2019年3月31日日曜日

空飛ぶ病院


ドクターヘリはある。血液やワクチンを運ぶドローンもある。しかし、手術室はまだない。

バスくらいの大きさのものを浮かすことができれば、手術室をドローンで飛ばすことは可能だと思う。しかし、今のところそんな大きなドローンはない。バス並みといえば、自衛隊が導入しているCH-47(チヌーク)が有名だろうが、このヘリコプターは8トンの積載能力があるそうだ。一方で大型バスは15トン。つまりバス一台吊り下げるというのは不可能だ。しかもこのチヌーク、物凄い風圧があるそうで、簡単には近づけないほどだそうだ。

また、手術まで現地でやろうとするのは大規模災害時のみであろうから、そもそも予算的にも困難なはずだ。それに、そもそも空を飛ぶ必要はあるのか。自衛隊には手術車両があるが、あれではダメなのだろうか。

そう考えると、空飛ぶ手術室というのはあまり現実的ではないことが分かる。ただ、50~100kg程度の積載能力を持つドローンが何台かあれば、色々と便利なことがある。

その代表的なものは、怪我人の輸送である。通常のヘリコプター輸送よりも、100kgドローンの方が遥かに小さく、小回りも利くし風圧も弱くてよい。単にベッドを搭載しただけのドローンであっても、従来の吊り下げ式よりは遥かに安定するし、素早い救助が可能になるはずだ。

また逆に、このドローンに医者一人と最小限の機材を載せて現地まで行く、ということも考えられる。いち早く現地に入るためには、オフロードバイクよりもこちらの方が簡単だ。一度でも機材が入ることができれば、そこを拠点として更に50kgドローンが追加の資材をピストン輸送で運び込むことができる。

中でも滅菌テント(空気で膨らませるタイプ)があれば、手術も可能になる。他、診察室、処置室、ベッドなどはテントで賄える。

資材、ドローン、充電器を全部合わせても、航空貨物コンテナ一つに十分納まる。自衛隊が使うパレットにも載せられるだろう。これを全国自治体で共有し、全国数箇所に分散配置しておく。災害発生と同時にそれを現地に送る段取りまで含めても、年間数億円で納まりそうに思う。

他の支援資材(食料・水など通常の防災ストック)とドローン前提の資材共有と運用を検討してみても良いのではないだろうか。

2019年3月30日土曜日

認証ログオフ


Windows10で、電話番号認証がサポートされている。だが、これはログインだけだ。電話番号でログオフさせる機能もセットで入れて欲しい。

今のOSの殆どの仕様は、一度ログインすると最後まで有効だ。途中でスクリーンセーバーが働くと一旦切れるような仕掛けはあるが、せいぜいそこまでである。近年のセキュリティへの意識の高まりを考えると、これではもう不十分ではないか、と考えるようになった。

例えばこんな場合。スマホに、自宅PCのログインが通知されてきたとする。自分には見に覚えが無い。これは、二要素認証をオフにしていたPCに、パスワードだけで侵入されたと考えられる。恐らくは自宅に泥棒が入ったときだ。そんな時には、遠隔地から自宅のPCのログイン状態を強制解除して欲しいと思うだろう。そして、もしそれができたとしても、再度ログインされる状態が防げなければ意味がない。

そしてこれには逆の話もあり、自分が正しくログインしていた場合には、他人から強制ログオフされないで欲しいはずだ。

この両方を満たすためには、スマホからログインして、他機器のログイン状態を見る。もし不審なログインがあったらそれをログオフすると共に、そのPCの二要素認証を強制でオンにする。

但しその際には、スマホからのログインが本人のものであることを再確認しなくてはならない。もし拾ったスマホでこれをやられてはたまらないからだ。このためには、スマホ自体のログインパスワードを再度入力させるか、指紋認証等を再度させる。

これは逆パターンも考えられるので、機器が増えた場合は更に条件を検証しなければならないが、技術的には可能なことだと思う。

2019年3月29日金曜日

在宅勤務用セキュア接続システム


在宅勤務をしようと思うとき、自宅のノートPCが使えないのに忸怩たる思いをしている人も多いと思う。会社がリモートワーク環境を整えてくれれば問題は無いはずだが、単にVDIやDaaSを用意するだけではセキュリティ的にやや弱い。例えばウィルスが横から画面や操作を盗み見できるし、仮想デスクトップからアクセスされたら、その親OSから、好きなだけ操作やキャプチャが可能である。

これを防ぐには、第一に、相手が仮想マシンではないことを確認し、第二にディスプレイとキーボードを完全に乗っ取れる必要がある。まあ完璧ではないにしても、ハードウェア的にこのことを保証することは、不可能ではない。その方法とは、こうだ。
  1. ハードウェアのキーボードコントローラー(マウス・タッチパネル含)とディスプレイコントローラーに、暗号化機構と、各々専用の電子証明書を搭載しておく。
  2. 組み立てて完成したPCなりシンクライアントは、このペアが搭載されることになる。これを、機器ベンダが登録しておく。
  3. 一方で、ホスト(DaaS/VDI)側も、電子証明書を用意しておく。こちらは公開する必要はない。電子証明書は、できればID単位で作っておく。
  4. これらの電子証明書から、「このホスト(のこのID)とこの(ハードウェア的な)PCのみが通信可能なRDPソフト」を生成する。このソフトは、キーボードとディスプレイの情報を暗号化して通信するため、機器のOSやその他の機器上のソフトからは読み取れない。また、RDP通信自体も当然暗号化されているので、通信路での傍受はできない。
社員が自分のBYOD機器のベンダと型番とシリアル番号を申請すれば、情シスは、それと繋がるソフトを発行できる。その際、その機器の情報を機器ベンダのHPで検索すれば、その機器が実在していることが確認できるので、仮想マシンでないことが確認できる。

また、そのソフトを盗めたとしても、その機器でアクセスしなければ繋がらないし、機器まで盗めたとしても、接続先へのログインには当然認証(パスワードや二要素認証等)があるので、それでもまだセキュリティは保たれる。

このソフトは、機器にコピーしておくのではなく、会社支給のスマホに入れておくのが良いと思う。これなら二要素認証や生体認証を組み合せられるので更にセキュリティは高まる。また、WiFiとの自動接続機能などをこのスマホに搭載しておけば、利便性が高まる。自宅では自宅PC、会社では会社PCと、二つのRDPソフトを入れておけば、各々のPCからは自分用のソフトを立ち上げれば良いだけで済む。尚、機器との接続はBluetoothを使い、通信路の方にWiFiを使うのが良いと思う。

2019年3月28日木曜日

木質トラスハウスを3Dプリンタで作る


コンクリート住宅を3Dプリンタで作る、という試みは、世界中で行われている。しかし日本では、鉄筋なしのコンクリートだけの住宅は認可されない。地震が多い日本では、揺れで簡単に壊れてしまうからだ。コンクリートは圧縮に強いが引っ張りに弱い。鉄筋はその逆だ。鉄筋コンクリートが使われるのはこのためである。

鉄筋コンクリートを一体成型しようとすれば、鉄筋とコンクリートを同時に吐出する必要がある。3Dプリンタでも、金属を成型できるものは存在するが、引っ張り強度を出すためには、作成後に焼成するか、最初から(高温の)液体で吐出する必要がある。どちらも、一体成形は不可能だ。

では木材はどうかと考えてみれば、やはり不可能である。木材を吐出する3Dプリンタなど存在しない。しかし、エンジニアリングウッドならどうだろう。合成樹脂と木粉を混ぜたものを吐出することは可能なはずだ。

但し、エンジニアリングウッドは構造材として認められていない。実は、従来のエンジニアリングウッドの多くは中空で作られていて、同じ太さでも本物の木材よりずっと弱いのだ。中までみっちり詰めたエンジニアリングウッドもあるにはあるが、本物と同じ太さにするのは困難であり、且つ高価だ。ツーバイフォーにも構造材としての柱が必要な点は同じであるため、作ることができない。

そこで考えるのが、エンジニアリングウッドによるトラス構造を構造体とする案である。これには様々な利点がある。
  1. 軽く作れる。
  2. 家の形状の自由度が高い。
  3. 他の素材との一体成形ができる。代表的には断熱材、壁材だ。
  4. 断熱材の隙間を、ほぼゼロにすることができる。断熱材以外の家の隙間も同様に、ほぼゼロにできる。
  5. 色も一緒に塗れる。
  6. 最初から、(空調・上下水道・配電などの)配管が可能である。
  7. 設計した通りに仕上がる。業者の流儀や連絡不足などによる現場での施工ミスや勘違いは、ほぼ起こらない。
  8. 構造体たる家以外にも、フローリング、キッチン、風呂場など、個々のパーツの多くが一体成形できる。当然、価格低減やトラブル防止に貢献する。
  9. ノコギリや釘などの危険な工具が殆ど必要ない。重量物を運ぶ必要も殆どない。
  10. 基礎、3Dプリンタ据付と撤収では多少人が必要だが、平時は3Dプリンタへの材料の補充、進捗管理とトラブル対応のみ。後は内装工事までほぼ一人でよい。
逆に欠点として考えられるのが、
  1. 最初の設計の難易度が膨大になる。
  2. 最初に大規模な3Dプリンタ用の足場が必要。敷地ギリギリに建てる場合は困難。
  3. 大量の「足場材」(何も無い空間を埋めるための物質で、完成後に取り除く)が必要。これは工夫により減らせるが、設計施工の難易度は更に上がる。
  4. 印刷の進捗に合わせて大量の材料を投入してやる必要があるが、これもタイミングがあって、あまり融通は効かない。
  5. 屋根の防水だけはそのままでは不安あり。
  6. 壁の必要精度に応じ、印刷には膨大な時間が必要になる。例えば1層が1mmだとすれば、1階分3mとして3000層、2階なら6000層必要になるが、1層10分として60000分=1000時間=42日必要。0.1mmなら420日。
  7. 解体時には、全てが複合材料となってしまうので、リサイクルは困難だ。燃やすしかない。
  8. 一体成形のため、破損など不具合の際の補修には、従来と別の技術が必要である。
等だ。これらは技術が進むにつれ工夫できるようになるだろう。例えば、全部3Dプリンタで作るのが良いのかどうかは議論があるはずだ。躯体だけこれで作って後は従来通り、とする方が早いかもしれないし、安く上がるかもしれない。

こうやってできた家が従来の家に比べて安くなるのかどうかはまだ分からない。材料費は一見下がりそうだが、従来と同じ材料になるかどうか分からないし、人件費は減るにしてもその質は異なる。ただ、上に挙げた多くの優位点に魅力を感じる人が多ければ、多少高くても受け入れてくれるだろう。

2019年3月27日水曜日

セキュリティのためのマルチクラウド


http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1902/06/news099.html

マルチクラウド、すなわちAWSとAzureを同時に使う、といった企業が増えているそうだ。

どう使っているかまでは調べられていないが、想像するにデイザスタリカバリかバックアップだろう。AWSが大々的に停止した時にはAzureを使う、あるいは復帰してからAzureのバックアップを戻す、といった使い方だ。これは理に適っている。同じサービスよりも違うサービスの方が、同時に停止する確率が低いというのは自明だからだ。

これを更に一歩進めて、情報を暗号化して分散するような仕掛けを考えられないだろうか。つまり、どちらかのクラウドが恣意を持って顧客のデータを覗きに行っても見れない、国の命令があっても復元できない、とするのだ。

データだけなら簡単だろう。いわゆる割符を使って、アメリカのAmazonとアイスランドのGCPと中国のAzureに分散する。コンピューティングはローカルで復元してキャッシュとして使う。もしアメリカが開示命令を出したとしても、復元は原理的に不可能である。

他にも、各国には各国の人・企業のデータだけ入れるものとして、その国の企業は開示するが他国のものは開示しない、といった考え方も可能だろうし、k-匿名化のような技術を使って計算そのものを匿名のまま計算することもできるだろう。

ブロックチェーンのようなところまで行くと、さすがに企業の基幹システムとしては心許ないが、似たような技術で「強制されても他社への開示ができない・どんな災害にも負けない」システムができるのなら、これに載せたいシステムはいっぱい考えられる。

2019年3月26日火曜日

刹那的収入の増大


eスポーツ、YouTuber、VTuber、アフェリエイト。収入としては不安定だが莫大に稼ぐチャンスがある仕事で稼いでいる人はかなり増えてきた。株やFXのようなものも、当たり前に目にするようになった。

従来は本業として堅い仕事を、副業では軽い仕事を、と考えてきたものだが、本業が非正規社員などになってくると、本業も副業も不安定、という人が増えてくるわけだ。となると、手堅い収入が保証される本業・正社員というものの価値が相対的に落ち、刹那的でも多く稼げる方が魅力がある、というように、世の中の人の考えが変わってくる可能性がある。

そうすると、そういう刹那的な仕事の価値(報酬)が相対的に上がり、本業の給料が減る、というような現象が起こる。また、副業は一つではなく多数になり、そのうち稼げているのは少数で大部分は微々たるもの、という状態になる。人はますます副業の数を増やし、一発屋(でも多数の弾を撃っている)になる。

これが進むと、本業での無理を嫌うようになる。残業するより副業の方が稼ぎが良いならそうするだろうし、もしかしたら本業がない方が良いかもしれない。どれが本業か分からない、全部本業、全部副業。そんな時代が来るかもしれない。

これは本業の健全化にも貢献するはずだ。ブラック企業は減るし、極端に自給の悪い副業も減っていくはずだ。案外良い世の中に進むかもしれない。

2019年3月25日月曜日

働かなくてよい時代は来るか


ロボット労働のパラドックス」の続き。世界中の誰もが働かなくてよい時代、というのはあり得るのか。ホリエモンなどは来ると言っているようだが、自分の結論としては「50年単位で無理」だ。以下、説明する。

過程をすっ飛ばして最終的な形態を考えると、それは映画「ウォーリー」の巨大宇宙船アクシオムのような状況である。ロボットが準備してくれるので、人のすることの全ては娯楽と食べることのみで、ぶくぶくに太ってしまう(それでも良い)というようなものだ。

もし、アクシオムのような世界が実現するとしたら、その技術的なスペックはどのようになるのだろうかと考えてみれば、自ずと答えは出てくる。単純には、エネルギーと資源で厳しい制約を受け、その経済圏の中に入れる人間は限られる。

今から30年くらいで、地球人口は百億人くらいになる。これを前提に、この百億人が何もせず暮らせるために必要な食料、エネルギー、衣料、住居の量を考えてみると、今の世界中で作られている量の何倍が必要になるだろうか。

この百億人の大部分は新興国・発展途上国の人だし、先進国にも経済格差がある。働かなくても良いレベル=満足な量の食料、衣料、住居、医療、教育などだろうが、これが足りているのは先進国の、しかも一部だけだ。それもAIとロボットで満足しなければならないとなれば、必要なエネルギーと資源材料の量は、十倍から数十倍であると想像できる。

このうち、再生可能なものはわずかだ。自然エネルギー発電と金属、木材・植物性材料がそれに当たるが、金属は完全ではないし、それ以外の、例えばプラスチックや希少材料、石油天然ガス等は消費する一方である。ロボットにより採掘がいくら効率化しても、そもそもないものを掘り出すわけにはいかない。これを問題①として定義する。

問題②は、貨幣価値経済である。今の世の中にも、働かなくても生きていけている人は大勢いる。しかしその人たちは貨幣価値経済における勝者に過ぎず、これすなわちその一人につき膨大な数の敗者が必要なことを意味している。この敗者は逆に、働いても働いても貧しく、飢え、苦しんでいる人だ。

そして、単にAIとロボットがいたとしても、その図式は変わらない。新三種の神器やコンピュータの出現と同じく、「新しい便利な道具」が出現した、というだけの話だ。働かなくても済む人が若干増えたとしても、全員ではないし、殆どでもない。最貧困者の底上げはあり得るけれども、相対的貧困はなくならないし、依然として大部分は敗者である。

食糧生産のコストが下がったとしても、ゼロにはならない。ロボットを買い、動かし、保守し、材料を買ってくるのだから、出来上がったものは売らなければならない。オーナーが誰かは関係ない。もし生産物をタダで配ろうと思うのなら、原材料採掘からエネルギーからロボット製造保守から製造から全てを全部所有し、自己完結している必要がある。それも全部ロボットのみでできなければならない。そんな工場がこの世に一つでもあるだろうか。

問題③は、税金である。上のコストにはまだ税金が考慮されていない。例えばロボットで自分が食べるだけの食料を作り出している家庭には税金は掛からないか。今、ロボットが幾らいても税金は掛からないが、ビル・ゲイツ氏がロボット税を提唱しているような事態が起きないとは限らない。なぜなら、ロボットを導入できない貧乏な世帯への補助には税金が投入されるからだ。その原資として必要とあらば、どんな税が投入されないとも限らない。また、当然固定資産税は掛かるし、借家ならそのコストが掛かるが、それにも税金が含まれている。

税金支払い分を稼ぐためにロボットを働かせるとなると、当然この効率は注目される。外(国、自治体)による目で、その労働価値は値付けされてしまうわけだ。自分の自由にできない支出が出てくれば、それに合わせて働くしかなくなる。

問題②③は本質的なものではないので、時が経てば解決する可能性はある。しかし問題①は相当に厄介だ。石油は、植物由来プラスチックや、電気で置き換えることは可能だろう、エネルギーは、太陽電池を使う。食料は植物工場とフェイクミートを使う。定性的にはそのような道はあるのだが、問題は量なのだ。

問題は、主に石油代替である。例えばエネルギーであれば、発電を全て再生可能エネルギーにする必要があるが、そのためにはまず太陽電池を今の50倍~100倍という規模で建設しなければならない。また、全ての航空機と自動車を電動にしなければならない。

原料(プラスチック)の代替には、植物由来プラスチックを使うことになるが、そのためには大量の植物(例えばとうもろこし)が必要になる。今の世界市場における植物由来プラスチックの比率は1%未満であり、3桁の伸びが必要となることになる。これは、対応するとうもろこしの作付け面積が同程度伸びる、ということだ。

既に栽培適地はあらかた生産されているし、そうでないところに植物工場を作って高コストで作るにしても、生産量を百倍上げるのはきわめて困難だろう。

また、作付面積の大部分を占める小麦ととうもろこしは、食料としても生産性を10倍程度に上げなければならない。こう考えれば、とても無理だ、ということは一目瞭然である。

極端な話、スペースコロニーでも作ってそこでとうもろこし生産をするとしても、やはりとても間に合わない。月に入植するのも無理。結局、世界人口が大幅に減らない限り、この理想社会は訪れないのだ。

2019年3月24日日曜日

情報開示端末


災害時に個人の医療情報を見られるシステム、というのが以前も検討されていた。つまり、普段は個人情報なので限られた人しか見れないのだが、大規模災害時にいちいち認証を得ていては治療が間に合わないので、そういう時のみは認定して全部見れるようにする、というものだ。だが、一度そうしてしまうと、もう誰に拾われるか分からない。「災害後」までも見越したシステムとは言えない。

災害は命に係るので仕方ないにしても、そこに至る段階的な問題は幾らでも考えられるし、大規模災害に特化したシステムではコストパフォーマンスが悪い。ではどうすべきなのかというと、日頃からこういうものは全部システム上で管理しておき、開示程度に応じてデータを示すが、出てくるデータは生ではない(統制された状態で出てくる=コピー不能)ようにすべきなのだろう。

つまり、大雑把に言えば
  1. 閲覧の制限の段階(誰に開示するかを制御する仕掛け)
  2. 情報のコピー可否(暗号化したまま演算できる、写真に撮れない、録音できない等)
に各々複数の段階があって、その組み合わせで制御できる、とするものだ。今の情報開示システムは、これがごっちゃになっている。特に2.をしっかり分類し、組み合わせることが肝になる。

例えば、タブレットに表示するものとして、これが写真撮影不可にすることは技術的には可能である。例えば赤外線でランダムパターンを描くようにすれば、人には見えなくてもカメラが反応してしまい、もちろん完璧とは行かずとも、スマホ、コンデジ、防犯カメラ程度で防げれば、一定の効果はあるはずだ。音声にしても同様で、超音波でマスキングすることはできる。盗聴用に対策をされてしまえば別だが、一般の機器ならできなくするというようなことはある程度可能だ。

また、認証が継続している間のみ表示して途切れると直ちに切れる、というようなことも可能だろう。内向きカメラで顔認証をし続ける、Bluetoothドングルで近くにいる間だけ表示、などもそうだ。

情報開示先をこういった特殊端末に限定することで、情報開示の手続きを簡素化する。こう考えれば、災害時のみならず普段使いとしても、安心して情報を他者に託すことができるのではないか。そしてそれを前提として社会システムを再構築すれば、プライバシーにぴりぴりすることなく、安心安全を実現できるようになる。

2019年3月23日土曜日

木材搬出ウインチ


小友木材店が行っている、「木材搬出ドローン」のアイデアを見た。切り倒した木材の両端にキャタピラクローラーをつけて、自力で木材が降りていく、というものだ。非常に興味を引かれた。

だが、自分だったらもっと簡単にやるだろうな、と思った。それは、木材にワイヤーロープを付けて、ウインチで引っ張る方法だ。

切った木材の枝葉を落とした後、斜面下側にワイヤーロープ付きのカシメ器具をはめる。ウインチは最終地点(車)に積んでおいて、リモコンで巻き取れるようにしておく。途中で引っかかりそうなところは滑車ないしはポールを打ち込んでおくのもよい。

勢いがつき過ぎないよう、上側には引っかかりを付けておいて、これも出し入れがリモコンでできるようにしておく。これは木材が斜めになったりひっくり返ったりしないようにするのにも使う。

さて、こんな機械が必要になる理由は、日本の林業が逼迫している危機のためだ。木材の価格が海外勢に押されて低下し、採算が合わなくなってきている。木を切るのにも人手が多く必要だと困るので、木こり一人で切り出せるような半自動化が必要、というわけだ。

クローラーでもウインチでも良いから、この技術が完成すれば、少しでも林業のお役に立つことができる、と信じている。

2019年3月22日金曜日

完全消滅捕虫器


電源に接続するだけで半永久的に稼動し、掃除も不要、という夢の捕虫器を考えてみた。

この捕虫器は、基本的には蚊や蝿を捕獲するもので、Gには対応しない。部屋の隅などに置いておいて、ACコンセントに差すものだ。これは先日発表された、アース製薬の捕獲器「蚊がホイホイ Mosquito Sweeper」に類似している。

まず、蚊を誘引するのには、光と二酸化炭素を使う。光は誘蛾灯のそれと同じ原理であり、二酸化炭素発生は「蚊がホイホイ Mosquito Sweeper」と同じく、光触媒を用いる。ニオイを使わないのはメンテフリーにするためだが、これはオプションであっても良いだろう。例えば夏には、(虫用)アロマオイルをちょっとたらしてやればよい。捕獲の原理も「蚊がホイホイ Mosquito Sweeper」と同じ、風圧である。

問題はここから先、虫をどうやって消し去るかだ。これは結構簡単な話で、やはり光触媒を用いる。光触媒を使った外壁塗料の原理を用いる。光が当たることで活性酸素が発生し、これが汚れを分解することで綺麗になる。これと同様、虫が目の細かいフィルタに風圧で張り付いている状態で、そのフィルタに光触媒加工がなされており、そこに紫外線ランプが当たり続けていれば、虫は光触媒で分解される、というわけだ。虫の成分は炭素・窒素・酸素等であり、ほぼ100%は分解されて気体になる。もちろん雑菌も綺麗に分解されるので、排気はクリーンだ。

問題なのは、その光量と所要時間であるが、これは実験してみないと分からない。また、それによりフィルタ室の大きさや消費電力に影響が出るので、商品として成り立つかどうかは検証してみなければならないだろう。

2019年3月21日木曜日

RPAの罠


http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html

総務省によると、RPAには三つの段階があるのだそうだ。クラス1がいわゆるRPA、クラス2はEPA(Enhanced Process Automation)と呼び、自然言語解析などの解析、非構造化データの読み取りや知識ベースの活用。クラス3がCA(Cognitive Automation)で、プロセスの分析や改善、意思決定まで自動化する。

個人的にはちょっと大雑把過ぎるなあ、と思うのだが、逆に言えばまだそんなレベルなのだろう。今のところ、気軽に触れるものは全てクラス1だ。このレベルでは、RPAといえどもプログラミングが必要である。

個人的にも、無料で触れるRPAを幾つか触ってみたが、ハッキリ言って素人お断りの難しさだ。現場での改善など望むのは不可能で、プロに頼むのであればなんでRPAにしなければならないのか、業務プログラムでよいのではないか、とすら思う。

また、例えば事務作業の補助を頼むにしても、実際のところ細かい例外や曖昧なところは一杯あって、クラス1で作ってしまうとそういうところを全部飛ばしてしまい、あまり役に立たないことが多い。

Excelのデータで、ゼロと空白とハイフンにどんな意味があるのかは、グラフによって違ったりする。たまに文字が入っていても人間なら読み取れるが、クラス2までならそもそも無理だ。その条件を最初から抽出するにはデータを全部見なければならないなど、労多くして作業の手間があまり減らないことになる。人間の常識の偉大さを垣間見るだけだ。

こう考えると、クラス3にまで行かないとRPAは殆ど役に立たないのではないか、と思えてくるのだ。ちゃんとした手順はイコールプログラミングであり、細かい例外が一杯あるプログラムは作り辛い。それをAIでチャチャっとやってくれるというのは理想ではあるが、期待通りにAIが動くとは限らないから検証が必要で、その検証に時間をとられれば結局プログラミングをするのと一緒、大して変わらない、というわけだ。

この原因は、世の中が汚いデータで溢れていることもある。見易さを重視して機械可読データとしての価値を無視した神Excelのようなものが主流である以上、RPAの将来は暗い。

2019年3月20日水曜日

監視カメラビジネス


以前より、5Gの評価は価格体系が出るまで保留、と言ってきた。いくら速くてもパケット単価が同じであれば、パケ死までの時間が短くなるだけだ。多少は安くなるだろうことは予測できるが、問題は大々的に安くなるかどうか、である。中途半端な下がり方では、せっかくの宝も持ち腐れで終わるだろう。

そんな中で考えるのが、今までも需要はあったものの、費用対効果の問題で二の足を踏んできたようなものが、5Gの価格低下と共に息を吹き返す可能性である。代表的には、比較的容量の大きいIoTだ。

IoTを設計するときに、無意識に容量節約してしまっているものがある。例えば監視カメラだ。今の監視カメラの多くは有線でつながっている。無線でつながっているものは、常時垂れ流すのではなく、センサや画像解析をローカルで行っていて、インシデント前後で集中して送るようになっているだろう。これはこれで正しいのだが、もし垂れ流しができるのだとしたら、別の用途がある。

監視カメラを設置した当人は防犯にしか興味が無くとも、警察は逃走者追跡に使いたいと思うかもしれないし、気象庁はローカル天気の把握に、消防庁はボヤの早期発見に、と色々用途はある。それを切り売りできるのなら、これは新たなビジネスになるわけだ。

もちろんよこしまな会社は排除するとしても、そういう公共目的で監視カメラ映像を定額で買い取るようなサービスが生まれれば、それ目的で多数監視カメラを設置するというビジネスは成り立つ。これは更に、そういうカメラの標準化にも貢献し、カメラの価格が下がる。太陽電池と組み合わせることで、それこそ設置場所さえ確保すれば電源も通信も不要、なんてことも夢ではない。

設置に関する制約が大いに低減されることで、街どころか田んぼや畑、山中、部屋の中、あらゆる場所に監視カメラが設置され、ビッグデータが日々生まれ、生活が改善されることに繋がるわけだ。

監視社会というと警戒感ばかりが先に立つが、使い方、考え方次第である。

2019年3月19日火曜日

オーケストレーションからOSへの逆進化


FaaS(Function As A Service)を構成するだけが目的のサーバ群を自動で構成する。これには、まずLinuxを入れ、Dockerを入れ、Kubernetesを入れ、KLRを入れるのが順当だ。だが、最初からこれだけを目的とするのであれば、もっとシンプルな専用のOSを一つ入れるだけで全部済む、というような仕掛けができるのではないか。

既に動いているシステムサービス内に新たなサーバが加わったら、自動でそのOSをインストールして再起動すれば、リソースとして割り当てられる、という仕組みだ。ファンクションが動けば良いだけなので、実行環境の隔離さえできていればよい。極端な話、素のLinuxで、実行空間分離さえできていればよいことになる。

ストレージとネットワークのドライバ、セキュリティ、権限管理はローカルで入るが、上位のサービスは全てアプリとし、単一故障点のない分散ソフトとしておく。そうすれば、サーバがどう壊れても入れ替わっても、システムは堅牢だ。

SIも殆ど不要になる。故障の検知も制御ソフトに入るし、ネットワーク接続の検知も自動。壊れれば取替え、負荷警告が出れば追加するだけ。これなら誰でもできる。

上位の機能として何が必要かは、既にオーケストレーションツールには分かっているから、今更作りこむ必要はないだろう。

余計なミドルが入らないことによってソフトがシンプルになり、性能が上がり、使い勝手も上がる。そんなふうになったら、ネットワーク負荷がない分、オンプレミスの方が有利だ。上手くすれば、オンプレミスがクラウドに対抗する、復権する手段として、これは伸びていくのではないか。

2019年3月18日月曜日

高セキュリティ決済体系


クレジットカード詐欺被害が、だんだん深刻になってきている。特にオンラインでカード番号を晒すのは、相当に危険になってきたと認識している。

しかし、クレジットカードは捨てがたいところがあって、定期的引き落としにはほとんどこれ一択と言っていい。口座振替は設定や解除がオンラインでできないし、他の手段ではそもそも選択肢がない。決済全体で俯瞰して、最適な方法が欲しい。

これらを整理すると、以下のようになる。皆、従来のものと似ているが、少しずつ違う。
  1. Suica系交通カード。定期券が設定でき、それ以外に電子マネーチャージができる。電子マネーチャージは、後述のバーチャルクレジットカードで行う。チャージは買い物には使用できず、全て交通系の決済のみに使用される。オサイフケータイで可。その場合は、パスワード等でのロックも選択可。
  2. 認証付き電子マネー。決済要求に対して毎回スマホに通知が来て、認証しないと決済できない、あるいはあらかじめ次の一回のみ許可する設定ができる。後者の場合、タイムアウトで前者に戻る。このチャージにも、後述のクレジットカードを使う。オサイフケータイで可。その場合は、パスワード等でのロックも選択可。
  3. リアル(物理的カードのある)クレジットカード。決済要求に対して毎回スマホに通知が来て、認証しないと決済できない、あるいはあらかじめ次の一回のみ許可する設定ができる。後者の場合、タイムアウトで前者に戻る。異なるブランドで1枚ずつ。例えばVISAとMaster。
  4. バーチャルクレジットカード。幾つでも発行でき、オンラインでのみ使用する。機能として①支払先限定(最後の支払先を記憶し、そこからの引き落とし要求のみに対応する。入金(為替差益還元、組み戻し)には常時対応する)要否、②決済要求に対するセキュリティ対応(リアルクレジットカード相当)要否、が各々選択できる。
使い方、使い分けはこうなる。
  1. 公共料金、インフラ料金、スポーツクラブや塾などの会費といった定期的な引き落としには、支払先限定、都度確認不要のバーチャルクレジットカードを用いる。支払先ひとつにカード番号一個を発行する。
  2. 交通系の支払いには、Suica系交通カードを使用する。チャージには、支払先限定、都度確認不要のバーチャルクレジットカードを用いる。
  3. 店舗等での都度支払いには、認証付き電子マネーか、リアルクレジットカードを用いる。認証付き電子マネーのチャージには、支払先限定、都度確認必要のバーチャルクレジットカードを割り当てる。
  4. オンライン決済では、バーチャルクレジットカードを用いる。これもECサイト毎に別の番号を割り当て、支払先限定機能を有効にする。都度確認については、著名なサイトではオフにしても良いが、通常はオンにする。
ユーザ体験はさほど複雑にならず、むしろサインや暗証番号不要となる可能性すらある。詐欺被害の可能性を大きく減らすことができ、既存の店舗やECサイトの仕掛けも殆ど弄らなくて済む。確認の仕掛けとしては費用が掛かるが、詐欺被害への補填や保険を充てれば、誰の負担も増えないだろう。

これらのサービスは別々でも良いが、単一の銀行が対応してくれるとポイントが共通化できるなど有利だ。オンライン銀行、例えばジャパンネットバンクはきわめて近いサービスを行っているのだが、まだ足りない。もう少しがんばってくれないだろうかと思う。

2019年3月17日日曜日

ブロックチェーン遺書


遺書のデジタル化に関しては、意見は色々とあるものの、日本としてはまだ具体的な動きはない。遺書情報そのものに関しては動きがあるようだが、遺書そのものがデジタル化されるわけではない。

日本ほど遺書の運用が厳重でないところでは、この動きがあるようだ。遺書そのものというよりは、死をトリガーとしたスマートコントラクトで仮想通貨を送金する、といった応用が考えられているようだ。仕掛けとしては面白いが、法が絡んでいないために正式なものとは認めがたい。ここはやはり国が制定すべきであろう。

ブロックチェーンには欠点も色々あって、必ずしも未来の技術とは言い切れない。しかし、こと「遺書」に関しては適切だと考える。その理由は以下の通りだ。
  1. 遺書は、一生のうちそう何回も作り直すものではない。せいぜい数十回が上限であり、平均すれば数回というところだろう。分量だってせいぜい数枚から数十枚で納まる。また、人口も平均余命も大きくは変化しないから、データが増える速度は予測可能且つ大変動しない。ブロックチェーンの大きな欠点の一つである、「台帳の容量が永遠に増え続ける」「計算速度が遅い」といった問題は、問題にならない。
  2. 保管が重要であって、システムは大して複雑ではない。極端な話、PDFで保存すればよいだけだ。高度な計算を必要としない点は、ノードの単価に有利に働く。
  3. 改ざんの可能性は、ブロックチェーンへの参加者の信頼性で決定される。遺書であれば官庁自治体のチェーンにすべきだろうから、51%攻撃などということはあり得ない。
  4. 一方で通常のコンピュータシステムでは、クライアントサーバやバックアップ等、複雑なSIをしなければならない。同質のクライアントをインストールするだけでよいブロックチェーンは、システム構成上有利だ。特に自治体で構成すれば数千に分散するので、DR(ディジャスタリカバリ)は完璧だ。保守もほぼ必要ない。
ここで、遺書の性質を改めて考えてみる。病気が重くなって気が変わって云々、という時に、PCを立ち上げてパスワードを入れて、…といった操作を強要するような制度では人に優しくないと言える。紙に書いた自筆、署名入りの遺書が最後には有効である、という原則は外せないだろう。かといって、全部紙のままでスキャンするだけ、というのであれば、あましシステム化する意味が無い。

この折衷案として考えられるのは、次の通りだ。
  1. 紙による遺書とデジタル遺書の両方を認め、検認の手続きも行う前提とする。例えば、デジタル遺書と紙の遺書が両方発見されたとして、どちらが後に作られたものかをもって最終的に有効な遺書を決定する作業は残す。検認が完了した時点で、有効な遺書が決定するが、これが紙だった場合には、改めてその内容をスキャンし、デジタルで入力するものとする。
  2. デジタル遺書は、単純にマイナンバーポータルから入れば良いというものではなく、いわゆる遺言信託の一形態として設定する。
  3. デジタルにするからには、事前にその有効性は自動で確認しておきたい。抜け漏れ、無効になる、慰留が発生する全ての可能性は、作成時点で検証可能にする。もちろんそのための前提(相続人の特定や年齢、犯罪歴など)も入力が必要だ。
  4. 財産は、項目をいれておけばその時点での価値を自動計算できるようにしておく。例えば通帳の残高や土地の時価などだ。
  5. 死亡通知と共に、相続人への通知が行くように、全相続人のマイナンバーを設定しておく。このために、遺言信託の執行者にはマイナンバーへのアクセスを許可する。
  6. 次に、相続人全員の合意を得て、執行が一部修正される。最終結果がまたこのシステムに載るようにする。
  7. 執行の大部分がオンラインで行えるよう、デジタルになっているものはできるだけマイナンバーに繋げて執行する。
こんなところだろうか。こう書いてみると、まだまだアナログな部分は多く、人手も時間も掛かることが分かる。世の中はまだまだデジタル化の余地がある。

2019年3月16日土曜日

花粉ブロックバイザー


https://www.thanko.jp/shopdetail/000000003233

かなりインパクトのある商品だが、もう少し考えれば普段使いできるのではないだろうか。

だいぶ前だが、「ウルトラマン」で、科特隊の面々が、通常のヘルメットのままで宇宙に出る、というシーンがあった。当然、首のところに隙間ができる。子供心に「空気が漏れてるよ」と思ったのだが、随分後になって解説があり、あれはエアーカーテンによって気密を保つ仕掛けになっているのだそうだ。まあそれだってありえない話なのだが、ここにヒントがある。

要は目と鼻に届かなければよいので、その周囲の空気が陽圧(大気圧より高い気圧)であれば、埃も花粉も入って来れない。必ずしも布で覆わずとも、また隙間があっても良いはずだ。

そこで考えるのが、次のような仕掛けだ。まず、サンバイザーにフィルターとファンを載せ、顔の前面を透明マスクで覆うところまでは同じ。但し、その面積はずっと小さく、口まで届かずとも、鼻の下まで伸びていれば良いし、目の部分は横まで覆われていれば良く、頬を覆う必要はない。

透明マスクは顔には接しておらず、水中ゴーグルのような密閉用のゴムやシリコンもなく、隙間は開いたままだ。但し顔の形に合わせたカーブがあり、その隙間は1cm程度に抑えられている。メガネをしている人が多いことを考慮し、そのスペースは空けてある。つまりメガネの上から掛けられる。

サンバイザーに仕込まれたファンは小さいもので、エアフローも少ないが、鼻で呼吸をする際に入る量の数倍程度は確保される。バッテリーはせいぜい4時間も持てば十分である。バッテリーも軽くし、バイザーの上に乗せられる程度にする。

これなら違和感はずっと少なく、効果は殆ど変わらないはずだ。ぜひ本案見て頂き、サンコーの(来年の?)新作に期待する。

2019年3月15日金曜日

多重生活空間保護


https://japan.cnet.com/article/35132139/
https://japan.cnet.com/article/35117340/

宅配荷物を家の中に置くAmazon Key、留守の間に家事代行を頼むMANOMA。このように鍵を他人に預ける制度が普通に出てくると、家の方も工夫が必要ではないか、と思えてきた。

最初のエリアはAmazon Key用、つまり宅配荷物を置くためだけの空間だ。家の外ではなく玄関内、というのが第一の関門だが、玄関の鍵は他人に委託可能。この場合はAmazonに委託する。当然完全には信用できないので、荷物を置くところしかできない。

第二のエリアは家事代行用で、リビングダイニングである。ここには更に鍵がないと入れないが、いわゆる日常生活空間になる。但し貴重品や機微なプライバシー情報にはアクセスできないものとする。

第三のエリアはプライベート空間だ。多くの場合は寝室が相当する。ここには金庫などがあり、家事代行業者であっても留守の時には入れさせないようにする。

第三のエリアは生体認証がベストだろう。第一、第二に関しては、電子錠だと便利だ。臨機応変に対処できるし、直ちに無効にすることもできる。

この対処は、通常のマンションであっても工夫次第で可能である。通常のマンションなら、玄関を入ると老化に繋がっていて、各部屋にはドアがある。この各々のドアに鍵を掛ければよいから、中古でも改造で対処できる。その鍵がインテリジェントキーであれば、後はソフトで幾らでも対応できる。

2019年3月14日木曜日

何でも防水


https://www.gizmodo.jp/2019/01/the-north-face-futurelight.html

ノースフェイスが出した新素材、Futurelightの記事。撥水でなく防水、また通気性に優れるとのこと。

防水素材としてはゴアテックスが有名だが、こちらは非透水性の生地に微細な穴が開いたものだ。そしてFuturelightは繊維でできている。この違いは大きい。

何が違うかというと、生地がよれた時に皺にならない、伸縮性があるという点だ。ゴアテックスでコートを作るのは簡単だが、下着は難しい。体に合わせて伸縮することが難しいからだ。だがこちらならできそうだ。

今までも防水の靴下は存在したのだが、ごわごわして履き難かった。下着には、登山用のレイヤードはあったのだが、全ては防水ではない。これが全部防水になったら、なかなか面白いことがおきそうだ。

例えば、これで水着を作ってみる。水を通さないから、体を拭き、水着を拭けばもう乾くわけだ。セームを一つ用意するだけで、別に下着を用意せずとも、そのまま泳ぎ、着て帰れる。

近年はウェットスーツよりドライスーツが主流と思われるが、下着がこれであればウェットスーツでも問題ない。となれば、より安いウェットスーツが復活する可能性も出てくる。

これを拡張して考え、下着と上着を全部この素材で作ってみる。雨に濡れても、大部分は上着でハネられる。服の隙間から入った水も、下着には届かない。下着の下まで入ったごくわずかな水は、体温で蒸発して外に出る。首にぴったりの下着にして、頭と手だけ守れば、傘が不要になるわけだ。

手は手袋をすれば良しと考えるなら、頭は帽子があれば良いことになる。同じ素材の折り畳み広ふち帽子、表ポケットには全部フリップを付ける、専用のセーム用ポケットがセットになったジャケットが一つあれば他には何も要らない、といった、新しい雨服が開発できるかもしれない。

まあそこまでせずとも、ごく薄いロングコートと小さい傘だけで年中過ごせるのなら、雨の多い日本の外出は大いに進歩すること疑いない。

2019年3月13日水曜日

大量衛星網と電磁加速衛星


むちゃくちゃな案であることを承知で、衛星の軌道修正に関する提案をする。

将来的に、人工衛星は小さいものが多数の時代になると考えられている。まだ出てきていない提案だが、複数の衛星が協調して動くようなことは考えられるだろう。GPSは複数の衛星が間接的に協調しているとも言えるが、もっと直接的な協調だ。例えば何千何万という衛星が同じ高さに群れを成して大量の写真撮影を行い、地上を立体写真で見せる、といったものだ。

ここまで来ると、個々の衛星の制御を個別に行うのは無理で、自律的な制御が必要になるのではないかと思う。個々の衛星には太陽電池が積まれているから電力はあるが、基本的に姿勢制御はジャイロでできたとしても、位置制御(軌道制御)はできない。

しかし、大量の衛星がある前提ならどうだろう。それらに強力な電磁石を搭載しておき、強さと極の向きを制御してやれば、引き寄せや反発による加速減速ができるのではないだろうか。あるいは、レーザーを撃ち合うことで、反発による位置制御ができないだろうか。

これがあれば、お互いの位置をキープすることは可能だ。つまり、近づき過ぎや離れ過ぎを抑制できるし、高さのズレも補正できるはずだ。勿論これは相対的なものなので、全体として運動エネルギーは若干落ちる危険があるが、その場合は大きな(質量の重い)衛星の力を借りてエネルギーを得ればよい。それらは国際宇宙ステーションなど、従来の(スラスター燃料の豊富な)衛星でよい。

この軌道制御は、ひいてはデブリの位置把握、その引き寄せや廃棄、宇宙船が軌道を通過するときの安全性確保にも役立つ。衛星がわざと軌道上に穴を開けて、そこを通るようにしてやればよい。隕石の落下も、直ぐに検知できる。宇宙をくまなく覆っている小さい衛星であれば、重力の影響を受ける衛星が少なからずあるはずだからだ。

プロジェクト・ブルーのような電磁バリアを設けずとも、この大量衛星網があれば宇宙は安全かもしれない。

2019年3月12日火曜日

指点字手袋


盲聾の人に言葉を伝えるのに、指点字という手法がある。左右の指の三本ずつを点字の点に見立てて、補助者が指の付け根の部分を甲の側から軽くタイプしてやるというものだ。これを機械で、且つ普段から使用可能なようにすることを考えてみた。

まず、ゴルフ手袋のようにスカスカの手袋の甲に、極小の圧電スピーカを配置する。手首にバンドを巻いておいて、そこに充電池とBluetoothを仕込み、圧電スピーカと接続する。それをスマホにつなげれば準備完了だ。

スマホには音声認識ソフトを入れておくが、常時付けっ放しは無理だろうから、例えばAlexaのようなオン・オフのマジックワードを入れておけばよい。本人の名前が良いだろう。つまり話者は、「XXさん、・・・」としゃべれば、自動的に点字翻訳してくれるというわけだ。

実際には翻訳はそう単純ではないので工夫が必要だが、そこは例えばしゃべる人が配慮したやるとか、ソフトの機能性能の向上に期待することとする。

そしてこの逆も可能だ。盲聾の人でも音声で会話できる人はいるが、そうでない場合、今度は圧電スピーカーをセンサとして使い、指文字をスマホに飛ばして音声で再生するのだ。こちらの方が話は簡単だろう。

圧電スピーカーは消費電力も小さいし耐久性も高い。ハードとしては簡単で、ソフトは幾らでも進歩の素地がある。市場は小さいかもしれないが、これは価値があるものと考える。

2019年3月11日月曜日

ロボット労働のパラドックス


  1. 将来はロボットが人間に代わって働いてくれるようになる。人間は楽をして生きられるはずだ。
  2. 将来はロボットが人間に代わって働いてくれるようになる。人間は生活の糧を稼ぐ術を失い、困窮するはずだ。
過去に、自動車や機械、コンピュータなどが発明されるたびに問われてきたこの問題だが、AIとロボットの組み合わせにはかつて無いほどの深刻さが備わっている。その理由は、自動車は空を飛べないし、自動織機にレジ打ちはできない、ということ。つまり今までは抜け道が、それもたくさんあったのだが、AIとロボットの組み合わせではおおよそそれがふさがれてしまう恐れがある、ということだ。

現実問題としては、全体的に見ればバランスは取れていくのだろうと思う。つまり、人間でしかできない労働の価値が上がり、一方でロボットができるものの価値は下がり、その分安く買える(使える)ようになる。単純労働者はいなくなるが、一方でマネージメントの価値は上昇する。誰でも作れるものは売れなくなり、工夫のあるものに高い値がつく。そのうち、単純労働しかできなかった人間は減っていき、誰もが新規アイデアの創出やマネージメントの能力を身につけるのが当たり前になる。今、コンピュータの操作ができることが当たり前になっているように。

ただ、必要な教育レベルが上がる分、教育は長く時間が掛かり、コストも上昇する。それに耐えられない貧乏人は脱落し、本当に何もできない人になってしまう。芸術でさえ、芸人でさえ、コンピュータを駆使する手法が流行れば太刀打ちできなくなる。

放っておけば、その人たちは国にとって「単なるコスト(生活保護対象)」になってしまう。それが少ないうちは良いが、既に無視できない人数になってきているのではないだろうか。

そこで国が取るべき政策は、二つ考えられる。ひとつはそういった人たちへの教育。いわゆるリカレント教育を含む。もうひとつは、そういった人たちでもできるように、仕事の方が歩み寄っていくことだ。業務の創出、ないしはコンピュータの操作を簡単にするなどが考えられる。

リカレント教育については既に国が(遅々として)動いているが、後者については明確な動きがない。ここを明確に定義してカネをつぎ込んで研究しないと、日本は(いや世界は)貧乏人で溢れかえることになる。それはスラム化と隔離を生み、暴動や戦争、疫病などの原因になりかねない。

改めて考えてみようと思うが、ここはもっと研究すべきだろう。まずは危機感を持ってもらうことが重要だ。

2019年3月10日日曜日

印刷する電池で広がる世界


https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1166987.html

印刷できる電極というのはあったのだが、印刷できるバッテリ、しかもリチウムイオン二次電池だというのなら、なかなか興味深い。

これを見て直ぐに思ったのが、基板や筐体に印刷する、というアイデアだ。バッテリのための専用の空間を確保する必要がなく、例えば部品と部品の間の隙間を電池で埋めてやる、というようなことができるだろう。これはシールドとしても機能するし、形状を平準化することにもなるし、場合によってはヒートスプレッダにもなるから、全体の大きさを小さくしたりノイズを減らしたりという製品の性能向上に役立つのではないか。

そしてもう一つ思ったことは、電池の細かい分散が可能になるということだ。バッテリは大きいものがデンと載っているのが今までの常識だったが、これなら細かく分散できるから、これからはそれを前提とした回路設計が可能になる。イマジネーションの世界が広がるわけだ。どちらかというとこちらに興味がある。例えばこんなものはどうだろう。
  1. 本のカバーに電池を印刷しておく。カバーなのでもちろん柔らかいのだが、背表紙のところから引き出せるLEDランプが付いていて、暗いところでも読める。
  2. 服の内側に配置する。もちろん通気用にあちこちに穴が空いているので蒸れることはない。重いバッテリをポケットに入れておくのではなく、服全体に散らばれば重さを感じないし、ポケットが型崩れすることもない。Qi充電パッドをポケットに仕込んでおけば、そこにスマホを入れておくだけで充電できる。
  3. 伸縮式のUSBケーブルに配置する。伸び縮みさせる度に発電し、充電する。大し発電量はないが、キーランプくらいにはなるだろう。同じ発想で、盗難防止の伸縮紐付きのキーホルダーにも仕込める。
  4. E-Inkと組み合わせた、紙のように薄い腕時計。
  5. 印刷するセンサと組み合わせたおねしょ予防パンツ。漏れるとチクチクする。
  6. 光るネクタイなど、ファッション性のある服、アクセサリー。全部印刷でできるなら、小型薄型のもの、デザインも豊富にできる。光るかつらとかも夢ではない。
  7. 道路や建物などへの大規模展開。太陽光発電のバッファなど。太陽電池にも印刷でできるものがあるから、纏めて印刷することで外壁を全部発電可能にできる。
  8. 農地では雑草防止や遮光などにシートが多用されるが、それをこれ(太陽電池+バッテリ)で作る。農作物に当たらなかった太陽光が全て発電に廻れば、エネルギーの有効活用ができる。
他にもまだまだあるだろう。また思いついたら書いてみたい。

2019年3月9日土曜日

取引疑義調停改革


組織からサービスを受け、対価を支払う。その対価の支払いに、代行サービスを使う。代行サービスは更に代行サービスを使っている。これが、今の金融取引の実態なのだが、上手く回っているときは良いとして、そうでないときには困ったことになる。

クレジットカード会社の引き落としで疑問が出たとき、その会社が代行サービスだったときがそうだ。手軽に問い合わせることができず、また引き落とされたことに対して停止したり疑義を申し立てる機能が弱いと感じることが多々ある。

これには、契約と支払いが電子的に一対一対応していないことに一因がある。もちろん定期購読のようなものはあるのだが、これにしても個々の支払いは包括契約に基づくものであって、それが「包括契約である、どんな契約である」というのが分かっていれば問題は無い。これが今は曖昧だ。

ブロックチェーンのようなものでも、まだ包括契約はカバーしていないし、そもそも支払い行為しか追っていない。スマートコントラクトにしても、電子取引のみに閉じていては完璧ではない。ここを完璧にすることは可能だし、それほど難しいわけでもない。

クレジットカード決済、銀行送金、PayPal、仮想通貨、電子マネー、これら全てにおいて、ここは完璧ではない。これを行うために、次のような仕掛けを考えてみる。

まず、改ざん不可能な契約書と送金証明書が必要である。これを見れるのは、原則として契約当事者と送金者(送り側、受け側)である。契約・送金各々に代行者がいた場合、その代行者も閲覧可能とする。もちろん、係った全ての国の捜査機関は、疑義があればこれを閲覧できる。

この契約書と送金証明書は、改ざん不可能、消去も不可能でなければならない。ブロックチェーンはこの保管には適しているが、必ずしも必須ではない。ここではその方法については問わないことにする。

スマートコントラクトと異なるのは、実世界が絡む契約では、どうしてもその契約実行を電子空間だけで完結できないところだ。つまり、契約と送金が証明されても、契約の履行は証明されない。例えば紛い物を送り付けられたり、そもそも何も届かない、建築契約なら途中で放棄される、よく調べてみれば買ったはずのものに別の抵当権が付いている、などだ。逆に、難癖を付けられる可能性だってある。

契約履行証明は、契約先が契約書と送金証明書に紐付けて発行するのが望ましいが、それでも疑義がある場合は第三者調停が必要となる。つまり、契約書、送金証明書、契約履行証明書の三点にIDを付けて改ざん不能な形で保管しておき、調停第三者がどちらかの申請により閲覧できるようにする、というのが良いことになる。

調停第三者は、そういった調停を多く記録しておいて、統計的にどちらが正しいかについて判断し、見解を提示する。例えば過去に多くの調停が発生した者(トラブルが多い者)の方が疑わしいと考えるし、証明書以外の証拠を多く提示した者なら信頼できるだろう。もちろんそれには拘束力はないので、見解に従わないと分かれば即裁判に持ち込めるようにする。

具体的に例を挙げると、契約書はAmazonの購入手続き、支払いはクレジットカード明細、契約履行は宅配業者の配達証明、となるわけだが、この各々が紐付けられているというのがミソだ。各々に単純に番号が振ってあって、その相互接続ができている、というだけでもよい。それならシステムをそれほど弄らずに対応できる。このレベルではまだ「改ざん不能」とまでは言えないが、少なくとも直ちに追跡ができることにはなる。

調停第三者は、まだ日本では本格的に稼動していないが、例えば弁護士が組織化して新しいビジネスとして立ち上げることもできるはずだ。これは例えばAmazonなど複数の通販業者と連携する(単独だと逆に疑義が起こりかねない)ことで、広く薄く経費を徴収すればよい。これは広く言えばAmazonマーケットプレイスの信用調査を兼ねることにもなる。ここが優秀ならトラブルは減り、信用もまた上がるというものだ。

ここまで手続きを簡単にすれば、決着が素早くなり、社会の効率化ができる。またこれは、契約の良質化に繋がるはずだ。即ち、契約不履行や詐欺の類は減少するだろう。

2019年3月8日金曜日

カメラ一つで


単に写真を撮るだけでなく、書類を撮影して補正の上スキャン画像のように平らにするソフトや、QRコードやバーコードを認識して読むソフト、概観からそれが何であるかを特定するソフトなどが出てきている。

他にも、パノラマ写真を自動合成する、部屋の間取りを3Dモデル化する、モーションキャプチャする、余計なものを消す、動きなどから人物を特定したり、怪しい動きを見つけるなども可能になっている。

今後も、カメラで対象を撮影するだけで色々なことができるソフトが増えてくるだろうが、そうすると困るのが、目的別にソフトがバラバラになってしまうことだ。

単純には、バーコードを読むときにはカメラソフトではなくバーコードリーダーソフトを立ち上げなければならない、ということなのだが、一つならまだしも、ソフトが何十と増えてきたら、まずそこで迷ってしまう。何でもカメラを向けておけばよい、という風にしてほしいのが本音なのだが、そこにはどんなことが必要なのだろう。

そこには、恐らくAIが絡んでくるのだろう。とにかくカメラボタンを一つ押して立ち上げ、映ったものを撮影する。するとAIが作動して、何が映っているかを概略で把握し、そこから先に何をするかを推定する。

例えばこんなインターフェースだ。スマホの横にボタンがあり、これを押すとカメラが起動する。画面はカメラ映像になり、通常の「静止画シャッター」「動画シャッター」「設定」のようなボタンの他に、映像の認識をリアルタイムにしつつ、その時に可能な操作のアイコンがどんどん現れる。

QRコードが映っていて、その内容がURLなら、リンク先に飛ぶためのボタン。商品が映っていたらAmazonへのリンク。建物が映っていたら概要や営業時間かどうか、混雑度などの表示。書類や写真なら画像処理して平らにし、整理した上で指定フォルダに落とすかどうか。交通標識なら意味と翻訳。友達の子供が写っていたら添付して転送するメールを自動生成。空が写っていたら天気予報。マンナビの途中なら案内方向の矢印。など等。

そういう意味では、カメラは今やユーザーインターフェースと言っても良い。画面のタッチと同じように、映像インターフェースのようなものを定義して、OSに積んでおくべきではないだろうか。

2019年3月7日木曜日

Really Intelligent Agent


IntelのOpenVINO、OpenCVのデモを見ていて思ったのは、学習済みで新たに学習の必要がないAIって、単なるライブラリに過ぎないよねー、という(いわば当たり前の)ことだった。AIはバズワードにはならず、常識として既存のアプリの中に溶け込んでいっている。

AIの一つの用途は現状認識の高度化だった。つまり、画像に人物が映っているかどうか、それが誰か、などだ。そこから何をするかはまた別の話である(そこにAIがいることもあるしいないこともある)。これだけにAIを使っても、そこそこ業務改革は続くだろう。しかしこれではちょっともったいない。

優秀な社員とそうでない社員の一つの違いは、気付きとおせっかいだ。言われたことを忠実にこなすだけでは、まだ一流ではない。顧客(上長、仕事の指示者)の意図を見抜き、与えられた情報をより詳細に見て、より高度なことができることが、一流の条件だろう。

これには二つの側面がある。まず気付き。例えば、「怪しい人物を見つけて通報する」というシステムがあったとする。この「怪しい」の定義は、学習済みAIには既に与えられている。しかしその定義は、当然プログラマや学習結果のレベルに依存していて、精度も固定されている。

これに対し、例えば別の目的のAIの学習結果を突き合わせて精度を上げることが考えられたとしよう。例えば病院のAIと突き合わせて、具合の悪い人や特定の性癖の人を除くようにすれば精度が上がるだろう。

これは、学習済みAIにおいては、開発元が思いついてプログラミングし直す、学習し直すことによってのみ実現できる。しかしAIに最初からその機能があれば嬉しいはずだ。

もう一つのおせっかいも同じだ。上の例で言えば、目的は怪しい人の抽出なのだが、具合が悪い人は別の意味で抽出すべきだろう。その時、新たに抽出時の属性を増やす必要がある。「指名手配」「スリ」「痴漢」等の他に、「具合が悪い」を付け加える、という具合だ。

しかし、通報先が誰かによっては、その判断は「余計なお世話」にもなり得る。単純に「これをしてやれば、より良い結果になる」とは限らない。これもAIが判断してくれたら嬉しいだろう。

こういった「高度なこと」をするためには、「業務に必要なデータ」以外のデータまで入力する必要がある。そして命令も、「その意図」まで入力しなければ判断できない。これは、単純なプログラムライブラリやファンクションではそもそも不可能だ。

ではその情報はどこから取ってくるべきなのだろう。与えられた画像データから認識できる情報はいろいろあるが、それだけで足りるとは限らない。人間が仕事をする場合には、この手法は主に二つある。

ひとつは、その人がその指示を受ける以前に行ってきたあらゆる業務や、それに限らない一般的な知識や体験の全てである。そしてもうひとつは、まだ知らない知識や興味に対してアクティブに動く、つまり調べることだ。

そのためには当然、権限や記憶を豊富に与えてやらなければならないし、一方でその情報の扱いについては配慮が必要である。人間なら「常識」「学習」「地頭」などがあるけれども、今のAIにはないから、アーキテクチャから構築してやらなければならない。

例えば単純にプログラムしてしまうと、際限なく学習を始めて破綻したり、セキュリティ上の問題を引き起こしてしまうかも知れない。叛乱する人工知能にだってなりかねない。抑制の方法含め、色々考えなければならないはずだ。

今でも知的エージェント(Intelligent Agent)という言葉はあるらしいが、上の概念にはまだ届いていない。そこまでできたAIを目指すのは当然だが、一方で叛乱の恐ろしさも現実味を増すわけだ。まだぜんぜん先は分からないけれども、見たい気と見たくない気と、両方の感情が葛藤している。

2019年3月6日水曜日

ファクトチェッカー


ある意見に対して賛成か反対か、各々の立場での論点整理をするAIというものが存在する。

http://www.hitachihyoron.com/jp/archive/2010s/2016/04/08/index.html?WT.mc_id=ksearch_1604_13

これと同じように、ある短い文書(例えば「南京大虐殺はなかった」という主張)に対し、それが本当のことかどうかを全て自動でチェックする、ファクトチェッカーのようなものが作れないだろうか。

意見に対する賛成反対というのより難しいのは、根拠となる文書の信頼度を測ることだ。人気はGoogleエンジンなどでも使われているが、人気が有るからといって正しい情報とは限らない。むしろフェイクニュースの方が早く広まるという論文もある。従って、別の仕掛けが必要である。

方法は幾つか考えられるだろうが、大まかな方向性は二つだろう。ひとつは、「信頼できる人の発言は信頼できる」というもの。信頼できるとされている人の多くが支持しているなら本当だろう、という考え方だ。もうひとつは、発言の中身の論理的整合性をチェックするもの。例えば根拠を探し、その根拠が正しいかを検証する。複数の発言の間に矛盾が無いかどうかをチェックするというものだ。

これらはどちらか一方ではなく、両方が切磋琢磨しながら、場合によっては相互に連携しながら精度を上げていく方向性に向かうのだと思う。例えば前者ならどうやって信頼できる人を評価するのか、後者は正に文章の意味を理解しなければならないし、根拠にも根拠が、と永遠にいたちごっこが続くかもしれない。

ここにも一つアイデアはある。結果に対する機械学習ではなく、手法に対する機械学習を積み上げるのだ。つまり、色々な手法を強化学習で試していくのである。

残念ながらゲームのような明確なゴールを自動で示すことができないので、ここは人間が判断してやる必要があるのだが、「この問題にその論拠では不足だ」「少ない論拠でよくここまで出せた、すばらしい」といったアナログな点数を付けてやる。

そうすると、例えば物理学が得意なファクトチェッカーとか、政治家の発言について得意なファクトチェッカーとかが出来上がっていくかもしれない。少々間違っていたとしても論拠が提示されれば読者が判断し、点数を加味してやるとか、方法はいろいろと考えられる。

2019年3月5日火曜日

なぜ三つ折にしないのか


折りたたみ式のスマホが何社かから出ているが、何れも不満である。

外折のものは両面がディスプレイになってしまい、扱いにくい。内折のものは閉じた状態では使えないから、更に補助ディスプレイがついているが、これがサブディスプレイの扱いで小さく、使いにくそうだ。また、何れも縦横比が正方形に近い。広げたときの面積も、まだ狭い。

外折と内折を組み合わせた三つ折なら、この両方を一度に解決できる。例えば左を外折として閉じた状態でのディスプレイとして、真ん中と右を内折にすればよい。折りたたみとしての技術に変わりはないし、これなら横長にできるし、折りたたんだときに細長くなり過ぎることもない。10型近くにまで大きくできる望みもある。

折りたたんだときの厚みは多少増えそうだが、それでも今の3倍ということはないだろう。何とかポケットに収まると思うし、これは技術の進歩が解決してくれるはずだ。

三つ折の登場を切に願う。

2019年3月4日月曜日

家庭用フリーズドライ機みたび


家庭用フリーズドライ機再び 」を書いたとき、なぜ思いつかなかったのだろう、とちょっと後悔してしまったのが、容器の話だ。

前回は、真空パック用の使い捨て容器を提案した。しかしこれではランニングコストはそれなりに掛かる。常温で保管できるとしても、不定形の袋では保管が難しいなどもあるだろう。

今回の提案では、家庭用の保存容器として、例えばジップロックコンテナーがそのまま使える。パッキンなどの完全密封は不要で、市販のものなら何でもよい。エージレスは引き続き必要となる。これで上手くいくはずだ。

使い方は簡単だ。フリーズドライした食品をコンテナーに入れ、エージレスを入れ、ふたをする。これだけだ。取り出す時には雑菌の付着を避けるために手を洗って、あるいはトングや菜ばしなどを使うように気をつけるが、外気にさらされることは気にしなくて良い。常温で保管できるので、ストック棚に積み上げていてよい。水戻しはそのまま容器に水を入れて待つだけでよいし、前回提案のように家庭用真空パック器 真空パックん plusのマリネ機能を使えば素早く戻せる。

なぜこれで上手くいくのか。前回の議論で、容器にはガスバリア性が必要だ、と言った。普通の袋では酸素を透過するので、ナイロンが素材に使われていなければならない、とも説明した。だが、この場合は必要ない。ガスバリア性は不要、密閉も不要だ。なぜか。
真空パックの場合、当然内部の気圧は低くなるので、外気にさらされた場合にガスバリア性がないと、空気が入り込んでしまう。しかしこのような定形の容器の場合、内部の気圧は外部と変わりない。エージレスによって酸素が減ると若干入ってくるが、その中の酸素もエージレスによって吸収されるから、結局、中の気圧は外と釣り合って落ち着き、しかも自然に中は窒素で満たされるのだ。

容器は洗って再利用可能になる。メーカーも素材も、好きな形も選び放題だ。ランニングコストはほぼエージレスのみとなり、容器を積み重ねても崩れないから、市販の棚も使い放題だ。

どうだろう。ここまでくると、俄然使いたくなってくるのではないだろうか?家庭用フリーズドライ機の登場を切に願う。

2019年3月3日日曜日

AI-OSの機能


以前「OS-AI、APP-AI 」などでも少し議論したが、OSが全てAIになるとしたらどんなものになるのだろう。

OSというからには、目的別のプログラムを切り替える役割を持つべきなのだが、これは旧来のOSの考え方だ。AIの場合、ファイル・ロード・実行といった概念そのものから考え直す必要がある。

結局これは「汎用人工知能」(AGI)と言っても良いのかもしれない。ただ、少なくともその初期においては、全知全能の神ではないし、提供者によって異なるAIを使い分ける(そして料金が掛かる)ようなモデルになるはずだ。つまり、やはり買い切りや月額サービスとしてのXX-AIがあって、その使用権を買うということになる。

しかし、それがデスクトップのアイコンになって、タッチすると起動する、というのであれば、従来のOSでも良いことになってしまう。OSがAI化するのであれば、その主なインターフェースはOSが担い、共通部分はOSが処理する、というのでないとおかしい。

AIに関して言うと、チャットや音声が主なI/Fになるというのはかなり確度が高い未来だ。そこには「その人が何を求めているのかを解釈する」という機能が入って然るべきである。これはXX-AIではなく、OSの機能であるべきだろう。

また、この時代には、アプリケーションを完全に切り替えるのではなく、各々のAIが協調して欲しいと思うはずだ。例えば業界によって使い方が異なる、単語としては同じ言葉をどう解釈するのか。それは文脈によるべきであり、複数のXX-AIに丸投げして一番確度の高いものを採用するとか、文脈からある程度絞り込んで答えさせるような仕掛けが必要だ。また、あるAIからの答えを別のAIに繋ぐ、といったことも必要になる。これもOSの役目だろう。

更には、話者が誰かによって対応を変えるというのもOSの仕事だ。子供に成人指定の言葉を返さないようにする、適切な言語を選ぶ、知的レベルによって説明を変える、許された権限の中で答えるというのも、OSの仕事だ。当然、話者認識も必要になる。

XX-AIからの出力を、そのままユーザに見せるということもないと思う。例えば言語だ。OSの機能に期待して、サービスからの出力は中間言語に留め、表現に関してはOSが工夫すべきではないか。例えばユーザが歩行中なら全て音声にすべきだし、一緒に聞いているイギリス人がいたら英語で返す、ディスプレイの大小によって表示を変える、などは、今やOSの仕事ではないかと思う。

これらにはもちろん仕様決めが必要だが、お互いがAIであれば、これは緩いものになっていくかもしれない。旧来のようにAPIをきっちり決めなくても、自然言語でまずやり取りする、といったようなスペックになるのだとすると、これはこれで面白そうである。

2019年3月2日土曜日

イージーファブラボ


以前、「組立工場コンテナ」というのを考えた。また、「最後に完成するデリバリー」というのも考えた。これらは規模や粒度が違うだけで、基本的な考え方は一緒だ。完成品を買ってくるのではなく、部品や材料だけ買ってきて、完成させるのは自宅で、あるいは自宅近くで、という発想だ。

組立工場コンテナと最後に完成するデリバリーの中間に当たるものとして考えたのが、題記のイージーファブラボである。前者がある程度大きい造作物、例えば家具や服、靴を考えていたのに対し、これは中間的な大きさのものを作る。

ここに相当するのは、カトラリー、消耗品パーツ、文具、台所用品などだ。何とか手で持って帰れる程度の大きさで、そんなに頻度はないがそこそこ買い換える、あるいは気分で使い分けるようなものになる。

現在でもファブラボは存在しているが、どちらかといえばマニアックな存在に留まっている。その原因は、「機械だけ置いておいて自由に使わせる」という発想だからだ。もっと素人に軸を置いて、「こんなものが作れる、カスタマイズできる」という発想、つまり機材は全てスタッフが操作し、ユーザは組み立てるだけとか持ち帰るだけ、というコンセプトにしてはどうかと思う。

これを大型ショッピングモールの一角に設置するとした場合に考えられるモデルとして、基本的はごく少数のモデルを展示し、カスタマイズの範囲を合わせて提示する、場合によっては計測する、といったものが考えられる。
  1. 手持ちの棚の大きさに合わせた引き出しや、埃避けのショーケース。あらかじめスマホのソフトで置く予定の場所を撮影すれば、サイズを自動計測してくれる。
  2. 同じサイズの食器の一枚が欠けたとき、同じサイズ同じ色の食器を作ってくれる。あるいは、あちこち見て回るのではなく、サイズと色と形から、一発で欲しい食器を選ぶ。
  3. 欠けたパーツや消耗品の型番が分かれば、それを入力するだけでその場で作ってくれる。あるいは、例えば掃除機は付属品なしで買い、欲しくなったらその都度作ってもらう。スマホのカバーを、手持ちの写真を入れて作ってもらう。
  4. ペンダントや髪飾りなどを、探し回るのではなく最初からカスタムで作ってもらう。
こんな感じから始めて、対応できる品数を少しずつ増やしてやる。そんなチェーン店ができたら、と思うと、なかなか興味深い。

2019年3月1日金曜日

一対一リモコン


リモコンのスマート化で気に入らないのは、常時電源供給が必要なリモコンを一つ、目立つところにデンと置かなければならない、ということだ。そこからあらゆる機器が見渡せるところなんてそうはないし、もしあっても目だって、邪魔でしょうがない。ケーブルを引っ掛けるのも心配だ。

そうではなく、電池で動き、できれば太陽電池などで一度設置したら触る必要すらなく、機器毎にすぐ近くに置く、つまり複数設置する、という形にして欲しい。

これはさして難しくないはずだ。通信には低消費電力の規格があるし、赤外線の消費電力はわずかである。機器毎に設置すれば、一つ当たりの稼働時間は少ないはずだ。

問題は大きさと価格であろうが、むしろ大量に作った方が価格は下がるのではないか。多くの家庭では、①AV機器②テレビ③照明④エアコン、の四つがあれば良いと思うので、4つのセットにしてもらう。これならそれほど高くはなるまい。

中央サーバのような機器は必要だが、これはリモコンのどれか一つが対応すればよい。電源が取れるところにある一つをそれにして、後は全部子機にする。もちろんスマホで操作する。

このくらいなら大した開発もせずにできると思うのだが、どこか作ってくれないだろうか。

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