2019年11月6日水曜日

分散ストレージと個人SaaS


以前、「分散VOD」という投稿をした。この時点ではVODをイメージしていたのだが、同じような仕掛けは汎用でも良いのでは、と考えるようになった。つまりはタダのコンピュータストレージだ。

これはNASのようなアプライアンスに仕立て、原則として24時間無停止にする。それはネットワークドライブのように動くが、実体は分散している。但しブロックチェーンのように全ノードに分散しているのではなく、自分を含め最低3ノード(上限なし)に分散しているに過ぎない。そしてそのバックアップ(多重化)は全て自動で行われ、ユーザからは見えない。

分散は、同様のアプリやアプライアンス間が通信を取り合い、自動で行う。例えば一つのノードの接続が切れたら、そこに入っていたデータは自動的に他のノードから生きている別のノードに分散され、多重度は同じに保たれる。逆に、新たなノードが増えたら、多くのデータを抱えていたノードからそのノードにデータが分散される。

従来のネットワークドライブと比べて、見た目からも異なるところがひとつあって、それは公開と課金が可能である点だ。BitTorrentのようなCDNライクの機能を備えており、細かいアクセス制御と課金オプションを可能にしておく。これは汎用に作っておき、個々の努力によってSaaS化等が可能とする。但し相応のプログラミング能力は必要である。

公開と課金が可能になると、いわゆるPaaS/SaaSが可能になる。しかも、このシステムのスゴいところは、どんなにユーザが増えても性能は変わらないということだ。 もし相手が同じネットワーク上のシステムであれば、コンテンツ自体も、それを再生するプログラムも、相手のローカルにコピーされる。もし違うシステムであっても、最も近いノードにCDN配信される。これによって、ユーザは自動的に分散する。ユーザが幾ら増えても、その分コンテンツも分散するから、性能が落ちることはない、というわけだ。

例えば、ミュージシャンがJASRACに委託することなく自らが音楽を販売するとか、イラストレーターが絵を売るとかいった用途には、これは最適と思われる。ノード同士は対等であり、どこか中央への課金は発生しないので、効率の良い儲けができるはずだ。

CDNと分散バックアップは、技術的には殆ど変わりがない。これを兼用することによって個人ベースでの商売が可能になること、この発想は面白そうだ。上に乗せるアプリの進展によっては、既存の大規模ソフトウェアサービスを乗っ取る可能性すら考えられる。

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