2017年1月31日火曜日

AIによる教育コンテンツの作成


学校でタブレットを使った教育の実証実験があちこちで行われており、実際に生徒に配って使わせているところもある。学習塾のようなところでも、教育用のタブレットやそのコンテンツを作っている。電子教科書の標準化も進められている。
そのコンテンツ作りの労力は想像するに余りある。現場を見たりレポートを受けたりしたことはないが、相応の苦労があるだろう。問題なのは、事実を記述するところではなく、理解できない、勘違いしている、などの生徒をどう見つけ、あるいはその質問を正しく理解してその誤解を解く、その人にわかるような説明の仕方を模索する、といったところにある。従来型の作りこみをする限り、現実の教師にはかなわない。
これを解決する可能性があるのがAIである。どうするのかと言うと、実際に教師が生徒の質問に答えるさまを学習させるのだ。質問と回答が多ければ多いほど、よい(仮想)教師になれる。もし十分な質問があればコンテンツそのものをそれで構成することさえできるだろう。
学習塾のサイトでは、オンラインで質問を受け付け、人間の講師が回答するような仕掛けがある。ここで学習させ、だんだんと仮想教師が成り代わっていくような未来が想像される。

2017年1月30日月曜日

ハイレゾの面白さ


ハイレゾの面白さが、いまいち理解できない。
特に外出時だ。もともとスマホで聞くような状況において、外部の雑音は回避不可能だから、一定以上の音質は必要ない、という考えだった。それに、元々CDのサンプリング周波数は可聴域を充分に確保しているのだから、それ以上は無駄だ。
ところが最近では、従来では20kHz付近と言われていた可聴域上限が怪しくなってきていて、耳では聞こえないが体感可能だとか、無意識レベルでは聞こえているとか、色々と説が出てきているそうだ。まあ自分はオーディオマニアではないので、結論が出れば「ああそうなのか」と思うだろうが、出てくるまでは保留としよう。
しかし前者については変わりない。そもそも「ながら」で聞いているのだし、スマホに保存している音楽のサンプリングがCD以下だ。ハイレゾ音源から採れば不足は感じるのかもしれないが、そもそもそんなデータを今から大量に買う、あるいは買い直す気はない。
それでも何かの偶然でハイレゾを聞いたら感動して思い直すだろうか。例えば昔のVHSの画質を、今のスーパーハイビジョンと比べてしまえば、明らかに違いが分かる。だがハイレゾとCDの差はそこまでではないだろうとも思う。やはり個人的には「世の中がそれで標準になれば従うが、それまでは十人並みで結構」だ。

2017年1月29日日曜日

プロジェクション壁


ソニーが2017年のCESで時計や絵画を映すコンセプト映像を出しており、以前の提案「白い壁の家」とよく似ていたため、我が意を得たり、という想いをもった。だがまだ大きく不足している。もっと、特別な状況ではなく普段使いで使えるようなアプリケーションであってほしい。
具体的には、普段は特に注視することの必要ない何かが常に映っていて、イベントの度にそれが表示され注意喚起される、というものだ。例えば季節と天気と時刻に合わせた自然の絵(高原や森、砂浜など)、自宅の外の様子(監視カメラ)、絵画、ライブカメラによる勤務先や近隣の状況をベースとして、スケジュール・カレンダー・気象情報及びその予測、メールや新聞・郵便物などの到着状況、ゴミの日の通知、電話の着信、インターホン情報、田舎の実家の様子、近隣の事件事故、ドアや窓のロック状況、ニュース、エアコンや各種家電の状況、冷蔵庫の中身、熱中症情報、緊急地震速報などが適宜現れたり消えたりする、というものだ。
人が何かを思いついたとき、例えば映画を見たいとか(ソニーがやったような)本を探したいとかいうものは、個別に考えればよいことだ。それ以外の時の方が重要で、例えば風景一つとっても本人の心理状態によって変えるような木目細かさこそがこのアプリケーションの要である。また、これら個別の事象については音声応答を取り込み、「今日のスケジュールは?」とか「今週の天気は?」といったベーシックな質問に対して、そのデータを表示した上で合成音声で応答する、といった機能も欲しい。これはAlexaやGoogleアシスタントのそれと似たようなものだろうが、全てをやろうと欲張るのではなく、こういったベーシックなものを確実に行えるようにすることが望ましい。
これは機能競争というよりはバランスが重要で、過剰だと煩いし少ないと勿体無い(費用対効果が悪い)とみなされるので、デザインセンスがかなり重要だ。人によって好みの違いも激しいだろう。ソフトでは日本は弱いというが、これはUIと言えなくもないので、ソニーならできそうな気がする。ぜひ頑張ってほしいものだ。

2017年1月28日土曜日

何でもアクチュエーター


話しかけると自動で変形・点灯するロボット・デスクライト「Lumigent」の記事だ。カメラも付いていて、書類撮影やWebカメラとしても使用できる。
思えば、SFでは何でも動いたものだ。今でも動くゴミ箱くらいなら市販されているが、ライトが動くとは思いつかなかった。この考えを延長すれば、何にでもアクチュエーターが入って動き、用途を拡大する可能性を考えることができる。
例えば部屋の片付けだ。有名な映画「メリー・ポピンズ」では、主役のメリー・ポピンズが部屋を魔法で片付けるシーンが登場する。さすがに本や服にアクチュエータが付いていることは想像し辛いが、自走式でアームが付いた片付けロボットがいればどうだろう。自走式になるのはもっと大きなもの、例えばカバン、家具類だ。
旅行カバンには類似のコンセプトが既に多数提示されているが、タンスにはキャスターは付いるものはあってもモーターは付いていない。床を平らにする必要があるとは言え、模様替えや、季節・日中の生活パターンに合わせて家具が動いてくれたら嬉しいことは多いだろう。
例えば、手動のものは既にあるのだが、ベッドは昼間は必要ないから、天井や壁に隠れてもらい、その分スペースを広く取る。逆に勉強机は昼間必要で寝ている間は必要ないから逆に動いてもらう。できれば机の上に置いたものがそのままになっていてくれると嬉しい。
衣装ダンスが、例えば幅・奥行き60cm、高さ180cmの直方体のものが多数、という構成になっていて、季節によって衣裳部屋から個々の部屋に移動してくれるとか、そのシリーズの中にはスキーセットやクリスマスイルミネーションなど、季節で必要なものが纏めて入っていると助かる。自動で出し入れが可能なら、奥に仕舞ってしまって忘れることもないだろう。
ダイニングで食べながら見るか、ソファで寝転がって見るかによって角度が変わってくれるテレビはどうだろう。あるいは完成が近づくと向こうから来てくれる調理家電や皿(これはロボットが運ぶのだろう)はどうだろう。更には盛り付けるとダイニングに並べてくれたら。鳴るとトドローンが運んでくれる電話の受話器やスマホはどうか。新聞や郵便物をリビングに運んでくれるドローンは。
一つ一つは笑ってしまうようなアイデアかもしれないが、細かく考えてみると色々とイケるかもしれない。

2017年1月27日金曜日

Alexa、犯人は誰だ?


殺人(かもしれない)事件が起きた家で、Amazon Echoが動いていた。Alexa(Echoのコールネーム)が事件の一部始終を聞いていたかもしれない、という話。
以前も監視カメラで似たようなことを考えたことがあるが、時期的にはEchoの方が先だろうから、それなりの興味は沸く事件だ。単純な話、監視カメラと同じように、数日~数ヶ月程度のループ(記憶容量を固定して、逐次上書きしていく)で音声をただ記録するだけ、という監視はあり得る。音だけでも相当の情報を得ることができるからだ。
音声だけでなく、Googleフォトと接続して然るべき設定をしておけば、動画をそれこそ無限に保存できる。行動認識や解釈をするソフトを掛けてやって、異常行動を自動で検知することはできるだろう。既に警備会社などがやっているものだが、何れは民間に落ちる技術だ。こうすると、留守の警備は相当に進化するし、小さい子供を残して外出しても安心だ。
専用のハードを買わずとも、ソフトさえあれば、使い古しのスマホでも置いておけば実現可能だ。日中のお出かけなら充電しておいてワイヤフリーでできるし、充電中のスマホのフリをしてカメラ音声を起動しておくというのもアリだろう。リユースとしてはけっこうイケている用途ではないか。

2017年1月26日木曜日

超音波トランスデューサアレイの応用


SFでよく描写される牽引光線(トラクタービーム)だが、この記事は超音波によるものだ。また、数mm程度の大きさのものにしか適用できないとのこと。それでもこれは興味深い。
例えば、プリント基板におけるチップ部品の実装だ。量産ではテープ供給があるが、これはスペース効率が極めて悪いし、少量多品種生産には向いていない。画像解析と合わせてごちゃまぜになった部品箱から一つ取り出して所定の位置に置く、などというのは、ロボットアームよりこちらの方が向いているだろう。薬品の調合や医療・微生物関係の実験などでも、手を触れずにしかもコンピュータ制御でできるというのは大きいはずだ。
研究ではもっと大きなものへ挑戦するらしいが、今のままでも活用法はある。例えば直径2mmのビーズを針金の先につけたものを多数、物体の上部に設置しておけばよい。この一つ一つを摘み上げることで全体が浮く、ということは考えられるだろう。数を増やすことで耐荷重も増える。
超音波トランスデューサアレイは、トラクタービームだけでなく、音響放射圧を応用した擬似触覚を作り出すことができる。3D映像と合わせて触れる物体(実際には「行き過ぎ」を許容してしまうのだが)を作ることも可能だ。トラクタービームの機能が更に付くのなら、押される感覚と引っ張られる感覚の両方を、3D映像に付加することができるだろう。
更には、壁や天井、床に超音波トランスデューサアレイを多数仕込むことで、ドローンを使わずに軽いものを運ぶ、例えば食べ物を口に運ぶ、郵便物や新聞を取ってくる、洗濯物を洗濯機から取り出してタンスに仕舞う、ということに夢が広がる。それは傍から見ると正に魔法に見えるはずだ。
超音波アレイの応用としてもう一つ、超指向性スピーカを作ることができる。部屋の中の特定の所でだけ聞こえるスピーカだ。場所を自由に設定できるので、例えば同じソファに座って映画を見ていて、子供は日本語で、大人は英語で聞く、ということも可能だ。これらを合わせて考えると、(遠い)将来のリビングには、これを仕込むことが流行るのではないか、と思う。

2017年1月25日水曜日

機械が人間の仕事を奪った後


政府が発表するような景気の回復が実感できない。給料は上がらないし、町に活気があるようにも見えない。何よりも、国民全体が疲れ切っている。
景気というのは、確かに数字でも測れるが、統計のウソで幾らでも操作できるから、国の主張を素直に信じるわけには行かない。やはり体感が大事である。端的に言えば、同じ給料をもらった時、レジャーに使おうと思うか、将来に備えて貯めておこうと思うか、その心理の平均こそが景気だと言える。
今、先進国の景気は軒並み低迷している。昔だったら回復も期待できたのだが、今の感じでは二度と昔のような好景気は来ないのだろうな、という諦めすら感じる。では新興国はどうかと言うと、まだ浮き沈みを続けながら好景気と言える時代は通過していくだろうが、先進国を追体験できる時間は短くなるだろう。
先進国が不景気になった原因として考えられることが幾つかある。その一つは、「平均的な普通の人でできるレベルの仕事の価値が下がった」点だ。
例えば、レジ打ちがバーコード読み取りになった。のこぎりが電化したり、コンピュータで正確に切断できるようになった。要は機械化である。誰でもできる仕事ばかりになれば応募者は殺到し、買い手市場になるのは明らかだ。
一方でよく言われるのが、「そうなったら新しい仕事が生まれて云々」だが、ここには量的議論が抜けている。新しい仕事には新しいスキルが必要で、それは今より難しいはずだし、途中転向することで学習時間も不利になる。更には新人であっても、習得までに掛かる時間は(以前あった仕事よりも)長くなる(より難しいので)から、当然それに対応できる人は少なくなる。また、新しい仕事が、古い仕事があぶれた分の人材を全部吸収できるほど多く発生するとは限らない。
また、もう一つ抜け落ちている観点がある。それは、技術の進歩の速度と人間のスキルの上達速度は違う、ということだ。一つ例を挙げると、昔は音楽は金持ちの道楽だった。レコードが、テープレコーダーが発明されると、音楽は大衆のものになった。更に、インターネットとICレコーダーやスマホが登場すると、一曲を聴くのに必要なコストはもはやタダ同然にまで下がった。
一方で、一人の人間が楽器の演奏や作曲法を習得するコストは、何ヶ月、何年の単位である。かつては金持ちに囲われていた(生活費を丸ごと面倒見てもらっていた)演奏家は、今では自力で勉強して何年も過ごし、一回演奏すればデジタルコピーされてタダ同然に配られ、殆ど手元にカネが落ちることはなくなった。音楽家人口は増え、聴く側の人口も増えたが、そこでの食い扶持は減った、と言える。
演奏や作曲はクリエイティブな仕事だ。伝統工芸などもそうだ。包丁、金物、陶器、着物(服)、などがそうだ。AIでもまだ人間越えは為しえていない。それでもこの有様だ。そうでない分野は言わずもがなである。
もっとレベルの低い、レジ打ちや切符切りのスキルは、とっくの昔に機械に追い越されてしまった。人間の能力習得には絶対的な限界があって、それを機械が超えると、もうそういった人間は「全て」不要になる。そのようなスキルがあちこちで生じ、平均的な人間のレベルを超えてしまったとき、『平均以下の人間は要らなくなる』。
誰もが平均以上でなければならない、そんなのは矛盾だ。一部のエリートが生き残る、とは言っても、これは言葉通りの意味ではなく、貧しいながらも生きていけるのが今までだが、この場合は違う。文字通り仕事がゼロになるのだ。そうなると、事実上は食い扶持がなくなることになる。
そうなった未来に考えられることは二つ。一つは、現状の平均以下の人たちは全てスラム化すること。もう一つは、そういった人たちもがAIやロボットを使って生活をするが、その全てがベーシックインカムや生活保護の範囲で行われる、ということだ。この両者は並立しうるので、例えば全人類の50%はスラムで、30%は生活保護で、20%が世界の富を作り出すエリート、という構図が想像できる。
当然、生活保護で支えなければいけない人数は極端に増えるため、よほどの大増税でもしない限り生活レベルは下がってしまう。救いがないのは、常に機械の方が能力・コスト共に上なので、働いて生活レベルを向上させるチャンスがない、ということだ。
これはもうディストピアと言えないだろうか。ちょっと暗すぎる未来なので、もう少し明るくなるよう考えを進めてみたいと思う。

2017年1月24日火曜日

歯磨きの科学


もう何年も歯磨き粉は使っていない。しばらく水だけで磨いていたが、最近は液体歯磨きを使うことが多くなった。
歯ブラシの中には、電気的に歯垢を浮かせるという売り文句のものがある。イオン歯ブラシという奴だ。そもそも、歯磨き粉を止めようと思ったのは、これを試してみてハマったからだ。これは水だけを使い、歯磨き粉をつけてはいけないものなのだが、普通に歯磨き粉をつけて普通の歯ブラシで磨いた後、これで改めて水だけで磨くと、米のとぎ汁のようなものが吐き出される。これが衝撃だった。
だが、毛先は普通の歯ブラシなので、隙間は磨き残しが出る。それに最適な歯ブラシを別に見つけたのだが、こちらはイオン歯ブラシではない。だが歯磨き粉を復活させる気にはなれなかった。泡と清涼剤のせいで、きちんと磨けたかどうかが分からなくなりそうな気がしたからだ。
そしてスクラブについても、CMにあるようには上手くいかないように思えた。なまじイオン歯ブラシの効果を知ってしまったため、今までのは何だったんだ、と思えたからだ。虫歯菌の、歯の隙間のバイオフィルムに対抗するには、物理的な原理によるスクラブよりも、液体による化学的手法の方が効きそうな気がする。事実、普通の歯ブラシと歯磨き、新しい歯ブラシと液体歯磨きとで比較実験してみたのだが、後者の方が明らかにデンタルフロスに付着する歯垢は減っていた。
今使っている液体歯磨きには、「溶解補助材」としてポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムが入っている。調べてみると、界面活性剤の一種だが、特に前者は、細胞培養においてフラスコとの接着防止や凝集抑制に使われるそうだ。細胞≒虫歯菌と考えると、理にかなっているように思う。
また、この液体歯磨きはほとんど泡立たない。このため、磨き残しを探す邪魔にならない。結果として、ただ長時間磨き続けるのではなく、その日の汚れに応じて短時間で磨けるようになった。
歯に挟まった食べかすの除去や、本当にブラシが届かないところの掃除には、まだ課題がある。一応歯間ブラシやデンタルフロスはあるのだが、虫歯治療跡の隙間には入らないし、歯の隙間の大きさは様々であり、やりにくい。これにはジェット水流を使うことが考えられるのだが、気軽に試せないのと機器が相応に高いので躊躇している。
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2017年1月23日月曜日

工事中物件のプロジェクションマッピング


沖縄に行ったとき、守礼門が丁度工事中でがっかりしたことがある。こんなとき、プロジェクションマッピングがされていれば、せめてもの救いになったかもしれない。
もっとも、工事中はシートで覆われているから、最終系とは形が違う。完成予想図だけでなく、色々な宣伝が混じっていても構わない。守礼門など観光地でいうなら土産屋への誘導などだ。
だがもっと考えると、完成後もずっとプロジェクションマッピングをしていても良いかもしれない。ハロウィンやクリスマスのデコレーションを年中やるようなもので、例えば季節で変えたりイベントに合わせたりと色々考えられる。火事や泥棒の警戒やヘルプに使うのもよい。
他、公共施設や商業施設などでは、個人のスマホと連動して広告や行き先案内をマッピングしたり、壁を透かして向こうを見せるようなエフェクト、天気に連動してコンテンツなどをマッピングすることも考えられる。
また外側だけでなく、壁や天井をマッピングするのもよい。内装でも工事中はシートを使うから、類似の効果がある。例えば駅で工事中のルート変更をしたり、工事のために一時撤去した看板の内容を表示したりできる。
始めからプロジェクションマッピングを前提として、全身高反射スクリーンという建物も登場するかもしれない。

2017年1月22日日曜日

白金触媒樹脂ガスタービン


ジェットエンジンとしても知られるガスタービンエンジンは、レシプロエンジンと違って連続的に燃焼するので機構が単純、動きが滑らかになる。だが極めて高速回転・高温になるので、エンジン自体の設計精度が厳しい、材料が限定される、整備の難易度が高い、などでも知られている。これは特性からしてしょうがない現象なのだが、もしこれを燃焼ではなく触媒反応としてやったらどうなるだろう。
最初に給気を断熱圧縮して温度を上げるところまでは同じだ。だがその程度は低く、燃焼温度には至らない。代わりにこの温度で白金触媒に触れさせる。給気の断熱圧縮の温度は、白金の触媒反応には十分な温度である(ように設計する)ため、ここに燃料を噴霧することで酸化・過熱膨張し、エンジンを駆動する。
原理は同じでも圧縮比が異なるため、エンジンは一から設計し直さなければならない。また、通常のガスタービンエンジンの利点欠点とは若干性質が変わってくる。まず回転は遅く、温度は低くなるので、設計精度や整備の難易度は下がる。また排気の温度が低いので、取扱自体も楽になる。
最大の特色は、プラスチックで作れるだろう、ということだ。白金触媒反応が起こる150~350℃付近は、まだエンプラの耐用温度の範囲内だからだ。これは結構画期的に思える。軽く、安く、量産もし易く、壊れたら容易に交換できる。使い捨てにすらできるかもしれない。また、回転子に直接永久磁石を埋め込んでも磁力線を遮らないので、容易に発電機を形成できる。
このガスタービンは、通常よりずっと小さい、例えば手のひらサイズとかもっと小さいもので、回転速度の制御は基本的に行わない。バッテリを充電するだけだ。使い捨て前提なら燃料を選ばず、構造も単純なので、防災グッズとして向いている。燃料やバッテリは経年劣化するが、エンジン自体は原理的に劣化しないので、長期保管も可能だ。
問題は効率で、温度比が下がるので恐らく下がるものと思うが、それがどの程度になるのかはプロの計算が必要だ。目的が目的だけに低くても良いが、燃料電池やレシプロエンジン等より大幅に低ければ意味が薄れる。

2017年1月21日土曜日

ブロックチェーンの軽量化


Not Your Typical Ball And Chain by Jeff Hester via Attribution Engine. Licensed under CC BY-NC-SA.

ブロックチェーンでは、個々のノードにトランザクション履歴がどんどん溜まっていくようになっている。また、そもそも全てのノードに同じデータがあるというのは非効率だ。多くのシステムではせいぜいバックアップを多重化しているくらいであり、ここまでに重複データを持っているというシステムは他にない。ストレージ効率の点から全体を考えると、かなり非効率な仕掛けと言える。大げさに言うと、幾ら個々の取引のデータ量が小さくとも、捨てていく仕掛けがないと何れは破綻する。
今まで色々な記事を読んできたが、データの破棄に関するものはなかった。今後、一般の取引にブロックチェーンが使われるような進化が見込まれているが、契約書をそのまま投入するような大容量データがここに入ると、この問題は急激に深刻化する。ここは誰かが考えなければならない。自分なりに少し考えてみる。
このためには、チェーンのどこかを切断して、それ以前のデータを破棄するか、少なくともシステムから切り離して別に保管する(バックアップ)ということになる。この場合のバックアップとは通常とは少し意味が異なり、過去のデータを参照したくなった時に、現状のブロックチェーンシステムではない別のシステムから参照する、という意味になる。これには二種類考えられる。
最初は、適当に値を決めてやった上で、その期間ないしはデータ容量を超えたことで発動してバックアップを作り、同じようにノード間で承認をして、一定以上の承認が得られたら切り離す、というものだ。
過去のものを参照する際は、そのデータはブロックチェーンに承認されたものであることが確認できるから、正当性が担保できる。だが、バックアップをノードがどう扱うかも規定すべきで、別システムで保持するのと破棄するのでは動きが異なってくる。例えば破棄するノードが半数以上になったらそのデータは正当性を保証しない、などの仕掛けが必要になるだろう。
もう一つ考えられるのは、ノード毎の「纏め」を作ることだ。BitCoinで言えば、「指定時間現在のサイフの額」というデータを作り、そこを基点とするように作り変えるのだ。これも同じく、ノード間で承認作業が必要になる。
これらは排他ではないので、両方同時に行ってもよく、またその方が望ましいと考えられる。どの程度過去に遡るかは、データ改ざんの可能性と過去データ参照の必要性に応じて決まるから、システム毎に変わる、あるいはシステムの状態からダイナミックに決めるということもあるだろうが、何れにしてもデータを破棄する以上、全ての取引記録が残るわけではない。だが、実際の運用においては、法定年数+αのような仕掛けにすれば、あるいはあるいは50年など、人間の寿命に対して充分に長ければ、それほど問題はないだろう。
後者のデータ「指定時間現在のノードの状態纏め」だけを永年保存するようなことをすれば、定点観測ができるので、またビッグデータ解析的視点での情報価値が生まれるだろう。

2017年1月20日金曜日

音声認識の応用先


Ultrabook With Gesture Recognition Camera by Intelfreepress via Attribution Engine. Licensed under CC BY.

Amaon Echo、Google Home、Googleアシスタント、Siri、Cortana、… 最近音声認識が話題だ。日本のそれは精度が悪く使い物にならない印象だが、英語ではかなり精度が上がっていて、そろそろ使い物になるレベルになっている。

Amazon Echoの紹介ページを見ると、音楽再生やピザの注文までできるようになっている。またインテリジェントLEDランプとのセット販売や、交換用の部屋の照明スイッチが売っていて、照明のオンオフはもうDIYでも音声で操作可能になっているようだ。

これは家庭中心の見方だが、企業側から見ると、一例として、電話受付の多くの場面で改善が望まれる。近年多くなっていたプッシュボタンを使う無機質な音声応答が、会話を中心としたインタラクティブなものに変わってくれたらと思う。ずいぶん人間的な対応になるはずだ。

電話で使えるなら窓口でも使えるはずだから、窓口がある多くの業務(役所、銀行、携帯電話、・・・)では使い出があるはずだ。将来的にはロボット対応やネット(オンライン)対応まで間口が広がる。

だが本命は、ソフトウェアのUI改善と言えるだろう。例えば、保険や役所手続きのような、条件分岐が激しく理解しづらい業務においては、メニューや入力フォームが複雑になり、よく理解しないと使いこなせない。これに音声を付け加えることで、階層化メニューからしか選べない操作が一発で出せたり、コマンドの名前を正確に覚えていなくても、類義語・同義語で検索を掛けることができるようになる。

以前の投稿「コマンドのAI解釈」ではキータイプで考えたが、音声の方が本当はしっくりしているように思う。

2017年1月19日木曜日

輪廻転生の科学的解釈


以前の投稿「分子マシンと遺伝子」で、生命が単なる科学的現象かもしれない、という説を考えてみた。その際、生命の尊厳や神の考え方などにも影響が出るかもしれない、とは思ったのだが、具体的にどう変わるかを少し掘り下げて考えてみる。
生命(まずは単細胞生物)が奇跡である、という事実は変わらない。ただそれは、単に確率的に低い現象である、という意味である。そして、プリオンやウィルスなど、従来は生命かそうでないかの境目にあったようなモノは、その議論そのものがナンセンスである。魂とか生命とかいうものは全て人間が勝手につけた概念的なものであって、超自然的な、あるいは未知の、神々しい、謎の、その他色々な不確定且つ尊厳性のある言葉で語られるものではない。「それが生命かどうか」の線引きがあるとしたらそれは人間が定義すればよい話であって、線引きをする理由は何でもよい。国なり学会なりが定義すればよい話だ。
更に、その線引きによって何かを差別する行為は非科学的と言える。この説によれば、生命と非生命は科学的には連続的なものであるからだ。これは生命同士の間での線引きでも然りで、代表的には菜食主義や毛皮への反対運動などがそうだ。これらは全て人間の感情を基準とするものであるべきで、そこに科学を持ち込むのは止めるべきだ(絶滅危惧の話は別)。
また、確率に低い現象であったとしても、母数が多ければ確実に発生する。だがそれも数値次第で、過去の地球で本当に確率的にそれが起こり得たのか、つまり母数として十分だったのかどうかはまだ分からない。従って現時点では、それを促進する「神」が必要だったかどうかは不明だ。つまり、まだ神の存在は、現時点では辛うじて否定されない。が、同時に、将来的には不要と分かる可能性もある。
一度生命が発生してしまえば、その後の進化は概ね進化論で説明できるはずだ。そこには魂のような超自然的な存在は不要だし、神も不要だ。魂が不要なら幽霊も霊界も不要、生まれ変わりも不要、その他超自然的現象の多くは不要となる。ここでの不要とは「なくても説明に差し障りない」という意味であって、存在しないという意味ではない。
では心はどうか。ニューラルネットの状態をAI的に分類して、分類Aが「怒り」、分類Bが「喜び」などと定義することは可能だろう。つまり心も超自然的な説明は不要であると言える。
これに反し、例えば生まれ変わりの例として、小さいときに自分も親も知らない、過去の人の情報をペラペラ喋る、という話がある。記憶は感情と同様、神経回路の状態の一種、つまり情報工学で言うところの「情報」であり、その情報量は膨大だ。人類たかが数百億(死んだ人も含めて)の間で膨大な情報が偶然に一致することはあり得ないので、何らかの情報の移動があったと仮定するのが科学的だ。
だが、記憶の移植に関しては研究があり、特定の物質を移植することでネズミの記憶移せたなどという話がある。この研究が進めば、輪廻転生の正体は記憶物質への接触、という話になるかも知れない。つまりあくまで情報が移ったのであって、(超自然的な意味での)魂が乗り移ったのではない。但しまだこれは研究途上であり、確定的なことは言えない。
だが、ここからが面白いところだ。そういった記憶の伝達があるならば、そこにも自然淘汰が発生してもおかしくないし、複数の記憶が交じり合うことも考えられる。そういった記憶物質の溜まり場がある、ということも考えられるし、死んでから初めて記憶が移るとも考えにくい。記憶の溜まり場が「霊界ないしは幽霊」、生死間での記憶の移動が「輪廻転生」、生きている間の記憶の移動が「呪い」「祟り」、記憶の相互作用が「以心伝心」などと各々定義すると、これらの説明が科学的に(しかも勘違いではなく存在することが)説明できることになるのだ。そこには別次元とか、(従来の意味で言う、よく分からない存在としての)霊界が入り込むことはなく、現状の物理的空間内での科学的現象であると説明できる。
つまり、生命が科学的現象に過ぎないと言っておきながら、そこから演繹することで、輪廻転生や幽霊や呪いの存在を科学的に説明できることになるのだ。また、これには「機械(ロボット)は心を持つか」という問題にも答を出すことになる。心とは神経回路の特定の状態のことを言うのだから、レベルの高低があるだけで、今でもロボットは心を持っていることになる。

2017年1月18日水曜日

大きな拠点がなくなっていく


大きなトラックと幹線道路、巨大な物流拠点。先進国では当たり前の風景だが、これがなくなるかもしれない、という話。
大きなトラックに大量の荷物を積み、物流拠点で積み替えて集中と分散を行う。これが今のスタイルだ。物流拠点は、究極には一つでよいはずだ。その対極は、全てが個別配送になること。今の物流拠点はその中間にあるわけだが、最適な拠点数と規模の組み合わせは、時代によって変化してよいはずだ。それは、コストとスピードのバランスをどこに置くか、だ。
ディーゼルトラックと高速道路の組み合わせが今の最適だとして、これに変化があるとすれば、電気自動車、自動運転車、RFID、人工知能などだろう。自動運転車が高速道路や幹線道路での運転を担当できれば、幾ら渋滞しても、どれほど長時間の運転でも、負荷は掛からない。車を小さくして多数にしても、ドライバーを確保する必要がない。ルーティングがどれほど複雑でも問題ない。渋滞を避けてどれだけ迂回しても、間違えることもストレスを感じることもない。
積み替えには人が必要だが、これも集中せずに分散すれば、規模が小さくなるので調達も楽だし、周囲への迷惑も小さくなる。ある程度以上規模があれば、拠点=配送先、となるケースも多くなるはずだ。
通販の発達で、少なくとも個人的には物流量は増えた。もしこれらの前提がなくても、拠点は増えていくだろうが、それに拍車が掛かっていけば、むしろ高速道路や幹線道路の渋滞は緩和されるのではないか。

2017年1月17日火曜日

手洗いの効果と理論


風邪予防には手洗いは有効だがマスクは効果がない、という実験結果があるそうだ。が、なぜ手洗いが有効なのかには理論がない。
手から直接感染するのであれば、皮膚全てにその機会があるのだから、手を洗うことだけで有意に感染率が下がるはずがない。だから手から目や口に入る、という経路になるはずだ。そしてもしそうなら、うがいやマスクは有効なはずだが、実験結果はそうではないという。これは論理的に矛盾ではないか。
そこで新説を考えてみる。空中に漂う飛沫よりも、手に一度付着したウィルスの方が強力である(強力になる)、というのがその理論だ。数が増えるのか元気になるのか分からないが、ともかく一度空中を漂って手に付着した後、手の上で元気になる。
手の上は、当然空中より温度が高く体温に近い。湿度も高いだろう。栄養素も空中よりは多いはずだ。そこでウィルスが増殖し、口に入る。そうすれば感染力は強くなる。手を洗えば有意にウィルスが除去されるので、効果があることも説明できる。
それなりに説得力がある仮説だと思う。これを確認することは簡単で、手の上でウィルスがどの程度増殖するかを計測するだけでよい。どこかにデータがないだろうか、少し探してみようか。

2017年1月16日月曜日

TV電話手続き窓口


スマホには電話番号や証明書の類が入れられ、root化の監視もある程度できるから、下手なPCよりセキュリティは信頼できる。また、テレビ電話ソフトの類も豊富に揃っていて、自宅からWiFiで繋ぐなら通信料も掛からない。これを使って、本格的な遠隔手続き窓口を作ることを考えてみる。
従来のテレビ電話にも、書類を共有するような仕掛けはある。ただ、スマホの画面でそれを見たり操作したりするのは困難だろうから、工夫が必要だ。こちらから提出する書類もあるだろう。他に必要なのは料金の支払や印鑑(印影)のやり取りだろうか。これらを技術で解決してやる。
入口はWebでよいだろう。銀行なら銀行のHPに行き、特定のボタンをクリックすることで起動する。起動するのは専用の窓口ソフトで、テレビ電話の技術も使うが他も幾つか使い、統合されているものだ。あらかじめソフトストアで配っておくとよい。
操作画面は、従来のテレビ電話とWebの電子申請の中間的なものになる。画面は縦三分割で、一番上がテレビ電話、真ん中はメニューと書類表示、下はソフトキーボードだ。基本的には真ん中のデータを入力して送信すれば手続きは終了するように作るが、メニュー自体が分からないとか入力に迷ったときには、上の画面をタッチすれば窓口を呼び出せる、という構図になる。
窓口側は、真ん中の画面をお互いが操作できるようになっていて、入力補助を行うことができる。申請自体はあくまでWebで完結するように作っておくわけだ。ただ、窓口側はスマホではなく、PCで受けるようにしておいた方がよいだろう。小さい画面でちまちま操作するのは、窓口側としてはきついだろうからだ。
提出が必要な書類の代表格は、免許証などの身分証明だが、これはカメラで撮影する。下段がカメラ画面に切り替わり、撮影後、角度補正をしてやる。印鑑を撮影するのは抵抗があるだろうから、これはマイナンバーカードの読み取り(と暗証番号入力)で代用する。モノの受け渡しが必要な場合は、郵送などで対応する。
支払は、Apple Payなど電子マネーが使えればそのまま対応できるはずだ。クレジットカードを直接使うことは少ないだろうが、その場合は手入力になる。
基本的には役所やインフラ(電話など)のような公的なものをイメージしているが、例えば同じモノを(高齢者限定で)ネットスーパーに適用できるとしたら、利用者が増えること請け合いだろう。また、高齢者他の生活弱者に対しては、自治体がLTEタブレットを配ってやるようなことも考えられる。
使っている技術は全て既存のもので、難しいところは何もない。後はやる気とコスト計算だろう。

2017年1月15日日曜日

屋内ドローン


ドローンというと、Amazonの配達とか地図の作成とか、屋外での使用ばかり思いつく。が、当然屋内でもドローンは飛ぶわけで、風がないから制御がしやすいし、充電も簡単だ。おもちゃばかりでなく、実用として屋内ドローンを考えてもよいのではないか。
その一つとして物流があるのは間違いない。その気になれば自分でエレベータに乗ることもできるし、屋外から回り込んで窓から入るようなことも可能だ。従来の自走ロボットと違って足元を整備する必要がないから、既存の工場に入れるのにも楽なのではないか。もちろん、二足歩行ロボットが発達することで、ある程度客が奪われる危険はあるが、高さ方向のやり取りにはこちらが有利だ。幾つか考えてみる。
  1. いきなり物流ではないが、棚卸しに使う。つまり、多数の棚をカメラで撮影して画像解析し、品物があるかどうかを把握する。コンビニやスーパーのように奥行き方向に並ぶものには応用できないが、図書館や本屋などでは活躍できるはずだ。
  2. 高いところのものを取るのに使う。棚にも工夫が必要だが、自動倉庫ほど大げさにしなくてよいのと、棚の形状や床に制限がなく、また地面近くに危険な動作物がないので安全にできる。
  3. 多くの事務所では書類が多数あるはずだ。これを探すのに使う。実際に取りに行くのは人間でもよい。
  4. 社内便に使う。
  5. 雑居ビルなどで、郵送の申し込みやビル内コンビニの買い物に使う。あるいは留め置きの荷物を受け取る。これにはTV電話がついているとよい。また、重量確認が必要だ。
  6. 屋内型植物工場で、移送や収穫、モニタリングに使う。
  7. 郵便物を取りに行ったり、新聞を手元に運んだりする。こちらは郵便受けや新聞受けに工夫が必要かもしれない。また一瞬とは言え屋外に出るので、専用のドアなどが必要かもしれない。(さすがに人間用のドアは重いだろう)
  8. 防犯カメラやセンサと連動して、様子を見に行く。屋内から窓を見ればよい。
  9. 泥棒に抵抗する。催涙スプレーや煙幕を搭載する。
  10. 寒い倉庫(冷蔵・冷凍)での長時間作業に使用する。あるいは頻繁に出入するのに冷気を無駄にしないために利用する。
  11. クリーンルーム内外の輸送に使用する。ドローンごと風洗浄してやる。
羽根がある分危険だから、その防護策をとったドローンが必要となるだろうが、特に難しくはないはずだ。また、カメラはよいとして、マジックハンドのようなものの開発が必要になるかもしれない。それなりの重さに耐えなければならないが、駆動時間は短くてよい(充電は適宜可能)ので、意外と早く解決するかもしれない。

2017年1月14日土曜日

スマホケースに求めるもの


普段はウェストポーチに入れて、スマホ自体にはカバーをかけないのが自分流だ。表面保護シールなども着けていない。どうせ2年も経てば更に高機能・高性能なモノが出てきて陳腐化するし、OSのアップデートも受けられなくなってセキュリティも厳しくなるのだから、少なくとも今のところはスマホは消耗品だ、と割り切っている。キズも割れも気にしない。(さすがにクモの巣になったら修理するつもりだが)
さて、そんな自分がケース(ポーチ)に求めているものは、ピッタリ納まることだ。ベルトに装着するという関係上、大き過ぎると動きを邪魔されて使い勝手が悪い。また、予備のバッテリとイヤホン、充電ケーブル程度は納めたいので、そのためのスペースは欲しい。これはスマホと一緒に仕舞う必然はないのだが、忘れ易いのでこうしている。
最近ではQiで充電できるスマホも増えているので、これを購入した節にはQi対応のモバイルバッテリがあると嬉しい。充電ケーブルを持ち歩く必要がなくなる。Amazonなどを覗いていると、適当なものがあるのでそれがよい。一方でイヤホンだが、従来通りのケーブル式のものとBluetoothの両方が必要だ。
本当は後者だけで揃えたいのだが、今のBluetoothイヤホンの充電はUSBが殆どで、ポーチに入れておいても一々ケーブルを挿すのが面倒だ。また、ワンセグを見るには有線イヤホンでないと使えない。イヤホンケーブルがアンテナを兼用しているためだ。ただ、イヤホンを繋げずとも、イヤホンケーブルの間に挟むアンテナだけでも何とか視聴できるようだ。従って、最低でもこのアンテナだけは持ち運びたい。まあこれは、隙間に入れるだけで大丈夫だろう。
Bluetoothイヤホンは最近小さくなっているが、できればmicroUSBでの充電が可能なものがよい。そうすれば、モバイルバッテリから突き出したコネクタに挿すだけで充電できる。そうでなく独自のコネクタで充電するものも多いが、ケースに収めた上で変換すれば問題ないだろう。
Qi対応のモバイルバッテリ、スマホ、microUSB対応の極小Bluetoothイヤホン、USBとmicroUSBを備える短いケーブルを揃え、サイズは現物合わせをした上で、百均で買ってきたアクリル粘土などでキッチリ納まるように位置決めしたケースを作り、これをポーチに収める。モバイルバッテリ自体の充電は、このケースごと取り出して、まとめて行う。こうすれば、スマホもイヤホンも、常にフル充電状態になる。
もう自作しかないだろう、というのは明らかだ。そのモチベーションが起きるかどうか、そこが問題だ。

2017年1月13日金曜日

「できること」と「やりやすさ」の差


一言で言うと、UIの話だ。
これはコンピュータシステムに限った話ではない。有名なところでは納税と還付の格差がある。納税は給料天引きなのに還付は書類やらハンコやら色々と書かされ、平日に窓口に行かなければならないとか、生活保護の申請に窓口でいちゃもんをつけられるとかいった類の話は山ほどある。
国や自治体は国民の味方であるはずだから、UIの格差はこの逆であるべきではないか。「制度としてできることになっている」と「事実上はやりにくくなっている」というのは、法的にもきちんと見てやるべきで、これがやりにくければ規制もかけてやるべきだ。これは法を変えずとも、充分に憲法の保障する範囲で裁判所命令が出せてしかるべきだと思う。
そして、その「やりやすさ」の判定は、専門家がこねくり回すのではなく、実際の行動に掛かった時間や問合せの多さなどから計測できるはずだ。これは例えば工場労働者の行動をビデオに撮ってAI解析するような手法があるし、あるいは脳波測定で混乱を表すような脳波(そんなものがあるのかどうかしらないが)が出ているとか、手法の候補はある。
AIやビッグデータ解析が進歩してくると、こういった「隠れたやりにくさ」が、客観的な形で表に出てくる。もちろん初期にはアプリケーションや機械(ATMなど)の操作改善に使うとして、そのうちこういった公的制度の計測に使われだすと、「制度としてできる」というだけでは大義名分としては足りないことが明らかになっていく。これは制度の改善に繋がる、良い使い方だ。
これはまた、役所だけでなく、裁判所の不公平さや報道の偏りなどにも応用ができる。これは例えば法律の適用に関して厳密さをどこまで追求するかや、同じ情報ソースがあるのに報道するかしないかといったやり方で使われる。その多くは公共で入手できるソースのみから判定できるので、誰でも知ることができる。
これ自体も一種の色眼鏡ではあるが、恐らくは誰もが納得するいちばん色の薄いメガネであろう。自分の感覚が世間から見てどの辺にいるのだろう、という目安としては、今までで一番信頼できるものになるのではないだろうか。

2017年1月12日木曜日

クラウドの新・三階層モデル


ブロックチェーンと言えばBitCoinしかなかったところ、固有名詞を持つアプリケーションプラットフォームやデータベースがちょくちょく出てきている。 BigchainDB、Ethereumなどもその一つだ。
改竄不能な代わりに完結が遅い、構造化されていない、というモデルをベースにしたアプリケーションは難しい。また、ブロックチェーンのややこしいところは、スケールアウトをするモデルではないというところだ。だからこれを直接アプリケーションのDBとして使うことは難しい。だが、証跡管理、バックアップとしては非常に有用だ。
これより、並列計算モデル、トランザクション型分散DB、ブロックチェーン型履歴・証跡DBと、同じクラウドの上に三つのモデルが搭載されるモデルが考えられる。UIとファンクションは並列計算モデルに搭載し、リアルタイムデータは分散DBに、履歴・証跡・バックアップはブロックチェーンに逃がすモデルだ。これで、スケーラビリティ、耐故障性、災害対応(DR)、共同利用まで含め、単一のスケールアウトクラウドで実現できる。これを新・三階層モデルと呼ばせて頂く。
UIとファンクションをF層、リアルタイムデータはD層、履歴・証跡・バックアップはB層と仮置きする。F層にはErlang、D層にMongoDB、B層にBigchainDB、またこれを載せるクラウドはOpenStackでやはり仮置きしてやる。各々にはライブラリやフレームワークがあるだろうから、それらも一緒に載せてやる。こうしてできたソフトウェア群は、自動構築スクリプトやスケールアウト機能を備えているので、一度作ったアプリケーションは何回でも自動で再構築でき、またあらゆる規模の顧客に対応できることになる。
この中にはまだ入っていないものが多数あって、例えばID管理、課金、セキュリティ、複数アプリケーションの混在など、従来の概念で言う基盤的なものが足りていない。また運用に関して言うと、個々のOSやミドルのバージョンアップやバグ対応、(不具合対策としての)リセットや機器交換、再構築、データリワインドなども考えなければならない。それらまで合わせてフレームワークとして提供できれば、アーキテクチャ統一という夢に大きく近づけることになる。
開発のイメージは、アプリケーションについては従来通りで、これにスケールアウトの規模やバックアップの方法などを書いた定義ファイルを用意する。まずクラウドを立ち上げてこれにこれらを食わせてやると、自動で構築する。後は監視するだけでよい。

2017年1月11日水曜日

汎光線時空間映像学


複数のカメラの映像から実世界の三次元像をコンピュータ内で作り上げる技術をそう呼ぶらしい。概念的には昔から提唱されてきたものだが、最近はそういう名前がついたそうだ。
これは、単にそういう映像を作り上げるだけではなく、例えばカメラに映っていないところを推定したり、光源を変えた場合のシミュレーションをしたりということを可能にする。また、ある一点の画像が複数の方向から撮影されるから、例えば玉虫色の再現も可能になる。他には、動物の骨格を推定するとか、物体の重量及びその分布を推定して動きを予測するようなことも考えられる。
これを応用することで可能になることにどんなことがあるか。
  1. カメラの死角にあっても、そこで何をしているのか、何があるのかを推定できる。万引きの仕草、火元の特定など。
  2. プロフィールでごまかしたとしても、芸能人の身長や体重を割り出せる。
  3. スポーツにおけるフェイントをリアルタイムで見破る。
  4. 映画の撮影で、1パターン撮っておけば後で幾らでも修正できる。カメラアングルから役者の表情、動きの修正、服の着せ替え、メイク直しまで。
  5. 誰でも簡単にマトリックス遊び(ビュレットタイム)ができる。
  6. 極端に被写界深度の浅い映像を作り出すことができる。薄い、あるいは極度に小さい物体の内部構造解析などに利用できる。
  7. コンサートやスポーツ中継などで、自由に好きな位置、好きな角度から鑑賞できる。例えば見る度にイメージの違うプロモーションビデオが作れる、好きな選手の視点で鑑賞する、など。
一見難しい技術ではあるが、特殊なハードが必要なわけではない。今では多数の(例えば百台)カメラが必要だが、そのうち3つ程度で済むようになるかも知れないし、あらかじめ設置してある監視カメラから借用するようなこともできるようになるだろう。ソフトにしても、そのうち素人でも簡単に使えるように改良されるだろう。意外と実用化は早いかもしれない。

2017年1月10日火曜日

エンジニアリングウッドハウス


エンジニアリングウッドとは、木をベースとした人工建材を指す一般用語だ。木材を細かく砕き、樹脂と混ぜて固めるのが一般的で、代表的にはウッドデッキなどに使われている。端材の有効活用ができ、また木材のリサイクルとしても有用である他、シロアリに喰われにくい、品質が安定している、木と同じように加工しやすい、割れやすい木目が存在しない、反らない、工作精度が高い、中空にできるなど形状の自由度が効く、などの特徴を持つ。ただ、知る限りでは構造材(つまり柱や梁として使える)としては認められていない。
これは勿体ないことだと思う。木よりむしろ品質は安定しているのだから、一定の条件を満たすエンジニアリングウッドは構造材として許可されるべきだと思う。
さて、昔からログハウスには興味があった。壁、床、天井、全てを木で作る、つまりは同じ材質で作れるのなら、補修も解体もリサイクルも簡単にできるからだ。だがログハウスは自然の木を使うので、乾燥に伴う収縮が大きく、隙間ができたり壁が下がってきたりという不具合も生じる。断熱性も最新の断熱材には大きく劣るので、分厚い壁が必要だ。そこで考えたのが題記の家だ。
構造材は従来通りの木でよいが、それ以外の壁、床、天井は全てエンジニアリングウッドで作る。また断熱材としては、パルプファイバーを使用する。壁材としても、発泡エンジニアリングウッドを使えば木よりも断熱性が上がる。
こうすると、全ての建材は木とプラスチックで作られることになるため、リサイクルが可能になる。シンプルな構造のため、DIYでの改造も簡単だ。例えば、壁に穴を空けても隙間を埋めるにも、充填剤はウッドパテを使えばよい。
もう一つ考えられるのは、正にログハウスをエンジニアリングウッドだけで作るものだ。こちらは発泡型の角材を使い、同じように重ねていく。こちらは本当に釘すら使わず、パルプファイバーも使わないので、単一素材だけで完成する。本物の木と違って収縮しないし加工精度が高いので、隙間はできない。また断熱性も高いので壁も薄くてよいし、重量も軽くなる。
懸念は強度と難燃性くらいだが、どちらも事前に計算や工夫は可能だ。こうなれば余計な廃材が出ないし、建材の種類も相当減らすことができる。リサイクルも可能だから、今のエンジニアリングウッドが高くても、量産効果は直ぐに出てくると思う。

2017年1月9日月曜日

小型Bluetoothイヤホンの新しい使い方


最近のBluetoothイヤホンのサイズには驚かされる。耳穴に収まり、色まで肌色のものがあったりして、ぱっと見ただけでは着けているかどうか分からない、というサイズまできている。実際、補聴器と間違われることも多いとか。耳掛けでなく耳穴だけで保持できるほど小さく軽く、それでいて音量は充分なようだ。
これくらい小さく、一日中着けていることも可能になると仮定すると、新しい使い方が出てくるのはないか、と考えるのは自然なことだ。従来なら「音楽を聴く」「ラジオを聴く」「電話で話す」というように一定の目的をもって着けたり外したりしていたものが常時着用になると、どんな用途が発生するのだろうか。
今、常用している人の多くが使っているのは「待ち受け」のはずだ。つまり、電話が掛かってくるかもしれないから、LINEやtwitterのリプライを素早くしたいから、というのがそれだろう。だが電話は今や時間帯を気にして掛けるものだから、メールやチャットの着信を通知するのが普通だ。そして音声読み上げに繋げれば、受ける方は概ね対応できる。
そしてもう一つ、チャットベースに変換すれば、大方のスマホの通知などは音声で受け取れる。またそれを前提として、定期的に欲しい情報、例えば交通情報(道路に限らず電車運行状況なども)、天気予報、ニュース、株為替の動きなどを例えば3時間置きに音声配信する、ということも可能なのではないだろうか。もっと危急な情報、例えば緊急地震速報にしても、スマホのマナーモードとは関係なく通知できる。あるいは、特定の場所に行くと買い物リストを読み上げたり、天気と場所を配慮して傘を持つようアドバイスするなども考えられる。
これは、最近流行りの音声サービスとは起動のトリガが少し異なるが、機能的には概ね同じものだ。だから少しの改造で搭載できる。くしくもGoogleアシスタントがGoogle Alloに対応しているから、ここを少し弄ればできそうな気がする。
Googleさん、是非作ってください。

2017年1月8日日曜日

不寛容社会と日本


NHKでは、「データで見る不寛容社会」というHPを開いている。これを見ると、投稿者(回答者)自身は決して不寛容ではないのだが、社会が不寛容になっているという意識を持っているようだ。だが自分自身は余裕がないとかイライラするとかいう回答もしている。またこの調査は経年ではないので、過去との比較ができない。
不寛容が社会問題になる一つの原因は、悪いこと・悪いと思うことのレベルが浅くなっていることと、それに対して社会が要求する謝罪の程度が厳しくなっていることだと思うが、どうも視点として抜け落ちていないだろうかと思うのは、それがどの程度悪いか(どの程度反応すべきか、どの程度謝らせるべきか)の判断基準が滅茶苦茶だ、ということだ。
一方で、昔と比べ、公権力(国会議員など)や大会社が不祥事を起こしたときに、そのトップは素直に謝らなくなった。最初は謝罪がなく、後で問題が大きくなって慌てて再度謝罪するとか、特にお上の場合は何度追及しても無視したり鼻で笑ったりと、権力をカサにきてそれを隠しもしないという横柄な態度がまかり通ってきている。きちんと統計をとった訳ではないが、感覚的にはだいぶ増えている。
この理由には分析が幾つかある。まず、世間の貧困が増し、生活に余裕がなくなってきたこと。家庭における教育が途切れたこと。知的レベルが低下したこと。お上に逆らうことの恐怖が増したこと。以下、順に説明する。
最初のアンケートの「余裕がない」「イライラする」の高得点を見ると、余裕がなくなってきていることは明らかだ。「金持ちケンカせず」という言葉もあるし(少し意味は違うが)、「衣食足りて礼節を知る」という言葉もある。生活に余裕がないと心にも余裕が生まれないだろう。正社員比率が減り、国民が貧困にあえぐようになれば、国としての礼節(≒寛容さ)は減るというものだ。
ただ、怒るにしても、容赦がなくなったというのは別の原因も考えられる。高度経済成長で急激に人が増えた時代の人たちが、今の中高年になっている。人が増えた=親の数は相対的に少ないはずだから、親から受ける教育は(平均的に見て)不十分だったのではないだろうか、と思うのだ。何を言いたいかというと、「赦す」というのは、親(や近所付き合い)から受ける重要な教育の一つで、学校から教わる学問とは性質の異なるものだが、それがこの時代は不十分だったのではないだろうか。
子供を叱るときに、どの程度で納めようとするかを、親は何時も頭の隅で考えている。友達とケンカしたときに、どの程度で赦してやるかは、親のアドバイスが重要だ。今の若者はそういった大人の子供だから、やはり寛容さに対する教育は不十分なはずだ。昔はそれでも成長していたから何とかなったが、近年そこに貧困が加わったため、不寛容が社会的問題になってしまったのではないか。
が、これだけでは上の説明(判断基準が滅茶苦茶)には足りない。これもよく言われていることだが、親の収入と子供の学力は、年収1200万円程度までは比例するそうだ。これが本当だとして、近年の年収中央値の下落を併せて考えると、平均的な学力は落ちているはずだ。
少し古いが、ホリエモンが逮捕されたのとほぼ同時期、それより遥かに大きな金額の経理操作事件があったのだが、そちらは実刑どころか逮捕すらされなかった。(ホリエモンは実刑を受けた)
この例では、警察や国の思惑も絡んでいるように思え、それなりの知識人には疑問を呈する者が多かったのだが、世間の関心は薄かったためそのままになってしまった。報道がなかったわけではないのだが、不正に関する分かりにくさ、説明のしにくさが関心を分けていたように感じる。つまりは世間の知的レベルが落ち、結果として上手に悪をする者が成功しやすい(大衆を騙しやすい)世の中になっているのではないか。
また、昔の正義には公権力への反骨精神があった。今の時代で言えば、NHK会長の発言だったり憲法改正案だったりといったものだ。こういったものは昔は真っ先に叩かれたものだ。都知事の出張費などは、これに比べれば屁のようなレベルに過ぎない。だが世間の反応は全く逆だった。騒がれたのは後者の方だ。
ここでの論点は、後者は単純な私的流用だが、前者は全国民の基本的人権に絡むもので、分かりやすさで言えば後者だろう。だが事の重大さ、影響の広さは明らかに前者だ。なのにその結果がこうだ、ということを説明するには、二つの仮説が考えられる。一つはそれを理解するに足りる知的レベルの低下。もう一つは、生活の貧困などによる「お上」へ逆らうことへの恐怖だ。
前者はつまり、一旦職を失ってしまえば急激に貧困に陥る、という恐怖が、昔より強くなっていることの裏返しだ。そのような時代では当然、上長への反抗は命取りだし、会社は会社で、国に歯向かうことができない。そういう時代では権利者は倫理観を失い、更に横暴を極めることになる。
それでもその横暴が景気回復になれば良いが、多くは私腹を肥やすことにしか繋がらない。そうでなくとも、少なくとも好き勝手にするであろうことは間違いない。これは負のスパイラルだ。全ては繋がっているのだろうが、因果関係で言うなら貧困が最初である。世知辛い世の中とは貧困社会のことでもあるのだ。そしてこの仮説が正しいなら、これを止めるには、お上には頼れない、ということも分かる。

2017年1月7日土曜日

靴を2足


靴を2足、交互に履くことで長持ちする、という話がある。そりゃあ当たり前だ。2足あれば倍は持つだろう。だから、2倍以上持たなければ意味がない。そこで調べてみると、やはりと言うか、あまりきちんと調べられたものはないようだ。だが根拠らしきものはあった。
それは、靴を一日履いたら汗を吸うわけだが、これが乾燥するのには2、3日掛かる、というもの。乾ききらないうちにまた履くのと、いったん乾かしてから履くのとでは、確かに寿命が違いそうだ。雑菌の繁殖が一度リセットされるとか、型崩れの程度が減るとかは期待できる。また、この原理からは靴底の減りを遅くする効果はないことになる。
更には、この原理からすると、汗を吸いやすい運動靴の方が影響が大きく、革靴はその次、合成皮革のような汗を吸わない素材が多い靴では影響は少ない、ということになる。学生時代にそんな高級なことはやらなかったが、こちらは靴のサイズがどんどん変わるからまあ気にならなかったのだろう。足のサイズが固まる高校生くらいからは、これをやった方が良い、しかも2足ではなく3・4足の方が良い、という結論になる。
背広でも似たようなことは言われるのだが、同じ原理で考えると、こちらは影響はほぼないことになる。上着の発汗吸収量は足よりはるかに少ないし、面積も広いから翌朝まで湿気ているようなことはない。つまり、2着用意して交互に着る意味はない(長持ちさせる観点では)。また、靴の場合でも、強制乾燥させれば1足でも良い、という考えも成り立つ。
また、開口部が多い女性の靴の方がその影響は少なく、パンプスよりサンダルの方がより影響が少ない、という論理も成り立つわけだ。そしてスリッパをそういう目で見てみると、結構乾燥を待たずに履いていることが分かる。風呂上がりに履くスリッパは、一日履いた革靴より湿っているかもしれない。
室内履きこそ3足用意すべきなのかもしれない。

2017年1月6日金曜日

EM菌

ときどき自治体が大々的に取り上げて失敗をしているのを見掛けるのが、このEM菌だ。川の汚れを軽減するのに使われる、というのをよく聞く。科学的に見ればトンデモというほどではないが、費用対効果や持続性の面ではほぼ意味がないと考える者が大勢だろう。
納豆菌の一種には確かに汚れを分解する能力があるから、培養して大量に投入すれば一時的な効果は望める。但し、EM菌の実体は必ずしも納豆菌ではなく、多様な菌の集合体、要は雑菌だ。その中に納豆菌の仲間もいるかもしれないので、効果はあることも考えられなくはない。だがもし効果があったとしてもあくまでも一時的であって、継続的に投入する必要がある。このため、費用と手間が掛かり過ぎることが次第に分かって尻すぼみ的に撤退する。
これを見極めるのは極めて簡単だ。EM菌を培養するのには糖蜜が使われる。また暖かいところで培養するとされている。この二つの事実は、ちょっとWebを検索すればすぐ出てくる、EM菌には初歩的な情報である。これを知っていれば、これ以上考える必要はないほど簡単な判断になる。
つまり、もし種菌の中身が判別できないとしても、常温で、川の汚水で培養できないのなら、何れは死に絶えて元に戻る、ということになる。効果があったとしても一時的であり、多分冬は越せないだろう。結論を出すのに10秒と掛からないだろう。
この程度の想像すらできないのはなぜか、と考える。必ずしも利権だ、とは言い切れない。それも少しはあるだろうが、EM菌を推す勢力にそんなに政治的な力があるとは思えないからだ。
では何なのか想像するに、これは(初期の)成功体験+バカの壁+権威主義なのではないか、と思うわけだ。これは結構強力で、代表的には投資で負けを認めない、損切りができないというのがある。民間療法の多くも当てはまる。この場合の成功体験というのは、多くの場合プラセボだ。知らない人でも、どこぞの大学の先生の言うことなら無条件に信用する、というのもこれだ。
このこと自体は心理学的にも自然なことであり、単純にバカにするのは間違いだ。そして、それは論理的思考で回避できること、自分ですらそうなりがちであること、相手がそうなっていると判断しても単純に突っ込んではいけないこと、などは心しておきたいものだ。
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感想(39件)

2017年1月5日木曜日

分子マシンと遺伝子


2016年のノーベル化学賞は分子マシンだった。今のところ応用の可能性は見えていないらしいが、この解説を聞いていて一つ思ったのは、遺伝子の解明に役立つかもしれないということだ。
一見、何の関係もないようにも思えるのだが、物理学賞のトポロジカル相転移と併せて考えると俄然興味が出てくる。ここで言う遺伝子の解明とは、どの遺伝子が何に影響があるのかという意味ではない。「なぜ」その遺伝子が生物の性質に影響を与えるのか、が分かるかもしれないと思ったのだ。
例えば、足の指の形が違うとか、肌の色が違うとか。そういった性質が、4つの塩基の位置と組み合わせで変わる。変わることは分かった。どこを変えるとどうなるかも分かった。が、ではなぜなのか。今までそれは謎だった。DNAがRNAになるだとか、細胞が分裂するだとかにしても、生命の神秘だの何だのとは言われつつも、ではなぜそうなるのか、そこに「生命」なる目に見えないものの影響が本当にあるのか、分からなかった。
分子マシンは、単なる分子の組み合わせに、電荷や酸性度、磁場などを外部から変えてやることで作れ、また動かすことができる。この「動く」という性質が、単に分子の組み合わせと外部環境だけで確定的に起こるのなら、それはもう生命とは言えないだろう。そしてその「動く」という性質が、別の分子を引き寄せたり退けたりする、それが連鎖する、と考えると、その一連の動きもまた、生命とは言えない。
その動きは、分子の組み合わせと位置、環境によって変わるため、膨大なバリエーションがある。そういったバリエーションの一つとして、偶然に単細胞生物ができたのかもしれない、という仮説に、一定の真実味が出てきたと言えるのではないか。
生命の起源としては、古代の海で偶然にできたとする化学進化説と、宇宙から飛来したというパンスペルミア説があるが、もし上の仮説が正しいとすると、その両方共が「どうでもいい」となる。無論これは化学進化説の一種な訳だが、生命をあくまでも科学的現象であると位置付ける点では視点が大きく異なる。要は何でも良いから偶然が起これば良いわけで、それには母数が多ければいつかは必ず起こる。そして、その過程のどこかで「生命になった」という線引きが意味を成さなくなる。
例えば自然淘汰。これも高尚なものではなく、温度が高くなると氷が融けるのと、本質的には変わらないと言える。命を大切にするとか、たった一つの命とかいう考え方にも変化が出てくる。不老不死とか、死者を生き返らせる方法も見つかるかもしれないが、同時にそれにどんな意味があるのか、という哲学的な問題でも答が変わってくる。生き甲斐や、神の存在にすら影響が出るかもしれない。
その一方で、遺伝子をそういった側面から研究することで、今までは帰納的に確認してきた遺伝子の特徴が、演繹的に推測できることになる。遺伝子の働きが、より物性的な裏づけを持って推測できるなら、安全な遺伝子組み換え生物の創成や、新しい治療薬の作り方が発明される、あるいは分子マシンが癌細胞をやっつけるといった物理的な治療もあり得る。
まあ、何れにしても膨大な計算が必要なことは間違いないだろうから、コンピュータを大量にぶち込める予算取りが可能な国が、これらを制することになる。現在の小学生向けのプログラミング必須化の流れはある程度正しいが、ノイマンマシンのプログラマは要らない。スパコン系のプログラマをもっと増やす必要がある。

2017年1月4日水曜日

うがいは有効か


*Gargle Gargle* by Lorenia via Attribution Engine. Licensed under CC BY-NC-ND.

以前、マスクとゴーグルと感染経路という投稿をしたのだが、その後テレビを見た。曰く、
  1. マスクは有効でない。なぜなら隙間が空くから。
  2. うがいは20分おきにやると良い。なぜなら、ウィルスが粘膜に付着してから感染が成立するまでは20分掛かるから。
  3. でもこの間隔でうがいするのは大変なので、水を飲む。一口でよい。
「ほう、そうか」と思って暫く注意して水を飲んでいたのだが、よく考えてみればこの理論はおかしい、と気付いた。
マスクに隙間が空く、というは、厳密に密閉するのは困難だとしても、隙間が小さくなればなるほど感染する確率は比例して(厳密な正比例ではないだろうが)小さくなるのだから、有効でないというのは言い過ぎだ。
だがむしろ、問題は水を飲む方だ。その先生は患者の前でもマスクしてない、でも風邪ひいてない、と自慢していた。それは結構な話なのだが、大きな問題がある。それは、水を飲むことで喉の粘膜のウィルスは洗い流せるとしても、粘膜は他にもある、ということだ。即ち鼻と目である。
元々、鼻にも目にも液体が少量づつ流れていて、ある程度はその効果が期待できるはずだが、それは喉でも同じ話だ。普段鼻から息をしている人は、当然喉だけでなく鼻の粘膜にもウィルスが付着するはずで、喉だけ洗い流しても鼻は流せない。目の場合は何処にも流れる先がない(厳密にはともかく)から、その場に留まり続ける確率は高い。
では鼻には殆ど付着せず喉にこそ付着するのか、と言えば、そんな話はされていなかった。実際のところ、殆どが喉ということはなくて、半々とか、せいぜいその差は倍半分程度しかないのではないか。目は呼吸をしない、面積が小さいという優位点がある一方、洗い流せる期待がなく、マスクもできない。
というわけで、①マスクは有効であり、着け方が正しければその分効果が高く、正しくなくてもそれなりに効果がある②うがいには意味が全くないとは言わないが、せいぜい何割という効果しかない、ということになる。ちなみにマスクは、隙間を考慮すれば半分くらいか、と推測する。二つ合わせれば感染確率は1/4程度になる、と推測される。
N95マスクをしっかり着けるとかなり息苦しい、というのも番組で紹介されていたが、N90マスクをしっかり着けても苦しさはない。N90マスクの周囲にソックタッチないしは弱い両面テープを貼っておけば、長時間着けても苦しくないマスクが作れる。これだけで感染率は9割減らすことができる。厳密に言えば、N90の隙間は飛沫に関しては100%に近いはずだから、付け外しと手洗いに気をつければほぼ100%防げることになる。(目は防げない) そしてこれならうがいや水飲みは必要ない。
この番組では他にも幾つかのネタを披露していた。ウィルスの大きさはマスクの目より遥かに小さい、という事実は、実際その通りではあるのだが、ウィルスは単独で空中に漂っている訳ではない。ここで「空気感染」と「飛沫感染」の違いが曖昧になってしまっている。現在、空気感染をすることが確認されている病気は殆どなく、飛沫感染のことを間違って伝わっていることが多い。マスクの網の目は飛沫より充分小さく、またマスクに触ることで吸い込まれるので、粗い目のマスクであっても充分に有効である。
唯一最後まで納得できたのは、手についたウィルスが数日生きていた事例がある、という話。これは当然事例だから確率に置き換えて考える必要はあるが、要は「手洗いは重要」という結論であり、これは従来と変わらない。
ただ、ここでも疑問が残る。目を擦ることは、目からウィルスが侵入する可能性があるのでダメだとしても、手を経由して口から入るのはどうなのか。水を飲むことでウィルスが洗い流されて云々というのなら、口に入ったとしてもそれは水と一緒に流れてしまうことになる。口の中には唾液があるから、唾液を飲み込むことで影響がなくなるという論理になる。
結論からすると、普通のマスクをソックタッチでくっつけ、目には花粉防止用のゴーグルをつけておけば、うがいも手洗いも必要なく、感染の確率を95%以上減らすことができる。但し手で目を擦ってはいけない。ちょっと常識とも医師の推奨とも異なるのだが、論理を積み上げるとこうなってしまう。

2017年1月3日火曜日

自動運転車併走自動運転車


自動運転車が描く未来の一つは、行く先を決めてボタンを押すだけで自動でそこに行ける、というもの。もう一つは、何か欲しいもの、見たいものがあれば、ボタン一つ押すだけで向こうから来てくれる、というものだ。前者は色々と議論があるが、後者はあまり見かけない。
今でも移動販売車や移動図書館のようなものは存在しているし、広く考えればカタ屋や紙芝居も含めた興行はこの一種だろう。これをもっと進めて、例えばレストランとケータリングの中間のような業態が発生しないとも限らない。キッチンも内装もしっかり作れるし、片付けせずに撤収できる。あるいは富裕層向けの外商車なんてものはどうだろうか。従来だとホテルの一室に呼んで開催していたものだが、始めから自宅近くまで乗りつける方が簡単だ。美術品や宝石類なども、この方がセキュリティが維持できてよいかもしれない。
そして第三の形態が、両方とも動いている、というもの。これは議論を見たことがない。観光するなら自ら動くしかないが、移動時間に持て余す暇を使って商売をするものだ。例えば併走してCMを流すとか、軽食を販売するとか、暇潰し手段(ゲームなど)を提供するとか、観光情報や行先での予約手配を売り込む、などだ。走りながらモノを渡すのは危険だ、というなら、自動運転なのだから協調して一旦止まればよいし、技術が発達すればそれすら必要ないだろう。
そのうち、トイレ車やシャワー車や寝室車まで出てきて、人は家に住まなくなるかもしれない。

2017年1月2日月曜日

マジックリープ


もう最初のニュースを聞いてから何年も経つ気がするが、未だにその実験機すら見ることができないのがマジックリープ社のディスプレイだ。HMDの一種だが、僅かに漏れ出る情報によれば、光ファイバーを振動させることがその原理らしい。
HMDで難しいのは、使える機器を小さくしないと重くて支えられないところだ。Hololensなどはもう始めから諦めモードとしか思えないのだが、マジックリープ社のそれは物凄く小さく軽いとのこと。だがそれが(どの程度)本当か、出てくる情報は皆無だ。
光ファイバーを振動させること自体は簡単だ。圧電素子に貼り付けてやるだけでよい。縦横各々に貼り付け、周波数を制御してやれば、簡単にスキャンできる。発光自体は既に三色LEDがあるから、後は制御だけだ。
最初のニュースが出て長い時間何も出ないのは、量産に問題があるからだろう。上の想像機構から推測すると、振動によるファイバーの触れ幅に誤差が大きく、個別に調節が必要、ないしは一度調節してもどんどんずれてしまう、ということが想像できる。何せ小さいので、ちょっとの誤差が致命的になる。
この調整の方法として王道が二つあって、一つは加工精度を高める方法。もう一つは常時モニターしてリアルタイムでフィードバックを得る方法だ。ただ前者は小さければ小さいほど難しくなり、後者はモニタリングの手法が必要になる。
モニタリング即ち正しい画像が出ているか、であるから、それにはカメラが必要である。つまりは撮像素子だ。これはファイバーより遥かにデカい産物であり、本末転倒と言える。また、ファイバーが網膜スキャンであるとすると、そもそもカメラによるモニタができるものか、怪しくなってくる。何処を写せばよいのか分からなくなるからだ。
マジックリープがどちらの方法でアプローチしているのかは分からないが、小ささを生かすなら前者だろう。そしてこれは日本人が得意な分野だ。「ファイバースキャンディスプレイ」という言葉だけを頼りに、ニュースを基に新たに日本人がアプローチしたとして、もう充分に追いつけるほど時間が経っているのではないか。
本家がうろうろしているうちに、日本のどこかである日突然発表があるかもしれない。

2017年1月1日日曜日

1月1日の定義


調べてみると、天文学的な定義ではなく、歴史的な経緯から決まっただけのようだ。
今後、宇宙歴のようなものが考えられたとしたら、今度こそ天文学的定義が必要になるのかもしれない。もっとも、少なくとも他の星に人が定住し、かつ頻繁に交流ができるようになるまでは必要ない。今、火星に人を送るミッションがあるらしいが、それが成功して、且つ何十年か経ってから、宇宙歴が必要になるのだろう。
地球のそれは、もちろん人間の生活サイクルを基にしているわけであるが、火星の自転周期は地球と異なる。かといって、地球と同じ24時間で生活するとは限らない。体内時計はそれより長いという話があるし、重力が違うのだから、その体内時計も変化するかもしれない。もっと言えば、時間の進み方も一定ではない(相対性理論的な話)可能性もあるので、その定義はまた一段と難しくなることだろう。
そうなれば、絶対的時計を一つ作って、各々が対応表を作るような方式が提案されるのは自明だ。そこでの興味は、その絶対的時計はどんな風に作られるのだろうか、ということ。地球の原子時計だって地球上にあるのだから、絶対的かと言われると自信がない。もちろん人類発祥の地だからそれが基準だ、と言ってしまってもよいのだが、銀英伝の時代くらいになればそれも怪しくなる。
素直に考えれば、国際原子時 (TAI)の秒数カウントだけを基準としてどこかでゼロリセットする(宇宙歴元年!)のがよいのだろう。ただこれでは桁数が多くて扱いにくいから、16進数にするとかどこかで区切るとかして、時代時代で下何桁を使う、ということになる。
そのうち、1月1日は特別な日ではなくなるのかも知れない。それは地球だけのローカルなお祭りであって、宇宙歴の正時(例えば1億秒≒3年強)を宇宙全体で祝う、オリンピックもこれに合わせる、とかになるのかもしれない。

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