2025年10月20日月曜日

ベジファーストと三角食べ


 書籍「糖質疲労」「脂質起動」がベストセラーになっているらしいというので、少し読んでみた。そこに書いてあったことでいくつか気になったことがあったので、これをネタに生成AIをイジメてみようと思い、会話してみた。

その疑問とは、いわゆるベジファーストへの反論である。

まずベジファーストとは何かをおさらいしておくと、食事をするとき、野菜を先に食べる、というものだ。だが実際には野菜、肉魚、最後にご飯・パンを食べるというものなので、カーボラスト、つまり糖質炭水化物を最後に食べることも定義に含んでいる。

これに対しこれらの本では、ベジファーストが重要なのではなくカーボラストが重要なのだ、という主張をしている。つまりカーボラストであればミートファーストでも良い、というわけだ。

生成AIでベジファーストの効能について聞いてみると、その目的は血糖値の急上昇を抑えることらしい。そうすることによってインスリン分泌を穏やかにし、脂肪蓄積の抑制や糖尿病リスクの軽減が期待できるとのこと。

だが実際、食事において野菜を先に食べご飯を最後に食べたとしても、その時間差はせいぜい5分10分といった程度だろう。胃の滞留時間が2~4時間だそうだから、何を先に食べても大した違いにはならないのではないか。

そう聞いてみたところ、生成AIはあっさり非を認めた。いくつかの実験において、食後血糖値上昇が有意に抑制された例はあったものの、「主食を先に食べた場合との比較」であったり「野菜を食べた後10分間を開ける」といった非現実的な設定であった。いわゆる三角食べ(主食、副食(おかず)、汁)をまんべんなく食べる方法と比較してどうなのか、と調べてもらったところ、そこを厳密に測った研究はないとのことだった。

極めつけは、2024年の糖尿病診療ガイドラインからはベジファーストの記述が削除されていた、ということが分かったことだ。これでベジファーストは息の根を止められた。

では本の主張するカーボラストはどうかというと、「3パターンの食べ方(パン→野菜・肉、野菜・肉→パン、サンドイッチ)で血糖値を比較」という実験において、カーボファーストに対してはもちろんだがサンドイッチに対しても有意な結果が得られている。

新常識:ベジファーストより、カーボラスト|血糖値コントロールの8ルール ④

だがこれも、前述の胃の滞留時間の理論と矛盾する。そこでよく読んでみると、肉野菜とパンの間では10分休憩する、という方法が取られていた。そう考えると、通常の食べ方では大差ないと考えるのが妥当だろう。

ここにたどり着くまでの間、生成AIは散々根拠のない反論を繰り返してきた。だが「実験的に確かめられたのか」「定量的に示せ」といった(いわば当たり前の)質問を繰り返すだけで、生成AIは自滅してくれた。やはり生成AIの使い方にはまだしばらく注意が必要だ。

つまり、結論からするとベジファーストもカーボラストも大した効果は期待できないので、気にせず好きな順で食べてよい。ただしカーボファーストだけはダメだ。というのも、カーボファーストにしてしまうと最短20分で胃から排出され始める可能性があり、先ほどの胃の滞留理論が通じないからだ。

さて、では食事順序以外に有用な方法があるのかというと、実は先ほどの糖尿病診療ガイドラインではプレート法というのが提案されているらしい。食事の量を野菜が半分、肉魚が四分の一、ご飯が四分の一にする、というもの。まあ糖質制限食の一種だが、野菜がだいぶ多い。これは確かに効果があるだろうが、辛い方法でもある。

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