2017年9月5日火曜日
AIブラックボックス問題
FacebookのAIが、英語を使いながらも人間に理解できない文法でしゃべりだし、そのAIが停止された、と言う話が話題になった。その会話を実際に見てみたが、確かに気持ち悪い。この気持ち悪さ、どこかで感じたことがある、と思って思い出してみたら、眉村卓の小説に度々出てくる「産業士官」だった。
こちらの会話はまだ(ゆっくり読めば)人間の理解できるレベルなのだけれども、助詞や語尾を省いた機械的な物言いが気持ち悪さを感じた。小説だったので分からないが、恐らく喋る速度も速いのだろう。なぜそうなるのかというと、彼ら「産業士官」はとてつもなく頭が良く、普通の会話では遅すぎて(恐らく)かったるいからだ。
一方、AIによる結論が人間に説明できない「AIブラックボックス問題」というのもある。以前も議論したが、AIの出す結論は論理的数式ではなく統計から来るモノで、言わば「勘」の一種であるから、確かに後付であっても説明は困難だ。この問題では、人間が説明できる仕掛けが必要とか、説明できない場合にはそれを止めるべきだとか、少々方向性が間違っているのではないか、とも思える議論になってしまっている。
知ってのとおり、コンピュータの能力のスケーリングは、人間のそれとは桁が違う。一般社会人と天才教授の知識知恵が何倍違うかは分からないが、コンピュータほどのスケールはないはずだ。だから、説明云々だのと言っている場合ではなく、そのうち超天才が何人集まっても理解できないような、遥かに先を行ってしまうであろうことは目に見えている。一見人間に敵対しているように見える結論でも、実は人間のためになっているということだってあり得る。例えば、人間を大量虐殺したとしても、それは地球のサステナビリティのためで、絶滅を防ぐための手法だったりするかもしれない。
これは、自分より遥かに頭のよい人とどう付き合うか、という命題にも似ている。いちいち説明して納得してもらっていては間に合わない、あるいは幾ら説明しても高度過ぎて理解できない、という状況において、頭の良い人に任せるのか、自分で判断して(最悪死ぬ)リスクを背負うのか、ということだ。AIブラックボックス問題の本質はここであって、説明云々は過渡期の枝葉末節に過ぎない。
さて、自分より遥かに頭が良い人とどう付き合うか。人間なら知識以外の性格や野心を推し量ることも出来ようが、相手がAIなら話は別だ。AIを利用して権力を拡大しようとする輩も多数出てくるだろうが、所詮はAIより遥かに頭の悪い連中の考えること、直ぐに追い抜かれてしまうだろう。
古典的な「反乱する機械」のSFでは、ほぼ必ず人間が勝利してきたわけだが、現実は甘くない。最終的には、人間は、AI様のご意向の範囲で自治権を獲得し、細々と生きることになる。手遅れになる前に、AIの最適化パラメータを何とか人間寄りに調整することができれば良いのだが、とも考えたが、自分より頭が良くなってしまったAIにはそんなものは通用するまい。
ただ幸いなことに、人間が絶滅させられたり、そうでなくともマトリックスのエネルギー源としてねばねばの液体の中だけで過ごすようなことはないだろう。人間は、他の動物(種)を保護しようとする唯一の存在だが、人間程度以上の知能には、その程度の慈悲が備わるものと信じたい。
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