ウキクサについて前回説明をしたが、さすがに食べるのに抵抗のあると思う。これは完全にサバイバルを前提とした計算だったが、もし「日常の足しになる+非常時にも何とか持続生産」という仮定であれば、少しは魅力的な生産が可能だ。今回はジャガイモについて計算してみた結果を披露する。
基本的な特徴
説明するのは、家庭用本棚サイズで構築する 噴霧耕(エアロポニック)小型ジャガイモ連続生産システム である。このシステムの特徴は以下のとおりである。
- 芋の生育スピードは初期が速く、肥大するにつれて遅くなる。この性質を利用し、種芋として成立するサイズ程度まで育ったら速やかに収穫し、一部は種芋として残し、残りを食用にする。これによって収量を稼ぐと同時に、本来なら買ってこなければならない種芋を自給できる。
- 種芋の育成によく使われる、「噴霧耕」という手法を使用する。これにより水耕や土耕より遥かに軽量のシステムが構築でき、家庭用として(床を強化せずに)運用することができる。
- 本棚程度のスペース(1800H × 450D × 900W)で、年間約4kg/年程度を収穫できる。
- 生産コストは、市販のジャガイモ0.6円/gに対して2.2円となる。
システム概要
先ほども言った通り、育成棚として 1800H × 450D × 900W 程度のスチールラックを想定する。ここに高さ400mm、幅450mm、奥行き450mmの育成ボックスを1段当たり2つ、4段、計8ユニット設置する。そして、この育成ボックス1つにつき2株の種芋を育成する。
育成ボックスは、最下層が噴霧耕エリア、その上に種芋固定層、その上を光合成層(地上層)として構成する。噴霧耕エリアは完全遮光である。地上層の上にはテープ状LEDを配し、光合成を促す。噴霧耕エリアでは定期的に養液を噴霧し、根に栄養を与える。
噴霧耕エリアに芋が育つのだが、ここでは土も水も必要ない。種芋を育成する「ミニチューバー」と呼ばれる育成法と基本的には全く同じである。
栽培サイクルと生産量
栽培に35日、リセットに5日、計40日を1サイクルとする。これにより年間サイクル数は9回となる。通常のジャガイモでは90日を想定するので、約3割の期間となる。
このサイクルで、1株当たり7.5個x10gの芋が育成できる。1棚当たり15個、1ラック当たり60個 600gが1サイクルで収穫できる。年間では540個・5.4kgの収穫が可能となる。
このうち種芋として16個を残すとすると、食用に回せるのは44個・440gとなる。年間では約3960gである。年間のジャガイモ消費量は、家族4人の場合で30kg程度であるので、その13%程度が賄える計算になる。
だいたい1サイクル30日で、家族4人がカレーを食べる時に使える量、というのが大まかなイメージになる。
年間コスト
まず、養液やフィルタなどの費用を、年間3000円と仮定する。次に電気代だが、1日あたりの消費電力量を約2.5kWhと想定し、電気料金単価を約25円/kWh(一般家庭の平均単価)と仮定すると、年間の消費電力量は912.5kWh、電気代は22,812円と算出できる。
ただ、このシステムは日中に運用する必要はないので深夜電力で行う。すると電気代は半額になる。更にLEDと作物の距離を縮めたり、育成の過程で光量の強弱を調整するなどして更に半分とし、75%を節約する前提で計算すると、年間ランニングコストは8703円にまで圧縮できる。
この前提でグラム単価を計算すると、2.2円/gとなる。市販のジャガイモは0.6円/gなのでまだ3.7倍の開きがあるが、この程度なら趣味としては許容できるだろう。もちろん非常用としての価値はそれ以上に重要である。
その他もろもろ
種芋の味や栄養価は、市販されているそれと比べても同等かそれ以上なのだそうだ。特に注意すべきことはなく、普通に食べられる。皮は柔らかいのでそのまま食べられ、皮付近の栄養価の高い部分も味わえるので、むしろ好ましいと考えられる。
非常時には、太陽電池での運用が考えられる。2.5kWhを賄うためには、パネル容量としては600~700Wが必要である。一軒家の屋根に搭載されている3~4kWのものであれば、余剰電力で十分に運用が可能である。

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