2016年10月6日木曜日

バイオスフィア3



The Glass Dome Of The Conservatory In Syon House Gardens by Maxwell Hamilton via Attribution Engine. Licensed under CC BY.
アメリカにはバイオスフィア2という施設がある。日本にも、閉鎖型生態系実験施設という類似の施設がある。これに次ぐ新しい施設「バイオスフィア3」を考えてみた。

その目的は当初のものとも日本のものとも違う。地球環境に人間が与える影響を定量化すること、またそのバランスを人工的に取ることが可能かどうかを実証実験するものだ。簡単に言えば、人間が地球に何人住めるかを測定するものだ。

人間が一人生きていくためには、水も食料も必要だが、他にも家を建てるのに木を使ったり、料理することで薪と酸素を消費したりする。娯楽や服飾にも、各々地球環境を消費する。だが地球が充分に大きければ、一部は自然に帰り、また自然が再生産してくれる。一方通行でどうしようもないもの(放射性廃棄物など)もあり得るが、ごく少量であれば問題ない。しかし人口が増え、地球の人口密度が高くなってくると、何れは自然の再生産限界を超える。

少なくとも一部については、もうそれを超えているのではないかと思う。地球温暖化については色々な試算があるが、それだけでなく、もっと総合的な視点が必要と思うわけだ。また、バイオスフィア2では宇宙船が念頭にあった訳だが、こちらは地球が念頭にある。だからコンクリートや金属などのリサイクルも配慮に入れる。

このため、バイオスフィア2レベルの広さでは不足だ。そこでとりあえず、半径1km、中央部の最大高さ200mの扁平ドームを考える。ドームは半透過太陽電池を備え、内部で使うエネルギーは原則としてこれで賄う。

また、最初から閉鎖環境にすることはしない。空気含め、モノや人の出入は許可する。但しそれは全て計測するようにする。いきなり100点を目指すのではなく、知見の蓄積と共に徐々に閉鎖率を高めていけばよい。例えば換気を二酸化炭素濃度の観点で評価して、給気と換気で濃度が同じになったら、二酸化炭素発生は内部で相殺されているとみなせるようになる。

バイオスフィア2の頃からの技術進歩を反映して、食料確保の手段として植物工場を取り込み、また広さを生かして畜産も試みる。他、水の浄化槽による浄化と再利用、中で使う素材・道具・部品の製造・再利用(3R工場)、植物プラスチックや植物油脂の製造工場、綿花栽培、製糸工場なども盛り込む。一方で、環境を調節するだけのために、草原を作ったり、コンポストを作ったりすることも考えられるだろう。

情報通信は制限しない。初期においては半導体や機能部品は作れないから、ここは最初の方針に従い妥協する。観光も受け入れる。もちろん人間以外の動物が多数居ても構わない。

月世界で一人が1日生きるのに何億円、などといった資産もあったようだが、ここで何人生活できるか、幾ら掛かるは不明だ。だが、バイオスフィア2のように数人では廻らないのは確かだ。様々な種類の専門家が必要になるから、50人、100人、といったレベルになるはずだ。物資バランスを取るためにはどんな技術者が何人必要、作るべき食料は一人当たりどの程度でそのエネルギー消費は云々、などといった公式が出せれば、このプロジェクトは成功となる。

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