2024年12月11日水曜日

境界知能の人の教育と仕事

 知能指数にしてIQ70未満の人が知的障害、IQ70以上85未満人を境界知能と呼ぶ。知的障害者が2%、境界知能が14%で、合わせて人口の16%に当たる。

こういった人たちのための教育には、特別支援学級や特別支援学校が存在する。だが、これは知的障害だけでなく肉体的障害の子供も含まれる。これを統計的に見てみると、

  • 境界知能: 約14%
  • 知的障害: 約1~2%
  • 視覚障害: 約0.1%
  • 聴覚障害: 約0.1~0.2%
  • 肢体不自由: 約0.2%
  • 病弱・虚弱: 約1%

となるそうなので、境界知能が圧倒的に多いことが分かる。そして境界知能は立場的に中途半端なため、普通学級で劣等生として扱われ、自信をなくしてしまうようなことも多いと考えられる。障害者保護などにおいても、検討の対象から外れてしまうことが多い。だが彼らは人口の14%もいる。彼らが無視されるのは社会の損失である。

ここから考えるのは、特別支援学級や特別支援学校の対象として、境界知能はふさわしくないのではないか、独立させた方が良いのではないか、ということだ。14%の境界知能者向けの教育機関を新たに設け、特別支援学級や特別支援学校はその他の障害の子供に専念する方が効率が良いのではないだろうか。

境界知能の人は肉体的問題はないので、将来的には主に肉体労働(ないしは芸術的労働)についてもらうことを前提として、知能の部分をAIなどで補完するように社会を構成する。もちろん知的部分で騙されないように、信頼できるアドバイザとしてのAIである。騙そうとする輩から彼らを保護するための社会的仕掛けさえあれば、彼らは社会で活躍できる。

肉体労働とは言っても、筋肉が必要な訳ではない。現代では機械がサポートしてくれる。知的な部分で迷ったら、(AIの)指示通り動けば良い。そしてそういった系統の職業では境界知能を優先させ、健常者の就業を制限するようにする。例えば建築業界なら建築業界が全てそのようなAIをデフォルトとする。こうすると、平均知能以上の人は建築業界にはいなくなる(厳密には監督など指示系統には必要)。そういう人は知的労働に廻ってもらう。

こうなると、少ない人口の中で各々得意分野に棲み分けができるので、社会全体の効率は良くなるし、今まで活用できていなかった境界知能の人が生き生きと働けるようになる。効率化の程度は10〜20%くらいは行けるのではないかと思う。今でも境界知能の人は社会に出ているが、この仕掛けが回ればもっと活躍できるだろうし、所得も上がるだろう。AIを用意するコストは、当初は大きいだろうが、これは国が補助をしてやればよい。

社会的仕掛けとしては、境界知能認定を行う必要がある。免許のようなものだ。この認定を受けると上記のような職業に優先的に就業できるようになる。また法律で、認定者に対して直接あらゆる契約をすることは禁止として、AIないしは担当カウンセラー経由で行うことが義務付けられる。

これは買い物のようなものも同じで、例えばコンビニで買い物をするにもAIの確認が必要である。ただ、その内容をいちいちチェックするのではなく、金額や頻度などから怪しいと思えば分析する、くらいの介入になる。一方で高額な契約や継続的な契約は一切認められない。このためにも、当人の現金やクレジットカード・電子マネー等は全てAIが把握するようにする。AIの手に余るものは、担当カウンセラーないしは専用コールセンターが24h365dで待機しており、音声での相談が受けられる。

雇う企業の側にはライセンスが必要であり、定期的な審査もある。認定者への作業要求が過大でないこと、適切な支払いがあることの確認が必要である。その代わり、対応のための費用は国の補助が出る。

このようなAIが出てくるのはまだ数年掛かるだろうし、その信頼性が確認されるのにも更に数年掛かるだろう。5〜10年後くらいを目処に、こういった社会制度の整備を検討してはどうかと思う。

また、これは知的障害以外にも同様のことが考えられる。例えば四肢障害において、ロボット義手やBMIのサポートを前提とした知的労働への参加を補助するようなものだ。外国人なら自動翻訳など、事情に応じた機械やAIの補助とその資格認定、国の補助を組み合わせる。

境界知能の人は人口の14%もいる。この数は無視できない。彼らの有効活用は、社会の効率化になっているし、彼らの尊厳も維持向上できる。少子高齢化への対策としても有効である。

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