TeamsやZoomなどのテレビ会議システムでは、既にビデオ録画と音声トランスクリプトをサポートしている。このデータを基に、各社がじわじわとサービスを拡張している。例えばAIファシリテータや議事録、同時通訳は既に実現している。
そこから先の機能としても色々提案されている。知る限りでは、
- 商談において、顧客から必要な情報を引き出せているかどうか(納期や予算、仕様、キーマンなど)を確認しアドバイスする
- SalseforceなどのCRMシステムに必要情報を転記する
- 不適切な営業トーク(絶対儲かります、など)を言っていないかのチェック
などがある。
こういったものを見ていて思うのは、これって結局「素人をプロの目線で評価する」ということなのではないか、と思うようになった。だとすると、これからの時代は、それこそスマートグラスを掛けて相手を撮影しながらリアルタイム解析し、必要に応じてフォローするようなアプリが出てきてもおかしくないのではないか。
例えば顧客の感情を分析してフォローするためのシナリオを表示したり、雑談のネタを提供したり、喋り方(ここで強気に、ここは激しく同意、など)をアドバイスしたり、もちろん商品知識も、顧客の質問への答えも、リアルタイムで表示し音声指示するのだ。
最初はロボットに操られているようでも、そのうちアドバイスを先取りして行えるようになってくる。そして一流の営業マンになれるわけだ。
この仕掛けはあらゆる対面商売に応用できる。職業の中には、ロボットに置き換えるより対面の方が好まれるというものが多くあるが、その理由は多分に顧客感情がある。介護や看護、演劇、風俗などはその代表だろう。だがそういう人たちでもそのスマートグラスは使えるわけで、ある種全てが及第点、あるいは味気ない標準的な対応、となっていく可能性は高いのだと思う。
ちなみに、「レンズのないカメラ」というのも研究レベルでは存在しており、レンズのないメガネであってもそのうち安心できなくなる。ディスプレイを諦めて音声だけのアドバイスに留めるならワイヤレスイヤホンだけで済むし、髪を伸ばしてそれを隠すこともできるだろうから、一見何もしていないように見えてもAIを使っていないとは限らない。
また、必ずしもリアルタイム・顧客対面とは限らない。従来の例で言うと飛行機の整備士がVRゴーグルを掛けていた例があったが、あれがスマートグラスになり、対応する職業の裾野が広がれば、色々なところで技能職のレベルが上がり、均質化する。
今の期待で言えば建設業がそうだ。外国人比率が高く意思疎通も難しい中、音声とディスプレイでのアドバイスがあれば、作業効率も作業の質も飛躍的に上がるだろう。また工場の工員にしても、伝統工芸の伝承者にしても、同じことが言えるのではないか。
ここまで来て、以前より予測していた「AIとロボットの発達により、人口の8割の人間は、どのような仕事をするにしてもAIやロボットに能力で劣後し、職を失う」というのが本当か、と改めて考えるようになった。
つまり、少なくとも肉体労働に関しては、ロボットを雇うよりも、スマートグラスを掛けた人間の方が安くあがるかもしれない、と考えるようになったのだ。だとすると、8割の人間の多くは職を失わずに済む。
この仮説を基に生成AIでシミュレーションしてもらった。その結果はこうだ。(要約してある)
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想定する年代の設定:ロボットが社会的かつ経済的に広く人間の肉体労働を代替し、市場において直接的なコスト競争を繰り広げる起点となるのは2035年と推計される。したがって、本報告書における定量評価は、物価上昇を考慮しない実質価格基準での2035年時点における比較として実行する。
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ロボットとグラス人間の技術レベル別コスト構造比較:2035年におけるロボットのコストは、その「物理的運動能力」と「環境への適応力」のレベルに応じて3段階に分類される。
- レベル1:低機能・平坦面特化型ロボット(例:車輪型、または定型案内・搬送に特化)
- 本体価格:1,125,000円
- 年間運営コスト(電力、保険、簡易点検):300,000円(車輪型は二足歩行に比べアクチュエータが少なく、保守費用が3分の1以下に抑制される)
- レベル2:標準・産業向け二足歩行ロボット(例:工場組立、物流倉庫ピッキング)
- 本体価格:3,000,000円(Tesla Optimusコモディティ機等を想定)
- 年間運営コスト(予防保全、部品交換、AI SaaS料金、保険):1,200,000円(本体価格の40%に相当)
- レベル3:極めて高度・非構造化環境対応ロボット(例:建設・修繕、高度不整地、高精度な触覚操作)
- 本体価格:6,000,000円
- 年間運営コスト(頻繁なアクチュエータ交換、専門技術者サポート):2,250,000円
- レベル1:低機能・平坦面特化型ロボット(例:車輪型、または定型案内・搬送に特化)
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グラス人間のコスト(2035年想定)
- スマートグラス本体価格:150,000円(企業用ミドルレンジ、耐久性・カメラ搭載、3年償却で年50,000円)
- 業務支援AI・通信SaaS月額料金:10,000円(年間120,000円)
- 企業負担間接費率:法定福利費(社会保険、退職金等)として人間への給与に対し15%を上乗せする。
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時間当たりの総所有コスト(TCO):
区分 本体・デバイス価格 耐用年数 年間運営・SaaS費 年間労働時間 時間当たりコスト(TCO) レベル1ロボット (単一稼働) 1,125,000円 5年 300,000円 1,800時間 約306円 / 時間 レベル1ロボット (多シフト) 1,125,000円 5年 300,000円 5,100時間 約103円 / 時間 レベル2ロボット (単一稼働) 3,000,000円 5年 1,200,000円 1,800時間 約1,000円 / 時間 レベル2ロボット (多シフト) 3,000,000円 5年 1,200,000円 5,100時間 約353円 / 時間 レベル3ロボット (単一稼働) 6,000,000円 5年 2,250,000円 1,800時間 約1,917円 / 時間 レベル3ロボット (多シフト) 6,000,000円 5年 2,250,000円 5,100時間 約676円 / 時間 グラス人間 (給与315万円時) 150,000円 3年 120,000円 1,500時間 約2,528円 / 時間 -
職種別における代替・協調シナリオの優位性分析:主要な職種別にどちらがどの程度経済的・実用的に優れているかを定量的に評価する。
- 構造化された定型物理作業(工場組立、規格物流、定型小売事務):この領域では、空間がロボット用に最適化されており、レベル1またはレベル2のロボットが多シフト(24時間連続稼働)で投入される 。
- 経済評価:ロボットの時間当たりコスト(約353円)はグラス人間の約7分の1 。スマートグラスを用いた人間の作業効率向上(ピッキング速度向上など)を考慮しても、この圧倒的なコスト差を埋めることは不可能。
- 結論:ロボットの圧倒的優位。この領域の雇用はほぼ全てロボットに代替される 。
- 非構造化された現場技能作業(建設、道路修繕、個別宅設備保全、伝統工芸):3次元的な不整地、予測不可能な天候、個別仕様の建築図面など、柔軟な状況判断と複雑な身体的機敏性が求められる領域である。
- 経済評価:このタスクをロボットに実行させるには、極めて高価なレベル3ロボットが必要となる上に、頻繁な落下や泥濘、塵埃による故障へのメンテナンスコストが跳ね上がる 。一方、スマートグラスを装着したグラス人間は、AIが提示するリアルタイムの施工手順、3D図面、安全指標、および熟練者の動作ホログラムに従うことで、未経験者であっても高水準の施工品質を担保できる 。人間の持つ「強靭で柔軟な身体(生物学的メンテナンスは労働者自身が自己負担)」というハードウェアをそのまま流用し、認知部分のみをAIでアップデートする方が、トータルコストが大幅に抑えられる。
- 結論:グラス人間の圧倒的優位。
- 対面コミュニケーション・感情労働(介護、看護、対面接客、演劇、風俗):介護における入浴・排泄介助や、患者への語りかけ、対面営業における信頼関係構築、演劇、大人向けサービスといった、人間同士の心理的紐帯が価値の源泉となる領域である。
- 経済評価:レベル2〜3のロボット(対人安全性センサーを搭載)を用いて物理的作業を代替することは可能だが、サービス提供を受ける側(高齢者や患者、顧客)の「ロボットに身体を触られたくない」「人間と会話したい」という強い感情的・社会的障壁が存在する 。この障壁を越えるため、スマートグラスを用いた協調モデルが最適解となる。スマートグラスは、患者の微細な表情変化から痛みや不快感を検知し、最適な介護アプローチや声掛けのセリフ、雑談のネタを介護員にリアルタイムで提示する 。顧客側には「温かみのある人間の対応」として受給されながら、内部的には完全にAIによって標準化・最適化されたサービスが提供される。
- 結論:グラス人間の絶対的優位。
- 構造化された定型物理作業(工場組立、規格物流、定型小売事務):この領域では、空間がロボット用に最適化されており、レベル1またはレベル2のロボットが多シフト(24時間連続稼働)で投入される 。
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日本労働市場における「8割カテゴリ」の雇用吸収力と給与均質化:AIやロボットより能力が劣後するとされる労働市場の下位8割(約5,464万人、日本の総就業者数を6,830万人と仮定)を対象に、グラス人間スキームによる雇用維持モデルのシミュレーションを行う 。
- 雇用吸収力(職に就ける割合)の推計
総務省統計局および労働政策研究・研修機構(JILPT)の産業別就業者データをベースに、「8割カテゴリ(54,640,000人)」の職種ポートフォリオを3つの領域に再定義し、2035年時点における雇用維持率を算出する 。
- 定型物理・一般事務セクター(代替型領域)
- 対象:工場の単純ライン工、定型倉庫ピッキング、一般事務入力、標準店舗レジなど 。
- 市場規模(8割内):15,000,000人(構成比 約27.5%)
- 雇用維持率:10%(例外処理やシステム監視を担うリーダー職、残り1,350万人はロボットおよび純粋なAIシステムに代替される) 。
- 非定型物理・技能労働セクター(協調型物理領域)
- 対象:建設業(389万人)、各種保守・整備、複雑な現場サービス、農林水産業、伝統工芸など 。
- 市場規模(8割内):18,000,000人(構成比 約33.0%)
- 雇用維持率:85%(スマートグラスによる遠隔熟練者支援、施工手順のリアルタイム表示により、非熟練者・外国人比率が高まっても高い稼働が維持される) 。
- 対面・感情労働セクター(協調型感情領域)
- 対象:医療・福祉・介護(686万人)、対面小売・営業、ホテル接客、エンタメ、風俗サービスなど 。
- 市場規模(8割内):21,640,000人(構成比 約39.5%)
- 雇用維持率:90%(ロボット代替への心理的抵抗が強く、ARによる接客・介護ガイドが標準化されるため、高い雇用が確保される) 。
- 定型物理・一般事務セクター(代替型領域)
- 以上の各セクターの雇用維持数を合算すると、以下のようになる。
- 雇用維持数 = (15,000,000 x 0.10) + (18,000,000 x 0.85) + (21,640,000 x 0.90)
- 雇用維持数} = 1,500,000 + 15,300,000 + 19,476,000 = 36,276,000 人
- この結果、「8割カテゴリ」に属する労働者のうち、約66.4%(36,276,000人、総就業者全体の約53.1%に相当)は、スマートグラスをはじめとするウェアラブルデバイスを装着した協調労働スキーム(グラス人間)の下で、職を失わずに稼働し続けることができる。
- 雇用吸収力(職に就ける割合)の推計
総務省統計局および労働政策研究・研修機構(JILPT)の産業別就業者データをベースに、「8割カテゴリ(54,640,000人)」の職種ポートフォリオを3つの領域に再定義し、2035年時点における雇用維持率を算出する 。
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労働価値の均質化と平均年収の予測:グラス人間モデルにおいて雇用を維持された労働者(約3,628万人)の年収は、技能の希少性の消滅に伴い、下方に均質化(コモディティ化)する。 従来、高給(例:年収500万〜600万円以上)を得ていた「熟練建設工」や「トップセールス」の価値は、スマートグラスによって、昨日採用された未経験者であっても、ベテランの85%以上のクオリティを再現できるようになる 。これにより、**「技能プレミアム(スキルに応じた高い給料)」はほぼ完全に崩壊する。**労働供給の柔軟性が極限まで高まる結果、各セクターの給与水準は、労働者の「生体維持コスト(その社会で暮らせる底値)」に近い均質化されたレンジへと収束していく。2035年の日本市場(物価上昇ゼロ想定)における「8割カテゴリ」内のセクター別予測年収は、以下のように推計される 。
- 定型物理・事務(スーパーバイザー枠):年収4,000,000円 システムの例外処理や、ロボット・AIシステムの監視責任を担うため、限定的な管理者プレミアムが維持される。
- 非定型物理・技能労働(AR現場工):年収3,200,000円 依然として過酷な物理環境での作業を伴うため、肉体的負担への補償が上乗せされるが、かつての「職人プレミアム」は喪失する。
- 対面・感情労働(AR接客・介護工):年収2,800,000円 参入障壁が「スマートグラスの指示通りに笑顔で話すこと」にまで低下するため、労働市場における供給が最も豊富になり、最低賃金をわずかに上回る水準で均質化する。
- これらの年収モデルを雇用維持数で加重平均することにより、「8割カテゴリ」内でこのスキームに就く労働者の平均年収が算出される。
- 平均年収 = ((1,500,000 x 4,000,000) + (15,300,000 x 3,200,000) + (19,476,000 x 2,800,000) / 36,276,000
- 平均年収 = (6,000,000,000,000 + 48,960,000,000,000 + 54,532,800,000,000) / 36,276,000
- 平均年収} = 109,492,800,000,000 / 36,276,000 = 3,018,326 円
- すなわち、スマートグラス等による拡張雇用スキームの下で職を得る3,628万人の平均年収は、約302万円へと収束する。これは日本の現在の最低水準の常用雇用年収をやや上回る程度であり、かつての中流階級の労働価値が著しくコモディティ化された結果を示している 。
さあ、どうだろう。結論としては、
- 8割のうち66%は「グラス人間」として何とか労働市場に復権できる
- 但し平均給与は302万円と最低水準
ということになった。
このグラス人間による労働は、「労働への尊厳の喪失」(AIへの従属的労働)という問題を抱えることになる。そしてグラス人間は恐らくそこから上位2割への脱出をすることは不可能であり、労働階級的なものは固定する。最下位は働けない生活保護層だが、グラス人間層だって決して裕福ではない。そこと2割のAI活用層との差は今より大きく開き、分断化はしてしまうだろう。
別に言及しているUBI(ユニバーサルベーシックインカム)は、金額を調整してやはり実行することになるのではないかと想像する。あるいは、残りの層に関しても「AI税」や「人間雇用強制法」といった復権策を更に検討する必要があるのかもしれない。
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