2017年9月20日水曜日
骨梁構造人工木
骨梁とは、骨の内部に存在する網の目ないしはスポンジのような構造のことだ。この構造によって、骨は頑丈なのに軽量でいられる。類似の構造としてはアルミ発泡材があるが、あれはどちらかと言えば消音や軽量化が目的であり、骨のような(建築用語で言うところの)構造材としての用途とは少し違う。
従来の鉄骨構造では、H鋼かパイプ、ないしは角型鋼管などが使われてきた。骨梁と類似の構造は今まで無かった。あえて言うならトラス構造がこれの超簡略化したものと言えなくもない。なぜ無かったのかと言えば、作れなかったからだ。充填剤として発泡ウレタンなどを入れることはできたとしても、それでは構造材の役目は果たせないから強度は変わらなかった。
しかし、今の技術なら可能だ。3Dプリンタがそれだ。鋼管と(ほぼ)同じ材質で骨梁を作ることができれば、それを角型・丸型鋼管で覆うことによって、従来の何倍もの強度を実現できるはずだ。
また、鉄に限らず樹脂や人工木でこれを行えば、もっと面白いことが起こる。というのは、骨梁をそのまま真似るのではなく、独立気泡のように成形することができる。これは断熱の効果もあるのだ。(鉄は素材自体が低断熱なのでやってもあまり意味がない) 鉄骨構造やRC造は丈夫だが、断熱性が悪い。木造はその逆だ。そこに骨梁人工木が乱入する。丈夫で断熱性の良い構造材の誕生、というわけだ。
骨梁構造によって断熱性能が木材の3倍程度になれば、充分にグラスウールに匹敵するので、断熱材なしで柱・壁を作ることができる。同じ素材で吹き込み式の断熱材を作ることも、充填剤や補修剤を作ることも可能だ。すると、完全単一素材の家を作ることが可能ではないか。
これには様々なメリットがある。例えば気密性の確保や補修に、木工パテが使える。透湿シートや断熱材などと壁床を何重にも加工する必要がなく、一発で作れる。窓枠、システムキッチン、ドア、家具類までも同じ素材で作ることができる。これにより、解体でのリサイクルが簡単にできる。建築用・加工用の道具類もシンプルになる。壁に直接塗装することも、モノを接着することも簡単だ。穴を空けたり溝を掘ったりして、電気やガスの配線配管を埋め込むことも、後付けでできる。
もちろん外壁材としては強度不足だろうから、塗装やシート加工、屋根には別素材(瓦など)が必要になるかもしれない。それでもこのメリットは色褪せない。ぜひ検討して欲しいものだ。
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