2025年2月6日木曜日

車椅子社会の実現

 以前、

https://spockshightech.blogspot.com/2020/12/vr_23.html

という投稿をしたことがある。メタバース空間を、全て車椅子前提で設計してしまおう、というものだ。こうすることによって、人は机に椅子、キーボードとマウス、という状態で、メタバース上で一日中過ごすことが可能である。その上で、メタバース上の広大な空間を行き来することが可能だ。

これをもっと進めると、実社会も全て車椅子で移動するようにできないだろうか。今の社会は歩きがデフォルトで車椅子が例外だが、これを逆転するのである。これについて少し考えてみる。

この場合の車椅子は、机とノートタイプPC、移動のためのジョイスティックを備えた、電動のインテリジェントタイプである。これでどこへでも行けなければならないので、当然ながら坂道は極力無くし、階段は廃止、トイレも広いものしか赦されない。電車や飛行機、自動車などの乗り物は設計のし直し必至、更には道路や家なども設計し直しになる。

というわけで、これはさすがに無理だ。だが、大規模なショッピングモールとそれに併設するマンション、といった形なら可能だろう。これは以前

https://spockshightech.blogspot.com/2024/10/blog-post_31.html

として紹介した街を、更に車椅子前提で設計するようなものになる。この場合、家や教室、事務室などのサイズは更に広くなるが、天井は若干低くて良い。それ以外に大きな変更は必要ない。

この世界で実現できることは、フレキシブルシティ構想で提案したような「完璧な人流・物流の自動化」「完璧なラストワンマイルの実現」と考えてもらって問題ない。これに加え、「車椅子前提メタバースとのシームレスな接続」もできるようになる。

例えば、普段は普通に学校に通うのだが、感染症が流行した際には、全く同じような教室メタバースに「登校」することで、支障なく授業を続けることができる。先生や友達の顔がアバターになってしまうが、視線や移動の仕方が全く同じなので、違和感を低減することができる。

また、観光旅行を計画していて、それが何らかの不具合で中止になってしまったとすると、旅行会社はVR体験で次善策を打つことができる。天候不順などのときでも同じような対処が可能である。

逆に、旅行や出張などの出先で、自宅や会社に用事ができてしまったとしたら、現地でXRグラスを装着してVR空間に入り、仮想的に自宅に戻ることもできる。現実を反映した空間にしておくことで、例えば忘れ物の位置まで把握できるだろうし、書類がどこにあるかも探せるだろう。

また、街に出ていて道に迷った時、一時的に仮想空間の同じ街の同じ位置にジャンプして、そこで検索を掛けたりAR表示をしてもらったりして場所を確認した後、現実空間に戻って移動する、といった芸当もできるようになるだろう。

だが、隠れた真のメリットとでも言うべきことがあって、それは「車椅子使用者の真に公平な扱い」である。現代社会は歩行がデフォルト、車椅子は例外の扱いだが、この社会では車椅子がデフォルトなので、既存の車椅子使用者は例外からデフォルトに変わる。トイレや移動の不便が無くなり公平になるので、逆に不慣れな新米を尻目に活躍できるだろう。

フレキシブルシティのような街を作って、そこに車椅子ネイティブな人を誘致する。その街は車椅子の人でも普通に生活でき、普通に仕事ができ、普通に勉強ができ、普通に医者に掛かることができる。車椅子生活をしている人は、日本の人口の1.6%ほどいるという。その多くは、普段の移動に苦労しているはずだ。そういう人が普通に活躍できるだけで、日本のGDPの1%くらいは追加で稼ぎ出してくれるのではないかと期待できる。投資対効果としては十分である。

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