2019年7月4日木曜日

究極のスマートシティ


スーパーシティだのスマートシティだのという話題が盛んだ。色々と提案されているのは知っているのだが、これらを究極のところに持っていくと、人は殆ど動かないようになるのではないか、と思えてきた。じゃあ何が動くの、というと、相手の方、ないしはロボットである。

人が出かける理由は幾つかあるが、その最たるものは仕事や勉学(学校)だろう。まずこれが、テレワークやテレビ会議、遠隔教育などで減る。次に娯楽だろうが、映画がVRになったり、旅行がテレイグジスタンスになったりすることで減る。食事もケータリングが発達する。買い物の類はネットスーパーや通販で済ませる。医療にも遠隔医療がある。薬は通販と同じ仕組みで届けられるだろう。唯一残るのが医療処置だが、これは今のところ構想が見当たらないが、ロボットが自宅まで来て遠隔でしてくれるようなことが検討されるだろう。

これらが発達すると、多分道路は空くはずだ。人が移動するよりもモノが移動した方が、道路の占有面積は小さいし、そもそもモノも人も移動しない一石二鳥の施策が多くを占めるだろうからだ。

その代わりに、頻繁にロボットが家に出入りすることになるだろう。単なる荷物の運搬だけでなく、自宅の中にまで招き入れて、そのロボットにしかできない固有のことを行うためだ。先ほど言った遠隔処置ロボットはその一つである。

処置ロボットは、必要な機材と医薬品等を持って自宅に訪問する。行うのは注射や血圧測定など、器具や医薬品を扱う業務だ。ロボットの発達により、徐々に複雑なことができるようになっていくだろう。例えば傷口を縫う程度のことなら、これでできるようになる。部屋全体を消毒しなければならない手術は不可能だろうが、それとて自動運転車で迎えに来てくれて、近所に手術車が待ち構えている、というようなことすら考えられる。

他にも、美容師・理容師ロボットとかネイリングロボットとか、そこにいかなければできないことだったものがどんどんロボットになっていくというのは考えられることだ。初期にはダビンチ(医療ロボット)の如く人が遠隔操作で、そのうちAI搭載の独立型になり、世はロボットで溢れ、人は屋内に閉じこもることになる。

それでも人が外に出ることは無くならない。例えば海水浴は自宅には持ち込めないだろうし、ある程度有名な店となればできたてを食べたいからケータリングにはしないだろう。高い買い物をするには実物に触れたいだろうし、映画にしても、VR空間ではなく、たまには映画館で見たいと思うはずだ。デートも直接会うから楽しいのだし、お互いの自宅に行き来してVRゴーグルをかぶって、というのもちょっと違う気がする。しかしトータルではやはり、人の行き来は大幅に減ると考える。

さて、こうなると、高価なハコモノとか幅広道路などは意味を失う。世界中どこにいても(ほとんど)同じ、となれば、都市集中のメリットもなくなる。つまり、スマートシティはスマート(仮想)シティであり、実態はタダの田舎、となるのが、本当の究極かもしれない。

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