
一日千人の利用があるのに廃止する路線バスのニュースがあった。理由は運転手不足だという。
中期的にはこれは自動運転で置き換わっていくのだろうが、そうすると今のバスでは都合が悪いように思う。自動運転の時代には、「大型バスで定期運行」という形態そのものを見直すべきだろうと思う。
自動運転になれば、運転手の問題は解決する。つまり幾らでも台数を増やすことができる。これを活用し、従来のバスの不満を解決する方法を考える。そこで、バスとは何か、なぜバスを使うのか、タクシーとはどう違うのか、という根源から考えてみる。
バスとタクシーは、各々道路を使って移動する手段である。もしタクシー料金が安ければ、人はバスに乗りたいとは思わないだろう。だがそこには重大な公共からの要請があって、全てをタクシーにすると道路が混んでしまう。例えば朝の通勤ラッシュで、バスを止めて全部タクシーにしたら、と考えてみると、とても回りそうにない。また、全体で見ると資源・エネルギーの無駄である。だから、ある程度の需要が見込めるなら、タクシーよりバスにしてほしい。
そのバスで面倒なのは、路線図が複雑で見方が分からないこと、また路線によって極端に本数が違い、時間帯によっては1時間も来ない、ということがよくあるが、それがすぐには分からないことだ。普段から使う人ならともかく、一般論としてこれは不親切である。
もちろん、自分の欲しいルートがない、というのも重大な課題だ。バスは電車と違って乗り継ぎ料金の適用がない(少ない)し、あったとしてもそのこと自体を知るのが困難だ。
これらを解決する手段として、以下のようなシステムを提案する。
- バスとタクシーを統合したMaaSシステムとする。これを仮にバクシーシステムとする。
- 全てのバクシーは自動運転である。
- バクシー停
- 現在のバス停よりも多くの場所に、バクシー停を準備する。目安としては、現在のバス停の数倍とする。
- バクシー停にはIDがあるが、それは地域名+番号記号程度の簡単なものであり、駅や大きなターミナルのみに固有名(別名、俗称)がある。
- バス停には電源とビーコンが埋め込まれており、ユーザのスマホでそれを読み取ることができる。
- 大部分のバス停には特に電子的表記などはない。必要な情報はユーザのスマホに表示される。
- 時刻表は存在しない。目安としての平均的待ち時間はアプリで表示される。
- バクシーの呼び出し
- ユーザはバクシー停に着いたらスマホのアプリでバクシーを呼び出す。スマホのアプリは自動でバクシー停のIDを読み込み、システムに知らせる。
- この際、降車位置を指定する。この時、他のバクシー停を指定すればバス料金となり相乗り、一般的な住所を指定するとタクシー料金となり単独での使用となる。
- 家族で乗る場合などでは、代表者が人数を指定して知らせる。この場合、支払いも代表者が行う。
- 料金は呼び出し時に確定する。時間距離併用料金ではなく、距離のみである。
- 呼び出し時にバクシーのIDは確定し、そのIDのバクシーにしか乗れない。このため並ぶ必要はない。
- 自宅などバクシー停以外に呼ぶこともできて、この場合は当然タクシー料金である。
- アプリにはあらかじめ要配慮者オプションがあり、車椅子専用車両などが用意されている。この場合は待ち時間は多少伸び、料金も上がるが、自治体などによる補助も自動適用される。
- バクシーへの搭乗と降車
- 代表者ないしは一人ひとりが搭乗時と降車時に指定場所にスマホをタッチする。
- アプリには支払い方法が事前に登録されており、降車時のタッチで自動引き落としになる。
- 降車位置は既に指定されているので、降車ボタンは必要ない。また、降車が近づくとアプリに通知される。
- バクシー到着時、2分以内に乗車完了しないと自動キャンセルとなり、キャンセル料金が発生する。障害者等はむろん考慮する。延長ボタンもある。
- 降車予定時刻はその時の状況に応じてリアルタイム更新される。
- 乗合(バス)の場合は当然複数の場所で降車するが、間違ってタッチするとアラームが鳴る。
- 乗り継ぎ
- バス乗車の際は、乗り継ぎになる場合もある。この時、アプリにはその旨表示されるので、指定バクシー停で乗り換える。
- 料金は通しで自動計算される。乗り換えを中止したとしても全額の支払いとなる。
- 乗り継ぎルートはその時の交通状況や配車状況によって異なり、例えば繁忙期には直通が多くなる、といったこともある。ユーザはそれを指定することができないが、乗り継ぎ回数予想は事前に知ることができる。
- 乗り継ぎが2回以上になる時、自動的に割引が適用される。逆に言えば、乗り継ぎは1回を上限とするようルート選定が為される。
- ルート
- 基本的には、駅など人が多く利用する場所を中心として放射状に広がる放射状ルートと、その中心から同心円状につながる環状線ルートとする。つまり、放射状ルートが中心から遠くなるほど環状線ルートを使う確率が高くなる。
- 放射状ルートであっても、中心から遠くなると乗り継ぎで小さいバクシーになる可能性が高くなる。
- 現在のバス路線に比べ、大型車両の割合は少なくなり、台数は多くなり、平均的な速度は速くなる。
- 仕様と配車
- バクシーは人数・サイズのバラエティが色々とあり、需要予想に従ってあらかじめ自動配車される。前述のように要配慮者向けやペット向け、大量荷物向け、高速バス(空港線など)などがある。
- バクシープールを随所に設け、必要に応じて自動出動させる。これは空いている駐車場などで十分である。
- バクシーは全て電動であり、バクシープールには無線給電設備が整っている。すなわち、駐車するだけで充電する。電池容量は少ないが、乗り継ぎを前提として頻繁に充電できるようにすることで補う。
- 目安として、どのような需要があっても15分以内に乗車できるようにすることを目標とする。また、乗り継ぎの待ち時間も15分以内を目標とする。
- 乗車までの予想時間は、アプリに表示される。
- 料金と支払い
- 料金は変動制とする。つまり需要と道路状況によって変動する。バスとタクシーの料金の比率も変動性とする。望ましい比率は状況によって異なるが、それを自動調整することにより、乗客の利便性と業者の利益を両立させる。
- 自治体による補助は自動で反映される。高齢者、障害者など。
- 支払い方法は複数登録でき、呼び出し時にその中の一つを指定する。
- 追加提案
- 緊急車両オプション:救急車の代わりとして使用する。サイレンの使用が認められる。タクシーのみ。料金は通常の30倍だが、後に申請して緊急性が認められれば、その程度に応じて減額される。また、緊急性が認められない使用が続いた場合、使用が制限される。
- 低振動運転オプション:通常車より低速で運転し、サスペンションも調整して、低振動運転をする。料金は通常の倍。タクシーのみ。
- 高級車オプション:広い席、ゆとりスペースを持つ。タクシーのみ。料金は通常の4倍。
- 大量荷物オプション:荷物スペースの広い車。タクシーのみ。料金は通常の1.5倍。
- 観光オプション:貸し切りで、主要な観光ルートを廻ってくれる。途中で何回でも降車し再乗車できる。料金は通常の半額。
- 定期契約オプション:定期券と同等。特定のルートに限り指定期間内で何回でも使用可能。料金は通常の7割、学生は半額。
- 簡易貸切オプション:車種が選べない代わりに、24h365dで10分以内のタクシー配車を保証する。常にスマホのGPSをオンにしておく必要がある。月額契約。
バスやタクシーのコストの60〜80%は人件費、つまり運転手の給料なのだそうだ。よって自動運転になれば大幅な運賃低減は可能だが、ここではそうせずMaaSと台数増に使う。それによって使い勝手が改善し、利用者は増えるだろう。
全てを変動制とすることで料金の不安は起きるが、相場や上限は自治体が自由に設定し、また高齢者の使用頻度などのデータも随時集計し分析できるので、最適化には大いに貢献する。

