2019年6月4日火曜日
NewDapps
先日、米国がファーウェイへの制裁措置の一つとしてGoogleサービスの停止がアナウンスされたが、あれを聞いて怖いなと思った。ファーウェイを持っていなくて良かった、ではなく、アメリカの身勝手に、だ。
製品の禁輸ならともかく、サービスを停止するというのはとんでもない話だ。その理由もまるで根拠が無い。イラク戦争の「大量破壊兵器」と同じく、幻に終わるかもしれない。そして今回は中国だが、その牙が日本に向かないという保証はない。やはりエネルギーにしても食料にしても、(防衛にしても、) 単独の国に頼るべきではない。情報システムも然りだ。
このためには、ゼロ知識ベースの完全分散アプリケーションプラットフォームが必要である。つまり、多数の参加者の中に悪意のある者が少々紛れ込んでいても、大部分がマトモであれば改ざんやシステム停止がされない、というシステムである。
こう書くと、ブロックチェーン、スマートコントラクト、DAPPS、という言葉が思いつく。しかしこれらは今のところ実力不足である。第一に、永遠にチェーンが溜まり続ける、何時まで経っても計算結果が確定しない、という仕様。トランザクション処理速度が遅すぎること。匿名性が中途半端であることなどだ。
これに適するのは、SETI@home的なシステムだろう。即ち、計算を細かく区切って各々を別のノード(全ノードではなく)に分散して計算させ多数決を取る、ということを繰り返すものだ。もし結果が違ったノードがあれば都度弾き、また分散する数を増やしてやることで、不審者の排除ができる。
SETIと異なるのは、アプリケーションを実行したい主体が全データ・アプリケーション実体を持っているのではなく、それらが細分化・暗号化・分散されて、ネットにあらかじめばら撒かれているところである。そうしないと、自分のノードが故障した時のリカバリができないからだ。
また、そのためには、データの暗号化と共に、暗号化したまま計算ができるような工夫が必要である。ここの理論が十分でないと情報が漏れてしまうが、既にこの技術は幾つか存在しており、今すぐには不十分でも将来的には十分期待できる。
アプリケーションの細分化は別の課題で、データのように単純にはいかないだろう。この分野の研究の話は聞いたことがないから、当分は開発側が工夫するしかない。しかしこれも学問的なアプローチが取られ、自動化ツールも出てくることだろう。
一方、スマホだけでは計算能力が足りないから、ちょっと工夫をしよう。家庭内や企業内にサーバ(計算機資源)を置き、ネットに繋げて常に稼動させておく、という条件をつける。それとスマホをペアリングして、計算機資源を多く提供している人ほど速く計算ができる、というようにしてやる。これなら企業は大量に、家庭では小さいものを、公平に使うことができる。
このシステムは、ディザスタリカバリと特定権力からの独立の両方を保障する。完全にネットワークを遮断しない限り、このシステムを止めることはできない。また、特定の企業が個人情報を蓄積しているなどということもなく、知っているのはネットのみで、コントロールできるのは自分だけであることも保障できる。
こういった完全分散システムの研究が、もう少し進んでも良いものではないか、と思う。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
注目の投稿:
ダイナミック租税とその指標
今の法律では、税率は一定の計算式で表されるが、そのパラメータは固定である。需要と供給のバランスによって商品の価格を変えるダイナミックプライシングというのがあるが、あれを租税にも適用してはどうかと考えてみた。 納税者の声をベースにして様々な租税や補助金を自動調節して、どこか一箇所...
人気の投稿:
-
ハクキンカイロの発熱原理を調べていて、これを防災用(キャンプ用でも良いのだが)の湯沸しに使えないかと考えた。 普通、キャンプではガスコンロを持っていく。だがあれは裸火を使うから、熱効率は悪い。これに対してハクキンカイロの仕掛けは、白金触媒を適切な場所に配することで、極...
-
科学者、医者等であっても発言が必ずしも科学的とは限らない。無自覚ならまだ可愛いが、むしろ素人を煙に巻く悪意すら感じることもある。 量的議論がそのひとつであることは言うまでもないが、もっと以前の問題として、論理が破綻していることの多さがある。 そのひとつとして、ス...
-
新型コロナウィルスへの対応で、医療機関の防護服やマスクが足りないことが話題だ。ゴーグルは違うが、その他は使い捨てであるところがネックになっている。作っても作っても、消費の方が激しい訳だ。しかし考えてみれば、そもそも何で使い捨てなんだろう。細菌兵器用の防護服は使い捨てではない...
-
ガートナーが出しているハイプサイクルによると、生成AIはまだ幻滅期の手前にいるらしい。つまり今後大きな幻滅を経て実用域に進んでいくことになる。その幻滅とは、人間なら当たり前にできることでまだ生成AIにできないことが多く分かってくることによる。そしてその幻滅期を乗り越えるのは、...
-
時代が進むことで、昔のSFが奇異に思えるようなことはよくある。抑揚のないコンピュータ音声や、わざとぎこちなく歩く人間型ロボットなどは、もはや過去の遺物である。スタートレックシリーズに出てくるトリコーダーもその一つだ。 トリコーダー本体、また医療用プローブを手に持って...
-
生成AIを使って作成されたイラストに対する極端な非難が相次いでいる。そのどれもが、ちょっと行き過ぎに思える。例えば、事前にAIであることを知らせているもの、絵を描いている本人が確認し承諾したものまでも非難されている。なぜこんなに過剰な反応をするのだろう。単にノイジーマイノリティの...
-
卓上カレンダーのようなものを机に置いておいて、必要に応じてテレビ電話やフォトフレーム、緊急通報など、家で必要とされる様々な機能を集約する機械を考えてみる。 これは、従来は電話やFAXのような位置づけだったものだ。これら以外にも一家に一台の情報機器は考えられるので、それを切り替え...
-
コロナ禍ではあまり本ブログを更新しなかったが、この間は陰謀論が跋扈した時期でもあった。コロナは存在しない、ワクチンは危険、アビガン買いだめ、マスクは意味がないなど、実に様々な陰謀論が飛び交った。 この手の人は今だに存在しており、体感としてはむしろ増えている。それも、身の危険を...
-
自分の知る限りでは、VRChatのワールドで青空文庫が読める図書館があったのと、N高の教室メタバースくらいしかマトモな例がないのが、メタバース内で本を読む方法だ。本や書類がメタバース内で苦も無く読めるようになれば、電子書籍も含めて全部メタバース内に落としてしまいたい、とすら思っ...
-
映画と言えば、今でも娯楽のジャンルの一つとして確立したものではあるが、近年では衰退の兆しがある。そのたびに3DやCGなどのテコ入れが入ってきたわけであるが、ここにきて更に新しい提案ができるようになった。それがタイトルにあるインタラクティブ性の導入である。 とは言っても、...
0 件のコメント:
コメントを投稿