2021年4月15日木曜日

万科事典


中学高校ではもうスマホは当たり前だと思っていたのだが、意外にもスマホは授業中は禁止で、電子辞書なら許される、というところは結構あるらしい。なぜかというと、スマホだと勉強以外でも使えてしまうから、なんだそうな。まあそれには一理ある。あまり理性が強く効かない子供の場合、そういうことは仕方のないことなのだろう。一方で電子辞書は強力だ。百冊以上の本に相当する情報が、あの大きさに収まるのだから。

電子辞書について改めて調べてみると、WiFiで辞書を追加できる、等もあるらしい。そう考えると、スマホとの違いは僅かだ。だが、ストック型の情報を備えるという意味では、スマホとは少し違う使い方ができそうに思える。

電子辞書がKindleと決定的に違うのが、検索性、または閲覧方式である。単語の検索は殆どの場合辞書横断で、まず単語を入力してから辞書を選ぶ。つまり、英訳したい場合と意味を調べたい場合、百科的な知識、あるいは数学や物理の定理公理、それらのどれを知りたいのかは、まず単語を入れ、その後に選ぶ。

スマホで検索する場合、ここは曖昧だ。とにかくその言葉に引っ掛かれば何でも良いので、時事や人気ブロガーのブログやつぶやきなど、上位に来るページは玉石混交だ。さすがに学校で使うにはこれでは不味いと思うが、一般人が使うと仮定したとしても、やはりあまり好ましくないような気がする。やはりある程度統制された検索結果が出てきて欲しい。

スマホのアプリに似たようなものがないか調べてみたのだが、コトバンクとLogoVistaが引っ掛かった。コトバンクは語学と百科のみで拡張はできない。LogoVistaは辞書が豊富に入れ替えられるが、市販のハードウェアの電子辞書に比べると辞書単体毎の価格が高く、同じように揃えると遥かに高額になる。一長一短といったところだ。

ここで考えるのは、百科事典とは何なのか、である。かつての金持ちの本の定番と言えば、書棚にずらっと並んだ百科事典だった。その名の通り、それさえ読めば何でも分かるはずが、実際にはそうでもない。辞書横断検索なども、本来は百科事典があれば事足りるはずのものではないか。でもやはり少し違うようだ。

国語辞典と百科事典では記述量が違う。一つの言葉をどこまで掘り下げて知りたいかは人それぞれだ。それどころか、百科事典ではまだもの足らず、その先が知りたいということもあるだろう。例えば「量子力学」と検索して、量子力学が何なのかが分かったら、量子力学自体を勉強したいと思う人もいるだろう。今の百科事典には、その先がない。しかし実際には、量子力学の教科書や最新のトピックなど、知ろうと思えばWebで調べられることは山ほどある。

そう考えると、単なる辞書横断検索だけではなく、スマホ検索のように自由奔放すぎるのでもなく、その中間的な検索ができる機能が求められているのではないか、と思う。

それを仮に「万科事典」と呼ぶことにしよう。これは、ある単語を検索した時、言葉の意味は国語辞典で、詳細は百科事典で、専門用語は専門語時点で、各々表示した後、「更に詳細を知りたい場合はこちら」のボタンがあるものだ。そのボタンを押すとオンラインにつながり、AIがその時点での詳細に繋がる情報をリンク形式で示してくれる。

それは単なるGoogle検索結果ではダメで、専門家がある程度納得できるような、ゴミやウソの情報を排し、正しい、詳しい、分かりやすい情報が提供される必要がある。そしてリンクまでは示せても、その先は有料で良い。例えば本を買え、でも良いし、イントロだけ示して後半は課金、でも良い。

恐らくその中心は、論文や白書、市販の本等が中心であり、一部はWebだろうが、ある程度権威のある組織が編集・発行しているものになる。それを選ぶのは、専門辞書や百科事典の編纂者だろう。リンク先で更に操作が必要なものはなるべく外し、検索まではした状態で手渡すようにする。

そういう電子辞書が、ハードでもスマホアプリでも良いが一つあれば、この世のあらゆる知識は簡単に我が手にできる、という状態になる。Google検索で四苦八苦する必要はない。そうなれば、それがサブスクリプションだったとしても、結構重宝するのではないかと思う。


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