2019年10月30日水曜日

汎用ロボット配送システム


最初の発端は、宅配物流に電車を使えないか、というものだった。知っての通り電車はエネルギー使用効率が高く、物流の一部でもこれに置き換えられれば地球温暖化対策になるからだ。しかし考えてみると、例えば山手線でドアが開いている時間は15秒しかない。人間がやるのも困難だし、ロボットアームを使ってちんたらやっていたのでは間に合わない。

また、以前も、1号缶システムなどを考えてみたけれども、汎用段ボールを使えないのは痛い。いわゆる50Lサイズの段ボールを、専用の機械を使って素早くやり取りする、というのが一番良さそうに感じた。

そこで考えてみたのが、次のようなシステムだ。

  • まず、荷物のやり取りをするロボットだ。電車が所定の位置に着いた際、搬入口を伸ばして、ベルトコンベアで荷物をやり取りする。時間が掛かってはいけないので、搬入と搬出各々の口が必要である。イメージとしては、縦1.2m、横0.7mほどの四角い筒状のものが、最大1mほど突き出て、上段と下段に分かれてベルトコンベアで荷物を送りあう。
  • 電車側は先頭車両の先頭ドアを荷物専用として確保、これに合う位置に駅ホーム側のロボットを設置する。搬入口は、駅ホーム側のロボットから伸ばすのが妥当と考える。
  • 駅側のロボットは、電車停止の誤差に合わせて、多少は移動できるようにしておく。高さが変わることはないので、こちらの調整は不要と考える。電車には車両構成が違う複数の停止位置があり、また車両のどちら側が開くかは駅によって異なるので、これへの対応は必要である。例えば特定車両のみで対応する、等だ。
  • 各々のロボットの背後には小型の自動倉庫があり、受け取った荷物は直ちに自動倉庫に収納する。またお互いに、相手に送る荷物は事前に準備しておく。このためのバッファを設けておく。
  • 駅にはもう二つ、仕掛けがある。一つは宅配ボックス。現在でも駅ロッカーに似た宅配ボックスはあるが、これと同等で良い。もう一つは、駅側のロボットとこの宅配ボックスを行き来する運搬ロボットだ。この運搬ロボットは複数のロボットアームを持ち、足回りも柔軟にしておく。駅ホームから宅配ボックスまでの経路を助けなしで移動できる程度は必要だ。これは宅配ボックスに預けた荷物を駅ロボットに送り、また駅ロボットで受け取った荷物を宅配ボックスに移す。あるいは、荷物が別の路線にまたがる場合は、各々の駅ロボット間の荷物を移動する。

こう作ると、駅で送り駅で受け取る荷物は、全自動化することができる。これを更に発展させて、こう考えてみる。

  • 駅の外まで搬出できれば、例えば大企業が専用の宅配ボックスを設置すると、宅配ボックスへの投入をもって完結するので、人手がほぼ不要になる。
  • 宅配ボックスを、駅だけでなく、ショッピングモール等繁華街に設置する。あるいは電車のないところでは、市役所や公民館などをベースとして設置することも考えられる。
  • 宅配業者向け宅配ボックスを設置する。すると荷物はここまで来るので、その先の宅配が簡単になる。
  • 小型化が図れるなら、個人の家や集合住宅向けの宅配ボックスを作ることもできるだろう。
  • このロボットを、トラックにも載せられるようにする。軽トラから4トン車まで、また拠点の受け取りロボットも、トラックの荷台に合わせて高さを調整する機構を付ける。背後の自動倉庫は幾らでも大きくできるようにすれば、拠点の規模によらず全部を自動にできる。
  • 荷物が発送された後に気が変わって駅で受け取りたい、たまたま不在だったので再配達ではなく駅で受け取りたい、となった時、指定すればロボットが自動で荷物を宅配ボックスに入れてくれる。

これらが従来の宅配ロボットと違うのは、受け取る側がある程度のシステムを必要としていることだろう。従来の宅配ロボットと言うと、歩道をのろのろ歩いて玄関まで来たらスマホにアラームを飛ばして、スマホでロックを外して自分で取る、というものだった。確かにそこまでできれば便利だが、それが一番効率的かというとそうでもないだろう。むしろ自宅までは届けてほしくないという人が増えているのが現状であり、駅受けの方が利便性が高いように思う。更に、こちらの方が早く受け取れる可能性も出る。

例えば山手線と中央線、総武線横須賀線くらいで宅配業者向け(BtoB)で始めて、徐々に拡大していくようなことができないだろうか、と考えている。いかがだろうか。

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