2026年6月20日土曜日

安価な高視野角VRゴーグルの設計

Meta Quest 3の視野角は110°(横方向)らしい。だが人間の視野角は180~220°くらいはあるそうで、実際に見てみると周辺視野は確かに限られており、潜望鏡を覗いているような気分になる。

これは何とかならないものかと調べてみると、市販の相当高いモデルでは120~140°程度のものはあるのだそうだ。だがこれらは高いだけでなく超巨大で重量も重く、相当に使いづらい。

高視野角が難しい理由はレンズとディスプレイにある。特にレンズが問題で、目の前に置く以上、180°のレンズなんてものは存在し得ない。先に紹介した高いモデルでは、左右の目で各々角度をつけているが、片目で見ればやはり110°程度が限度で、人間の片目視野角である150〜160°には及ばない。

そうしないためにはディスプレイとレンズを複数(正面、左右、上下)配置する必要があるが、そうすると境目の映像処理が大変で、頭の向きと目の向きと合わせた計算を超高速で行う必要があり、計算機負荷が高く困難である。この計算が完璧でないと、空間に境目ができたり画像が歪んだり、またいわゆるVR酔いが起きてしまう。

これを何とかしようと色々考えてみた結果、あるアイデアを思い付いた。

まず第一に、視野角220°まで作る。とは言っても周辺視野は同じ解像度でなくてよい。つまり中央の110°は従来通り高解像度だが、周辺の左右上下はぼやけていてよい。

これに従い、中央は従来通りのパンケーキレンズと高解像度ディスプレイを使うのだが、周辺視野には「フレキシブル基板に搭載したマイクロLED等の自己発光素子を並べたもの」を使う。これを筒状に丸め、周辺視野を覆うようにする。

ここでのポイントは二つある。第一は、この周辺視野用ディスプレイにはレンズを搭載しない。従って超近距離のため必然的にボケるのだが、それはそのままで良しとする。そもそも周辺視野はボケていてよいという前提だからだ。

第二のポイントは、このゴーグルを被っている状態は「メガネを掛けている状態と同じ」と定義し、メガネのフチも実際に作ることだ。メガネのフチはユーザに見えており、そのフチを境にして高解像度部分と低解像度部分を分けるのである。

なぜこんなことをするのかというと、先程の周辺視野部分と中央視野部分の境目の問題を解決するためだ。フチの中と外で映像が違うことにはそもそも違和感がなく、境界を自然に見せる計算が不要になる。レンズが不要であることで薄く作れ、光学的な調整も至極楽になる。

つまり、周辺視野と中央視野の境目の不自然さを、高度な計算なしに無くすと共に、光学系が簡素化されて低価格で実現できるというわけだ。また軽く作ることもできるだろう。

まあ低価格とは言ってもMeta Quest 3よりは遥かに高くなるのだろうが、それでも周辺視野をサポートすることの意義は大きい。座って、あるいは限られた安全なエリアでのみ短時間使うという従来の使い方から大きく羽ばたき、4時間以上の長時間に渡って使え、特にVRゲームなどで周辺の状況をいち早く知ることができる、外で使っても危険は少なくなる、といったメリットがある。

これらのアイデアは、既存の技術の延長で直ぐにでも可能である。機器メーカ殿にはぜひチャレンジしていただきたいと思う。

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