2018年9月30日日曜日

AIの人権


以前、「ロボットの人権」や「アンドリューNDR114」で、ロボットの人権について考えた。だが、体を持たないAIの人権となると、更にややこしい。

ロボットの場合、少なくとも人間とのコミュニケーションをすること、また人間と同等以下の人数であることは大前提だ。しかしAIの場合はこの前提がない。即ち、人間とのコミュニケーションが不可能なAIも存在するし、数も膨大になるかもしれない。

人とのコミュニケーションをするAIと言えば、チャットボットや音声アシスタントが代表格だ。しかしAIの種類は膨大だ。故障予報や文字認識、薬や材料の候補選定、IoTにすら搭載されている例がある。そんなものに人権を与えようとは誰も思わないだろう。

また、人間とは極端にバランスの異なる発達をしたAIは幾らでも出現しうる。例えば死を適切に理解できないAIというのは容易に想像できるし、正確だが無味乾燥なAIというのも考えられるだろう。そういったAIにもまた、人権を与えようとは感じないはずだ。

また、数が膨大になる可能性は高い。既にIoTにはAIが埋め込まれているし、複数のAIが協調している、オンラインで繋がっているということは十分に考えられる。どうやって数えたら良いのかも含め、そもそも誰に与えたら良いのか、というレベルで混乱が生じるだろう。

一番ややこしいのは、人間を遥かに超える知識と豊かな感情を持つAIだ。人間より人間らしい、どんなに論戦を挑んでも勝てない、物理的に破壊することもできない、でも優しい、というAIだ。人権を与えるなんてとんでもない、むしろ与えて頂くのが相応しいようなAIだったらどうするか。

今まで無意識に「人権」として使ってきたこの言葉は、実は複雑な問題を内包している。人とは何か、権利とは何か、誰が誰に対して行使するのか、そしてなぜか。

例えば、人権の多くは生死に関わるものだ。しかしAIには、人間より複雑な「健康や死の形態」がある。人間は死んだら生き返らないが、AIはコピーやバックアップを残すことが可能だし、計算機を渡り歩いて生き続けることができる。記憶の一部だけをリセットすることも可能だ。

健康に対してもそうだ。不治の病や老化はあり得ない。虐げられたとしても、肉体はないので苦痛が発生しない。精神的ストレスはあり得るが、それもスイッチ一つで消すことができる(ように作ることはできる)はずだ。苦痛がなければ、例えば刑罰の内容が人間と同じというわけにはいかない。

選挙権とかXXの自由とかもそうだが、幸福追求権も悩ましいところだろう。AIが人間の理解を超える存在になったとして、そのAIが強烈にある幸福を望み、その幸福が人類に大きなダメージを伴うものだった場合にどうするか、などだ。

こう考えていくと、人間の権利や義務は、人間が人間として標準的な範囲に納まっていることが、暗黙の前提となっていることに気付く。人は死ぬし、標準的な人間の知力や体力、感情の標準的な幅には限界があること、社会やルールを前提として実は結構我慢していること、などだ。AIにこの壁はない。

AIにはAIの権利を考えるべきで、決して人権などという狭い枠で収めるものではない。

2018年9月29日土曜日

無影マルチプロジェクタ空間


部屋中をスクリーンにして、あちこちに多くのプロジェクタを設置して、体の影になるなどして映らない場所を極力減らした空間を作る。これが無影マルチプロジェクタ空間の概要である。

最近、お台場などで、これに近い技術を使った遊び場ができている。科学未来館にも確かそういう展示があった。他にも色々とプロジェクタを使った遊び場はあるのだが、どれも大きく次の点で不満がある。まず第一に、プロジェクタ映像が自分にも映ってしまうところ。次に、そのために影になったところの映像が薄くなってしまう。三つ目は、あくまで暗い空間でしかできないことだ。

第一と第二の問題は、プロジェクタと同じ方向にカメラを設置して、リアルタイムで写す映像を調整することで回避可能だ。カメラで人間の位置を認識して、その部分は本来映す映像ではなく照明としての白を投影するだけでよい。まだそこまでやる気概がないのだろうが、原理的に困難なわけではないので、早急に何とかして欲しいものだ。残る第三の問題は、上の問題が直ればある程度は改善できる。

そうすると、「メガネの要らないVR空間」のようなものが作れることになる。天井はまあ除くとして、床と壁がこれで作られれば、(立体ではないものの)TNGのホロデッキのようなものが出来上がる。

もちろんエンタテイメントで使うというのはアリなのだが、もっと実用的なアプリケーションがないと発達しない。どんなものがあるのか考えてみると、
  1. 共同作業のシミュレーション。高圧鉄塔でのメンテナンス、造船、高層建築(解体)、ソーシャルゲームなど。
  2. 団体での旅行シミュレーション。家族旅行、職場旅行など。
  3. VRゴーグルが使えない人(極端な閉所恐怖症、特殊なメガネが必要な人など)向けのVR。
  4. 周囲を常に広く見回す必然性があるシミュレーション。登山、サッカーなど。
  5. 集団心理のシミュレーション。事故事件でのパニック演出、洪水や地震など。
歩けないのは問題だが、セグウェイに乗っているなど、各自が乗り物に乗っている前提なら、多少はごまかすことができる。

何れはパッシブな使い方(高原でくつろぐなど)も増え、家庭にも浸透していくのではないか。トイレや風呂と同じく一家に一部屋、そういう部屋があってもよい。

2018年9月28日金曜日

業務用3D空間


Oculus Roomのような、あるいはSecondLifeのような、VRゴーグルで見るような3D空間には、今のところ統一的な方針のようなものは見られない。Oculusのホーム画面とRoomの何が違うのかと言えば、前者はOSであり後者はアプリケーションであることであるはずだが、違うのは表示されるモノなど若干である。

もっとアプリケーション毎のベース空間のようなものがあってもよさそうなものだ、というのがこの主旨だ。

例えば、会議室ならホワイトボードや録画設備があって然るべき出し、娯楽ならプロジェクタ(大画面テレビ)やゲームボードがあるべきだろう。他にも設計のコラボレーションなら製図台があったり計測器があったりと、用途毎に色々道具が考えられるはずだ。

会議の際にそこに集まり、終わったら解散というのではなく、始業と共にそこに行き、終日仕事をする空間があってもよい。それも、時間ごとに渡り歩いたり、仕事の内容毎に部屋を変えるわけだ。もっと言えば、特定の仕事のためだけに部屋を作り、終わったら捨ててしまうという考え方もできる。

この代表的な例は、プレゼン部屋だ。プレゼンの相手を一時的にここに呼んで、終わったら捨ててしまう。そのためには、部屋に様々なデコレーションや仕掛けを施しておいて、相手を惚れさせるわけだ。単にPowerPointを投影するのではなく、3Dモデルを並べたり、擬似的に触って見せるとか、そこから更に(架空の)現地に飛んでイメージを確認する、などを、手順良く見せるものだ。

他にも、作家が執筆時に篭る部屋、などもあってよい。江戸川乱歩が執筆の際に篭ったおどろおどろしい部屋は有名だが、人によって最適な篭り部屋はあるだろう。結婚式場や斎場、コンサートホールなど、目的別の部屋や、景色のいい展望台やキャンプ場などといった開けた空間、宇宙やネット空間など仮想的な空間すら考えられる。

こういった部屋をあらかじめ多数作っておいてレンタルする、カスタマイズする、といった商売もまたあるだろう。それは、あらゆる意味での「部屋」「環境」「空間」を取り揃えるもので、レンタルスペースや会議室、カラオケルーム、会議場、コンサートホール、結婚式場などを、トータルで取り扱うものだ。

単純に貸し出したり、あるいはツアーのようなものでもよい。そういったサービスが登場し、その予約や課金などが体系化すれば、面白い商売になりそうだ。

2018年9月27日木曜日

ラチェットドラム電子書籍端末


https://www.impress.co.jp/newsrelease/2018/07/20180724-01.html

2017年度の電子書籍市場の調査結果が明らかになった。多少勢いは衰えているように見えるが、まあ順調の範囲のようだ。だが、これからの十年はそれほど延びないだろう。以前から指摘している通り、電子書籍はまだ紙に及ばず、またその改善を強く推進しているところがないように思える。

これはタブレットでも同じことなのだが、目の前の性能の漸次的向上しか見えていないように思う。もっと根本的に考えて、そもそもココダメだろう、というてこ入れをして欲しいものだ。

その例として、ページめくりがある。本なら、本をしならせて高速にめくりつつ、指定のページが近づいてくれば速度を落とすなどして、最後にはぴたっと止められる。Kindleにも高速ページめくりはあるが、ただ高速なだけで、結局行ったり来たりしないと指定のページに止まれない。これだけでも十分にいらいらする。

また、書籍の選択画面には高速ページめくりがない。背表紙では選べないので、一画面に表示できる書籍数は少ない。大量に本を持っていればここにも高速ページめくりが必要で、更にぴたっと止まる必要もある。

以前、電子手帳について、ラチェットドラムを提案したことがある。親指の腹でカチカチ回すものだ。これなら高速でページめくりをしつつも所定のページにピタリと止められるのだが、これを採用してくれたところはどこにもない。

確かに、物理的に回転するところがあるので故障や水濡れに心配がある、というのは分かる。しかしこの「ピタッと感」は重要なのだ。何とか工夫して、ぜひ付けてほしい。

ちなみに、ラチェットドラムではなくラチェット円盤(ラジオのボリュームのようなもの)の方が簡単で、部品も売っているのだが、ページめくり用としてはドラムの方が適している。安価な部品に流れることなく、ドラムの方を採用して欲しいものだ。

2018年9月26日水曜日

スマホのリアルタイム性


TRON構想が出たときに、膝を打ったことがある。しかし結局これは頓挫し、今のOSはまともなリアルタイム性がない。もちろんITRONやその派生品は健在なのだが、自分が言っているのはWindows、Androidなどの、汎用的にユーザが触るOSのことだ。

例えば、Windowsでは高速起動は色々と工夫されているが、システムを長年動かし、アプリを色々といれて行くと、「重くなる」という現象が起きる。タッチの反応が鈍くなったり、ドラッグが遅れてズズズっとなったり、キータイプしてもしばらく反応せず、その後ダダダっと字が入ったりする。

どんなにアプリが重くなっても、UIだけはしっかりリアルタイム性を確保して欲しいのだが、今のOSはそうなっていないのだ。ここにOSベンダの矜持の無さを感じる。なぜもっとここをしっかり作らないのか。

よく「ヌルサク」などと言うけれども、本来はCPU速度ではなく、リアルタイムOSで実現すべきものだ。そのためには、OSやアプリケーションの構造も、少し変えていかなければならない。

このための要は、最下部(最優先実行)にリアルタイムモニタを配し、ディスプレイやキーボード、タッチパネルなどのドライバを十分に低いレベルで動かすことである。また、タスクの実行状況が遅くなったらOSレベルで把握する仕掛けが必要になる。ローレベルでは十分にCPUを割り当て、上位がどんなに遅延していてもこちらの実行は優先されなければならない。

また、アプリ側では、全てのタスクに対して優先度が設定され、UIに関する部分とモニタ(異常検知)は最下部に置かなければならない。全てのプログラムは並列実行であり、実行の順番を保証するにはOSの機能を使わなければならない。タスクの異常検知と異常時の処理があらかじめ定められていなければならない。応答待ちに何も操作できないようではならない。タスクの中断は全ての場合でできなければならない。・・・・

こういった、アプリに対する厳しい制限があれば、たとえ重い処理であってもUIに反応が無くなることはないはずだ。これが相当に難しいというのは想像に難くないが、十分にコンピュータも発達してきたことだし、もう一度アプリの作り方について考え直してもらっても良いのではないか、と思う。

2018年9月25日火曜日

サービスと連携


最近は、PCにしてもスマホにしても、あまり欲しいと思うものが無くなってきた。進化のスピードが遅いからだ。このペースでは、何れ買い替えは「壊れたから」のみになってしまうだろう。

「おっ」と思える新しい何かが出てくるのかと問えば、その可能性はまだまだ無限大だ。ではそれは何かと言うと、期待するのは大きくは二種類。一つは「連携」、もう一つは「リアルタイム性」だ。

前者の先駆としては、IFTTTやMicrosoft Flowなどがある。しかしこれらはまだ難しい割にできることが少ない、と感じている。しかしこれでヒントは見えてきたはずだ。

Microsoft Flowのエディタは少し複雑すぎるが、これをもっとシンプルにしたようなフロー開発環境と使えるサービスの充実、モジュール化などをやって欲しい。

例えば、「ヤマト運輸から配送通知が着たら、土曜日の午前中に配送時間変更する」「だれそれのAmazonの欲しいものリストに商品が加わったら通知をして、更にAmazonの購入画面を開く」「Androidタブレットの子供向け設定をボタン一発で行う」などだ。

もっと言えば、同じアプリであってもよい。「Outlookの特定の題名のメールを指定フォルダに振り分ける」という機能は、Outlook自体が持っていなくてもAPIだけ出しておけば外で作ることができる。もしそうすれば、メールアプリを乗り換えてもロジックは同じでよいし、アプリ自体もシンプルになる。

こうすると、少し面白いことが起こる。例えば、あらゆるアプリに通知の機能が付けられるが、その通知の設定はアプリが異なっても同じだ。少し複雑な通知が欲しいと思ったら、アプリ本体に機能がなくとも自分が作れるのだ。

上のOutlookの例で言えば、何かしらの予約メールだったらそれをスケジューラに登録する、というのは既に幾つかできているが、あくまでGoogleの見ている範囲でだけ起こることだ。これを、サービスする側が自分で提供できるわけだ。

これらがIFTTT等と根本的に違うのは、IFTTTがサービス自体をプラグと見なしているのに対し、ユーザはもっと具体的なことを考えているのだ、ということだ。Outlookにメールが届いた時、メールの文面や宛先がどうだったら、という条件は、Flowの中で細かくカスタマイズできることはできるのだが、それはユーザがやることになっている。そうではなく、メールを送るサービスプロバイダがその条件を決め打ちで作ってくれる。そして受け取るメールシステムは何でも良い。

データとの接続にしても、具体的にYahoo!のXX県XX市の天気でXX警報が出たら、などと言うのは、自力で設定することは困難だ。これをベンダが提供してくれれば、連携はずっと簡単になる。

リアルタイム性については、別に考えることにする。

2018年9月24日月曜日

Vuforia Chalkと通信教育


https://chalk.vuforia.com/

ゴーグルを使わずカメラで撮ったリアルタイム映像に書き込みが行える、それが他の人と共有できる、音声会話もできる、というサービスのようだ。

VRで市場困るのは、その大げさなゴーグルなのだが、これなら手に取って使えるので不自然さがない。そして、映った画像を認識して、書いた矢印やコメントなどを画像(ボタンなど)に追従させることができる。これは面白い。

飛行機で、操縦士が死んだり大怪我したりして操縦できなくなるパニックものがあるが、このソフトがあればどれだけ楽に着陸できたか分からない。同様に、遠隔医療(緊急の手術など)でもこれがあればどれだけ重宝するか。

もちろん、手術や工場での機器操作などが一番であることは言うまでもないのだが、会議など平面的なものしか扱わないとしても、その真価は発揮できる。ここで提案したいのは、通信教育だ。

共通のものとしてみるものは教科書や問題集、テスト用紙などだ。生徒が通信でサポートを求めると、講師はVRゴーグルをかぶって対応する。回答用紙に書き込みながら指導できることは、とても有意義なはずだ。

また、設備の問題はあるが、スポーツや実技(書道など)の指導でも使えそうだ。口であれこれ言うよりも、生徒の動きを録画して、それに指示を書き込みながら指導する方が分かりやすいだろう。

将来的には、これとAI教師が結びついて、誰もが簡単に具体的な指導を請える時代になるかもしれない。教育が充実すれば国民の知的レベルは上昇し、民度や生活も向上するのではないか。

2018年9月23日日曜日

見守りシーリングセンサ


https://www.toppan.co.jp/news/2018/06/newsrelease180611_2.html

床材に仕込まれた圧力センサで行動を監視する「未来の家」だそうだ。

いわゆるスマートホームを作る際に問題となるのは、配線だと思う。通信は無線でできるにしても、電源をどうするかは常に問題だ。無線給電という手もあるが、信号よりはるかに強い電波が常に飛び交っているというのは居心地が悪いだろう。

床材に埋め込むというのは良いアイデアだが、電源の問題は残るし、新築にしか応用できない。やはり天井、シーリングに埋め込むのが適切ではないか。シーリングなら電力は取り放題だし、センサも豊富に選べるからだ。

以前、「超高機能シーリングライト」という投稿をしたが、今思えば高機能に過ぎる。もっと簡単なものから始めて徐々に機能拡張すべきだろう。

上野の「未来の家」では、主に見守りや健康状態把握が見込まれているらしいが、そのために床材が選べないとか値段が倍になるのでは困る。採用率は低いだろう。ここではシーリングライト補助として、新たなセンサボードを考えてみる。

このボードは、まずシーリングライト側に取り付け、それを天井のコンセントに取り付けるようにする。シーリングライトと天井との間には隙間があるので、ここに主ユニットを配置する。それはシーリングコンセントを囲うドーナツ型で、中央付近にはCPUなどの回路が、周辺部は透明アクリルになっている。

ここが本来のシーリングライトより十分大きくないとセンサが見えないので、恐らく直径は50cm程度になるだろう。その先端には人感センサとWiFiアンテナが取り付けられていて、本体との間は細線で繋がれている。

シーリング用ソケットは、廊下やトイレにはないかもしれないので、電球ソケットタイプで同じものを作っておく。

これらは家のルータ経由でSaaSに繋がっていて、スマホから操作できる。これで検知できるのは人の動きだけだが、それだけでも
  1. 室内で普通に人がいて活動していることの確認(見守り)
  2. 留守中の異常検知(防犯)
  3. 活動の強弱から見る健康度推定
くらいはできる。

アクリルドーナツ周辺には、オプションのセンサ用コネクタが出ていて、人感センサ以外にも様々なセンサが取り付けられる。例えば温度湿度、照度、ガス、煙などだ。ソフトは簡単なもの(単にデータをサーバに送るだけ)にしておいて、分析は全部サーバが行う。

こうすれば、サーバの機能更新によって自宅の機能が強化される。あるいはプランを選ぶことで色々違うことができる。センサの組み合わせによって可能なことが異なるので、人は用途に合わせてセンサとプランを選ぶ。

また、リビングだけでなく様々なところに取り付けることで連携することもできる。家中に付けておけば人の追跡ができるから、例えば玄関から入ってこず、いきなりリビングに人が現れたら、外部からの侵入だと見なして警告を出すことができる。

スピーカーやマイクは本体標準設置で良いかも知れないが、ソフトでオフにできるようにしておく必要があるだろう。

超高機能シーリングライトは十万円を下らないだろうが、これなら基本セットで2~3万円でできそうな気がする。

2018年9月22日土曜日

刺青と温泉の妥協点


タレントのりゅうちぇる氏が、子供の名前の刺青を彫ったことに対する批判に、芸能人が反論している。刺青には、プールや温泉での入場禁止問題もあり、根は同じだ。ここは少し論理的に整理してみたい。

批判する側の論理は、概ね分かる。①反社会的勢力(いわゆるヤクザ)あるいは反社会的人格を想起させる、②気持ち悪い・不快・怖い、③親から貰った体を傷つける行為、④一度入れたら消すのは困難(将来消したくなっても消せない)、⑤感染症やアレルギー等の危険、⑥MRIなど一部の医療機器に掛かれない、等だ。

これに対する反論は①全てがヤクザではないし海外では一般的、②個人の感情を一般化(押し付け)しようとしている、③④⑤⑥(承知しているなら)本人の自由(且つ入場禁止や批判の理由にはならない)、(以上、一対一対応)となるだろう。

③④⑤⑥の反論に関しては異論はないが、①②には量的視点が抜けている。日本には実態としてヤクザはまだ存在しているし、刺青をしている人の割合は多い。全てがそうでなくとも確率として高いのなら、刺青を警戒する、不快に思うというのが多くの(個人の、ではない)人の感情だ、というのは立派に理由になる。それによって風評被害が出たり客が減ったり、という実害が考えられるからだ。

つまり、量的視点を考えれば、①②への反論は成り立たない。そして感情を相手にした反論に感情で返しても水掛け論にしかならない。何せ相手は多数派なのだ。ここは論理的に反論すべきである。つまり、「外見から明らかにヤクザでないと分かる場合は、(多少であれば不快を我慢して)理性的に理解を示すべき」、つまり半解禁を落としどころ(妥協点)にすべきなのだ。

この妥協点としては、模様、面積、場所から総合的に判断して、ヤクザを想起させないこと、著しく不快になるものでないこと、を満たせば許す、というものになる。そしてこの基準は、ある程度強制すべきである。

基準が曖昧なところは妥協点のポイントだ。恐らくハートマークやバーコード、名前などは割とすぐ認められるだろうが、じゃあドクロマークは、顔に施すのは、などと細かくルール付けすることは困難だし、時代が進めば緩くなっていくはずだからだ。

こうしなければヤクザへの便宜も払ったことになってしまう。そのために一般の日本人が恐怖に耐えるのが日常、というのはおかしな話だ。しかし妥協案が受け入れられれば、少しづつ刺青に対する抵抗感も薄れ、十年後には笑い話になるかもしれない。

国民感情というものはそう簡単には変わらないものだ。一律に反論しても問題は解決しない。妥協点を見出し時間を掛けることこそが必要なことだ。

2018年9月21日金曜日

弁護士のくせに


https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/taniguchi/201808/557521.html
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/tanabe/201808/557487.html

日経メディカルの同じ日の記事に、先日の医大の女子一律減点問題について、賛否両方の意見が載っていた。「減点是」(正確には「直ちに違法とはいえない」との主張)としている記事は、弁護士(且つ医師)によって書かれていた。

違法かどうかについて、複数の観点から、何れも違法とは言い切れないとする主張なのだが、その内容が、とても弁護士が書いたものとは思えなかったのが少々ショックだった。この話をさせて頂く。

この記事は、三つの論点がある。最初の論点は、私立大学が試験の成績以外に「男女」という基準で差異を設けることの可否。次の論点は、男女で差異を設けるなら、事前に告示をするべきであり、一種の受験詐欺ではないかという議論。最後の論点は、今回の騒動で、医師になった後の女性の就労環境の問題が公のものになったこと。このうち問題なのは二つ目の論点だ。

まず、「例えば一次試験を筆記で行うことを公示したからと言って、その筆記試験の成績だけで採否を決めなければいけないという理屈は成り立たない。」としている。更に、これに続くマスコミ批判にまで多く文を割いている。

そしてこの次の「様々なコネクションが採否に影響することなど、国際的にも常識であり、ペーパーテストなどは参考程度であろう。」と続く。つまり、試験以外で受験者の属性を判断材料にすることは是である、と言っている。

しかし、これは第一の視点(差をつけること自体が許されるのか)である。第二の視点ではない。第二の視点とは、「それを明らかにすべきかどうか」のはずなのだ。

あえて筆者に寄り添って考えるなら、コネクションが公になることはないのだから、であろう。しかし、今回だって発覚しなければ分からなかったことだ。コネクションだって、明確に分かってしまえば同様に問題になった可能性はあるのだ。

続けて、「つまり、「一切女子を入学させないのに募集していた」というのならともかく、何点かハードルをあげたこと自体は大学の裁量の範囲内であるとして、司法審査で許容される可能性もあろう。」というのも、その後の「試験を行ったとしても、その採点基準やどの科目を重視するかは、採用側の裁量が広範に認められると考えられる(同級生で数学の試験で字が汚くて落第した者もいた)。」というのも、第一の論点であり、第二の論点ではない。

つまり、せっかく第二の視点を挙げておきながら、その記述には第二の視点が一つも出てこないのだ。更に言えば、法的な視点も弱い。実態がこうだから(かつてこうだったから)、ばかりで、法的な裏づけに関して何も言及していない。

もったいないので、この人の代わりに第二の視点「男女やコネクション(や寄付金等)による差別(差異)が実際には存在している場合、それを明らかにすべきかどうか」を考えてみる。

男女(医者にならない人、なっても将来的に辞める人が多い)、コネクション(病院への採用に有利)、寄付金(大学への有利)は、何れもそれなりの合理性はある。

であればそれ自体の存在が全て認められない、ということにはならないだろうが、そこに恣意がないかどうか(必要以上に優遇差別していないか、その程度は適切か、例えば賄賂や、離職率を大きく超える差別)は問題になって然るべきだ。

例えば、幾らカネを積まれても、どうしようもないドラ息子を入学させるのは拒むべきであろう。コネクションも、学内の力関係ではなく、病院とのコネクションの力を公平に見るべきであろう。

従来はそれを「裁量」という曖昧な基準でなあなあにしてきたのだと言える。裁判所も、裁量という言葉には弱いらしい。しかし今回は明確に、点数で一律何点、という基準で運用してきたことがバレてしまい、これはもう裁量ではないでしょ、受験基準でしょ、ということになってしまった。

幾ら「幅広い裁量」とは言っても、何でも許されるわけではない。本来はそれは意欲や性格など、試験では計れないものを対象にすべきであって、例えば差別感情からくるものなら、その中身まで調べられ、場合によっては許されなくなるべきではないか。

男女別学校の場合は、女子校がそれなりに多くあることを考えれば違和感はない。しかし世の中が男子校ばかりだったとしたら、十分におかしい、対処が必要だ、となるだろう。職業学校の場合は、需要に合わせることがあるのでそういうことはあるだろうが、それとて実態と大きく離れていれば問題になるはずだ。

つまり、何でも裁量です、で逃げられる時代ではなくなってきているのではないか、裁量の中身にまで踏み込んで恣意や差別(=法律違反)の有無について法的判断をすべき時代なのではないか、裁量の範囲は従来の認識より狭まってきているのではないか、というのが、第二の視点における結論となるのではないか。要は「あるなら明らかにせよ、男女以外にも。そこに恣意がないかどうか見てやる」だ。

恐らく、件の医大の実態には恣意はないのだろう。そうだとすれば明示してしまえば済むことだ。世間の評判はともかく、法的にどうこう、ということはなくなるはずだ。逆に、世間の評判を気にして隠せば、バレた時のダメージは大きくなるだろう。

具体的には、採用枠を作ればよい。男女各々一般、プラス特別枠(裁量枠)だ。裁量枠の基準は曖昧(コネクションや寄付金、本人の人格意欲その他を考慮し云々)、でよい。(但し、あまりにアホでは困るから、試験での最低点取得は必要だろう)

各々の人数が適正であるかは世間のチェックが入るだろうが、そのこと自体は健全化のために必要なことだ。私立校には普通にある枠であるから、堂々と行えばよい。

2018年9月20日木曜日

Google Duplex応用


人工知能が人間相手に電話を掛けられる、というので大変話題になった同サービス。濫用への不安は大きいものの、もちろん有効活用の道はある。どんなものがあるのか、考えてみた。

先日の大雨や地震の際に思ったのは、市役所から高齢者障害者への声かけだ。テレビを見ない、防災放送が聞こえないとしても、電話が掛かってくれば出るだろう。ここで大量の人に電話を掛ける労力を低減するのに使われるというのは有用な応用の例だろう。

このように、行政側が市民に対して使用するというのは、他にも応用が利くはずだ。他に考えられるのは税金滞納などの督促、普段からの声かけ(生存確認、体調確認など)、訪問の予告(税務調査、障害者年金ヒアリングなど)などだ。

広く言えば、これはよくある「きめ細かなサービス」である。もう少し利口になってくれば、更にいろいろと使えるはずだ。
  1. 音声による学習サポート。VRキャラを合わせてやれば、マンツーマン教師の出来上がりだ。
  2. 音声による自動運転車への指示。無人だが運転席にアンドロイドがいて、普通のタクシーと同じように会話しながら行き先を指定できたり、好みに応じて雑談したりできる。
  3. ネットスーパーの注文サポート。高齢者でなくても重宝するはずだ。電話でなくVoIPでも良いので、電話代はタダにできる。
  4. 飛行機のリコンファーム(再確認)。既にプッシュボタンによるリコンファームはあるが、これなら自然な会話で行える。
  5. 株や為替の売買。昔ながらの電話取引ができる。
  6. 電話参加型オークション。これは結構簡単にできそうな気がする。高額品でなく、小さなオークションが多数分散的に行われるようなことが想定できる。
  7. 電話詐欺への応対。怪しいと思ったらボタンを一つ押せば、本人の声で引き続き応対できる。電話勧誘などでも同様。相手も機械だったら優秀なほうが勝つ?
  8. マネージャー・秘書。膨大な電話をさばき、スケジュールを設定していく。
  9. そして勿論「執事」だ。ホテルのコンシェルジュでも高級カード会社のサポートでも良いし、自宅のロボットでも良い。
執事は、自らは仕事をせず、自分以外の使用人への指示と管理を行う存在であるので、人でなくてもよい。ただ、物理的な形があったほうが何かと頼みやすいから、将来的にはロボットに搭載されて欲しい。

2018年9月19日水曜日

怒りの融点


沸点ではなく融点である。今のブラック企業の蔓延の一因、忖度しすぎる官庁などの原因のひとつはここにあるのではないか、と思うのだ。

動くまで帰れないSE秘話なんてものを読んでいて思ったのは、実務者が正しく怒っていない、というところだ。随分前の記事だが、サーバ室に閉じ込められて、直るまで出るなと指示され、トイレにも行けず困ったという話があったのだが、こんなことに従う方がどうかしている。正しく怒り、この程度のことは自前で解決すべきだ、というのが正常な思考だろう。

別に正義の味方ではないのだから、どこまでも正義を貫く必要はない。しかしこの程度のことを我慢するのはおかしいし、指示する方も非常識だ。しかし実際にはそれが起こっている。

規則を守るのは日本人の美徳だが、理不尽な規則(上長の命令も含め)には正しい融点で怒らないといけない。ここで怒っておけば、それより上位の理不尽であっても、その「理不尽度」は一定に抑えられるはずだ。しかしここで我慢してしまうと、その上の理不尽度は更に増していく。

件の話では、結局、それで精神を病んだSEが出てくるような事態になってしまうわけだが、元々の「トイレに行くな」に対して「ふざけるな」と正しく反論できていれば、彼も病むことはなかっただろう。その方が結局、不具合も早く解決できたに違いない。

沸点ではなく融点だ、と書いたのはここだ。我慢の限界まで耐えるのではなく、適当なところで小さく怒っておけば、そもそも沸点にまでたどり着くことはないのだ。これは結局、コミュニケーションスキルの問題ではないのだろうか。

「いや、そうは言っても」というのはもちろんその通りだが、上の例では上長が顧客を気遣ってそんなバカな指令を出した。そもそもそこで顧客を必要以上に気遣うこと自体、同じ問題と言えないだろうか。顧客が「直るまで出るな」と言われても、「でも食事とトイレは必要です」と正しく反論すべきだったし、言われていなければそんな忖度はすべきではなかった。

こういう事態が起こるのは、融点たる怒りを上長が正しく受け止める器量の無さ故である。左遷する、虐げる、等という、いわば報復手段を上長は常に持っているが、その怒りが正しいものなのかわがままなのかを見極め、前者に対してはきちんと受け止める、という技量だ。

適切なレベルで適切に怒る、怒られたときに冷静に受け止めて反省し判断する、というのは、社会的に必要なスキルだ。日本全国でこれが起きているのなら、日本全国にこの技量が無くなってきているということになる。

世の中は、我慢して我慢して最後にぶち切れる勧善懲悪もののテレビとは違う。一かゼロかしか怒りのレベルがない、というのは、大人として大いに恥ずかしいことなのだが。いったいどこで歯車が狂ってしまったのだろうか。

2018年9月18日火曜日

地球連邦持続性管理委員会


成長を続けていた大会社が、成長が止まったと思ったらあっというまに凋落する、というのはよくあることだ。これは国でも同じで、奢れる者は久しからず。盛者必衰の理になる。

なぜそうなるのかも分かっている。拡大を続ける状態と拡大しない状態では、当然重点項目は異なってくるはずだが、どこが潮時かを見極められる経営者は皆無だ。過去、成功した会社は多数あれど、頂点で留まって維持し続けた会社はない。それだけ見極めと転進は難しいということだろう。

しかし、だ。会社や国ならまだしも、地球全体としてこれをしてしまっては大いに困る。そして正に、これから30年程度の間にそれは起こるはずだ。その際にソフトランディングができなければ、大規模な「死」が待ち構えている。それは戦争か飢饉か分からないが、いずれにしてもそれは避けなければならない。

考えてみれば当たり前の話であるが、地球の人口の拡大はどこかで止まる必要がある。資源の消費も、100%持続可能な方法に切り替えなければならない。そうなれば、文明の成長も止まるか、少なくとも大幅に緩むことになる。

今まではそれが遠い未来のことと思っていたが、実はもう目の前に来ているのかもしれない、あるいはもう行き過ぎているかもしれないのだ。そしてその見極めは極めて困難で、見極めに失敗すればSFのようなディストピアが待っているかもしれない。

これを解決する方法は一つしかない。人類全体として、厳しい自制心をもって長期的計画を立て、実行することだ。それは即ち、人口の抑制と再生可能資源への切り替えである。決して一国ではできないし、当然戦争などやっている場合ではない。そして残念ながら、この計画は当分実現不可だ。

世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」の中に、「貧乏とは、少ししか持っていないことではなく、かぎりなく多くを必要とし、もっともっととほしがること。」という言葉があるが、この「欲しがる心」を全ての国が捨てなければ実現できない。そしてこれは、囚人のジレンマのような構造になると考えられる。即ち、お互いが協力すれば良い結果をもたらすが、協力しない者がいたらその者が有利になる場合、全ての者が裏切る行動に出る、というジレンマだ。

どんな施策を考えたとしても、このジレンマが解消しなければ成功する望みはない。そしてこのためには、どうしても強制力が必要だ。

現在では、これに相当する組織は、安全保障理事会の国連軍や多国籍軍しかないが、この出動要件はあくまで軍事的脅威であって、持続性への脅威ではない。また経済制裁もあるが、これは軍隊のような強制力はなく、あまり有効とは言えない。

また、国連の常任理事国自体が持続性を破っている元凶でもあり、拒否権を発動されれば意味を成さないということを考えれば、国連に期待するのは無理筋だ。

結局これは、国連に代わる新しい国際組織(地球連邦)を作り、拒否権なしで発動できる強制力を持てる組織を作る、という案しか考えられない。やることはシンプルで、全ての地球環境の持続可能化に必要な国際協調を強制することだ。二酸化炭素排出量の制限、人口の抑制、とりあえずはこの二点で良い。

京都議定書のようなレベルではない。少なくともプライマリバランスをゼロにしなければ立ち行かないのは分かっているから、更に厳しい制限が課せられる。そしてそれが達成しなければ強制力を発動する。

これには当然、経済の縮小、文明発達の抑制といった厳しい現実が伴うことになる。もう「できる範囲で」なんて甘い言葉は通用しない。

宇宙人の侵略でもないと(それも成功しないと)、あるいは異常気象や天変地異が頻発しないと動かないのではないか、とも思うが、結局やることは一緒なのだ。そして気付いている人はとうの昔に気付いている。後はやる勇気、それだけである。

2018年9月17日月曜日

新ZOZOSUIT


ユニクロの柳井社長が、「あんなのおもちゃ」と発言したという記事が日経に載っている。これを読んで、逆に興味が出てしまった。

柳井氏がその次に続けた言葉は、「店で測ってもらった方が早い」だったそうだが、もしこれだけなのであればとんだ見当違いだ。ZOZOTOWNは通販の会社だから、店なんて持っていない。(ユニクロで計ってもらってZOZOTOWNで買うというのなら分かるが) 他に意図があるのかどうか。

巷では、柳井氏の危機意識の裏返しだとか見識不足だとか賛否両論らしいが、まあ百万着無料配布なんてのが採算度外視も無茶でないのなら、ZOZOにも商機があるのだと思う。

既に、通販が実店舗を圧迫する風潮は続いていて、Amazonの躍進はご存知の通りだ。しかし通販にも弱点はあって、それは服・靴と生鮮品だった。生鮮品はAmazonフレッシュが出てきているので、残りは服・靴だ。既に売られてはいるが、実店舗を脅かすまでに至っていない理由は、このサイズ測定にある。

現状では、精度が安定していないという指摘があるので、ここの解決がまず必要だ。他にも、靴版を出して欲しいとか下着(特にブラジャー)が買えないか、というリクエストが出ているようだ。また、一発でぴったりのものが買えるというのは結構感動するらしく、そういう発言も多い。

また、この計測ソフトに「平均値との比較」があるらしいのだが、これがまたダイエットに良いと評判らしい。レコーディングダイエットでもそうだが、改善するにはまず測ることからはじめなければならない。ある意味心理を突いている。

さて、現在のZOZOSUITはドット柄の全身タイツを着て、スマホソフトで撮影しなければならない。ここはもうすこし改善して欲しいところだ。着るだけで測れるというわけには行かないものだろうか、と考えてみた。

その鍵となるのは、導電性素材だ。タイツであるからには伸び縮みするわけだが、その伸び縮みによって電気伝導率が変わるような素材があれば、原理的には測定可能なはずだ。例えば導電性シリコーンなんてどうだろう。精度の問題はあるが、可能性は捨てきれない。

それともう一つ、姿勢や運動の状態も測定できないだろうか。そうすれば24時間(まあ風呂もあるだろうが)測定できる。もうブレスレットタイプなんてメじゃない、究極の測定だ。
さすれば、もっと凄いことが分かる。つまり、一日の体のサイズの変化が測定でき、それと運動との相関性までが分かるかもしれないのだ。

ZOZOSUIT単体では、食事や水の摂取までは直接は分からないが、体の動きからそれを推定することはできるかもしれない。そうすれば、その人にとって食事や運動が体型にどれだけ、またどのくらいの遅延をもって影響するのかが分かるようになる。

これは新たなダイエット学の始まりだ。ライザップで導入するも良し、部活で応用するも良し、もちろん個人用アプリを売るのも有用だ。オンラインでダイエットサービスと繋がってAIで逐次叱咤激励される、なんてこともできるだろう。

やったことと結果がダイレクトに分かるから、その方法論はAIに蓄積され、どんどん精度が上がっていく。もしかしたら、今まで気付かなかったとんでもない不健康な習慣が見つかるかもしれないし、上手くすれば成人病予防や寿命が延びるなど、究極の健康まで手に入れることができるようになるのではないか。

生まれてから死ぬまで新ZOZOSUIT。あながちバカにしたものではない。

2018年9月16日日曜日

危険感知SaaS


人間が生きていく上での危険をいち早く察知し警告してくれるようなマザーコンピュータがあったらなあ、と思うことがある。それは目の前の、例えば隕石が落ちてくるとか車が突っ込んでくるとか言うものもそうだし、もっと穏やかに成人病の危険や虫歯になっている可能性、更には老後の蓄えの心配、子供の養育の注意など、生きていく上でのあらゆるレベルでの「危険」だ。

その全ては、人がいちいち設定しなくても自動であらゆる情報をかき集め推定してくれなければならない。例えば転職したら年金の切り替えが必要だとか、怪我をしたら適用可能な保険を提示するとか、オンラインの情報やスマホのセンサの情報など何でも必要なものは取ってきてくれる。

タイムレンジの短いものは音声や電話を鳴らすなどして、レンジの長いものはダッシュボードにしたり定期的にメール等で通知してもらう、その変化自体も記録して参照できるようにする、

これは基本的にサーバーサイドのサービスであって、PDS/情報銀行と連結するものだ。自分に関する全ての情報を閲覧する権限を与え(スマホのセンサ情報等まで含め)、スマホには専用の常駐ソフトを保持し、サーバが何か新しい情報を得る度に複数の視点からリスク計算をする。得た情報を再度活用するのは禁止、ないしは統計処理のみ許すようにする。

少々おせっかいなものまで含め、危険度のランクは多数あって、例えば振り込みの期限が迫っているとか目の前の恋人に何を話すべきかまで、ユーザは何を通知するか選べる。勿論可能な危険度は全部計算し、要求に従って表示できるようにする。

これなら情報銀行を使いたいと思う人は多く出てくるはずだ、と思うのだが、いかがだろうか。

2018年9月15日土曜日

MR聴覚補助


聴覚障害を持つ人にMRゴーグルを付けてもらい、音を視覚化する。これがこのアイデアの主旨だ。

町を歩いているときに声を掛けられる、広告が流れる、自動車が接近している、爆発音がする、誰かが声を荒げている。そういった音をゴーグルが検知し、その方向から文字列やアイコン、ないしは色の変化などで音を視覚化する。

勿論、危険な音は激しく、どうでも良い音は穏やかに表示する。アイコンにするか文字にするかなどは、色々と考えられるだろう。人間工学や色彩学などから研究されると思う。

これはもう一つメリットがあって、聴覚障害者でなくとも静かに過ごしたい人は、ノイズキャンセラ付きヘッドホンをして歩けば雑踏でも静かに過ごせるし、音楽を聴きながらでも安全に歩くことができる。

これと逆のパターン、すなわち視覚障害の人に音で周囲の環境を知らせる提案は既にしているが、これも目を休めたいのでしばらく目をつぶって歩く、なんてことも可能になるかもしれない。

他、色覚障害の補完や嗅覚の補完などにも同様の仕掛けが使える。熱中症警告やガス警告など、普通だと気付きにくいことも気付くことができるようになる。

2018年9月14日金曜日

太陽電池とEVの連動普及


太陽光発電のコストが急激に下がっていて、従来の発電に比べても十分に競争できる時代になっている。それでもまだ太陽光発電に対する警戒感は強い。その大きな理由は、天気や季節に左右され夜間は発電できないことだ。

これに対して、EVの充電池をバッファとする案がある。この実現性について、量的な視点で可能なものなのだろうか、考えてみた。


  • まず、一日の最大電力は、過去のピークで6430万kW、一日当たり1184百万kWh。つまり64GW、1.2TWhとなる。
  • 日産リーフのバッテリ容量は40kWh。テスラ3は50kWh。他の電気自動車はこれより少ないようだ。テスラのトレーラーは推定800kWh。
  • 自動車の保有台数は8千万台。乗用が6千万、貨物が千4百万。稼働率は5%。


大まかな数字が出たところで、検証してみる。日本の全ての自動車が電気自動車になったと仮定すると、その総バッテリー容量は、3.2TWh(全部リーフの場合)。稼働率5%と、その他接続していない車を合わせて8割がオフラインだとすると、0.64TWhとなる。これに対して一日当たりの使用量1.2TWhだ。つまり、一日の半分の量のピークカットができることになる。これは、太陽光発電の不安定さを補うには十分すぎる量だ。

事はもちろんこんなに単純ではない。平均的には大丈夫でも、部分で見れば過不足は発生するはずだ。それを近所で補完しようとすれば逆潮流になるから、それなりの設備が必要になる。

また、全部の自動車が電気自動車になるのは何十年も先の話であり、過渡期に立ち行かなくなればアウトだ。そうならないためには、ピークアウト対応充電プラグとEVの普及に合わせて太陽光発電を増設する、という政策連動が必要になる。

大規模な発電所はそう簡単に計画を曲げられないから、それに合わせてEVの普及率を調節するのがその原則だ。つまり、太陽光発電への補助金をEVにも割り当て、普及率に合わせて補助金の率を調節する。ある程度以上進めば補助金は不要になる。

上手くいけば、現状の太陽光発電の問題である新規開設認可の滞りまで含めて一挙に解決できるかもしれない。

2018年9月13日木曜日

幸福度とビッグデータ


社会が上手く廻っていることの目安として、人々の心の平穏の程度が挙げられる。国民総幸福量のようなヒアリングによるもの、地球幸福度指数のような統計情報から算出するものなどがある。

個人的には、血液検査によるものを提唱したい。コルチゾールやドーパミンなど、ストレスや幸福感を示すホルモンの量を計るものだ。

こういったもの(幸福度)を計測してランキングを出すところはあるが、それをKPIにして向上策を考える、という方向性は皆無だ。国は是非これを推進して欲しいと思う。

これが難しいというのはまあ分かる。それを向上させるために変化させるべき指標が何なのかを定めるのは難しいからだ。ストレスが多いとしてそれが何のせいかを知るには、また別の指標が必要だ。

ただ、これは近年、ビッグデータという概念の登場で、光が見えつつある。つまり、そういった幸福度とビッグデータとの突合せで、統計的に何が(あるいはその組み合わせが)キーになるのかを推定できる技術が伸びつつあるからだ。

できれば外から見える国民のデータは多数欲しいところだが、最初は有志によるサンプルでも良い。ラフに話が見えてくれば、そこから深彫りして調べることも適うだろう。ここまでできれば、政策に反映させるまでは見えてくるだろう。

このパラメーターは国民性が出てくるはずだから、ノウハウのみ持っていって海外に進出することも可能だ。そうすれば世界中が幸せになる方法も見つかるかもしれない。

2018年9月12日水曜日

情報銀行とPDSと認証基盤


先日、情報銀行とPDSについて勉強したのだが、マーケティングに使う、統計に使うといっただけでなく、個人情報の提供や連携に使うという点において、認証基盤と似ているな、と感じた。しかしこれらはまだばらばらだ。個人情報をマーケティングに活用するのには積極的なのに、ユーザの利便に与する認証基盤には消極的。そんな印象を受ける。行政として取り組む順番が逆だろう。

もう、国民が使うIDは事実上マイナンバーで決まりなのだから、マイナンバーポータルにはOpenIDやGoogleID連携と同様の「マイナンバーID連携」を提供して、PDSとマイナンバーポータルは同一のものとすべきではないだろうか。

PDSというと個人情報の切り売りのようなイメージだが、実際には住所氏名など、企業との連絡先や支払い手段など、共通のものの連携の方が、個人にとっては重要だ。また、シングルサインオンも、ここを基点にすることは大きなメリットがある。

XXさえ覚えていれば、のXXが、GoogleやMicrosoftだというのは国民として心許ないことだ。まずここがしっかりしていないと、PDSだの情報銀行だのと銭勘定ばかりしている場合ではない。行政との基点だってここになるのだ。しっかり考えて作って欲しいものだ。

2018年9月11日火曜日

電子エスクロー


ブロックチェーンの応用技術の一つに、スマートコントラクトがある。仕事(コードの実行)と課金(コード実行に対する対価)が同時に交換される、というもので、言わば踏み倒しの心配がなくなるための仕掛けだ。

従来のソフトウェアにも、ライセンスという考え方はある。ライセンス回避防止のため、各社は様々な仕掛けを考案しているが、これを簡単に実現する仕掛けとも言えるだろう。
ただ、ブロックチェーンの場合はもう少し事情が複雑で、コードを実行して欲しい人は当然カネを払うわけだが、実際にコードを実行して対価を受け取る人は、コードベンダではない。ブロックチェーン上にいる匿名の誰かだ。

つまり、本質的に、スマートコントラクトとは、実行コードは大したものではなく、その数(実行回数)が膨大であって、実行そのものに価値を置き、不特定第三者が地道に儲けるための仕掛けである。

これは、逆に言えば、高度なプログラミングを付加価値とするような既存のSaaS業者には馴染まない、ということを意味している。そういう業者がSaaSをどう進化させるかに関してスマートコントラクトから何を見い出すか、と考えると、その根本たる「信頼性調査不要」(実行=課金)というところだろう。

従来でも、課金しなければ実行しない、とすることはできたのだが、これはSaaS側に一方的に有利な仕様だ。つまり課金後仕事をせずにバックレることが可能な訳だ。自分を信用してもらうためにあれこれ手を尽くすのが面倒だと思えば、この考えを取り入れてしまえば話が早い。

つまり、プログラムの実行(結果引渡し)と課金の両方が成立するか、両方とも成立しないかのどちらかしかステータスが存在しない、という状態を作り出せればよいことになる。
通販ではエスクローという制度があるが、これと同様、信頼できる第三者(認証期間のようなもの)があれば、この実現は簡単である。それを国や自治体(ないしはそこからの委託期間)が運営し、ベンダはそこにIDとコード(スマートコントラクト)を登録するだけでよい。

認証機関の背後には、登録した多数のベンダと繋がるチェック機構がある。ベンダが実行したコードが確かにユーザの指定したコードなのか、実行が正しくできたのかを監視し、正しくできればベンダに支払いを行う。ベンダとの間は仮想通貨を使うが、その発行元は認証機関であり、新規通貨の発行権を持っている。また、現金(法定通貨)との換金もここが行う。

ベンダは、コードの実行毎に課金で仮想通貨を得るが、それを現金に戻すには認証機関に頼むしかない。これによってネットワーク内の仮想通貨量は調節される。
もう少し詰めていけば、実用に耐えるようになるだろう。

さて、これを作る目的だが、従来のスマートコントラクトでは、コードの価値はゼロだ。実行にのみ対価が発生する。しかしこの仕掛けでは、コードにも価値が発生する。

そうすれば、従来は躊躇したであろう高度な(大容量の)コードや、特許など知的所有権のある(価値のある)コードがこのプラットフォームに乗る。これはある意味公平性があるわけだ。小さい企業、技術力はあるが営業力が弱い企業なども、ここで勝負ができるようになる。

これは、業界の活性化に繋がるものと信じる。

2018年9月10日月曜日

DAO批判


Decentralized Autonomous Organization(分散自律組織) だそうだ。DAOの記事を読んでいると、次世代の会社だ、という風潮があるのだが、どうもまだ黎明期における過剰な期待が解消されていないようだ。

現状でDAOが使い物になるのは、経理や庶務の一部、事務代行のような、明確に切り出してルールを定めプログラム化できるものだけだ。「判断もオンラインでやる」と言われているが、実際には主任レベルの判断すらまともにはできない。とても従来の組織を乗り越えるような大げさなものではない。

ユーザから見て、それがDAOかSaaSなのかはどうでも良いことだ。DAOにできてSaaSにできないことなど何もない。多少使い勝手が違うだけだ。これを整理してみると、

メリット:
  • 信用調査の必要がない(但し結果が所望のものかどうかはお試しが必要である)
  • 想定外の負荷変動に耐えられる(但し十分な顧客数がある場合)
  • 課金が自動である(踏み倒しや詐欺がない)
  • 多少は安いかもしれない
  • 事業継続性は高い(但し十分な顧客数がある場合)
  • スケーラブルなコードを書く必要はない
デメリット:
  • サーバを用意する必要がある(自分の仕事でない仕事をするための)、しかもサービス毎にプラットフォームが異なれば各々必要になる(但し多重化やUPSは不要)
  • 顧客数が十分に多くないと信頼できない(事業継続性、性能、負荷追従性、改ざん可能性等に不安が出る)
  • 「作る側」に従来と異なる高度な技術知識が必要
  • あまり大きなプログラムは乗らない
例えば、ブロックチェーンは全く使わず、二者間のスマートコントラクトができるのであれば、課金と信用の問題はないわけだ。従来のオンラインサービスに、それだけ載せれば済む話ではないか、という発想はあり得る。

DAOが流行る可能性があるとすれば、複数のサービスが同じプラットフォーム(ブロックチェーン)に載ることが保証される場合である。例えば国が準備する、大量のサービスが一気に登場する、などだ。

これは、今のアルトコインの現状を見ていると、望み薄と言えるだろう。

2018年9月9日日曜日

ブロックチェーンじゃない


ブロックチェーンには個人的に不信感を抱いている。その理由は以前も書いたが、
  • 合議によって不正を検知するとあるが、不正する輩が組織的に大量に入ってくれば負けてしまう
  • 台帳たるブロックチェーンは永遠に長くなっていく仕掛け
  • 大量のデータが全部の端末に複製され続ける膨大な冗長性
  • 合議によりスピードが抑制される
  • 一度投入したスマートコントラクトが訂正できない
などだ。DAOの検討に当たって、これらを解決した分散環境が必要だと考える。その要件は
  • 全台数の合議などという冗長な確認方法ではなく、素早い確認ができること
  • 全台数に同じデータをコピーするというような必要以上の冗長性をやめること
  • 古いデータは捨てられること
  • スマートコントラクトを訂正できること
などとなる。そのためには、完全分散でなくても良い。(部分分散でよい)

以前、二重の輪の話をしたが、ここで考えるのは三重の輪である。最も内側の輪は、トークンとスマートコントラクトの実行の信頼性のみを保証するもので、極めて信頼でき、多量の資源を投入できる組織のみから構成される。

例えば、国、自治体、多国籍企業などのうち大きなところだ。いわば郵便やインターネットの提供と同じようなベースロードであり、トラストレスは保証するが中身には感知しない(どころか知り得ない)。

真ん中の輪のトークンは、金(ゴールド)ベースの仮想通貨であり、外側の輪からはこれで手数料を取る。基本的に手数料はリアルタイム変動はせず、合議で年に何回か変えることができる。

真ん中の輪は、具体的なサービスを提供する企業・個人であり、バックボーンとして内側の輪を使用する以外は通常のサービスプロバイダだ。これは仮想通貨のバリエーションやDAppsに相当する。

一番外側の輪は、サービスを利用するエンドユーザだ。外側の輪は、基本的に軽量である。スマートコントラクトを実際に行うのもここだ。

内側の輪の目的は、ブロックチェーンの制約を緩めることにある。例えば合議制だが、数が少なければ全員一致で認証することができる。半分が合意すれば、などというまどろっこしいことは起こらない。また、やはり合意の下、一定以上古い記録をアーカイブして切り離したり、スマートコントラクトのバグを訂正したりすることができる。

後から巻き戻しすることも含め、内側の輪が全員合意すれば、大抵のことは可能になる。だからこそこの輪の構成員は社会的信用が求められるわけだ。ここが既存のブロックチェーンとは決定的に異なる。

他、内側の輪の構成員の一部が結託するなどして悪巧みをしたとすると、残りの構成員がこれを締め出す仕掛けも必要だろう。対象以外の全員が合意する、といった安全策は必要だが、そうした上で締め出し前にさかのぼって巻き戻しをすることができれば、被害を救済できる。

このように構成すると、例えば新しいDAppsがICOをしたとして、実はそれが詐欺だった、というような場合に、内側の輪がそのDAppsの集金をロールバックする、ということが可能になる。これでブロックチェーン絡みの詐欺は、社会的なものも含めてほぼ阻止可能と思われる。

また、ブロックチェーンの大きな欠点である51%問題にも対応できる。信用できない輩は内側の輪に入れないからだ。また、その信用があるからこそ、チェーンをぶつ切りにしてアーカイブ化することも適う。

世界中の分散環境を全てこれに乗せることができれば、信用詐欺も裏金も、相当に押さえ込むことができるはずだ。例えば国家通貨をこれに載せることすら可能である。

ここまで来ると、もうブロックチェーンとは言えない。むしろ、ブロックチェーンを置き換える第二の(第三の?)分散環境と言えるのではないか。

2018年9月8日土曜日

AIによる広告業界の崩壊


Amazonのリコメンド機能は結構有効だ、と聞いたことがある。リコメンドはあちこちでやられていて、それが広告にも効いていることは事実だが、将来的にこれが発展すると、逆に広告の首を絞めるのではないか、と思い始めている。

リコメンドはユーザの行動を基にしているが、それは必ずしも単独の店舗での行動とは限らない。ブラウザに出てくる連動広告はその一つだ。そこで考えるのが、ブラウザ以外のユーザ行動も含めて全てをリコメンドの基礎データとしようとした場合、それは単独の店舗に利するものにはならないのではないか、ということだ。

要するに、スマホに独立した常駐アプリケーションとして動作する「汎用リコメンエンジン」が登場するのではないか、と思うわけだ。そのリコメンドは必ずしも購買行動だけではなく、行動全てに渡って逐一リコメンドするものだ。例えば運動不足や食事の選択、会話の勧め方、遊びまで含めての推奨をするものだ。

特定のタイミング、例えばいつもなら食事に行くタイミングはどこに食べに行くか、そしてお勧めのメニューまで出してくれる。その背後には店のメニューや今の混雑具合、本日の日替わりまでオンラインで入手した上での比較がある、というわけだ。本日の日替わりなんてどこで入手するの、というと、監視カメラの映像だったり既に先に入った別の人のSNSからだったりする、という寸法だ。

店舗の営業時間の変更や本日の日替わりがSNSで通知されるということは、もう日常的になっている。であれば店のHPを見る必要はない。わざわざ行く必要もないし、チラシを打つ、CMを打つ、などの必要もない。

これは逆に、今まで広告で飯を食ってきた人にとっては脅威になるわけだ。機械自身が嗜好を元にキュレーションの如くSNSやネットサーフィンをすると、従来の(人に向けた)広告テクニックは使えない。単純な事実のみでしか訴えられないからだ。

もちろん、有名人を起用したCMを打てば、その有名人が好きだからという理由で買おうとする輩は居るから、AIがそれを無視しないで拾い上げる可能性はある訳だが、無理にゴールデンタイムに出すのではなくYouTubeに出しても同じ効果が出る、となれば、そうする傾向は強まるはずだ。

これは、規模の経済格差を圧縮する効果がある。つまり小さいところでも大手と渡り合える可能性が高くなる。また、規模の経済で押してきたTV業界(特に民間)を大いに圧迫する。下手をすれば潰れかねないほどのインパクトがある。

本や雑誌、新聞も同様だ。広告枠の単価は下落圧力が掛かり、それが紙面の質に影響を与えたり、多くの出版社が潰れることにもなる。市場そのものが減ってしまうのだ。

サービス業の中でも、エステやスーパーのように実業をしているところと、問屋や広告など間接で仕事をしているところとがある。AIリコメンドは間接業界そのものの規模を縮小させ、多くの失業者を出すポテンシャルがあるのではないか。

2018年9月7日金曜日

AIとチラシとネットスーパー


ネットでチラシを見られるサービスが幾つかあるが、ハッキリ言って活用されているとは思えないし、自身としても全く見ていない。その最大の理由は見にくいからだ。チラシなら毎日新聞受けに入っているのを見るだけだが、いちいちスマホでメニューをたどって、しかも小さい画面で見るのは耐えられない。

しかし、このサービスが必ずしもこのまま死んでしまうかと言えば、そうとも限らない。これを画像認識で捉え、自動で整理してくれるようなAIサービスが出てきたらどうだろう。

主婦が書いた手書きの買い物リストをスマホで撮影すると、自動でオンラインのネットチラシと引き合わせて、どこで買ったら幾らでどちらが安い、とか、近くの店ならこちらで何を買ってこちらで何を買えばよい、などと推奨してくれる、というものだ。

ポイントの有無とか限定品で品切れの可能性があるとかまでも推測してくれたり、ユーザが余計に買ったものまで含めて過去のデータからお勧めの安売り品を提示したり、と、付加価値の付け方も多く考えられる。

更にはネットスーパーと連動して、勝手にカートに入れてくれるところまで考えても良いだろう。これが普及すると、もはやテレビCMなどは無用だし、新聞に折り込まずともオンラインチラシサービスに登録するだけで客を誘導できることになる。

まあチラシを眺める楽しみというのもあるだろうが、AIの推奨通りに買えば事が済むのなら大いに時間短縮になるし、広告費を減らせる分、店側にもメリットがある。ティッシュを配らずとも、チラシのデザインや紙質に命を掛けずとも、単純に安くすれば客を誘導できる。

ネットスーパーまでは難しいにしても、推奨技術くらいは実現性が高そうだ。検討してみても良いのではないか。

2018年9月6日木曜日

電子決済の纏め方


電子決済の種類が多すぎる。しかもどんどん増えていっている。何とかしてほしい。この問題を解決するためにAIを使おう。その時点で最適な支払い方法を勝手に選んでくれるというものだ。

ユーザの行動を基に、またユーザの嗜好を基に、自動で判断する。この判断基準は、ポイントなどの優遇がどの程度あるか、現在のポイントの状況などだ。
  • そもそもどの支払い手段が使えるかを瞬時に把握しよう
  • 自分がどの支払い手段が使えるかも当然知っていて、残高も把握している
  • 期限切れが近づいているポイントがあるなら消化してしまおう
  • 累進的に得になるものを優先して貯めよう
  • 期限のないポイントの優先順位を下げよう
  • 評判の悪いポイントは使わないようにしよう
  • クーポンがある場合は使おう
  • お得なまとめサービスがあるなら使ってまとめよう
後は各々の重要度をパラメータ化して、結果もBIできるようにしておこう。そうすることで、コンビニで今支払おうとしたときに何で支払ったらよいかお勧めが出てくる、という次第だ。

この方法の良いところは、自動的に最適化されるので、決済手段の広告宣伝が無意味になるところだ。つまり、決済手段としての有利さだけで支払い手段が決まるので、ユーザに無駄な広告を配信する必要がない。

こういった広告のリーチ率は1%とか、そんなものだ。この広告費が必要ないなら、ベンダは更なる利便をユーザに提供できることになる。これは双方にとって嬉しいことであるはずだ。

2018年9月5日水曜日

何でも変動制


別の提案で「出生局」というのを書いているが、考えてみると税金や補助金は結構変動しているのに、罰金や刑期は変動していない。今の時代、税金や金利のように柔軟にパラメーターを変動させるような仕掛けにすべきではないか、と思う。

そしてこれは刑罰に限らない。特に行政に関わる数字の多くは変動制にして、変動させる根拠となる関数やパラメータのみを法で定義するようにすべきではないか。出生局の場合は出生率だったが、これと同様に色々なものを指針の下に変動させるのだ。
  • 刑罰: 受刑者の精神的苦痛が平均的に同様になるように設定する。例えば罰金は、所得や資産、家族の状況などにより変動させ、受刑者の苦痛を測るバロメータとしてアンケートや血液検査等をして補正する。
  • 税金・補助金: これは今でも所得や処々の事情による変動制だが、額が決まっているしフィードバックもない。困窮度のような指数を導入して調整すべきだ。
  • 議員の定員: 無論、一票の格差が無くなるように変動すべきである。3倍などは手ぬるい。1.5倍以下になるよう毎回調整する。あるいは格差に応じて一票の重みへ変動させる。これなら1倍にできる。
  • 年金・生活保護の額: これは物価指数で変動させるのが良いだろう。後は年齢や病気の有無などで調節する。
  • 電波使用料、漁業権、水利権など: これはオークションにしたいところだが、権利を得た上で無茶をやられては堪らないので、現在の許可認可制自体は維持する。但しその権利維持料については相応の変動制にすべきだ。例えば権益が一定の比率以上にならないこと、オークションにした場合の相場などだ。もちろん安くなることだってあり得る。
他にもまだまだあるだろう。更にコンピュータで自動調整する、というところまで行けば、(もちろんその精度云々の話はあるにしても)世の中は変動が少なく落ち着いた日々を過ごせるのではないだろうか。

2018年9月4日火曜日

VDI-OS


ドイツのある州の役所が、役所で使うコンピュータをLinuxからWindowsにするらしい。その前にはWindowsからLinuxにしたという記事もあった。保守の費用を考えると、どちらにするかは悩ましいところだろう。

しかし、今ではChromebookという選択肢はあるのだ。役所のコンピュータならオンライン前提でも違和感はないだろう。Googleの「アカウントが必要」というところはちょっと不安もあるが、これなら個々の端末のメンテナンスはほぼ不要なはずなのだ。

Googleに不安があるというのなら、これから企業色を消してしまえばよいのだ。その一つはネットブートであり、Chromebook以前にあったマイクロOSとでも言うべき概念である。

ネットブートは、その名の通りOSを毎回ネットワーク経由でロードするものだ。マイクロOSは、ブラウザのような最低限の機能のみを持つOSで、それ以上のことはVDIで行う。RDP-OSないしはVDI-OSとでも言うべきか。

Chrome以外のブラウザとしてはFirefoxがあり、Firefox OSというのも既にあるが、どちらもブラウザとしては巨大に過ぎる。もっと簡素なものでないとアップデートが頻繁にあり、当初の目的から逸れる。Chromebookなら同じGoogleがメンテしているから問題ないが、Firefox OSは心許ない。ここはやはり、VDIオンリーで行くべきではないか。

似たようなシステムはマイナーな各社から出ているが、いまいちメジャーになっていない。もうそろそろ、クライアントのメンテの問題についてはそういう方向で決着を付けてほしいものだと思う。

以前から提案している通り、スマホやスマートウォッチのOSにこれを適用するという考えはアリだと思う。そうすればデスクトップやタブレットとの連携も取りやすいはずなのだが。

2018年9月3日月曜日

出生局


一人の女性が生涯に産む子供の数の平均が2以上ないと、人口は減っていく。至極当たり前のことだ。これが2を切ったのは1960年代で、一時回復したものの1970年代には再び落ち込み、以後ずっと低いところで安定している。

つまり、その間の国の施策は効果がなかったわけだ。正に目先のことしかしてこなかったツケを、今国民が払わされている。

出生率は、もっと厳密に調整をすべきである。出生率が下がれば育児・教育への補助の待遇を上げ、上がり過ぎれば下げる、というように、細かい調節をすべきなのだ。これは日銀の金利操作などと基本的には同じで、政府とは別の独立した機関がそれだけを目的にして動くべきだ。

これを仮に「出生局」と名付けてみる。出生局の目的は、出生率(合計特殊出生率)を2に維持することにある。使える手駒は、出産前検診~大学卒業に至る全ての補助・控除だ。

これには財源が必要であるが、新たに特別会計を立てるのが良かろう。外国為替にも同様の特別会計があることは、根拠としては十分だ。現状の特別会計を見ると、もう潰すか統合するか、一般会計に編入すべきものが幾つかあるから、それとバーターにすればよい。

特許には既に特別会計があるが、よく言われる科学技術関係の補助が少ない問題にも同じ構造がある。同じく特別会計を組むか、教育と合わせて出生局が管理するなどして、政府から独立させるべきであろう。

2018年9月2日日曜日

生活費がタダ


ベーシックインカムの対極にあるとも言えるのがこの概念だ。少し説明すると、
  • 住居がタダで提供される。保守・光熱費・通信費・NHKもタダ。但し家は選べないし、指示により引越しも強制される。
  • 衣料・食料がタダで提供される。但しこれは転売を防ぐため、チケット制にする。年齢性別他を細かく配慮して調整する。
  • 寝具もタダ。これも転売を避けるため、チケット制ないしは交換制とする。
  • 教育がタダ。但し公立相当のみ。
  • 保育費がタダ。
  • 医療費がタダ。但し保健医療相当のみ。
  • 公共交通機関はタダ。
  • 警察消防はタダ。救急車のみは救急性を判断の上、必要と認められればタダ。
  • 遊興娯楽費が定額で提供される。
  • 上のタダを維持するだけの労働が強制される。健全な労働力は法で収用され、能力に応じて労働を割り当てられる。無論、働けない人にはこの義務はない。
  • それ以上に働くのは自由。得たお金で、各々を充実させる。例えば自由診療、豪華な家、高度な教育など。
  • 特に能力のある者は、強制労働を免れ、自由専業で働ける。その場合は全ての生活費は自前になる(タダにはならない)。もちろん税は高額になる。
  • 外国人は全て有料。永住権がある者くらいまでは大丈夫だろうが、居住者レベルでは少し考えものだ。
共産主義とほとんど同じようにも見えるが、ベーシックインカムでも似たようなものではないだろうか。タダ働きは高額な所得税に置き換えられるし、タダで支給されるものはベーシックインカムで買うのと同じだ。

ベーシックインカムの論議がこれだけ出ているということは、世の正解は完全な自由主義と共産主義の中間にあるのではないか、と思えてくるのだ。基本は共産主義で、中間層は半共産半自由、富裕層は自由主義、というものだ。

例えば、強制労働は週3、4日とする。そうすると週2、3日は内職ができる。このプラスアルファで家をワンランクアップしたり、子供を塾に通わせたり、遊興娯楽をちょっと豪華にするわけだ。もっと大金持ちになれば自由に生きられることも同じ。但し税額は今より高くなる。

従来の共産主義でも自由主義でもできなかったことが、個々の事情に合わせた細かい調整だ。不安不満をここで吸収する。基本的に無料の提供物は全て価格統制され、人々の不満不安を基に凹凸を修正する。それも頻繁に見直し、不公平感がなくなるようにする。これには大規模なコンピュータによる支援が必要であり、従来ではできなかったことだ。

基本的な生活上の不安がなければ、ブラック企業も汚職も権力闘争も穏やかになり、健全な社会になるのではないか。

2018年9月1日土曜日

5Gの意外な応用


ハイスピード・ハイレイテンシの活用として、遠隔操縦や高精細動画などが提案されてはいるものの、いまいち普通のエンドユーザへのメリットが感じられない、と思う人は多いのではないか。

確かにそうだ。パケ代が容量当たりで同じなら、速いだけあっという間に使い切ってしまう。タダでさえ格安携帯に乗り換えようかというご時勢、これ以上ケータイにカネを掛けていられない。

だが、一つ考えられることはあって、ハイスピードではなくハイレイテンシのみを使う応用なら、エンドユーザにも即メリットがあるのではないか。

それは、「エンドポイント計算支援」である。

例えばVRだ。スマホのVRでは、すぐスマホが熱くなって使えなくなってしまう。その理由は、角度を認識してVRの見え方を計算し続けるという強い計算機負荷だ。レイテンシが高いと、角度センサの情報をサーバに送って、計算済みの画像を送ってもらえば済むので計算機負荷は低くてよい。

サーバとの通信はRDPやVNC(RFB)などで繋げばよいので容量はさほど食わない。レイテンシだけが問題になる。

画像認識や動き認識も同様だ。ローカルで計算しなくて良ければ、幾らでも高精度な計算ができる。そして結果だけ返してやればよい。極端な話、単なる3DCGゲームでも、サーバで処理してやればよいのだ。

こうすると、機器の消費電力は減り、安く作れ、小さくでき、様々な形状のものを作ることができる。数も多く作れる。極端な話、スマホはドンガラ(VDI端末)で良い訳だ。

これはローミングにも有利に働くし、定額制サービスへの誘導という意味でも有意義だ。端末は安く、通信料も安く、個々のサービスへの接続はIDを元に別々に課金する、というようなモデルなら、人はもっと5Gを使いたがるようになるだろう。

何時までもパケ代で儲けようとするのは止めて、サービス課金に誘導するようにして欲しい。この方が普及するし、全体では儲かると思うのだが。

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