少子高齢化対策の一つの手段として、コンパクトシティがあることは以前も述べた。これに関して非常に重要なのは、住居を気軽に移転できることだ。だが現実には引っ越しには高額の費用と多大な手間が掛かる。
なぜ費用が掛かるのかと言えば、間違いなく人件費の都合である。だからこの解決策はロボットによる自動引っ越しを実現させることである。だが、人間型ロボットに引っ越しを任せるのはまだ心許ないし、かなり先の話だろう。そこで、ここでは万能の引っ越しロボットを考えるのではなく、ロボット引っ越しに適した『規格』を考えてみることにする。
そこで考えたのがタイトルの600mmパレットだ。これは600x800mm、高さ20mmのパレットで、引っ越し用家具はこのパレットに載せることを条件とする、というものになる。このアイデアに沿った規格とは、以下のようなものだ。
- 引っ越しに使う家具、段ボールなどは全てこの600x800mmパレットにはみ出すことなく載せられることを条件とする。なお、高さはとりあえず900mmを上限とする。
- このパレットには囲いが付けられ、転倒や脱落を防止する。
- 高さが900mm以上の家具は、上下2分割、3分割として、各々を運ぶ。また分解・積み重ねもロボットが行う。
- このパレットを載せてトラックと家の間を行き交う運搬ロボットを開発する。
- 類似のロボットは既に世の中に多く存在しているが、整備された工場ではなく段差や傾斜のあるところを移動するため、水平を保つために足回りは新規開発が必要である。
- 引っ越し元と引っ越し先の家に対し、以下を確認する。
- 段差が規定内であることの確認。パレット運搬ロボットは50mm程度の段差は乗り越えられるように作るが、そうでない場合は段差を克服する措置(15°以内の傾斜など)を事前設置することができるかどうか。あるいはエレベーターの有無、階段しかない場合は搬送レールを取り付けられるかどうか。
- 搬送レールはこのロボットのために開発する。
- 玄関から全ての部屋に至るアプローチにおいて、パレットを載せた運搬ロボットが通れることの確認。これは角を曲がること、ドアを開けたまま固定することを含む。
- 多段の場合は小型フォークリフトが積み重ねるため、そのための作業スペースがあることの確認。積み重ね用フォークリフトの設計は別途行う。
- 段差が規定内であることの確認。パレット運搬ロボットは50mm程度の段差は乗り越えられるように作るが、そうでない場合は段差を克服する措置(15°以内の傾斜など)を事前設置することができるかどうか。あるいはエレベーターの有無、階段しかない場合は搬送レールを取り付けられるかどうか。
これらが確認できれば、搬出と搬入、また家具配置の一部までは全てロボットが行えるようになる。
このサイズに収まらない家具としては、ダイニングテーブル、ベッド、ピアノ、食器棚、学習机などが考えられるが、それらについては可能なものは分割式とし、不可能なものは従来通り手で運ぶものとする。
また、家具類には作り付けのパレットが最初から付いているように設計することができる。
パレットはトラック内に固定できるため、基本的に養生は必要ない。だが必要な場合は囲いをして隙間は緩衝材で保護する。
パレットのトラックへの積み込みは、専用のフォークリフトを開発して行う。これは人が乗る必要がなく、ロボット同士が通信をして自動で積み下ろしをする。
大抵のトラックの荷室の高さは2000mm以上あるため、900mmのパレットは上下2段で積む。これにより空きスペースを少なく、無駄なく詰めることができる。
高さのある家具は、やはりフォークリフトで重ね、その後に固定する。この固定方法も規格に含める。またその固定方法を応用して床に固定する規格も検討する。床に固定できれば耐震処理は必要ない。
従来の家は、寸法の計測と段差の規格を考慮したリフォームが可能であるので、新たな家、特に賃貸住宅ではこの規格を推奨するよう税誘導などを行う。
実際の引っ越しにおいては、トラックから玄関、更に各部屋までのアプローチについて、ラインテープなどによるマーカーを設置し、ロボットはそのマーカーに沿って移動する。新居の家具の配置は、やはりマーカーを置いておき、ロボットはその位置に正確に家具を下ろす。
パレット付き、600Dx800Wx900Hの、扉/引き出しロック機構付き棚を作っておけば、小物は全部それに入れてしまえば良いので、いちいち段ボールを大量に作る必要はない。また段ボールを作る場合でも、600Wx400Dx30Hの段ボールだけ作っておけばこのパレットに綺麗に積み重ねられる(実際には枠の分だけ小さめに作る)のでやはり自動で運ぶことが可能だ。
この応用として、パレットごと床に置くことに関し、家具を置かなかったスペースはパレットと同じ高さのタイルを置くことにすれば、段差もなく綺麗に配置することができる。200mm単位のタイルを大量に作っておいて、家具スペースだけそれを外してやれば、ぴったりはまるだろう。またそのタイルにも、溝を作っておいて配線をするなどの工夫が可能である。タイルの位置決め用に床にノッチを入れておくことなども可能だろう。
この機構を採用する前提で、家族4人、75平米程度の家を100km移動する引っ越しについて、生成AIに見積もりをしてもらったところ、75%程度の費用削減ができるとの試算が出た。この中でも大きいのはやはり人件費で、従来型では4人のところ1人、しかも拘束時間を大幅に短縮することで、90%以上の節約になる。
また引っ越す側としても、段ボールへの詰め替えが最小限で良いところはメリットになる。つまり引き出しにモノを入れたまま移動できるため、その手間が省けるのだ。
この規格が広まることは、引っ越しだけでなく宅配ロボットの普及にも有益である。つまり、この600mmパレットロボットが通れるなら、これより小さい宅配ロボットも自動で玄関先まで行けるはずであるからである。ロボットに対応する宅配ボックスを設置するだけで自動受取が可能になる将来像も、描くことができる。
現在の建築基準法では、4階建てまでの建物はエレベーターの設置義務がないが、そういうものであってもパレット用リフトを階段沿いに設置することで宅配ロボットは移動可能になるし、将来的には低層でもそのリフトを設置した建物が人気になる、ということも考えられる。

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