2026年7月27日月曜日

自動倉庫型図書館

 
図書館で本を借りたいと思った時に苦労するのは、どこに所望の本があるかが分からないことだ。小さい図書館ならともかく、大きな図書館では階が違っていたり、分類を間違えたり、と手間が掛かる。まあそれが楽しいという人もいるだろうが、自分としてはさっさと借りて帰りたい。

そこで考えるのが自動倉庫型図書館である。端末で本を選んで待っていると、自動倉庫から本が運ばれてくる、という仕組みだ。最後は取り出す手間や借りる手続きがあるが、そこにはバリエーションがあってもよい。自動倉庫に入れるというところがミソである。

この自動倉庫は、可動式書棚のことではない。50L程度の通函(例えばプラダン製で上蓋がないもの)を単位として、この函を大量に仕舞い込める倉庫のことだ。入出庫口で函を指定して待っていると、その函を倉庫から取り出して眼の前に出してくれる。この函の中には何冊かの本が入っており、その中から所望のものを取り出す。

この形の特徴は、第一に本を置くスペースの効率が画期的に高くなることだ。倉庫に人が入るためのスペースは必要ないし、建屋の許す限り高くできる。これにより、今までは諦められていた狭いスペースでも図書館を開ける、あるいは既存の図書館でも蔵書数を増やせる、というメリットがある。

第二に、自動倉庫は完全空調可能で、人間なら不快なレベルにまで低湿低温にすることができる。これで虫やカビの被害を抑えることができるし、必要なら燻蒸やX線照射なども可能である。

第三に、本を分類保管する必要がない点である。返却時には空いた箱に順番に詰めていき、いっぱいになったら自動倉庫に送る、これだけでよい。どの箱にどの本が入っているかはコンピュータ管理されるので、ユーザはただ選べばよいだけだ。

なお、本を選ぶ端末は数台必要だろうが、スマホにアプリでも代用可能なので、何十台もずらっと並べる必要はないと思う。

初期投資と維持管理費は、蔵書数見合いでは高くなるかもしれない。但し敷地面積は減るため、その土地代や税金、賃料などとの相殺は可能であると見る。これで図書館がもっと身近になってくれると嬉しい。

2026年7月20日月曜日

デジタルツインシミュレーション

 

前回の石油備蓄に関する調査

ナフサの現状

からそろそろ2ヶ月になるので、改めて調査してみたのだが、ここ2ヶ月でGeminiはあまり賢くなっておらず、同じようなハルシネーションを何度も作り出した。こちらも、それを何度も何度も指摘して訂正していったのだが、最初の方の命令を忘れたり、自分が出した回答に引きずられて捏造に捏造を重ねるなど、散々だった。

前回もそうだったが、この石油の問題がややこしいのは、扱う数字がどういう数字なのかが曖昧なことだ。例えば、7月には政府発表によると前年同月比で100%の原油が確保されたと言っているのだが、直感的にそれはあり得ないと思った。なぜなら、現実にそれが届くためにはタンカーが必要である。そのタンカーの一部は中東に足止めを食らっているし、新しい調達先であるアメリカの航路は中東の倍もあるため、同じタンカーの数では半分しか運べない。世界中で石油不足なのだから、新たに調達するにしてもいきなり倍の調達は不可能である。

つまり100%というのは実際に日本に届く量ではなく、あくまでも契約ベースの数字であると推測できるのだが、それは発表から読み取れないので、Geminiは素直にそれを信じてウソを回答してしまうのだ。政府が誤魔化しをしようとしていることは前回実績より明らかなので、こういった数字の深読みは必要なのだが、ただ「深読みせよ」と言ってもGeminiにはできない。

他にも、需要と実際の出荷量を混同してしまう、日数換算の計算方法を間違えてしまう、・・・などといったミスを多数起こしている。

それをGeminiに言っても、しばらく質問を繰り返していると忘れてしまい、また言わなければならなくなる。それを指摘すると次に指摘していた内容を忘れ、・・・と、一巡して最初に戻ってしまう、という詰まらない経験をした。

こうなると、もうエージェントを使ってデジタルツインを作ってシミュレーションをしたほうが速いのではないか、と思えてきた。つまり、実際に存在するタンカーの位置と積載量を一つのエージェントとして表現し、それらが最良の条件で動いたら輸入がいくらできるようになるか、とするのだ。

エージェントとしては、以下を用意する。

  1. タンカー。1隻当り200万バレルと仮定。タンカーは航路日数毎に、精油所に200万バレルを卸す。航路日数は、中東ルートは45日、米国ルートは70日とする。
  2. 港。中東とアメリカに設置。タンカーが到着する毎に200万バレルを渡す。
  3. 精油所。国内に設置。需要量は一日300万バレル。
  4. 指示者。精油所に到着したタンカーに対し、次にどこへ向かうかを指示する。
  5. クロック。全体を制御する。1日毎に各エージェントの状態を更新させる。

戦争前は中東ルート100%とすると、タンカー1隻で日本に運べるのは45日毎に200万バレルなので、1日当たりでは4.44万バレルとなる。需要量300万バレルでこれを割ると、67.5となり、タンカーは68隻必要となる。

中東で何隻が足止めされているかは分かっていない。40隻あまりが足止めをされているが、このうち日本向けが何隻かは分かっていない。そこで拘束されている確率を45分の一と仮定すると、67.5*44/45=66隻が稼働可能と考える。

これが100%アメリカ航路に切り替わると、66隻で計1億3千200万バレルを70日で運べるため、1日当たりでは188.57万バレルが運べる計算になる。これは300万バレルに対して62.9%である。これが切り替え後の輸送量の限界となる。

今は計算で出したが、これがもう少し複雑になってくると頭では追えなくなってくるので、シミュレーターを走らせた後は精油所をモニターするだけで答えが返ってくる、という次第だ。

例えば、港をアメリカと中東以外にも設け、次にどの港に向かうかを逐一指示する一方、政府やイラン軍を登場させて調達上限や妨害の程度を決めていく、という具合だ。

従来のシミュレーションと違い、AIエージェントをノードとすることによって、設計が格段に易しくなるのが特徴と言える。おそらくClaude Coworkの最低プラン(月20ドル)でもできるのではないだろうか。エージェントを増やしていくと課金が心配だが、その場合はOpenClawを使って各エージェントに「パラメーターファイルの書き換え」を指示する、といった作り方でできるのではないかと思う。

従来のシミュレーション、例えば防災シミュレーションなどは専用で、何億円もかけて作るものだったが、これならタダに近い作り方ができる。ちょっと末恐ろしいことだが、こういったちょっとした疑問にも即時にシミュレーションを作って答えをくれるAIというのは、個人としても欲しいし、社会としても需要は高いと思う。

2026年7月13日月曜日

AIエージェント調停アーキテクチャ



はじめに

生成AI同士が話し合って問題を解決する、というのが次の生成AIのテーマだと思う。

今の生成AIエージェントの使い方は、あくまでも一個人が自分の代理人として使っているだけだ。外部とのやり取りはMCPで行っているケースが多いと思うが、これは生成AIと(生成AIではない)他のシステムとの接続プロトコルであり、つまりは相手方は決定論的回答を返すことが前提になっている。要するに仕事の依頼先であり、主従関係がある。AIエージェント側が主で、接続先が従だ。しかしこの先、相手側が生成AIであるというパターンは当然想定すべきである。つまり生成AI同士の会話が前提になる。

そしてここからが厄介な話で、相手が生成AIだとすると、自分と同じく、(自分とは違う)目的を持って能動的に行動しているかもしれない。すると、従来のような単純な情報提供や指示を実行させるだけではなく、時にはそれを拒否されたり、逆提案されたりすることも想像できる。つまり従来は主従だった関係が対等になるわけだ。

そこで問題になるのが、以下の2つである。

  1. その相手と自分の目的が相反している可能性があること。更に言うと、複数の相手との協調や競争が起きる可能性があること。
  2. その相手が悪意を持っている可能性があること。

人間の場合には人格があり、法律や商慣習がある。だが生成AIエージェント同士の会話の場(ネットワーク)にはこのどちらもない。エージェントは目的のたびに新たに作り出されるものだし、偽の(悪意を持った)エージェントの作成はボタン一つで可能なのだから、現実のように身を潜めて行動するという必要もない。つまり悪意のあるエージェントの割合は、現実世界に比べて極めて高いと考えるべきだ。

例えば、SNSの投稿の6割はボットによるものだとの研究がある。Web全体における悪意のあるボットの割合は、トラフィックの4割に達する。現実世界ではあり得ない比率だ。生成AIは更に能動的になれるから、少なくともこの割合よりは大きいと考えるのが妥当だろう。そういう「ウソの海」の中を泳いでいくのは、現実社会より遥かに難しい。

そういう中にあっても人間はうまくそれを排除して生きているのだが、生成AIエージェントが同じように賢く生きられるかは未知数である。そして使う人間側としても不安があるので、アーキテクチャでこれを補完(保証)してやる必要がある、と考えるのが妥当だ。

本稿の主旨は、「そのためのアーキテクチャが必要である」と訴えることだ。で、その主旨はここまででもう語った。だがそれだけでは心許ないので、そのためのアーキテクチャの一例も合わせて提示したいと思う。

AIエージェントと現実人格の紐づけ

人間社会の場合、悪意のある人間、悪意のある組織などは、表舞台にはなかなか出てこない。その理由は、一義的には法律があるからだが、電子の世界と比較した場合、実は決定的な違いがある。それは、その「悪意的存在」の寿命である。

つまり、あるところで犯罪を犯した人間は、その後の操作により誰かを突き止められて、逮捕され、罪を償わされる可能性を負うことになる。組織による犯罪であっても、その組織を構成している人間には同じ可能性がある。だがこれは、人間は概ね何十年と生き続ける、という暗黙の仮定に基づいているのだ。だから後から追って、捕まえることができる。

しかしAIエージェントは違う。一瞬の後に作られ、仕事が終われば消滅する。AIエージェントがどんなに罪を犯そうが、消えてしまえば罪に問うことはできない。

SNSの場合も同様で、ボット自体に罪を問うことはできない。だからそういうボットの作者は自分の存在を隠蔽する。それが簡単なら、悪意的存在の比率は高くなる。今のSNSがそうなっているのは、それが一つの原因である。

だから、AIエージェントが悪意的存在でないことを確認するためには、そのAIエージェントが誰のものであるかを明らかにする必要がある。

つまり、現実の人間のIDから派生するAIエージェントのIDを定義し、そのIDを確認すると、誰のエージェントかが分かるようにする、というのが提案の第一である。

このIDは、マイナンバーのような国民IDか、GビズIDのような企業IDを使うのが良いと思われる。そのIDによる電子証明書を持つAIエージェントしか相手にしない、また相手は毎回確認する、というのが、最初のスクリーニングである。

エスクローアーキテクチャ

そしてもう一つ、今のサイバー犯罪では結局警察が動いて人に罪を問うのだが、今後のAIエージェントの発展を考えれば、間違いなく物量的に足りなくなる。つまり犯罪の追跡は困難であり、また大量であるため、警察も追いつけないと考えられる。だから、法律の前に技術的仕掛けで大部分は抑制する必要がある。

そのための提案が、エスクローである。つまり、何かを依頼する時には相手に報酬を提供する必要があるが、直接渡すのではなく、双方(売り手と買い手)が信頼する第三者に報酬を預け、取引が完了すればその第三者から報酬を受け取る、という仕組みである。

その取引自体にもスマートコントラクトが採用され、望まない結果に対しては支払いが発動しないようにする。また、悪意が確認されると報酬は没収される。

他、報酬以外にも保証金を積むような仕掛けはあってよいだろう。リスクの高い取引ほど保証金が高くなるような仕掛けも良いと思われる。

調停者アーキテクチャ

多数のエージェントが各々要求を出しており、その要求が相反しているような場合、AIエージェント同士が話し合うのではなく、公平公正な第三者である調停者(アービトレーター)に委託する、というアーキテクチャである。

調停者は、いわば裁判所における調停案、和解案の提示のようなものだ。双方の主張の理由、法律や社会慣習などを総合して双方妥協が可能と思われる案を提示する。それに双方が合意すればよし、合意がなければ決裂となる。

調停者自身も、過去の合意・決裂事例から学習し、より良い調停案を提示できるようになる。もちろん悪意の交渉についても学習し、それを防ぐ案を提示する。

実行はエスクローとスマートコントラクトを使うので、その後も安心して取引ができる。

調停者はカスケード(階層化)しても良い。例えば個人対個人から国対国まで、調停にはレベルが多数ある。ある調停が別の調停の枝葉になることはいくらでも考えられる。

両者の運営

エスクローはある程度民間でもできるだろうが、調停者にはそれなりの資格が必要だろうと思う。国、ないしは地方自治体による許認可と定期審査が必要だろう。まあ国対国だとさすがに政府運用となるだろう。またエスクローにしても、認可と定期審査は必要と思われる。

両者のために新たな国の機関を作る必要があると思われる。

まとめ

IDの詐称や会社のポリシーの豹変など、それでも悪意を完全に排除することができない。そうであっても、このアーキテクチャが進むことによって、いわゆる表社会の人たちがある程度安心して過ごすことは可能になると思う。残りは警察の仕事である。

そして鍵となるのはその割合だ。このアーキテクチャによって、既存の社会よりも犯罪率がずっと低く抑えられる可能性はあると思う。そうすれば警察や軍隊の必要性も低下し、世の中は平和になる。そういう意味でも、このアーキテクチャの重要性は高いと考える。

2026年7月9日木曜日

宝くじの売り上げを上げる方法


サマージャンボプレミアムが発売された。1等前後賞合わせて12億円と、今までの7億円を大きく超える額になっている。その代わり1枚500円(従来は300円)に値上がりした。

近年、宝くじの売り上げは減少している。そもそも宝くじは効率の悪いギャンブルである。還元率は50%しかなく、これは他のギャンブルと比べてもかなり低い。だがそれは前から分かっていたことで、宝くじの売上が落ちた理由は別にある。

大きくは、三つの要因があると考える。第一は低所得化、つまり単純に貧しくなったためだ。宝くじは夢を買うものだが、その夢の値段(10枚で3000円)が今では十分に高いものになってしまったということだ。

第二は、宝くじの期待値が低いことが知れ渡ってしまったことだ。一等が当たる確率は数百万分の一であること、還元率が他のギャンブルに比べて低いことなどが広く知られてしまった。

第三は、NISAや副業など、本業以外で「稼ぐ」手段が多様化してきたことだ。その3000円があれば投資をした方が良い、と考える人が出てくれば、それだけ宝くじの人気は減る。

だが、宝くじの発行主体は地方自治体であって、その収益は税金などと同じく公共の役に立つのであるから、もっと宝くじの売上は伸びてほしい、と個人的には思っている。宝くじの売上を伸ばすにはどうしたら良いだろうか。

第一に考えられるのは、還元率を増やすことだ。だがこれは、本来の目的である自治体への還元を減らすことになる。

第二は、当たりやすくすることだ。一等の金額を減らして当選確率を上げる。だがこれは既に行われている。

第三は、賞金だけでなく賞品と組み合わせることだ。旅行やイベント、宿泊などの無料券、地域特産品、CMキャラの芸能人との会食権やディナーショーへの招待など。

他にも色々あるだろうが、個人的にイチオシなのは、「宝くじの意義を啓蒙すること」である。

先ほども言ったが、宝くじの収益は地方自治体に周り、地域に貢献している。例えば救急車や消防車、避難設備、子育て支援、高齢者福祉、教育、地域活性化、などだ。それを国民に広く伝えることで、宝くじを買うことは社会貢献である、と強く訴えるのだ。

それはWeb記事でも良いが、できれば映像コンテンツが良い。テレビで30分番組を何本か作るのも良いし、Youtube向けに長時間のものを作るのも良い。その中で、宝くじが具体的にどのような社会貢献をしているかを見せつけるのだ。

救急車を何台買いました、図書館に何冊本を入れました、地域イベントのスポンサーになりました、など、具体性が高いものがよい。それをレポーターが体験報告する。そして、特に他の「稼ぐ手段」との対比をしてやる。あなた個人はそれで小銭を稼げるが、宝くじを買えば地域に貢献できるのだよ、「宝くじ協会による寄付」とはあなたの寄付なのだよ、とするのだ。

これは虚栄心をくすぐる行為でもある。だから例えば、宝くじを一定額以上買った人には名誉バッジを配り、そのバッジを見せると宝くじの寄付で建った施設を割引で利用できる、といった特典を作るのも良いと思う。

もちろん一方で、1億円が当たった人が何をしたか、というセミ・ドキュメンタリーを作るなど、当たったときのイメージを掻き立てる映像も作るべきだろう。

こういった販促行為には賛否両論あるだろうが、私としては是非推したいと思う。一緒に夢、買いませんか。

2026年7月8日水曜日

パンアーキー:複線民主主義

 

民主主義が限界に来ている、とは色々言われている。だが、ならどうすべきかについてはどうも議論百出であり、自分としても「これは」と思うものが無かった。そこで色々調べていて、「パンアーキー」という考え方を見つけた。これが自分の考えに比較的近いと思ったので、この考え方について紹介する。

パンアーキーとは、ベルギーの政治思想家 ポール・エミール・ド・ピュイ(Paul Émile de Puydt) が1860年に提唱した概念である。

https://www.panarchy.org/depuydt/1860jp.html

彼は当時の政治対立を見て、「自由主義者は自由主義政府を望み、保守派は保守政府を望み、社会主義者は社会主義政府を望む。ならばなぜ全員が同じ政府を取り合うのか?」と考えた。そして、「領土ごとに政府を分けるのではなく、人ごとに所属政府を選べばよい」と提案した。

つまり、今の民主主義では政府は一つしかない。その一つの政府はむろん投票によって選ばれるのだが、選ばれた後は、自民党に投票しなかった人でも自民党に従うしかない。だが政府が二つ三つとあり好きなところを選べるなら、その政府に投票(登録)し、その政府に従えばよい。つまり、政府Aに投票した人は政府Aの決定に従う。政府Bの決定には従わなくてよい。政府Bに投票した人は政府Bの決定に従い、政府Aの決定には従わなくてよい。

例えば消費税を1%にするという決定は、日々の買い物が楽になる一方、国債発行が増え将来の予算を圧迫する懸念がある。それをよく考えた上で、1%にする自民党政府と、10%のままのチームみらい政府のどちらかに投票する。するとその後に自民党政府の出した国債の償還義務は自民党政府支持者だけの義務になる、という具合である。

まあもちろん、このレベルではまだ考えが荒く、色々と不都合がある。まず政府はいくつ作るべきかという根本問題に加え、地域による分割ではないので国民自身に旗(フラグ)を付けなければならない。買い物一つするにも国民IDカードの提示と認証が必要になる。また財源は分ければ良いが、外交国防裁判所消防警察インフラなどは分け辛い。そういうものまで分割するのかどうか、また分割するとして今存在している警察や消防をどう動かすか。両陣営を行ったり来たりすることで漁夫の利を得ようとする国民をどう規制するか。投票しなかった者の扱いをどうするか。そういうものは一つ一つ詰めていかなければならない。

だがこうすると、国民は自分の決定に責任を持つことになるのだから、当然真剣に考えるだろう。民主主義限界論の理由の一つは正にここ、つまり国民が真剣になって考えないところにあるので、それだけでも民主主義の復権(ないしは延命)に大いに貢献できるはずだ。

一方で、政府は今までと違って票数を気にしなくてよい。票が多ければ予算は増えるが対象国民も増えるので負担も増えるから、票数は絶対的評価指標ではなくなる。国民の平均的支持率や国民満足度、国民の平均年収や平均寿命などが指標となるのだろう。特に野党にとっては、通るはずのない理想論を好き勝手に言えていた時代とは異なり、その理想論を実現できてしまう、つまり結果が見えてしまうという意味で議員にはシビアであり、今まで以上に真剣に考えてくれるはずだ。

地域による一国多制度は世界中に例がある(連邦制がそうだ)が、この思想は住居を変えずに政府を選べる点が重要である。情報化の時代、AIの時代、できるところから(例えば社会保障や介護福祉)多政府化を進めていくというのは十分に「アリ」だと思う。

2026年7月7日火曜日

シリカヒュームコンクリートの再考察

 

その後、シリカヒュームコンクリートの特性や製造法について色々検討していたのだが、当初の見込みは甘く、修正すべき点も色々と見えてきた。その改良も含め、製造法について検討していく。

ポゾラン反応の反応速度について

以前の検討では、シリカヒュームコンクリートは24時間で実用強度が出ると言っていたが、その後の調査により、これは極めて限定的な状況でしか起きないことが分かった。

もし何もしないと、通常のセメントの反応(水和反応)より遅く、数カ月掛かる。反応を早めるには、高温高圧(いわゆるオートクレーブ)を掛けるか、アルカリの混和、炭酸ガス吹付けなどが必要である。

消石灰ないしはセメントの一部を生石灰で代替することによって反応熱を引き出すという方法も考えられるが、生石灰が反応すると体積が大きく変化し、これがひび割れの原因になることもあるということだ。それを抑えるための繊維強化は有効であるが、繊維で無理に抑えている状態とも言え、あまり好ましいとは言えない。

またこのうちアルカリは、いわゆる強アルカリが必要で、扱いが難しく、現場施工は危険であり推奨できない。高温にするにしても一瞬とはいかず数時間は必要であるため、やはり現場施工は現実的ではない。

つまり、シリカヒュームコンクリートを作るには(オートクレーブを掛けられる)プレキャストにするか、現場打ちならセメント混入が現実解であり、消石灰(ポゾラン反応)ではできない。また、セメント混入の場合はシリカヒュームの割合は10%が理想で、つまりはシリカヒューム主体とはならず、シリコン発電残渣の効果的な消費にはならない。

また同じ理由により、コンクリートの梁や柱を結合するのに、平らな面同士をシリカヒュームスラリーを流し込むだけ、という方法は使えない。

ではどうするかというと、形状による嵌合、バサルトアンカーピン、シリカヒューム+セメントスラリーという組み合わせで行う。つまり、形状による篏合(凹凸を合わせる)を前提とし、更に篏合部の両側に穴を開けてアンカーピンすなわちホゾを噛ませ、スラリーで固定する。このスラリーはまずセメントの水和反応で初期強度を出し、その反応で出てくる二酸化炭素とシリカヒュームでポゾラン反応を起こして更に強度を増す、という方法になる。ホゾと篏合には溝を掘り、スラリーが流れ込む道を作る。バサルトアンカーピンは、この後で説明するバサルト筋を使用したものである。

無発泡酸化チタンスキンについて

前の説明では吹き付けとしていたが、もう少し厚さがあった方が良さそうだ。実際に光が届くのは0.1mm程度だが、物理的摩耗は100年で2〜3mmだそうなので、倍のマージンを見込んで7mmとする。またこのスキンには骨材は不要であり、酸化チタン混入率は重量比で1%とする。

プレキャストコンクリート製造時に、スキンの型を先に取っておいて、それを組み合わせて中に発泡コンクリートを流し込むというのが良いと思われる。

スキンと内部は同じシリカヒューム+消石灰で混合比率も合わせる。これによってスキンと内部もポゾラン反応で強固に接着し、容易に剥がれることは無くなる。

この表面スキンは酸化チタンによる光触媒効果と十分な耐水性があるため、外壁側にトップコートなどは必要なく、そのまま外壁として使える。またその性質より、色は塗るのではなく、あらかじめ練り込んでおく必要がある。この際、有機塗料は光触媒効果により色褪せてしまうので、無機顔料限定となる。また、表面加工(ツルツル以外の凹凸やザラザラ感など)は、あらかじめ最初から作り込んでおく必要がある。もちろん最薄部で7mmの確保が必要だ。

屋根材については、同じく無発泡酸化チタンスキンとなる。7mmの酸化チタン層と20mmの繊維強化無発泡のコアを使用する。スキンもコアも繊維強化は行う。この場合の混入率は2%とする。

形状としてはスレートと同じ感じになるが、結合はスラリー注入によるポゾラン反応で完全に一体化するため、水漏れの心配は無用となる。つまりはアスファルトシーリングが不要になる。

また、スレートや瓦など従来の屋根材では、雨漏りが発生したときにその水路が複雑になり特定しづらいという問題があった。これは、小さな屋根材が少しづつ重なる構成だったために起きるのだが、本手法では屋根は一体になっており、複雑な水路は存在しない。割れている箇所があればそこを直すだけで完了する。それも、割れた隙間にスラリーを注入するだけである。

繊維と発泡、配筋について

発泡比率はアルミニウム粉末の添加率で自在に変えられるが、当然ながら発泡率を高くするほど強度は弱くなる。また比重は軽くなる。繊維については最大2%ほどが限界で、発泡で梁にするには強度が足りず、無発泡にする必要がある。そうでない(発泡させる)なら鉄筋が必要になる。

ただ、必ずしも鉄筋でなくともよく、例えばバサルト筋は有用である。バサルト筋とは、玄武岩(バサルト)を溶解して線維化し、樹脂で固めたものだ。鉄筋は爆裂の危険があるが、バサルト筋はサビないためこの危険はない。また、鉄筋の二倍の引張強度があるため、更に元々超高強度コンクリートであるため、繊維強化も併用することで、筋数をかなり少なくすることができる。

以前、(表面無発泡・内部)発泡繊維コンクリートのみで梁を作れると言ったが、強度的には不足である。これも訂正する。

また、発泡による断熱効果についても盛り過ぎのようだ。比重0.6程度ではALCや木材、グラスウール並みの0.12W/(m・K)となる。ただこれでも、150mm程度の厚さがあれば十分な断熱性があり、断熱材が不要という点では同じである。配筋が鉄ではなくバサルトであることは、断熱に一役買っている。

先ほどの表面スキンのすぐ内側にバサルト筋を配置し、内部は繊維強化発泡コンクリートを充填する。この場合、繊維は0.5%で十分であり、曲げ・引張強度はバサルト筋が主に活躍する。通常のコンクリートと異なり被り厚は不要(スキンの7mmだけでよい)である。なぜならスキンは超高強度コンクリートであるため強固で、筋も鉄筋ではないので、ひび割れによる水によるサビの心配は不要だからだ。中性化も関係ない。このため配筋を従来よりかなり外側にできるので、配筋の数や太さを抑制できる。

シリカヒューム粒の製造について

次に、骨材としてのシリカヒューム粒について考える。

生成AIと色々議論した結果、シリカヒューム粒はセメントで結合するのではなく、消石灰でつなげるべきとの結論に達した。シリカヒュームと消石灰を75%:25%で混合し、これをパンペレンタイザ(転動造粒機)で水を吹き付けながら球状に太らせ、粒にする。その粒を、180℃・10気圧で数時間処理する(オートクレーブ)ことで完成する。

セメントの水和反応の副産物としての二酸化炭素ではなく、最初から消石灰の二酸化炭素を利用したポゾラン反応を主たる結合要素とする、という判断である。このためセメントは不要となる。強度はセメントよりこちらの方が高い。ただ引張強度と曲げ強度が相対的に弱いことに変わりはない。

無発泡・繊維なしの場合、比重は2.2、材料費(シリカヒュームはゼロとする)と製造費トータルで6.8円/kgとなる。粒のサイズは、0.15mm〜20mm程度で、段階的に製造する。これらを混合することで隙間を減らし、効率よくコンクリートを製造することができる。

アルミニウム粉末をごく少量添加してやると発泡し、発泡粒となる。発泡の度合いは自由に調整できる。発泡させることで強度は落ちるが、体積は増えるため、体積当りの材料費は下がり、断熱性が上がる。

繊維を混入することで引張強度や曲げ強度が向上するが、繊維はキロ単価が高い(1000円/kgなど)。混入は0.5〜2%ほどの間で用途に応じ行う。発泡と繊維の組み合わせは色々できる。

天然の砕石の単価はキロ10〜40円なので、これより十分に安い。また形状が全て球で安定している点、ポゾラン反応により砕石より強固に固着する点、性能を自在に設計できる点などがあり、全てにおいて天然砕石に勝っている。

価格については、シリコン発電の残渣たるシリコンヒュームの材料費がゼロである前提による。実際には、高炉スラグ微粉末(製鉄炉残渣)やフライアッシュ(石炭発電残渣)のように、キロ数円を積むのが現実的だと思うが、その程度であれば天然砕石と価格で逆転することはない。

また、シリカヒューム粒を骨材とした繊維強化コンクリートの製造においては、混入する側のみ繊維強化するので十分であり、シリカヒューム粒自体を繊維強化する必要はないそうだ。

安いこと以外に、セメント(ポルトランドセメント)に使う場合であっても、骨材とセメントとの間にポゾラン反応が起きて強固に接着する点、形状や素材特性が安定している点、必要に応じ機能性(発泡、繊維強化)を持たせられる点でも通常の骨材に比べて有利であり、こうなると通常の骨材を使う意味がほぼ無くなる。シリカヒュームの初期の用途として極めて有望と考える。

建築方法

プレキャストコンクリート建築において、基礎をプレキャストコンクリートで作ることは引き続き可能である。但しバサルト筋+形状篏合+アンカーピンは必要となる。これは柱、梁についても同様である。壁については強度は必要ないため、バサルト筋とアンカーピンは必要ないだろう。また壁だけは発泡率を最大にして断熱を確保する。

また、その結合の基礎強度は水和反応によるため、翌々日の施工は無理で、3日~1週間程度の間隔は必要となる。とは言っても、基礎、1階、2階、屋根の4段階程度で済むので、各々1週間としても1か月で建つことになる。しかもその間は放置で良いし、施工の1日で使うコンクリートは結合部に使う分だけなのでごく少量で良い。

スラリーを使った結合であることに変わりはないので、気密性については前回と同評価である。結合部からの空気漏れはゼロにできるし、もし穴が見つかればスラリーで塞げばよい。

この場合、ラーメン工法であるので壁は更に簡素化が可能である。厚さ150mm、無背筋、高発泡化(比重0.35)が可能となる。但し繊維は2%の混合が必要となる。

また、壁の4辺全てをスラリーで完全に固めてしまうと、気密性は問題ないが地震の際の変形で割れる恐れがある。この辺は既存の方法(カーテンウォール、隙間の弾性体による充填など)が使えるだろう。

また、前の検討では柱式(ラーメン構造)で考えていたが、工法としては壁式もあったのを忘れていた。超高強度コンクリートと発泡、ポゾラン反応によるコンクリート同士の強固な接続を考えると、壁式の方が有利な場面はある。2階建て程度の一般住宅なら壁式の方がよい。

これも一応計算してもらったが、壁式でも150mm+バサルト筋で対応できそうである。

コスト再計算

材料費については、バサルト筋・バサルトアンカーピンが登場したことと比率が変わった。また建築費については日数が増えたこと等を含め、再計算が必要である。

まとめて生成AIに算出してもらったところ、以下のような結果が出た。なお、今回はシリカヒュームは6円/kgで算出している。

建物規模 既存RC造(平米単価目安) 本システム(平米単価目安) 削減率 主な要因
2階建て住宅 約 350,000円 約 297,500円 15% 内装仕上げ・断熱工事の全廃
10階建てビル 約 500,000円 約 375,000円 25% 工場生産による工期短縮と現場労務費の削減

また、性能比較は次のとおりである。

性能指標 既存RC造(従来工法) 本システム(シリカ・モノリス) 評価
断熱性能 (U値) 約 0.40 W/m²K 約 0.20 W/m²K 2倍の断熱性能
気密性能 (C値) 1.0 〜 5.0 cm²/m² 0.1 〜 0.3 cm²/m² 極めて高い気密性
耐震性 (靭性) 鉄筋依存(腐食リスクあり) バサルト筋・繊維混入で永続性大 圧倒的優位
メンテナンス性 10-15年毎の塗り替え・補修 不要(100年無機質維持) メンテナンスフリー

心配したが、一般的なRCよりは安く仕上げることができた。また性能にも満足できる。

まとめ

こういうものは計算を細かく詰めていくとだんだん現実に近づいていくものだが、今回もそうなった。だが結論としては、有用性を強く主張できるレベルに留まってくれた。

本検討は遠い将来まで見込んで考えたが、1~100MW程度の実証レベルで出てくるシリコンヒュームの量なら全数はける程度の需要はあるので、さっさと試してみたら良いと思う。

2026年7月4日土曜日

シリカヒューム応用プレキャストコンクリートによる超高速建築

 

シリコン発電シリーズの続きで、シリカヒューム応用コンクリートのプレキャスト適用について考えてみる。プレキャストとは、要するに型枠で作ったコンクリートである。板や柱となる。

結論からすると、国内最高峰の断熱性・高気密性を持ち、基礎を含め2週間で2階建ての筐体が完成し、坪単価は52万円を切るという、バケモノ級の建築が可能である。

1.プレキャスト素材の特性

シリカヒューム応用コンクリートはプレキャストに向いている。流動性が高いため型枠の隅々までコンクリートが行き渡るからだ。また、発泡化も可能である。発泡化しても元々が超高強度繊維強化コンクリートなので、強度は十分である。すると、壁だけでなく柱も発泡にできる。つまり、柱も壁も断熱にできる。すなわち熱橋がないということだ。まずはこれだけでもすごい。

この前提で、一般的な2階建て住宅を想定し、柱のサイズは20cm角、壁の厚みは15cmと設定する。もちろん発泡による強度低下は考慮して計算している。繊維強化かつ超高強度コンクリートなので、このサイズで良いのだ。

発泡コンクリートの断熱性能だが、試算によると以下の通りである。

一般的なコンクリート: 1.6 W/m・K
一般的なALC(軽量気泡コンクリート): 0.13W/m・K
グラスウール(一般的な断熱材): 0.038W/m・K

に対し、

発泡超高強度シリカ: 0.040〜0.045W/m・K

である。(数字が小さいほど性能が良い。)つまり通常のコンクリートの約40倍の断熱性を誇り、グラスウールとほぼ同等の性能である。

次に壁の熱貫流率(U値)について考えてみると、

  • 断熱等級4(一昔前の最高基準): 壁の推奨U値 0.53W/(m^2・K)
  • HEAT20 G2(断熱等級6:ZEHを超える): 壁の推奨U値 0.34W/(m^2・K)
  • HEAT20 G3(断熱等級7:国内最高峰・欧州並み): 壁の推奨U値 0.28W/(m^2・K)

に対し、この素材で厚さ15cmの壁を作ったと想定すると、その壁の熱貫流率(U値)は

  • 0.28W/(m^2・K)

である。(これも数字が小さいほど性能が良い。)つまり、日本の最高峰の基準である「G3(冬場に暖房を消しても室温が15℃以下に下がらないレベル)」になるわけだ。

2.接合方法

このプレキャストコンクリート同士を接合する方法だが、凹凸を作っておいて組み合わせた後、隙間にシリカヒュームスラリーを流し込むことで行う。

この接合には2つの特徴がある。第一は、いわゆる剛接合になることだ。柱同士を剛接合できるということは、ラーメン構造が可能になるということである。また、基礎のコンクリートとも強力に接合するため、アンカーボルトが不要である。(位置決めの凹凸位は必要だろう)

第二に、隙間がゼロになるということだ。これはすなわち、いわゆるC値がゼロ、ということになる。(実際にはドアの隙間などがあるので完全にはゼロにならない)

3.爆速建築

基礎もプレキャストコンクリートで可能である。

初日に地面を掘り返して必要な深さを確保し、そこに捨てコンを打って終わり。翌々日の朝(硬化には1日掛かるので)にはレベリングをしたプレキャストコンクリートの基礎を並べ、シリカヒューム粒を敷き詰めて、スラリーを打って終わり、となる。

翌々日には1階の造作が可能となる。これは単に柱と壁を立て、隙間にスラリーを打って終わり、である。

その翌々日には2階床を並べ、やはり隙間にスラリーを打って終了。

その翌々日には2階の柱と壁、その翌々日には2階の天井、その翌々日には屋根を打って終わり、となる。

というように、爆速で組み立てができてしまうことになる。全てはスラリーが1日で固まるがゆえの恩恵である。

4.外壁の工夫

発泡コンクリートなので、それをそのまま外壁に晒すのは良くない。そこで、プレキャストの段階で、外壁部分には「無発泡・強化繊維なし・酸化チタン混・シリカヒューム・セメント・水スラリー」を塗っておく。厚さは2、3mmで良いだろう。

これによって発泡部がスラリーで埋まり、また酸化チタンによるセルフクリーニングとUVカット機能を持たせる。好みにより色をつけるのも良いだろう。

また、屋根も同様の措置で対応可能である。スラリー接合により隙間ゼロにできる点も含め、塗装を含む全ての仕上げ工程が不要となる。

5.内壁の仕上げ

プレキャストコンクリートであることを考えると、電気ガス水道の配管用の溝も最初に作っておくことが可能だ。すると配管も爆速でできる。

更に断熱が完璧なので、断熱材や防湿フィルム、石膏ボードは一切不要である。直接壁紙を貼れば良い。(溝はパテで埋める)

6.その他様々な驚異

気づいた人もいると思うが、筐体工事において釘や金具が全く登場しない。これも驚異と言えるだろう。鉄筋がないので、クラックから鉄筋が錆びてコンクリートが剥がれる(爆裂)現象が原理的に生じない。また、鉄筋が電波を遮断するため、鉄筋コンクリート住宅は携帯電話やWiFiの電波が通りにくかったが、この現象も起きない。

コンクリート打ちっぱなしと同程度の内装材しかないので、万一火事になっても燃えるものが殆どない。

また、繊維強化発泡コンクリートであることにより、耐火性も抜群に良い。コンクリート内の水が気化膨張して爆裂(ポップアウト)するという現象があるのだが、この危険がほぼゼロである。発泡していることと繊維が先に溶けることが効くのだそうだ。

7.コスト

最後にコスト比較をしておく。

費用項目 従来の木造(G3仕様) 従来のRC造(一般ビル並み) Spock式(オールシリカPCa)
基礎工事費 約 150万円 約 350万円 約 80万円(PCa配置+スラリー)
構造・外壁・屋根費 約 900万円 約 1,500万円 約 700万円(工場量産パネル)
断熱・気密・下地費 約 300万円(多層施工) 約 400万円(内断熱) ¥ 0 円(15cm壁が兼任)
内装・外装仕上げ費 約 250万円(サイディング等) 約 350万円(塗装・ボード) 約 80万円(直接壁紙・光触媒スキン)
現場人件費・重機代 約 400万円(大工・工期4ヶ月) 約 700万円(型枠工・工期6ヶ月) 約 90万円(建方数日・足場最小)
合計金額(30坪) 約 2,000万円 約 3,350万円 約 1,550万円
【坪単価】 約 66.6 万円/坪 約 111.6 万円/坪 約 51.6 万円/坪

坪単価は木造(但しG3の高級仕様)より安い。その理由は、徹底的な人件費の削減が可能な点にある。建方が圧倒的に短期間であること、外壁仕上げなど様々な工程が最初から不要であるものが多いことなどによる。また材料もほぼシリカコンクリートだけ、鉄筋やアンカーボルトなど一切の金属が不要であることなども効いている。

また30年間の維持費はゼロ。外壁の汚れは水洗いで落ちる。屋根の補修も外壁材の塗り直しも不要である。

断熱性能が高いため、光熱費も安い。6畳用エアコン一つで全館冷房できる。太陽光パネルを載せておけば電気代はマイナスにすらなりうる。

8.まとめ

以前、木質3Dプリント住宅のときにも十分に驚いたのだが、こちらは更に驚きだ。前と比べて細かい工夫が殆ど必要ない。

また、やはりこの住宅も200年の耐久性がある。最近は建築費が高騰しているが、その一因は少子高齢化による人材不足である。高耐久性住宅の建設は、これに対応する意味でも大いに推進されるべきだと思う。

まあそれもこれも、シリコン発電が軌道に乗ってくれないと始まらない。まずは実証が必要だ。どこかが名乗り出てくれないかなぁ。

注目の投稿:

自動倉庫型図書館

  図書館で本を借りたいと思った時に苦労するのは、どこに所望の本があるかが分からないことだ。小さい図書館ならともかく、大きな図書館では階が違っていたり、分類を間違えたり、と手間が掛かる。まあそれが楽しいという人もいるだろうが、自分としてはさっさと借りて帰りたい。 そこで考えるの...

人気の投稿: