2026年6月4日木曜日

Google I/Oの印象

2026年5月19日から20日にかけ、Google I/O 2026が開催された。

この中のデモで、印象に残ったものが二つあった。

第一は、ブラックホールについての検索でリアルタイムに解説動画を作ってくれたところ。第二は、質問に対してアプリを作ってしまった(週末プランナー)ところだ。

両者に共通しているのは、検索でもAI分析でもなく、動的に(オンデマンドで)何かを作る、というところだ。

そこで考えたのは、これらが深化していったら恐ろしいな、ということだ。

第一の解説動画だが、言うまでもなくこれは教育を画期的に進化させる。特に、従来は難しかった立体への理解が格段に進むと思われる。例えば小学校では、平面図から立体を想像したり、さいころの展開図を考えたり、斜めから立体を見て隠れたところを想像させたり、ということが行われてきたが、これらの理解が進む。また数学や物理などでも立体図形を秒速で生成できるので、これらの空間理解が劇的に簡単になるだろう。

もちろん教育の後には研究が待っている。こちらも普及するだろう。これは研究者の裾野を広げる重要な意味があるので、そこが進めばその分野の研究は一段と進化することになる。

だが第二の方が重要だ。Geminiのような汎用のAIが、ちょっとしたユーザのリクエストに対してアプリを作って対応してしまう、つまり使い捨てのアプリが登場した。今はまだ簡単なものだが、当然これは徐々に進化していき、簡単なものからアプリそのものが不要になっていく。

音楽が自動生成されるようになり、無料のBGMがダウンロード可能になっている。もうこのレベルの作曲家は必要ない。もう少し進化すると、劇伴も必要なくなり、役者もCGになり、映画一本全てAIでできるようになるだろう。その先は、オンデマンドで映画ができる世界だ。しかも今日の気分に合わせて勝手にセレクト(生成)してくれる。それと同じように、プログラムも進化していく。

自分も、Google AI Studioなどを使って、自分好みのエディタを自作したりしている。この痒い所に手が届くような感覚は、とてもありがたい。今までは多数あるエディタを試しては破棄してきたところ、そんな手間をかけるくらいだったら最初から作ってしまえ、と言えるのがこの時代なのだ。

こうなると面白いのは、業務アプリとの兼ね合いである。

「業務アプリがオンデマンドで生成される時代が来る」という懸念がある一方(これはこれで怖いのだが)、「業務アプリは必ずしも生身の人間を相手にしなくてもよくなる」という期待も持てる時代になったのだと思う。つまり、素人の人間はAI+オンデマンドアプリで「武装」することで、いわゆる「情弱」状態を回避することができるようになるのだ。

一例を挙げると、今の多くの企業では、ユーザからの質問を回避するための「ダークパターン」が横行している。電話や人間のチャットには直接繋げないよう、FAQやAIチャットでユーザの行く手を阻み、フリーダイヤルをナビダイヤルにして抵抗感を上げ、質問をさせないように誘導している。

だがユーザがAI武装していれば、これらの突破は容易である。その企業のHPに合わせて「質問アプリ」をオンデマンドで作成し、それを中継すればよい。それは、ユーザの質問がFAQにあるなら直ちに示し、最初から電話対応すべき内容だったら(番号を調べずとも)直ちに電話を掛けられる。これによって企業への迷惑が掛かるわけではない。

また、そのプログラムは、稚拙な企業のHPから、理解しやすい解説動画を伴うものになっているかもしれない(第一と第二の融合)。ただFAQを示すだけよりずっと理解が進むので、ユーザの満足度も上がるだろう。

もう一つ例を挙げると、補助金申請や確定申告など、「能動的に動くことによって得をする」仕掛けを積極的に使えるようになる。従来だと窓口を示すだけだったところ、個人の事情に合わせてプログラムを書き、最低限の質問で自動対応するようなことができるだろう。これによって、例えば確定申告の相談会のようなものは不要になる。自分にとっても相手にとっても都合の良い「Win-Win」の関係だ。

なお、業務アプリがオンデマンドで生成される時代は、直ぐにはこない。業務アプリは規模も大きく、内容も複雑で、正確性も即時性も可用性も、強く要求されるからだ。だが何れはAIに乗っ取られるだろう。その間にSIerは今後の身の振り方を考えねばなるまい。

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