2026年7月3日金曜日

シリカヒューム道路の考察


 太陽炉プラン、その定量的評価超高性能コンクリート建築の考察太陽炉と発電所の設計プレパックドコンクリート工法に続き、道路での応用について考えてみる。

以前の提案で、余ったシリカヒュームは道路のアスファルトしたの路盤材にすることを提案したが、これも家の基礎と同じ方法で全てシリカヒューム由来のコンクリート道路にしてしまってはどうかと考えた。

まず一から作る場合だが、

  1. まず道を浅く掘る。
  2. 最下層にシリカヒューム+セメント+水のスラリーを撒いて地盤との固着を確保する。
  3. その上にシリカヒューム粒(シリカヒューム+水+セメントで造粒機に掛けたもの)を必要な高さまで敷く。粒径は20〜40mmとする。
  4. その上にシリカヒューム+強化用繊維+セメント+水のスラリーを流し込んで隙間を埋める。
    1. 繊維はポリプロピレンとビニロンの二種類を混合する。前者は主に施工直後のひび割れ防止、後者は重い車が通過する際の日常的な靭性確保を目的とする。
    2. 上まで完全に埋めるのではなく、8割程度の高さに留める。上位1、2割を露出させる理由は、凹凸をわざと作ってタイヤとの摩擦確保と雨の排水を促すためである。
    3. スラリーには、微量のバイオポリマー系増粘剤(ウェランガムやキサンタンガムなど)を添加する。これによってスラリーに「チキソトロピー(Thixotropy)」という物理的特性を持たせ、坂道や横断勾配(道路の排水用につける傾斜)に」対してスラリーが流れすぎないようにする。

なお、チキソトロピー(Thixotropy)とは、「力を加えている(混ぜている・流している)間はサラサラと動き、動きを止めて静置すると瞬時にゲル化して動かなくなる(高粘度になる)」という性質のことである。

この加工をすると、ポンプで圧力をかけてノズルから散布している間は、シリカヒュームと高性能減水剤のベアリング効果が勝り、サラサラと造粒粒の間隙を滑り落ちるように埋め尽くす。しかし隙間を埋めて流れが止まった瞬間(せん断力がゼロになった瞬間)、増粘剤の分子ネットワークが瞬時に結合し、スラリーが「ゼリー状(あるいはマヨネーズ状)」に変化する。これにより、勾配があっても低い方へ流れ落ちるのを防ぐことができる。

さて、コンクリートが超高強度コンクリートである関係上、道路の厚さは薄くできるはずだ。それを試算してみると、以下のようになった。

舗装構成(層) ① 一般的なアスファルト道路 ② Spock案(シリカ薄層仕様) 構造的な違いと評価
表層(スキン層) 50〜100mm
(アスファルト合材)
50〜80mm
(大粒シリカ+スラリー)
Spock案の方が薄い
アスファルトは薄すぎると自重と熱でペロッと剥がれたり割れたりするため、最低でもこれだけの厚みが必要です。
路盤(クッション層) 300〜450mm
(上層路盤・下層路盤の砕石)
100〜150mm
(または既設路盤をそのまま利用)
Spock案の圧倒的な薄さ
アスファルトは「ふにゃふにゃ(可とう性)」なので、下に分厚い砂利の層を設けて荷重を逃がす必要があります。
総厚(合計) 約 350〜550mm 約 150〜230mm Spock案はアスファルトの半分以下の厚さ

この案によるコストを計算してみると、次のようになる。

項目 ① 一般的なアスファルト道路 ② Spock案(シリカ薄層・総厚20cm仕様) 評価・再計算のポイント
初期建設費
(CAPEX)
約 7,000円約 7,800円 ほぼ互角(差額わずか800円)
総厚がアスファルトの半分以下になったため、穴掘り(掘削)と砂利の量が激減し、大幅にコストが浮きました。
50年間の修繕費
(OPEX)
約 22,000円約 1,000円 Spock案の圧勝(不変)
50年間わだち掘れや陥没が起きないため、修繕費はほぼゼロです。
50年トータル 約 29,000円 約 8,800円 Spock案が全体の約 70%のコストを削減

次に、既存のアスファルト道路の補修であるが、上で示した上層用の施工をそのまま使う。アスファルトの表面50mm程を切削し、その厚さだけシリカヒューム粒を敷いてスラリーを流し込むだけだ。こちらのコスト計算は、以下のようになる。

路盤・土工事:500円(表面を5cm削るだけのカッター費用)
大粒・スラリー(50mm厚仕様):2,200円(体積が4分の1になるため、材料・施工費が激減)
諸経費:1,500円
合計:約 4,200円 / m^2

これは、通常のアスファルトの傷んだ表面を削ってアスファルトを上塗りするだけの標準的な補修(約 4,000円)と、コスト的にほぼ同等である。もちろん50年トータルコストでは圧倒的に安くなる。

何れの工法においても、シリカヒューム粒を敷くところまでは時間的制約はなく、最後のスラリーを流してから硬化が始まるまでの時間だけ注意する必要がある。

何も工夫をしないスラリーは、混合から最短30分(夏場)で固まり始めてしまう。しかし硬化遅延剤を混入することでこの時間は調整できる。気温に応じた遅延剤の投入割合はあらかじめ計算できるので、必要に応じて添加剤の量を調整して施工すれば良い。

なお、この道路は繊維強化コンクリートであるため、最近話題になる道路の陥没にも強い。試算によれば、直径数mの空洞ができてもたわむだけで陥没しない。もちろん100%安全ではないが、さすがにたわめば気づくので、その時点で補修が可能だろう。

しかも、補修も簡単である。家の傾きを補修する方法として使われるウレタン注入法が使えるからだ。発泡ウレタンを隙間に注入して充填する方法なのだが、従来のアスファルトではこの方法は使えなかった。アスファルトはふにゃふにゃなため、下からウレタンで押し上げるとそこだけが盛り上がってしまい、道路全体がフラットに持ち上がらない。一方この道路は繊維強化コンクリートであり、いわば強固な板であるため、全体として均等に持ち上がるのだ。

従来、コンクリート道路があまり存在していない理由は、価格もそうだが、固まるまでの時間、必要な強度が出るまでの時間が長過ぎる(10日間など)ところにあった。しかしシリカヒュームスラリーは6時間で必要強度が確保できるため、一晩で交通規制を解除できる。

コンクリート道路は、アスファルト道路に比べて補修がほぼ不要であるところが大きなメリットである。上の計算でも示した通り、50年スパンではトータルコストは半額以下になるのだ。シリカヒューム活用コンクリートの適用により、コンクリート道路がもっと増えてくれたら幸いである。

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