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2025年8月25日月曜日

富士山噴火への備え・再考


 以前にも

https://spockshightech.blogspot.com/2017/10/blog-post_2.html

という投稿をしたことがあるのだが、もう少し状況を詳しく知ることができないか、調べてみた。

首都圏の対策としては、『首都圏における広域降灰対策検討会』というものがある。

https://www.bousai.go.jp/kazan/shutokenkouhai/index.html

この内容を大雑把に伝えると、

降灰30cmまでは自宅などで生活を継続、30cm以上で原則避難

というものになっている。ただ、なぜこうすることにしたのかについては詳しくは書いていない。

実際の降灰量予想としては、令和3年に発表された「富士山ハザードマップ」

https://www.pref.shizuoka.jp/bosaikinkyu/sonae/kazanfunka/fujisankazan/1030190.html

の中にある

https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/030/190/21_kouhai.pdf

が参考になる。東京23区、千葉県西部、埼玉県南部は2〜10cm積もると予想されている。

以前の自分の考察では、交通網が全て遮断される、全てのインフラは数カ月回復不能で救援物資も来ない、というものだったが、いくらなんでも100%ということはないだろう。まずここから精査していく。

まず概略から抑えておくと、首都圏の人口は3700万人である。これは1都3県の人口だ。

インフラとして一番重要なのは上水道と物流である。人は水が飲めなければ3日で死ぬ。水道が止まっても物流が大丈夫なら水は飲めるが、この両方が止まれば死ぬ。個人にしても自治体にしても、備蓄はせいぜい数日程度だろうが、この間にどちらかが復旧しなければ死ぬ。つまり、水道と物流が止まり、備蓄が尽きてから3日で死ぬ。

そこでまず水道だが、この資料によると、上水道施設の83%で機能停止ないしは機能低下があると予測されている。また浄水場の機能停止による断水が4%あるとのことで、つまりは87%が止まる可能性がある。

備蓄があると答えた人は、あるアンケートによると60%だったそうだ。だが水をどの程度備蓄しているかについては正確な情報がなかった。そこでこの60%の人が平均3日分の水を保存しているとすると、1週間以内に水道か物流が復旧しなければ87%(3200万人)が渇水死する、という計算になる。

給水車があるじゃないかと考える人がいるかもしれないが、首都圏に給水車は250台しかない。15万人に1台だ。これが雀の涙であることは明らかだ。地方から救援が来たとしてもせいぜいこの数倍が限度だろうから、ほとんど状況は改善しない。被災者が多過ぎるのだ。また、そもそも道路が火山灰で覆われているので、末端まで届けることは最初から不可能だ。自衛隊の支援も同様である。

もう一方の物流だが、これは報告書にもはっきり書いていない。鉄道と飛行機は全面ストップだが、自動車の通行がどこまでできるかは曖昧である。一応、乾燥時10cm、降雨時3cm以上の降灰で二輪駆動車が走行不能とある。また30cmで四輪駆動車が走行不能になる。ここではトラックを想定しているので二輪駆動車が該当する。また、タイヤ走行という意味では走行可能でも、実際にはエンジンに火山灰が入り込んで焼付き、数時間でダメになってしまう。現実的にはほとんど動けないと見るべきだ。

ただこれには例外がある。EVだ。EVにはエンジンがないため、降灰の中でも走行可能である。もちろん換気フィルタも火山灰には対応していないので換気なし、中途充電できないので脱出のみとなる。万一往復を想定して途中で頓挫してしまうと、道路を塞いでかえって迷惑だからだ。これは前回の考察からの更新点だ。

停電の予想だが、碍子への降灰の影響は配電線100箇所、送電線35箇所、変電所2箇所だそうだ。変電所は首都圏に1600箇所、配電線と送電線は数えるのが困難なほどだそうなので、意外にも影響は小さい。また火力発電所は、噴火15日後に最大42%の供給力低下が見込まれているが、もちろん発電には他の方法もあるため、総合的に見ると80%程度の発電が可能とのことだ。これは前回の予想よりも大幅に良い。電力さえあれば、例えば自治体備蓄として持っている大型浄水器は稼働可能となる可能性があるし、何よりも明かりが確保できることは治安面からも心理面からも大きなメリットになる。降灰中はどうせ工場などは動かないだろうから、電力は意外にも足りる可能性が高い。

さて再度物流だが、復旧の速度が気になるところだ。資料によれば、10cm程度の降灰にはホイールローダーと散水車を使うとある。だが水は貴重なのでとりあえず無視し、ホイールローダーに注目する。

ホイールローダーは全国に10万台以上あるとされている。首都圏に何台あるかは不明だが、仮に4万台として、どれくらいの速度で火山灰が撤去できるのだろうか。

その前に、ホイールローダーはやはりエンジンを積んでいるので、数時間で焼き付いて動かなくなるのではないか、と考えられる。これを是としてしまうと道路の復旧は全く望めないことになってしまうので、ここではフィルタを十分に用意し頻繁に交換することで稼働可能、と仮定する。(この仮定は大甘である。)

次に火山灰を撤去するに当たってその灰をどうするかなのだが、これは2車線以上ある場合には外側の1車線を通して中央に寄せるのだそうだ。これを前提として、どの程度の速度で復旧できるのか考えてみる。

首都圏の道路の総延長は、24万3千キロメートルだそうだ。これを前提に、生成AIに対して

「10cmの火山灰が降り積もった24万3千キロメートルの道路を4万台のホイールローダーで清掃するとして、また高速道路と幹線道路から始めて徐々に支線に取り掛かるという前提、つまり初期には全台数は稼働できず徐々に稼働台数が増えていくという前提で、灰の除去に何日掛かるかを推定せよ」

と指示してやると、結論としては最低3ヶ月、現実的には半年以上という結論が出た。つまり、少なくとも最初の1ヶ月、物流による水の確保は不可能である。

これらを合わせて考えると、水道が87%能力低下、電力は20%能力低下、物流は100%ダウンの状態が1ヶ月続く、ということになる。水の備蓄の量は、個人と自治体合わせても2週間がせいぜいだろうから、そこから先はバタバタと人が死んでいくことになる。3700万人中3200万人が死ぬ、というとんでもない結論だ。

であれば、早期に脱出するのが正解である。残念ながらこの結論は前回の考察と変わらなかった。東京都の指示は誤っているが、1千万人を数時間で脱出させることなど最初から不可能だからこういう結論になったのだろうと推察する。

脱出方法として考えられるのは、徒歩、自転車、バイク、自動車、電車、船などだ。また前提として、安全な移動距離は100kmを想定する。

まず徒歩だが、1日8時間、時速4kmで進んだとしても32kmなので、100km動くには4日掛かる。4日分の水と食料を持って移動するのはほぼ不可能だ。食料はともかく、4日分の水となると12L、2Lのペットボトル6本入りの箱を丸ごと背負っていくというレベルになるからだ。ここで、火山噴火と同時に脱出したとしても、灰は2〜3時間で降り始めるので、初日で周囲の水道が止まる可能性があり、水を途中で補給しながら歩くというのは厳しいだろう。

自転車は、初動としてはあり得るが、やはり2、3時間で移動できる距離では降灰に追いつかれてしまう。バイクなら可能性はあるが、降灰に追いつかれるとスリップしてまともに走れなくなるので、噴火から即時に動け、かつ運転に自信のある人限定である。

電車は0.1cmの降灰でストップするため、本当に初期の1、2時間程度しか動かないだろう。都市部での電車の平均速度(営業平均速度)は30〜40km毎時であるため、目標の半分しか進めない。もし2時間動くなら何とか、というレベルである。だが、電車が律儀にこの通り動いてくれるとは限らない。噴火と同時に止まるかもしれないし、降灰が確認されたら直ちに止まるかもしれない。その意味では電車を生命線とするのは危険だろう。

自動車の場合、数時間で焼き付いて動けなくなるが、その数時間内に逃げ切るという可能性はある。一方で渋滞に巻き込まれる可能性を考えると、乗り捨てる(エンジンが焼き付くまで走る)覚悟が必要だろう。それでも渇水死よりはマシだ。EVでも充電切れで乗り捨てる覚悟はやはり必要だと思う。

そして、新たな可能性として、水路を提案する。これは川沿い、しかも江戸川に限られるという制約があるのだが、江戸川を日光・宇都宮方面に遡上すれば、おそらく脱出可能である。手漕ぎではなくエンジンであることは必須だが、川なら渋滞がないので降灰前に逃げ切ることができるだろう。時速40kmほどが必要だが、これは一般的なレジャーボートや釣り用のボートでも出せる速度だ。燃料だけがちょっと心配だが、そこはあらかじめ計算しておくのが良いだろう。

ただ、東京湾を出て房総半島を回って太平洋を北上するというルートは取るべきではない。こちらだと走破距離が2〜3倍になり、燃料の準備がおぼつかなくなると思われる。

なお、これらの脱出方法は、噴火と同時という前提である。降灰後籠城して我慢できなくなって脱出する、というシナリオだと、状況は違ってくる。

例えば噴火2週間後、幹線道路と高速道路の灰が一応1車線分除去できたという想定で脱出する場合、まず除去されたと言っても灰は舞っているので自動車は使えない。但しEVなら可能なので、渋滞さえ起こらなければEVで脱出するというのはアリになる。

残りは自転車か徒歩だが、どちらにしても灰は舞っているのでN95マスクとゴーグルは必須である。それで100km移動するのはやはり厳しい。人は水がないと3日で死ぬが、その3日間元気で時速4kmで8時間歩くなんてことはあり得ない。徐々に弱っていくはずだ。せめて2日分、6Lくらいは持ち歩かないと、ゴール前に死んでしまう。だがまあ、この場合は水が尽きて命がけの脱出という覚悟だろうから、マイナスの選択としてはアリだろう。もしかしたら60kmくらいで水にありつけるかもしれないが、もはやそれは時の運である。

さて、脱出のためのEVだが、車高の高い、タイヤもそれなりのものを使うなら、30cmでも何とか走行可能らしい。そんな視点で車を選ぶなら、

https://www.subaru.jp/solterra/

がオススメである。ハマーのような極端なものは別格として、普段も乗り回せる割に車高が高いEVである。ソルテラの航続距離は500kmあるから、フル充電しておけば十分に降灰圏を脱出することは可能であろう。

また、火山の場合は地震と違って1ヶ月前程度には予兆が現れるので、全く予知不可能というわけではない。その時点で車を買う、避難する、備蓄をする、ということは考えられるだろう。

2024年9月16日月曜日

超音波リニアモーターカー


リニアモーターカーで使われているリニアモーターは電磁石によるもので、超音波によるものではない。ではそれを超音波リニアモーターに変えると、どんなことがおきるのだろう。

ここで考えるのは、電車タイプではなく自動車タイプ、つまり軌道ではなく道路を自由に進むタイプの車である。タイヤではなく「脚」を6〜8本程度備える。但しその脚は、タイヤの一部を切り取ったようにカーブが付いている。小石や坂道への対応用である。

この脚にはサスペンションが付いていて、先端の地面と接触する部分が超音波リニアモーターになっている。要するに偏心モーターが高速で回転していて、その回転数をコンピュータ制御するものだ。

このクルマは、端から見ると「立ったまま移動している」ように見える。偏心モーターの回転速度は目に見えるより遥かに速いので、脚が動いているようには見えないからだ。そしてモーターの振動数が超音波なので、人の耳には聞こえない。つまり静かだ。可動部が極小なので、恐らくエネルギー効率は良いだろう。制御さえできれば、その場で回ることも、横に進むこともできる。

そういった特徴から考えると、一人乗りのシティコミューターが適している。それも、自転車やセニアカーを代替し、更にはスクーターやスクートの領域にも進出できるものだ。車椅子代替にもなるだろう。

朝起きて、このクルマに載ったら、そのまま自宅を出て近所に買い物に行ったり、そのまま電車に乗ったりすることすらできる(車椅子代替として認められれば)。風呂は無理だろうが、トイレくらいはイケるだろう(衛生面は除くとして)。

タイヤが回らないので、従来のいかなるクルマよりも可用体積は広くなる。荷物を置いたり足を動かしたりする空間が広がるわけだ。これだけでも検討に値するように思える。

2017年7月14日金曜日

車は諸悪の根源


そういう本があるそうで、少し齧ってみたら面白かった。特にエネルギー消費の観点で見ると、自分が別に試算していた結果と合う点があって興味深い。

エネルギー効率の点から見て、燃料を使うエンジン、つまりガソリンエンジンやディーゼルエンジン、ジェットエンジンなどというのは極めてリーズナブルなものなのだが、同時に大量のエネルギーを消費するものでもある。というのは、人間が生活するにあたって必要な衣食住の殆どは太陽エネルギーの賜物だが、そのエネルギーに比べて「移動」のエネルギーというのは物凄く大きいのである。

成人が一日に必要なエネルギー量をざっと2500kcalとすると、1 cal = 4.184 Jであるので、10.5MJ。一方でガソリンの発熱量は47.3MJ/kgであり、また比重は0.74(kg/L)であるので、リットル当たりで言うとその発熱量は64MJ/L。つまり(単純換算ではあるが)人は一日コップ一杯程度(164ml)のガソリンを飲めば生きていけることになる。そのコップ一杯で、燃費15km/Lの車なら2.5kmしか走れない。これは、人なら歩きで1時間、ジョギングで20分もあれば到達できる距離だ。

車は人と比べて非常に重いから、いくら燃料効率が良くても、人単独の移動に比べて遥かに効率が悪い。つまり、人の移動と共に車も移動するが、車の移動自体には意味がない(目的は人の移動なのだから)、しかも車の方が遥かに重いので、燃料の殆どは車の移動に費やされてしまう。これがその理屈だ。

これは化石燃料の枯渇という視点以外にも、太陽エネルギーの収支、あるいは持続性という点でも大きくマイナスである。つまり人類は、過去に万年単位で蓄積された太陽エネルギーを、新たに得られる分を大幅に凌駕して、百年単位で消費しているわけだ。「このまま後X年で石油が枯渇する」類の問題は、何十年も言われてきたわけであるが、新油田の発見や採掘技術の向上で都度延命され、今更感も出てきている。しかし、こういった視点から見ればやはり有効だ。

太陽エネルギーの収支から考えると分からなくなるので、間接的に二酸化炭素収支で考えるなら、現在の石油消費量は概ね半分にすべきである。それも、代替として他の化石燃料を使ってはならない。このうち、工業生産に使うものはごく僅かで、殆どは燃料として使われている。その二大用途は、移動と発電だ。2012年の世界の石油消費量は42億500万トンだそうだ。つまり、大雑把に年間20億トンの削減が必要ということになる。

移動に関して言うと、この問題の解決方法は三つしかない。①圧倒的に軽い(燃費の良い)車を作る、②(車での)移動を極端に減らす、③石油以外のエネルギーを使う、だ。

①の「圧倒的」は、目安として半分になる。②も概ね半分だ。①②を同時に行うなら、合わせ技でよいので各々のハードルはその分下がる。③は自然エネルギーか原子力だが、これは事実上困難だろう。むしろ発電所をそのように作って車は電気自動車にする、などの方が現実的だ。

例えば②に関し、人口の都市集中というのは考えられることだ。①はコミューターや電車が考えられる。3Dプリンタによる現地生産や、植物工場による現地栽培なども、これに含まれるだろう。だが、便利になればそれだけ贅沢をしてしまうのが人間だから、そう簡単にはいかない。

既存の交通機関で、最も、しかも極端に燃費がよいのは電車だ。乗員当たりで行くと5~10倍の差がある。だが勿論、電車は線路があるからこそ高効率なのだし、乗客数もそこそこ必要であるので、車のような自由度のあるものの代替にはならない。電気自動車ならどうかといってもそんなに変わらない。電車が根本的に自動車と違うのは、エネルギーが架線から供給されるため、大きく重いバッテリーがいらないからだ。

これより、①に関しては一つのアイデアが出てくる。電気自動車の重量の大部分を占めるのはバッテリとモーターだが、道路から電力供給ができればバッテリが要らなくなる。また、自動車のモーターを軽くするためには馬力を少なくすれば良いのだが、このためには急加速をしない、急な坂を上らない、という前提があればよい。つまり、坂が緩く電力の供給が可能な道路があればよい。

これにうってつけの道路がある。高速道路だ。高速道路には規格があり、坂の角度には上限がある。バッテリを減らすことで車重が軽くなれば、同じ加速度でもモーターの出力を減らすことができる。問題は電力供給だけだが、高速道路限定の車にすれば問題ない。つまり、道路の全面に渡って、例えば1kmおきに走行中無線給電ができるエリアを作っておき、その間は専用の車で移動するようにすれば、この問題は解決する。

これを実現するためには、高速道路の入口と出口で車を乗り換える必要があるが、当然入口の車は乗り捨てになり、出口の車はその車とは別になるから、車を個人で持つ場合は使えない。だから、経路の全ての車はレンタルないしはカーシェアになる。それも、ちゃんと遅滞なく繋がる保証がないと乗り辛いだろう。だから社会がそこまで充実して初めて実用になる。

ただ、トラックの場合は運送会社で閉じてやれば同じことができるから、先に物流でインフラ整備を進め、整ったところで一般に開放する、という手段は使えるだろう。

また、①のカーシェアについて、乗り合いバスを併用してやる。入口と出口が同じ人同士が一台の車をシェアすることで、行き交う車の数を減らすことができる。荷物の場合は混載が同じ効果を生む。また、空のトラックが帰ってくるということは避けられないが、その際のエネルギー効率も良いため、エネルギー節約に貢献する。

だが、②をやらないとかえって物流人流が増えてしまうかもしれない。コストが下がるからだ。だから技術的には①をやるにしても、政策的には②を進めるべきだ。これについては以前も議論しているので省略する。

2017年6月4日日曜日

圧電素子応用多翼羽ばたきドローン


羽ばたくロボットの類は既に存在しているが、知る限りでは2翼だ。ハエは4翼だし、ドローンなら数の制限はない。例えば8翼とか、百翼の羽ばたきドローンがあってもよいわけだ。
羽ばたき翼は、機構が回転翼より複雑になると思われがちだ。確かに翼が折れる(か、しなる)必要があるのでそこだけ見れば複雑だが、羽の駆動機構はモーターのような回転ではなく振動が使えるため、軸と軸受けを作る必要がなく、軸の摩擦を考慮した精密設計や油差しなどが不要というメリットもある。当然、軸の素材も、金属ではなくFRPなど安い素材が使える。駆動系には圧電素子を使えるため、薄く細くシンプルにできる。
例えば「木」のように、幹から枝が多数出ていて、その先に葉のような羽がある構造を作っておき、枝の一つ一つに圧電素子を配置して揺れるような構造を作ることができる。枝毎に圧電素子を配置して全てをコンピュータ制御することで、上昇加工回転などが自在にできる。
この機構では、厳密に左右対称などを考慮する必要がない。枝を多数作って振動を調整すればよいからだ。同じ理由により、加工精度も要求されない。移動するに当たって枝を折り畳んでも、広げたときの精度は要求されない。多少折れたり調子の悪い枝があっても、他が補ってくれる。必要に応じて枝を増やすこともできる。
圧電素子はエンジンやモーターに比べて圧倒的に安く、軽い。羽や枝も相当軽く作れる。このためエネルギー効率も高いはずだ。今開発されている、回転翼や固定翼による、人間が乗れるドローンよりも軽く小さいドローンが作れるかもしれない。

2017年5月1日月曜日

スタートレックの時代は来るか


映画「スタートレック」で描かれる23世紀の未来は、貧困が撲滅されていて、貨幣が存在しない。人は皆、自分を高めることを究極の喜びとして生きている。本当にそんなことは可能なのか。
技術が発達することで、衣食住に必要な全てが無償で提供される事態はあり得るか、という問題でもある。これへの答えは「あり得る」だ。だがもちろん無条件と言うわけにはいかない。そして、その根本となるのは、人間が持つ「欲」の抑制である。
その一つは、争いの欲だ。どんなに進んだ文明でも、その文明に相応する破壊兵器は作り得るものだ。だから、考えの違う人たちと仲良くやっていくための抑制がなければ、何れは戦争になって死滅する。また、物欲もその一つだろう。どんなに多くのモノを持っても満たされない人種というのは居るものだし、金儲けにしても、使う目的を明確に持って儲けている人は皆無だろう。儲かること自体が楽しいのだ。他に重要なのは、子供を必要以上に欲しがらないことだ。人口には一定の制限を掛けるべきで、それは地球の資源と技術の進展具合から逆算して求める。
これらの欲を直接抑えるようなことは、対症療法に過ぎない。その根本原因は、精神的な安定(幸福感)である。例えば過度な物欲は、依存症の一種である。もちろん肉体的な病気からくる場合(分泌異常など)もあるだろうが、それには治療で対処すればよい。それ以外の、例えば社会的欲求を満たすことは、薬では難しいし、本質的ではない。
だからと言って、希望する人が希望する職種に全て収まるなどということはあり得ない。誰かが尊敬されるためには、他の多くの人は尊敬する側に廻らなければならないから、全員が尊敬されるなどということもナンセンスだ。人の全ての欲を満たすことは所詮無理だし、その不満が一定の水準を超えれば争いが生まれる。
だが、近未来において、このナンセンスを可能にする技術がある。それがAIだ。以前の投稿
で書いたような社会だ。人同士の付き合いの中にAIが自然な形で紛れ込むことで、人の欲求を適度に消化すると共に、危険な方向に進むことを抑制するものだ。こうすれば、たとえ全人類が誰一人働かずとも生きていける世の中になったとしても、依然として適当に問題は発生し、人が自らの力でそれを解決することで欲求を満たす、といった、精神的なエサまでも与えられる「新・籠の鳥」状態になれる。
これがもっと進むと、人は一人ひとりがホロデッキの中で過ごし、相対する人間が本物かAIかの区別すら付かないような社会が考えられる。自分が籠の鳥であることすら自覚できなくなれば、人は一生幸せに暮らせることだろう。
これでも知的好奇心を満たすための欲求は止まらないから、新たな知見や発明が途絶えることはないし、むしろ促進されるだろう。そのうち本当にワープエンジンが開発されるかも知れない。そうして宇宙に進出できるようになれば、鳥籠も不要になるかもしれない。

2017年3月27日月曜日

シネコンの危機と対抗策


4Kや8Kの登場で映画館が衰退する、というのは、誰もが考える予想だろう。特にハリウッドのシステムは巨万の富を生み出してきたこともあり、その警戒感抵抗感もさることながら、これが現実となった暁にはどんなことになるのだろう、というのも気になる。
かつて音楽がそうであったように、映画を作ることも時代と共に簡単になってきた。映画の場合は、その技術を特殊効果に使うことで延命ができてきたように思う。だが、それももう終わりに近づきつつある。モブシーンや派手な特撮、自然な合成、モーションキャプチャ、物理エンジンによる精密なCGなどは、もうすぐ民間にも降りてくる。
その先には、一本当たりの価格(コストも儲けも)の低下、嗜好の多様化、玉石混交の大量多種生産、という現象が待っている。単館の映画館が減りシネコンが増えてきたのはその前兆とも言えるわけだが、これが更に加速するというわけだ。そうなれば、座席当たりの売上げは減ることになる。映画の危機、シネコンの危機だ。
まず、例えば30人規模の館が20、30と並ぶシネコンが登場する、という未来は考えられる。また、売上げ確保の手段として、従来は飲食に制限があったところ、積極的に売り込む、ということは考えられることだ。例えばデリバリーや飲酒を許す、などだ。それをするためには大きなテーブルが必要だし、映画のように座ってじっと見るだけのコンテンツでは都合が悪い。つまり、コンテンツが映画だけではなくなる、むしろ映画以外が主流になる、ということが想像できる。
例えば、スポーツやコンサート映像の配信がそうだ。また、カラオケルームの発展系として、貸切が主体でコンテンツはオンデマンド、という方向性もあり得る。あるいは体感ゲームやマルチエンディングの映画などが出てくる可能性もある。仲間うちで見るなら、大声を出して声援したり、実際には不可能な「ちょっと止めてトイレに行く」「早送りする、飛ばす」「同じシーンを何回も見る、スローで見る、別アングルで見る」などが可能だから、そこに価値を見出す人たちもいるはずだ。
特に別アングルは興味深い。実際にスポーツ観戦やコンサートに行ったとしても見れない角度、見れない距離から見れるわけだから、むしろ生で見るよりこの方が良い、という人も多いかもしれない。また、コンサートでは困難だろうが、スポーツではライブが可能になる。スポーツチームのファンレストランが試合で盛り上がるのと同じだが、映像が強力で貸切が基本、という少し違ったファンの行動も取れるようになる。例えば同じ試合で相手チームが隣の部屋にいるとして、アングルが各々のひいきのチーム寄り、などということも考えられる。
カラオケからの発展か、シネコンからの転換か、何れにしてもそのような形態のサービスが出てくる日は近いのではないかと思う。

2017年3月10日金曜日

ブタン白金バイナリ発電機


ブタンは比較的低圧で液体になる。これを燃料とバイナリ発電の両方に使う、というのが今回のアイデアである。
ブタンを常温常圧にしてやると蒸発する。これを誘導して白金触媒に充て、空気(酸素)を混ぜて加熱してやると、白金触媒反応により発熱する。ハクキンカイロの原理である。
この熱を、常温加圧の液体ブタンに当ててやると沸騰する(ように圧力を調節する)。この蒸気で発電機を廻した後、空冷で冷却して液体に戻す。これを繰り返す。
この二つは一見関係ないように見えるが、リザーブタンクを共有することができる。発電機構側のブタンは、リザーブタンクまで含めて閉路である必要があるのだが、その理由は加圧しないと液体にならないからだ。ではその加圧の原理とは何かというと、ブタンをその閉路に詰め込むことにある。
幾ら閉路とは言っても全く抜けないわけではなく、時間と共に少しづつ抜けていくので、補充のための機構は必要である。それを燃料タンクと共用できれば、供給するものが一つでよい、というメリットができる。
発電機と言ったが、要はエンジンである。燃焼ではなく沸騰を原理とする、昔ながらの蒸気エンジンだ。白金触媒の原理を使うため、燃焼ほど高温にはならない。ブタン自体は燃焼性ガスだから注意は必要だが、ガソリンエンジンよりは遥かに安全だ。また点火プラグやディーゼル圧縮のようなものもないため、機構は単純で、加工精度も低くてよく、故障も少ないだろう。

2017年3月7日火曜日

CGの時代のVR端末


いわゆる「ゲームエンジン」が発達してきたお陰で、実写と変わりない精密なCGをリアルタイムで作ることが可能になってきている。映画のそれには及ばないにしても、プログラム等で使うにはもう充分な出来だと思う。従来の用途は主にゲームだったが、エンジン化(ライブラリ化、モジュール化)によって、他の分野にも使えるようになってきている。
業務プログラムにゲームのCGなんて使わないよ、と思うなかれ。既に多くの分野で使われている。例えば医療、建築、自動車設計、教育・研究、自動運転、製造業、ライブアート、など等。更には裁判所(証拠資料作成)、旅行業(体験)、不動産業(VR)など。ゲーム以外でも用途は色々あるものだ。
単に書類で閉じる役所仕事なら不要だろうか。そこで考えるのが、OSとしてそれを使うことはあるのか、ということだ。
昔、ウィンドウの次は3D空間だ、ということで、OSに載せる3D-UIが幾つか作られたことがある。まあ、ウィンドウが斜めに見えたり、重なりに奥行きが見えたりというものだったのだが、何れも流行らなかった。その原因は幾つか考えられるが、エンジンが貧弱だったこと、CPUが貧弱だったことは言えるだろう。今なら再度考え直してもよいと思う。
その中でも、デスクトップ(本当の意味での机の上)を模したモデルは再考に値する。机の上に書類箱があり、壁にはカレンダーがあり、・・・というのを模したものだ。VRゴーグルを付けてこの空間に入り、必要ならその空間を移動して情報を探し、テレビ電話を掛けたり、Webページをそこ等辺に浮かべておいて、参照しながら仕事を進める、という形態はあり得ると思う。マイクロソフトのHololensは、空中にウィンドウを幾つも配するUIを作っているが、まあこれもありだろう。競って淘汰されていけばよい。
だが実際のところ、仕事中にVRゴーグルを着けるのはかなり違和感があるので、ノートPCを立体視にするのがよいと思う。テレビで使われる3D技術と同じようなものをノートPCに入れた上で、それを前提としたOSを動かすというわけだ。画角が足りないと思えば、もっと視点を近づけた上で、レンズで焦点距離を補正してやる。例えば顔の前5~10cmまで近づけてやれば、7インチでも充分に広い空間を見られるだろう。そのためのスタンドも用意してやる。
この場合、キーボードやマウスのようなUIは端末に接続できないので、別に用意して無線でつなげてやるか、ジェスチャーやトラッキングパッドのようなものを使うことになるだろう。
遠い先の未来には、違和感がないほど小さいメガネ型のHMDができるのかもしれない。だが現在のところ、そこまで小さくできるかどうかは分からない。どちらが主流になるのか、今から注目している。

2017年1月22日日曜日

白金触媒樹脂ガスタービン


ジェットエンジンとしても知られるガスタービンエンジンは、レシプロエンジンと違って連続的に燃焼するので機構が単純、動きが滑らかになる。だが極めて高速回転・高温になるので、エンジン自体の設計精度が厳しい、材料が限定される、整備の難易度が高い、などでも知られている。これは特性からしてしょうがない現象なのだが、もしこれを燃焼ではなく触媒反応としてやったらどうなるだろう。
最初に給気を断熱圧縮して温度を上げるところまでは同じだ。だがその程度は低く、燃焼温度には至らない。代わりにこの温度で白金触媒に触れさせる。給気の断熱圧縮の温度は、白金の触媒反応には十分な温度である(ように設計する)ため、ここに燃料を噴霧することで酸化・過熱膨張し、エンジンを駆動する。
原理は同じでも圧縮比が異なるため、エンジンは一から設計し直さなければならない。また、通常のガスタービンエンジンの利点欠点とは若干性質が変わってくる。まず回転は遅く、温度は低くなるので、設計精度や整備の難易度は下がる。また排気の温度が低いので、取扱自体も楽になる。
最大の特色は、プラスチックで作れるだろう、ということだ。白金触媒反応が起こる150~350℃付近は、まだエンプラの耐用温度の範囲内だからだ。これは結構画期的に思える。軽く、安く、量産もし易く、壊れたら容易に交換できる。使い捨てにすらできるかもしれない。また、回転子に直接永久磁石を埋め込んでも磁力線を遮らないので、容易に発電機を形成できる。
このガスタービンは、通常よりずっと小さい、例えば手のひらサイズとかもっと小さいもので、回転速度の制御は基本的に行わない。バッテリを充電するだけだ。使い捨て前提なら燃料を選ばず、構造も単純なので、防災グッズとして向いている。燃料やバッテリは経年劣化するが、エンジン自体は原理的に劣化しないので、長期保管も可能だ。
問題は効率で、温度比が下がるので恐らく下がるものと思うが、それがどの程度になるのかはプロの計算が必要だ。目的が目的だけに低くても良いが、燃料電池やレシプロエンジン等より大幅に低ければ意味が薄れる。

2016年10月3日月曜日

樹脂エンジン


フッ素樹脂等のように、耐熱性があり摩擦係数が低い樹脂を使って、低温の温熱源で動くエンジンを夢想する。

50~200℃位の熱は、活用できずに捨てられることが多い。だが数(量)は力で、安価な活用方法があれば使い出はあるはずだ。

熱電対はそのひとつの方法だが、ここではエンジンを提案する。

廃熱を直接使うには、スターリングエンジンが有望だが、ロータリー熱エンジンというのも見つけた。これらをフッ素樹脂で作る。

別に金属でも良いのでは、と思わなくもないが、樹脂で作ることには意味がある。

通常のエンジンは、回転エネルギーを取り出すため、回転軸が露出している。だがエンジンを樹脂で作れれば、回転子に磁石を埋め込んで外にコイルを配することで、密閉したまま電気エネルギーを取り出せるのだ。

磁石は高温で性能が低下するし、樹脂は溶けてしまう。低温熱源を使うこその機能だ。

排熱利用が前提なら、極端にエンジン性能を極める必要もないし、そうであればシンプルな構造で安く作れる。工場でなくとも、非常時のバッテリー充電などを目的にチューニングしてはどうだろうか。

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日本の石油需給・財政・産業構造への影響分析(2026年8月版)

ナフサの現状 から2ヶ月強、AIをClaudeに変えて、改めて分析したレポートをお知らせする。 ---------   2026年ホルムズ海峡危機   日本の石油需給・財政・産業構造への影響分析   作成日:2026年8月9日   分析対象期間:2026年2月〜2027年以降(予...

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