2025年4月30日水曜日

3Dサテライト

 
駅ナカなどに、15分幾らで借りられる、サテライトというかパーソナルオフィススペースが多く登場してきた。個人的にはちょっと息が詰まるのでもう少し広く作ってほしいとは思うが、外から見ればそれなりのスペースを割いていることは分かるので、設置させる側の気持ちも分からんではない。

今のサテライトには、目立ったICT設備はない。PCを持ち込んでそこで仕事をする、それだけを想定しているのだろうと思う。その一方、VRゴーグルで仕事をしている人は現実に存在する。

https://www.zdnet.com/home-and-office/work-life/inside-an-infinite-workspace-what-its-like-to-do-your-job-completely-in-vr/

例えばこの人は、3年前に既に週40時間もメタバース上で仕事をしている。VRゴーグルならサテライトは必要ないと思うのだが、それでも一日8時間もゴーグルを装着しているのは不快だろう。そこで思い出すのが、Googleが開発している、極めて臨場感の高いテレビ電話システム、Project Starlineだ。

https://starline.google/

これは、ユーザの目の位置を検知して追従する、ゴーグルやメガネが不要な立体映像表示装置である。このディスプレイをこのパーソナルオフィススペースの全面に広く貼り付けることができれば、と考えてみれば、私の意図は直ぐに分かるだろう。つまり、そのパーソナルオフィススペースに入って電源を入れたら、もはやそこは狭いスペースではなく、ディスプレイの向こうに広がる広大な空間を覗くことが可能になるわけだ。

ディスプレイに映すのは話し相手ではなく、メタバース空間である。広大なオフィス空間、会議室、大自然、何でもよい。VRでオフィス空間を提供している会社は既に存在するが、そういったオフィス空間を会社として借りておけば、皆そこに「出社」して、会議もそこですることができる。映っている同僚はアバターだが、相当にリアルに作ることもできる。今までのサテライトだと、狭い空間に押し込められているという心理的圧迫感があるが、このサテライトならそこが大いに緩和されるはずだ。

自宅ではこのような高級ディスプレイは用意できないので、サテライトの存在意義はある。逆に言えば、自宅でこのディスプレイが設置できるのなら、そこは立派なサテライトになりうる。感覚的には、眼の前1mに40インチ、左右に同じ高さで長さが半分のディスプレイがU字上に囲う空間があれば、かなりの開放感をもって仕事ができるはずだ。

開放感だけではなく、コミュニケーションもバッチリだ。本人映像の修正は可能だから、起き抜けのパジャマに寝癖頭でも、とりあえず仕事を開始することはできる。立体映像だし、物理的な距離感の演出も可能だから、その点でも臨場感は高い。

このサテライトであれば、全員が在宅勤務でも問題なくコミュニケーションできるだろう。なお、この空間での移動はやはり車椅子式である。車椅子メタバースについては以前から紹介している通りだが、ここにも話は繋がってくる。

このサテライトでは、大画面ディスプレイを何台も表示できるなどのVR空間としてのメリットもあるし、RPGに出てくるステータスウィンドウのようなことも可能なので、アイボールだけでなくメールや音声でのコミュニケーションも未来的な使い方が可能になる。またもちろんプライベートでも活用可能で、今のVRChatのコミュニケーションに準ずるような空間での使用も楽にできるだろう。

このサテライトの実現性だが、視線追跡3Dディスプレイの技術は既にあるので、後はひたすらメタバースの作り込みだけで良い。技術的困難というよりは手間の問題で、後は採算性が悪そうだというのが不安材料になる。だから最初はエグゼクティブ向けに作るのが良いと思う。相当に高いものになるとは思うが、米国の大企業なら使いこなすだろう。

2025年4月26日土曜日

景気施策のコスト2:立憲民主党の消費税減税案について

前回に続き、4月24日時点で立憲民主党が出している消費税減税案についてGrok3(Beta)に試算してもらった。もちろん細かいところは報道されていないため、分からないところは 推測で補足している。

まずはその前提。

  • 内容:食料品の消費税を現行8%から0%に2年間限定で減税(全品目10%→5%は過去案のため、食料品特化と仮定)。
  • 期間:2年間(2025年10月~2027年9月)。
  • 総額(歳入減):後述の試算に基づき、2年間で約5兆円。
  • 資金調達:国債発行または他の税収(例:富裕層増税、優遇税制廃止)で補填。
  • 背景:物価高対策、トランプ米大統領の高関税政策への対応、2025年夏の参院選向けの国民支持獲得。
  • 物価上昇予測:2025~2027年の日本の物価上昇率を年2~3%と仮定(日銀のインフレ目標2%を基に、トランプ関税の影響でやや高め)。

  • 次にその量的な試算内容。

  • 歳入減(バラマキ額)
  • 減税自体の景気刺激効果
  • 国民の心象向上による景気効果
  • 制度変更に伴うシステム変更コスト
  • 一時的混乱、便乗値上げ、詐欺のコスト
  • 時限施策に伴う再変更コストと心象低下による景気減退
  • 補填策によるプラス・マイナス効果
  • 差し引き効果

  • そして結果。

    • プラスの効果
      • 減税の景気刺激効果:+3兆円。
      • 心象向上の景気効果:+0.5兆円。
      • 合計:3兆円 + 0.5兆円 = 3.5兆円
    • マイナスの効果
      • システム変更コスト:-2兆円。
      • 混乱・便乗値上げ・詐欺:-3兆円。
      • 心象低下による景気減退:-0.8兆円。
      • 補填策の影響:-2.4兆円。
      • 合計:2兆円 + 3兆円 + 0.8兆円 + 2.4兆円 = -8.2兆円
    • 差し引き
      • 3.5兆円 - 8.2兆円 = -4.7兆円
    結果:差し引きは -4.7兆円(大幅なマイナス)。

    この中で面白いのは、混乱・便乗値上げ・詐欺の予測額が、減税の景気刺激効果を見事に相殺する額になっているところだ。この三つの中で一番大きいのは便乗値上げで、混乱や詐欺はほとんどない。また、補填策について国民民主党も立憲民主党も明確にしていないが、減税効果に迫る額が計算されている。またこの計算では2年間の物価上昇も加味しているが、それも便乗値上げの影響と言えることになる。

    他、心象向上による景気刺激効果よりも、制度を戻した際の景気減退効果の方が大きいというのも注目だ。そこで試しに、「食料品に限って消費税を16%に上げ、2年後に8%に戻す」で試算してもらうと、次のようになった。

    • プラスの効果
      • 心象向上:+0.5兆円。
      • 歳入使途:+2.7兆円。
      • 合計:0.5兆円 + 2.7兆円 = 3.2兆円
    • マイナスの効果
      • 増税の景気抑制:-4.1兆円。
      • 心象低下:-1.2兆円。
      • システム変更コスト:-2兆円。
      • 混乱・便乗値上げ・詐欺:-2.9兆円。
      • 合計:4.1兆円 + 1.2兆円 + 2兆円 + 2.9兆円 = -10.2兆円
    • 差し引き
      • 3.2兆円 - 10.2兆円 = -7.0兆円
    結果:差し引きは -7.0兆円(大幅なマイナス)。

    まあマイナス幅が広まるのは当然として、ここでも心象向上より低下の方が額が大きいというのは面白い。つまり最初に下げてから上げるのと、上げてから下げるのと、どちらをやっても差し引きはマイナスになるのである。

    最初の試算でGrokは改善案を出していたのだが、そこでも言われていたのは「期間限定にするくらいなら恒久策にすべき」というものだった。そうすればシステム変更コストも混乱や便乗値上げも一回で済むからだ。ただし当然補填策も恒久策に変更する必要がある。その試算も行ってもらったら、以下のようになった。

    • プラスの効果
      • 減税の景気刺激:+3兆円。
      • 心象向上:+0.7兆円。
      • 合計:3兆円 + 0.7兆円 = 3.7兆円
    • マイナスの効果
      • システム変更コスト:-1兆円。
      • 混乱・便乗値上げ・詐欺:-1.6兆円。
      • 補填策:-2兆円。
      • 合計:1兆円 + 1.6兆円 + 2兆円 = -4.6兆円
    • 差し引き
      • 3.7兆円 - 4.6兆円 = -0.9兆円
    結果:差し引きは -0.9兆円(マイナス)。

    どうだろう。結果としてはやはりマイナスだが、期間限定策よりも遥かに改善した。もう少し工夫すれば何とかプラスになりそうである。

    これらの計算は、入力文の思案も含め、各々1分も掛かっていない。AI様々だ。そしてその試算内容を読むと色々気付きがある。Grok3は無償で使えるから、ぜひ自分の視点で色々と試してみて欲しい。

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