2026年4月1日水曜日

サバイバル食料生産法:ウキクサの人工栽培

 

震災などで交通が途絶しインフラが破壊された時でも生き延びるため、一軒家程度の空間で食料を再生産する方法について考えてみた。その結果、難民などへの技術輸出も可能な方法が提案可能となったので、その内容を公開する。なお、結論としては、ウキクサを植物工場にて生産する、というものになる。

1. 基本的な考え方

震災の際、最初に考えられるのは当然備蓄であるが、これはいずれなくなるものである。つまり、耐用期間を延ばすには、その期間に比例して大量のスペースと多大な費用が掛かる。目安として数週間は備蓄で凌ぐとして、それ以上になった場合には食料再生産が必要となる。

食料として必要なのは五大栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル)であり、特に炭水化物・たんぱく質が重要である。ビタミンミネラルは微量栄養素であり、サプリメントのように保存性の良いものがあるため、備蓄に与える負荷は少ない。脂質はモノを選べば保存性が良い(サラダ油の缶など)他、安価かつ少量で高カロリーなため、やはり備蓄スペースや費用を圧迫しない。

この前提で食料を再生産するなら、最も有望なのは植物工場である。鶏を飼う、魚を飼うといったことも考えられるが、非常時に備えるには普段の保守が大変である。

炭水化物・たんぱく質を有する植物としては、穀類、豆類、芋類が挙げられる。しかしこれらは植物工場では生産されていない。その理由は「光エネルギーの変換効率の悪さ」「栽培期間の長さ」である。試算によると、露地栽培に比べてコストが数十倍〜80倍に跳ね上がる。穀類豆類については「可食部の少なさ」(廃棄物の多さ、体積効率の低さ)、「受粉の手間」もネックとなる。

これに対し、素人でも簡単に扱え、炭水化物・たんぱく質への変換効率が高い植物として、以下のような候補を考えた。

  1. 微細藻類(スピルリナ等)
  2. ウキクサ(ミジンコウキクサ)
  3. キノコ・菌糸体
  4. 宇宙用超矮性小麦 背が低く体積効率の高い穀物。最近ではコメでも似たようなものがある。

この優劣を比較したものが、以下の表である。


食材 主な役割 炭水化物 タンパク質 留意すべき制限事項
微細藻類 超高密度サプリ・タンパク源 △ 不足 ◎ 最優秀 核酸過剰による痛風リスク(大量摂取不可)
ウキクサ ベースフード(主菜) ○ 優秀 ○ 優秀 シュウ酸の蓄積管理
菌糸体 繊維質・微量栄養素 × 消化できない △ 補完的 エネルギー源にはならない
宇宙用小麦 メインエネルギー(主食) ◎ 最優秀 △ アミノ酸欠乏 加工コスト、必須アミノ酸の不足


これらの比較より、単体で育成する場合にはウキクサが最適と判断する。

2. 詳細検討

一軒家程度の限られたスペースを活用して、個人(家族)レベルでウキクサを持続的に育成・収穫するための具体的なシステムと運用方法を以下に考察する。

2.1. ウキクサの種類

ウキクサにはいくつか種類が存在するが、食料再生産の目的においては、ミジンコウキクサが適している。その理由は以下の通りである。

  • 完全な可食部: アオウキクサなど他のウキクサに見られる「根」が完全に退化しており、植物体全体(100%)をそのまま食すことができる。
  • シュウ酸の少なさ: 一般的なウキクサ類と比較して、元々体内に蓄積するシュウ酸の量が少ない傾向にある。
  • 驚異的な増殖速度: 条件が揃えば2〜3日でバイオマスが2倍になるため、毎日の連続収穫に最適である。

2.2. 育成設備の構築

ミジンコウキクサは根が退化しており、体表から直接養分を吸収する。そのため、不織布などの培地すら不要であり、「ごく浅い水流をプラスチックバットの底に流し続ける」というNFT(Nutrient Film Technique)方式を採用可能である。これにより、雑菌やアオコの温床となる有機培地を排除し、システムの衛生状態を高く保つことができる。また万一それらが増殖しても、洗浄は簡単である。

  • 傾斜トレイの配置: 深さ2〜3cm程度の平らなバットを、水が流れるようにわずかに傾斜(1〜2度程度)をつけてラックに配置する。
  • ラックの超・多段化: バットをジグザグに水が流れ落ちるように配置し、ラックの段のピッチ(隙間)をLEDの厚みを含めて10cm程度まで限界まで詰める。これにより、高さ180cmのラックで18段という超高密度配置が可能となる。
  • 光源(弱光適応の活用): ウキクサは光飽和点が非常に低い「半陰生植物」の特性を持つため、強い光は不要、むしろ光阻害(白化)の原因となる。各段の天井部には実消費電力15W/㎡程度の極めて微弱なLEDテープライト(木漏れ日程度の明るさ)を設置し、1日12〜16時間の照射を行う。これにより照明コストと発熱を極限まで抑えることができる。
  • 液肥の循環システム: 最下段に小型の液肥タンク(数十リットル)を置き、小型の水中ポンプ(消費電力5〜10W程度)で最上段のバットへ液肥を汲み上げる。液肥は各段のバットを数ミリの薄い膜となって流れ落ち、再びタンクへ戻る。常に水が流れることで自然と酸素が巻き込まれるため、水が腐敗せず、エアポンプは不要となる。
  • 液肥の選定: アンモニア態窒素の割合が高い水耕栽培用液肥を使用し、シュウ酸の合成を抑える。
  • 収穫方法: バットの底を薄く流れる水面を覆い尽くしたウキクサを、シリコン製のヘラやスクレーパーを使って「ツルツルの底面から一気にこそぎ落とす」だけで完了する。不織布がないため、非常に衛生的かつ簡単である。
  • 持続的ループ: 収穫時は全てを削り取らず、常に3分の1程度のウキクサを残しておく。数日で再びバットを覆い尽くすため、毎日一定量の収穫ループが完成する。

2.3. ウキクサ食用時における問題点と解決法

シュウ酸の蓄積リスクとその除去法

ウキクサはシュウ酸が比較的多く、これをそのまま大量に食すると痛風・結石の原因となる。これを防ぐためには、「茹でこぼし」が最適である。シュウ酸は水溶性なので、茹でることでその量を30~50%減らすことができる。

但し、これによって水溶性ビタミンも流出してしまう。このため、ビタミン剤との併用は推奨される。

長期摂取時の栄養偏りと解決策

ウキクサは植物でありながらビタミンB12を含むなど「完全食」に近い性質を持つ。しかし、長期間(数ヶ月〜年単位)ウキクサのみを主食として食べ続けた場合、以下の栄養素が不足または偏るリスクがある。

  1. 脂質(必須脂肪酸)の不足: ウキクサは脂質含有量が少なく、カロリー源としては炭水化物とタンパク質に偏る。脂質不足は細胞膜の劣化やホルモンバランスの崩れを引き起こす。
  2. 一部のアミノ酸の偏り: 非常に良質なタンパク質ではあるが、単一の植物だけを食べ続けると、特定のアミノ酸(メチオニンなどの含硫アミノ酸)が相対的に不足する可能性がある。
  3. 微量ミネラルの欠乏: 育成に用いる液肥の成分に完全に依存するため、液肥に含まれていない微量ミネラル(ヨウ素、セレンなど)が長期的に欠乏する恐れがある。

【解決策】

  • 備蓄油の計画的消費: 脂質不足を補うため、備蓄してある食用油(オリーブオイル、ごま油など)を意図的に摂取・添加する。油は省スペースでカロリー密度が最も高い備蓄品であり、後述するサバイバル計画の要となる。
  • アミノ酸の補完(食べ合わせ): もし米や少量の乾物(豆類など)の備蓄が残っていれば、ウキクサ単体で食べるのではなく、組み合わせて食べることでアミノ酸スコアが改善される。
  • サプリメントの併用: 備蓄スペースをほとんど圧迫しない「マルチビタミン・ミネラル」のサプリメントを定期的に摂取し、微量栄養素の穴を確実に埋める。
  • スプラウトの並行栽培: ウキクサのシステムとは別に、ペットボトル等でごく小規模に「もやし」や「スプラウト(かいわれ大根等)」を栽培する。種子の備蓄は極めて省スペースであり、数日で新鮮なファイトケミカルや酵素の補給源となる。

3. 家族4人・1ヶ月間の運用シミュレーション(実践的サバイバルモデル)

平時のカロリーを全てウキクサで賄おうとすると、設備規模や一食当たりの摂取量が過大となることが試算の段階で明らかになった。このため、より現実的な設定として「総カロリーの制限」と「備蓄油によるカロリーの一部置換」を行い、これを前提とした必要資源量を計算した。

以下では、期間1ヶ月(30日)、家族4人(大人2人、こども2人)を想定している。

【サバイバル試算の前提条件】

  • 1日あたりの必要総カロリー:6,000 kcal(活動低下を考慮し、家族4人で1人あたり1,500 kcalの基礎代謝レベルとする)
  • 備蓄油によるカロリー補完:2,000 kcal/日(総カロリーの約30%を油(サラダ油など)で賄う。1日約220g、月間約6.6kgの油を消費)
  • ウキクサで賄うべきカロリー:4,000 kcal/日(油の補完により、必要な収穫量は総量の三分の二になる)
  • ウキクサ(乾燥)のカロリー:約350 kcal / 100g
  • 生ウキクサの水分含有率:90%
  • 1日の目標収穫量:乾燥重量 約1.14 kg (生重量換算で 約11.4 kg/日
  • 増殖効率:1平米あたり1日0.5kg(生)を収穫可能と仮定。

ウキクサ育成トレイの面積と設備規模

  • 必要面積: 11.4 kg ÷ 0.5 kg/㎡ = 約22.8 ㎡
  • 設備換算: 幅1.2m×奥行0.45mのスチールラック(1段あたり栽培面積0.54㎡)を、ピッチ10cmで18段重ねにした場合、1ラックあたりの栽培面積は9.72㎡となる。

【結果】 22.8㎡を確保するために必要なスチールラックは「2.5台(実質3台)」であり、部屋の隅や廊下の一角に設置可能なサイズとなる。

必要な水(育成用)の量

  • 初期水量: 各段のバットを流れる数ミリの水膜と、最下段の循環用タンク(約30L)を合わせても、システム全体で必要な水量は約50〜60リットルに収まる。水耕栽培でしばしば問題となる重量は軽減され、床の補強は不要である。
  • 月間消費水量(補充用): 植物の蒸散と収穫水分(1日約10.2L)に加え、水面からの蒸発分があるが、ウキクサが水面を覆うことで蒸発は抑えられる。1日約15〜20リットル程度の消費となる。
  • 1ヶ月の必要水量: 20L × 30日 = 約600 リットル。この量なら、水道が止まっていたとしても、毎日川に水を汲みに行って浄水して補充することは可能だろし、雨水の利用にも道が開ける。

液肥の量

  • 1ヶ月の必要量: 補充する水(600L)に対して500倍希釈液肥を使用。月間消費量は 1.2 リットル (A/B液各600ml)であり、ペットボトル1〜2本で足りる。

電力と太陽光パネルの出力(ウキクサの弱光適応の威力)

ウキクサは光飽和点が低い半陰生植物であるため、強光は不要(むしろ有害)である。そこでLEDの実消費電力を1平米あたり15Wに設定する。

  • 照明およびポンプ電力
    • LED(22.8㎡ × 実消費電力15W = 0.34 kW)
    • 循環用小型水中ポンプ(約10W × 3台 = 0.03 kW)
    • 合計瞬間消費電力:約0.37 kW
  • 1日の消費電力量
    • 0.37 kW × 14時間 = 約5.2 kWh / 日(月間約156 kWh)
  • 必要な太陽光パネルの出力
    • 日本の平均日照時間(1日3.5時間)で発電するには、約1.5 kWのパネル出力で足りる。これは屋根の工事すら不要で、庭先やベランダに自立型のソーラーパネルを数枚並べるだけで到達可能な規模である。

茹でるためのエネルギー(電力・燃料)とゆで汁の量

毎日の生重量11.4kgのシュウ酸を抜くため、同量程度の水(約13リットル)を足し、合計約25kgの物質を常温(20℃)から沸騰(100℃)させる。

  • 加熱に必要な熱エネルギー: 25kgの水を80℃上昇させる熱量は約8.4 MJ = 約2.3 kWh(熱量換算)
  • 手段別の必要燃料(1日あたり)
    • 電気(IH等・効率80%の場合): 約2.9 kWh / 日 (月間約87 kWh)。LED・ポンプの電力と合わせても、1日の総消費電力は8.1 kWhとなり、約2.3 kWの太陽光パネルがあれば、「育成から調理まですべての電力を自給可能」となる。
    • カセットコンロ(効率50%の場合): 1日あたり 約1.4本 のボンベを消費する(月間約42本)。
    • 薪・固形燃料: 1日約1kg弱の薪が必要。
  • ゆで汁(排水)の量
    • 1日あたり約10〜15リットル(月間約300〜450リットル)。
  • 摂食量の物理的限界と「食べるための加工」
    • カロリーの三分の一を油に頼る前提で、食べるべき生ウキクサの量は1日11.4kgとなる。4人で分けると1人1日あたり約2.8kg、1食あたり900g弱となるが、水分の多い状態ではまだ完食は苦しい。これを解決するのが以下のプロセスである。
    • 茹で上げ後の「強力な搾水(脱水)」
      • 茹でて柔らかくなったウキクサを強力に絞り、ペースト状にして水分と体積を大幅に減らす。
    • 天日干し等による「乾燥・粉末化」
      • 乾燥させれば、1人1日あたりのウキクサは約285g(乾燥重量)にまで圧縮される。これをすり鉢で粉末にする。
    • 備蓄油との混錬による「ウキクサ・ペミカン」の完成
      • 粉末にしたウキクサ(285g)に、1日の割り当てである備蓄油(約55g)を練り込み、団子状にする。これにより、手のひらサイズの固形食で一食分の十分なカロリーとタンパク質を摂取できる「ぺミカン」が完成する。
      • 味や好みにより、塩、その他の調味料を混ぜるのも良いだろう。

4. 応用:貧困地域へのスキーム輸出

このスキームは、水、太陽電池、液肥の必要量が少ない、高価な機材が必要ない、必要知識が少ない等により、貧困地域での簡易農業として成立する可能性が高い。水が少なくて済むことより、中東などの砂漠地帯や、モンゴルなどの乾燥した高原は候補になるだろう。

可能なアレンジとしては、茹でこぼし水の再利用が考えられる。これにより、更に水の必要量を減らすことができる。

一日に必要な水の量は、家族4人に対して、トレイの補充20Lと茹でこぼし用13Lの、計33Lである。このうち茹でこぼした水は、乳酸カルシウムを添加し攪拌することで、シュウ酸をシュウ酸カルシウムとして固体化し、不織布フィルタで濾すことで、飲用にすることができる。これは茹でた際にウキクサから溶け出た水溶性ビタミンを含んでおり、栄養豊富である。シュウ酸カルシウムはAmazonなどで安価に買うことができる。

5. 総括

シュウ酸の問題は品種改良である程度解決可能かもしれない。だとすると茹でこぼしが必要ないので、更に簡単にすることができるだろう。

そもそもの発想は震災時のサバイバルだったが、奇しくも今話題のイランやアフガニスタンへの技術輸出にも話が繋がる結果となった。大げさな言い方だが世界平和にもつながるアイデアだ。まだまだ荒い案だろうが、ぜひ検討して頂きたいものだと思う。

なお一つだけ未検討なのは「味」だ。さすがにウキクサを食べたことはないので、ここは更にアレンジが必要かもしれない。

2026年3月28日土曜日

豚まん論争の科学的・定量的考察

 
実業家の河原由次氏が、豚まんを新幹線内で食べたところ注意された、という呟きをしたことに対して論争が起こっているが、それを科学的・定量的な視点で考察する。

まず、原典を以下に提示しておく。

https://x.com/i_am_kawa_chan/status/2029033115440824785

次に、マナーやルールというものには段階がある。

➀罰則のある法規制 
➁罰則のない法規制
➂業界やその場所の所有者などによるルール化
➃注意喚起(ポスターや呼びかけ等)
➄マナーの範疇
➅原則自由

である。今回、法律は無論、啓発ポスターのようなものはなく、JR東海に対しての質問でも『皆様に快適にお過ごしいただくため、お客様同士でご配慮いただくものと考えております』と回答されている。

https://sirabee.com/2026/03/17/20163529799/

ここまでの段階において、少なくとも現状では➀➁➂➃はなく、➄か➅の範疇に入っているのだと言える。

ただ、これに対して、最近では「スメハラ」すなわち匂いに関してもハラスメントと言われる時代になってきているので、これを新たに➃に昇格させるべきかも含めて、議論はあっても良いのだろう。その意味で、これが論争になっているのは妥当と考える。

つまり➃➄➅のどれかということになるのだが、それをどう考えるかについては、以下の三つの視点が必要だと考える。その各々について評価し、その結果を総合的に考えて判断すべきということだ。三つのうちどれかが突出しているか、平均として高いスコアになっているほど、その禁止の程度は強くなる。

その三つの視点とは、

  • それを不快と思う人の多さ
  • それから自由意思で逃れられるか
  • その行為をしなくても困らないことか、あるいは代替手段があるか

である。今回の豚まん騒動について各々を当てはめてみると、次のようになる。

  • この場合、「豚まんを(嫌いで)食べない人」ではなく、「自分が食べない時に豚まんの匂いだけを嗅がせられるのを不快に感じる人」という定義になる。生成AIに訊いてみたところ、これは20~30%に上るのだそうだ。私が事前に想像していたものより、これは多かった。マナーや自粛のレベルとしては、単独としてこれだけあれば十分である。
  • 新幹線の場合、乗車時間が長く、指定席が大部分である。また自由席にしても、空いていれば移れば良いが、当然そうでない場合も多い。つまり「逃れられない度」は飛行機に次ぎ高い方である。
  • 豚まんを通常の食事として食べる人もいるだろうが、腹が減っていて食べるのを我慢できないとしても、匂いの少ない普通の駅弁は幾らでもあるのであって、代替性は高い。むろん嗜好で食べるのであれば、更にその度合いは高いと考えられる。

これらを総合すると、少なくとも➅ではなく、➄か➃に相当すると考えるのが妥当である。

似たような話として、日本維新の会の藤田文武衆院議員が、たこ焼きを車内で食べた旨の投稿をしたところ、多くの批判が寄せられたという話があった。そのたこ焼きのパッケージには、「新幹線車内および駅構内でのお召し上がりはご遠慮願います」とのシールが貼られていた。

https://www.j-cast.com/2025/02/15501619.html

つまり、既に➃に相当すると判断する企業も出てきているということだ。ここから考えても、やはり➄と➃の境目にあると考えるのだ妥当だろう。

毛色が違うようにも思われがちだが、タバコのマナーも似たようなものだ。吸う人でも他人の煙は嫌という人は多い。煙から逃れにくい室内や車内、屋外でも繁華街では禁止されていることが多い。また禁止されていない所であっても、近くに人がいるときには一言断るのがマナーだ。基本的には嗜好品であり、代替性は高い。タバコには健康被害という実害があるけれども、その心配も含めての「不快」と考えれば、考え方は同じである。

河原氏の発言が炎上した理由は、世間は➄➃の考え方を持つ人が多いのに対して河原氏の考えは明らかに➅だったためそのギャップがあったから、というのが一つの仮説になる。だが、個人的にはもう一つあると考えていて、それは河原氏の投稿が高圧的で下品であることに対する反発があるのではないか、ということだ。

———以下引用———

こういう 自分の価値観をいきなり他人に押し付ける人、どう思う?

新幹線で食べる人がいるから 駅であったかい豚まん売ってるんだろ?

食べちゃダメなら まず新大阪駅の551閉めろよ。

それか 「新幹線持ち込み禁止」 って看板でも出しとけ。

豚まん一個で、東京まで気まずい空気流れるの日本くらいだろ。

大阪人に「551食うな」は喧嘩売ってる。

———引用終わり———

相手の価値観と自分の価値観が対立した時、強い方が勝つ、というのはマナーではない。単なる強者の理論である。マナーとは「相手をおもんばかること」であり、自分の価値観に自信があったとしても反論をするのは悪手である。対話して落としどころを探るか、自分が引くかだろうが、彼はそのどちらもせず、反論して相手を黙らせ最後まで食べ切った。

この投稿の中で彼は「自分の価値観を押し付けられた」と感じたようだが、実際にはその行動によって「自分の価値観を押し付けた」。つまり、豚まんがどうこう以前の問題として、その行動自体がまずマナー違反である。そしてその価値観も、上の分析の通り相手の方が正しかった。更に、わざわざ(多くの他人の目に晒される)SNSに投稿して一方的に非難をした。こういった度重なるマナー違反が、炎上の原因のもう一つなのではないか、と思うわけだ。

私はこの人の事業と関りを持っていないが、もし持っていたらこの投稿一つでお付き合いを考え直すだろう。対岸の火事と思わず、今一度自らを戒めよう、とすら思った次第である。

2026年3月23日月曜日

公約のルーブリック

 

ルーブリックとは、

「評価の観点(何を見るか)」と「到達レベル(どの程度できていれば何点か)」を、あらかじめ言語化して共有する“採点表”

のことである。論文や記述式テストのように「正解/不正解」だけで測りにくいものを、公平・透明・再現性のある形で評価するために使用する。チェックリストのようなものだが、Yes/Noではなく段階があるところが違う。こうすると、記述式テストを複数の人が採点するときのばらつきを抑えることができ、つまりは客観性のある評価ができる。入試や資格試験ではよく使われる手法である。

さて、今回自民党が圧勝したわけであるが、自民党の公約は各党の中でもいちばん具体性に欠ける部類に入る(ように読めた)。それでもなぜ支持が集まったのかを検証するため、生成AIに「公約のルーブリック」を作ってもらった。

これは、公約の中身自体を批判するものではなく、「公約としての体裁が整っているか」を見る指標であることはまず明らかにしておく。その基準は以下の通りだ。


ルーブリックの観点(各10点×10=100点)

A. 将来像(10)

  • 10:10〜20年後の社会像が言語化され、短期政策との整合も説明
  • 5:方向性はあるが、将来像が抽象的/短期の寄せ集め
  • 0:スローガン中心で、将来像が不明

B. 重点・優先順位(10)

  • 10:トップ優先3〜5政策、理由、トレードオフが明示
  • 5:政策は多いが優先順位が曖昧
  • 0:百科事典化、何が最優先か不明

C. 実施手段(10)

  • 10:法改正・制度設計・所管・実施主体まで具体化
  • 5:やること列挙だが実施主体が曖昧
  • 0:タイトルのみ

D. 工程表(10)

  • 10:いつ何をするか(法案提出・開始時期・段階導入)
  • 5:期間感はあるが、マイルストーンが薄い
  • 0:「検討」「会議体」止まり

E. KPI(成果指標)(10)

  • 10:測れる指標(例:税収・賃金・達成期限)を複数提示
  • 5:一部のみ指標あり
  • 0:評価不能

F. 財源・コスト(10)

  • 10:減税・給付・投資の財源を体系的に提示
  • 5:一部だけ財源言及
  • 0:財源に触れず「検討」中心

G. エビデンス(10)

  • 10:統計・研究・過去検証・国際比較を根拠として提示
  • 5:根拠はあるが限定的
  • 0:根拠なし

H. リスクと副作用(10)

  • 10:副作用(インフレ、金利、格差、権利制約等)と対策を記載
  • 5:注意書き程度
  • 0:副作用に触れない

I. 説明責任・検証(10)

  • 10:実行後の検証方法、修正条件(PDCA)まで記載
  • 5:検証の言及はあるが具体化が薄い
  • 0:検証なし

J. 共創・意思決定プロセス(10)

  • 10:国民参加・熟議・第三者監視など制度的に設計
  • 5:会議体の設置は書くが、設計が薄い
  • 0:プロセスなし/「国民会議」など名称のみ

一つ一つを読めば、至極当たり前のことだと思う。これをベースに、各党の公約を評価してもらった。それが以下だ。


  • チームみらい:66
  • 中道改革連合:62
  • 国民民主党:58
  • 日本共産党:56
  • 日本維新の会:47
  • 自由民主党:44
  • れいわ新選組:41
  • 参政党:39

私の感覚と概ね合っている。一応、恣意でないことの確認のため、早稲田大学デモクラシー創造研究所によるマニュフェスト比較での評価(上記ルーブリックではなく独自の評価)を貼っておくと、以下のようになっている。

自民党:30点 維新:30点 中道改革連合:45点 国民民主党:40点 参政党:30点 共産党:40点 れいわ:30点 チームみらい:70点

細かい凹凸はあるものの、チームみらいがトップ、次が中道、以下が団子で、自民党はこの団子の中にいるということが分かる。65点を合格とするなら、どちらの評価でも合格はチームみらいだけで、他はダメダメ、ということが分かる。これはあくまでも公約としての体裁を問うているものだが、それがこのレベルなのであれば、実現可能性とか効果とかを論じても仕方がない。

さて、どちらの指標にしても、チームみらい以外は自民党も含めて団子状態、しかも落第点だったわけだが、今回は自民が圧勝した。なぜそうなったのか、

これについて、早稲田大学のマニュフェスト比較「出来栄えチェック」の点数と比例投票率との相関係数を主要8党で比較したところ、相関係数は0.19(ほぼ相関なし)という結論に達した。これと同じ手法で、上記のルーブリックとの相関係数を比較してもらったところ、‐0.07と、これまた相関なし、と出た。

それでは、と、自民党の公約への賛同率を、自民党への投票者と他党への投票者で比較しようとしたのだが、データが揃わず断念した。ただ、消費税減税についてだけは出口調査があって、自民党支持者の方が現状維持比率が高かった。つまり消費税減税には反対の人が多かったわけだ。

これに関して考えられる可能性は二つある。第一は、公約は重要視されておらず、その他(イメージや直感など)で選んだ人が多かったのだろうという考え方。第二は、読む側にリテラシーがなく、公約をなんとなく(勝手に、自分の都合の良いように)解釈して、自民が良さそうに見えた、という考え方である。まあどちらにしても、公約が役に立っていないという点で変わりはない。

まあ、公約はその後の演説やSNSの元ネタになるので不要とまでは言わないが、公約の出来が悪くても国民は気にしないのだ、ということが分かり、何とも言えない気分になった次第である。

2026年3月22日日曜日

AIから自己防衛するDB

 

生成AIには、ハルシネーションの他に、「命令を守らない」という問題が存在する。つまり、指示をして「ハイ分かりました」と答えて全然違うことをする、という問題がある。そんな中でも警戒すべきは情報漏洩である。AIに一度全てを見せてしまうと、ちょっとした拍子に情報を漏らしてしまう恐れがある一方、だからといって開示しなければ存在しないものとして扱われてしまう。これは痛し痒しと言える。これを改善するには、データを読まれる側にも工夫が必要である。

つまり、データを全部渡してしまうのではなく、「こんなデータある?」というAIの問いに対して「あるよ」とだけ答え、中身についてはまずは答えないとか、「あるけど何に使うの?」と聞くとか、そういう方向性があるのではないか、というわけだ。つまり、それがDBかWebページか、あるいはGitのようなソースコードかはさておき、何かしらのインテリジェンスを上にかぶせ、AIに相対させるAPIはそこを経由するものとする、というのがその構想である。

AIを通じてしかデータを渡さないのであれば、出す側のAIにはそれなりの知恵を授けておけば、最小限の被害で済む。例えば相手のAIが信頼できる相手か、課金はしているのか、聞いている内容がコンプラ違反ではないか、などをチェックして、生データは出さないが統計結果は出してやるとか、匿名で出してやるとかの判断を行うと共に、相手のAIとの交渉まで行う。

昔の感覚で言うと、これはオブジェクト指向型とも言える。だがAIが絡むことでその判断が高度になり、API経由でのデータやり取りだけでなく「交渉」まで行うとなると、これはエージェント型とでも言うべきアーキテクチャだろう。そしてこういう形態は、DB以外でも色々広がっていくに違いない。

そのやり取りを想像してみると、ちょっと人間臭くて笑ってしまうのだが、おそらくこういう方向性は次第に提案されるものになると思う。今から備えておいても損はない。

2026年3月21日土曜日

琵琶湖の水止めたろか


 映画『翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜』の中で、琵琶湖の水を止めて(京都大阪方面への放水を止めて)大阪を困らせる、しかし滋賀県の大部分は水没してしまう、という描写があった。これは関西ではよく言われる冗談でもある。「琵琶湖の水止めたろか」「滋賀が先に水没するで」というのが定番である。

これが本当なのか、Geminiに調べてもらった。

まず、琵琶湖の水を止めると滋賀県が水没するというが、水位が何m上がったらどの程度水没する、という目安を調べてみると、

• +1m 〜 1.5m【現実的な大災害レベル】 • +3.76m【観測史上最悪のリアル水没】1896年(明治29年)の「琵琶湖大洪水」 • +約30m【限界突破・京都への漏水レベル】山を貫通しているJRの鉄道トンネルや高速道路のトンネル群に水が到達し、そこを水路にして京都方面へ水が抜け出す • +約80m【完全なる「琵琶湖県」の誕生】

というレベルなのだそうだ。琵琶湖には、大小合わせて約120本もの川から水が流れ込んでいる一方、の水が外へ出ていくための自然の出口は、南端にある「瀬田川」ただ1本しかない。この一本が京都に入ると宇治川と名前を変え、京都を出ると桂川・木津川とつながり淀川になる。淀川における瀬田川の流量は約50%である。つまり瀬田川の水を止めても淀川は枯れない。

次に、琵琶湖の標準的水位に対してどの程度水を放出できるか、その限界について調べてみた。すると、法的な限界としてはマイナス1.5m、物理的な限界(排水口の高さ)はマイナス4.8mなのだそうだ。

また、琵琶湖に流れ込む水の量は、平均して0.02m分になるのだそうだ。つまり毎日0.02mづつ水位は上がっており、その分を下流に放出しているのが現状なのだそうだ。

ここから考えると、1m水位が上がるには50日掛かる。映画にあったような水没を30mとすると、そこまでには1500日(4年)掛かる計算だ。映画がこれを誇張していることは明らかである。

水没せずに大阪を苦しめるためには、まず限界まで水を放出しておいてから止めるのが良いだろう。すると、マイナス4.8mまで放出すれば、それが元の水位に戻るのには240日(約8ヶ月)である。

そのためには、瀬田川の放出量を最大にする必要があるが、その限界値は一日に0.1mだそうだ。つまり4.8m放出するには48日掛かる。そしてこの程度の量では京都大阪が洪水になることはまずないのだそうだ。

つまり、滋賀県は戦略的にまず48日掛けて水位をマイナス4.8mまで下げておけば、その後240日は全く安全に放水をストップすることができる。

一方、大阪がどの程度渇水に耐えられるかをGeminiに推測させてみると、

  • 1〜2日目:取水不能とパニックの始まり
  • 3日〜1週間:都市機能の完全停止(衛生の崩壊、医療・経済の停止)
  • 1週間以降:残されたわずかな水源への依存(他の川からの流入に依存するが圧倒的に足りない)

となり、わずか1週間で壊滅的な打撃を与えられることが分かった。法的な限界であるマイナス1.5mまでの放水をしておいて、そこから+0.5mまで40日耐えれば、滋賀県の勝ちだ。

というわけで、「琵琶湖の水止めたろか」作戦では、圧倒的に滋賀県が有利、というのが結論となった。滋賀県の皆さま、おめでとうございます。

2026年3月15日日曜日

シュレッダーくずバイオトイレ

非常用トイレの構想は過去に何回か書いているが、ここで考えるのはもっと現実的なもので、極端な話、明日大震災が起きても使えるものだ。知恵として覚えておいて欲しい。

非常用トイレとして、高分子吸収剤によるものが市販されている。これは赤ちゃんのおむつや生理用品などと同じく、水分を吸収することで腐敗を押さえ、液状のものを固定するものだ。だがこれらは二つの大きな欠点がある。第一は高いランニングコスト、第二は大量の保管スペースが必要なことだ。

非常用トイレの例として、アマゾンのベストセラーである「トイレの女神プレミアム」は、調査時点で100回分が7000円である。つまり1回70円。成人のー日の平均排便排尿数は7回なので、一日当たり490円掛かる計算である。それをビニール袋に入れ、凝固剤を入れて固めると、ビニール袋に入れた排泄物の体積は1日で5L程度になる。家族4人なら20L、ペール缶1つ分だ。つまり毎日ペール缶1個が増えていくことになる。南海トラフ級だと下水復活には月単位で掛かると思われるが、これで30日過ごすと

  • 30日x4人x7回=840回
  • トイレの女神9箱=63000円
  • 20Lx30=600L (ユニットバス2~3杯分)

と、けっこうとんでもない量になる。多くの人はここまで考えていないだろう。100回分を1つ買って安心している程度だ。

この問題を解決するために有効なのが、バイオトイレないしはコンポストトイレと言われているトイレである。トイレにも色々な方式があるが、震災時に使い物になるのはバイオトイレだけだ。その理由は、微生物分解による減容にある。

バイオトイレは、おがくずの上に排便し、その後おがくずを撹拌して放置する。すると微生物の作用で便が分解され、水蒸気とガスになってほとんど消失する。このため、廃棄物の体積を極端に少なくできる。

だがこのトイレにも欠点はあって、第一は大量のおがくずが必要なこと。第二は排便後の撹拌が必要なことだ。非常時に備えて大量のおがくずを用意するのは現実的ではないし、撹拌機能を持ったバイオトイレは20万円もする。

これらを踏まえた本稿での提案は、以下のようなものだ。

  • 事前準備として、丈夫なビニール袋を用意しておく。これは「業務用」「極厚」などのキーワードで調べれば直ぐに見つかる。大きさは45L。これは一般的なゴミ袋と同じサイズである。ただ、非常用のポータブルトイレ(折りたたみ式など)を持っている人は、20Lの方が良いだろう。気分の問題ではあるが、濃い色のもののほうが良い。枚数は、最低で3日分として、人数✕21枚。4人家族なら84枚だ。1週間分として200枚あれば足りるだろう。なお、持ち手は必要ない。
    • 丈夫でないビニール袋でも代用はできるが、丈夫なものであることが望ましい。理由は後述する。
  • もう一つ、事前準備として望ましいのは、手回し式のシュレッダーを買っておくことだ。これは通販で数千円で買うことができる。
    • 当然、電源確保が困難と思われる中では、手動式一択である。
    • シュレッダーには縦方向しか切らないものも多いが、この場合には横方向も切る、いわゆる「クロスカット」と呼ばれているタイプにする。更に「マイクロカット」といわれる、くずのサイズが小さいものがオススメである。
    • もしなくても、ハサミと根性があれば何とかなる。
  • 非常用の折りたたみトイレなどは、あれば便利だが、なくても問題ない。普段使用のトイレを流用できる。
  • 災害が発生したら、シュレッダーくずを作る。分量は、一日分として人数✕8.4Lである。これをとりあえず3日分作る。家族4人として、3日分で約100Lになる。これは一般的な段ボール(50L)で2箱分になる。
    • できれば光沢紙は避ける。ビニールコーテイングしてあるものなども好ましくない。つまり、新聞紙や週刊誌は適しているが、折込チラシは適していない。
    • シュレッダーがない場合は、これをハサミでやることになる。これが根性が必要な所以だ。
  • トイレには件のビニール袋を被せておく。やり方は他の非常用トイレと同様である。
  • ここに、あらかじめコップ3杯分、約600mL程度のシュレッダーくずを入れる。
  • その上に用を足す。そしてまた600mL分のシュレッダーくずを入れる。
    • シュレッダーくずの量は、個人差があるだろうし、大と小でも違うだろうから、様子を見ながら加減する。
  • 入れ終わったら、ビニール袋の口をすぼめて持ち、もう一方の手で排便をシュレッダーくずとよく混ぜ合わせるように揉む。
    • 「丈夫な」ビニール袋を使う理由はここにある。万一破れたら悲惨な目に遭うからだ。また後述するように、繰り返し使うためでもある。
  • よく混ざったら、口を開けたまま、できるだけ温かい場所に放置する。トイレには次のビニール袋を被せる。
    • 口を縛ってはいけない。水蒸気が抜けるようにする必要がある。
  • このビニール袋は、数日放置している間に発酵し減容する。ある程度減容したら再利用する。この際、様子を見てシュレッダーくずを継ぎ足す。
    • 目安は、糞便臭がなく、水分が適度に抜けている状態である。土と同程度かそれ以下が望ましい。
    • 発酵減容が何日掛かるかは、季節によっても変わる。夏場は速く冬場は遅い。加熱できるバイオトイレの場合は一日で終わるそうだが、加熱がない場合は数日から1週間程度は掛かると思われる。なお、発酵中は発熱するので、ビニール袋同士は寄せて置いたほうが良い。
  • ビニール袋が一杯になったら、やはり数日放置し、糞便臭がなくなったら土に還すことができる。これは有用な肥料になる。
    • なお、通常時は燃えるゴミに出せる。中身のみトイレに流すのもOKだろう。

要するに、バイオトイレで使うおがくずをシュレッダーくずで代用する、というアイデアである。シュレッダーくずの原料は紙なので、おがくずと同様の効果が期待できる。そして紙は現代社会のいたるところにあるので、あらかじめ準備しなくてよい。また、バイオトイレでは専用の撹拌レバーがあるが、これを手動で行うことにより、高価な専用のバイオトイレを買う必要もなくなる。

バイオトイレの場合、毎回おがくずタンクの全量と混ぜてしまうのだが、これを一回分ごとに小分けにするというのもこのアイデアの特徴だ。バイオトイレの場合、毎回全量と混ぜるが故に、おがくずタンクの量で使用可能人数の上限が決まってしまうのだが、このアイデアの場合は毎回入れ替えるため、何人でも対応できる。

一般的な非常用トイレに比べて手間は掛かるのだが、発酵による減容という特徴により、ある程度で保管場所の増加が止まる点が大きな違いだ。もし3日で減容が完了するとなると、ビニール袋の分が増えるとしても、家族4人で200L程度で頭打ちになる。これはユニットバス1杯で納まる程度である。

またこの応用として、市販されているバイオトイレ用の発酵促進剤を混ぜてやると良いかもしれない。これも通販で買うことができる。

2026年3月6日金曜日

日本と世界の右傾化とその理由2:恐ろしい現実

 

日本と世界の右傾化とその理由

の続き。世界的な国粋主義、自国第一主義、覇権主義、暴力肯定、秩序破壊の傾向に関し、その原因について考えてみる。なお、けっこう重い話ではあるのだが、あくまでも『根拠なき自説』であるので、気軽に聞いて頂きたい。

世界的な右傾化の原因は、経済格差や将来への不安が引き起こすとされてきたが、経済格差・軍事力格差について調べてみたところ、米・中以外はほとんど団子状態で、あまり格差が開いているとは言えないことが分かった。グラフは、左がGDP、右が軍事費である。

そこで調べてみたところ、近年では更に根本的な原因として「社会的地位の低下への恐怖」説が出てきているそうだ。というのも、そう言われてみると、世界同時多発的とは言え、各国にはそれぞれそういう事情があった。

  • アメリカ:白人低所得者層の衰退=白人以外の層との相対的な格差縮小
  • 日本:長い経済停滞により国際的地位が低下
  • 欧州:難民の急増大、EU化による各国のアイデンティティ低下
  • ロシア:ソ連崩壊と再編、周辺国が次々とEU/NATOに接近
  • イスラエル:宗教的保守層の増大に伴う世俗派(エリート層)の相対的地位低下
  • イラン:英米によるクーデターによる傀儡政権設立への不満(それを転覆したがまた圧力が掛かっている)

中国、インド、中南米、オセアニア、アフリカは事情が違うように思う。中国とインドは、成長に見合わない国際的地位への不満があると思われるし、中南米は単純に腐敗政治への不満、アフリカは経済成長に伴う反植民地主義の復活、オセアニアにはほぼ理由がない。

そういう目でそれらを俯瞰して見ると、やはり「社会的地位の低下への恐怖」の強い国ほど右傾化の程度も強い傾向を感じる。

そこで、「社会的地位の低下への恐怖」の強さを国別に定量化できないかとGeminiに聞いてみたところ、こんなグラフを出してくれた。

1990年と2023年の違いを2軸でまとめている。横軸は各国の国際的ステータスの変化、縦軸は国内でのステータスの変化を指標にしたものだ。国内ステータスというと意味が分からないが、これは労働者階級(モノづくり階級、中間層)のステータスを意味している。

ロシアは国内ステータスが驚異的に落ち、日本は国際的地位が大いに落ちていることが分かる。米国とヨーロッパは団子状態だが、国内テータスが日本以上に低下している。中国は国際的ステータスが大いに向上したのに、国内ステータスは落ちている。インドはどちらもあまり変化がない。

あまり明確な結果は出てこなかったが、面白いのは(面白くはないのだが)、何れの国も国内ステータスは低下しており、向上している国がなかったというところだ。

労働者階級の地位が低下している理由は、グローバル化による労働力の価格破壊技術革新における中間層の空洞化などが考えられるが、どちらも当然の成り行きであると言える。

つまり、国内の格差拡大は歴史的に必然的なもので、止めようがないし、止める理屈もない。また当面はこの傾向は続く、つまり格差は更に拡大していく。生成AIの発達により、これはホワイトカラーにも広がり、一部の管理職や起業家、資産家といったエリート以外は皆、相対的に社会的地位が落ちていくだろう。

それがどこまで続くかだが、生成AIの予測によると、

  • トップ1〜5%(資本家・AIオーナー層): プラットフォームの所有者、大規模資本家。富の大部分を独占する。
  • アッパーミドル15〜20%(AIを管理・活用する層): 高度な意思決定、AIシステムの維持、人間同士の高度な交渉を行う層。彼らまでが「豊かな階級」として生き残る。
  • アンダークラス70〜80%(エッセンシャルワーカー・ギグワーカー・非就労者): AIに代替されない肉体労働(介護、物流、インフラ維持)や、アルゴリズムの指示で動く細切れの労働(ギグワーク)に従事する層。

程度で落ち着くと考えられるのだそうだ。アンダークラスの割合は今は40%程度だが、それが倍程度になると見込まれるわけだ。また、労働分配率は更に低下し、現在の50~45%程度から40%程度にまで下がると考えられる。

この数値を今の日本に当てはめてみると、アンダークラスの年収は190万円、アッパーミドルは670万円、トップは1690万円と算出された。アンダークラスの年収はもはや生活保護レベルであるが、それが全国民の80%になる、というわけだ。

更に言うと、この時のジニ係数は0.71であり、これは現在の南アフリカ(0.63)を遥かに上回るとんでもない格差になる。これではエリートも困るので、ベーシックインカム導入に踏み切るしかないだろう。しかし元手が人口の2割しかいないので、額は限られる。一人年間100万円を配るとしても、ジニ係数は0.60までにしか下がらない。これは「暴動はギリギリで起きないが固定化されたディストピア」になる。

この傾向は国内固有ではなく、世界的傾向である。そしてこれは格差拡大であり、国民の大部分が飢えるため、暴動が起きやすくなる。新興国ではこの傾向はさらに顕著になり、平均所得が下がる。これをシミュレーションしてもらったところ、

  • トップ層(上位5%): 約1,580万円〜
  • ミドル層(上位15%):約140万円〜200万円
  • アンダークラス(下位80%): 約24万円

月収ではなく年収が24万円である。もちろん物価は違うのだが、これは今のスラム層と同程度である。スラム層は今世界に7億人いるとされているが、これが40~50億人になるという予想が出ている。

世界人口の半分がスラムというのはちょっと信じがたい。そもそものドイツの右傾化のきっかけはシリア難民の受け入れだったが、その規模が7倍になればもはや拒絶しかないし、さりとて難民も必死なのだからそこでは武力衝突が起こってもおかしくない。それも、難民が数の暴力で押し切ろうとすれば、EU側も本気で戦わなければならない。それこそ数百万人単位の大量虐殺(虐かどうかは定義次第だが)が、何回となく起きる可能性も出てくる。

そういったスラムでは出生率は落ちるが、今既に生まれている女性が適齢期になって子供を産むので、しばらくは人口は増加する。それが落ち着いてくるまでには数十年掛かるだろう。

今回は世界の右傾化の理由を順に調べていったのだが、もはや右傾化が好ましいとか好ましくないとかの次元の話ではなくなってしまった。世界が急速に貧困化していく中での断末魔、あるいは世界再編の一環であると考えると、右傾化なんてのは序の口で、もっと厳しい、生々しい現実が待っているのだと言える。

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