必要がない、②硬化剤を層間に噴霧するので硬化剤が十分に浸透する薄さにする必要がある、という理由による。

また、断熱材は発泡剤により膨張するので、壁材のような精密な形状制御が困難である。このため、断熱材ヘッドだけはセンサで吐出先の状況を把握し、吐出量を自動調整する機能を追加する。

断熱材もリグニンを含んでいるので、充填すると壁(ハニカム材)に密着する。このハニカム材は構造材、即ち家の重さを支える材料である。一般的なウレタン吹付けでは断熱材は壁に張り付いているだけだが、この場合は六角柱の中に充填される。このため、断熱材はこのハニカム材の構造材としての性能を強化する。圧力耐性はさほど変わらないが、曲げ耐性が強まる。これを計算に入れた上で、ハニカムの厚さを薄くして材料費を節約することは可能になるだろう。結果として、ハニカム層の壁の厚さは2mmにした。ハニカム層全体としての(壁の)厚さは100mmにした。なお、断熱材にはホウ酸を添加して火災に備えるものとする。断熱材はハニカム構造の中に閉じ込められるため空気が動かず、つまり対流が起こらない。またビスや柱などの熱橋が原理的に存在しないため、壁の厚さが薄くても断熱性能は高くなる。

次に、全体として、木粉は止め、古紙パルプを使用することにした。こちらは価格が大幅に安く、繊維も長いためである。また、パルプの入手先(製紙工場など)は大量のリグニンを産業廃棄物として排出するので、リグニンの入手先としても有用と考えた。他、インクを除去していない低品質のパルプを断熱材用に使用し、ハニカム材と防湿層用には高品質のインク除去パルプを使用する。リグニンとインクの食いつきが違うそうだ。

リグニン自体も、無精製の安価なものを断熱用に、精製した高品質なものを防湿層とハニカム材に使用する。パルプと同様、適材適所にすることで価格を低減した。

溶剤を使わないので、いわゆるシックハウス症候群とは無縁になる。壁紙も塗装も当然対応可能である。ただ壁紙の場合、表面を均す必要はあるかもしれない。2mmとはいえヘラで押すこともあり、1mm以下の凹凸は多少あると思われる。

次に、基礎周りのプリントについて考える。通常、基礎には締結用のボルトが飛び出しているが、現在提案しているライン状のプリンタヘッドではボルトを避けられない。そこで、まず基礎にはボルトを埋め込むのではなく、ボルトを埋め込むための穴(ネジ切り)を埋めておく。そしてプリンタは、そのボルト穴の周りを避けるようにプリントするのだが、この際、C字型にしてプリントする。壁の内側に開口部を向ける形となる。もちろんその穴には断熱材は充填しない。そしてプリントが進んで想定ボルト高さを十分に超えたら、横に空いた穴からボルトを入れ、その隙間に高リグニン材(ハニカム材と同じモノ)を注入する。これは手動でも良いだろう。この方法での締結は、木造のホールダウン金物による締結と比べ、引き抜き耐力で倍以上の強度を出せると計算できた。

屋根周りであるが、最上部の防水層を高リグニン、その上の屋根材固定の桟までを3Dプリントで作り、屋根材はガルバリウム鋼板とし、人手で貼るものとする。防水層の下は当然ハニカム断熱層であり、ガルバリウム屋根固有の雨音を減衰することができる。屋根周りの強度設計も自在であり、必要なら太陽光発電パネルや太陽光温水器の設置も可能であり、配線用の穴やくぼみも3Dプリントできる。雨樋や排水路なども同様、一体成型可能だ。

これら変更を加えた後で、再度性能と坪単価を計算した結果が以下だ。

まず断熱性は、一条工務店の0.25W/(m2K)に対し0.20W/(m2K)と一条工務店超えを達成した。これは小さなエアコン1個で家中の冷暖房が可能なレベルである。またリグニンは保温性が高いので、深夜電力でそのエアコンを動かし、昼間は停止させる、といった使い方が可能である。

耐震性も鉄筋コンクリート(RC造)を上回り、耐震等級3を余裕でクリアする。RCは重量があるのでその分更にこちらが有利という結果が出た。これより、制震装置などは必要ない。むしろ家が丈夫すぎて地震のエネルギーを全て受け止め、家は壊れないが家具が飛ぶ可能性が高くなる。必要に応じ免震装置はつけるべきかもしれない。だとすると、免震装置の上に家をプリントすれば良いので、ここで建築を標準化できるかもしれない。耐風性もRC構造並みの剛性を持ち、気密維持も最高、飛来物耐性も高いことが確認できた。

防音性も完璧だ。壁も床もハニカム+断熱材で埋まっており、更に厚みも十分、隙間もないので、音が漏れない。計算によると、通常の木造の家がD-25~D-30、市販の防音室(ヤマハのアビテックスなど)がD-35~D-45なのに対し、D-45~D-55になるとの試算を得た。つまり家中が防音室と同じということだ。深夜に大音量で映画を見ていても、隣家には全く影響ない。(但し窓からは漏れるので要注意)

最後に経年劣化だが、これも木造や鉄筋コンクリート造を上回る性能が出るとの予想が出た。元々木材が持つ糖分・デンプン類が、3Dプリンタからの射出時の高熱で変性しているため、シロアリの好む餌ではなくなっていることに加え、防蟻材を「練り込む」ことが可能である。また、リグニンは架橋化するともうそれ以上劣化しない。木の化石を想像してもらうと良いのだそうだ。むしろ時間と共に未架橋の部分が徐々に架橋化し、強度は増すのだそうだ。

そして坪単価は、なんと25~35万円である。一般的な木造軸組み構造が60~80万円、一条工務店が80~100万円、RCが100~150万円、安さが売りのコンクリート3Dプリンタ住宅でも60~90万円とのことなので、あらゆる建築方式の中で最も安いという凄い結果が出た。

これは価格を追求した結果なのだが、当初の構想通り内壁層と外壁層をリグニンで作ることも可能だ。価格はRC並み(120万)になるが、圧倒的な速さで建築できる。養生と内装外装が大幅に減るためである。坪単価と自分の求める住宅性能を、それこそ指先一つで自在にコントロールできるのが、3Dプリンタ住宅の特徴とも言える。

何回も言っている気がするが、建築会社にこの案を拾ってもらい、具体的検証してほしいものだ。

2026年2月24日火曜日

3Dプリンター木造建築工法2 更なる改良


 参考:前回 SpockのHighTech夢想: 3Dプリンター木造建築工法

前回の続き。更に色々考え、実用に近づけた。

  1. 構造材の変更
    1. 前は柱材として玄武岩(バサルト)ファイバーと言っていたが、これを廃止し、壁全体をハニカム構造とする。柱材は無くす。
      1. 目的は、①コストの低減、②廃材の再利用性向上(マテリアルリサイクル及びサーマルリサイクル)、③繊維棒ロボットの廃止、④資源の有効活用(全部木で作る)、である。
      2. 材料として、リグニン、木粉(100~500μm)、長繊維木粉(500μm~2mm)を使用する。
        1. リグニンの配合を多くするほど硬くなり、その代わりに脆性が高くなる(割れ、ヒビ)。脆性を補うために長繊維木粉を配合する。木粉はフィラー(価格調整、かさ増し)で使用する。
        2. 壁全体をハニカム構造とすることで、壁全体で重量を支えることができる。
        3. 力が掛かる要所(角や玄関枠など)ではハニカム径を調整して強度を増す。壁材部分は40mm、要所は10mm、などだ。
        4. 横方向(根太、梁)にもハニカム構造を適用する。下側ほどハニカム径を小さくする。
      3. 単純にハニカムを積み上げ方向に形成すると層間結合が弱いため、これを補強する施策を追加する。
        1. ハニカム層は数層分の硬化遅延が起きる仕掛けを施しておく。(遅延剤添加など)
        2. ハニカムが1層をプリントする度に、上から超音波過熱針を差し込む。するとまず縦方向に繊維が通過し、更にその周囲が先に硬化し、縦方向の結合強度が高まる。
        3. あるいは数層分を貫通する細い射出ヘッドを差し込み、引き抜きながら長繊維木粉混合リグニンを射出する。
      4. ハニカムの中は断熱材(後述)で埋め、断熱する。但し要所で中空のハニカムを作り、これを配管用とする。
  2. 断熱材の変更
    1. 木質ファイバーを止め、木粉+リグニン+発泡剤とする。
      1. 木質ファイバーは3Dプリンタから吐出するのが困難で、また事前混合も困難であることより、素材の統一を優先する。
      2. これにより断熱性能は低下するので、壁の厚みを増すことで調整する。
        1. 壁材の想定は200mmである。外装面30mm(高リグニン 防湿・耐候)、ハニカム断熱層140mm、内装面30mm(高リグニン防湿・気密・難燃)となる。この厚さで十分、スウェーデンハウスに迫るくらいの断熱性能は確保できる。
        2. 合わせて気密性も極めて高く作れるので、高気密高断熱が実現する。
  3. これで素材は4種類で完結する。
    1. 外壁材:高リグニン+木粉+UV剤+耐候剤+難燃剤
    2. 構造材:高リグニン+長繊維木粉
    3. 断熱材:標準リグニン+木粉+発泡剤
    4. 内壁剤:高リグニン+木粉+難燃剤
    5. これらをペレットで供給し、3Dプリンタヘッドで加熱して吐出する。
  4. 専用の3Dプリンタとして、これら4種類のヘッドを合わせたマルチヘッドを設計する。
    1. 外壁用1、構造材用20、断熱材用1、内壁用1。構造材用だけ細く、紙にプリントするプリンタのように、マルチヘッドでハニカムを一度に形成する。
      1. 縦方向のハニカム結合強化用施策(2種)は、どちらかないしは両方のヘッドを追加する。
    2. これにより、200mmの外壁が一度で形成できる。

この構造について、やはり費用面や建築スピードの面などから検討してみたのだが、結果としては恐ろしく高効率低価格である。

コンクリート3Dプリンタ住宅は壁材しか作れないので、内外壁の作業が更に必要になる。内壁は断熱、防湿材、壁紙など、外壁は塗装などだが、こちらは一体で作ってしまうので必要ない。また壁を作る速度も圧倒的に早い。マルチヘッドを抜きにしても、即時に硬化するのでコンクリートのように固まるのを待つ必要がないからだ。

また床や梁も作ることができる。床の場合は、コンクリートベタ基礎の上にまずサポート材をプリントし、その上に根太に相当する横方向ハニカム構造をプリントする。根太の間には充填剤を入れ、最上部はまた壁材でプリントしてやる。天井の場合はサポート材を使うよりは人手で板を渡してやった方が良いだろう。その上にまた3Dプリンターで梁をプリントすれば良い。

コンクリート3Dプリンタ住宅の場合は、天井は別に作って運んで設置する必要があった。これに対し、こちらは支持材としての薄い板(例えばプラダン)を置くだけで、後はプリンタが作ってくれる。

また、コンクリート3Dプリンタ住宅では不可能な、配管の穴を自在に空けることも可能で、電装や水回りの工程も大いに短縮できる。

また、コンクリート3Dプリンタ住宅では、窓枠部分はあらかじめ空けておいて、枠の上までプリントしたら人間が手で横長の棒を置き、またプリントを再開するのだが、木造3Dプリンタは窓の穴を空けず壁材を薄く積み上げることで印刷を続けることができる。木質なので完成後に穴を空けることは簡単で、薄く作っておけばそれこそパンチで空けられる。後はカッターで仕上げれば良い。そしてこの方法だと削り出しができる(コンクリートだとこれは難しい)ので、精度高く窓をはめ込むことができる。充填材も、通常ならシリコンシーラントを使うのだが、枠ぴったりにハメられるのならその量はごく少量でよい。ネジ止めも木ネジが使える。ドアも同様である。

他にも、室内壁を一緒にプリントできる、棚や押し入れなど簡単な造作も一緒に作れる、将来的には高精度プリンタを併用することで屋内ドアや窓枠(後はガラスをはめるだけ)のような可動部も一体でプリントできるだろう。これは後工程を大幅に短縮する。

屋根材も、最後にガルバリウムを貼る直前まではプリントできるはずだ。高リグニン材で形成すれば防水シートは不要だし、通気用の横木なども一体成型できる。その下の防音には断熱材が使える。

材質も全て木質系にしたし、高価なCNFなどは使わずに済んだので、坪40万円はやはり十分に狙えるとの試算が出た。

但し、建築確認の壁があるのはコンクリート3Dプリンタ住宅と同じである。ここまで考えるとさっさと試作したい(してほしい)」のだが、どこかの建築会社さん、拾ってくれないかなぁ。

2026年2月23日月曜日

ファミレス内簡易個室

 ファミレスの一角に、二重アクリルガラスで囲った簡易個室を作り、これを単位時間当たり幾らで貸し出す、というサービスを提案する。

アクリルガラスは半透明で、中に人がいることは分かるがプライバシーはある程度守られる。また二重にするので音は漏れにくい。アクリルガラスは天井まであり、あるいは天井が塞がれているため、音は漏れにくい。中の座席は一つから4つ程度まで色々ある。中では電源、またWiFiが提供される。また換気のためのファンがある。

この個室の目的は二つある。第一は、通常の「レストランの個室」としての機能。簡易個室なので室料は安くなり、気軽に利用できる。そしてもう一つは、駅や繁華街で見かけるようになったプライベートオフィスボックスの用途である。つまり中で仕事をするための空間である。

駅のオフィスボックスでなくここを使う理由は至極簡単で、そのファミレスの食事が提供されること、またファミレスのトイレが使用できることだ。オフィスボックスにはその機能がないため、長時間こもる際にはコンビニであらかじめ飲食物を買って持ち込む必要があったし、人の目がないのでトイレに行くのに機材を放置するのは不安があった。それらが解消できる。

ファミレスで長時間居座るのは迷惑行為だが、この場合は個室自体に課金がされるので、いくらでも居座ってもらって問題ない。しかも食事とトイレの問題が解決するから、通常のオフィスボックスより更に長く借りてくれる可能性が高い。店舗側としても文句はないだろう。

結構重要なのが昼休憩で、つまりは最初から個室に居座っていれば席は確保できているから、ランチの行列に並ぶ必要がない。また、同じく他の個室に籠もっている仕事仲間と通信でつながったまま会食ができる。離れた店舗でグループワークをしている仲間が、同じ時間に仕事を切り上げて昼休憩に入り、一緒に食事を楽しむことができるのだ。

これはけっこう新しいコミュニケーションの形態になるのではないだろうか。つまり、朝はまずこの個室に「出勤」し、テレビ会議でグループを全員つなげ、その後は各自で仕事をする。昼食も休憩も含めテレビ会議は繋げっぱなしにしておき、退勤すればすぐに自宅に戻れる、というものだ。

コロナ禍でリモート飲み会があったが、ああいうイレギュラーなものももちろん可能だし、毎日のランチならその頻度も多く、コミュニケーションも洗練されてくるはずだ。遠く離れていても気心が知れ、仕事の効率も上がるだろう。つまりこれは、会社としても都合が良いのだ。

本来、レストランの個室は特別感があったのだが、この場合は簡易個室である。特別感はいらないがただ他人の目が気になる一般人にとって、これは使い勝手が良い。そういう需要を喚起できるだろう。

このシステムが広く普及してくると、新しいオフィスの形として定着する可能性がある。地元の飲食店街がこぞって個室を導入し、ビジネスマンは会社ではなくそこに通うようになるだろう。これは移動距離を短くし、都心の高いオフィスを維持するコストを減らし、それでいてコミュニケーションは維持できる。地方活性化の起爆剤にもできるのではないか。

2026年2月21日土曜日

アカウントベースDRM

 今では誰も文句を言わなくなってしまったが、日本で地デジが導入されるに当たって、強力なコピーガードの機構(いわゆるダビ10)が導入され、物議があった。結局それは殆どそのままゴリ押しされた。

その不便さは、機器が故障した時に顕在化する。日本のDRMは、機器の故障に対して全く機能しない。つまり壊れてしまったら、録画済みの番組が何百あったとしても消えてしまうしかない。ダビングは10回までできることになっているが、ダビングしたものからの再ダビングはできないので、バックアップとしては機能しない。レコーダーの所有者は、機器を買い替えるたびにこの苦渋を味わってきたことになる。

これは世界で標準的かというとそうではなく、多くの国でもプロテクト自体はあるものの、特定のメディア(HDD)と強力に結びついたものにはなっていない。HDD間移動も可能だし、PC視聴もできる。レコーダーのHDDが壊れないかとびくびくする必要はないわけだ。HDDは壊れるものだから、これが普通ではないかと思う。この間、放送は衰退し、インターネット経由で見るVODが勢力を伸ばしてきたが、そんな背景もあるのではないかと疑ってしまう。

ちなみに、その強力なDRMで守られる権益は、数兆円に登るという。農協漁協のようないわゆる既得権益と見ることができるだろう。

これを解消するための仕掛けが、このアカウントベースDRMだ。話は簡単で、ユーザはサービス業者に対してアカウントを開設し、そこから暗号化キーを貰い、それを機器にセットする。それで暗号化されたコンテンツデータはコピー自由だが、サービス業者が保持している復号キーを使わないと視聴できない。機器にはそのユーザIDがセットされているので自動で復号して再生できる。一方、PCやスマホのアプリにもIDがセットされていて、再生ができる。同じIDのセットは機器毎に制限されていて、それ以上は移行処理が必要である。例えば機器が壊れたら機器からIDを引き上げ、新たな機器にセットするのである。

この仕掛けがあれば、正規ユーザは不便なく映像を再生できるし、自分の責任で定期的にバックアップをしておけば、機器が壊れても慌てる必要がない。一方、いくらコピーしてもID当たりで見られる数はごく少数であり、コピーガードの役割はダビ10よりも有効に働く。また不都合があり映像公開を止めたい時は、復号キーを無効にするという措置も可能だ。

ダビ10が始まったのは2008年とのことだが、これはまだWindows Vistaの時代で、インターネットが普及していたとは言い難い。だから当時この仕掛けを導入できなかったのは仕方ないとしても、今ならこれはできて当然である。またこれは他のVODにも適用可能だから、世界中でこれを標準化して広めてはどうかと思う。

2026年2月20日金曜日

3Dフードプリンタ応用デリバリー

前回、3Dフードプリンタの具体的設計を試みた際、カートリッジの数が多くなり過ぎること、また食材カートリッジの多くが冷蔵となり、都度のプリントで使われるカートリッジは少数であることより、賞味期限管理が問題となることを指摘した。これに対し出せる一つの回答は、「プリントする料理を限定する」ということになる。また、そうなると家庭用ではなく業務用、例えば和食専門店とか洋食デリバリー用とかへの展開が考えられる。

そこで、「洋食デリバリー用」のような形態を考えてみた。ハンバーガーとかラーメンとかで考える筋もあるのだが、これらは3Dフードプリンタのメリットが出にくいと考えられる。つまり、例えばハンバーガーならバンズと挟むもののバリエーションしかないから、それを個別に用意した方が簡単なのだ。ある程度メニューのバラエティ(特に形状のバラエティ)が必要である。

食材カートリッジとして肉系しか使わない、フレーバーも洋食系のみ、とすれば、一つ一つのカートリッジを大きくしても耐えられる。プリントする時間はせいぜい10分とか15分とかなので、作っている間にケータリング業者を呼び、渡せばよい。そして作成網を薄く広く募集する。極端な話、一般家庭に置いてもらってバイト感覚で運用する、なども考えられる。家庭では自分用にプリントする傍ら、注文が来ればそれをプリントして業者に渡すことで小遣いが貰える、という次第だ。もちろん保守はその家で行う。

和食デリバリーでも同じ展開をして、相互に融通できるようにしてやると、更にメニューは広がる。つまり和食用プリンタと洋食用プリンタは別の家にあり、和食が多い家では和食プリンタを、洋食が多い家では洋食プリンタを置く。双方を総合メニューとするチェーンにすれば、外からはバラエティ豊かなフードデリバリーに見える。

このデリバリーには従来と違う特徴が一つあって、それは冷蔵のまま配達するということだ。着いてから電子レンジで温める。そうすることで配達時間が短縮できるし、衛生上も好ましい状態にできる。すぐに食べないときは冷蔵ないしは冷凍することも可能だ。これであらかじめ注文しておいて食べたいときに食べる、という新しいデリバリーの形態を作ることができる。

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