2017年9月1日金曜日
非焼成セラミックス
http://techon.nikkeibp.co.jp/real/project/025.html
水と混ぜるだけでできるセラミックスで、圧縮強度、曲げ強度、引っ張り強度、接着強度、耐食性、とあらゆる面で優れているのだそうだ。また、混ぜ物ができるので、その特性をさらに変化させることもできるらしい。塗料としても使えるようだ。これは夢想の材料としてうってつけだ。
考え方の方向性としては、大きくは四つある。一つは、焼成が必要なセラミックスは、高温に耐えられない他の部品や冶具とは別に成形する必要があったのだが、水と混ぜるだけならその制約が無くなる。つまり、他の材料と密接に結合した部品が作れることになる。
代表的には、鉄筋セラミックスが考えられる。このセラミックスにアルカリ剤を混ぜ合わせて、通常の鉄筋コンクリートと同じように型枠に流して形成する。アルカリを混ぜるのは、鉄筋の錆びを抑えるためだ。曲げ強度や引っ張り強度に優れるのなら、割れることなく、永遠に鉄骨を隙間なく覆うことができるので、建物の寿命を飛躍的に向上させることが期待できる。
もし全部をセラミックスで作るのが困難(高額など)なのであれば、鉄筋廻りのみをこれにして、後はコンクリートにするのもよい。中性化の影響を鉄筋周りで防ぐことができれば、類似の効果は期待できる。配筋の後、スプレーしてやればよい。
また、セラミックスの内部に導線や磁石を埋め込むことで、露出部分がセラミックスだけのモーターなどを作ることが可能になる。腐食性の液体・気体を扱うポンプやエンジン、発電機などが作れる。
コンピュータの基板は部品で凸凹しているが、ここにセラミックスを流し込んで埋めると、回路の保護と放熱(セラミックスは熱伝導性がよいことが多い)が効率よくできる。ファンレスコンピュータ、水冷・油冷コンピュータなどに道が開ける。もっとミクロなことを言うと、半導体自体のパッケージングでもこれが使える。すると高温に耐え、耐衝撃性能の高い半導体を作れる。これは宇宙、原発、深海、火山、地中、兵器などでの使用に向く。
二つ目は、塗料として使えるのであれば、様々な(耐熱性の無い)ものに塗ることで、セラミックスの持つ耐久性や高強度などの恩恵を受けることができる、というもの。例えば、自動車・船・海運コンテナなどの外壁材(塗料)として使えるのであれば、これらの錆びを抑え、長期使用に耐えられるようになるのではないか。同じくアルカリ剤を混ぜておけば、多少錆び付いたコンテナでもリユースに耐えられるかもしれない。
この応用として、従来はまるまる陶磁器として作られてきたものを、表面だけを塗装によるセラミックスにして、基材を別のものにするというものが考えられる。例えばトイレや洗面台をプラスチックなど軽い素材で作り、表面だけ塗装する。同じ原理で、食器や壷、琺瑯、屋根瓦などを軽く、大量生産可能なように作ることが考えられる。
防水が必要な用途では有効性は高い。風呂釜やユニットバスの表面をセラミックスにできるなら、ガシガシたわしで擦っても塩素剤を撒いても耐えられるだろう。パッキンもこれにしてしまえば(四番目の利点)、塩素や強アルカリ洗剤を心置きなく使えるし、それこそガスバーナーであぶってカビを殺すことも可能だ。
屋根材としても有効だ。トタンにこれを塗るだけ、あるいは合板にこれを塗るだけで屋根の防水をする、ということも考えられる。
高温に耐える、耐腐食性、耐ガス性能などを期待して、内側が全てセラミックスのエンジンを作ったり、配管の内側にこれを塗ったりすることも考えられる。また、高熱になる機器、代表的にはコンロやコンロ台に表裏くまなく塗ってやれば、ベースが木や紙であっても燃え広がらない。
三つ目は、3Dプリンタでの成形が可能になることで、極端に細かい、工作精度の高い、あるいは型抜きではできない複雑な形状のものが可能になることだ。ボルトナット、時計の歯車、歯の詰め物、宝石の台座、文房具などはどうか。水槽のフィルタは半永久的に持ちそうだ。詰まったら塩素に浸せば元通りになる。小さなものであっても電気機器のケースをこれで作ると、発煙発火の危険性が減る。コンセント、ローゼット、分電板、ブレーカーなどだ。
四つ目は、シーラントないしはパテとして使うことが可能になることだ。柔軟剤を混ぜれば用途も広がる。例えば窓枠の固定や、外壁材としてのセラミックスの隙間を埋めるパテとして使用する。シリコンシーラントはカビに侵されやすいが、セラミックスなら耐久性は高いだろう。
何れにしても、オリジナルのセラミックスの組成や各種数値を見ないで発想しているので、どれだけ実現できるのかは分からない。だが、将来的にはこれらの多くが可能になることを期待している。
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