2019年11月7日木曜日
UCOキャンドリア専用熱発電機
UCO社が発売している「キャンドリア」は、キャンドルランタンである。
通常のロウソクとは違い、専用の鞘に納め、下からバネで突き上げるようになった砲弾型のロウソクを使うため、炎の位置が常に一定の位置にあり、しかも長時間点灯させておくことができる。また、ロウソクは1本から3本まで、必要な明るさに応じて調節できる。
この天板は、コップの水程度なら沸かすことができるらしい。これを知って、以前購入を検討して結局断念した発電機のことを思い出した。
Robens Woodsman Stove And Charger
FlameStower Fire Charger
PowerPot V Battery Bundle
これらは何れも、ペルチェ素子を使ったゼーベック発電を原理とする発電機だ。ただ、何れも熱源が満足できるものではなかった。Robens Woodsman Stove And Chargerは、燃えるものなら燃料は何でも良いのだが、逆に言えば燃焼の制御ができないので、つきっきりで面倒を見なければならない。また、煤が出るし、火が漏れるので、屋外向けである。FlameStower Fire ChargerとPowerPot V Battery Bundleは熱源は何でも良いのだが、登山用ガスストーブ(コンロ)を想定しているようだった。ガスではせいぜい1時間しか発電できない。また、ガスボンベが大量に必要なようでは、災害時には使えない。
同じ原理で、この「キャンドリア」の上に固定できる発電機があれば、上手くいくのではないだろうか、と考えてみた。
ランタンを使ってゼーベック発電をするというのはそれほど奇特なアイデアではなく、ネットを検索すれば様々なチャレンジャーがこれを行っている。しかし、使っているのは皆ガスストーブだ。その点、キャンドリアであれば、一度セットしてしまえば9時間安定して環境を保てるし、つきっきりになる必要はない。屋内でも使える。
ただ、問題は発電能力だ。この手の自作では、LEDが点いたとかモーターが回ったとかいう話しか聞かない。モバイルバッテリーが、スマホが、まともに充電できるのだろうか。これを考えてみる。
市販されているUSBの規格は、5V500mA、つまり2.5Wである。これに対し、市販のスマホのバッテリ容量は、4000mAhくらいある。電圧が書いていないが、3.6Vだとすると、14.4Whだ。単純計算では、6時間弱の充電が必要ということになる。一方、
https://www.lec21.com/report-seebeck-effect2/
の実験で2.5Wが出たのは、ロウソクではなくガスストーブ、ペルチェ素子3段4組=12素子、水冷式だった。キャンドリアではこの面積は確保できないし、火力も相当に落ちるだろう。この結果からだけ見ると、キャンドリアにペルチェ素子一つだけの装置で十分な発電ができるようには思えない。
そんなことを考えていたら、こんな記事を見つけた。
https://newswitch.jp/p/19514
https://eetimes.jp/ee/articles/1910/04/news028.html
今の10倍ということであれば、ペルチェ素子1枚でも2.5Wが出る可能性が出てきた。これが量産された折には、この発電機構は再度注目されるはずだ。その時には少々高くても購入したいと思う。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
注目の投稿:
ダイナミック租税とその指標
今の法律では、税率は一定の計算式で表されるが、そのパラメータは固定である。需要と供給のバランスによって商品の価格を変えるダイナミックプライシングというのがあるが、あれを租税にも適用してはどうかと考えてみた。 納税者の声をベースにして様々な租税や補助金を自動調節して、どこか一箇所...
人気の投稿:
-
ハクキンカイロの発熱原理を調べていて、これを防災用(キャンプ用でも良いのだが)の湯沸しに使えないかと考えた。 普通、キャンプではガスコンロを持っていく。だがあれは裸火を使うから、熱効率は悪い。これに対してハクキンカイロの仕掛けは、白金触媒を適切な場所に配することで、極...
-
科学者、医者等であっても発言が必ずしも科学的とは限らない。無自覚ならまだ可愛いが、むしろ素人を煙に巻く悪意すら感じることもある。 量的議論がそのひとつであることは言うまでもないが、もっと以前の問題として、論理が破綻していることの多さがある。 そのひとつとして、ス...
-
新型コロナウィルスへの対応で、医療機関の防護服やマスクが足りないことが話題だ。ゴーグルは違うが、その他は使い捨てであるところがネックになっている。作っても作っても、消費の方が激しい訳だ。しかし考えてみれば、そもそも何で使い捨てなんだろう。細菌兵器用の防護服は使い捨てではない...
-
ガートナーが出しているハイプサイクルによると、生成AIはまだ幻滅期の手前にいるらしい。つまり今後大きな幻滅を経て実用域に進んでいくことになる。その幻滅とは、人間なら当たり前にできることでまだ生成AIにできないことが多く分かってくることによる。そしてその幻滅期を乗り越えるのは、...
-
時代が進むことで、昔のSFが奇異に思えるようなことはよくある。抑揚のないコンピュータ音声や、わざとぎこちなく歩く人間型ロボットなどは、もはや過去の遺物である。スタートレックシリーズに出てくるトリコーダーもその一つだ。 トリコーダー本体、また医療用プローブを手に持って...
-
生成AIを使って作成されたイラストに対する極端な非難が相次いでいる。そのどれもが、ちょっと行き過ぎに思える。例えば、事前にAIであることを知らせているもの、絵を描いている本人が確認し承諾したものまでも非難されている。なぜこんなに過剰な反応をするのだろう。単にノイジーマイノリティの...
-
卓上カレンダーのようなものを机に置いておいて、必要に応じてテレビ電話やフォトフレーム、緊急通報など、家で必要とされる様々な機能を集約する機械を考えてみる。 これは、従来は電話やFAXのような位置づけだったものだ。これら以外にも一家に一台の情報機器は考えられるので、それを切り替え...
-
コロナ禍ではあまり本ブログを更新しなかったが、この間は陰謀論が跋扈した時期でもあった。コロナは存在しない、ワクチンは危険、アビガン買いだめ、マスクは意味がないなど、実に様々な陰謀論が飛び交った。 この手の人は今だに存在しており、体感としてはむしろ増えている。それも、身の危険を...
-
自分の知る限りでは、VRChatのワールドで青空文庫が読める図書館があったのと、N高の教室メタバースくらいしかマトモな例がないのが、メタバース内で本を読む方法だ。本や書類がメタバース内で苦も無く読めるようになれば、電子書籍も含めて全部メタバース内に落としてしまいたい、とすら思っ...
-
映画と言えば、今でも娯楽のジャンルの一つとして確立したものではあるが、近年では衰退の兆しがある。そのたびに3DやCGなどのテコ入れが入ってきたわけであるが、ここにきて更に新しい提案ができるようになった。それがタイトルにあるインタラクティブ性の導入である。 とは言っても、...
0 件のコメント:
コメントを投稿