2020年1月3日金曜日

地球温暖化と宇宙冷蔵庫


宇宙は真空なので、温度の伝達は伝導・対流・放射のうち放射しか効いてこない。太陽光が当たらない空間を作ってやれば、放射し続けるしかないので、物体の温度は下がる一方であり、終いには絶対零度に限りなく近づいていく。宇宙冷蔵庫のごく簡単な原理だ。

宇宙冷蔵庫を擁した巨大な人工衛星を考える。これは単純に、常に宇宙の暗い方向を向いている深いパラボラの中心に閉鎖空間を作るだけだ。パラボラの内側は鏡面加工をしておき、外側は太陽電池を貼っておく。

ここから、少しだけ空気がある成層圏にまで下ろす、長いパイプがある構造を考えてみる。人工衛星は向きを常に変えるので、パイプとの接続は難しいところがあるが、まあここはとりあえず置いておく。

宇宙冷蔵庫には、最初にごく薄い空気を入れておく。すると、そこが放射の原理で徐々に冷えていき、その空気は液体化する。するとその中の気圧は下がり、パイプの先から空気を吸い込む。その空気はまた冷えて液体になり、… ということを繰り返すと、放っておいても宇宙冷蔵庫にはどんどん液体空気が溜まっていくことになる。

二酸化炭素は-78.5℃でドライアイスになり、酸素は-183℃で液化する。窒素は-195.8℃だ。だから、宇宙冷蔵庫では最初にドライアイスができる。これを分離して恒久的保管庫に移したら、残りの液体酸素や液体窒素は別のパイプで強制的に成層圏に落としてしまう。これを繰り返すと、殆ど動力を使わずに、二酸化炭素を回収することができる。

まあ、量的な面とデブリのことを考えれば、非現実的な提案ではあるのだけれども、こんなことまで真剣に考えなければならない時代というのは本当に来るのかもしれない。

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