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のようなことを考えてみたが、また別の視点から労働生産性について考えてみた。
日本の労働生産性はOECDの中でも低位にある。何が労働生産性向上の足を引っ張っているかといろいろ考えてみると、例えばIT化の遅れや既得権益などと候補は山ほど出てくるのだが、そういうものを羅列してひっくるめて抽象化して、と試みた結果、最終的に出てきた答えはこうだ。
過剰な安定志向
つまり、雇用の安定を求める余り、それ以外のもの(多くの場合は新たなチャレンジの機会)を逸し、成長や効率向上にストップが掛かっている、というものである。この例を挙げてみると、
- 正規社員の解雇に対する条件が異常に厳しい
- これにより正規雇用の人数を控えて非正規社員を多くする
- 余剰人員の仕事を作るためにわざと仕事を非効率にする
- 中間管理職を多く作って合議制にするなど無駄な会議を多く行う
- 飼い殺しの費用が新規投資の費用を食い潰す
- 儲かっている時に設備投資ではなく内部留保にカネが向きがち
- 多層下請構造を構成し中間マージンが過剰になる
- 新規採用の正社員の求人が異常に少ないため解雇を極端に恐れる
- 組合員が雇用の安定を重視するため、労働組合が賃上げ交渉に消極的になる
- 雇用保険が労使折半(海外では全額雇用側のところも多い)
- サービス残業、ブラック企業がはびこる原因になっている
- 電子化、ICT化、業務再編などの遅れ
- 取引相手の顔色を伺い過ぎてお見合いになる
- (短期的な)費用対効果を過剰に気にして導入に躊躇する
- 日頃の業務手順が変わるのを嫌い、全体最適化に反対する
- 既得権益の見直しに消極的
- むしろ参入障壁を作って安泰にしたがる
- 土地の所有権や賃貸住宅の居住権が強すぎる
- いつまでも見直されないパチンコの例外
- 中小企業に対する手厚すぎる保護
- ゾンビ企業(3年以上利益を出していない)の割合が多い
- 会社が倒産しそうになると国や銀行がすぐ助けてくれる
- それでいて経営アドバイスはしない(金銭補助だけ)
- 企業の負債はオーナーの無限責任という場合が多く、倒産したら即地獄(だから倒産を恐れる)
- 再雇用の道が閉ざされている
- リカレント教育が弱い
- 正社員市場が狭い
- 契約社員から正社員への雇用義務(5年)がかえって正社員採用を阻んでいる(4年で切る)
- 同一労働同一賃金(むしろ契約社員の方が高い)が徹底されていない
- 小規模自治体への過剰な保護
- まだ1700もの自治体がある そのうち3割は人口1万以下 殆どの自治体が赤字
- 地方交付税交付金(16兆円前後)
- 2、3年で次々に代わる管理職
- 長期的な計画を立てても自分の成果にならないので、何もせず穏便に過ごそうとする
- 合議制
- 責任の所在を曖昧にし失敗しても誰も責任を取らない
- 複雑化する一方の税制や社会保障費
- 整理し一本化することへの労力が甚大
まだまだあるだろうが、大筋は押さえていると思う。つまり、日本人は正社員からはみ出ることに対して他国よりもずっと怖がりで、その不安を解消するために様々な策を弄している。その中には我慢も多くある。そのため言いたいことが言えず、社会が萎縮しているのである。
とここまでくれば、解決策は実は非常に簡単で、法律をいくつか変えるだけで済む。それは、
- 正社員の解雇条件を海外並みに緩めること
- 契約社員やバイトの賃金を、正社員より有意に高くすること(例えば10%以上)
たったこれだけである。正社員は安定している代わりに安い、契約社員やバイトは不安定な代わりに高い、そして正社員はクビになっても契約社員になれれば所得は向上する、という図式である。
安定の対価が安い給料なら、不安定の対価は高い給料であるべきだ。これは当たり前のことだが、現実社会では逆になっている。これが過剰な安定志向を生むのである。
これが実現すると、会社は従来よりも正社員を解雇しやすくなるが、これは業務の再編に有利である。浮いたカネで新規投資もできるようになる。また、無駄に管理職を増やすよりも少数精鋭で決定権をもたせる方が安く上がるので、無能な中間管理職はいなくなる。それは同時に意思決定のスピードも上げる。また、業績が悪くなれば解雇が可能になるので、防衛のための内部留保は少なくて良いから安心して設備投資ができる。管理職が少なく実働者が増えれば生産性は向上する。ゾンビ企業からは人が逃げ出すのでさっさと倒産するから、それを生き永らえさせる銀行や国の負担も少なくなる。会社に我慢しないからブラック企業も減るだろう。
全てが良い方に回り始める。細かい調整(労働条件や経過措置など)の詰めは必要だろうが、これくらいなら走りながら考えられるから、すぐにでも着手してほしい。

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