2026年5月23日土曜日

国会・行政のオンライン化考察

日本における政府関係機関の地方分散政策は、はっきり言って上手くいっていない。筑波学園都市はまあまあ成功したが、国会の移転は止まったまま、省庁の移転も文化庁など部分的な移転に留まり、東京への出張が多くなって効率は悪くなってしまったそうだ。

さて、その文化庁について調べていて、おもしろいことが分かった。本格的な稼働に向け、2019年度(令和元年度)の10月から11月にかけて、大規模な業務シミュレーションが実施されたのだそうだ。このシミュレーションでは、文化庁次長(京都担当)および各課の一部職員を含む計193人が、1週間ごとに交代しながら京都の執務室で通常業務にあたり、国会質問に対する答弁作成や関係省庁調整を遠隔で行う、ということを行った。

その結果、効率は著しく落ちることが分かった。理由は至極簡単で、①通信環境が悪い、②ツール(テレビ会議、ファイルシステム等)が貧弱、③国会議員が紙・対面での打ち合わせを望んだため東京出張が頻繁に発生した、というものだった。しかし対策として①②が若干強化された程度で本番移行したため、③が主なネックとなって効率は上がらず、移転は尻すぼみになってしまった。

民間の会社、特に大手企業では、PCは一人一台が当たり前になっており、在宅勤務も何割という人が行っている。当然資料は全て電子化され、幹部レベルであってもテレビ会議システムも日夜使われている。この結果を見ていると「ガンは国会」と言えるのが分かる。つまり、省庁の地方分散を成功させるためには、国会がまずデジタル化する必要がある。

さて、ここで原点に立ち返ってみると、そもそも地方分散はなぜ必要なのだろうか。当初の資料によると、目的は地方活性化なのだそうだ。地方に官僚が多く引っ越すことによる経済効果を狙っている、と読み取れる。だがこれって、目的としては稚拙なのではないかと思う。

自分だったら、それはDR(ディザスタリカバリー)を目的とする。即ち、災害や紛争により東京が壊滅した時でも行政を止めないため、である。国会、国会議員、主要省庁は全て東京の中央区千代田区近辺に集中しているが、それでは首都直下地震や原爆一つで壊滅してしまう危険がある。そしてそれはどこかに(丸ごと)移転する場合でも同様である。つまり、移転先に爆弾が一つ飛んでくれば意味は同じだ。そうではなくて、最初からアドレスフリー、網の目状、だれがどこにいるか問わない、そして実際にあちこちに分散している、という状況こそが、目指すべき姿ではないかと思うのだ。

そしてこれは要するに在宅勤務、ノマドウォーク、などと同じことだ。つまりは資料を全て電子化して、テレビ会議ができるモバイルPCと、通信用としてスマホがあれば仕事が完結します、という状況を作ってやればよい。民間と同じ、実に簡単な話である。

さて、それでも国会議員が頑なに対面・紙を信奉する理由は、多分に情緒的なものであって、合理性があるわけではない。なので国会議員に示してやるべきは、電子化をしていないことによる「損」を定量化して見せてやることだ。

細かい途中計算は省くとして、生成AIと対話して出した結論は以下の通りだ。

損失カテゴリー 修正後の年間額 内訳詳細
直接的浪費(行政事務) 1.5兆円 既存0.9兆円 + 国会対応コスト0.6兆円
成長逸失分(機会費用) 2.3兆円 既存1.8兆円 + DX阻害分0.5兆円
合計:国家機能の総損失 3.8兆円 国会・省庁のアナログ連動による経済損益

ここで既存と言っているのは国会の分で、それに省庁の逸失分を追加したのがこの表である。つまり、全体としては3.8兆円の損失が毎年出ている計算になる。

この額はなかなかインパクトがある。防衛費の半分くらい、文科省予算の8割くらいだ。これを国会議員に突き付け、あるいは国民にバラして国会議員にプレッシャーをかけるのはどうだろう。そうして国会がデジタル化されれば省庁もデジタル化し、同じシステムを県議会や市議会も使うようになる。

こうなると、国会議員は地元(選挙区)から動かずとも仕事ができる。これはくしくも全国に国会議員が散らばることを意味しており、DRとしては理想になる。

省庁は全国で職員を募集できるし、場所によってはワーケーションに近いことも可能だ。地方はそちらの誘致を目指せば、他の企業のワーケーションにもなるので一石二鳥になる。庁舎を(特定の)地方に移転するよりずっといい。

国会議員や省庁職員がデジタル化に慣れてくれば、業務効率も向上するだろうし、釣られて民間のデジタル化も進むだろう。3.8兆円と書いたが、中期的にはそれを上回る効果を上げると考える。

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