2017年4月30日日曜日

ロボットへの課税


かのビル・ゲイツ氏が提唱し、あちこちで波紋を広げている。発言の主旨からすると、人の代替に対するペナルティという側面が強そうに思えるが、一般的に考えてみればロボットは製造機械であり、資産課税はそれ以前の問題としてされることが確定している。機械は元々製造効率を向上させるものであるから、やはり人の代替である。それとロボットとの線引きの難しさ、つまりはロボットが他の製造機械とどう違うのかなど、確かに議論を呼びそうな話題ではある。
ただ、そのもっと根元、なぜそれに課税するのか、という考えからすると、また別の見方ができるはずだ。ゲイツ氏の懸念は、ロボットによる人の代替が今まで以上に極端に進むこと、それによって失業者が大量に出ることへの心配であると予測される。つまり問題はロボットかどうかではなく、効率化が急激で人がそれに追いつけないことが問題なのだ。
であるなら、当然その指標は、効率に対する課税である必要がある。そしてその対象は、ロボットが多いか少ないかとは関係なく、全業種に及ぶべきである。更には、その「効率」とは、利益率ではなく、従業員の人数に対する事業規模で表すべきである。つまり少ない人数で大きな事業をしているところには、その規模に応じて(赤字かどうかに関わらず)課税すべきなのだ。
その結果、ロボットが主に代替するであろう製造業よりも、もっと課税すべき業種がある、という可能性は充分にある。例えば投資や金融廻り、一部のサービス業はどうだろう。従来は、会社が儲かれば高額な人財を雇って更に儲けさせる、という図式がまかり通ったのだが、この基準に従うなら、儲けるほど人を雇っていなければならないし、一部の人間に極端な高給を与えるのは不利になる。これは貧富の差を是正する。
自分の知る限りでこのような税体系を採っている国はないが、これこそが、共産主義・資本主義・自由主義・社会主義などに続く新しい社会体制である、となる可能性は否定できない。そしてそのためには税制を弄るだけでよい。詳しく考えてみる価値はあるのではないか。

2017年4月29日土曜日

吊り下げ人工ツリーハウス


以前、「吊るす家具」という投稿をしたことがあったが、あれを家全体にまで拡張したらどうなるだろう。
家の重量バランス上の中央に、太い柱を立てる。鉄筋コンクリート、鋼管、あるいはそれらの複合である。管は中空で、上下水、通信、電気電話などのインフラはこの管を通る。上水、下水は各々独立、その他は共同管で良いだろう。地中深くでインフラと接続し、管内に虫やシロアリが入り込まないよう、厳重に封止しておく。室内への誘導は、免震クッション(後述)より上で行う。柱は必ずしも一本でなくても良いが、少ない方がよい。
柱の最上部から四方に、傘のように屋根が張り巡らされる。各階の床は、天井の枠からワイヤーロープやテンション材などで吊り下げられる。この際、幾つかのロープを斜交いに張ることで、振動が抑制される。屋根と天井の間は開放空間となる。壁は天井枠及び2階以上の床枠から吊り下げられる。枠の外側は耐候、枠の内側は断熱を担うようにする。床下は、通常よりはかなり高く空け、空気が十分に通る構造にする。家の真下になり隠れる部分は、鉄筋コンクリートでベタ打ちする。
柱と家の間には間隙を設ける。家の上下の重量中心より十分に下の部分に、柱との間のクッションを設ける。これが台風や地震の際の免震構造になる。免震クッションは、油圧制御の高度なものなどは必要なく、極端な話、砂袋で十分である。玄関へのアプローチには階段が使われるが、途中で切れている。人間はまたげるが、虫には無理な幅を持たせる。
虫や小動物が、地面から柱を伝って家に侵入するには、少なくとも免震クッションの所まで上らなければならない。この部分より下の温度湿度が外気と同じなら、シロアリなどはまず上ってこない。忌避材や防虫剤を塗布する際は、この柱だけに塗ればよいし、オープンなので何度でも塗り直すことができる。柱の周りにとげを仕込んだり、高圧電流を流すような荒業も可能だ。ネズミを含む動物の侵入も、ある程度阻止できるだろう。
家を吊る方法で作ると、強固な構造材(柱)が必要ない。これは構造材を節約すると共に、壁の凹凸を減らす効果がある。一般的に、断熱材は、構造材の隙間に埋め込むのだが、そのために構造材の部分が熱橋(そこだけ熱伝導率が高い状態)となりがちだ。これは結露などにより家が傷む原因となる。だがこれなら、ワイヤの内側に断熱材を均等に、隙間無く、また厚みも十分に入れることができる。地震にも強くなる。
基礎も床下空間もないから、当然ながら床下の換気は不要であり、湿気がこもることはない。天井も空隙となるので熱や湿気はこもらず、ネズミやイタチが走り回ることもないし、もしそうなっても退治は容易である。
下水が問題で、1階の排水はポンプで免震クッション上まで持ち上げてやらなければならない。これが壊れると、下水が溢れることになる。
もう一つの問題は、火災により構造ワイヤが切れてしまった場合。1階なら地面に落ちるだけだが、2階の場合は1階を全て潰してしまう。もっとも、ワイヤが全て切れるほどの火災なら、外装は不燃物だから、中の断熱材は全て焼けてしまっているはずだ。どうせ先に死んでいるのであまり関係ない。
この構想は中央に柱を通すやり方だが、周囲、例えば四隅に柱を立てて、真ん中に家を吊るす方法も考えられる。この場合は上下水の引き込みがより面倒になる(地面から直接引き込むのでは吊るす意味が薄れる)が、似たような効果が得られる。

2017年4月28日金曜日

AIジャッジ


人工知能が充分に信頼できるようになれば、AI版「ジャッジ」のようなものが出てきてもおかしくない。
この「ジャッジ」は、「ジャッジ・ドレッド」のジャッジだ。つまり、逮捕した犯罪者をその場で裁判、判決、刑執行を行える権限を持つ者である。ロボットのようなものを想定しているのではなく、ネットの情報や監視カメラ、センサなどから犯罪を検知し、その場で犯人を特定して通報するシステムだ。
犯罪の証拠はその場で収集され、即時に提出可能になる。残りは本人の精神鑑定や情状酌量の余地だが、これも犯人が特定されれば即座に過去の情報が入手され、AIによって整理された上で提出される。
つまり、必ずしも検察側に有利な証拠だけでなく、裁判で必要な証拠のうちオンラインで入手可能な情報を全て、素早く集めるシステムだ。証拠集めや証拠の有効性に関する議論が大幅に減ることで、裁判に掛かる日数を大幅に低減することができる。
裁判自体にもAIが使われ、それが充分信頼できるようになれば、即時判決までは充分に可能、ということになる。さすがに刑執行といっても死刑以外は即時にはできないから、そこまで極端ではない。
刑の軽重に対する世間の評判もAIに組み込まれ賢くなっていくから、少なくとも恣意満載の人間に裁かれるよりは幾分納得のできるシステムになるはずだ。

2017年4月27日木曜日

AIビジネスバランス分析セット


先日の展示会で発見した、DataRobotという会社がある。ここの会社の機械学習プラットフォームは、データを読み込んだ後、たくさんある機械学習アルゴリズムのどれを使ったらよいかを経験から選別し、更にはそれを実際に適用した結果を基にPDCAを廻す、ということを行う。
AIと言えば深層学習、と短絡的に思われがちだが、実際には多数のアルゴリズムがあり、更には各々にパラメータがある。そのどれをどのように使うか、更にはそれを組み合わせる、というのは、AIエンジニアとかデータサイエンティストと言われる人たちの力量によっていたわけだが、そこが自動化される。
勿論、このシステムを作った人たちは一流のデータサイエンティストな訳で、その意味でデータサイエンティストが居なくなるわけではないが、これを使うことでAIがブラックボックス化され、更にはそこら辺のショボいデータサイエンティストは不要となる。これを使ってビジネスをしようとしている、AIに疎い一般企業にとっては朗報だ。
従来、これに近かったのが、Amazon Machine Learningだったが、こちらはアルゴリズムが固定で、どちらかと言えば初心者向け、お試しの色が強かったが、こちらは実用に耐えうる。これで本格的にAIの普及に弾みがつく。
中レベルのデータサイエンティストが全く不要になるというわけではない。このシステムに食わせるデータの質、量をどのようにするかはまだ考える余地があるからだ。既存のシステムのログをクレンジングしたり、不要なデータを消して課金を節約したり、精度を上げるためには何が必要かを考えたり、という仕事はまだ残されている。
一般企業が考えるべきは、この機能を使って何をするかだ。単純には売上げを伸ばすために何をすべきかを導き出すことだが、これは広く言えば最適化である。従業員の配置や労働時間の調整、店舗のレイアウトや新製品を出すタイミング、営業の訪問期間やプレゼンなど、機械化されていない最適化の問題はごまんとある。
スポーツが個人でなくチームのスポーツになってしまい、突出した天才が現れなくなったのと同じように、ビジネスもAIによるバランス調整が不可欠になる。しかもその項目は多岐詳細に渡り、そうとうがんじがらめになるだろう。そうすることで数倍の効率化を行うことは可能と見る。
先進的な企業がそういったアクティブな遣い方をする一方、通常の企業においては、標準的に導入している情報システム、例えばグループウェア、メール、勤怠管理、給与、税、財務会計、資材管理、調達、Web、CRM、などと言ったもののログをこのシステムに投入して、出力に複数のKPI(売上げ、利益、残業時間、顧客アンケート満足度など)を併せて設定して、後は全自動で廻すような一括プランが登場することになるだろう。
これは、いわゆるブラック企業の撲滅にも繋がる。従業員の健康や満足度を配慮しないのがブラック企業の特徴だが、システムにAIを繋いで分析すればたちまち実態が分かってしまうからだ。残業をごまかしたとしても、私物携帯やSuicaの記録、オフィスの電力消費記録などはごまかせない。また、不景気のときに研究費を落とすとか採用を減らすとかいったことの是非も、次第に明らかになるだろう。

2017年4月26日水曜日

Beam応用


似たようなプロジェクトが既にPanasonicからも出ているが、こちらの方が想像力をかきたてられる。だがHPにあるような、壁に映すために机に置くのはナシだ。カッコ悪い。
シーリングライト用の冶具に、複数の白熱灯を色々な向きに設定できるようなものがあるが、あれを使うことで壁や床、机などに色々と表示ができる。つまり複数使うことで応用が広がるはずだ。だからソフトも、複数が連動して使えるような工夫をして欲しいものだと思う。
  • 単純に大画面を複数プロジェクタで実現する。床いっぱい、壁いっぱいなど。
  • 通路に沿わせたいなど、単純な長方形でない、複雑な形状の投影空間が必要なもの。
    • 人に合わせて行先案内を床に投影する。例えば役所で、手続きによって窓口が異なるとか、シネマコンプレックスで見たい映画毎に誘導する。訪問者が来たとき、面会者のいるところまで個別に誘導する。
  • 人のいるところに合わせて情報を投影する。朝は寝室、昼はリビング、炊事中には台所など。防犯防災関連の警告は、全部一斉に表示することも考えられる。
  • 場所によって投影する位置を固定しつつ、人や状況に合わせてその情報を変える。壁掛け時計やカレンダーの位置の好み、欲しい情報の好みをその場にいる人に合わせて調整するなど。
  • 一昔前に流行り直ぐに廃れた、ディスプレイテーブルの復活。
    • 食事の内容に合わせた色調で美味しく頂く。テーブルクロスの模様替え、色温度の調節など。
    • 電子書籍を投影する。地図や絵画などは大きく投影する。
    • ボードゲームをする。将棋やオセロ、人生ゲームなど。
    • 大量の写真や資料の整理をする。
    • テレビで見ている情報の補助情報を表示する。dボタンの拡張のイメージ。
  • 簡易テレビ電話に使う。
    • 各部屋に設置しておいて「ごはんよ」コール。
    • 人のいるところに優先して表示するインターホン。
    • PCやテレビの画面を邪魔せずに第三者と打ち合わせる。
    • 単純に環境を表示する。単身赴任先の父親宅など。
    • 窓の代わりに使う。監視カメラで屋外を映したり、風光明媚な景色を映したり、天気を暗喩するCGを映したり。
値段が値段だけに複数買うのはまだはばかられるが、何れこれがこなれてくれば、こういった使い方をしてみたいものだ。

2017年4月25日火曜日

導電性ポリマーによる導電服


この記事を見たとき、この導電性ポリマーは皮膚に貼るのではなく、服に使ってはどうかと思った。特に下着だ。今でも、吸汗下着やコンプレッションウェアでは体にピッタリで伸縮性の高い素材のものがあるから、これと組み合わせればよい。
導電服の用途として直ぐに思いつくのは、心拍や発汗を計測するものだが、もっと単純に静電気防止ウェアだってよい。また、大電力が許されるのなら、空調服
や発熱ベスト
の配線にも使える。
この手の電気を使う服で何時も気になるのが、ケーブルとコネクタが鬱陶しいのと感電の危険であるが、この配線でコイルを作って無線給電にしてはどうかと思う。つまり、
  1. バッテリにはコネクタはなく、密閉構造とする。充電はQiで行い、放電も類似の無線給電を使用する。所定のポケットに入れるだけで通電可能になる。
  2. 受信コイルは導電ポリマーのコイルで作り、そこから目的地までの給電も導電ポリマーで行う。
  3. 目的地におけるデバイスへの放電も無線給電で行う。
こうすれば、ケーブルとコネクタを全て廃することができる。また全てが交流となるため、感電の危険がほぼなくなる。
ケーブルやコネクタがなくなることにより、そのボコボコの厚みを廃し、服として自然な厚みを実現できる、一方で発熱ユニットやファンは小型化し、ケーブルレスで接続できるようになる。例えばマジックテープや両面テープで貼り付けるようなイメージ、あるいはボタンやフックなどで留めるイメージで付け外しができる。首筋や脇など、効果のあるところに複数配置することで、個々は小型で目立たず、その割に効果的に使うことができるだろう。
あるいは、EMSのような使い方もできるかもしれない。以前もEMSについて議論したが、これならパッドは不要であるし、全身くまなく配置できるから、効く効かないの議論を吹っ飛ばして全身EMSができるはずだ。またEMSだけでなく低周波治療器にももちろん使えるから、スイッチを切り替えるだけで疲労回復や腰痛治療に使える、ということになる。
この全身タイツ型導電服にはもう一つ考えられる用途がある。EMSの動きを細かく制御してやると、体に特定の動きをさせることができるのではないか。つまり、EMSは電気刺激を外部から行うことで筋肉を収縮させるわけだが、この電極が全身至るところにあれば、右足を曲げて左足を伸ばす、ということはできるはずだ。だから、例えばダンスや運動の補助に使ったり、危険を感知したときに自動で逃げるようなことができるように思う。リハビリや介護補助にも使えるだろう。
他に考えられるのは、襟元や肩に超指向性スピーカーを配して、イヤホンなしに且つ周りの迷惑なしに音楽を聴くとか、そのスピーカーや、フラッシュライトやバイブレーターによって、携帯電話などの着信を知らせる、というものが考えられる。また、発汗や発熱を検知して警告する、逆に体がどう動いているかを筋電計のごとく検知する、というものも可能である。

2017年4月24日月曜日

折り畳み自転車の工夫


折り畳み自転車でもタイヤ自体は普通折り畳めない。だから小さくしようと思えばタイヤを小さくしなければならない。だが自転車はタイヤが小さいと乗り心地が悪くなるため、ある程度は必要である。この矛盾を解決するにはどうしたらよいか。
なぜ乗り心地が悪くなるのか、それがこの問題の鍵だ。その理由は、地面の凹凸への追従である。タイヤが小さいと地面の凹凸への追従が悪くなる、タイヤが最初に凸部分に触れるところと地面に接するところの距離は、タイヤ径が短いほど短くなり、前輪が凸に合わせて上昇する速度が急になる。そしてタイヤ半径に対して一定以上の比率の高さになれば乗り越えられなるなる。これがその理由だ。
であれば、タイヤのうち、地面に接するところ近辺さえ上手く作れば、それ以外の部分は要らないという計算になる。そんな方法を幾つか考えてみた。
●キャタピラ折り畳み自転車
通常のキャタピラは、地面に接する部分が斜めに上がっている。これが地面の凸部分への乗りあげをスムースにする。戦車のキャタピラを居目地して頂くと分かり易い。あの真ん中の水平部分を短くし、全体で縮尺を自転車サイズにしたもの、と考えればよい。
さて、この自転車の欠点を考えてみると、キャタピラ部分の構造がかなり複雑になるので、精度や強度の不足、あるいはゴミ挟みに対する耐性が低下する。駆動伝達(ペダルの力をキャタピラにどう伝えるか)も問題になるだろう。
●蛇腹タイヤ折り畳み自転車
扇子のような折り畳み構造を作っておく。通常のセンスは120°程度開くが、これを360°開くようにしてやり、固定すればタイヤになる。泥除けも、折り紙のように折り畳んでしまえばよい。
●超分割タイヤ折り畳み自転車
スポークが32本あるとして、この一つ一つが分割できるようにする。スポーク一組にはタイヤが1/32だけついていて、各々は独立している。組み立てて初めて繋がるように見える。
●二重円周折り畳み自転車
タイヤ径が26インチとして、これを10インチの内周円とそれ以上の外周円に分割する。内周円はフレームに固定されていて、外周円との間はボールベアリングで繋がっている。このボールベアリングに、分割された外周円をはめ込んでいくことで完成する。後輪は内周円と外周円を直接接続する。
●三連小型タイヤ自転車
キャタピラ式の応用で、前・中・後ろのキャタピラの代わりに、小型タイヤを割り当てる。この際、中は5インチ程度のもの一つでよいが、前と後ろはもっと小さなタイヤを複数設ける。ちょうどキャタピラの板を外して、個々のホイールだけで走るイメージになる。

何れも機構が複雑になってしまうのが困りものだが、小さくなっても快適であれば、少々高くても売れるのではないか。

2017年4月23日日曜日

ラインアウト判定マーカー


あらゆる球技では、ラインアウトを判定する機会があるが、現状ではこれを審判が目視で行っている。これをカメラとAIで行う、というのは一つのアイデアだが、ここではもっとローテクな提案をする。
シリコンや塩化ビニールなどの柔らかい弾性素材、つまり一度押すと変形するがその後ゆっくりと元に戻る素材に、感圧で色が変わる素材を仕込んでおく。すると、ボールが当たって衝撃を受けると色が変わり、その後ゆっくりと元に戻る。
もしボールでなく足で踏んだとしても、その場合はば足形が残るので、ボールとは区別できる。これによって、審判の判定を助けることができる。
これは必ずしも球技だけでなく、武道や相撲などでも、また水泳のタッチやターン、プロレスのロープなどにも同様の応用が可能である。

2017年4月22日土曜日

生きていくための知識の量


生まれてから死ぬまで、人は様々な場面で色々なことを学ぶ。この多くは、その後生きていくための糧になる。ストレートな言い方をすれば、生涯の稼ぎを向上させるのに貢献する。逆の見方をすると、一定以上の知識がないと生きていけない。
野生動物なら自然淘汰、つまり死を持って終結するわけであるが、人間の場合は助け合いの制度があるので生き残ってしまう。それはまともに生きている人の足をも引っ張る。だから、社会における知識の底上げは重要だ。
そこでの疑問は、どの程度の知識がどの程度の稼ぎを生み出すのか、だ。多ければ多いほどよい、という程度のことは分かっても、特定の知識が欠けていることが致命的にならないか、特に効率のよい学習法があるのではないか、教科書に載らない知識や学習をどう評価するか、などとするとカオスになっていく。
知識の量を定量的に測ることは困難だが、不可能と言うほどではないだろう。例えば学習に要した平均時間とか、テスト成績の向上曲線とか、何かしら(精度は悪いにしても)あるはずだ。その前提で、生きるために必要な知識の量はどの程度なのか、それが時代によって国地域によってどう変化していくのかを考えてみる。
ここで、「生きていく」の定義をしておかなければならない。同じ額の稼ぎがある、という定義では不十分だ。国の平均的生活レベルから大きくずれれば、その人は極端に不幸になる。つまり、「幸福度」で計るべきだろう。これにも国民性(人種、性格の偏りなど)が影響するが、これは無視してもよいだろう。幸福度には幾つか指標があるが、最初はどれを使ってもよい。その国における幸福度の平均値をもつ人たちが、どの程度の知識量で生きているのか、というのを命題と定義する。
一般論で考えると、先進国は生きて行くのに必要な教育の量が多く、新興国では少ないのではないか。また、時代が進むほどその量は増えているのではないか、と推測できる。また、グローバル化はこれを加速しているだろうとも考えられる。
この量は、少なければ少ないほどよいはずのものだ。それでもその量が年々増えていくのは、多分に高所得者の向上心や野心が関係していると推測する。
ピケティを引用するまでもなく、国際的に見て、富の集中が起こっていることは明らかだ。その富を生み出す知識や行動力は当然尊敬に値するものであるが、その上位グループ内での競争はハイレベルであり、必要知識量の上昇も早いだろう。その知識は順に下に下りていき、次第に平均的な必要知識量を底上げしていく。
例えば、海で魚を獲るのにも漁業権が必要だし、量も制限されるし、手数料も取られる。農業をしようとすれば農協への加入が必要で、肥料は買ってこなければならず、土地は農地として認められないと高い税金が取られる。それを売ろうと思えば食品衛生法に引っ掛かったり、調理師免許が必要だったり、会社を作ったり、税務署に届をしなければならない。拾ったものを食べれば犯罪になり、つかまってしまう。その手続きも数も増え、その度にカネをとられ、一方でそれを節約する術もある。
別項でも主張したが、平均的な人が一生のうちに獲得できる知識の総量は、時代の伸びほど速くは伸びない。このため、貧困レベルの知識量がどんどん上がっていき、国民の大部分が貧困になってしまうような事態が起きつつあるように思う。
そうならないためには、こういった平均的国民の必要知識量に対し、実際の教育が追いついているかを国が監視し、必要なら教育を強化するようなことは必要だと考える。これは義務教育だけのことを言っているのではない。なぜなら、その知識量が義務教育で収まっているかどうかの議論はされていないからだ。個人的には既にもう足りないのではないかと思っている。
極端な話であることは承知の上で言うが、高校まで義務教育を延ばすか、専門学校や工業高校のような、多少分化した学校に対しても公立の割合を増やし、且つ授業料を無償に近いところまで助成するようなことは、もっと推進してもよいと思う。授業の内容にしても、ビジネスマナーや世界情勢などの実践的なものを、公立でも取り込んでよいのではないだろうか。社会人になった後も、同じように教育の場を安価に提供することは、決して無駄にはならないと思う。

2017年4月21日金曜日

トリチウムの有効活用


NHKのテレビで、福島第一原発の汚染水の話をしていた。既に何十万トンという量に達しているそうだ。
恐らく、地下水の問題が解決すれば、冷却水としての再利用の比率が増え、増加量は減っていくだろう。また、トリチウムの半減期は12年ほどなので、他のものよりは遥かに扱いは楽なはずだ。また、簡単安価な濃縮分離技術も開発中だ。そのうち、初期のものから順に、分離して放出できるようになるだろう。
だが何といっても量が凄い。他に消費の道がないかと調べてみると、蛍光発光があることを知った。昔、時計の夜光塗料のような使い方がされていたらしい。また海外では光るキーホルダーとして売られているものもあるそうだ。光量は弱いそうだが、12年補給なしに光り続ける、というのであれば、色々と応用が考えられるのではないか。
代表的には、防災に使うというのが考えられる。大規模停電時の補助に使う。例えばエレベーターの天井に仕込んでおくと、止まっても真っ暗にならない。また避難道具の表面に仕込むことで、停電しても間違わずに持ち出すことができる。家具の角に貼っておけばぶつかることもないし、階段のステップに貼っておけば普段から転ばずに上り下りできる。
太陽電池での発電は難しいだろうが、秘策はある。自発光するなら始めから太陽電池に貼り合わせておける。そうすれば折り畳んで重ねて密閉することができる。実は太陽電池の構造は薄く、大部分の厚みは基板(基材)の厚みなのだが、積層して固まりとして使うのなら基材は薄くてよい。つまり、通常の乾電池のような形状にすることが可能だ。避難道具の中に乾電池がある場合、定期的に交換する必要がある。これが不要になるというわけだ。
また、トリチウムは液体なので、濃縮したモノが半減期を迎えたら、再度濃縮して密度を保つことができる。このため、原発などでトリチウムを作り続けても、消費が一定量あれば問題ない。このためには、先ほどの太陽電池において、トリチウムは液体で保持しなければならない。つまり、トリチウムのプールに、蛍光剤を塗った太陽電池パネルを突っ込むような形にする。
発電能力は低いから、いくら折り畳んで高密度化しても太陽には敵わないとは思うが、建物の中にも設置できるし、夜でも発電量は安定している。非常時用、ベースロード、僻地用、などにおいては、太陽電池より使い勝手がよい場面もあるだろう。

2017年4月20日木曜日

ホロデッキの実現


周囲を全てホログラムで囲い、あたかも別の場所にいるかのような錯覚を起こすことができる空間。SFではよく出てくる設定だが、技術的にはまだ困難だ。
だが、ホログラム(立体映像)でなく単なる映像でよいなら、あるいは偏光メガネによる3Dでもよいなら、今でも可能である。周囲を全てスクリーンで覆い、プロジェクターを多方向に向けて投射すればよい。カネはかかるが、べらぼうというほどではない。実際のところ、ゲーム開発ベンダなどでは自前で持っていたりする。最近は短焦点距離プロジェクタも多数登場しており、広い部屋も必要ない。例えば四畳半程度の部屋であっても、相応のことは可能である。
技術的には可能という前提で、どんな使い方が考えられるのだろうか、想像してみた。
  1. 現状、HMD向けに開発されているVRコンテンツの多くは、ここに転用できるだろう。即ち観光、ゲーム、体感シミュレーションなどだ。HMDが不要なので視野角は更に広がり、臨場感は増すはずだ。ただ、基本的に近景は苦手であるので、クローズアップを多用するコンテンツ(サマーレッスンなど)は向かない。
  2. 多人数でも使えるので、それを前提としたコンテンツは伸びるだろう。スポーツの試合の中継やコンサート映像を流して仲間うちで盛り上がる、などが考えられる。
  3. 逆に、リラクゼーション関連のコンテンツは、HMD向けにも開発されてはいるが、こちらの方が向いている。海岸や草原などの自然、燃える薪などを延々と流すものがそれで、簡易ベッドを持ち込んで寝転んだり、ヨガをしたり、といった類のものだ。
  4. カラオケルームの部屋のうち幾つかが、これに改造されるかも知れない。
  5. 防音室のように、部屋の中にまた部屋を作るキットが発売されるかもしれない。ただ防音室と違って壁との距離はある程度必要である。焦点距離が壁に固定されるためだ。
  6. 部屋の中央に一人だけ座るという前提で、偏光フィルタ付きの度付きメガネをかけることにより、壁の距離を無限遠に騙すような仕掛けは考えられる。この場合、壁面は球状になる。その効果は部屋が狭くてもよいことで、例えば頭の位置から壁までの距離が1~2m程度の商品もあり得る。
  7. 映画でも実験的なものが作られる可能性はあるが、現状でもプラネタリウムで上映されているようなものはあるので、映画館として新たに作られる可能性は低く、あまり伸びないのではないか。
  8. テレビ会議に取り入れられると、臨場感が増して効果が高い。但し帯域は多く使うのと設備費が掛かるため、少なくとも初期には一部の高級品に留まるだろう。
  9. 同じく、遠隔授業や遠隔医療に応用されるだろう。これも現状ではテレビ会議で行われているものを、臨場感を増す目的で強化するものだ。
  10. 本物を見れないところ、CGを駆使して映像化するようなものが考えられる。例えば原発の内部に入って放射線量の動きを可視化したり、体内に入って病巣を色々な方向から見たり、太陽に接近してフレアの動きを体感するようなものが一つ、また実物がないものの実体化、例えばネットワーク上のカネの動きを可視化するようなものも考えられる。何れもシミュレーションの一種と言えるが、エンタテイメントだけでなく、教育・研究・分析などに使える。
  11. 海外のマニアが、TNGの劇中で登場したコンテンツを再現する。国内のマニアが、銀英伝の帝国軍の艦橋を再現する。
技術的な困難さはそれほどないはずなのでさっさと作って欲しいのだが、難しいのはコンテンツの方だろうか。何れにしてもはやいとこ体験したいものだ。

2017年4月19日水曜日

SPCの増加


映画の出資が製作委員会形式になって久しいが、これも任意団体ではなくSPC(特別目的会社、特別目的事業体)
が流行っているようだ。映画やテレビは一つ一つが大きいから、リスク分散のために早めにこういったことが行われるのが普通になっているが、これが他の商品に波及することは考えても良いはずだ。
自社だけではリスクが大きいような事業、あるいは自社の規模を超える大きな規模の事業をやりたい時、あるいは尖ったプロジェクトの数をこなして自社のリスクを分散したいときなどに、期間限定で会社を作り、成功すれば存続して利益の分配を続け、失敗したら早々と畳んでリスクを限定する。その代わり思い切った大胆な企画ができる。これは会社、従業員、そして顧客の何れにもメリットがある。
この例として考えられるのが、
  1. 原発関連(解体、減容、処分含め)
  2. 航空機開発
  3. 新技術の戦略的普及策
  4. 大規模な社会実験、科学実験
  5. 軍事関係
などだ。今にして思えば、東芝の原発、三菱のMRJ、富士通の京、陽子加速器などといった大規模な技術開発は、この方法が良かったのかもしれない。また、これなら異能や業界の会社跨ぎでの人財集約もできるし、海外からの招聘も可能だったろう。
そして、過ぎたことはそれとして、これからはこのような大規模なものでなくても同様のことができるはずだ。そうなると、SPC目当てのフリーのエージェント(特定の会社に所属せずSPC専門に渡り歩く有能な高給取り)が出現したり、会社がプロジェクトではなく機能別に分離したり(特定の技術の専門家集団になる)、逆にプロジェクトマネジメントだけの会社(SPCの立上に専念する)会社が出現したり、という構造の変化が起こるのではないか。
大会社は、リスクを取らなくなって、安定する代わりに詰まらないものしか作れなくなった。こういった形態が社会で一般化すれば、まだ尖った商品が世に出て世間を騒がせることができるようになるかもしれない。

2017年4月18日火曜日

AIによるウナギの養殖


ウナギは養殖が困難とされているが、その理由は生活環境がよく分かっていないからだ。これに対応するには、薬を探すときのように、細かく仕切って環境を制御し、また稚魚の成長や運動の具合をカメラで観察して数値化した上で比較するのがよい。
その際、どの環境をどの程度制御するのかは、幾つかの方法論がある。薬の場合は環境マトリクス作って全数検査する方法が一般的だと思うが、生物の場合はトップランナー+摂動、要はアニーリングが使えるように思う。ただ、速く成長しすぎると実がつかない、というようなこともあるから、かなり後ろからのフィードバックもあり得る。
そういったことを自動化するにはコンピュータは最適だ。多数の入力から傾向を見つけてフィードバックするその方式は、AIのそれに似ている。この手のシステムを汎用で作ることができれば、ウナギだけでなく農作物の品種改良や蚕の育成など、様々な生物応用産業に使うことができるように思う。

2017年4月17日月曜日

仮想空間デパート



昔はホロデッキが欲しかったのだが、VRが普及してくると、これでよいのではないか、と考えるようになってきた。もちろん実力はまだまだなのだが、HMDに色々なセンサが付くことで、またHMD自体の画角が広がったり解像度が上がったりすることで、ホロデッキでやろうとしていることのかなりの部分が実現可能に思えてきたからだ。
ホロデッキで何をやりたいのかというと、一言で言えば『旅行』だ。今のVRでもそこそこ体験できるが、リアルタイム性もインタラクティブ性もない。その理由は、街が実際の町を撮影したものだからだ。静止画であったり、動画であってもごく短い時間の分しかない、また自由に歩き回ることができない、といった不満がある。全てCGならこの心配はない。
VRで行きたいくらいなので、この際のCGは、リアルに街や人が見えなければならない。ゲームに登場する程度のクオリティでは不足だ。実写に3D認識にテクスチャマッピングとか、とにかく膨大な計算量をこなしてでも本物そっくりにしてほしい。
従って、観光が使い物になるのは少し先の未来になる。このもっと手前では、実用のための仮想空間が登場するはずだ。それは商店街(ショッピングモール)であったり、手続きのための店(市役所、携帯電話店など)であったり、通話であったり、映画館(映像コンテンツを見て楽しむ)であったり、と様々だ。
ここで重要なのは、異なるサービスが一つの電脳空間に同居することだ。Webブラウザで異なるURLを叩くことに相当するのが、街の別の場所に移動することになる。この際、道がURLのアルファベットで分かれている、というようなUIはバカげているから、もっと現実的な空間の想定が必要である。
電脳空間は無限だが、空間が広すぎると、最初の方は選択肢だらけになって先にたどり着けない。最後も同様で、バナナ専用フロアにバナナ売りが1万人いたとして、どこから買えばよいのかなど誰もわからないだろう。
そこで考えられるのが、「カスタマイズ可能なデパート」だ。フロア毎に大体機能が決まっていて、それは現実のデパートを模したものになっている。地下は食料、1階は化粧品、2階は高級ブランド、・・・という、あれだ。
そのフロアの広さも大体決まっていて、入れる店舗は限られている。ユーザはまずデフォルトの店を試し、気に入らなければ退店させ、別の店を入れることができる。デパート自体も複数持ち、普段用と週末用などと使い分けることができる。また、市役所、パチンコ店、職安など、現実のデパートとは縁遠いものでも入れることができる。
また、この構成を他人に公開することもできる。トレンドを追う109的なショップ、正統派総合デパート、庶民派スーパー、エンターテイメント中心など、個性豊かなモールが存在し得る。これ自体は無料だが、店舗はテナント料を設定してもよいだろう。有名なモールには人が集まり、売上げも増えるから、そのショバ代を取る根拠らしきものはある。
このような空間を、次世代のインターネット空間へのUIとして設定してはどうかと思う。このためには、URL振り分けは勿論だが、店舗や店員の面構えは同じプロトコルで記述する必要があり、標準化が必要である。

2017年4月16日日曜日

人工知能教師


人工知能教師については以前から考えてきたのだが、時代の進むのが早い。
この記事は大学レベルのものだが、本質的には座学ならどんなものにでも対応できる。教師の仕事の半分が、これで持っていかれることになる。
これは教育のコストを減らす効果がある。即ち知的レベルの格差を減らし、底上げを推進する。一方で教師の価値は落ち、所得は下がるだろう。塾の名物教師のような特殊なものを除けば、市場も縮小するはずだ。
個人的には、学校の勉強だけでなく、世の中のあらゆる知識について、このような教師を作って欲しいものだ。つまり、固定した教材をベースとするのではなく、広大なネット空間の情報をベースとして、どんなことにも質問に答えてくれて、またその答が分からないと言うと更に解説してくれるようなものだ。これはWatsonと言えどちょっと勝手が違うはずで、まだ研究の余地がある。
自分が思い立ったらどんなことでも好きなだけ勉強できるという世界は素晴らしい。それが安ければなお更だ。日本は行政が教育にかけるコストが少ないそうだが、これならIT投資でもあるので少しは本気になってくれるのではないか、と期待する。そのためには日本でもWatsonに相当するようなAIシステムが必要だ。知る限りでは日立のAT/Hと富士通のZinraiが有名だが、どちらもWatsonとはかなり異なる。日本はこのような研究は流行らないのだろうか。将来が心配である。

2017年4月15日土曜日

何でもロボット


ゴミ箱にタイヤが付いていて走る、というジョークのようなグッズは聞いたことがあるが、世の中のあらゆるものにAIによる駆動装置が付いたとしたら、なかなか面白い社会になるのではないか。
以前の投稿ではタンスにキャスターを付けたが、おおよそ家の中にある全ての家具に駆動装置とAIを搭載できたとしたら、何でも向こうから来てくれて、要らなくなったら勝手に奥に退散してくれる、というようなことができるのではないだろうか。
さすがに風呂やトイレは難しいだろうが、壁は多分OKだ。机、椅子、ゴミ箱、冷蔵庫、シンク、調理家電(電子レンジなど)、植木や熱帯魚水槽に至るまで、稼動は可能だ。
そんな時代、部屋はフラットの板ないしはタイル張りだけになって、壁はなくなり、ただのワンルームになる(風呂トイレは別)。必要に応じて、あるいは時間になると、壁や家具が動いて指定場所に現れる。例えば子供が帰ってくればピアノや机が待っている。夕食の時間になればそれらが引っ込んでテーブルが出てくる。夜になればベッドが出てくる。動力は電気で、床や壁に無線給電を仕込めばよい。Pepperやルンバのように、自動で充電基地に戻るようにする。
要らないときは詰めておけるため、部屋の活用効率は上がる。このため、相対的に狭い部屋でも快適に過ごせるようになる。また、間取りの良否はあまり関係なくなる他、模様替えも比較的簡単にできるようになる。
更にはこれを発展させ、例えばゴミ箱はそのまま地域の廃棄場所に捨てに行ってくれたり、地震の際には揺れに合わせて動くことで転倒を防止したり、衝突を回避するように退避したり、あるいは壁が真っ先に来てくれて守ってくれる、というような機能の搭載も期待できる。椅子に座ったまま家のあちこちに移動することもできるだろう。
地震の心配がなくなれば、家具を高く作ることができるし、二段ベッドなどでも安心できる。特にベッドは夜しか不要なものなので、畳むことでスペース効率を上げることに貢献する。また、床が平らなことが要求されるため、掃除は楽になる。引越しも楽になる。

2017年4月14日金曜日

サプリメントは効かないのか


これも、巷には効く効かないの諸説入り乱れていて、納得できる説明に当たったことはない。
前提が難しいのだが、サプリメントが全く効かないということはあり得ない。例えば、「食べ物からとるのが一番」という説だが、体は、それがサプリメントかどうかなど判断できない。必要な栄養があればとる、なければとらない、それだけだ。逆に、食べ物からとることがかえって拙い場合だってある。高価だったり、量が多くて食べきれなかったり、不味かったり、余計な栄養素までとってしまったり、という危険だってあるのだ。また、全ての人に一人ひとり栄養士がついているわけではない。性格だって、懐具合だって、まちまちだ。そんな抽象論を振りかざされても、虚しいだけだ。
人工合成物だ、植物由来だ、というのもナンセンスだ。もちろん大きな分子からなる化合物では細かい違いはあるだろうが、人工かどうかは栄養素の良否とは関係ない。鮭の皮からとられようが、石油から作られようが、同じモノは同じモノだ。大体、エビデンスがない。つまり、自然由来のものと人工のものとで人工のものの方が明らかに悪い、という結果があってこそ言えることのはずだ。
ただ、誤解され易い点はある。まず、サプリ中毒のような人に対する非難が込められている場合がある。これはサプリが悪いのではなく、本人の精神状態が不安定で、たまたまサプリに逃げているだけのことだ。また、過剰になったりバランスを崩したり、あるいは食事が疎かになってしまう危険については、栄養学を理解せずに使用する知識不足から来ていると言える。
一例を挙げると、ビタミンCだ。「L-アスコルビン酸」というのが化学的な名称だが、市販されているビタミンC錠剤の多くは、「アスコルビン酸ナトリウム」と、「ナトリウム」がついている。このため、ビタミンCを大量摂取するとナトリウム過多になる、という解説がある。だがもちろん、アスコルビン酸だけとればナトリウム過多にはならない。アスコルビン酸だけのものや、アスコルビン酸カルシウムを含む製品はあるので、そういうサプリを選べばよい。
体の調子が悪い、あるいはもっと良くしたい、というモチベーションがある状態において、それを向上すると謳うサプリメントがあったとする。だが実は、それが不足しているのではなく、別の要因で悪いのかもしれない。プラセボ効果もあるから、飲んで良くなったという実感だけで判断することは危険だ。二重盲検法は大げさにしても、A/Bテストのようなことくらいは自分の体でできるし、日頃の食事を分析したり血液検査をしたりして、ある程度の確信が得られることが望ましいと言える。
平均的な日本人の必要摂取量に対し、実際の摂取量が統計的に足りていないことが分かっている栄養素の場合は、比較的分かり易いだろう。特に調べなくてもサプリで摂ることが有効だと言える。また、それを補うためにXX(食べ物)をとりましょう、というものもよくあるが、今までに食べていたものにプラスでそれを食べてしまうと、足りない栄養素以外の余計な栄養素もとれてしまう。そんな場合、サプリメントの方が有用だ。
また、サプリメントには複数の栄養素が配合されているものもある。総合ビタミン剤などはその一例だろう。こういうものは、バランスをとった配合がされている。食べ物でそのバランスを取るのは事実上困難だから、かえってサプリメントの方が望ましい可能性もある。
これもよく聞く話なのだが、お年寄りが口や喉を痛めて入院したとき、流動食や点滴で栄養を補うのだが、しばらくすると入院前より元気になったり、白かった髪の毛が黒くなるなどの現象が起こるそうだ。これは栄養のバランスが改善されることにもたらされるということなのだが、あれもサプリの一種と言えるだろう。
個人的にも、サプリにだいぶ助けられているところはある。ちゃんとA/Bテストをして、はっきり効いたと実感できるものも幾つかある。少なくとも一律に「効かない」などということはない、とは断言できる。

2017年4月13日木曜日

AIによるプロジェクト管理


大規模プロジェクトの管理には、PMBOKに基づくツール類が多数売られていて、実際にも使われているようだが、これは当然PMBOKの知識体系を理解していないと使いこなせない。PMBOKの内容の多くは、よく考えれば当然のものも多いが、分量としても多いし、中には独自の指標が出てきたり、そのお互いが影響を与えるようなものもあるため、勉強だけでなく経験も必要になる。また、ツールには必ずしも入力されない情報が多数あるので、実際にはツールに頼り切ることができない。これはまた、ベテランPMが必要な理由にもなっている。
大規模PMというのは曖昧さとの戦いでもある。こういうときにはツールは道具にしかならないものだが、もしここをAIで管理できたらどうだろう、と考えてみた。
話は簡単で、PMや要所の責任者の行動、音声、メールを管理し、打ち合わせや立ち話までの情報を全て入力してやる。AIはそれが対象プロジェクトに関するものかどうかを判断し、PMBOKに基づく様々な知識をこれに当てはめ、各々の視点からの警告を発してやるのだ。
まあここまでは難しいだろうから、最初は各種PM関連ツールやメールなどの電子情報だけを対象としてやる。PMのノウハウは多岐に渡るため、注意の勘所は素人には分かりづらい。まずはここを目指すものとする。つまり経験の浅いPMへの気付きを与えるツールにする。
AIの仕事は、マネジメントが平均的に充分出来ているかどうかを監視することだ。それはBIダッシュボードに近いイメージとなる。出力はBIツールでもよいので、そこへのインプットとして、電子情報を判断整理してPMBOK指標に変換するのがその第一の役割である。
第二の役割は、そういったインプットに基づく指標が、どれだけ危険なのかを判断するところだ。BIツールの「ゼロポイント」と「偏差」を求めるもの、と考えてもらえばよい。これらはプロジェクトの性格によって大きく揺らぐところなので、会社毎などに学習範囲を抑えて多く体験させる。
「このくらいだと危険」という勘所が、網羅的に、更には一定の品質で出てくることは、大いに有用だ。そのようなPMツールは既に存在するが、そのパラメータが個別の会社に必ずしも合っているとは言えないし、ましてや学習はできていないだろう。これはそれを補完し、ひいてはPMツールの信頼性を向上させることになる(入力が無駄にならない、役に立つことを実感できる)。

2017年4月12日水曜日

AIによるテストマーケティング


新しい商品を世に問う前に、まずは経営者を説き伏せ、試作して周りの人に見せ、アンテナショップにおいてみたりモニターを雇って触らせてみたりする、というのは、世の至る所で行われている。これをAIである程度代用できれば、商品開発の速度がぐっと上がるはずだ。
これは、AIをターゲットの「普通の人」の代わりにする、というものだと考えればよい。本物の人間を使うのに比べて①偏りが少なく②何回も同じことができて③高速に処理できる、という特徴を持つ。また、ターゲット層をスイッチ一つで切り替えられるので、年齢層毎の解析なども瞬時に可能だ。
残念ながら、物理的な商品、食べ物などにはまだ応用ができず、どちらかというとアプリケーション(例えばスマホ)に有効だが、視覚的なところ(パッケージデザインなど)までは直ぐに開発できるだろう。将来的にはロボットを使って物理的なもの(UIデザイン)までは対応できるだろう。
これなら、試作ができたらいきなりテストマーケティングして、その結果をもって会議に臨めばよい。ある種、経営者の判断より公平なものになる可能性すらある。
防災シミュレーションでは、逃げる人の行動をシミュレーションをしていたが、こちらは嗜好をシミュレーションする。これらは用途は違えど、目的に合致した考えや行動をとる仮想人格である、という点で似たようなものだ。今後、AI仮想人格を使ったXX、といったシステムは、色々増えていくのだろう。

2017年4月11日火曜日

ホロデッキの実現


周囲を全てホログラムで囲い、あたかも別の場所にいるかのような錯覚を起こすことができる空間。SFではよく出てくる設定だが、技術的にはまだ困難だ。
だが、ホログラム(立体映像)でなく単なる映像でよいなら、あるいは偏光メガネによる3Dでもよいなら、今でも可能である。周囲を全てスクリーンで覆い、プロジェクターを多方向に向けて投射すればよい。カネはかかるが、べらぼうというほどではない。実際のところ、ゲーム開発ベンダなどでは自前で持っていたりする。最近は短焦点距離プロジェクタも多数登場しており、広い部屋も必要ない。例えば四畳半程度の部屋であっても、相応のことは可能である。
技術的には可能という前提で、どんな使い方が考えられるのだろうか、想像してみた。
  1. 現状、HMD向けに開発されているVRコンテンツの多くは、ここに転用できるだろう。即ち観光、ゲーム、体感シミュレーションなどだ。HMDが不要なので視野角は更に広がり、臨場感は増すはずだ。ただ、基本的に近景は苦手であるので、クローズアップを多用するコンテンツ(サマーレッスンなど)は向かない。
  2. 多人数でも使えるので、それを前提としたコンテンツは伸びるだろう。スポーツの試合の中継やコンサート映像を流して仲間うちで盛り上がる、などが考えられる。
  3. 逆に、リラクゼーション関連のコンテンツは、HMD向けにも開発されてはいるが、こちらの方が向いている。海岸や草原などの自然、燃える薪などを延々と流すものがそれで、簡易ベッドを持ち込んで寝転んだり、ヨガをしたり、といった類のものだ。
  4. カラオケルームの部屋のうち幾つかが、これに改造されるかも知れない。
  5. 防音室のように、部屋の中にまた部屋を作るキットが発売されるかもしれない。ただ防音室と違って壁との距離はある程度必要である。焦点距離が壁に固定されるためだ。
  6. 部屋の中央に一人だけ座るという前提で、偏光フィルタ付きの度付きメガネをかけることにより、壁の距離を無限遠に騙すような仕掛けは考えられる。この場合、壁面は球状になる。その効果は部屋が狭くてもよいことで、例えば頭の位置から壁までの距離が1~2m程度の商品もあり得る。
  7. 映画でも実験的なものが作られる可能性はあるが、現状でもプラネタリウムで上映されているようなものはあるので、映画館として新たに作られる可能性は低く、あまり伸びないのではないか。
  8. テレビ会議に取り入れられると、臨場感が増して効果が高い。但し帯域は多く使うのと設備費が掛かるため、少なくとも初期には一部の高級品に留まるだろう。
  9. 同じく、遠隔授業や遠隔医療に応用されるだろう。これも現状ではテレビ会議で行われているものを、臨場感を増す目的で強化するものだ。
  10. 本物を見れないところ、CGを駆使して映像化するようなものが考えられる。例えば原発の内部に入って放射線量の動きを可視化したり、体内に入って病巣を色々な方向から見たり、太陽に接近してフレアの動きを体感するようなものが一つ、また実物がないものの実体化、例えばネットワーク上のカネの動きを可視化するようなものも考えられる。何れもシミュレーションの一種と言えるが、エンタテイメントだけでなく、教育・研究・分析などに使える。
  11. 海外のマニアが、TNGの劇中で登場したコンテンツを再現する。国内のマニアが、銀英伝の帝国軍の艦橋を再現する。
技術的な困難さはそれほどないはずなのでさっさと作って欲しいのだが、難しいのはコンテンツの方だろうか。何れにしてもはやいとこ体験したいものだ。

2017年4月10日月曜日

3Dプリンタと産業構造の変化


子供とカミさんの靴は選ぶのに苦労する。子供は成長が早いし、女性用はデザインや靴のカテゴリが細かく、足に合っていて且つ本人の気に入るデザインというのはなかなか見つからない。
障害者や高齢者では別の意味でフィッティングの苦労がある。デパートの介護用品売り場に行けばそれが実感できる。手がリウマチで変形してしまって普通のスプーンが持てない、握力が弱って靴紐が結べない、風呂に入るのも補助が必要、視力聴力の衰えなどもそうだ。そのバリエーションは靴の比ではない。
従来は、熱塑性変形やパーツの交換、ないしは複数のサイズ・形状違いのものを揃えることで対応していた。当然価格は高く、修理も難しくなる。また、パーツを介在することで強度が落ちたり、パーツを紛失しやすくなったりする。3Dプリンタはこういった用途にうってつけだ。
だが、ここまでは言わば当たり前。更に3Dプリンタが身近になれば、もっと気楽に誰でもフィッティングができるのではないか。例を挙げてみる。
楽器(バイオリンのあご当て、弓、木管楽器のリード、指揮棒、…)。指輪。イヤホン。メガネのつる、鼻当て。スポーツの道具(スキー、水泳のゴーグル、ラケット、バット、グラブ、スキー板、ヘルメット、銃、…)。靴の中敷。医療用マスク。文房具(はさみ、カッター、ペン、…)。(携帯)電話。食器。調理器具。工具(ノコギリ、ドリル、ハンマー、…)。ドアノブ。…
体の何処かで触るものは全て可能性がある。また、フィッティングでなくとも、美術品や嗜好品、日用品のデザインでも同じことが言える。
こうなることにより、幾つかの産業構造の変化が予想される。
●デザイン自体の価値と出来上がったモノの価値の比率が変わる
●機能コアビジネスの出現
●素材の単一化、種類削減へのモチベーションとリサイクル機運の向上
●モノが少なくなる

順に説明していく。
●デザイン自体の価値と出来上がったモノの価値の比率が変わる
現在でも、壁掛け時計の盤面や文字を自由に選んで作る工作キットが売られている。指輪やアクセサリーの自作も、東急ハンズなどでパーツを買ってきて自分でやってしまう人もいる。衣装を自分で作ったり、マフラーを編んだりというものもあった。
布系は多分無理だろうが、機能的には成熟していたり、そもそも美術品やアクセサリーなど機能自体に殆ど意味のないものについて、デザイン自体の美術的・人間工学的センスには価値が残るが、3Dプリンタによって設計図があれば誰でも作れるようになれば、出来上がった「形」自体の価値は下がるのではないか、という予測が成り立つ。
従来、特に細かいものについては製造が難しかった。ある程度小型の機器であっても、プラスチックの射出成形には金型が必要で、安いものでも数百万と数週間が必要だった。金型も、単に作れば良いわけではない。俗に「ヒケ」と呼ばれるな肉痩せに対応して、目指す最終形に合わせて金型を微調整したり、プラスチックが廻り込まないで失敗する事態を防ぐために空気抜き穴を作ったりデザインを変更したりと、それなりに職人技だった。一方で3Dプリンタなら、デザインさえできれば数時間で作成可能なばかりでなく、従来は不可能だった極端に複雑な形も、同じ手間で作ることができる。
これによって、一種の価格破壊ないしは技術体系の崩壊が予想される。まずは金型業者の衰退。プラスチック業界は射出成形より3Dプリンタ向けのフィラメント開発に走る。デザインは始めから多数のバリエーションが必要になる。3D CADエンジニアの大量需要。など等。
相対的にデザインの価値は上昇する。単純には意匠権などの権利関係が難しくなり、型を表す3Dデータにはコピーガードの議論が生じるだろう。加工技術や材料工学の類は、一部を除き衰退するかもしれない。焼きなましや鍛造など、加工方法によって材料の強度や粘りが違ってくる金属加工などは、3Dプリンタでは及ばないところではあるが、そうでなければ細かいことは必要なくなるからだ。
3Dデザインそのものを売買する商売も出現する。文具や日用品など単純なものは、買うより作る方が面倒がなくてよい、ということにもなるだろうし、気に入っている定番が売り切れになることもない。まずは3Dプリンタで少量生産し、ヒットすれば金型を作って大量生産、という造り方もできるため、その裾野は広がることになる。
一方で3Dプリンタでは作れない素材、例えば鍛造鉄や真珠などを使ったモノの価値は相対的に上がることになる。だが全体で見れば総額は下がる、つまり市場規模は縮小するはずだ。
●機能コアビジネスの出現
これは簡単だろう。壁掛け時計の例がそのまま使える。駆動部分、即ち針の駆動機構自体は3Dプリンタでは作れないから、この部分だけを売る、ないしは時計盤の3D CADデータと一緒に売るような商売だ。これまでは「作る楽しみ」があったわけだが、3Dプリンタの場合は中間過程がないのでその部分は消える。携帯電話のケースを取り替えるように、「飽きたら交換する(作り直す)」ようなことが進むだろう。腕時計や携帯電話が最も身近な例になるだろう。
電子機器に関して言えば、ArduinoやMicroViewのような小型ワンボードマイコンがその核になる事態が充分に予想される。それは、いわばアプリケーションをあらかじめ搭載したスマホのようなものだ。ブラインドの開け閉めやホームセキュリティ、鉢への水遣り、熱帯魚の給餌や水温管理など、詰まらないものでもどんどん自動化していく。
また、機能コアを複数使って複合機器を作ることが可能になる。掃除機に洗濯機をくっつけるのは考えものだが、二台の携帯を表裏くっつけたい、という要望は叶えることができる。このコンピュータキーボードは気に入っているんだけどテンキーがない、というときに、それをくっつけることもできるだろう。機能同士の連携には別の配慮が必要だが、それもまた商売になる。標準化も進むかもしれない。
●素材の単一化、種類削減へのモチベーションとリサイクル機運の向上
これらにより、故障しても機能部分だけ交換すれば良いし、プラスチック部分はリサイクル可能だから、ゴミが減ることにもなる。だがそのためには、3Dプリンタで作られる部分に細かい素材の違いがあると困る。つまり、従来は複数の素材を組み合わせて作ることが当たり前だったが、できるだけ単一の材質で作ろうとするバイアスが掛かるはずだ。
PET樹脂はその可能性の筆頭だろう。飲料ボトルとして買ってきて、飲み終わったら洗って粉砕してフィラメントに加工する。そのような卓上の機械は既に開発されている。但し、難燃性や熱可塑性に若干不利があるため、素材の改良は必要だろう。
また、単一材質になれば必然的にリサイクルも促進される。ペットボトルがまず皿やカップに化け、ケータイのケースに化け、インサートカップに化け、ストッカーに化け、弁当箱に化け、最後にゴミ袋に化けて捨てられる、というような未来も想像できる。
●モノが少なくなる
従来、捨てられない、整理できない、という人たちは多数いたわけだが、もしデータさえあれば何時でも同じモノが作れるとなれば、捨てるのにも抵抗がなくなるだろうし、捨てたものはリサイクル材料になる。
この代表例としては、食器類が挙げられる。お客様用に何年も使わないものを取っておくとか、将来家族が増えたときに備えて4客用意するとかいう発想が廃れるだろう。結婚式の引き出物や旅行の記念品などにしても、3Dスキャンしてしまえば後はリサイクルに廻すことができる。服や本に関しても、同様のことが考えられる。
本などは面白いと思う。紙ではなくPET樹脂ペーパーに印刷した本と、それとセットになった電子データのセットとして販売することで、読み終わった本の処分に抵抗がなくなるだろう。服はまだ困難だが、一部では既に3Dプリンタでの印刷に成功しているそうだから、将来的には同様のことができるはずだ。
他にも、お気に入りのぬいぐるみとか、子供の頃に買ったおもちゃなど、思い出として捨てがたいものがあったとしても、買ったときに3D CADデータがあるか、あるいは3Dスキャンできるなら、捨てられるものは多くあるはずだ。
また、将来的にゴミになる可能性の高いもの、例えば植木鉢や棚などは、始めからリサイクル素材で作られたものを買うように心がけるようになるだろう。こうなれば、家の中の整理はだいぶ進むだろう。押入れやタンスの需要が減り、部屋を広く使えるようになる。(タンス自体も印刷するようになるかも知れない)

まあ、こうなるためには、まだまだ3Dプリンタの進化が必要である。5年、10年後にはこうなっていると嬉しい。

2017年4月9日日曜日

大穴ホイール自転車の可能性


ボールベアリングの原理を使えば、タイヤの内側を中空にすることができる。二重丸の外側がタイヤで、内側が車(自転車や自動車)の筐体に繋がるようにするのだが、更にその中は中空になる。外側と内側の丸の間にはベアリングが入っているのでスムースに回転する。自動車では、ホイールインモーター型の電気自動車が代表例で、内側の丸の内側にはモーターとギヤが入っている。
自転車は自動車よりタイヤの直径が大きいので、大きな穴を開けることができる。そこにはかなり大きな「荷物」を入れることが可能だ。
そこに何を入れるか。例えば買い物袋やヘルメットを入れるというのは直ぐに思いつくが、自転車に固有の何かを入れるとして、有望なものが二つある。まず一つ目は、電動自転車ないしは電動バイクのバッテリとモーターなどだ。
薄いながらも大面積を確保できる、モーターの形状やギア等の自由度が大きく上がる、また従来の電動自転車のバッテリより重心を低く作れる、前と後ろ両方合わせることで更に大きな体積を確保できる、という特徴より、より自由度の高いデザインが可能となる。
もう一つの可能性とは、ジャイロである。ベアリングを二重ではなく三重にして、真ん中の丸の中に輪状の重りを入れて高速回転させるのだ。こうすると転倒に対して大きな耐性を得ることができる。もちろん電力は消費するが、バッテリも充分に積めるから問題はない。
転倒しにくい自転車というのは、高齢者や初心者向けに一定の需要がある。また、重い荷物を積んだ自転車、更には幼児を乗せる二人乗り、三人乗り自転車に対しても需要がある。
無論、自転車は二輪なので、両方を搭載することも可能である。この場合、後輪をジャイロにするのがよいかと思われる。

2017年4月8日土曜日

1号缶配送ロボットトラック


別項の1号缶システムにおいて、中長距離を運送するためのロボットトラックを考えてみた。
荷台は上に扉があり、中にはつづら折りのストッカーとエレベーターが備わっている。つまり、ドローンが上から投入して、つづら折りで順に溜まっていき、取り出したい缶が出口に出てくるまでエレベーターで循環するようになっている。出口は、ドローンで取り出すために上に空いているものと、人間が取り出すために後方下に空いているもの二箇所とする。これをドラックの幅に合わせて何組か並べたものだ。
ドローンなら自動運転に追従できるから、トラックが止まらなくても荷物の出し入れが可能になる。出し入れのない区間は高速で、ある区間では速度を落としてやるだけで充分だ。急停止などもドローンに即時に伝わるから問題ない。また、トラックのサイズは基本的に小さくてよいはずだ。長距離のみは詰め替えて大型にするにしても、大部分は近所の配達だろうから、軽自動車か、もしくは更に小さくてよい。
小さければ数を作れるから、ルーティングをコンピュータに任せて最適化することができる。従来の集約~基幹~分散という過程を経ず、網目のようなルーティングができるようになれば、幹線の渋滞は減り、自動車はスムーズに流れるようになるだろう。これは荷物が早く届くことにも繋がる。
ラストワンマイルまで全て機械化できるなら、再配達の不安、宅配業者に見せかけた不審者への不安、配達品質のばらつき、といった問題を解決できる。

2017年4月7日金曜日

極小住宅+キャンピングカー


風呂、トイレ、最低限の居室を備えた極小住宅を設置しておく。そこにビルトインガレージを作り、キャンピングカーを横付けする。キャンピングカーのドアと相対する住宅のドアを、各々スライドまたは内開きにしておき、横付けしたときの位置を揃える。隙間や断熱の不具合を解決するため、住宅のドアから延びるドッキング機構を作っておく。飛行機や宇宙船のドッキングがイメージだ。また、給排水や電力供給を住宅側から行うための接続口を用意し、停車時には繋いでおく。
こうすると、日常からキャンピングカーが使えるから、その前提で住宅側を狭く作ることができる。キャンピングカーは不動産ではないから、その分の税金を節約することができる。勿論休日には切り離して、本当にキャンプや日常の買物に使えば良い。
この逆の作りも考えられる。キッチン、シャワー、トイレ、ベッドを備えたキャンピングカーを作っておき、これとビルトインする住宅を作る。住宅側は、キャンピングカーへの給電、給水、排水を提供すると共に、大き目の部屋を用意する。ここは窓を小さく作り、建築基準法で言うところの「居室」の要件を満たさないようにする。即ち倉庫や物置の位置付けになる。これで節税する。これも普段は繋いで広く部屋を使い、週末には切り離して買い物やレジャーに行ける。
実用性と節税を兼ね備えた、新しい家の形態ではないだろうか。

2017年4月6日木曜日

逆バックアップ


通常のバックアップは、最初にフルバックアップ、次に差分バックアップを6日、またフルバックアップ、というような運用が多かったと思う。このときの問題とは、例えば4日目にリストアしたくなったとき、1日目のフルバックアップをまず戻して、次に二日目と3日目の差分バックアップを重ねてやる必要があるところだ。要は手間と時間が掛かる。
これに対し、常に最新のバックアップを用意しておけば、それを戻せば済む。この際、常にフルバックアップを取るのではなく、差分バックアップを送っておいて、バックアップ側で常に最新の状態にしておく。これが逆バックアップの考え方だ。つまり、
  1. 最初にフルバックアップをとる。
  2. 翌日は差分を送る。差分自体は差分として取っておき、フルバックアップから最新のバックアップを生成する。フルバックアップ自体はまだ取っておく。
  3. 次に差分を送る。差分は差分として取っておき、同じく最新のバックアップを生成する。この時点で、①最初のフルバックアップ、②二つの差分バックアップ、③最新の状態、が存在している。
  4. 1週間経って再びフルバックアップを取るわけだが、まず、昨日からの差分と、差分を除いた最新の両方を作る。合成すればフルバックアップ相当になるのだが、まずは昨日からの差分だけ送る。
    1. これを受け取ったバックアップ側は、同様に最新の状態を生成する。そしてその状態のハッシュをとる。
    2. システム側は差分を除いた最新のハッシュを送る。これをバックアップ側で受け取り、ハッシュが一致すれば残りは送らなくてよい、と通知する。もし一致しなければ送ってもらう。
  5. もし最新でない状態に復元したいときは、バックアップ側で最新の状態から差分を順に引き、指定のバックアップを生成してリストアに送る。
このアルゴリズムでバックアップを行えば、二つのメリットが生まれる。まず、最新の状態へのリストアが高速に行える。次に、フルバックアップを定期的に行う必要がなくなる(確率的に)。一方でデメリットは、バックアップ側にもCPUパワーが必要、また若干追加で記憶領域が必要、となる。

2017年4月5日水曜日

EMSは効くのか


巷では、効く・効かない、両方の主張が入り乱れている。ネットを眺めていると、効かない派がやや優勢のようだ。少し調べてみたのだが、「なぜ効かないか」について論理的に納得の出来る説明をしているものには見当たらなかった。
まず、EMSの定義から。Electrical Muscle Stimulationの略で、神経が起こすのと同等の電気刺激を外部から送ることで、筋肉を強制的に収縮させる機械のことだ。筋肉は言わば騙されて収縮するわけだが、動作原理(電気刺激)は同じだから、収縮すればそれなりにエネルギーを消費する。
電気刺激は充分に安全率を掛けているため、刺激としては弱く、筋肉が付くほどの効果はない、と結論付けているところが多くあった。だが、弱い刺激だからと言って効果がないというのは早計だし、最初はやった後に筋肉痛になった、などのレポートも多くある。結論を急ぎすぎだ。
また、1日10分でよい!などとする謳い文句については逆に疑問がある。確かに1日10分、特定の部位が動くことは確かだろうが、普通の運動と違って刺激した筋肉しか動かないのだから、腹筋10分とEMS10分で後者の方が効果がある、というのはおかしい。そのため、その謳い文句に従って使った結果、思った効果が出ない、と感じるのも自然に思える。
ランニングで、足しか動かさないような人はいない。腕も振るし、腰もひねるし、部位によって程度の差はあれど、全身の筋肉を使っている。エアロバイクはもっと足に集中してはいるが、上半身を全く使わないということはなく、安静にしているときに比べれば相応に使っている。これがEMSと決定的に違う点だ。
目的にもよるが、一般的に効果があるとされている運動量、例えば軽く汗をかき、息が少々荒くなる程度の運動を1日30分、2日に1回のペースでやる、というのと同等の運動量をEMSで得ようと思えば、腹筋ベルトだけでなく体中にEMSをべたべたと貼り付け、30分動かしてやる必要があるはずだ。結局これも、量的問題だと言える。
だから、本当にEMSだけでダイエットしようと思うなら、全身サウナスーツのようなものを使い、装着したら空気を抜いて密着させ、更には寝た状態でよいから30分は動かす、というような商品が必要だ。これがあれば、ダイエットにも筋トレにも確実に効く。「EMSは効かない」などと言う人は居なくなるだろう。

2017年4月4日火曜日

仮想人格UI


Google CardboardをAmazonで千円で買って、手元のスマホにソフトを入れれば、もうHMDと同じことができる時代になった。Oculus Shiftのような本格的なものはまだ高価だが、GalaxyのGear VRが適度な値段とセンサ精度のバランスを持っており、かなり期待できる。
体験してみないと分からないが、これは病みつきになる。特に空撮モノは是非お勧めする。本当に自分が空を飛んで(落ちて)いる気分になる。他にも、危険なスポーツ、例えば綱渡り、高所スキー、急流下りなどは面白いだろう。
今はまだ5~10分のものがせいぜいだが、そのうち1時間2時間と着けていても平気なものが出てくるはずだ。さすればエンタテイメント系は勿論、通常の業務にも使用可能になってくる。そんな時代の業務UIはどうなるのだろうか。
その一つの解は、RPGにある。業務をゲーム空間に投影し、特定の場所に行って業務を頼む。必要なアイテムを集めるためあちこちの街や店を覗く。こういったことを仕事に置き換えるものだ。今では「メール」「業務システム」というような平板なUIが、「XX課の仮想主任」のような仮想人格に置き換わる。つまり「擬人化」こそが、将来のUIと言えないだろうか。
更には、初心者向けに優しいが時間が掛かる人格、言葉少なく必要な情報を的確に与えさえすれば高速処理するベテラン、など、複数の人格が共存し、自分の得手不得手によってそれを使い分けるようなことも考えられる。
仕事の頼み方も、音声やチャットを受け付けるようにする。丁寧に頼むと機嫌が良いとか、至急で頼めるとか、足りない情報を他に問い合わせてくれるとか、人間臭い仕事のやり方を反映することもできるだろう。

2017年4月3日月曜日

ブロックチェーンマルチアプリケーションモデル②


ノード毎にウォレットを用意し、これに少額のビットコインを送信する。ビットコインの送金額や組み合わせを情報として使い、上位アプリケーションの伝言にする。
ビットコインの送金の最小単位は1satoshiで、これは0.00000001BTC。また546satoshi以下の支払いはdustと呼ばれ承認されない。0.01BTC以下の取引には0.001BTCの手数料が掛かるようだ。これから考えると、例えば0.02~0.03BTCの間で100,000通りの情報が送れることになる。
ただ送るだけでは実際に金額が移動したままになってしまうので、特定のウォレット経由で迂回して同じ額を返してもらう。つまり送信先も情報として活用する。例えばウォレットA、B、C、Dがあるとして、
  1. AからBに0.02002343BTCを送金することである情報を送る。
  2. BはBからCに同額を送信する。
  3. CからAに同額を送金する。
AからBに情報が送られたことは、送金が成功したことで情報が送られたことは分かっているので、Cからの送金はただウォレットの額を維持するためだけに使われる。また、BからCに送られた額がAからのものであることは、元の0.02002343という数字の中にAのIDが含まれている、という方法で解決する。Cから送られた額が送った額と違っていたら、システム異常である。
直接返してもよいのだが、例えば連続で同じノードからデータが送られた場合、その到着の順序は保証されないから、システム異常かどうかの区別がつきにくくなる。これを許容するなら直接返送してもよく、その場合は下記に説明するノードIDの問題は発生しない。
さて、10万通りというと凄そうに聞こえるが、そのうち何ビットかはノードIDで、例えば1000ノードだとすれば、真に送れる情報は100種類しか送れない。これはASCII文字1文字分にしかならない。また原理上暗号化ができないし、他のノード(ウォレット)から送金される可能性も否定できない。このため、次の措置を取ることが望ましい。
  • システム毎に新しくウォレットを生成し、その情報はオフラインで伝える。セキュリティの懸念が出た場合はこれをやり直す。
  • 電子投票など、極めて限定した、非永続的な、短期的なシステムでのみ使用する。
  • 送るコードの中にコード体系切り替えトークンを混ぜておくなどして、コードの難読化を行う。
  • 何回かに分けて送り、それに意味を持たせる。
  • もっと高額のビットコインを送ることで桁数を稼ぐ。但し送金手数料が発生する。
  • 指定外のウォレットから送金されたら、無視するか、同額を送り返す(送金無料の場合)。
こうしたとしても、必ずしも市販の業務システムで使えるようなものが出来上がる訳ではない。従って、通常の通信との併用として、送信データのチェックデジットに使うようなことが考えられる。例えば長文を送っておいて、そのチェックディジットをアルファベット大小文字+数字の58文字から1文字になるように計算し、その1文字を送るようにする。
このシステムの欠点は、ノード数と情報量が限られることの他に、ビットコイン固有の10分問題がある。つまり送金の確定には最低でも10分掛かる。上のシステムの場合、送金が送り返される方が早いため、これで第一次確定が行えるため、この問題を多少なりともカバーできている。

2017年4月2日日曜日

SIは人工知能化できるか


顧客先のオンプレミス、かつセキュリティでガチガチならば無理かもしれない。だがパブリッククラウド上、VPNで外部から操作可能、などの場合に限れば、SIの手順は全てオンラインで可能だから、AIが操作することもまた可能なはずだ。もしそうでなくても、顧客システムにIP-KVMを繋ぎ、携帯電話でローミング接続することさえ許されれば、現地へ行くのは素人でもよいことになる。
通常のプログラミングでも一見可能な気がするし、事実特定の状況では可能だろう。それをわざわざAIにする意味があるとすれば何だろうか。
例えば、立ち上がりのタイミングで一瞬エラーを吐くがその後は問題なく安定する、とか、立ち上がる複数のミドルの順番がずれる、あるいはソフトやミドルのバージョンで細かく表示やオプションが変わる、ということはよくある。だがプログラミングのためには、それをいちいち全て拾ってやらなければならない。
何が正常で何が異常か、というのを、コンソールの画面だけ見て判断する作業は、コンピュータ作業であるにも関わらず、けっこうアナログな作業であると言える。キチンと突き詰めれば論理的記述は無論可能なのだが、その作業量と将来的な変更の可能性や変更の頻度を考えれば相当に無駄な作業で、結果として職人芸になってしまっている。こういうところをAIに教えるのだ。
いい加減な手順書でも良いのでとりあえず作成し、最初はちょっと教えてやれば、その後はAIが自動で手順を学んでくれる。例えばメンテナンス後の再起動とか、ミドルのバージョンアップでの手順修正などにおいて、勝手にAIが判断してくれ、場合によってはやり直してくれたりする。
実際の人物のSI作業の様子をAIが学習することも可能かもしれない。システムが出すエラーと、それに対応するSIerの修正を学習するようなものだ。ベテランなら素早く見つけるが、その論理は飛躍しており、また失敗も数多いはずだが、これを学習によって素早く見つけられるようになれば、通常の運用だけでなくアクシデント対応にも、AIが使えるようになるだろう。

2017年4月1日土曜日

「動かない生活」推進の鍵


人はなぜ都市を目指すのか。職を求めて、というのが一般的だと思う。それにも、地元によい就職先がないという消極的なものから、都市にしか存在しない職種を求めて、ということもあるだろう。
これからの自治体のあり方だが、都市集中という国際的な流れの中で、コンパクトシティ化というのは方向性としてアリだと思うのだが、小規模だろうが大規模だろうが、都市化を極めると、小さい方が大きい方を飲み込んでいくのが運命だ。地方再生とか地元活性化とかを論ずる場合、持続性の視点からはあまり魅力的とは言えない。
ではどうするのか。その方向性とは、テレワークの延長線上にある「動かない生活」である。人が集中しなくて済むようにするには、テレワークのみならず総合的な生活が遠隔サポートされている状態が必要になる。何か一つでも欠けていればそれとネックとなるし、欠けていなくとも不便さに比例して都心への求心力が強まってしまう。
ここでは、以下が完璧であること、と定義する。
  • 道路整備
  • インフラ(上下水電気ガス通信、ゴミ廃棄、金融機関)
  • 通販(生鮮食品含む)、買い物
  • テレワーク
  • 遠隔医療、訪問医療
  • 遠隔教育
最初の三つは、カネの力で何とかなる。一方で下の三つはそれでは不足で、システム(コンピュータシステムと言う意味だけではなく社会システムという意味で)の発達が必要になる。各々は遅々として進んではいるが、いまいち起爆剤がない状態ではないか。
ここでの起爆剤となり得るのは、安価で高機能、且つ汎用性のあるテレビ会議システムである、と考える。その要となるのは「電話番号」、要はIDの汎用化だ。今でもテレビ会議システムは多く存在しているが、お互いが囲い込み戦略のため相互接続していない。電話番号並みの気軽さと、実際に確実に繋がる安定性が必要だ。
例えば教育なら、年間300日、朝8時から夕方5時までずっと点けっ放しにしても問題ないような料金と安定性が必要である。遠隔医療なら、高解像度撮影に対応することが必要になる。テレワークなら資料共有の仕掛けとの連動や多拠点同時接続が欲しい。
こういった環境さえ整えてやれば、アプリケーションは自然発生する。後は法的な問題のクリアが必要になる。教育と医療では各々、補助的には使われるにしても、遠隔では完結させられないはずだ。つまり、
  1. 「テレビ電話番号」の新設と、確実な相互接続の保障、及び指定機関への設置義務(努力義務含め)、安価な価格設定
  2. 遠隔教育、遠隔医療に関する法整備
これを行政が強く推進すれば、周り回って地方再生に繋がる、という次第である。
これは、都市に対する求心力を弱める効果があるので、人口が分散し、主に都市のインフラや交通網に余裕が生まれる。自然災害への耐性が自然と強まり、総じて精神的余裕も増えるものと思われる。

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