
前回の太陽炉プランについて定量的に計算した結果、国内に残るシリカフュームの量が余りにも膨大であり、全部の処分はおろか殆ど売れないことが分かった。コンクリートの超高強度添加剤としての国内の需要は年間350万トンがせいぜいであるのに対し、生成されるシリカヒュームの量は4.76億トンにもなるからだ。そこで、それらを考慮に入れたプランを再度設計してみた。
1.発電量と必要なケイ素の輸入量
1MWの太陽炉(テニスコート1面分、200平米)で作られるケイ素粉の量は59.73トン/基・年となる。このケイ素を使った発電所で発電できるのは268.785kWhである。
これに対して、日本の年間総電力需要は約1兆kWhだそうだ。これを全てケイ素粉燃焼発電に置き換えるとすると、年間のケイ素の輸入量は2.22億トン、必要な1MW太陽炉の数は372万基となる。
2.22億トンを輸入し燃やすと酸素と結びついて重くなり、4.76億トンとなる。日本の年間のコンクリート需要は1.7億トンであり、そこに10%シリカヒュームを添加するとすると1700万トンしか需要がない。残りのシリカヒュームは余ってしまう。
余ったら海外に売れるかというと、そう甘くはない。太陽炉は当然日本だけでなく世界に進出するので、世界中でシリカヒュームは余ることになる。だからコンクリート添加剤以外での活用法を見つけるか、砂漠に送り返す必要がある。
2.余ったシリカヒュームの活用
以下は、シリカヒュームの年間総発生量4.76億トンをどう消費するかの概要を、生成AIの助けを借りて検討してみた結果である。
| オプション名 | 技術的概要 | 製法・加工プロセス | 年間需要・割当(現状ベース) | コスト構造(トンあたり) | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ① 超高強度添加剤 | ポゾラン反応とマイクロフィラー効果による100N/mm²以上の超高強度コンクリート化 | 回収された乾燥微粉末をそのまま(無加工で)使用 | 350 万トン(国内セメント需要の10%) | ▲120,000 円(売却益) 加工費:0円 |
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| ② コンクリート骨材 | 川砂(細骨材)や砕石(粗骨材)の完全代替。丸みによる流動性向上(ベアリング効果) | 転動造粒(パンペレタイザ)による粒径制御(0.15〜25mm)+常温養生 | 1 億 4,200 万トン (国内砂・砂利実需の100%) |
加工費:+1,000 円
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| ③ 道路の永久路盤材 | アスファルト等の下層・上層路盤材。既存砕石の隙間を埋め、陥没や摩耗を永久防止 | 造粒プラントでの中継サイズ(5〜10mm)加工、または現地土壌ミキシング | 5,000 万トン (国内道路用砕石需要を網羅) |
加工費:+1,000 円
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| ④ 防災盛り土・人工地盤 | 津波避難マウンドや河川堤防のコア(芯材)。大雨や地震でも決壊しない高靭性土壌化 | 粉末シリカに水と石灰系固化材を大量混練し、現地でバルク転圧・硬化 | 1 億 1,005 万トン (国土地強靭化計画への割当) |
加工費:+1,000 円
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| ⑤ 液状化対策 | 軟弱地盤・臨海砂地盤の隙間にシリカを充填し、地震時の過剰間隙水圧上昇を完全抑制 | 現場近傍で水と等倍ミキシングし、高濃度シリカスラリーとして地中注入 | 3,000 万トン (全国の港湾・臨海都市インフラ) |
流動化費:+500 円
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| ⑥ 埋め立て用人工ガラ | 上記①〜⑤で溢れた残りの全量を、環境影響ゼロのクリーンな不活性人工石として港湾投入 | パンペレタイザで粗大粒(10〜30mm)に簡易造粒、常温ポゾラン反応で固定 | 1 億 4,000 万トン (マクロ調整用の余剰全量吸収) | 造粒加工費:+1,000 円
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| ⑦ 余り(送り返し) | 国内需要をオーバーフローした分を、バルクキャリアで精錬元の砂漠太陽炉へ反転輸送 | 未加工粉末、または船積み用フラッシュ防止簡易造粒 | 0 トン (国内完全消費のため返送なし) |
返送物流費:6,000 円 (※本モデルでは発生せず) |
同じシリカヒューム粒のサイズを大きくしてやれば、埋め立てに使える(⑥)。この量は、羽田空港くらいの面積を埋め立てるのに使える量だそうだ。東京湾の埋め立て需要はまだまだあるし、ごみ処理場(夢の島)建設にも有望で、全国に需要がある。またこれは、石炭などの廃坑の埋め立てや、造成、地盤沈下などの対応にも当然使うことができる。中身はシリコンや石灰などであり全く無害である。
3.最終的な発電コストの計算結果
国内でのシリカ有効活用プロセスにおける足し算(費用)と引き算(売却益・サービス収益)をすべて年間ベースで相殺した結果、国内シリカ処理事業全体から
年間約 3,060 億円の純利益(黒字)
が生まれるという試算が出た。これを、日本の年間総需要1兆kWhを満たすためのマクロコストに組み込み、最終的な発電コストを計算する。
- 砂漠側・太陽炉精錬コスト(OPEX): 4.444 兆円 / 年
- 往路・海上物流運賃(純シリコン片道): 0.666 兆円 / 年(※復路に別貨物をチャーター可能なため片道分に縮小)
- 日本国内・発電所グリッド運用費: 4.425 兆円 / 年
- 国内シリカ有効活用による総純利益: ▲0.306 兆円 / 年(コストの引き算要素)
システム総年間運営費用=4.444兆+0.666兆+4.425兆−0.306兆=9.229 兆円 / 年
これを、日本の年間総総電力量(1兆 kWh)で除算
基本発電単価=1,000,000,000,000 kWh 9,229,000,000,000 円=9.23 円 / kWh
さらに、日本国内の送配電網における実効的な送電ロス(グリッドロス等、一律4.0%)を厳密に上乗せ補正
最終実効発電コスト=9.23 円×1.04=9.60 円 / kWh
国内完結型シリカ全量有効利用モデルの最終コスト: 約 9.60 円 / kWh
最初の試算よりはずいぶん高くなってしまったが、現在の日本の電力市場価格(15〜25円/kWh)よりは大幅に安くなることは確認できた。
なお、コンクリート添加剤としてのみ使い、余った分を単純に砂漠に送り返すというモデルでは4.41円/kWhとなり、こちらの方が大幅に安い。しかしシリカ有効利用モデルの真の恐ろしさは「電気を1兆kWh灯すたびに日本国内のすべての砂・砂利枯渇問題が消滅し、インフラが200年耐久にアップデートされ、毎年羽田空港1個分のクリーンな新国土(人工島)が実質タダで手に入る」という、エネルギーと国家インフラ拡張が完全に一体化した自己増殖型の超強靭国家グランドデザインへと昇華する点にある。
4.結言
これは国内の発電全てをケイ素燃料発電所にする場合の試算なのだが、実際には商用のケイ素燃料発電所が国内に1基もないのが現状である。またエネルギーミックスは安全保障上も必須であり、全部を一つの発電方法にすること自体が非現実的(むしろやってはいけないこと)なのであるから、心配の先走りにも程があるとは言える。一方、1MW程度の太陽炉なら難しくもなんともないわけで、いわゆるリーンスタートアップは十分に可能と考える。
発電所と建設業界のタッグとはなんとも興味深い組み合わせだ。ぜひ検討してもらいたいと思う。
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