2025年6月13日金曜日

外国人犯罪者を取り締まれ

 


度々著名人が不用意に発言しては炎上するこの問題だが、それが正しいのか(真っ当な主張なのか)。またそれ以前の問題として、そもそも外国人犯罪者は本当に多いのか。今回はこれを調べてみた。これも生成AIを使ったのだが、なかなか面白い結果が出た。

まず単純に犯罪率を比較してみると、

  • 外国人の犯罪率:0.330%
  • 日本人の犯罪率:0.140%

と、2.4倍の開きが出ることが分かった。やっぱそうじゃん、と思いがちだが、この後分析してみると実はそうでもないことが分かったので順に解説する。またこの時点で見ても、その絶対値は小さく、大した差ではないであるとも言える。

次に年齢層別で比較してみた。

年齢層 日本人犯罪率(%) 外国人犯罪率(%)
20~29歳 約0.20 約0.30
30~39歳 約0.17 約0.25
40~49歳 約0.12 約0.12
50~59歳 約0.07 約0.06
60歳以上 約0.03 約0.02

こう見てみると、20~30代では差が出るが、それ以外の年齢層では大差がない、と言える。そしてその20~30代で犯罪率が高い理由だが、これは直ぐには答えが出ずしつこく生成AIに詰めていったのだが、結果としてはその年齢層における貧困の度合いが日本人より高いということだった。

そうなると、根本は外国人差別である(から年収が少ない)、という可能性も出てくる。これを聞いてみると、

  • 労働政策研究・研修機構や内閣府の分析では、年齢・学歴・勤続年数・雇用形態・職種・企業規模などの個人属性・企業属性を統計的にコントロールした上で、日本人労働者と外国人労働者の賃金格差を推計しています。
  • その結果、属性をコントロールしてもなお7~10%程度の賃金格差が残ることが明らかになっています。
  • (中略)
  • しかし、この残余格差のうち「差別」による部分を厳密に数値化することは、現時点の日本の統計・研究ではできません。
  • よって、「外国人差別の結果である」と断定的に定量評価することはできませんが、差別的要素が一定程度含まれていることは定量的に示唆されています

ということだった。

また、年齢層ではなく国籍によって分析してみると、

年齢層 日本人(%) 中国(%) ベトナム(%) フィリピン(%) ブラジル(%)
20~29歳 0.20 0.35 0.45 0.22 0.18
30~39歳 0.17 0.28 0.37 0.19 0.15
40~49歳 0.12 0.14 0.15 0.10 0.09
50歳以上 0.05 0.05 0.05 0.03 0.03
  • 20~30代では、ベトナム・中国国籍の犯罪率が日本人より高い傾向が明確です。特にベトナム国籍は突出しています。
  • フィリピンやブラジルは日本人と同等かやや低い水準です。
  • 40代以降は、日本人と外国人の犯罪率の差は縮小し、50歳以上ではほぼ同水準となります。
  • いずれの国籍でも、年齢が上がるにつれて犯罪率は低下します。

となった。そこで、これにさらに所得を掛け合わせることを試みた。以下は年齢層と所得(単位:万円/年)のリストである。

年齢層 日本人 中国人 ベトナム人 フィリピン人 ブラジル人
20~29歳 330 260 200 210 220
30~39歳 450 320 240 260 270
40~49歳 510 350 260 290 300
50歳以上 570 370 280 310 320

こう見ると、外国人は押しなべて日本人より年収が低いものの、中国人とベトナム人が特に低いということはないことが分かる。つまり、中国人とベトナム人は、他国に比べて年収の低さが犯罪に結びつく可能性が高い、と分析できる。ただこれは、生成AIに

  • 「年収が特に低いわけではないのに犯罪率が高い」という事実は、年収以外の要因が犯罪率に大きく影響していることを示唆する根拠にはなります。
  • しかし、それが「両国の特性」や「人種的傾向」を示す根拠とはなりません。犯罪率の差異は、主に社会的・制度的要因の複合的な影響によるものと考えられます。

というふうに諫められた。単純に国(ないしは民族)の特性と決めつけるのは早計だ、ということだ。では他に何が考えられるか、その寄与率は、と聞いてみると、

主な社会的・制度的要因

  • 来日前の借金・斡旋料負担
  • 在留資格の制約・技能実習・留学制度の問題
  • 低賃金・天引き・不安定雇用
  • 社会的孤立・情報弱者性
  • 組織的犯罪への巻き込まれ
  • 不法滞在・在留資格喪失

寄与率(推定)

現時点の公的統計や学術研究では、各要因の寄与率を厳密に数値化したデータは存在しません。ただし、以下のような傾向が示唆されています。

  • ベトナム人の犯罪のうち、留学生・技能実習生が約64%(留学生41%、技能実習生23%)を占めており、この層が経済的困難・在留資格制約・借金返済負担など複数要因の影響を強く受けている。
  • 窃盗など経済的動機による犯罪が大半(ベトナム人の万引きが全体の40%、中国人も窃盗比率が高い)。
  • 経済的困難・借金返済・在留資格の制約が、全体の犯罪の過半数(50~70%程度)に直接的な影響を与えていると推定されます。

まとめ

  • 主な社会的・制度的要因は「来日前の借金」「在留資格・制度の制約」「低賃金・搾取」「社会的孤立」「組織的犯罪への巻き込まれ」「不法滞在」などです。
  • これらの要因が複合的に作用し、特に経済的困難・制度的制約が犯罪率上昇に大きく寄与していると考えられます。
  • 寄与率の正確な数値はありませんが、犯罪統計の属性分布から、経済的・制度的要因が全体の50~70%程度を占める可能性が高いと推定されます。

となった。このうち、渡航前の借金などは経済的要因であり、年収の問題とも相関する。そこで中国ベトナムが特に渡航前の借金や斡旋料が高いという事実は確認できるか聞いてみると、

まとめ

  • ベトナム・中国は他国と比べても技能実習生の渡航前の借金・斡旋料が突出して高いことが、法務省や学術研究の調査で明確に示されています。
  • この高額な初期費用・借金負担が、来日後の経済的困難や失踪、犯罪リスクの増大に直結していると分析されています。

ということなので、結局は経済的要因という線が濃厚になってきた。つまり人は、年齢層に応じた貧困への許容度があって、それが度を超えると犯罪を犯すようになる。そしてその割合は国籍に関わらず、(恐らく住んでいる国における相対的な)貧困度に相関する、ということだ。

今回炎上したのは、林原めぐみ氏の「不良外国人をちゃんと取り締まれ」発言だった。

https://hayabusa9.5ch.net/test/read.cgi/news/1749447038/

これに対して「炎上する意味が分からない」(肯定)とか「ヘイトだ」(否定)とか言っている人はいるのだが、そのどちらにおいても、ほとんど脊髄反射的な言動を取っていて、上のような定量的評価をしていない人ばかりであることは注目すべきだ。要するにどちらも、冷静な議論ができていないのだ。

また、例えばベトナム人や中国人の渡航許可を審査する際、こういった斡旋ブローカーの関与や現状での借金額を調べることによって、その犯罪率を劇的に下げることは可能かもしれない。(人間の本質的な)犯罪率が国によって劇的には違わないのだと分かれば、排除ではなくむしろ援助の方が、結果的には外国人犯罪率を低減させることにつながる、というのは、十分に検討に値することだと考える。

なお、林原氏の発言は川口市のクルド人を念頭に置いていると推定されるが、ここまでの分析でクルド人は登場しない。そこで改めてクルド人について聞いてみると、

結論(定量的評価)

  • 犯罪率:埼玉県内のトルコ国籍者(クルド人)は、日本人の約30倍の犯罪率との推計がある。ただし、公式な全国統計や精緻な属性別データはない。
  • 年齢層別・年収別:クルド人について日本人との年齢層別・年収別犯罪率の比較が可能な公的データは現時点で存在しません。
  • 全体的傾向:クルド人は若年層が多く、経済的困難・就労資格の不安定さが犯罪リスクに影響していると考えられますが、定量的な比較は不可能です。

ということだった。なお、最初の「30倍」だが、その根拠はクルド人ヘイトのサイトからの引用であるため、信頼性は低い。それを指摘すると、生成AIは素直にそれを認めた。

この時に、公的データにクルド人統計がない理由として「クルド人という括りがないため」という回答が出たため、クルド人ではなくトルコ人で聞いてみると、また面白い結果が出た。

公的データによる比較

  • 川口市の「発生刑法犯検挙状況」では、日本人の人口当たり犯罪率は0.20%、トルコ国籍者は1.52%(2023年時点)とされています。
    • 1.52% ÷ 0.20% = 7.6倍
  • 仮放免者など住民登録外のクルド人を加えた場合でも、1.05%程度となり、依然として日本人の5倍以上です。
  • 別の年や統計でも、トルコ国籍者の検挙人員44人/在留者1,149人=3.8%という値が出ており、これを日本人の全国平均(0.15~0.20%)と比べても20倍近い差となります。

となった。但し、川口市という狭い地域でのことであるため、そもそも母数が少なく、統計的には誤差が大きいというところは割り引く必要がある。また、クルド人ではないトルコ人もいるし、トルコ人ではないクルド人もいるのだが、地域によってこの比率は大きく変わるらしいので、クルド人としての統計が取れない、ないしは誤差が大きくて使えない、ということは変わらず、要するに「データ不足」である。ただ上の場合(中国人やベトナム人)と違って言いがかりに近いとは言えず、それなりに注目すべき数字は出ていると言える。なお、ここでも所得や年齢層での分析を試みたが、データがないということでこれ以上分析できなかった。

今回の分析はここまでである。面白かったのは、結論が二転三転するところだ。ある結論が出たとき、それをそのまま鷲掴みするのか、更に疑問をもって分析をするのかによって、全く逆の結論が出てくる。今回の場合は、ヘイトが犯罪を生み、それがヘイトにつながる、というマッチポンプ的な結果すら出た。一方で確定しないながら怪しい結論も出たのだが、これも細かく調べないと分からないことだった。確定していないこの段階でヘイトにつなげるのは時期尚早であるということも分かる。

ここまでの分析は、無料の生成AI(Perprexity AI)を使って一時間も掛けないで完了した。つまり、この程度の分析は誰にでも可能だ。だから、こういう分析がどんどん出てきて、量的根拠をもった冷静な議論が活性化することを望む。もっと言うと、これだけ簡単にできることすら調査せずにしたり顔で話すコメンテーターや評論家、インフルエンサーやYoutuberは要らないので、早々に世論から退場して頂きたい。

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