2019年1月31日木曜日

ブロックチェーンバックアップPC


PCが壊れた際、新しいPCを買ってきて、それに古いPCを同じ使い勝手をするべく、ソフトや設定を調整する作業は、いつも大変だ。

単にバックアップ・リストアをすれば戻るよ、ということも多いだろうが、そもそもバックアップなんて意識してしていないし、リストアって何?という人も多いだろう。これは自動で行って欲しい。

また、バックアップをいったい何処に取るのだろう。設定程度であればクラウドに逃がせば良いだろうが、大容量データとなるとクラウドでは有料、それも結構な額になる。当然契約も必要だ。ここは無料且つ何も設定なしにして欲しい。特定ベンダに依存するのも不安になる。そこで、こんなことを考えてみる。

既に、ブロックチェーンを使ったオンラインストレージサービスは存在している。storjなどは代表的だ。これを使う。

そのPCのストレージは、全容量の3/4がこのストレージサービスに割り当てられている。このサービスは、同じサービスをインストールしているPCと相互バックアップをしている。ネットに繋いだ途端、そのサービスはブロックチェーンに参加し、整合性を確認する。

このバックアップは、通常のそれではない。ローカルの1/4のストレージを、細かく分断し、暗号化し、ネットの海に広く浅く、更に冗長化してばら撒くのだ。逆に、自分の持っている3/4のストレージには、そういう断片が詰まっている。

個々の断片が何処から来た誰のデータかは無論わからない。自分のデータが何処にあるかも分からないが、冗長度は分かる。コピー先のPCが電源オフになったり、ネットから切断したり、故障して廃棄になった場合は冗長度が落ちるので、規定の冗長度になるまで再度配布される。

こういうシステムが動いていて、ある日自分のPCがお亡くなりになったとする。新しいPCを買ってきてネットと繋ぎログインする、後は放っておくだけでリストアが成立するわけだ。

廃棄されたり故障したりしたPCからデータを抜き取っても、ローカルの1/4に関しては盗まれるだろうが、残り3/4に誰のどんなデータがあるかはわからないし、わかっても断片しかないので復元できない。

このときのログインIDはストレージサービスのIDであって、OSやGoogleのIDである必要はない。中身は暗号化されているので、世界中どこにあっても問題ない。特定の国や企業に依存するわけではない(そのサービスには依存するが)し、巨大なサーバも必要ない。もちろん情報が漏れる心配もない。相互依存なので、費用も発生しない。クレジットカードの番号を晒す必要もない。

これはどんなOSであっても原理的には対応できる。OS起動前のプレOS、仮想化ソフトのような位置付けでよい。ぜひ検討してもらいたいと思う。

2019年1月30日水曜日

QAの外注


近年、日本企業の不祥事が目立っている。検査を適切に行っていなかった、というものが多いが、では粗悪品だったのかというとそうでもない。そこでなあなあが進んでいった、というパターンだ。

経理や社員福祉などが外注されてきた歴史はあるが、QAも同じようにしてはどうだろうか。品質検査はそれだけで立派な技能であるし、監査や社外取締役と同じく、独立させた方が馴れ合いが断ち切れてよいのではないか。

これにはもう一つの側面もある。QA会社は当然QAのプロであり、他社のQAも引き受けるわけだから、QAのノウハウが偏らずに溜まるはずだ。企業内QAと違ってコスト管理もしっかりできるから、全体的に見れば品質向上・低価格化・高速度化、何れの方向にも向く。

同じ企業とずっと付き合っていれば馴れ合いも生じるだろうが、これは企業内QA部署でも同じことだ。「QAを低コスト化する設計」という観点も生まれるはずだし、お互いに良いことであろうと思うが、いかがだろう。

2019年1月29日火曜日

高機能銀行口座


銀行の口座を一つしか持っていないという人はどの程度いるのだろう。複数持てば管理は大変だが、それでも複数の口座を持つのには理由がある。

その最大のものはリスクヘッジだ。何かのトラブルで大量のカード引き落としをされてしまった、詐欺に遭って全額引き落とされてしまった、ATMが故障している、システムの入れ替えで引き出せない、などといったトラブルは、けっこう頻繁にある。

他にも、送金先の名称を微妙に変えたいとか、目的別にカネを管理したいとか、理由は色々ある。だが、一つの銀行でも対応できるはずのものは多くあるのではないか。

例えば、普通預金口座が一つしか作れない、というのは如何なものか。実質上はそうでも、仮想的にそう見えるように作ることは、技術的には可能なはずだ。その仮想口座に仮想的な預金とデビットカード等を割り当てる、たったこれだけでも随分違うと思うのだ。

これを家族に膨らませることだってできるだろう。毎月、子供の仮想口座に定期的に振込み、そこから子供の分の携帯電話の支払いをする、下宿の生活費を送るのにはまた別の口座、といったことは、管理上嬉しい人がいるだろう。

システム更新やATMの話だって、異なる系統のシステムで二重化しておけば済むことである。一つが更新中ならもう一つにアクセスすればよい、と最初から設計しておくことは、何も難しいことはない。

他にも、セキュリティレベルの異なる口座を用意しておくなど、できることは沢山ある。メガバンクの整理がほぼ終了した今、そういった口座を考える素地は十分にある。

2019年1月28日月曜日

サービス登録の一括管理


マイナポータルの運用が既に始まっていて、そこには「外部サービス連携」があるのだが、正直言ってGoogleのアカウント連携の方が便利だ。行政がやるのだから、もっとしっかり突っ込んで欲しかった。行政であれば民間企業よりはるかに密な連携ができ、使い勝手は大いに向上したはずだ。

どんな使い勝手を期待するか。その基本は、連携の形態を複数用意し、サイトによってその形態を選べるようにする、というものだ。
  1. 単にIDパスワードをマイナポータルに保存するもの。
    1.  パスワードマネージャー相当。入退会含め、マイナポータルは情報の整合性を保証しない。
    2. 導入初期の暫定、海外、及び信頼性が不明のサービスに適用。
  2. 入会退会状況を連携するもの。
    1.  IDパスワードはマイナポータルに保存し、入会退会状況と共にサイトと連動する。入会、退会、パスワード変更は、マイナポータルからもサイトからも可能とする。一度連携すれば、情報は双方が同期する。連携を切っても、直ちに退会とはならない。
    2. 先方からの各種通知をマイナポータルで受けるかどうかは選択できる。
    3. 中小規模の予算が少ないオンラインサービスを想定。
  3. マイナポータルの保持する情報のどれかを指定して、サイトに提供する。
    1. 提供しているマイナポータルの情報を変更したら、その旨とその内容がサイトに通知される。その際、追加で手続きが必要であれば、サイトが認識できるようにする。
    2. 連携を指定していない情報は、マイナポータルとサイトで異なる可能性がある。
    3. インフラ(電気ガス水道通信)、金融系、大手オンラインサービス、中期的には大部分のサービスが主なターゲット。
  4. マイナポータル経由でないとログインできない。
    1. 接続サービスによって決まっている情報は、自動的に連携される。ユーザは個々を指定できない。
    2. 通知は、マイナポータル経由で行われる。これが公式な通知としての効力を持つ。逆に、公的な通知は、必ずマイナポータルにも行わなければならない。
    3. 行政(選挙、住民情報系、公的控除等)、納税、義務教育公立学校等に適用される。
  5. マイナポータルに登録している情報の変更に際して、一般的に必要と思われるサイトを事前登録しておくもの。
    1. 葬儀、引越し、贈答品、LPガス・燃料、レンタカー、私立学校など。
    2. 登録時点では情報連携はせず、事象発生時に通知と情報連携を促す選択画面を出す。
現状のマイナポータルは1.相当だ。上を見ればまだまだ検討の余地がある。ぜひ今後はこの検討を進めてもらいたい。

2019年1月27日日曜日

PayPalによるクレジットカード決済


なんだそんなの今でもできるよ、と早とちりするなかれ。

通販でクレジットカード決済をする場合、カード番号が漏れるのが心配になることがある。大手ならまあ大丈夫だろうとは思うが万一ということもあるし、初めてのところや怪しいところではなお更だろう。そもそもPayPalはそういう場合にも使える決済として便利なのだが、相手がPayPalに対応していなければ意味がない。例えばAmazonは対応していない。

これに対して、相手からはクレジットカードに見え、こちらからはPayPal決済に見えるようなサービスがあれば便利ではないか、というのがこの主旨だ。

実は、デビットカードでは使い捨てのデビットカード番号を発行してくれるところはある。しかしこのどれもが手続きが面倒で、しかも銀行口座直結だったりする。ここで必要なのは、クレジットカード番号を使い捨てにすること、その番号での支払いは最初の一回だけで終わりにし、返金だけは受け付けるようにすること、二回目の要求が着たら金額限定でロック解除できるようにすること、半年後には自動で無効になること、カード番号をいちいち覚えなくて良いこと、などだ。これを満たすサービスは多分まだないだろう。

これなら海外通販でも安心して使えるのだが、どうだろう。多少の手数料があっても良いので、どこか立ち上げてくれないだろうか。

2019年1月26日土曜日

脳波レコメンデーション


先日のテレビで、音楽の好みを分析した上で、その人に合う音楽をAIが自動作曲する、という試みが紹介されていた。

脳波測定装置(光トポ?)のようなものを被って異なる種類の音楽を幾つか聞かせた後、分析・作曲するのだが、最初にヒアリングしていた被験者の好みとは全く異なる音楽が出てきて、更に全員がその曲を気に入ったのだそうだ。これは意外性があり面白かった。

従来のレコメンデーションと何が違うのかというと、結果として人がとった行動ではなく脳波を使った点だろう。つまり、脳波測定用ヘッドギア(番組では無線だった)を被って何となくウィンドショッピングしている、テレビを見ている、勉強しているだけで、自分の好みが分かってしまう、しかも本人が自覚していない意外なものを、ということになる。

この大きな可能性として、職業マッチングや婚活が挙げられるのではないか。高望みしてなかなか相手が見つからない、何となく敬遠しているがやってみると意外と面白い仕事などだ。他にも、新しい食べ物、本、鑑賞(観劇、スポーツ観戦、美術館など)などにも適用できる。これらは何れも「自分の人生を豊かにする」ものだ。

一日中スマホを持っているなら、一日中ヘッドギアを掛けていても良いのかもしれない。それが人生を豊かにするなら、少々の恥ずかしさは十分にカバーできる。

2019年1月25日金曜日

法律記述言語


以前提案した「法のプログラム化」を推進するためには、自然言語に良く似た「法律記述言語」が必要だ。これを考えてみる。

そもそも、なぜ今の法が分かりづらいのかと言えば、用語定義や論理構造が曖昧なところだ。だから法学者が複数いれば解釈が全部違ったりする。これは自然言語のみに頼ってきた近代の法の根本的な欠点だ。今の時代はコンピュータという便利なものがあるのだから、これを使わない手はない。

まず、法とはルールだから、①誰が②何をしたら(どんな状態になったら)③何をする、という構造を持っている。全ての法をこの状態に書き換えると、次のようなことが起きる。
②何をしたら(どんな状態になったら)は、パラメータとその値の組み合わせだ。例えば、平成何年の何月何日何時何分の時点で、①(誰)がどんな行為をして、その行為の動機がこうで、目的がこうだったとしたら、懲役何年に処する。

従来は、目的別に法が纏まって書いてあった。しかしこの書き方では、ルールは全部個別バラバラになる。ルールはいちいち個人向けには書かれないから、自分はそのルールの①に相当するのかということは、判断が必要である。

また、②何をしたら(どんな状態になったら)、の部分は膨大になる。法律の用語定義や上下関係・前提(適用期間など)が全て展開され、フラットになるからだ。これは、一見当たり前のことが長々と記述される、という形になる。例えば「今生きている日本国民」「日本在住」「在住の定義はXX」「事象当時に正常な判断能力を有するとみなせる」「正常な判断能力を有する条件はXX」などだ。しかし、これは元の法制定時に決まり、展開は自動で厳密に行われるので、人手が掛かるわけではない。

また、裁判で行われる「情状酌量」も、ルールに組み込まれるべきだ。更に、ルールの適用可否である「XXをしたとみなせる」の部分についても、よく争われるところだ。例えば目撃証言のみの痴漢冤罪などがそうだ。裁判では「XXとXXとXXを鑑み総合的に判断」などと言うが、これもルールに組み込むべきだ。

ルールは、パラメーターと値、その組み合わせだ。従って、パラメータが何かが分かれば値は調べられる。中には不明のものも出てくるだろうが、それこそが裁判の争点だ。つまり判断が分かれる「値」が決まれば、ルールの適用可否は自動的に決まる。

こうして決めたルールに従って分析をすると、恐らく従来の裁判の問題点が抽出できるだろう。それはすなわち、適用すべき/すべきでないルール、条件適用、用語の定義、に対してのばらつきや恣意である。そういったものを集め、またルールを強化するなどしてばらつきをなくしていく。

この結果として、世の中がどう変わっていくか。訴訟は、相手が何をやったか(=適用条件)の認定が主たる争点になり、ルールが厳格になればなるほど認定は簡単になる。それこそAI裁判所のようなものができて、あっというまに判決が出る。三審制は暫く残るだろうが、それは事実認定の曖昧さが減るに従って減っていくし、民間の判定サービスも出てくるだろうから、訴訟そのものが減っていくだろう。迅速で公平な裁判は、世の中を幸せにするはずだ。

ここでの懸念は、権力者側に有利なルールが増えていかないか、というものになる。当然それを完全に防ぐことは不可能だが、情報公開があれば恣意的な判断は機械的に集計できるので、それを抑止力にできる。

2019年1月24日木曜日

最適化コーディネーター


GoogleのAlphaZeroは、その基本原理が「強化学習」である。即ち、最終的な「正解」があって、途中に至る「ルール」はあるが、途中で何をするかは何も教えられない。自らが試行錯誤して正解に辿り付いた時、褒められる。基本はこれだけだ。

強化学習の良いところは、大量の学習データを用意しなくてよいというところだ。ただ、ゲームのように白黒はっきりつけられるモノではあまり日常生活の役には立たないから、ここだけは修正するものとして、「正解(より良い解)はあるが途中経路がない」というものをもっと探して機械学習に掛けてやると、世の中はもっと良くなるだろう。AlphaZeroの次の機械学習ねたは、いったい何なのだろう。

それは基本的に「最適化」であるはずだ。例えば電車の運転において、決まった経路を行き来するのに、どこで加速しどこで減速するか。パラメータは「到着時間制限」の他に「最低コスト」即ち電力消費の最小化だ。セールスマン巡回問題も、最低コストの問題と言える。これの応用としては、宅配や郵便配達のルート選定、食堂の仕入れ量など、あらゆるものが考えられれる。

こういったものの多くはタイムラグがあるし、コンピュータで把握しきれないパラメーターが実は重要かもしれない。例えばコンビニの売上でいくと、POSだけ見ていては天気が分からないし、季節、休日や周囲のイベントなども関係するはずだ。だがそれを入れてやれば、学習自体はさほど難しくない。碁や将棋と違うのは、シミュレーションで学習するのではなく、実地で学習するところだけだ。

学習するAIはオンラインで用意できるから、後はどうデータをブチ込んでやればよいかを考える。もし足りないデータがあるならそれをオンライン化する。そういうサービスが今後盛んになるのではないだろうか。人呼んで「最適化コーディネーター」の誕生だ。
最適化コーディネーターの仕事は、基本的には「既存データのデータクレンジング」、「足りないデータ探し」、「AIとの接続」、「学習の進捗管理」などとなる。強化学習に特化することにより、従来のデータサイエンティストとは違って、AIプログラミングの深いところはあまり必要ない。

この職業は、AI関連業種の裾野を広げる可能性がある。今後の動向に注目だ。

2019年1月23日水曜日

実用的ネクタイ


ビジネスマン必須のアイテムのうち、ネクタイほど意味のないものはないと思う。シャツの襟などはまだシャツの付属物だが、ネクタイはファッション以外の何にも役に立たない。ネクタイに何らかの機能を付加することは、ビジネスマンの生活の質を向上させる可能性がある。
  • 充電や電源ケーブルが仕込んである。
  • 非常用脱出ロープが仕込んである。
  • ハンカチ素材が裏半分に仕込んである。
  • IDカードが隠せるようになっている。
  • 先っぽにFelicaチップが仕込んである。
  • 実は太陽電池。
  • 玄関の解錠リモコンになっている。
  • 絆創膏がしまってある。
  • ピルケースが仕込んである。
  • タブレット(メントス等)ケースが仕込んである。
  • 非常食になる。
  • マイストローケースになっている。
  • 個包装のウェットティッシュが1枚入る。
  • エマージェンシーホイッスルが仕込んである。
  • スタンガンや催涙スプレー(護身用)が仕込んである。
  • 十徳ナイフ的なものが仕込んである。
  • イヤホンが隠せる。
  • etc.
色々考えて欲しい。作って欲しい。待ってる。

2019年1月22日火曜日

プリンターの位置合わせ問題


毎年年賀状の時期になるとイライラするのが、プリンターで印刷するときの試し刷りだ。位置はずれるし発色はイメージと合わないし、裏表を間違えたり(自分が間違えるときもあるが機械も間違える)給紙で引っかかったりローラーにインクがついて汚れたり、と散々だ。

この根本原因は、プリンターメーカーが使い勝手に係る努力を怠っているからだ、と断言させて頂く。もっとプリンターは進化すべきである。それが適うなら何時でも買い換えよう。欲しいプリンタの仕様を考えてみる。
  • 用紙サイズの識別は自動で行って欲しい。ユーザーに指定させないで欲しい。
  • ということは、用紙の開始位置や横ズレ、詰まりや二枚送りなど用紙送りのミスは把握できるはずだ。1mmたりとも印刷位置ズレが起きてはならないし、紙を無駄にしてはいけない。
  • 用紙の厚さも検知できるはずだ。送紙ミスをしないように、ローラー圧等は適宜自動調整してほしい。
  • カスレやインク切れなどは、タンク容量からの推測などではなく、印字結果をイメージセンサーでチェックすることで行って欲しい。つまり印刷失敗は機械のレベルで分かってほしい。
  • インクを換えたときの発色のキャリブレーションも、イメージセンサーがあれば自動で行えるはずだ。この時は専用の用紙で試し刷りしてもよい。その代わり発色は保証してほしい。
他にもいろいろ言いたいことはあるが、年賀状で印刷ミスをするのは非常に厳しい(1枚50円!)ので、ここはしっかり作って欲しいと思う。

2019年1月21日月曜日

リバースモーゲージによる自治体の空き家対策


地方では空き家対策が問題となっているが、これをもっと積極的に解決する手段を提案する。

リバースモーゲージというものをご存知だろう。借金の担保として自宅を入れておき、引き続きその家に住む。生きている間はその借金で生活する。死んだときには家は貸主のものになる。

これを自治体主導で実行すると、空き家がどんどん自治体の所有になる。一旦自治体の所有になってしまえば、自治体主導でそれを活用できる。例えばイベント、ベンチャーへの貸し出し、民泊などだ。農地化、太陽光発電所の設置、あるいは纏めて潰して建て直したり、道路にしたりすることも考えられる。何れにしても、まともに交渉するよりはスムーズに行くだろう。

これは土地でも同様である。単純に買収するよりも、リバースモーゲージにした方が安価に入手できるはずだ。また、そもそも空き家ができる原因は、相続人がそこに住みたくないから、相続の権利関係が整理できないから、であるが、自治体が関与することによりそれも進めやすくなる。

その代償として、非常に長期の計画になる。これは自治体にとってはさほど問題にならないと思われる。計画さえしっかり作れば、区画整理ができるし、コンパクトシティ化などにも役立つから、地域振興に貢献できると思う。

2019年1月20日日曜日

携帯電話の緊急振替


先日、ソフトバンクの携帯回線が長時間に渡って繋がりにくくなる不具合があった。この際、オンラインのサービスも同時に使用不能になっている。コンサートチケットや電子決済などがそうだ。オフラインでも動くSuicaのようなサービスでも、チャージにはやはり回線が必要だから、一部の機能は使えなかったわけだ。

これは大規模になったから目立つが、実際にはもっと身近なところで起きている。スーパーのレジ付近はそもそも電磁ノイズが多いし、携帯回線ではなく店舗がセットしているWiFiに繋がっていることもある。その強度が不安定だったり、VPNとの相性が悪かったりすると接続に時間が掛かり、往生する。また、Felica決済ではなく店舗独自のポイントサービスがアプリで提供されていたりすると、それに気付いてソフトを立ち上げ、更にそのソフトが通信を求めて無反応になるなども、よくある風景だ。

これを解決するための手法として考えられるのは、単純に別の会社の携帯回線に切り替えられるようにする仕掛けである。ローミングというよりは、電車でいう振替輸送のイメージになる。もちろん全てのサービスを全部振り替えると、振り替えられた方が大迷惑になるため、ある程度の制限は必要だ。その有力候補は、上のような決済手段と非常通報(消防警察等)、緊急情報(緊急地震速報等)、安否確認(Web171等)等だ。

携帯電話会社間で協定を結び、指定ソフトに限り、また携帯電話会社が要請して受諾した場合に限って発動するようにすれば良い。また、eSIMを使えば新たなチップ搭載は不要だ。ただ、現状ではauのみ取り残される。使用している電波が異なるからだ。

携帯電話さえ対応していれば、その時に限り通信できるようにするということは考えられるし、別の回線(ポケベル回線、LPWA等)という手もあるだろう。その場合は速度がぐっと落ちてしまうので、ソフトがそのまま使えるというわけには行かないだろうが、それを前提とした工夫のしようはあると考える。

2019年1月19日土曜日

今後建築業界で危険が増える可能性


建築業界は、長年の改善の結果として、安全の確保はかなり進化し定着している。IT業界の方がよほど危険・不健康だよねぇ、なんて冗談で会話したりするほどだ。

例えば、作業時間は厳守だ。長時間働かせることで注意力が落ちれば事故になる。建築現場ではそれは文字通り命取りになる。一方でIT業界では、徹夜した位では人は死なないから、残業し放題だ。休憩時間、重量物の運搬制限、安全帯の設置等、様々な工夫があってこそ、今日では人が殆ど人が死なない職場が成り立っている。

ここに、ロボットや遠隔操作の技術が徐々に入り込んできている。遠隔操作の重機や自動運転のトラック、六本足の作業ロボット等が実用化すると、これらの安全基準はそれに合わせて変化するはずだ。それは当然、人間の安全のために行われていた様々なマージンが削られる方向に進む。

例えば、24時間連続稼動であったり、人間の通行空間の省略であったり、天候や粉塵、騒音、高温等への配慮であったりするはずだ。この結果として、作業空間は人間が立ち入れない危険な空間になる。また、例えば安全な水食料がない、伝染病が蔓延しているなどの地域でも、作業が可能になる。

結果として、低価格で、作業時間が短く、といったように、建築の条件は緩くなっていくはずだ。だが、もしそこで機械に対応できない事故があったらどうするのだろう、と不安になる。そこに人が入っていくのに宇宙服が必要だとか強化アーマーが必要だとかいうことになっていくのだろうか。

これこそがサンダーバードの世界なのだろうか、あるいはそういったことも考慮して作業が設定されるのかは知らないが、拙速は禁物。安全に進めて欲しいものだと思う。上手くいけばバラ色、下手を打てばまた建築業界はIT業界に遅れを取ることになるだろう。

2019年1月18日金曜日

語学学習用仮想人格


外国語の上達の秘訣は、外国人の恋人を作ることだという。まあそこまでせずとも、要は頻繁に会話できる環境があることは、非常に重要だ。Skypeで海外の教師と会話をするようなサービスもあるが、生身の人間を相手にするのは緊張する。

もし、用途に適するAI人格があったとするならばどうだろう。動機としては十分だし、なかなか魅力的なプランではないだろうか。何せ相手は疲れないし、自分用のカスタマイズできるし、自分の時間にも能力にもぴったり合わせてくれるのだ。上達しないわけがない。

これがもしAI教師だったら、ちょっと違ったかもしれない。カリキュラムがあったり進捗をチェックされたりというのは、試験のためならしょうがないが、単に英会話が上達したいという程度の動機では苦痛になる。それに、AI教師だとアルゴリズムが複雑になりそうだ。ただ会話をするだけ、それも雑談をするだけなら、個人向けのカスタマイズなんてのはパラメータの問題であり、アルゴリズムがごっそり入れ替わるわけではないから、作るのは簡単なはずだ。

考えてみれば、教師はこの対極かもしれない。つまり学問的な学習はAI教師で、会話や趣味などはAI人格との会話で、だ。学校では何でも一緒くただが、これで教師が必要な学習が絞れるのなら、AI人格の活用は学校でも採用されるかもしれない。もちろん今あるならすぐにでも欲しい。

2019年1月17日木曜日

オンデマンドTVショッピング


QVCやショップチャンネルなどには、スマホのアプリもある。だがどうも使い勝手が悪いなあ、と思うのが、せっかく番組形式のコンテンツを持っているのに、アプリは単なる通販アプリだ、というところだ。スマホのアプリを立ち上げたとたんに15分番組が始まる、アプリから電話が掛けられる。これだけの方がよっぽどいいのではないか。この仕掛けを考えてみる。
  1. アプリを立ち上げると、デフォルトの15分番組が始まる。番組は複数用意されており、ユーザ解析によって好みの番組が優先される。番組が終わると、別の番組が始まる。
  2. アプリの端にあるボタンで、番組で紹介された商品が並んだ商品解説・購入ページに進む。これは、放送が終わった番組と、今放送中の番組の分が並ぶ。
  3. アプリには常時Telボタンが表示されていて、何時でもオペレーターと繋がる。当然フリーダイヤル(無料)である。また、基本的にスピーカーホンになる。
  4. オペレーターに繋がると、アプリとセンターは情報連携する。アプリにはあらかじめユーザ情報が入っており、今開いている画面がどこかも分かるようになっている。
  5. テレビの通販番組には、QRコードが表示されている。これをアプリで読み込むと、同じく商品解説・購入ページに進む。以後は同じである。
  6. 直ちに購入の意思を示した場合、オペレーターが確認して、それで終わりである。アプリには注文記録が送信され、後は届くのを待つだけだ。
  7. 商品への質問があった場合、音声だけでなく、オペレーターの操作によって、商品の詳細ページ等が開くようになっている。
どうだろう。こちらの方がよほど購買意欲をそそられないだろうか。通販はUIの違いが大きく勝敗を分けるのだから、こんなことももっと考えて欲しいものだ。もちろん他の通販(ベルメゾンなど)も同様である。

2019年1月16日水曜日

年中重箱


おせち料理を見ていて思うのは、なんでこれが年に一回しかないのだろう、ということだ。昔と違って塩味のきついものも減り、日持ちも悪くなってくる中、保存料理としての側面は廃れている。縁起物といってもほとんどは言葉の語呂合わせに過ぎない。加えて、最近のおせちはずっと日常食に近づいている。和洋中とバラエティも豊富だ。足りないのは野菜類だが、これらの補完は工夫次第で可能だろう。

そこで、こんなおせちを考えてみる。
  • 毎月一回など定期的に、例えば一段だけ重箱が届く。基本は冷凍であり、冷蔵庫に一日置いて解凍する、というのは、今のおせちと同じだ。
  • 正月以外の重箱は、普段食べるものが入っている。もちろん生野菜はないし、スープ類も無理だから、これだけで食事が完結することはない。主食(ごはん、パン、麺など)も含まれていてない。
  • 単なる冷凍食品宅配と異なるのは、容器である。弁当の容器のように扱いに困るヤワなものではなく、垂直に積み上げられる強度と、同じサイズにぴったり収められている、という無駄のなさがある。
  • また、冷凍宅配弁当と異なるのは、お仕着せのワンパック食べ切りではなく、複数の惣菜を数日掛けて好きに食べることができる、というところだ。これもおせちに倣っている。
  • この容器のサイズ専用の冷凍冷蔵庫が別売りになる。例えば冷凍庫に十段、冷蔵庫に三段の重箱が、ぴったり入る大きさになっている。
宅配弁当との違いはわずかだが、個人的にはこちらの方が魅力的に感じる。どこか検討して頂けないものか。

2019年1月15日火曜日

台風を防ぐ「集エネ船」


台風の被害は、年間何百億円にも及ぶ。これへの対策は、基本的に「防御」だ。防潮堤、備蓄、避難。だが、もっと積極的に、台風そのものの発生を防ぐ、あるいはその威力を弱める工夫があってもよいのではないか。

過去、台風の威力を弱めるために、ヨウ化銀を撒くとか原爆で吹っ飛ばすとかいう案があったのだが、何れも継続的には成功していないし、毎年幾つも発生する台風に毎回そんな方法をとっていては大変だ。ここではもっと根本的な方法を考える。

台風とは、言ってみれば自然エネルギーの平準化である。熱くなった水が北に移動して冷えた土地を暖かくするのが台風の役割だ、とも言える。だから本来、台風をなくすためには、発生した熱エネルギーを速やかに吸い取り、北に逃がしてやることが正しい。

例えば、赤道付近の海流を、夏の間は二倍に促進する、ということは、エネルギー収支的には正しい。ただこれには膨大なコストが掛かり、経済効果が見えないので非現実的だ。

そこで考えるもう一つの方法は、赤道付近の熱エネルギーを吸い取ってしまい、これを北の都市部の電力消費等に充てる、というものだ。これなら一挙両得になる。たとえ台風の発生を防ぐほどの効果が無くとも、吸い取った分のエネルギーは減らせる=台風の威力を殺ぐことができるのだから、無駄にはならない。エネルギーを吸い取るポイントを細かく調整すれば、進路を曲げて都市直撃を避けるなども可能になるだろう。

この方法として考えるのが、題記の「集エネ船」だ。台風発生の初期、夏から秋に掛けて、その海域に大量の船を派遣する。それはタンカー級の大型船で、海水の熱エネルギーや、その元となる太陽光、あるいはその結果である風のエネルギーをあらゆる手段で集め、中に保存し、帰っていく、というものになる。種類は幾つか考えられる。
  1. 熱エネルギー収集船。北方で冬の間に作っておいた低温の熱媒体を積んで南海に行き、そこで海水の熱エネルギーを使って熱媒体を高温にして戻り、北方の暖房などに使用する。地域冷暖房や道路の融雪など、色々に使える。熱媒体はノルマルパラフィンエマルションなどが使える。
  2. 超熱エネルギー収集船。基本は上と同じだが、太陽炉やヒートポンプを使って、溶融塩を非常に高温になるまで熱して、持ち帰る。持ち帰った溶融塩は発電に使用できる。
  3. 水素生成船。着いたら、周辺含め太陽電池や風力発電機を展開し、発電した電気で海水から水素を精製し、持ち帰って水素自動車などに使用する。
  4. アルミニウム精製船。くずアルミを持ち出し、周辺含め太陽電池や風力発電機を展開し、発電した電気でアルミニウムを精製して持ち帰る。
少なくとも初期においては、台風の進路を曲げることを目標にすることになる。精度が高ければ、小さいコスト(船の数)でもピンポイントで効果がある(バタフライ効果)。だがこれは相当難しいので、研究への投資は別に必要だろう。

コストを計算していないのだが、どれをとっても現状よりはお高くなるだろうが、ある程度の国の補助(みなし台風被害削減報奨金)があれば、それなりの経済性があるのではないかと思う。もちろん公海上で行うことなので、民間単独では無理だ。国が主導するなどして検討してもらうことを期待する。

2019年1月14日月曜日

パルプブロックでDIY


以前、「紙パルプ3Dプリンタ」という投稿をしたことがあるのだが、印刷精度が悪いことはその課題として提示した。一方で、MDFボードのような成型板は、加熱圧縮しているので寸法精度が良い。

3Dプリンタというと一気に作るイメージがあるが、部品を作って組み立てることも当然考えてよいはずだ。となると、ブロックのような定型であれば、加熱圧縮の機構も組み込んだ上で、丈夫且つ精度の良い部品ができるのではないだろうか。

紙パルプ生成機、すなわち使用済みの紙を投入すると水と共に攪拌して紙液を作ってくれるマシンと、紙パルプブロック成型機、すなわちその紙液を型に流し込んで圧縮加熱成型してくれる機械を考えてみる。また、ミリングマシン(削るマシン)も想定する。

ブロックのサイズを、例えば100×50×50(mm)としてみる。レゴブロックと同様、上下に凹凸があり、はめ込むことができる。レゴブロックは中に空隙があるが、こちらは凹凸以外はパルプで詰まっている。

小さいものは、ブロックを作った上で、ミリングマシンで削って完成させる。大きいものは、個々のブロックを必要に応じてミリングマシンで削った上で組み立てる。ここでは凹凸と横の接触部は接着剤(市販のボンドでよい)でくっつける。

更に大きいものや、長い柱、平らで薄い板が必要なものは、市販のMDF版やツーバイフォーなどとの組み合わせを前提として、その繋ぎをブロックで作る。もちろんボンドで接着する。いずれにしても、完成後は必要に応じて塗装する。

新聞雑誌包装紙梱包材など、捨てる紙は無限にあるから、材料には事欠かない。おもちゃはもちろん、食器や棚引き出し椅子机など、かなりのものがDIY可能になる。今まで耐久性を重視していたものでも、どんどん作って古いものは捨てられるから、モノの見方、使い方も変わるだろう。消耗品でも、これで作れるストックは不要になるから、その分のスペースが有効に使える。

どんな型があれば何が作れるのか、レシピはデータとして売り物になる。3Dプリンタとは異なるが、新しいDIYの可能性として検討してみても良いのではないかと思う。

2019年1月13日日曜日

認証連携技術のステップ


別の投稿「IDは不要になる」では、遠い将来の認証技術について考えた。ここでは、そこに至る初期のステップを細かく考えてみたい。まずはタクシーの例を考えてみる。

最初の形態は、全てがローカルで決着するものだ。今のタクシーソフトには、既に自宅を登録する機能や決済手段が入っている。タクシーソフトで呼び出した場合は、その時点で降りる所が通知されているから、そこまで行けばよい。

第二段階は流しを拾う場合。これには、そのタクシーソフトがタクシーとローカルで連携する必要がある。これにはBluetoothやICカードタッチなどの短距離通信が適している。一度接続してしまえば、後は同じだ。

第三段階では、このタクシーソフトが「タクシーオンラインサービス」になって、ユーザはIDを持つだけとなり、このIDを示すことで、タクシーとサービスの間がオンラインになる、という形態になる。ただし意思の確認は必要なので、そのための操作は必要になる。例えばスマホはIDを示すだけの存在となる。また、スマートウォッチやキーホルダーデバイス、ICカードなどがこの代替物としての候補になる。

第四段階は、このサービスが生体認証キーを保持し、タクシー会社からの照会に対してIDを特定することだ。そして最終段階は、こういったサービス同士の相互接続や、生体認証キーの集中管理である。ここでの生体認証は、基本は動画カメラであり、カメラで可能な生体認証、代表的には顔、虹彩、動きに対応する。

大きなハードルは、第三と第四の間にある。生体認証をタクシーサービスが持つということには、抵抗が大きいだろう。むしろ最終段階が一気にくるのではないか、とも考えられる。多くの場合、第三でだいぶ便利になるので、それも相まってここで停滞、ないしは終わってしまうことも十分にあり得る。

生体認証のうち、指紋や虹彩は比較的オンラインに乗せやすいだろうが、動きや耳紋などは既存の生体認証(PC、スマホ)では普通使わないから、別の需要が必要である。
その需要とは、恐らく勤務先のゲート入場であろう。今はIDカードに頼っているところ、監視カメラによる方法に切り替えれば、IDカードが不要になり、カード紛失の危険もなくなるし、成りすましを防ぐこともできる。

これがある程度確立した後に、サテライトオフィスや入場先(派遣)などに広まっていき、重複が問題になっていく。そこに漏洩事故が起こって、個々の企業で保持することへの批判が進み、官庁系認証サービス(マイナポータル)に連携するような仕掛けに徐々に変わっていく、というような流れを取るのではないだろうか。そしてその先には、せっかく使えるのだから新しいサービスを興そう、となって、冒頭のタクシーに戻るわけだ。

技術的には大したことなくても、社会がそうなるには十年単位で時間が掛かりそうだ。のんびり、しかし期待して待とう。

2019年1月12日土曜日

透明スクリーンでMR


https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1156876.html

大日本印刷が、「透明スクリーン」なるものを展示していた。透明度が高く、これに短焦点プロジェクタで投影することで、空中にモノが浮いているように見える。

これは面白いと思った。車のヘッドアップディスプレイの代わりになりそうだし、事務所や家の窓に使うのもよさそうだ。何が映せたらどんなに嬉しいのか、考えるのが楽しくなる。

天気予報やニュースなどはありきたりなので、ここはMRを提案してみたい。もちろん視点を完全に合わせるのは無理なので大体だが、晴れの日を雨にするなどの天候の変更、背景に見える見たくないもの(他人の住居、電線など)のマスキング、季節の花、緑の強調、雨風の可視化(見えにくいものを見えやすく)、などだ。

窓なら視点は目からかなり離れているから、ピントの問題はあまりないだろうし、不透明なスクリーンとは違うから違和感が少なくなる。地下室で外を映すとまではいかずとも、多少は条件の悪い窓の影響を軽減することが可能になる。

2019年1月11日金曜日

IDは不要になる


クラークの「3001年終局への旅」を始め、人間にICチップを埋め込んで識別するという話は非常に多く出てくる。だが、3001年のレベルでこれはないだろう、と思った。その頃には、生体認証だけでID(Identify)ができるようになっているはずだと思うからだ。

但し仕掛けは必要である。複数の生体認証を一度に行う、というのがその基本だから、虹彩、指紋、静脈、耳紋、歩行(行動)、筆跡など、あらゆる情報入手が必要だろう。そのためのセンサもまた、必要だ。

二つ三つなら各々揃えるだろうが、余りにも増えれば「全部高精細カメラでやってしまえ」という発想になって然るべきだろう。8Kの次に何Kが出てくるのか知らないし、また可視光以外にも色々やるとして、更に超解像技術なども駆使すれば、3001年と言わず10年程度のレンジで可能になりそうに思える。

その際に必要なのは、センサ同士の協調動作だ。例えば、PCのログインをするのに監視カメラの映像を使う、といった類の協調である。昔SOAPが流行ったけれどもプロトコルだけを揃えるのではなく、認証基盤の相互信頼だけでなくその目的まで含め、しかも自動で協調するような、オンラインサービスが必要である。それは、
  • 他社に来客や派遣業者として行く場合、あらかじめ登録しておくことで受付をスルーしたり、必要なドアのロックが自動で解除されたりできる。
  • 民間の有料サテライトオフィスに入るだけで自動的に課金が開始され、退場すれば清算される。
  • 出先でPCを借りて目の前にすれば、自動で自分の環境にログインする。
  • タクシーを捕まえて乗り込んで「自宅」と言えば、自宅の住所が自動的に運転手に伝わる。
  • 病院に行って「診察」「薬」などのボタンを押すだけで、自動的に受け付けられる。(付き添いの人もいるだろうから全員が自動にはならない)
といった用途に使うことができる。認証が厳しいもの緩いもの色々あるが、そのさじ加減までも自動にできる。結構ばら色の未来に見えるが、仕掛けとしてさほど難しいとは思えない。最初はスマホ認証と合わせるなど、セキュリティと誤認の危険のバランスをとりながら徐々に進めることは、今からでもできると思う。

2019年1月10日木曜日

宗教の伝え方


幸福の科学やオウム真理教は、布教の一環としてアニメ製作を行っている。新興宗教という色眼鏡を取り払ってこの手法を考えると、なかなか良い手段だと思う。薬師寺寛邦の「般若心経 cho ver.」は最初聞いたときに感動したし、テクノ法要、坊主バーといった活動も出てきている。だが、まだ物足りなさを感じる。

一言で言えば、宗教色が強過ぎる。もっと緩い入り方をしないと、現代人には受け入れられないだろう。そこで考えるのが、子供向けのテレビシリーズだ。

なんだオウムと一緒か、と思うなかれ。あくまで宗教は味付けである。それは例えば、プリキュアのサブテーマ(しかも複数あるうちのひとつ)とか、主人公の仲間の一つが法曹界の人間だとか、数ある宗教の教えのうち一つが一話のサブテーマになっているだけ、のようなものにする。

個人的には大好きだが全然ヒットしなかった映画で、「ヤマトタケル」というのがあるのだが、あれは日本の古代神話をベースにした戦隊もの(最後に巨大化して戦う)だった。あんな感じで、味方のピンチに阿弥陀如来が武器を授けてくれるとか、仏の教えに背くと変身できないとか、色々なモチーフをちりばめたヒーローものは作れそうな気がする。

音楽にしても、般若心経をテクノ調にしただけではもったいない。例えば中に書かれている教えを十分割して、一つにつき一曲をポップスやロックなど曲調を変えて十曲作ってはどうだろうか。1枚のアルバムで完結すればよい。衣装も、法衣を着るのではなく、歌に合わせたものにすべきだ。

「天使にラブソングを・・・」でゴスペル調の賛美歌が出たが、お経は元々言葉のレベルで分からないから、大胆に意訳をすべきだし、必ずしも内容が整理されているわけではないから順番も強調の度合いも調整してよい。それは決して「新しい解釈」ではなく、「新しい表現方法」と考えるべきだ。

法話にしても、寺でやるのではなく、出張して相談も受け付けるような形態を許す、そもそも出家していない人でもできる、やる。落語にするのも良いし、テレビのコメンテーター、YouTuberなど、新しい形式に即して積極的に宗教を広める努力というのは、もっと行ってよいのではないかと思う。

2019年1月9日水曜日

監視カメラによる消耗品監視


トイレットペーパー、洗剤、常備菜、お菓子、ペットボトル、卵。人によりその好みも消費量もストック量も違うにせよ、何らかの買い置きは存在する。その買い置きに関して、自動で減るのを監視し、推奨してくれる、あるいは自動で注文してくれるようなサービスがあったら、使いたいと思う人は多いだろう。

ここでの問題は、何がストック品で、どれくらい使い、どれくらいの間隔で買うべきかを機械がどう判断するかだ。細かく設定をする必要があるのでは使ってくれないから、自動化をどう考えればよいかが焦点となる。

ここで考えるのは、監視カメラによる方法だ。ストックの置き場所を決めておいて、そこを監視カメラで監視しておけば、銘柄も量も減り具合も追加のタイミングも、ユーザの好みの変化すら分かるだろう。しかしストックが全てカメラに映っているようにするのはスペースの無駄だ。そこで、こんな方法を考えてみる。

まず、ストック専用の箱を決めておく。これには25~50L程度の段ボール箱が適当だろう。代表的には百均のA4ダンボールや、Fellowesバンカーズボックスなどがある。天板にも番号か何らかの識別子を書いておく。これはIDとしての機能、すなわち箱同士が識別できれば十分である。

手順は簡単だ。監視カメラは、棚の近くに設置しておく。作業台があればそこが適している。そして、箱にモノの出し入れをする際、必ずその作業台の上で行う。以上だ。

監視カメラは箱を認識し、ずっとその動きを追いかけている。だから、箱に何が入ったか、何が出て行ったかを全部記録できる。記録が上手くいかなかったらリアルタイムでアラートを出せば、一度箱からモノを全部取り出して、また一つづつ入れてやればよい。

監視カメラは複数用意し、正面、上、斜めなどから同時に撮るのがよい。Amazon Go(無人店舗)の仕掛けと意味は同じと思ってもらってよい。これで精度を上げ、エラーを減らす。もしカネに糸目を付けないなら、あらゆる部屋のあらゆる場所に監視カメラを付けてやれば、箱を固定したりモノを出し入れする場所を固定したりせずに済む。

どの箱に何がどれだけ入っているか、そして何時入り何時出て行って、その数量変化はどの程度か。銘柄は、量は、変遷しているのか。こういうことを全て機械が判断して、「もうそろそろ」と思ったらユーザに推奨する。あるいはAmazonの買い物カゴに入れて、確定ボタンを押すだけの状態にしてユーザに通知する。

同じことは、冷蔵庫のドアの前でもできる。こうすれば、野菜を腐らせることも、賞味期限が切れた冷凍食品を捨てることもない。

入れ物(箱)さえ工夫すれば、例えば季節モノをどこに仕舞ったか忘れた、などにも対応できるだろう。外出先で家のストック量を知るのも簡単だ。Amazon Goの技術が使えるから、家庭での実用化への道は、そう遠くないはずだ。

2019年1月8日火曜日

スマートバス停


https://news.mynavi.jp/article/20181204-735612/

太陽電池により外部電源不要のスマートバス停だそうだ。

時刻表の書き換えの手間が省けるのだそうだが、なにか本末転倒な気がする。時刻表の書き換えなんて何年かに一回しかない。一方でこの製品の寿命を考えると、雨ざらしになることから考えてもせいぜい5年。この間、書き換えは1回か、せいぜい2回ではないか。更に機械であれば故障もするはずだ。保守契約も必要ではないか。どっちが高くつくのか、計算したのだろうか。

写真には、避難場所が表示されている。恐らく動的書き換えが行えるのだろうが、その程度でこのコストが回収できるとも思えない。ここはもう少し知恵を出すべきではないだろうか。つまり、せっかく書き換えができるのだからもっと頻繁に書き換える用途を載せ、費用対効果を出すべきだ。

単純には広告表示が考えられる。しかし時刻表と広告を交互に表示されたら鬱陶しい。端にちょっと表示するのが関の山だろう。上の避難所表示はカネにならないし、既に入っている機能だ。欲しいのは、適当な頻度で変わる情報、バス停でバスを待つ人に役に立つ情報、先頭で待つ人だけでなく、バスが来たときに一瞬見るだけで分かるシンプルな情報、だ。
  1. 運休・遅延情報。バスは電車より恒常的に遅れやすいが、どの程度遅れているかが分かると便利だ。また、その先にある電車の時刻表や遅延情報があると更に嬉しいだろう。
  2. イベント情報。特定のイベントのためだけに遠くから来て初めてそのバスに乗る、そしてその時だけバスが混む、ということはよくあることだ。「XXイベントへはこのバスでOK」という表示がされているだけでも助かる。また、一つのバス停には複数の路線のバスが止まるから、「今来ているバスはXXイベントに行けます(行けません)」と表示されると嬉しい。当然料金も出ていてほしい。
  3. 緊急地震速報などの速報系非常情報。できれば音付きで欲しい。このときは時刻表なんて関係ないから、避難所の情報を全面に出して欲しい。
  4. 時刻表の強調表示。
    1. 土曜で休日とか、年末年始や盆など、「平日・土曜・日曜休日」のどれが適用になっているのか迷うことがある。今日の適用だけを表示されるのもまた困るが、全体表示のどれが有効になっているかを表示されると嬉しい。
    2. 複数の路線のバスが来るので、次に来るバスがどの路線のバスかが分かると嬉しい。ついでに時刻表の時刻表示が点滅してくれると分かりやすい。当然、時計も端表示されていてほしい。
    3. 終バスが通り過ぎた路線の時刻表は薄く表示する。
  5. 今の混雑を配慮した、主要バス停(終点など)への到着予想時刻・遅延時間。
この程度でも表示してくれれば、初めて「スマート」と名乗って宜しい。

2019年1月7日月曜日

8Kコンテンツイノベーション


4K8Kの開始に伴って、過去のコンテンツをリマスターすることが流行っているようだ。先日は「ウルトラQ」が4Kになって蘇った。

その特集を見ていたのだが、当時16mmで撮られるのが当たり前だったところ、映画に使われる35mmを使っていたのだそうだ。当時のテレビの画質では過剰に過ぎたことも語られていた。またミニチュアセットも、今のものと遜色なかったそうだ。現存しているプロップを見ても、美術品かと間違われるほどの品質だ。「予算はない(天井知らず)」だったこと、全部撮り終わってから放送開始など、何れも破天荒な扱いだったと言う。

これを見て思ったことは、高度経済成長やバブルという背景があったにせよ、そういった思い切ったことができたことこそが成功の原因だったのではないか、ということだ。近年のテレビ産業は視聴率低下と相まって予算も縮こまっているそうだが、鶏が先なのか卵が先なのか、よく考えて欲しい。まだ8Kのレコーダーは世に出回っていないのだから、8Kで超優秀な番組を放送すれば、きっと爆発的な人気を得るはずだ。

巷の評判も、「問題はコンテンツだ」というものばかりだ。転じて放送内容を見ると、そういった思い切った番組は見当たらない。例えば1クールで百億円くらい掛けてSFアクションを作ってみてはどうだろうか。8Kプロジェクタ百台を破格の値段で抽選してはどうだろうか。スカイツリーとあべのハルカスに展望カメラを置いて、一日つけっ放しにして、古館伊知郎に中継してもらってはどうだろうか。4K映画4本をオムニバスで作って、最初は4分割で流し、次第に話が絡み合い、最後に8Kになる映画なんてどうだろう。

ハードは強いがコンテンツは弱い、というのは、日本の昔からの伝統だが、要は新人の発想の芽をつぶさず如何に育てるか、如何にカネを掛けるかのセンスの問題だろう。斬新なコンテンツをぜひ見せて欲しい。

2019年1月6日日曜日

新ブロックチェーン


ブロックチェーンの欠点である、過剰な冗長性を排除するための方策として、以前から幾つか考えている。二重ブロックチェーンなどがそうだ。それとはまた異なる形式の方法を考えている。それは、完全に重複した台帳を持つのではなく、部分的な台帳を持つ、というアプローチだ。
  1. 台帳は、その大きさ(容量)と参加者(ノード)の数に応じて、適当な大きさに分割される。
  2. ノードの数が少ないときは分割数も少なく、冗長性は高くなる。ノードの数が多くなると、数も多くなる。
  3. 分割は、時系列で行われる。
  4. ノードには、分割された台帳のうち一つないしは複数が置かれる。ノード数が少ないときは全てが置かれるが、数が増えればその一部のみとなる。但し最新のものは全員が持つ。
  5. 分割の切り口は、例えば承認率と時刻の複合計算によるのが良いだろう。最新のものは全員で持ち、承認が安定した古いものは容量を決めて分割する。
  6. 古いデータを保管するノードの数は、古いほど少なくなるようにする。また、ノードの信頼性(稼動期間や安定度など)や余裕(空き容量)、地理的・論理空間的分散等についても評価し、適切に配置する。
  7. 特定のノードに注目すると、最新の台帳と、古い台帳の一部が保管されていることになる。古い台帳にさかのぼって検証をする機会は滅多に来ないが、もし来たら他のノードから取り寄せることはできる。もちろんランダムに複数のノードから取り寄せ、一致することを確認する。台帳同士の接続も、当然確認する。
  8. 古い台帳の配置や改ざん検証は、バックグラウンドで常に行われるものとする。配置の変更も同様に行われる。
  9. トランザクションの全員検証については、従来のブロックチェーンと同じとする。
BitCoinでは、特定のノードは新しいもののみを持つようなアプローチになっているものもあるが、これではノードはフラットにならない。他にも分割保管の方法は考えられるが、今のところ一番しっくり来るのがこの方法だ。

有識者の検証を望む。

2019年1月5日土曜日

8K総合情報表示機構


映画「トータルリコール」(シュワ版)の冒頭、主人公の自宅には、壁面一杯のディスプレイがある。ニュースも映せるが、朝は山の風景を映して心を癒す。違和感があったのはむしろニュースの方で、壁一面に暴力シーンが映し出されるのは頂けない。ただ、単に風景を映すだけならもったいない。情報も映してほしいが、もっとマシな映し方があるはずだ。

以前の投稿で、「暗喩MR」というものがあった。これに似た、環境映像を映しつつも情報の入り口になるような使われ方が、8Kには適しているように思う。ゴーグルをつけて歩き回る、きょろきょろする、という能動的な使い方ではなく、風景を付けっぱなしにしておいて、さりげなく情報の端を散りばめておき、ふと気になったものを詳しく知る、というようなものだ。

まず、ベース画面は幾つか選べる。勉強に集中したいときは図書館、人によってはファミレスやカフェ、癒されたいときは高原や海岸、情報を多く得たいときは都会の雑踏、などだ。全てがCGなので、人が一杯映っていても気兼ねする必要はない。

MRと違って視点は固定だ。多くの場合は椅子に座っている設定だろう。そして、自然の風景とは違うのが、そのあちこちに暗喩として情報が映っているところだ。

例えば天気は、二時間後の天気予報に基づくCGだ。自然な形で貼ってあるポスターや看板などは、ターゲティング広告だ。本人の嗜好のみならず、社会の状況や時刻によっても変わる。すれ違う人や遠くで会話している人、店舗での呼び込みの声などは、ニュースを反映している。救急車や消防車、パトカーなどの音が聞こえたら、近くで事故や火事などが起こったことを示している。音が大きいほど近くだ。暗喩にはルールが必要だが、勉強しなければならないほどの難しいものにしてはならない。

そして、その中で気になったものがあれば、操作で詳細を確認できるようにする。その確認も、8K全体で映すのではなく、何処か邪魔にならないところに窓が開いて、そこに番組が映し出されるような形で行われる。大部分は音声・字幕付動画で、フォーマットは決まっている。

情報は、外からだけのものではなく、例えばインターホンが鳴ったとか、洗濯が終わったとか、湯が沸いたとかも入れてよい。そうすることで総合的な情報画面になり、すなわち付けっぱなしにできるわけだ。

こういった総合情報スクリーンは、壁だけのものとは限らない。例えばテーブル一杯に映すなら、風景ではなく事象毎に用意されたエリアに映すなど、色々とバリエーションはあるはずだ。それを個々に考えるのもまた、面白い。

2019年1月4日金曜日

8K劇場型映画


4K8K放送が始まったが、全く見る気がしない。値段が届かない、アンテナが対応しない、というのは勿論なのだが、やはり問題はコンテンツだ。従来のような「映画を高精細にリマスタリングしました」「美術館やベルサイユ宮殿、サッカーの試合やコンサートを引きで撮りました」「美しい景色を画面固定でどうぞ」くらいで、本当に普及するのだろうか。

そもそも、ハイビジョンの企画が決まった経緯は人間工学から来ている。すなわち、従来は遠くから見ていたものを、近くから見ることで画角(視野)が広がり臨場感が出る。近くから見ると粗が目立つので解像度を上げる。そういう理論だったはずだ。

一方で4K8Kにはそういう議論がない。これ以上近くから見るのは困難で、画角を更に上げるのなら大画面にするしかない。事実、今市販されている4K8Kモニタは皆、大画面だ。当然値段も高くなる。

そこまでして何が見たいのか。好きなアーティストがいて、コンサートで5千円、1万円と出す人でも、年間幾つも行く訳ではなかろう。映画にしても博物館にしても、せいぜい数千円、年に数回が限度だろう。毎日見たいとは思わない。朝のニュースや占いを大画面で見ても、何が嬉しいだろうか。むしろスマホで見たいのではないか。

プラネタリウムで映画を見たことのある人もいると思う。主要部分はスクリーンの、ごく狭いところでしか上映されない。必要のあるところだけがフルスクリーンで投影される。これは技術的問題というよりは、余計な(見せたくない、どうでもよい)ところの絵作りを省略するためだ。画角が広がることは、必ずこの問題を生む。

余計なところがどうしても見えてしまうのが、演劇やミュージカル、スポーツ、コンサート、パフォーマンスなどの一連のコンテンツだ。だから、これをベースにするのが良かろう。つまり、映る範囲は固定してしまい、その中で人は好きなところに注目して見る、というものだ。コンサートなら推しメンだけを見続けるのも良いし、演劇で端の方でうろちょろしている端役に注目するのも、一つの楽しみ方だ。

これと同様のことを映画でやる、というのは、新しい試みと言えるだろう。つまり、できるだけカットインやズーム、アップなどを使わず、引いた画面固定で、画面のあちこちでいろいろなことが同時進行で起こる、注目するポイントが人によって違ってよい、というものだ。劇場と違って当然フルCGは使えるし演技もタイミングも細かく作り込めるので、監督の意図は詳細に入れ込めるが、その製作の負荷は映画の何倍、何十倍だ。そして見ている方も1回ではなく、何回も見ることになる。

大団円を演出するようなことが難しくなる、話ははるかに複雑になる、探偵ものなど作り辛いジャンルが出てくる、などは予想されるものの、映画の新しい形態として、表現者の制作意欲を引き立てるものになるのではないだろうか。

2019年1月3日木曜日

指向性ジャミングと光通信


各国の大使館では盗聴器が仕掛けられているのが当たり前で、大使もそれを前提として対策をしているらしい。

大使館ならそれなりの資金を持って行う本格的なものだから防ぎようがない、というのも分かるが、近年では部屋の中に何も仕掛けずとも盗聴できてしまうような技術が色々と開発されていて、しかも安価にできるようだ。一般市民もうかうかとしていられない。

この対処は3種類考えられる。まずは素直に盗聴器を発見することだが、例えば遠方からガラス窓の振動を見るような仕掛けに対抗するのは困難だ。二つ目は、盗聴を妨害する技術。防音室や、逆に大音量で音楽を掛けるなどが相当する。そして三つ目は暗号化だ。ネットでなく日常会話で行うのなら、隠語(暗号名)や言い換えが相当する。

三つ目は相当に頭が必要なので、一般人には厳しい。ここはやはり一番目と二番目に期待したいところだ。

家庭用であれば、もし室内に盗聴器が仕掛けられるとすると、電波を出すことになる。さすがに有線では設置が厳しいだろうからだ。そこで、部屋全体をシールドで覆ってしまえば良いことになる。実は結構これは簡単で、何でも良いから、穴が開いていても良いから、金属で覆ってしまえばよい。この孔の大きさは、周波数に比例して小さくする必要がある。例えば1GHzなら全波長で30cm、半波長で15cm。金網の孔はせいぜい3cmだから、十分である。

窓では、Low-Eガラスという遮熱ガラスがあるが、これは金属膜を使っている。それでも不安なら、金属の格子で覆えばよい。外側でも内側でも可だ。

しかし、新築ならともかく、借家ではこの方法は使えないし、金網を隙間なく張り巡らせるのは別の不具合もある。断熱が悪くなってしまうし、錆びると厄介だ。窓に金網があるのも異様に見えるだろう。

そこで考えるのが、ジャミングだ。音のレベルでのジャミングが難しくても、電波をジャミングすることは可能なので、そういう方法もある。但しこの場合は、携帯電話や無線LANが使えないなどの弊害がある。また当然、ジャミングがダダ漏れになると近所迷惑にもなる。

ジャミング=電波妨害は、本来指向性を持つものではないのだが、ただ大電力でノイズを垂れ流すものではなく、アクティブサイレンサー(アクティブノイズキャンセリング)と同じ技術を使うことで、そういうことが可能になるのではないか、と考える。

つまり、受信した電波と同じで位相が逆の電波を、その電波が行くべき方向に流してやる。そうするとそこから先は電波が相殺されて消えてしまう。このような装置を部屋のあちこちに設置することで、部屋から出る電波を大幅に減らすことができる、というものだ。完璧に防ぐことは困難だが、一定以下のレベルになれば、他の電波ノイズに隠れて見えなくなるはずだ。

屋内の無線は、光通信で行う。シーリングライトであれば、部屋の隅々にまで光が届くし、端末側は赤外線で応答すればよい。シーリングライトの光は窓から漏れるが、端末側が漏れることはないだろうし、もし漏れても通信は暗号化しているので問題はない。

2019年1月2日水曜日

AWS Outposts


https://www.publickey1.jp/blog/18/awsaws_outposts_awsaws_reinvent_2018.html
https://aws.amazon.com/jp/outposts/

AWSがローカルで動くアプライアンス、といったところだろうか。

実は、MicrosoftもGoogleも、似たようなサービスを出していたということを後で知った。やはりインパクトのないニュースだったわけだ。Outpostsも似たようなものと言えなくもないが、やはり巨人が動いたということの意味は大きい。

一時期に比べれば随分少なくなってはきたが、オンプレミスからデータを出したくない、という要望は多いだろう。軍事や官庁自治体では特にそうだ。その大きな理由は、いざというときにデータを保護できない可能性だった。サーバが米国にある、あるいは米国の法の適用を受けることは、首根っこを押さえられているのと同じだ。普段は良くても、何かあったときの保障がない。

データセンタが国内にあれば事情は多少改善するが、これを扱っている社員が外資系であれば事情は同じだ。そこに来てこのニュースとなれば、細かいところは後報を待つとして、これでオンプレミスのサーバーベンダのうち大手は、相当のダメージを受ける可能性が出てきたと見て良いだろう。

極端な話、オフラインでも運用できるが、いざというときにはクラウドに移行できるという保証がある。しかも、同じサーバを複数台用意してバックアップや分散することによるDRにおいて、ベンダによる細かい調整が不要である。クラウドのレベルで行う操作と同じだからだ。開発も保守も、AWSで経験すればよいので調達は容易になる。

これは、中期的にはハードウェア構成の抽象化が不可逆で起こるという可能性を示している。個々のサーバの特徴などどうでも良い、外部スペックさえ満たしていれば、となるのなら、ハードベンダはもはや完全なBtoBであり、レッドオーシャンであり、コモディティになってしまう。

国内で細々とサーバを作っていたベンダの息の根が止められる、という未来が見える。そして全てのサーバがクラウドReadyになれば、そこを基点として新たな抽象化が生まれ、例えばプリンタがデフォルトでクラウド接続になる、といったような、新たなスタンダードが生まれるのかもしれない。

2019年1月1日火曜日

組織はAIなり


無論、「組織は人なり」へのアンチテーゼである。

組織における「人」とは、労働者としての意味と、経営者としての意味がある。何をすべきかを考える人、すべきことをする人、だ。その各々にノウハウや知見があり、その優劣が組織の行く末を決める。

悲しいかな、人は未熟で生まれ、育ち、そして組織を離れていく運命にある。このためこの知見は育成や伝承、更には時代に合わせた修正や追加が必要だ。また、人一人の育成コスト、時間、総量には限界があるから、数も配置も見極めも必要で、それはそれでまた知見が要る。

今までこれは当たり前だったのだが、将来的にAIが知見を保存できるようになると、状況が変わってくる。人が本当に要らなくなるのだ。

例えば、伝統工芸である漆塗り職人が減ってきているとする。そこにWebカメラと温度湿度センサを仕込んで職人を観察すると、漆の練り方や塗り方等のノウハウがAIに溜まってくる。これをロボットで正確に再現すれば、ある程度の品質をもった製品を作ることができる。

これでも職人には直ぐには届かないだろうが、今度はロボットが自分で学習する。すると何れは職人に追いつき、追い越すことも可能となるだろう。しかも今度は、そのノウハウは簡単にコピーできるので、一気に職人不足が解消する。個々のロボットが学習してノウハウを交換すれば、更に高みに行くことができる。

更に、このロボットに摂動機能を付けておいて、ときどき突然変異を生み出すことにする。この大部分は失敗に終わるが、中には新しい芸術を生み出すことができるだろう。その摂動パターンを更に学習(メタ学習)することで、高みの追求の速度は更に速くなる。

この時点で、必要な人間は最低で一人(社長)だ。まあ機械のメンテやら掃除やら経理やらの雑用はあるだろうが、それらも代行させたりロボットやクラウドサービスに任せたりできるだろう。もっと言えば、社長も人である必要はない。こういった会社を百個束ねて「AI社長」が運営する、なんてことも考えられる。

組織の大部分で人が必要なくなることのメリットは大きい。不良在庫(若輩や高齢者)を抱えることによる無駄なコストはないし、福利厚生も必要ない。保険も不要。雇用義務も発生しない。少々サービスが悪くなっても、人がいない方が利益率は上がる。

会社や組織が人を尊重する理由は、将来的には全て無くなってしまうかもしれない。悲しいことなのか、好ましいことなのか、よく分からない。

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