2019年7月9日火曜日

ブロックチェーンは必要ない


以前から指摘していることであるが、ブロックチェーンは、取引履歴が際限なく溜まっていくという根本的な欠点がある。また、分岐が結構起こるのでそこで使用者が減ると、51%攻撃を受けやすくなる。

これ以前から、電子証明書による書類の真贋確認の技術はあった。これなら一度作った書類の改ざんは不可能だし、要らなくなったファイルは捨てるなりアーカイブできる。紛失の問題は、単純に複製分散すればよい。これをもっと活用すべきである。

欧州のeIDASにあるような仕掛けを使えば、個々の書類をコントラクトとすることは可能だ。即ち、ある書類を受け取り、受領証を返信した時点で、その書類の内容は確実に相手に伝わったことを証明できる。通貨の取引一つに大げさと思うかもしれないが、レシートと思えば問題なかろう。

一度使った書類を保管するかどうかはお互いの任意だが、自分が捨てても相手が保存していれば、改ざんは不可能なのだから信頼できる。また、暗号強度やキーの流出などの懸念があれば、定期的に暗号化し直せばよい。この場合、もし相手がまだ存在していればお互いに合意して更新すればよいし、拒否ないしは音信普通だったらその旨を証明の上、公平な第三者が代行することができる。その後相手が復活すれば三社が協調して修正する。何世代か保管しておけば、古いものは捨ててよい。

これがブロックチェーンの暗号通貨と根本的に違うのは、大きくは2つある。まず、それはお互いの間に契約があったことだけを証明するものであり、例えば受け取ってもいない金銭を受け取ったというような、偽の受領証を発行することは、合意さえあれば可能だ。ただ、これはエスクローの仕掛けを使って、ある程度回避することができる。

第二が匿名性だ。ビットコインの場合は、匿名口座を幾らでも生み出すことができる。また、法人格だけだと同様の問題があるので、eIDAS同様、個人まで特定できる証明が必要である。そうなれば契約も、当然に匿名性が損なわれる。少なくともエスクロー業者に素性を知られることは避けられない。

例えば、そのエスクロー業者が信頼できる金融機関だった場合、金銭の実際の授受を証明することはできて、そのエスクロー業者が秘匿する限り、その取引の事実は匿名でできる。一定期間の後証明書を廃棄すれば、その事実をなかったことにするのは可能だ。一方で、直接取引や闇のエスクロー業者に頼むような怪しい取引は、少々エラーや詐欺等の不具合があっても仕方がないだろう。

双方とエスクロー業者以外が閲覧不可能なように証明書を暗号化することは可能だから、国の盗聴は不可能である。必要なら法に基づいて開示請求をするしか手段はないが、そのこと自体は問題ないはずだ。

必要な役者として、タイムスタンプ発行業者、公的個人認証(JPKI等)はいる。情報保存業者は、タダのストレージサービスでも構わない。証明書の付与はソフトでできるから、特定のサーバは不要で、お互いがやり取りすればよい。エスクローとしても似たような業者はいる。後は、法的な根拠の整備と、それに合わせた各々の業者のちょっとした修正と協調さえあれば、技術的な問題はほぼなく、直ぐにでもサービスを開始できるはずだ。

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