2026年1月20日火曜日

5Hz基幹送電線構想

知っての通り、日本の電力線は東西で50Hz地域と60Hz地域で別れており、東西間の電力融通は殆ど不可能である。このため、例えば東北大震災でフクイチ原発で事故が起き、計画停電が起こったが、もし関西以西との電力融通が十分なら、これも何とかなったかもしれない。

ヨーロッパは全土に渡って電力融通が可能であるが、これもフクイチ事故の時に勉強して羨ましいと思った。なぜこれが日本でも出来ないのかというと、ヨーロッパは周波数が50Hzに統一されているからなのだそうだ。一方で国内の送電線は、最上位の高圧線でも50Hz/60Hzで東西が揃っており、直接繋ぐことができない。

周波数が違っても融通は可能だが、そのための専用の施設が必要になってしまい、電力会社が消極的なため、なかなか容量がアップしないのだそうだ。これを解決する手段を考えてみた。

このためには、既に直流高圧送電(HVDC)という手法が確立している。だが、これは設備が専用になる、高額で大型になるという点以外にも、一度発生したアークが消えにくいというデメリットがある。

アークとは、要するに「接続していない銅線の間で電流が流れ続ける」、つまり空気を経由して電流が流れてしまう現象のことである。空気は最高の絶縁物質だが、HVDCは電圧が高いため、銅線を近づけすぎるとここで電流が流れてしまうのだ。イメージとしては雷が適当だろうか。

交流であれば電圧がゼロになる瞬間が一秒の間に何回もあるため、ここでいったん絶縁は復活する。だが直流ではそれがないため、これを止めるには根本の電気を遮断するしかない。しかし高圧直流を遮断するのは非常に難しく、ここでも高価な遮断器が必要である。

直流で送電するのは効率を高めるためであるが、それが目的なら、低周波の交流にしてしまえば、交流の技術を使った設備費用の低減ができるため、良い妥協点を見つけられるのではないか。そこで表題の「5Hzという低周波での高圧送電」を提案するわけだ。これを仮に「HVLF」(High Voltage Low Frequency」と名付ける。

HVLFの良いところは、現在の基幹高圧線をそのまま流用できる点だ。現在も交流なので、新たに大規模な設備投資をする必要がない。そして周波数が低くなることから、送電線のリアクタンスが小さくなり、より多くの電力を送ることができる。現在が50Hzだとすると、5Hzにすればリアクタンスは十分の一、そして直流より効率は悪いが、その差は10%である。一方で設備は、さすがに既存のものそのままでは使えないが、技術はACのものが流用できるため、安くできる。トータルで考えれば、こちらの方が安くなる可能性があるわけだ。

これを新たな「全国区の電力融通用」と位置付け、既存の高圧線の一部をこれに割り当て、東西を繋ぐ。すると、少数の電線を転換するだけでも大容量の電力融通ができ、既存の周波数変換による融通は不要になる。その代わり、既存の発電所からHVLFへのアップ及びダウンのための変電所は必要になるが、これは従来の変電所に併設できるだろう。

HVLFは、海底ケーブルによる電力輸送にも適している。このため、離島への電力供給でも細い線で大量の電力輸送ができるし、海外との電力融通すら視野に入れられるだろう。

なお、更にその先、電柱までを5Hzで送ることも検討可能である。従来より大電力の供給ができるため、例えばEVの急速な普及にも送電線を増やすことなく対応できたり、50Hz/60Hzを自宅単位で切り替えたりすることもできるかもしれない。ただ、電柱の変圧器はインバーターに変える必要があり、インバーターの寿命は変圧器より短いため、コストが低減できるかどうかは検討が必要である。

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