だが、その後GeminiからClaudeに切り替えて検討してみたところ、思ったほど簡単ではないことが分かった。そこでClaudeベースで再検討をした結果をお知らせする。
まずClaudeが指摘したのは、酸化ケイ素から酸素を分離するには、単純に高温にするだけではダメだ、ということだった。酸化ケイ素(SiO2)を高温にして気体にすると、Si+O2ではなくて、SiOとO2の混合気体になる。しかもこの混合気体から酸素を分離するのは相当に困難で、電界で分離する方法では効率が悪いということだった。SiOでも燃やせることは燃やせるのだが、当然ながら熱量はSiに比べて低く、コスト計算でも悪い結果が出た。
一般的に、SiO2を還元する方法としては、「炭素熱還元」という方法が取られているそうだ。これは、1700〜2000℃(減圧下)で炭素粉とシリカ(SiO2)粉を暴露することで、酸素を炭素側に移行するというものだ。つまり以下のような反応である。
SiO2+C=Si+CO2
SiO2を全部気体にするには3000℃以上の高温が必要だが、この方法では1700℃まで下げられるので、その分効率は高い。しかし一方で大量のCO2を出すことになる。これだとイカンので、CO2の回収方法を色々と検討したのだが、どれも如何ともしがたく、コストも高いことが分かった。そこで割り切って、「炭素材として竹炭を使う」という方法に落ち着いた。つまり、発電所で回収するのは諦め、CO2を吸収する植物の炭素を使うことで、仮想的にCO2排出をゼロにする、ということにした。
炭素材として植物性の炭を使うという観点では、伐採した木枝や草刈りした雑草、あるいは(前処理は必要だが)古紙なども対象となる。これらはゴミなのでコストは更に安くなる。ただ、品質が安定しないため、それに見合った還元パラメータの調整が必要になるだろう。
また、炭素熱還元はあくまでも実験レベルであり、効率もまだ処理精度も70%程度と悪い。SiOやSiCのような不純物が多く出てくるそうで、実用レベルで95%程度を目指す必要があるが、これには目処があるそうなので、95%で算出した。処理精度が低いとシリカヒュームの価値も落ちるが、これも双方で補正している。
以上の修正を考慮し、コストを再計算した。
| 比較対象 | コスト(ドル/kWh) |
|---|---|
| 太陽光単体(調整力なし) | 0.02〜0.035 |
| 太陽光を調整可能にする実質コスト(ファーミングコスト) | 0.115〜0.167 |
| ガスコンバインドサイクル(実際の調整役) | 0.078〜0.090 |
| 石炭火力(参考、調整役としては不適) | 0.068〜0.166 |
| Si燃料発電(正味、シリカヒュームクレジット控除後) | 0.04〜0.50 |
| Si燃料発電 + CO₂ゼロ価値(EU ETS水準) | 正味コストから0.07〜0.19ドル/kWh差し引き |
表の見方を解説すると、まず太陽光発電自体のコストは0.02〜0.035ドル/kWhと安いのだが、太陽光発電は需要に応じた出力調整ができない。それを調整するのに使われるのがガスコンバインドサイクルで、これはかなり高額である。そしてそのガスコンパウンドサイクルは頻繁に出力を調整する必要があり、また揚水発電や蓄電池なども使われているため、実質コストはもっと上がり、これが0.115〜0.167ドル/kWhとなるわけだ。
一方、シリコン燃料発電は、本来のコストに加え、シリカヒュームの売却益があるため、それを差し引きできる。更にこれはCO2フリーなのだが、その価値を排出量取引価格を参考にして差し引くことができる。その値付けによってはコストはマイナスにもなり得る、と算出できた、ということだ。それを計算に入れずとも、太陽光よりは発電調整力があり、夜間も発電できるという有利がある。
なお、シリコン燃料発電は、石炭火力と同等の調整能力があるのだが、ガスコンパウンドサイクルに比べると追従性に劣るため、どちらかというとベースロードに位置付けられるのだそうだ。
最終的には、太陽光発電の代替として、シリコン燃料発電は十分に競争力を持つ、という結論になった。また、太陽光発電と異なり夜間も発電可能であるし、ある程度の需要追従性もあるため、ガスコンパウンドサイクルの出番も少なくなり、この点でも発電コストの低減に貢献する。
当初の試算から比べると見る影もない大幅なコストアップになったが、それでも何とか実用レベルにこぎつけることができた。化石燃料代替+CO2無排出という夢の発電方法であることの価値は、引き続き検討に値する。






