2025年5月18日日曜日

生成AIはミーハーである

 色々と生成AIと議論しているが、それに関して最近気付いたことがある。

最初の応答については、あまり深く考えずに世間の評判を基に答えるのだが、それには往々にしてウソ大げさが混じっている。それに対して指摘をし、更にそれを繰り返すことによって、だんだんとそのウソ大げさを理解し、マトモな解釈ができるようになる。

これは、近年のコメ価格高騰の要因について問い合わせた際に気付いた。最初は、新聞で見るような「流通の目詰まり」「訪日外国人による需要増加」「買い占め」などと答えていたのだが、その各々について分析を指示したところ、これらについてはファクターとして弱く、主要因ではないと答えるようになった。では主役は誰かと問うと、「減反政策」「JAや全農の影響」と答えるAIと、「需要側の問題」と答えるAIに分かれた。これらの質問をする際、各々に対して定量的根拠を求めると、答えにもきちんと定量的評価が入り、答えが論理的になった。

Grok3の最終的な結論は減反政策とJAの前払金制度だったが、前払金制度は以前からあった施策であり、その意味では説明がつかない。それを突っ込むところで回答数制限が来て、お預けになってしまった。

これは他のAIについても同じで、回答を分析して突っ込んで質問すると答えを翻す場面は多かった。それに気付いて以前からのAIとのやり取りを思い出してみると、確かに思い当たることがある。最初の答えは表面的、ミーハー的で、突っ込んでいくと段々と専門家らしくなってくる。同じ知識を持っていても、質問の仕方次第では180度異なる回答をすることもあるのだ、と思った。

最近のAIはDeep Searchのようなオプションも無償で(回数制限はあるが)使えるようになっているが、それをONにして訊いても、やはり最初の回答は定性的・テキトーなことが多く、こちらが突っ込んで聞かないとマトモな答えは得られないことが多い。そう考えると、AIに安易に回答を求めることは危険で、陰謀論者を増やすことにもなりかねない。

逆に言えば、その「ツッコミ」をできる技量が質問する側にも必要だし、その技量によっては回答がブレることにもなる、と言える。そこに思想や偏見が交じる可能性は当然否定できないから、質問する側もその分慎重になるべきである。

最近では、わざと誤ったツッコミをしてミスリーディングをして、AIがそれに耐えられるかなどといったことをして遊んでいる。

2025年5月7日水曜日

景気施策のコスト3:日本共産党とれいわ新選組の消費税減税/廃止案


日本共産党が消費税減税案についてのサンデーモーニングの批判的なコメント(財源を示せ)に対し「財源を示した上で提言している」という反論をしている。そこで同じく、Grok3に計算してもらった。

日本共産党の提言は、2025年4月16日のものの他、幾つか出ている。そのおおよその方向性は、消費税を期間限定で5%に減らし、財源は主に大企業や富裕層への課税、というものになっている。他にもインボイスの廃止、困難な状況にある企業への事業支援(税免除)などが挙がっている。そしてやはり、制度変更に伴うシステム修正コストや社会混乱には言及していない。また、大企業や富裕層への課税が強化されれば、それ自体も景気に影響するが、これも考慮されていない。それらを考えるとどうなるか。

中途は省くとして、Grok3の結論はこうなった。


富裕層や大企業への課税強化による税収増加(約3.5兆円)は、景気悪化による税収減少(約0.36兆円)を上回り、ネットで約3.14兆円の税収増加が見込まれます。しかし、制度変更のコスト(約8.65兆円)がこれを大きく上回るため、短期的な収支は約-5.51兆円の赤字となります。長期的に見ても、景気悪化の持続的な影響と累積コストにより、収支はマイナスとなる可能性が高いです。 したがって、制度変更を実施する際は、景気悪化のリスクを慎重に評価し、コストを抑える対策や景気刺激策を組み合わせることが必要です。


つまり、やはりやった方が悪いという結論になった。

また、れいわ新選組もやはり消費税廃止を訴えており、財源は大企業や富裕層への課税であるが、細かいところは共産党とかなり違っていて、もっと過激だ。結論も過激になるだろう、と同じくGrok3に訊いてみると、こうなった。


れいわ新選組の提案による収支を総合すると:

  • 支出増加(48兆円)と税収減少(28兆円)で、合計約76兆円の赤字が発生。
  • 消費刺激による税収増加や、課税強化による景気悪化の影響を考慮しても、これを補填する財源や経済効果は不十分。

したがって、最終的な収支は大幅な赤字となる見込みです。具体的な数値が不足している部分や経済効果の不確実性があるため正確な予測は困難ですが、少なくとも数十兆円規模の財政赤字が避けられないと考えられます。


76兆円って、ちょっとスゴい。国家予算が百兆円強だから、6割くらいか。トンデモなくダメダメな案だ。

景気対策で消費税を弄れというのはやはり筋が悪いようだ。同じバラマキなら、自民党が進めているように、マイナポイントをばらまく方が良いというのはだんだん確信に変わってきた。

消費税を弄るのなら、景気対策のような短期的な施策ではなく、長期的な直間比率の見直しのような、正統派で考えるべきだろう。そして以前からの主張の通り、これからバブルが起きる可能性は極めて低いのだから、税は間接税(つまり消費税やガソリン税など)を中心に考えるべきである。今後も所得税や法人税は減り、消費税が上がっていく構図は変わらないだろうが、それは正しいのだ。

2025年5月5日月曜日

人は死んだらどこへ行くのか

 以前、「魂とは情報である」という仮説

https://spockshightech.blogspot.com/2017/01/blog-post_19.html

を書いたことがある。そこから演繹していくことによって、この問題に挑んでみる。

魂とは、大雑把に言うと、脳というコンピュータに書き込まれたプログラム、及びデータのことである。ただ最近では、脳だけでなく、全身の臓器にも記憶が埋め込まれていることが分かっていて、それはいわゆるメッセージ物質の出易さや出る条件が人によって異なることだ。そういう「癖」も含め、情報は人間を形作っている。

その情報は、新しく取り込まれ消化されるとともに、体外にも出ていっている。例えば本人が揃えた本のコレクションは、その本人の個性を反映している。ブログやSNSでの発言、メールの文面、写真や動画などもそうだ。あの人ならこう言うよね、というのが他の人にも伝わっている、これも情報であり魂の一部と言える。つまり、他人にも自分の魂の一部があり、自分にも他人の魂の一部があると言える。

さてこの情報は、コンピュータの情報と違って明確に線引ができない。つまりこの情報は自分のもの、この情報は貴方のもの、という区別が難しいのだ。ファジー理論ではないが、自分90%、他人10%といったように、情報は交差している。だからよく、親しい人が死んだ時に「貴方の心の中に生きている」みたいなことが言われるのだが、これはその意味で本当と言える。

そして、人が死ぬと、体内の情報はほぼ失われるが、体外に出ている情報はまだ残っていて、それが魂である。だが例えば、体内の情報が9割だとすると、体外に出た情報は1割しかない。つまり、人が死ねば、魂のほとんどは失われるが、全部ではない。ただ、その1割が散逸していて、また自分の中にあるその人の魂の一部は感じられるが、それはその1割の、更にその何十分の1に過ぎない。だからほとんどその人を感じられず、悲しくなるわけだ。

最近中国で流行っている、SNSの発言などを基に死んだ人の仮想人格を作り出す作業は、この1割を再構成して人に分かりやすく見せているものだと言える。なのである意味、これは本物の魂であると言える。1割だけど。

体外に出している情報が多い人ほど、その再現性は高まる。だからもし、24時間365日その人を監視して、映像と音声を撮りまくり、更にその再構成を精密に行うならば、魂の4割とか6割とかを再構築することは、将来的には可能になるかもしれない。

またそもそも、人の魂の形成とは、外部からの情報の取り込みによるものである。本を読み、他人と会話し、運動や経験をするというのは全て、外部から情報を取り込んでいるのである。それを体内で咀嚼し自分なりに構成したものが魂なのであって、であれば(本人が接する)外部情報だけ取り込んだとしても、魂の再現はある程度可能になるはずなのだ。ここらへんの考え方は、やはり以前に書いた「中国語の部屋」

https://spockshightech.blogspot.com/2017/05/blog-post_26.html

と同じである。

ここで表題の「人は死んだらどこへ行くのか」を改めて考察してみると、次のようになる。

まず肉体的には消滅する。日本の場合はほとんど火葬なので骨しか残らないが、魂(情報)はその残った骨にはほとんど残っていない。手術をした関節ジョイントの跡とか歯型とか、全くないわけではないが、多くの場合それは魂と言えるようなレベルではない。そして、その他の方法で体外に出ていた情報を統合することは可能だが、その再現性はおそらく1割以下で、高くない。また、その再現性を高める工夫をすることは可能であり、それは本人が体外に出していた情報をできるだけ多く集めることだ。その統合にはAIを使うことになるのだろう。元々情報なのだから、肉体のように単一のものではなく、その集め方や分析の仕方次第で幾らでもバリエーションが生じることは考えられるし、コピーも資放題だ。

この場合「どこへ行くのか」とは、「コンピュータ上の情報になる、それ以外は散逸して何れはノイズ(雑音)に埋もれて消えてしまう」ということになる。

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