2026年7月2日木曜日

カビプラスチックの生産

 地球温暖化防止の要は石油の使用量節約である。そして石油の用途は燃料と材料である。以前の提案では燃料の代替を考えたが、こちらでは材料の代替を考えてみた。

石油とは、結局は炭素と水素の重合したものであり、重合度が様々なものが混じり合っているだけだ。つまり炭素と水素を重合させれば良いのだが、その代表的なものがバイオプラスチックである。バイオプラスチックは、とうもろこしなどの糖を加工して油に変えるのであるが、その糖が曲者で、人間の食べ物と競合する。だからバイオプラスチックを増やすと人間の食料が減る、という矛盾を抱えている。また現状では、バイオプラスチックの価格は石油由来に遠く及ばない。ちなみに、石油由来だと200〜350円/kg、バイオプラスチックは500〜1000円/kg程度だそうだ。

炭素と水素の重合体でその他のものはないかというと、植物自体の葉や茎、木などがそうだ。実際、これらはよく燃える。だがその大部分は結合がしっかりし過ぎていて、ここから油を取り出すのは困難である。微生物による加工はできなくはないが、コストでは石油に遠く及ばない。

と、ここまで話したところで表題に戻るのだが、カビが形成するバイオフィルムは使えないか、と考えてみた。カビのヌルヌルの正体は多糖類に水分が含まれたもので、つまりは糖だ。だからバイオフィルムを材料とすれば、カビは勝手に増えてくれるのだから安価に製造できるのではないかと考えた。

バイオフィルムからバイオプラスチックへの変換も微生物を使うので、これを一緒に容器に入れて、材料(カビの餌)の投入と環境管理だけしてやれば、まず餌から糖ができ、その糖から油(バイオプラスチック)を作ってくれるのではないか。こう考えて生成AIに調べてもらったところ、まずは可能だという。ただ、通常の発想では石油由来よりコストが掛かってしまう点で、他のバイオプラスチックと変わりがない。

そこで更に考え、特定の条件下では石油由来プラスチックと同等のコストで生産できるという試算が出た。

その条件とは、徹底して電気を使わないことだ。まず材料としてはカビの好物である人間の食料残渣や木くずなどを投入するが、タンクに入れて撹拌するのではなく、多段の棚に入れて放置する。温度管理も、建物の構造を利用したパッシブ型にする。つまり建物を断熱し、風の通り道を制御(窓の開け閉め)するに留める。こうすることによって、石油由来より安い150〜200円/kgを実現できる。

必要な工場の規模感としては、

  • 年間1000トンのバイオプラスチックを生産することを想定
  • 必要な床面積は2200平米、工場全体としては5500〜6600平米(1700〜2000坪)
  • 想定売価300円/kgとして年間売上高3億円
  • 4名で運営
  • 人件費や固定資産税も含めた最終的な年間総費用:1億5500万円
  • 初期投資:1億円
  • 営業利益率:48%

となった。ビジネスとしてとんでもなく優秀である。ちなみに2千坪は東京ドームでいうと1.4個分に当たる。また年間千トンというのは、バイオプラスチック市場は年間数万トンなのでかなりの量である。

また、生成されるのは、「PHA(ポリヒドロキシアルカン酸)」と呼ばれる高分子の油であり、原料(木くずの種類など)や品種改良された微生物の種類によって、「硬いプラスチック」から「ポリ袋のような柔らかいフィルム」、さらには「ゴムのような伸縮性のある素材」まで、自由自在に作り分けることができる。

更に、この素材加工までを内製とする(ペレット加工など)ことで利益率は更に上がり、76.6%という脅威の額になった。

欠点もあるにはあって、それは当然ながらカビの匂いである。作業者はこれから逃れられないし、換気に適切な消臭がないと周囲も臭くなる。だがそれも、生成AIに言わせれば軽微な費用なのだそうだ。また工場の敷地面積もそれなりに必要である。石油由来・バイオプラスチックの工場はこれよりかなり小さい。

とはいえ、材料から考えても環境負荷から考えても、石油の代替としてかなり期待はできるのではないかと思う。検討する価値は十分にあると考える。

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