生成AIに色々な疑問を聞いては楽しんでいるのだが、最近少々面白い発見をした。
景気対策として消費税減税や廃止を唱えている人は多い。素人だけでなく政治評論家や政治家自身にも多く見られる。だがそれは本当に景気の足しになるのだろうか。多くの人は施策のコストや長期的効果に言及していない。そこで色々と生成AIに聞いてみた、というのがその経緯だ。
するとこんなことが分かった。消費税を減税ないしは撤廃する施策について分析してみたところ、減税効果と経済効果を合わせた額よりも、制度変更に伴うコスト、税収減の補填による相殺を合わせたマイナスの効果のほうが大きい。その額は、食料品の消費税を0%にして2年後に元に戻すケースにおいて、差し引きでマイナス2.5兆円となる。つまり、何もやらないほうが2.5兆円の得になるのだ。
なぜこうなってしまうのかというと、政府や野党の提案には、マイナスのコスト、すなわち制度変更に伴うコストと税収減の補填が計算されていないのだ。意図的に外されているといってもよい。
消費税はまだ実現していないが、既に政府がしている政策では、低所得世帯への現金給付や補助金などがある。これらについても同じ計算をしてみたところ、やはり差し引きでマイナスコストとなってしまうことが分かった。
政府の施策は20兆円規模だが、それだけ掛けてもやはり数兆円のマイナス。消費税は5兆円規模だがやはり数兆円のマイナス。ちょっとあまりにも信じられない結果だったので、複数の生成AIに同じような問いをしてみたが、結果はほとんど変わらなかった。
他の有名な景気施策として、2009年の麻生政権における定額給付金(2兆円)、2020年の安倍政権における特別定額給付金(12.7兆円)も訊いてみた。すると前者は0.2兆円のマイナス、後者は0.58兆円のプラスだった。だが後者はコロナの反動が含まれているのでその分を差し引くと、やはりマイナス0.59兆円となってしまった。つまり、政府が今まで行ってきた、あるいはやろうとしている景気刺激策4つについて試算し、その全てが兆円規模のマイナスになるという結論が出てしまったのだ。
もちろんこれは生成AIが数十秒程度で行った試算であり、精度や考え方について異論は色々とあるだろう。だが、費用対効果が全てマイナスというのは注目すべきだ。こういうものは費用対効果が有意にプラス、しかも投資より景気刺激効果がはるかに上回るだろうと思っていたところ、実際には逆だったのだから。
この計算については有識者の意見を待ちたいところであるが、それはともかくとして、では有意にプラス、しかも投資額よりも効果が圧倒的に大きい施策はないのかと問うてみたところ、それは①インフラ投資、②デジタル化推進、③教育・人材育成なのだそうだ。乗数効果は各々1.8、2.0、1.5なのだという。つまり例えばデジタル化推進なら、1兆円投資すれば2兆円の効果がある、という意味である。
これらをパッケージにして10兆円規模の政策パッケージを作って試算してもらった。インフラ5兆円、デジタル化3兆円、教育・人材2兆円だ。すると差し引き効果は15兆円、つまり1.5倍という試算が出た。これを20兆円投資にすると、若干倍率は落ち、28兆円の効果となった。それでも1.4倍という充分にプラスの数字である。日本がデジタル化や教育で大きく劣っているというのは、自他ともに認めるところであるが、こんなところに原因が転がっていたわけだ。
大衆は費用対効果に対する乗数という定量的視点を持っていないから、効果がない(マイナスの)施策に飛びついてしまう。本当は地道にデジタル化や教育を強化すべきなのに、衆愚に媚びた国民民主党やれいわ新選組の界隈が言う戯言がマトモに見えてしまう。
由々しきことではあるが、それが簡単にわかるようになったのは生成AIのおかげである。今からでも遅くはないので、生成AIを政策に活用し、もっとEBPMに基づいた政策検討をすべきである。
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