2019年6月3日月曜日
電子政府と縄張り意識
世界中で、政府や自治体の電子化が推進されている。電子政府先進国と比べると周回遅れではあるが、日本もこれを進めようとしている。だが、前途は多難だ。
なぜ多難かというと、既に出来上がっている個々のシステムを再構築することに対する大きな抵抗があるからだ。それはデザイン一つとってもそうだし、システム連携もそうだ。ましてやシステム自体の共通化なんて、とても望めない。
電子政府の最も単純な例は、申請窓口の一本化だ。ある一つのサイトに行けばよい、とするだけでも随分違う。日本ではこれは
https://www.e-gov.go.jp/
に当たるのだが、例えばここで確定申告をしようとして、申告だから「申請・届出」だろうと思ってこれを押すと、「e-Gov電子申請」というのが出てくる。多分これだろうと思ってこれを押すと、「パーソナライズログイン」なるボタンが出てくる。パーソナライズってなに?と戸惑いながら下の方に行くと、「申請(申請者・代理人)」と出てきて、それをクリックすると今度は「e-Gov電子申請手続検索」となり、もう検索するしかない。ここで「確定申告」と入れて検索すると、検索結果はゼロだ。
実は、トップページにも検索画面はあって、ここで同じく「確定申告」と打つと、まあそれらしきページには行けるのだが、この検索画面はそもそも「行政機関等ホームページ検索」であり、手続きの検索ではない。つまり手続きとは関係ないページもわんさか出てくるわけだ。
また、電子納税は、
http://www.e-tax.nta.go.jp/
http://www.eltax.jp/
が別々のURLで運営している。eLTaxのサイトに行ってみると、肝心の「どの税が電子申告出来てどの税はできないか」の一覧がない。
技術的にできないことなどない。つまり、ないのは全て技術以外の理由である。色々と考えられることはあるが、それらはやる気、お互いの縄張り意識、カネといったところだろう。この中で一番キツいのは「縄張り意識」ではないか。
現在、自治体の業務システムは、全て自前で運営されている。複数のベンダが別々にシステムを作り、入札で入れている。システムとして別々なのはもちろんだが、アーキテクチャも使い勝手も、全てがバラバラだ。しかも標準のシステムをそのまま入れているところはなく、皆何らかのカスタマイズをしている。
一方でお隣の韓国では、中央が一括で作り、地方はそれを無償で使えるようになっている。使用は義務ではないが、事実上はほぼ100%がこれを使っている。無償であるのにわざわざ別のシステムを作って税金を無駄にする意義はないからだ。
両者を比較すれば、掛かる費用は明らかだし、ユーザ(住民)の使い勝手もまた明らかに違う。日本のシステムには独自性があるが、そこに誰が価値を見出しているのか、意味不明だ。
自治体のホームページを見ても分かるが、どこも独自に作っていて、まるで統一性がない。それは認めるべき個性なのかどうか、大いに疑問である。
確かに中央一括とすると、全体主義的な匂いを感じるのが日本人だ。が、意味のない個性のために膨大なカネを無駄にしている、と見ることもできる。少なくとも、ユーザの理解を阻害するような個性は、もう止めにすべきである。
世界で成功している電子政府は、皆強制力をもって窓口を統一しているのが事実だ。それが嫌なら、自治体はさっさと団結し、自主的に窓口を統一すべきである。
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