2016年10月17日月曜日

太陽熱浄水器


ディーン・ケーメン氏が発明した浄水器「スリングショット」の原理は、いわゆる蒸留である。つまり水を沸騰させて水蒸気にした後、冷やして水に戻す。汚水と蒸留水の間で熱交換を行うことで効率を上げている。

日本では、防災用の浄水器としては中空糸膜や逆浸透膜が殆どだ。これと蒸留式には根本的な違いがある。日本式だと膜には寿命があり、また水の汚れのレベルが高いほど早く寿命が来る。メンテナンスは基本的に膜を交換するしかない。また、前処理や後処理など、多数のフィルタが必要で、各々の寿命は異なるから、何個も交換用膜を準備しておかなければならない。一方で蒸留式は、原則としてメンテナンスは不要であり、必要としても蒸留層の掃除くらいだ。水も選ばない。泥水でも海水でも大丈夫とのことだ。

なぜ蒸留式が日本でも普及しないのか、不思議に思う。原理的にも機構的にも簡単だし、価格も抑えられるはずだ。だが更に考えてみて分かったのは、消費電力が違うのではないか、ということ。

膜式は、高圧と言えど使うのはポンプの電力だけだが、蒸留式なら当然沸騰させる必要がある。熱交換で効率を上げるとは言っても、圧倒的に電力を食うのではないか。スリングショットの定格消費電力は分からなかったが、同時に開発された発電機は1kWなので、それと同程度(数百Wの上の方)なのだと想像する。

もしその程度ならコンセントで充分にまかなえるのだが、1日中数百ワットで運転し続けるのは確かに大変な電気代である。逆に言えば、熱の問題さえ解決すれば常用(非常用でなく普段使い)でも使用可能なのではないか。

そこで考えるのが、太陽熱の利用である。方法としてはトラフ式太陽炉を使う。これなら一軒家の屋根に載せることは可能だろうし、熱容量的にも充分だろう。元々太陽熱発電用の装置であり、それには蒸気を使うので、一石二鳥である。つまり、まず発電に使い、それを冷やして浄水にすればよい。

さて、浄水をするためには元となる汚水が必要だが、日本では川の水にしても地下水にしても、勝手に使用することはできない。このため、浄化槽からの水と雨水がその候補になる。だが、計算してみると、雨水だけでは全然足りないので、どうしても浄化槽の水を再利用しなければならない。これを飲み水にするのには心理的抵抗があるはずだ。

そこで、便器にはコンポストトイレ(バイオトイレ)などを使い、浄水器に通す水からは分離する。風呂、流し台からの水だけにするのだ。これでも抵抗があるだろうが、蒸留式の後に逆浸透膜をかませることもできる。また普段は雨水だけにしておき、非常時(上水が止まった時)のみ使う、ということも考えられる。
 
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