2026年7月7日火曜日

シリカヒュームコンクリートの再考察

 

その後、シリカヒュームコンクリートの特性や製造法について色々検討していたのだが、当初の見込みは甘く、修正すべき点も色々と見えてきた。その改良も含め、製造法について検討していく。

ポゾラン反応の反応速度について

以前の検討では、シリカヒュームコンクリートは24時間で実用強度が出ると言っていたが、その後の調査により、これは極めて限定的な状況でしか起きないことが分かった。

もし何もしないと、通常のセメントの反応(水和反応)より遅く、数カ月掛かる。反応を早めるには、高温高圧(いわゆるオートクレーブ)を掛けるか、アルカリの混和、炭酸ガス吹付けなどが必要である。

消石灰ないしはセメントの一部を生石灰で代替することによって反応熱を引き出すという方法も考えられるが、生石灰が反応すると体積が大きく変化し、これがひび割れの原因になることもあるということだ。それを抑えるための繊維強化は有効であるが、繊維で無理に抑えている状態とも言え、あまり好ましいとは言えない。

またこのうちアルカリは、いわゆる強アルカリが必要で、扱いが難しく、現場施工は危険であり推奨できない。高温にするにしても一瞬とはいかず数時間は必要であるため、やはり現場施工は現実的ではない。

つまり、シリカヒュームコンクリートを作るには(オートクレーブを掛けられる)プレキャストにするか、現場打ちならセメント混入が現実解であり、消石灰(ポゾラン反応)ではできない。また、セメント混入の場合はシリカヒュームの割合は10%が理想で、つまりはシリカヒューム主体とはならず、シリコン発電残渣の効果的な消費にはならない。

また同じ理由により、コンクリートの梁や柱を結合するのに、平らな面同士をシリカヒュームスラリーを流し込むだけ、という方法は使えない。

ではどうするかというと、形状による嵌合、バサルトアンカーピン、シリカヒューム+セメントスラリーという組み合わせで行う。つまり、形状による篏合(凹凸を合わせる)を前提とし、更に篏合部の両側に穴を開けてアンカーピンすなわちホゾを噛ませ、スラリーで固定する。このスラリーはまずセメントの水和反応で初期強度を出し、その反応で出てくる二酸化炭素とシリカヒュームでポゾラン反応を起こして更に強度を増す、という方法になる。ホゾと篏合には溝を掘り、スラリーが流れ込む道を作る。バサルトアンカーピンは、この後で説明するバサルト筋を使用したものである。

無発泡酸化チタンスキンについて

前の説明では吹き付けとしていたが、もう少し厚さがあった方が良さそうだ。実際に光が届くのは0.1mm程度だが、物理的摩耗は100年で2〜3mmだそうなので、倍のマージンを見込んで7mmとする。またこのスキンには骨材は不要であり、酸化チタン混入率は重量比で1%とする。

プレキャストコンクリート製造時に、スキンの型を先に取っておいて、それを組み合わせて中に発泡コンクリートを流し込むというのが良いと思われる。

スキンと内部は同じシリカヒューム+消石灰で混合比率も合わせる。これによってスキンと内部もポゾラン反応で強固に接着し、容易に剥がれることは無くなる。

この表面スキンは酸化チタンによる光触媒効果と十分な耐水性があるため、外壁側にトップコートなどは必要なく、そのまま外壁として使える。またその性質より、色は塗るのではなく、あらかじめ練り込んでおく必要がある。この際、有機塗料は光触媒効果により色褪せてしまうので、無機顔料限定となる。また、表面加工(ツルツル以外の凹凸やザラザラ感など)は、あらかじめ最初から作り込んでおく必要がある。もちろん最薄部で7mmの確保が必要だ。

屋根材については、同じく無発泡酸化チタンスキンとなる。7mmの酸化チタン層と20mmの繊維強化無発泡のコアを使用する。スキンもコアも繊維強化は行う。この場合の混入率は2%とする。

形状としてはスレートと同じ感じになるが、結合はスラリー注入によるポゾラン反応で完全に一体化するため、水漏れの心配は無用となる。つまりはアスファルトシーリングが不要になる。

また、スレートや瓦など従来の屋根材では、雨漏りが発生したときにその水路が複雑になり特定しづらいという問題があった。これは、小さな屋根材が少しづつ重なる構成だったために起きるのだが、本手法では屋根は一体になっており、複雑な水路は存在しない。割れている箇所があればそこを直すだけで完了する。それも、割れた隙間にスラリーを注入するだけである。

繊維と発泡、配筋について

発泡比率はアルミニウム粉末の添加率で自在に変えられるが、当然ながら発泡率を高くするほど強度は弱くなる。また比重は軽くなる。繊維については最大2%ほどが限界で、発泡で梁にするには強度が足りず、無発泡にする必要がある。そうでない(発泡させる)なら鉄筋が必要になる。

ただ、必ずしも鉄筋でなくともよく、例えばバサルト筋は有用である。バサルト筋とは、玄武岩(バサルト)を溶解して線維化し、樹脂で固めたものだ。鉄筋は爆裂の危険があるが、バサルト筋はサビないためこの危険はない。また、鉄筋の二倍の引張強度があるため、更に元々超高強度コンクリートであるため、繊維強化も併用することで、筋数をかなり少なくすることができる。

以前、(表面無発泡・内部)発泡繊維コンクリートのみで梁を作れると言ったが、強度的には不足である。これも訂正する。

また、発泡による断熱効果についても盛り過ぎのようだ。比重0.6程度ではALCや木材、グラスウール並みの0.12W/(m・K)となる。ただこれでも、150mm程度の厚さがあれば十分な断熱性があり、断熱材が不要という点では同じである。配筋が鉄ではなくバサルトであることは、断熱に一役買っている。

先ほどの表面スキンのすぐ内側にバサルト筋を配置し、内部は繊維強化発泡コンクリートを充填する。この場合、繊維は0.5%で十分であり、曲げ・引張強度はバサルト筋が主に活躍する。通常のコンクリートと異なり被り厚は不要(スキンの7mmだけでよい)である。なぜならスキンは超高強度コンクリートであるため強固で、筋も鉄筋ではないので、ひび割れによる水によるサビの心配は不要だからだ。中性化も関係ない。このため配筋を従来よりかなり外側にできるので、配筋の数や太さを抑制できる。

シリカヒューム粒の製造について

次に、骨材としてのシリカヒューム粒について考える。

生成AIと色々議論した結果、シリカヒューム粒はセメントで結合するのではなく、消石灰でつなげるべきとの結論に達した。シリカヒュームと消石灰を75%:25%で混合し、これをパンペレンタイザ(転動造粒機)で水を吹き付けながら球状に太らせ、粒にする。その粒を、180℃・10気圧で数時間処理する(オートクレーブ)ことで完成する。

セメントの水和反応の副産物としての二酸化炭素ではなく、最初から消石灰の二酸化炭素を利用したポゾラン反応を主たる結合要素とする、という判断である。このためセメントは不要となる。強度はセメントよりこちらの方が高い。ただ引張強度と曲げ強度が相対的に弱いことに変わりはない。

無発泡・繊維なしの場合、比重は2.2、材料費(シリカヒュームはゼロとする)と製造費トータルで6.8円/kgとなる。粒のサイズは、0.15mm〜20mm程度で、段階的に製造する。これらを混合することで隙間を減らし、効率よくコンクリートを製造することができる。

アルミニウム粉末をごく少量添加してやると発泡し、発泡粒となる。発泡の度合いは自由に調整できる。発泡させることで強度は落ちるが、体積は増えるため、体積当りの材料費は下がり、断熱性が上がる。

繊維を混入することで引張強度や曲げ強度が向上するが、繊維はキロ単価が高い(1000円/kgなど)。混入は0.5〜2%ほどの間で用途に応じ行う。発泡と繊維の組み合わせは色々できる。

天然の砕石の単価はキロ10〜40円なので、これより十分に安い。また形状が全て球で安定している点、ポゾラン反応により砕石より強固に固着する点、性能を自在に設計できる点などがあり、全てにおいて天然砕石に勝っている。

価格については、シリコン発電の残渣たるシリコンヒュームの材料費がゼロである前提による。実際には、高炉スラグ微粉末(製鉄炉残渣)やフライアッシュ(石炭発電残渣)のように、キロ数円を積むのが現実的だと思うが、その程度であれば天然砕石と価格で逆転することはない。

また、シリカヒューム粒を骨材とした繊維強化コンクリートの製造においては、混入する側のみ繊維強化するので十分であり、シリカヒューム粒自体を繊維強化する必要はないそうだ。

安いこと以外に、セメント(ポルトランドセメント)に使う場合であっても、骨材とセメントとの間にポゾラン反応が起きて強固に接着する点、形状や素材特性が安定している点、必要に応じ機能性(発泡、繊維強化)を持たせられる点でも通常の骨材に比べて有利であり、こうなると通常の骨材を使う意味がほぼ無くなる。シリカヒュームの初期の用途として極めて有望と考える。

建築方法

プレキャストコンクリート建築において、基礎をプレキャストコンクリートで作ることは引き続き可能である。但しバサルト筋+形状篏合+アンカーピンは必要となる。これは柱、梁についても同様である。壁については強度は必要ないため、バサルト筋とアンカーピンは必要ないだろう。また壁だけは発泡率を最大にして断熱を確保する。

また、その結合の基礎強度は水和反応によるため、翌々日の施工は無理で、3日~1週間程度の間隔は必要となる。とは言っても、基礎、1階、2階、屋根の4段階程度で済むので、各々1週間としても1か月で建つことになる。しかもその間は放置で良いし、施工の1日で使うコンクリートは結合部に使う分だけなのでごく少量で良い。

スラリーを使った結合であることに変わりはないので、気密性については前回と同評価である。結合部からの空気漏れはゼロにできるし、もし穴が見つかればスラリーで塞げばよい。

この場合、ラーメン工法であるので壁は更に簡素化が可能である。厚さ150mm、無背筋、高発泡化(比重0.35)が可能となる。但し繊維は2%の混合が必要となる。

また、壁の4辺全てをスラリーで完全に固めてしまうと、気密性は問題ないが地震の際の変形で割れる恐れがある。この辺は既存の方法(カーテンウォール、隙間の弾性体による充填など)が使えるだろう。

また、前の検討では柱式(ラーメン構造)で考えていたが、工法としては壁式もあったのを忘れていた。超高強度コンクリートと発泡、ポゾラン反応によるコンクリート同士の強固な接続を考えると、壁式の方が有利な場面はある。2階建て程度の一般住宅なら壁式の方がよい。

これも一応計算してもらったが、壁式でも150mm+バサルト筋で対応できそうである。

コスト再計算

材料費については、バサルト筋・バサルトアンカーピンが登場したことと比率が変わった。また建築費については日数が増えたこと等を含め、再計算が必要である。

まとめて生成AIに算出してもらったところ、以下のような結果が出た。なお、今回はシリカヒュームは6円/kgで算出している。

建物規模 既存RC造(平米単価目安) 本システム(平米単価目安) 削減率 主な要因
2階建て住宅 約 350,000円 約 297,500円 15% 内装仕上げ・断熱工事の全廃
10階建てビル 約 500,000円 約 375,000円 25% 工場生産による工期短縮と現場労務費の削減

また、性能比較は次のとおりである。

性能指標 既存RC造(従来工法) 本システム(シリカ・モノリス) 評価
断熱性能 (U値) 約 0.40 W/m²K 約 0.20 W/m²K 2倍の断熱性能
気密性能 (C値) 1.0 〜 5.0 cm²/m² 0.1 〜 0.3 cm²/m² 極めて高い気密性
耐震性 (靭性) 鉄筋依存(腐食リスクあり) バサルト筋・繊維混入で永続性大 圧倒的優位
メンテナンス性 10-15年毎の塗り替え・補修 不要(100年無機質維持) メンテナンスフリー

心配したが、一般的なRCよりは安く仕上げることができた。また性能にも満足できる。

まとめ

こういうものは計算を細かく詰めていくとだんだん現実に近づいていくものだが、今回もそうなった。だが結論としては、有用性を強く主張できるレベルに留まってくれた。

本検討は遠い将来まで見込んで考えたが、1~100MW程度の実証レベルで出てくるシリコンヒュームの量なら全数はける程度の需要はあるので、さっさと試してみたら良いと思う。

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