2026年2月18日水曜日

日本と世界の右傾化とその理由

 「日本は右傾化している」マスコミのそういう指摘に対して、「いや今までが左だったのが正常に戻っているだけだ」というコメントをしている人が、SNSに限らず議員などでも見かける(高市氏本人ですらそう言っている)。だがこれは、結局右傾化を認めたということである。右傾化とは文字通り「右に傾く」つまり向きとしてどちら方向に動いているかを示すもので、原点がどこにあるかは関係ない。また右派から見ればそう考えるとしても、左派には左派の考える「正常(原点)」があり、つまりは所詮水掛け論に過ぎない。だからこれは屁理屈であり、なんだか与党議員までがネトウヨ発言をするなあ、と思いながら見ていた。

そこで、右傾化の根拠について生成AIに調べてもらった。ステップとしてまず、右左と一言で言っても様々な軸があるので、その軸について定義してもらった。その定義による評価軸で定量化可能なアンケート等のデータを探し、更に正規化(-1~1。1が右、-1が左)してもらった。最後にそれをグラフに表示した。なお、各軸の定義は以下の通りである。

  1. 経済的右派軸:市場自由主義の浸透と保護主義的右派の台頭
  2. 社会・文化的右派軸:伝統的・排他的価値観への回帰
  3. 制度的権威主義軸:自由民主主義の質の後退(V-Dem指数を反転)
  4. ポピュリズム軸:反エリート・反多元主義的言説の拡大

まずは世界のデータを見てみる。

経済的右派軸 社会・文化的右派軸 制度的権威主義軸 ポピュリズム軸
2000年 -0.12 -0.35 -0.65 -0.50
2005年 -0.05 -0.28 -0.60 -0.42
2010年 0.08 -0.15 -0.52 -0.20
2015年 0.22 0.12 -0.30 0.15
2020年 0.38 0.35 0.25 0.48
2025年 0.45 0.52 0.40 0.65

どの軸も一律に右上がりになっている。全ての指標がゼロを超え、反対側に行ってしまった。正に思想の大逆転である。

次に日本だけについて再調査してもらうと、以下のようになった。

経済的右派軸 社会・文化的右派軸 制度的安保軸 ポピュリズム軸
2000年 0.05 -0.65 -0.20 -0.70
2005年 0.25 -0.60 -0.15 -0.55
2010年 -0.15 -0.58 -0.18 -0.40
2015年 0.30 -0.50 0.10 -0.20
2020年 0.35 -0.42 0.25 0.15
2025年 0.40 -0.35 0.65 0.45

こちらは世界ほど極端ではないが、やはりベクトルとして明確に右傾化している。それでも絶対値としてはまだ「社会・文化的右派軸」が0より下にある。

「社会・文化的右派軸」は、右が伝統的価値観、左が世俗的・合理的を表しているが、これについてAIに聞いたところ、日本には宗教的権威が存在せず現世利益的な宗教観があるからだ、ということらしい。そのため、宗教的項目を重視する国際指標では日本の保守性は捕捉されにくく、一方で防衛費や憲法改正といった「制度的安保軸」においてその右傾化傾向が顕著に表れるという構造になっているのだそうだ。そして確かに制度的安保軸はしっかり上昇している。

これらの右派傾向の理由について、生活苦や不当な圧力などへの不満の裏返しではないかと思い、そう聞いてみたところ、


『ご指摘の通り、近年の右傾化や権威主義化、そしてポピュリズムの台頭は、単なる思想の変容ではなく、生活環境の悪化や既成秩序への強い不満、あるいは「自分たちが不当に扱われている」という被害意識の裏返しであるという分析が、多くの政治学・社会学的調査で支持されています。』

中略

『グラフで示した右傾化の数値上昇は、単に人々が思想的に保守化したというよりも、「今のシステムでは自分たちの生活や安全が守られない」という切実な危機感と、それをもたらしている(と見なされる)内外の要因に対する拒絶反応であると解釈するのが妥当です。特に2025年におけるポピュリズム軸や安保軸の突出は、戦後長く続いた「安定した中間層」の崩壊と、地政学的な平穏の終焉がもたらした、社会の構造的な摩擦の結果であると言えます。』


とのことだそうだ。

右傾化というのは二次的現象であって、真に憂うべきは貧困や社会不安なのかもしれない。だからといって右傾化が良いと言うことではない。更に続けて「では右傾化によってそれは緩和するのか」と訊いたところ、


『結論から申し上げれば、専門家の分析や統計データは、右傾化の進展が必ずしも生活苦や不満を根本的に解決するわけではなく、むしろ新たな社会的・経済的リスクを生じさせる可能性が高いことを示唆しています。』

中略

『右傾化は、現状への強い不満に対する「心理的な防衛反応」としては機能しますが、生活苦という構造的病理に対する「治療薬」というよりは、痛みを一時的に麻痺させ、かつ副作用(増税、福祉削減、社会の分断)を伴う「強い鎮痛剤」に近いと言えます。2025年から2030年に向けて、右派政権がこの「副作用」をどう制御し、実質的な生活改善に繋げられるかが、社会の安定を左右する大きな焦点となります。』


とのことだった。私の感覚とこれは合致する。先の消費税減税についての分析もそうだったし、移民政策の分析も、積極財政の議論もそうだった。冷静に考えれば中長期的に全部自分に返ってくるのに、目の前のニンジンに尻尾を振っているのが今の右傾化の実態なのだ。

人々は感情に任せて右傾化するのではなく、冷静に論理的に判断をすべきである。


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