2017年5月26日金曜日

中国語の部屋


チューリングテストに対する反論とも言える思考実験だ。両者の概要はここでは省略する。Wikipediaにおける中国語の部屋への反論とは別に、自分も反論を持っている。ここではそれを紹介する。
以前の投稿で、「輪廻転生の科学的解釈」というのがあった。生命の正体は単なる複雑な物理/化学構造であり、魂の正体は情報である、というのがその概要だ。意識や知性といったものも、その延長にある。つまり、中身がどうであれ、外から見て知性に見えればそれは知性だ。本当の知性に対する偽の知性などというものは存在しないし、明確な線引きもない。中国語の部屋は知性である一方、人間の脳内の動きは中国語の部屋と同じである。
人間にも知性の高い低いはあるし、病気や先天性疾患などで知性の低い人は、猿やイルカよりも知性が低くなる可能性は十分にある。その知性の差は、多くの人が思っているほど開いていないかもしれない。更に言うなら、コンピュータの知性は人間や他の動物の知性と定量的に比較しうるものであり、人間を圧倒的に超える可能性すら秘めている。チェスで勝てないばかりでなく、知性や教養でも人は機械に負ける運命にあるのだ。
微生物から人間、コンピュータ、神に至る知性の程度の差は連続的であり、途切れも線引きもない。必要以上に人間を尊厳視することは、他の生命への蔑視につながるし、今後のコンピュータの飛躍的な発展を正しく理解できなくなる原因になる。何れも好ましいものではなく、止めるべきである。

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