2026年4月20日月曜日

贈与税率を下げよう

 
有名な金持ち本「DIE WITH ZERO」における著者の主張について生成AIと議論していたら、いつの間にかそういう結論に達してしまった、というお話。

著者の主張は、必ずしも財産ゼロで死ぬようにしよう、というものではない。多くの人は使い切れずに溜め込んだまま死んでしまう、これはもったいない、もっと計画的に資産を減らしながら死に備えるべきだ、というものだ。

これに対し、当然反論はあった。その第一は「人はいつ死ぬか分からない」というものだ。これに対しての著者の反論は、「ほとんどの人は資産を増やしながら死んでいる」である。つまり、世界最高の長寿の人であっても122歳が限度であり、99%の人は102歳(日本の場合)までに亡くなるのだから、そこに向けて計画的に資産を減らしながら(自分のために使いながら)生きるべき、というものだ。これは確かに理に適っている。

もう一つの反論は「いつ病気になるか分からない、特に高額医療」というものだが、これに対し著者は「それは保険で賄うべき」というものだ。こちらも理に適っている。

だが、その次の反論から様子が変わってきた。それは「相続させることは有意義」というものだったが、著者はそれを否定している。「相続を目的にすることは間違っている」というのだ。これは価値観の問題だと思うのだが、著者はそれに加えて「子供に渡すなら、十分に若い20~40代の頃に渡すべき。この時期が一番カネが掛かる時期であるが、相続は60代に発生するので既にピークは過ぎており、タイミングとして最悪だ」というのだ。

だが、相続税には大きな控除がある一方、贈与税は控除もほとんどなく税率は極端に高い。だから贈与より相続にしたほうが有利だ。それを指摘したところ、どうも著作にはその辺が触れられていないことが分かった。

そこで改めて、日米の相続税・贈与税に関する制度や運用の実態を調べてみたところ、そもそも米国では相続税と贈与税の制度が一体であり、税率も低く、控除額も極めて大きい事がわかった。結果として、**日本では相続税贈与税が税収に占める割合は8~9%なのに対し、アメリカでは0.1~0.2%**なのだそうだ。ほとんどの米国民にとって相続税や贈与税は関係ない世界なのだ。

DIE WITH ZEROの主張は日本では通用しない、ということで、ここで議論はいったん切れるのだが、その時に分かったことでもう一つ気になったのが、日本はアメリカに比べて世代間格差が大きいということだ。日本では家計金融資産の70%以上を65歳以上が保有しているが、アメリカでは40%に留まる

その理由は主に年功序列や社会不安からの溜め込みなどということなのだったが、まあそれは分かるとして、日本では今、高齢者バッシングが起こっている。その理由は若者が貧困だからなのだが、この結果を見ると、高齢者から若者への資産移転として「相続税率を増やして贈与税率を減らす」という方法が有用であることが容易に想像できる。

先にも言ったが、日本は贈与税率が相続税に比べて極端に高いから、高齢者は贈与をせず相続させようとする。その税率が逆転すれば、贈与=若いうちの資産移転が進むはず、というわけだ。

現在の相続税と贈与税の税率は以下のとおりである。

相続税

課税取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% 0
1,000万円超〜3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超〜5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超〜1億円以下 30% 700万円
1億円超〜2億円以下 40% 1,700万円
2億円超〜3億円以下 45% 2,700万円
3億円超〜6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

贈与税(一般:兄弟・夫婦間、未成年の子への贈与など)

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 0
200万円超〜300万円以下 15% 10万円
300万円超〜400万円以下 20% 25万円
400万円超〜600万円以下 30% 65万円
600万円超〜1,000万円以下 40% 125万円
1,000万円超〜1,500万円以下 45% 175万円
1,500万円超〜3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

贈与税(特例:父母・祖父母 → 18歳以上の子・孫)

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 0
200万円超〜400万円以下 15% 10万円
400万円超〜600万円以下 20% 30万円
600万円超〜1,000万円以下 30% 90万円
1,000万円超〜1,500万円以下 40% 190万円
1,500万円超〜3,000万円以下 45% 265万円
3,000万円超〜4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

どうだろう。まさに桁違いの税率だ。今の税率なら、贈与なんてバカバカしい、相続一択、と考えるのが自然である。だからこそ、これを変えることの意味は大きい。

このアイデアを生成AIに聞いてもらったところ、珍しくしつこく否定してきたのだが、どの反論も稚拙で簡単に論破できた。ただ一点、若者はマネーリテラシーが低いはずだから、ただ渡してしまえば無駄遣いに終わるだろう。それは贈与する側がしっかり見てやれるような制度を作ってやればよいと思う。例えば信託のように、権利を完全には与えず一部で手綱を握れるような制度だ。

もちろん若者の所得を上げる政策は別に行うべきだが、この提案は十分に検討に値すると思う。

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